JP3744605B2 - 一缶二水路給湯器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、給湯熱交換器と追い焚き熱交換器とが上下に重ね合わせた状態で配設されてる一缶二水路給湯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6には、一般的な一缶二水路給湯器の構成が模式図によって示されている。同図において、給湯器には、給湯燃焼と風呂の追い焚き燃焼を行う共通のバーナ1が設けられており、このバーナ1にはガス管14から燃料ガスが供給され、バーナ1の下部側に設けられた図示されていない燃焼ファンから燃焼用の空気が供給されるようになっている。バーナ1の上部側にはバーナ1の燃焼によって加熱される給湯熱交換器3と追い焚き熱交換器2とが上下に重ね合わせた状態で配設されており、給湯熱交換器3と追い焚き熱交換器2には共通のフィン12が設けられている。
【0003】
給湯熱交換器3の入口側には給水管8が接続されており、出口側には給湯管9が接続され、この給湯管9は台所等の所望の給湯場所に導かれており、その出口側には給湯栓7が設けられている。また、同図には図示されていないが、給湯熱交換器3の入口側には入水温度センサが、給湯熱交換器3の出口側には出湯温度センサがそれぞれ設けられている。
【0004】
前記追い焚き熱交換器2には、その入口側と出口側とにそれぞれ戻り管11、往管10が接続されており、これらの戻り管11および往管10は共に、浴槽4の側壁等に接続されている。戻り管11、追い焚き熱交換器2、往管10を有して、浴槽湯水を追い焚き循環させる追い焚き循環管路が形成されている。なお、戻り管11には、この追い焚き循環管路を介して浴槽湯水を循環させる循環ポンプ5が設けられており、また、一般に、戻り管11には通水の温度を検出するサーミスタ等の風呂温度センサが設けられている。
【0005】
この種の給湯器には、制御装置6が設けられており、制御装置6にはリモコンが接続され、リモコンによって給湯設定温度や風呂温度の設定が行われるようになっている。そして、給湯管9に設けられている給湯栓7が開かれると、給水管8からの給水が給湯熱交換器3内に通され、前記出湯温度センサ(図示せず)によって検出される出湯検出温度がリモコン等によって設定される給湯設定温度となるように、制御装置6による制御にしたがってバーナ1の燃焼が行われ、給湯熱交換器3が加熱される。また、風呂の追い焚き燃焼時には、前記風呂温度センサ(図示せず)によって検出される風呂検出温度がリモコン等によって設定される風呂設定温度となるように、制御装置6の制御に従ってバーナ1の燃焼が行われ、追い焚き熱交換器2が加熱される。
【0006】
ところで、この種の一缶二水路給湯器においては、前記の如く、給湯燃焼と風呂の追い焚き燃焼とが共に共通のバーナ1によって行われ、かつ、このバーナ1の燃焼によって加熱される給湯熱交換器3と追い焚き熱交換器2とが上下に重ね合わせた状態で配設されているために、給湯が行われずに風呂の追い焚き燃焼のみが行われているときにも、バーナ1による風呂の追い焚き燃焼によって給湯熱交換器3内の湯水も加熱されてその湯水温度が上昇し、この追い焚き燃焼が連続して行われると、給湯熱交換器3内の湯が沸騰することがある。そして、このとき、給湯管9に設けられている給湯栓7が開けられて給湯が行われると、給湯熱交換器3内の沸騰した湯が給湯されることになり、非常に危険である。
【0007】
そこで、この種の一缶二水路給湯器において、給湯熱交換器3内の湯温を検出する給湯熱交換器湯温センサ19を、例えば図6のE,Fの位置等に設け、給湯燃焼が行われずに風呂の追い焚き燃焼のみが行われる、いわゆる風呂単独の追い焚き燃焼時に、この給湯熱交換器湯温センサ19によって検出される給湯熱交換器検出湯温に基づいて、給湯熱交換器3側の湯水が沸騰する前にバーナ1の燃焼を停止し、給湯熱交換器3側に湯水の温度がある程度低下したときに再びバーナ1の燃焼を行うといった動作を繰り返し行う方法が提案されている。
【0008】
