JP3745196B2 - 円筒状検査物の周面検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、円筒状検査物を回転させながら、その周面を検査する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
円筒状検査物を回転させながら、その周面を検査する装置として、円筒状検査物を回転する2つのドラムの間に設置して、円筒状検査物をドラムとの摩擦力で自転させながら、検査する検査装置が知られている(特開平5−249279号公報)。
この公報によれば、当該検査装置は、本願添付の図8に示すように、互いに同一方向に回転する小径ローラ31と大径ローラ32と、検査物30の円周上を撮影するカメラ33とを備えている。
【0003】
搬送ベルト34に送られてきた検査物30は、小径ローラ31により回転搬送され、小径ローラ31と大径ローラ32との間で停止する。検査物30は、停止中、両ローラ31,32との摩擦のために自転し、この自転の間に、カメラ33により周面が撮影される。
検査後、検査物30は、大径ローラ32に形成された凹部32aに挿入されて、回転移動し、検査結果の合否に応じた位置に排出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記検査装置の構成によれば、検査物30が小径ローラ31により、小径ローラ31と大径ローラ32との間の検査位置まで搬送されるときに、検査物30の姿勢が不安定となるという問題がある。
特に、検査物の長さと、円筒直径とが同じくらいの短い検査物の場合は、搬送の間に検査物が立ってしまうことがあり、検査位置で回転しないようになる。
【0005】
このために、合格するはずの検査物が、検査不合格になり、検査の歩留まりが低下する。
そこで、本発明は、検査物を正しい姿勢のまま、確実に検査位置まで送ることができる円筒状検査物の周面検査装置を実現することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の円筒状検査物の周面検査装置は、一定方向に回転する第1のドラムと、第1のドラムと同一方向に回転する第2のドラムと、第1のドラムの円周の一部に形成され、円筒状検査物を挿入して、第1のドラムと第2のドラムとの間の検査位置に運ぶ第1の凹部と、前記第1の凹部に挿入された円筒状検査物が飛び出さないように、第1のドラムの周方向下面を覆うガイドとを備え、前記第1のドラムの回転方向は、前記検査位置において、前記第1のドラムの円周面が下から上に移動する方向であるものである。
【0007】
前記の構成によれば、第1のドラムの、第1の凹部に挿入された円筒状検査物は、第1のドラムの回転とともに検査位置に運ばれる。このとき、第1のドラムの周方向下面を覆うガイドが設けられているために、円筒状検査物が第1の凹部から飛び出すことはない。
従来の技術と異なり、円筒状検査物は、第1の凹部に挿入された状態で検査位置に運ばれる。したがって、円筒状検査物の姿勢は、変わることがない。このため、常に、正しい姿勢で検査を行うことができる。
【0008】
前記第1の凹部の断面形状は、円筒状検査物をスムーズに検査位置に運ぶことができるように、回転方向上流側に滑らかに開いた形状となっていることが好ましい。
これにより、円筒状検査物は、第1の凹部の壁に沿って回転しながら、スムーズに検査位置に運ばれ、検査位置においても、そのまま回転を続ける。したがって、円筒状検査物の周面が第1、第2のドラムと擦れ合うことがないので、円筒状検査物を傷つけることなく、検査することができる。
【0009】
また、第2のドラムの円周の一部に、検査の終了した円筒状検査物を挿入する第2の凹部が形成されていれば、検査の終了した円筒状検査物を排出位置まで運ぶことができる。
また、円筒状検査物を第1のドラムに搬送する搬送手段が設けられていることが好ましい。搬送手段ががあれば、多数の円筒状検査物を続けて自動的に検査するのに有用である。
【0010】
また、第2の凹部に挿入された円筒状検査物を、検査の合否に応じて選別して回収する手段がさらに設けられていることが好ましい。多数の円筒状検査物を検査する場合、検査の合否に応じて自動選別するに有用である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の実施形態では、円筒状検査物は、ベアリングのローラ、レシプロエンジンのピストンピン等であり、その寸法は、直径が3〜20mm程度、長さが直径と同程度のものを想定している。
図1は、円筒状検査物の周面検査装置1の全体斜視図である。円筒状検査物の周面検査装置1は、円筒状検査物2を搬送する搬送溝6,搬送溝6に沿って搬送される円筒状検査物を一定個数(図1では1つ)ずつ押し出すプッシュロッド7,円筒状検査物を検査位置に運ぶ第1のドラム11,第1のドラム11の一部周面を覆うガイド13,両ドラムの間で回転する円筒状検査物を検査するカメラ3、検査された円筒状検査物を回収位置に運ぶ第2のドラム12、検査された円筒状検査物を回収する回収部4などを有している。第1のドラム11,第2のドラム12の材質には、金属、樹脂などを使用することができる。
【0012】
図示していないが、第1のドラム11の両端面、第2のドラム12の両端面等には、円筒状検査物が落ちないように、平らな壁を設置している。
搬送溝6の端部6aは、搬送されてくる円筒状検査物を止めて、円筒状検査物を第1のドラム11にスムーズに渡すために設けられたものである。第1のドラム11には、円周の一部に円筒状検査物を挿入する凹部11aが形成されている。
【0013】
凹部11aは、円筒状検査物をスムーズに検査位置に運ぶことができるように、図1において、回転方向Aの上流側11bが、大きな曲率半径で、滑らかに開いた形状となっている。
プッシュロッド7により押し出され、前記凹部11aに挿入された円筒状検査物が遠心力で飛び出さないように、第1のドラム11の一部周面を覆う前記ガイド13が設けられている。ガイド13の存在範囲は、搬送溝6の回転方向下流から、検査位置の直ぐ上流までとする。
【0014】
