JP3745036B2 - エレベーターの昇降路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地震の揺れを建物本体に直接伝えないようにした免震構造の建物に設けられたエレベーターの昇降路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、免震構造の建物として、図4に示すようなものがあり、建物本体101と基礎102との間には積層ゴム103が介装され、地震の揺れを直接建物本体101に伝えないようにしている。建物本体101に設けられたエレベーターの昇降路104は、基礎102からは離れた構造となっている。
【0003】
図5に示すように、昇降路104の底面104aは基礎102から少し浮いた二重構造となっており、この底面104aには釣り合い重り用バッファ105やかご用バッファ(図示せず)が設けられている。この釣り合い重り用バッファ105やかご用バッファは、地震時にロープが切れて釣り合い重りやかごが落下した際に、底面104aに加わる衝撃を緩衝するようにしたものである。なお、かご側には安全のために制動装置が設けられているために、かごが底面104aに落下することは少ないが、釣り合い重りにはそのようなものは設けられていないために底面104aに落下することとなる。
【0004】
ところで、釣り合い重りが底面104aに落下する場合には、図6に示すようにこの底面104aと基礎102とが二重構造となっているために、バッファ105とともに底面104aおよび側壁104bも破壊されることとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、昇降路104を再び使用可能にするには、一度破壊された底面104aとともにこの側壁104bを修理しなければならず、修理工事はかなり大変であり、工事の時間がかなりかかる。その結果、修理工事の長い期間中はエレベーターが使えず、建物の早期復旧・使用を目指した免震構造においては、とても不便であるという問題点があった。
【0006】
本発明は、免震構造の建物に設けられたエレベーターにおいて、かごや釣り合い重り等が落下して昇降路の底面や側壁が破壊されても、すぐに使用可能となるようにしたエレベーターの昇降路を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明にあっては、かごおよび釣り合い重りが落下したときの衝撃をそれぞれ緩衝するかご用バッファおよび釣り合い重り用バッファと、昇降路に設けられるかご用ガイドレールおよび釣り合い重り用ガイドレールと、昇降路の側壁に外れやすいように取り付けられて建物の基礎の上に別体として位置し、前記かご用バッファ,釣り合い重り用バッファ,かご用ガイドレールおよび釣り合い重り用ガイドレールが立設された支持部材と、この支持部材と建物の基礎の間に介装された滑性板とを備え、かごまたは釣り合い重りが落下したときには、前記支持部材が昇降路の側壁から外れるようにした構成としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。図1ないし図3は本発明に係るエレベーターの昇降路の一実施例を示す図である。
【0009】
図1および図2において、符号1は建物に設けられたエレベーターの昇降路であり、この昇降路1は建物の基礎2とは別体となっている。昇降路1には、かご(図示せず)や釣り合い重り(図示せず)が配設され、このかごと釣り合い重りとはロープによって連結され、巻上機(図示せず)によって上下移動させられる。
【0010】
昇降路1の底面側には、2本のH型鋼3,4(支持部材)が基礎2の上に横にした状態で載置されている。また、H型鋼3,4の両端が位置する昇降路1の側壁1aには、それぞれ断面略L字型の固定片5,6および7,8がアンカーボルト9によって固定されている。固定片5,6および7,8にはH型鋼3,4の両端が点溶接3a,4aされている。このため、H型鋼3,4は大きな荷重が加われば固定片5,6および7,8(すなわち、側壁1a)から外れやすくなっている。
【0011】
昇降路1の略中央に位置するH型鋼3には、この中央に落下するかごを緩衝するかご用バッファ10が固定され、両端にかごの上下移動を案内するかご用ガイドレール11,12が立設されている。また、昇降路1の図2中上端側に位置するH型鋼4には、この中央に落下する釣り合い重りを緩衝する釣り合い重り用バッファ13が固定され、この両端に釣り合い重りの上下移動を案内する釣り合い重り用ガイドレール14,15が立設されている。
【0012】