この従来のバーナオン・オフ制御方法は、具体的には以下の動作によって行うものである。すなわち、図7に示すように、風呂単独の追い焚き燃焼時にバーナ1をオンさせる基準となるバーナオン基準温度(例えば85℃)と、このバーナオン基準温度よりも高い温度であって、風呂単独の追い焚き燃焼時にバーナ1の燃焼運転をオフさせる基準となるバーナオフ基準温度(例えば90℃)とを制御装置6に与え、給湯熱交換器湯温センサによって検出される給湯熱交換器検出湯温がバーナオン基準湯温に達したときにはバーナ1の燃焼運転をオンし、前記給湯熱交換器検出湯温がバーナオフ基準温度に達したときにはバーナ1の燃焼運転をオフし、この動作を繰り返し行うようにしていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、制御装置6からバーナ1の燃焼運転オン信号が出力されてから実際にバーナ1の燃焼運転が開始されるまでの間には、点着火等の遅れがあり、図7に示すように、バーナ1の燃焼運転がオンされた後も給湯熱交換器3内の湯温がしばらくの間低下するといったいわゆる後冷えが生じるために、従来のバーナオンオフ制御方法のように、給湯熱交換器3内の湯温がバーナオフ基準温度よりも低いバーナオン基準温度となったときにバーナ1の燃焼運転オン信号が出力されると、この後冷えにより給湯熱交換器3内の湯温が大きく低下し、後冷えの時間も長くなってしまった。
【0010】
そのため、この従来のバーナオンオフ制御方法を用いると、給湯熱交換器3と重ね合わせた状態で共通のフィン12に設けられている追い焚き熱交換器2内の湯水の加熱に悪影響を及ぼすことになり、風呂の追い焚きの加熱効率が低下し、追い焚きにかかる時間も長くなってしまうといった問題があった。
【0011】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、一缶二水路給湯器において、風呂単独の燃焼時に給湯熱交換器内の湯水の沸騰を防止できると共に、風呂の追い焚き燃焼も短時間で効率良く行うことができる一缶二水路給湯器を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成により課題を解決するための手段としている。すなわち、本第1の発明は、給湯燃焼と風呂の追い焚き燃焼を行う共通のバーナを有し、該バーナによって加熱される給湯熱交換器と追い焚き熱交換器とが上下に重ね合わせた状態で配設されている一缶二水路給湯器において、前記給湯熱交換器内の湯温を検出する給湯熱交換器湯温センサと;前記バーナによる風呂単独の追い焚き燃焼時に該給湯熱交換器湯温センサによって検出される給湯熱交換器検出湯温と、予め与えられるバーナオン基準温度および該バーナオン基準温度よりも低いバーナオフ基準温度と、前記給湯熱交換器検出湯温がバーナオン基準温度に低下した時を起点として予め与えられるバーナオフ禁止時間および前記給湯熱交換器検出湯温がバーナオフ基準温度に上昇した時を起点として予め与えられるバーナオン禁止時間を含むバーナオンオフ制御情報とに基づいて風呂単独の追い焚き燃焼時の前記バーナの燃焼運転オンオフ制御を行うバーナオンオフ制御部と;を有し、該バーナオンオフ制御部は前記給湯熱交換器検出湯温が前記バーナオン基準温度に低下したときには前記バーナの燃焼運転をオンして前記バーナオフ禁止時間経過するまではバーナの燃焼運転オフ動作を禁止し、前記給湯熱交換器検出湯温が前記バーナオフ基準温度に上昇したときには前記バーナの燃焼運転をオフして前記バーナオン禁止時間経過するまではバーナの燃焼運転オン動作を禁止する構成としたことを特徴として構成されている。
【0013】
また、本第2の発明は、給湯燃焼と風呂の追い焚き燃焼を行う共通のバーナを有し、該バーナによって加熱される給湯熱交換器と追い焚き熱交換器とが上下に重ね合わせた状態で配設されている一缶二水路給湯器において、前記給湯熱交換器内の湯温を検出する給湯熱交換器湯温センサと;前記バーナによる風呂単独の追い焚き燃焼時に該給湯熱交換器湯温センサによって検出される給湯熱交換器検出湯温情報を取り込んで該給湯熱交換器検出湯温の単位時間当りの変化率を検出する給湯熱交換器湯温変化率検出部と;該給湯熱交換器湯温変化率検出部によって検出される変化率が負の値であって前記給湯熱交換器検出湯温が予め与えられるバーナオン基準温度に低下したときに前記バーナの燃焼運転をオンし、給湯熱交換器湯温変化率検出部によって検出される変化率が正の値であって前記給湯熱交換器検出湯温が予め与えられる前記バーナオン基準温度よりも低いバーナオフ基準温度に上昇したときに前記バーナの燃焼運転をオフするバーナオンオフ制御部と;を有することを特徴として構成されている。