カメラ3は、回転する円筒状検査物の周面を連続的に撮影し、画面8に画像表示するものであり、この画像を電子的に処理することにより、円筒状検査物周面の傷を検査することができる。
第2のドラム12には、検査済みの円筒状検査物を挿入する凹部12aが形成されている。前記凹部12aに挿入された円筒状検査物は、シャッタ5の開閉に応じて、円筒状検査物を異なる位置に回収する。シャッタ5は、円筒状検査物の検査結果の合否に基づいて駆動される。
【0015】
以下、円筒状検査物の周面検査装置1の動作を説明する。図2から図6は、円筒状検査物の周面検査装置1の要部断面図である。
第1のドラム11と第2のドラム12とは、図示しないモータにより、同一方向、同一周速で回転駆動される。
プッシユロッド7により押し出された円筒状検査物は、第1のドラム11の凹部11aに挿入される(図2)。
【0016】
凹部11aに挿入された円筒状検査物は、ガイド13との摩擦で自転しながら、第1のドラム11の矢印A方向の回転により検査位置まで運ばれる(図3)。検査位置に近づくと、ガイド13がなくなり、円筒状検査物は、ガイド13から凹部11aの形状に沿って遠心力のためリリースされる(図4)。このとき、凹部11aの回転方向Aの上流側11bが、ハッチングで示したように、大きな曲率半径で滑らかに開いた形状となっているので、円筒状検査物は矢印C方向に自転しながら、リリースされる。
【0017】
さらに第1のドラム11の回転により、円筒状検査物は凹部11aから離れていき、第2のドラム12に接触する(図5)。第2のドラム12は、矢印B方向に回転しているので、円筒状検査物が第2のドラム12に接触しても、円筒状検査物の矢印C方向の自転はとぎれることなく続けられる。したがって、円筒状検査物の周面が、第1のドラム11や第2のドラム12に擦られることはないので、円筒状検査物に傷が付くのを防ぐことができる。
【0018】
凹部11aから離れた円筒状検査物は、矢印C方向に自転しながら、検査位置で停止する(図6)。この間に、周面の検査が行われ、短時間で合否の判定がなされる。なお、円筒状検査物を検査位置で安定して停止させるために、空気を吹き付けるエアノズル(図示せず)を用いて円筒状検査物をドラムの方に押し付けてもよい。
第2のドラム12の回転により、空の凹部12aが停止中の円筒状検査物に近づいていく(図3)。停止した円筒状検査物が凹部12aに挿入されると、円筒状検査物は、ガイドに沿って自転を続けながら回収部4に回収される。このとき、円筒状検査物の検査結果の合否に応じて異なる位置に回収されることは、前述したとおりである。
【0019】
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではない。例えば、図7に示すように、第1のドラム11の周面を一部残して、凹部11aを形成し、この残した周面を、円筒状検査物2を支持する壁面11cとして利用することも可能である。
その他、プッシュロッド7に代えて空気を吹き付けるノズルを設置するなど、本発明の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
【0020】
【発明の効果】
以上のように本発明の円筒状検査物の周面検査装置によれば、円筒状検査物を正しい姿勢のまま、検査位置まで送ることができる。したがって、検査を確実に行うことができ、検査歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】円筒状検査物の周面検査装置1の全体斜視図である。
【図2】円筒状検査物の周面検査装置1の動作を説明するための要部断面図である。
【図3】円筒状検査物の周面検査装置1の動作を説明するための要部断面図である。
【図4】円筒状検査物の周面検査装置1の動作を説明するための要部断面図である。
【図5】円筒状検査物の周面検査装置1の動作を説明するための要部断面図である。
【図6】円筒状検査物の周面検査装置1の動作を説明するための要部断面図である。
【図7】第1のドラム11の他の形状を示す斜視図である。
【図8】従来の円筒状検査物の周面検査装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 円筒状検査物の周面検査装置
2 円筒状検査物
3 カメラ
4 回収部
5 シャッタ
6 搬送溝
7 プッシユロッド
11 第1のドラム11
11a 凹部
11b 回転方向の上流側
12 第2のドラム
12a 凹部
13 ガイド
Claims (5)
- 円筒状検査物を回転させながら、その周面を検査する装置であって、
一定方向に回転する第1のドラムと、
第1のドラムの回転軸と平行な回転軸を有し、第1のドラムと同一方向に回転する第2のドラムと、
第1のドラムの円周の一部に形成され、円筒状検査物を挿入して、第1のドラムと第2のドラムとの間の検査位置に運ぶ第1の凹部と、
前記第1の凹部に挿入された円筒状検査物が飛び出さないように、第1のドラムの周方向下面を覆うガイドとを備え、
前記第1のドラムの回転方向は、前記検査位置において、前記第1のドラムの円周面が下から上に移動する方向であることを特徴とする円筒状検査物の周面検査装置。 - 前記第1の凹部の断面形状は、円筒状検査物をスムーズに検査位置に運ぶことができるように、回転方向上流側に滑らかに開いた形状となっていることを特徴とする請求項1記載の円筒状検査物の周面検査装置。
- 第2のドラムの円周の一部に、検査の終了した円筒状検査物を挿入する第2の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の円筒状検査物の周面検査装置。
- 円筒状検査物を第1のドラムに搬送する搬送手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の円筒状検査物の周面検査装置。
- 第2の凹部に挿入された円筒状検査物を、検査の合否に応じて選別して回収する手段がさらに設けられていることを特徴とする請求項1記載の円筒状検査物の周面検査装置。
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