H型鋼3,4と基礎2との間には、テフロンプレート16,17,18(滑性板)が介装されている。テフロンプレート16,17,18は鋼板の表面にテフロン(デュボン社の商品名,フッ素樹脂であってテトラフルオルエチレンとヘキサフルオルプロピレンの共重合物)の加工が施されている。テフロンプレート16の方はかご用バッファ10や釣り合い重り用バッファ13を覆う程の大きさがあり、このテフロン加工が施された表面はH型鋼3,4の方を向き、裏面は基礎2に接している。このテフロンプレート16の四隅は、アンカーボルト19(他にはクリップ等でもよい)によって基礎2に固定されている。
【0013】
テフロンプレート17,18はそれぞれがかご用バッファ10,釣り合い重り用バッファ13の下に位置し、このテフロン加工が施された表面はテフロンプレート16の表面を向いている。このため、テフロンプレート16の表面とテフロンプレート17,18の表面とは向き合った状態で接触している。
【0014】
H型鋼3および4は、それぞれかご用バッファ10,かご用ガイドレール11,12および釣り合い重り用バッファ13,釣り合い重り用ガイドレール14,15を支持しながら基礎2に載置されているが、このH型鋼3および4はテフロンプレート16,17,18を介しているために基礎2に相対移動可能に支持されていることになる。
【0015】
ところで、H型鋼3および4は、固定片8,6および7,8を介して昇降路1の側壁1aに取り付けられているが、この固定片5,6および7,8とH型鋼3および4とは点溶接3a,4aされているだけであるので、この側壁1aにはあまり支持されておらず、単にこれに位置決めされているだけである。
【0016】
昇降路1の底面の役割を果しているH型鋼3,4は、基礎2に対してテフロンプレート16,17,18を介して相対移動可能となっているために、地震時に基礎2から直接揺れを受けることはない。ここで、地震時にロープが切れてかごと釣り合い重りが落下したとすると、かごの方には制動装置が設けられているので、この制動装置が働いてこのかごは大体途中で制止させられる。
【0017】
しかし、釣り合い重りにはそのような制動装置はないので、昇降路1の底面に向けて落下することとなる。このとき、図3に示すようにH型鋼3,4の上には、釣り合い重り用バッファ13が設けられているので、このバッファ13によって釣り合い重りを受け止めて衝撃を緩衝することとなる。H型鋼4は固定片7,8にスポット溶接4aされているだけなので、釣り合い重りの落下の際の大きな衝撃をバッファ13とともに受けると、この固定片7,8からすぐに外れてしまうことになる。このため、釣り合い重りの落下の際に壊れるのは、H型鋼4とバッファ13のみであり、昇降路1の側壁1aには何ら影響を及ぼさない。その結果、H型鋼4とバッファ13とを他の新しいものと取り替えれば、エレベーターはすぐに使用可能となる。
【0018】
なお、本発明は新しく建設する免震構造の建物だけでなく、既の建物を免震構造にするときにも適用することができる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、かごまたは釣り合い重りが落下したときには、支持部材が昇降路の側壁から外れるようにしたので、前記落下の際に破壊された支持部材とかご用バッファまたは釣り合い重り用バッファを他の新しいものと取り替えれば、エレベーターはすぐに使用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエレベーターの昇降路の一実施例を示す縦断面図。
【図2】本発明に係るエレベーターの昇降路の一実施例を示す横断面図。
【図3】この昇降路の分解断面図。
【図4】免震構造の建物に設けられた従来の昇降路の断面図。
【図5】図4中A矢視部分拡大断面図。
【図6】バッファに大きな荷重がかかった断面図。
【符号の説明】
1…昇降路、1a…側壁、2…基礎、3,4…H型鋼、10…かご用バッファ、11,12…かご用ガイドレール、13…釣り合い重り用バッファ、14,15…釣り合い重り用ガイドレール、16,17,18…テフロンプレート。

Claims (1)

  1. かごおよび釣り合い重りが落下したときの衝撃をそれぞれ緩衝するかご用バッファおよび釣り合い重り用バッファと、昇降路に設けられるかご用ガイドレールおよび釣り合い重り用ガイドレールと、昇降路の側壁に外れやすいように取り付けられて建物の基礎の上に別体として位置し、前記かご用バッファ,釣り合い重り用バッファ,かご用ガイドレールおよび釣り合い重り用ガイドレールが立設された支持部材と、この支持部材と建物の基礎の間に介装された滑性板とを備え、かごまたは釣り合い重りが落下したときには、前記支持部材が昇降路の側壁から外れるようにしたことを特徴とするエレベーターの昇降路。
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