【0014】
さらに、前記バーナには風呂の追い焚き燃焼時のバーナオフ動作時にバーナ燃焼を引き続き行う常時燃焼局部領域が設けられ、バーナオフ制御部によるバーナ燃焼オフ制御時に該常時燃焼局部領域のみの燃焼を行う構成としたことも本第1、第2の発明の特徴的な構成とされている。
【0015】
上記構成の本発明において、風呂単独の追い焚き燃焼時にバーナの燃焼運転をオフする基準となるバーナオフ基準温度は、バーナの燃焼運転をオンする基準となるバーナオン基準温度よりも低い温度に設定されており、給湯熱交換器検出湯温(給湯熱交換器内の湯温の検出温度)がバーナオン基準温度に低下したときには、風呂単独の追い焚き燃焼時のバーナ燃焼運転がオンされ、給湯熱交換器検出湯温がバーナオフ基準温度に上昇したときには、風呂単独の追い焚き燃焼時のバーナ燃焼運転がオフされる。
【0016】
なお、このバーナ燃焼のオンオフ制御に際し、上記構成の本第1の発明においては、給湯熱交換器検出湯温がバーナオン基準温度に低下したときを起点として与えられるバーナオフ禁止時間が経過するまではバーナの燃焼運転オフ動作を禁止し、給湯熱交換器検出湯温がバーナオフ基準温度に上昇したときを起点として与えられるバーナオン禁止時間が経過するまではバーナの燃焼運転オン動作は禁止される。
【0017】
一方、上記構成の本第2の発明においては、前記バーナ燃焼のオンオフ制御に際し、給湯熱交換器検出湯温の単位時間当りの変化率が負の値のときのみバーナの燃焼運転がオンされ、前記変化率が正の値であるときのみ前記バーナの燃焼運転オフ制御が行われる。
【0018】
以上のように、本発明においては、風呂単独の追い焚き燃焼時のバーナの燃焼運転オン制御は、給湯熱交換器検出湯温がバーナオフ基準温度よりも高いバーナオン基準温度に低下したときに行われるために、このバーナの燃焼運転がオンされてから実際にバーナの燃焼運転が行われるまでの遅れ時間に給湯熱交換器内の湯温が低下する後冷えが生じても、従来のようにバーナオン基準温度をバーナオフ基準温度よりも低く設定した場合に比べて湯温の低下は小さくなり、この湯温低下後に湯温が上昇するまでの時間も短くなる。そのため、バーナの燃焼運転がオンされてから実際にバーナの燃焼運転が開始されるまでの後冷えの影響で風呂の追い焚き燃焼効率が低下する問題は解消され、風呂の追い焚き燃焼の効率化および追い焚き時間の短縮化が図られる。
【0019】
また、給湯熱交換器内の湯温は、バーナの燃焼運転がオフされた後も多少上昇するが、本発明においては、バーナオフ基準温度がバーナオン基準温度よりも低い温度に設定されているために、この上昇によって給湯熱交換器側の湯温が沸騰する虞れは全くなくなり、風呂単独の追い焚き燃焼時における給湯熱交換器内湯温の沸騰抑制もより効果的に行われる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略する。本実施形態例の一缶二水路給湯器のシステム構成は、図6に示した従来の一缶二水路給湯器と同様に構成されており、本実施形態例では、給湯熱交換器3内の湯温を検出する給湯熱交換器湯温センサ19が、図6のE,Fにそれぞれ設けられている。本実施形態例と従来例が異なる特徴的なことは、本実施形態例には風呂単独の追い焚き燃焼時に給湯熱交換器内の湯の沸騰を抑制するための特有な回路を設けたことである。
【0021】
図1には本発明に係る一缶二水路給湯器の第1実施形態例に特有な上記沸騰抑制回路の構成が示されており、この回路は、バーナオンオフ制御部20、メモリ部21、燃焼制御部22を有して構成されている。また、本実施形態例では、図6の給湯熱交換器3のE部に給湯熱交換器湯温センサ19(TZ1)が、F部に給湯熱交換器湯温センサ19(TZ2)がそれぞれ設けられている。
【0022】
メモリ部21には、バーナオンオフ制御部20によるバーナオンオフ制御情報として、風呂単独の追い焚き燃焼時のバーナの燃焼運転をオンする基準となるバーナオン基準温度および、風呂単独の追い焚き燃焼時のバーナ1の燃焼運転オフの基準となるバーナオフ基準温度とが予め与えられており、このバーナオフ基準温度はバーナオン基準温度よりも低く設定されている。また、メモリ部21には、前記バーナオンオフ制御情報として、給湯熱交換器湯温センサ19によって検出される給湯熱交換器検出湯温がバーナオン基準温度に低下したときを起点として予め与えられるバーナオフ禁止時間および、前記給湯熱交換器検出湯温がバーナオフ基準温度に上昇したときを起点として予め与えられるバーナオン禁止時間も与えられている。
【0023】
バーナオンオフ制御部20は、メモリ部21に与えられているこれらのバーナオンオフ制御情報と、給湯熱交換器湯温センサ19(TZ1,TZ2)によって検出される給湯熱交換器検出湯温とに基づいて、風呂単独の追い焚き燃焼時のバーナ1の燃焼運転オンオフ制御を行うものである。
【0024】
すなわち、バーナオンオフ制御部20は風呂単独の追い焚き燃焼が行われたときに、給湯熱交換器検出湯温を監視し、例えば図2に示すように、給湯熱交換器検出湯温がバーナオフ基準温度に上昇したとき(同図のA)には、バーナオフ信号を燃焼制御部22に加えてバーナ1の燃焼運転をオフし、その後、バーナオン禁止時間(同図のt1)が経過するまでのバーナ1の燃焼運転オン動作を禁止する。そして、給湯熱交換器検出湯温がバーナオン基準温度に低下したとき(同図のB)には、バーナオン信号を燃焼制御部22に加えてバーナ1の燃焼運転をオンし、その後、バーナオフ禁止時間t2が経過するまではバーナ1の燃焼運転オフ動作を禁止する。
【0025】
また、バーナオンオフ制御部20は、本実施形態例では、リモコンに設けられている風呂温度設定部18の検出水温を取り込み、風呂温度センサによって検出される浴槽水温を取り込み、風呂設定水温と浴槽水温との差が予め与えられた温度(例えば0.5 ℃)以上のときには風呂の追い焚き燃焼をオンさせ、前記温度差が予め与えられた温度未満のときには追い焚きを完了させる。
【0026】
燃焼制御部22は、このようなバーナオンオフ制御部20のバーナオンオフ制御動作に従い、風呂単独の追い焚き燃焼時にはバーナ1の燃焼運転開始および燃焼運転停止を行い、それ以外のときには、従来例と同様に、予め与えられたシーケンスプログラムに従ってバーナ1の燃焼運転制御を行う。
【0027】
なお、本実施形態例では、バーナ1には、風呂単独の追い焚き燃焼時のバーナオフ動作時に、バーナ燃焼を引き続き行う常時燃焼局部領域が設けられており、前記バーナオンオフ制御部20によるバーナ燃焼オフ制御時には、この常時燃焼局部領域のみの燃焼が行われる構成と成している。
【0028】
本実施形態例は以上のように構成されており、次に、本実施形態例の動作について説明する。本実施形態でも、従来例と同様に、バーナ1の燃焼によって給湯燃焼と風呂の追い焚き燃焼とが行われるが、本実施形態例では、風呂単独の追い焚き燃焼時には、図3に示すフローチャートに従ってバーナオンオフ制御部20によるバーナ1のオンオフ制御動作が行われる。
【0029】
すなわち、同図のステップ101 で、風呂単独の追い焚きがスタートされると、ステップ102 で、循環ポンプ5がオンされ、このとき、リモコンによる風呂設定水温と、前記風呂温度検出センサによって検出される浴槽水温の差(=C)の検出が行われる。そして、ステップ103 で、この温度差Cが0.5 ℃以上か否かの判断が行われ、C≧0.5 ℃のときにはステップ105 に進み、C<0.5 ℃のときにはステップ104 に進み、ステップ104 では、循環ポンプ5をオフして追い焚き完了となる。
【0030】
一方、ステップ105 に進んだときは、追い焚き燃焼がオンされ、バーナ1の燃焼運転が開始される。そして、ステップ106 で、バーナオンオフ制御部20により、給湯熱交換器湯温センサ19(TZ1,TZ2)の検出温度の取り込みが行われ、これらの温度がバーナオフ基準温度(例えば85℃)に上昇したか否かの判断、すなわち、TZ1≧85℃、または、TZ2≧85℃か否かの判断が行われる。そして、TZ1≧85℃、または、TZ2≧85℃となり、給湯熱交換器検出湯温がバーナオフ基準温度に上昇したときには、ステップ107 で、バーナオンオフ制御部20からバーナオフ信号が燃焼制御部22に加えられ、バーナ1の燃焼が停止されて追い焚き燃焼が停止される。なお、このとき、循環ポンプ5はオンのままとする。
【0031】
そして、給湯熱交換器検出湯温がバーナオフ基準温度に上昇したときを起点とし、ステップ108 で、バーナオフ禁止時間として設定される設定時間t1が経過したか否かの判断が行われ、この設定時間t1が経過したときにはステップ109 に進む。
【0032】
ステップ109 では、バーナオンオフ制御部20により、給湯熱交換器湯温センサ19(TZ1,TZ2)の検出温度がバーナオン基準温度(例えば90℃)に低下したか否かの判断、すなわち、TZ1≦90℃、かつ、TZ2≦90℃か否かの判断が行われる。そして、TZ1≦90℃、かつ、TZ2≦90℃となり、給湯熱交換器検出湯温がバーナオン基準温度に低下したときには、ステップ110 で、バーナオンオフ制御部20からバーナオン信号が燃焼制御部22に加えられ、バーナ1の燃焼運転が開始されて追い焚き燃焼がオンされる。
【0033】
そして、この給湯熱交換器検出湯温がバーナオン基準温度に低下したときを基準として、ステップ111 で、バーナオフ禁止時間として設定されている設定時間t2が経過したか否かの判断が行われ、この設定時間t2が経過したときにはステップ106 に戻り、ステップ106 〜ステップ111 までの動作が繰り返し行われる。なお、このステップ106 〜ステップ111 までの動作が行われている間も、前記ステップ102 での風呂設定水温と浴槽水温との差の検出は引き続き行われ、この温度差Cが0.5 ℃未満となったときには風呂の追い焚き燃焼は完了する。
【0034】
本実施形態例によれば、バーナオフ基準温度をバーナオン基準温度よりも高く設定した従来の方法とは逆に、上記のように、バーナオフ基準温度をバーナオン基準温度よりも低く設定したために、給湯熱交換器3内の湯温がバーナオン基準温度に低下してバーナオン信号が出力されてから実際にバーナ1の燃焼運転が開始されるまでの間に点着火等の遅れによる後冷えが生じても、例えば図4の特性線aに示すように、給湯熱交換器3内の湯温が従来の方法により制御を行ったとき(図4の特性線c)のように大きく低下することはなく、また、この低下以降に再び給湯熱交換器3内の湯温が上昇するまでの時間も短くすることができる。
【0035】
そのため、給湯熱交換器3内の湯温の後冷えの影響によって、風呂の追い焚き燃焼に悪影響が及んで追い焚き燃焼効率が低下するといった従来の問題を解消することが可能となり、同図の特性線bに示すように、浴槽湯温の上昇割合が従来例(同図の特性線d)に比べて大きくなり、短時間で効率的に風呂単独の追い焚き燃焼を行える優れた給湯器とすることができる。
【0036】
また、給湯熱交換器3内の湯温は、バーナ1の燃焼が停止された以降も少しの間上昇し、その後低下するが、本実施形態例によれば、前記の如く、バーナオフ基準温度をバーナオン基準温度よりも低い温度に設定しているために、従来例のように、バーナオフ基準温度をバーナオン基準温度よりも高く設定する場合に比べて、バーナ1の燃焼停止以降に給湯熱交換器3内の湯温が大きく上昇することをより一層確実に防ぐことが可能となり、風呂単独の追い焚き燃焼時に給湯熱交換器3内の湯が沸騰することをより一層確実に抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態例によれば、上記風呂単独の追い焚き燃焼時のバーナオンオフ制御動作に際し、給湯熱交換器検出湯温がバーナオン基準温度に低下したときを起点としてバーナオフ禁止時間を予め与え、給湯熱交換器検出湯温がバーナオフ基準温度に上昇したときを起点としてバーナオン禁止時間を予め与えており、バーナオフ禁止時間が経過するまではバーナ1の燃焼運転オフ動作を禁止し、バーナオン禁止時間が経過するまではバーナ1の燃焼運転オン動作を禁止する構成としたために、バーナ1の燃焼運転オン動作およびオフ動作がハンチングすることを抑制し、給湯熱交換器3内の湯の沸騰抑制と効率的な風呂の追い焚き燃焼とを行うための前記バーナオンオフ制御動作を非常にスムーズに行うことができる。
【0038】
さらに、本実施形態例によれば、バーナ1に、風呂単独の追い焚き燃焼時のバーナオフ動作時にバーナ燃焼を引き続き行う常時燃焼局部領域を設け、バーナオンオフ制御部20によるバーナ燃焼オフ制御時にこの常時燃焼局部領域のみの燃焼を行う構成としたために、バーナ燃焼オン制御時にはこの常時燃焼局部領域の燃焼を利用してバーナ燃焼開始を行うことができるために、バーナオン信号が出力されてからバーナ1の燃焼運転が開始されるまでの遅れ時間を短くすることが可能となり、風呂の追い焚き燃焼をより一層効率的に行うことができる。
【0039】
次に、本発明に係る一缶二水路給湯器の第2実施形態例について説明する。図5には、本実施形態例の特有な給湯熱交換器内湯水沸騰抑制の回路構成が示されており、同図において、上記第1実施形態例と同一名称部分には同一符号が付してある。本実施形態例の特有な回路は、バーナオンオフ制御部20、湯温変化率検出部23、燃焼制御部22、メモリ部21を有して構成されている。なお、本実施形態例のシステム構成およびバーナ1の構成は、上記第1実施形態例と同様であるので、その説明は省略する。
【0040】
湯温変化率検出部23は、給湯熱交換器湯温センサ19(TZ1,TZ2)によって検出される給湯熱交換器検出湯温情報を取り込んで、給湯熱交換器検出湯温の単位時間当りの変化率を検出する給湯熱交換器湯温変化率検出部として機能するものであり、湯温変化率検出部23はこの検出した単位時間当りの変化率をバーナオンオフ制御部20に加える。
【0041】
メモリ部21には、本実施形態例では、風呂単独の追い焚き燃焼時のバーナオンオフ制御情報として、上記第1実施形態例と同様の、バーナオン基準温度と、バーナオン基準温度よりも低いバーナオフ基準温度とが与えられている。
【0042】
バーナオンオフ制御部20は、湯温変化率検出部23によって検出される変化率に基づき、この変化率が負の値であって、給湯熱交換器湯温センサ19によって検出される給湯熱交換器検出湯温が、メモリ部21に与えられているバーナオン基準温度に低下したときにはバーナオン信号を燃焼制御部22に加え、バーナ1の燃焼運転をオンする。また、バーナオンオフ制御部20は、湯温変化率検出部23によって検出される変化率が正の値であって、前記給湯熱交換器検出湯温がメモリ部21に与えられているバーナオフ基準温度に上昇したときにバーナオフ信号を燃焼制御部22に加え、バーナ1の燃焼運転をオフする構成と成している。
【0043】
本実施形態例は以上のように構成されており、本実施形態例では、湯温変化率検出部23によって給湯熱交換器検出湯温の単位時間当りの変化率が検出され、バーナオンオフ制御部20は、この変化率と、メモリ部21に与えられているバーナオン基準温度およびバーナオフ基準温度に基づいて、前記変化率が負の値であって給湯熱交換器検出湯温がバーナオン基準温度に低下したときにバーナ1の燃焼運転オン制御動作を行い、前記変化率が正の値であって給湯熱交換器検出湯温がバーナオフ基準温度に上昇したときにバーナ1の燃焼運転オフ制御動作を行う。そのため、例えば、図2の点Cに示すように、給湯熱交換器検出湯温がバーナオン基準温度に達しても、このときの給湯熱交換器検出湯温の変化率が正の値であるときにはバーナ1の燃焼運転はオンされず、また、同図の点Dに示すように、給湯熱交換器検出湯温がバーナオフ基準温度に達しても、このときの給湯熱交換器検出湯温の変化率が負の値であるときにはバーナ1の燃焼運転オフ制御動作は行われない。
【0044】
したがって、本実施形態例によれば、風呂単独の追い焚き燃焼時のバーナ制御情報として、バーナオン禁止時間およびバーナオフ禁止時間を与えた上記第1実施形態例と同様のバーナオンオフ制御動作が行われることになり、上記第1実施形態例と同様の効果を奏することができる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、上記実施形態例では、バーナオン基準温度として90℃を与え、バーナオフ基準温度として85℃を与えたが、これらの基準温度の値は特に限定されるものではなく、適宜設定されるものであり、バーナオフ基準温度をバーナオン基準温度よりも低い温度に設定すればよい。
【0046】
また、上記実施形態例では、給湯熱交換器湯温センサ19として、図6のE,FにそれぞれセンサTZ1,TZ2を設けたが、給湯熱交換器湯温センサ19の配設数や配設場所は適宜設定されるものであり、例えば同図のG部にも給湯熱交換器湯温センサ19を設けてもよい。また、給湯熱交換器湯温センサ19はこれらE,F,G部以外の場所に設けてもよいし、その個数も1個でもよいし、複数でもよい。
【0047】
さらに、上記実施形態例では、バーナ1に、風呂単独の追い焚き燃焼時のバーナオフ動作時にバーナ燃焼を引き続き行う常時燃焼局部領域を設け、バーナオンオフ制御部20によるバーナ燃焼オフ制御時に、この常時燃焼局部領域のみの燃焼を行う構成としたが、バーナ1に常時燃焼局部領域を設けない構成とすることもできる。ただし、バーナ1に常時燃焼局部領域を設けて、バーナオンオフ制御部20によるバーナ燃焼オフ制御時に常時燃焼局部領域のみの燃焼を行う構成とすると、バーナオン信号が出力されてからバーナ1の燃焼運転が開始されるまでの遅れ時間を短くすることが可能となるために、バーナ1に常時燃焼局部領域を設けて上記制御を行うことが好ましい。
【0048】
さらに、本発明の一缶二水路給湯器のシステム構成は特に限定されるものではなく、適宜設定されるものである。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、風呂単独の追い焚き燃焼時のバーナオン制御の基準となるバーナオン基準温度を、バーナオフ制御の基準となるバーナオフ基準温度よりも高く設定し、給湯熱交換器内の湯温がバーナオン基準温度に低下したときにバーナの燃焼運転をオンするようにしたものであるから、バーナの燃焼運転オン制御が行われてから実際にバーナの燃焼運転が開始されるまでの遅れによって給湯熱交換器内の湯温の後冷えが生じても、従来のようにバーナオン基準温度をバーナオフ基準温度よりも低い温度に設定した場合に比べて、後冷えにより給湯熱交換器内の湯温が大きく低下することを抑制することができるし、後冷えの時間も短くすることができる。そのため、この後冷えによる給湯熱交換器内湯温の低下によって風呂の追い焚き燃焼効率を低下させてしまうといった従来の問題を解消し、風呂の追い焚き燃焼を効率良く短時間で行える優れた一缶二水路給湯器とすることができる。
【0050】
また、給湯熱交換器内の湯温がバーナオフ基準温度に上昇してバーナの燃焼運転がオフされた以降も給湯熱交換器内の湯温の上昇は生じるが、本発明においては、前記の如く、バーナオフ基準温度をバーナオン基準温度よりも低い温度に設定しているために、バーナオフ基準温度をバーナオン基準温度よりも高い温度に設定している従来の方法に比べ、給湯熱交換器内湯温が高くなることはなく、風呂単独の追い焚き燃焼時に給湯熱交換器内の湯温が沸騰することをより一層確実に抑制することができる。
【0051】
さらに、本第1の発明によれば、上記風呂単独の追い焚き燃焼時のバーナの燃焼運転オンオフ制御に際し、給湯熱交換器検出湯温がバーナオン基準温度に低下したときを起点としたバーナオフ禁止時間と、前記給湯熱交換器検出湯温がバーナオフ基準温度に上昇したときを起点としたバーナオン禁止時間を与え、バーナオフ禁止時間が経過するまではバーナの燃焼運転オフ動作を禁止し、バーナオン禁止時間が経過するまではバーナの燃焼運転オン動作を禁止する構成としたために、バーナの燃焼運転オンオフ動作のハンチングを抑制することが可能となり、上記給湯熱交換器内湯温の沸騰抑制および風呂の効率的な燃焼を行うためのバーナの燃焼運転オンオフ制御をスムーズに行うことができる。
【0052】
また、本第2の発明においては、給湯熱交換器検出湯温の単位時間当りの変化率を検出し、この変化率が負の値であり、かつ、給湯熱交換器検出湯温がバーナオン基準温度に低下したときにのみバーナの燃焼運転をオンし、前記変化率が正の値であり、かつ、給湯熱交換器検出湯温がバーナオフ基準温度に上昇したときにのみバーナの燃焼運転をオフするために、上記本第1の発明と同様に、バーナの燃焼運転のハンチングを抑制し、給湯熱交換器内湯温の沸騰抑制および効率的な風呂の追い焚き燃焼動作を行うためのバーナの燃焼運転オンオフ制御をスムーズに行うことができる。
【0053】
さらに、前記バーナには風呂の追い焚き燃焼時のバーナオフ動作時にバーナ燃焼を引き続き行う常時燃焼局部領域を設け、バーナオンオフ制御部によるバーナ燃焼オフ制御時に該常時燃焼局部領域のみの燃焼を行う構成とした本発明によれば、バーナオンオフ制御部によるバーナ燃焼オンオフ制御に際し、バーナオン制御が行われてから実際にバーナの燃焼運転が開始されるまでの遅れ時間を短くすることが可能となり、風呂単独の追い焚き燃焼をより一層効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一缶二水路給湯器の第1実施形態例の制御部要部構成を示すブロック図である。
【図2】上記実施形態例の一缶二水路給湯器に与えられるバーナオンオフ制御情報を示す説明図である。
【図3】上記実施形態例における風呂単独燃焼時のバーナオンオフ制御動作を示すフローチャートである。
【図4】上記実施形態例の一缶二水路給湯器によって風呂単独の追い焚き燃焼時にバーナ燃焼のオンオフ制御が行われたときの給湯熱交換器内検出湯温特性(特性線a)と風呂温度特性(特性線b)を、従来の制御方法により制御を行ったときの給湯熱交換器内湯温特性(特性線c)および風呂温度特性(特性線d)と共に示すグラフである。
【図5】本発明に係る一缶二水路給湯器の第2実施形態例の制御部要部構成を示すブロック図である。
【図6】一缶二水路給湯器のシステム構成を示す模式図である。
【図7】従来の一缶二水路給湯器における風呂単独の追い焚き燃焼時の給湯熱交換器内湯温沸騰抑制防止方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 バーナ
2 追い焚き熱交換器
3 給湯熱交換器
19 給湯熱交換器湯温センサ
20 バーナオンオフ制御部
21 メモリ部
23 湯温変化率検出部
Claims (3)
- 給湯燃焼と風呂の追い焚き燃焼を行う共通のバーナを有し、該バーナによって加熱される給湯熱交換器と追い焚き熱交換器とが上下に重ね合わせた状態で配設されている一缶二水路給湯器において、前記給湯熱交換器内の湯温を検出する給湯熱交換器湯温センサと;前記バーナによる風呂単独の追い焚き燃焼時に該給湯熱交換器湯温センサによって検出される給湯熱交換器検出湯温と、予め与えられるバーナオン基準温度および該バーナオン基準温度よりも低いバーナオフ基準温度と、前記給湯熱交換器検出湯温がバーナオン基準温度に低下した時を起点として予め与えられるバーナオフ禁止時間および前記給湯熱交換器検出湯温がバーナオフ基準温度に上昇した時を起点として予め与えられるバーナオン禁止時間を含むバーナオンオフ制御情報とに基づいて風呂単独の追い焚き燃焼時の前記バーナの燃焼運転オンオフ制御を行うバーナオンオフ制御部と;を有し、該バーナオンオフ制御部は前記給湯熱交換器検出湯温が前記バーナオン基準温度に低下したときには前記バーナの燃焼運転をオンして前記バーナオフ禁止時間経過するまではバーナの燃焼運転オフ動作を禁止し、前記給湯熱交換器検出湯温が前記バーナオフ基準温度に上昇したときには前記バーナの燃焼運転をオフして前記バーナオン禁止時間経過するまではバーナの燃焼運転オン動作を禁止する構成としたことを特徴とする一缶二水路給湯器。
- 給湯燃焼と風呂の追い焚き燃焼を行う共通のバーナを有し、該バーナによって加熱される給湯熱交換器と追い焚き熱交換器とが上下に重ね合わせた状態で配設されている一缶二水路給湯器において、前記給湯熱交換器内の湯温を検出する給湯熱交換器湯温センサと;前記バーナによる風呂単独の追い焚き燃焼時に該給湯熱交換器湯温センサによって検出される給湯熱交換器検出湯温情報を取り込んで該給湯熱交換器検出湯温の単位時間当りの変化率を検出する給湯熱交換器湯温変化率検出部と;該給湯熱交換器湯温変化率検出部によって検出される変化率が負の値であって前記給湯熱交換器検出湯温が予め与えられるバーナオン基準温度に低下したときに前記バーナの燃焼運転をオンし、給湯熱交換器湯温変化率検出部によって検出される変化率が正の値であって前記給湯熱交換器検出湯温が予め与えられる前記バーナオン基準温度よりも低いバーナオフ基準温度に上昇したときに前記バーナの燃焼運転をオフするバーナオンオフ制御部と;を有することを特徴とする一缶二水路給湯器。
- バーナには風呂の追い焚き燃焼時のバーナオフ動作時にバーナ燃焼を引き続き行う常時燃焼局部領域が設けられ、バーナオフ制御部によるバーナ燃焼オフ制御時に該常時燃焼局部領域のみの燃焼を行う構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の一缶二水路給湯器。
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