JP3743866B2 - 電子撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮影レンズを有するカメラ部とファインダーおよびモニター兼用の液晶などの表示装置を有する本体部とからなる電子撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子撮像装置の一つとして、撮影レンズおよびCCD(Charge Coupled Device:固体撮像素子)を備え、さらに、画像記録時におけるビューファインダーおよび画像再生時におけるモニター兼用の液晶表示装置(Liquid Crystal Display、以下、LCDモニターと呼ぶ)を備えたLCD付デジタルスチルカメラが知られている。
【0003】
そして、このLCD付デジタルスチルカメラは、CCDからの信号をビデオ信号に変換するCCDカラープロセス処理が実行され、LCDモニターにビューファインダとしてビデオ画面をモニターするためのビデオスルー表示とともに、フラッシュメモリなどを用いた記憶部への画像記録を可能にしている。なお、ここで、CCDで撮像した画像をLCDモニターにビューファインダモニタすることを「ビデオスルー表示」という。
【0004】
ところで、このようなLCD付デジタルスチルカメラでは、撮像した画像を見たい場合は、ファインダを兼ねたLCDモニターに再生するようになるが、さらに大きな画面で見たいような場合は、例えば、家庭用の大画面テレビなどを接続して再生することが考えられている。
【0005】
また、最近になってLCD付デジタルスチルカメラで撮像した画像データをパーソナルコンピュータに転送して画像修正や編集を行ったり、あるいは画像データをフロッピーディスクドライブ(以下、FDDと称する。)装置に転送して大量の画像データを記憶するようなことも考えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、これまでのものは、家庭用の大画面テレビなどを接続するアナログ出力手段を始めとして、パーソナルコンピュータやFDD装置などを接続するためのデジタル出力手段を有するものは存在しているものの、これらパーソナルコンピュータやFDD装置からの画像データを取り込む手段を有するものは存在しておらず、これら外部装置からのデータについては、有効に利用しきれていないのが現状であった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、外部電子計算機や外部記憶装置などからの画像データを取り込んで表示することを可能にした電子撮像装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決すべく請求項1記載の発明は、撮像手段と、この撮像手段により撮像した画像を表示するLCDからなる画像表示手段を一体的に備えた電子撮像装置において、該電子撮像装置本体内に、上記撮像手段で撮像した画像データを取り込む画像処理手段と、取り込まれた画像データを圧縮伸張する圧縮伸張手段と、取り込まれた画像データまたは圧縮された画像データを記憶するメモリと、取り込まれた画像データまたは上記メモリに記憶された画像データを上記画像表示手段に表示させる表示制御手段と、システム全体を制御する制御手段と、画像データをデジタル入出力するためのデジタル入出力手段と、画像データをアナログ出力するためのアナログ出力手段とを内蔵し、上記デジタル入出力手段は上記制御手段と協動して、画像データを、修正や編集を行うためにパーソナルコンピュータに送り、また、修正や編集された画像データを前記パーソナルコンピュータから受け取って前記メモリに記憶させ、上記表示制御手段は上記制御手段と協動して、上記パーソナルコンピュータから送られてきた画像データを上記表示手段に表示させる制御と、前記撮像手段から取り込まれた画像についてビデオスルー表示を行う際に画像の間引きを行って高速で表示させる制御と、上記メモリに記憶された画像データを表示する際及び上記パーソナルコンピュータから受け取った画像を表示する際に高画質で表示させる制御とを行うとともに、前記ビデオスルー表示を行う際に画像の間引きを行って高速で表示させる制御は、所定画素数単位で実行する色信号のフィルタ処理を更に含むことを特徴とする電子撮像装置を提供するものである。
【0009】
この結果、請求項1記載の発明によれば、電子撮像装置本体よりアナログ出力手段を通して外部表示機器に対し画像データを転送することができ、さらに、電子撮像装置本体よりデジタル入出力手段を通して外部電子計算機または外部記憶装置に対し画像データを転送できるとともに、これら外部電子計算機または外部記憶装置からの画像データを電子撮像装置本体に取り込んで表示できることから、これら外部装置からの画像データを積極的に利用した電子撮像装置に、新たな使用方法を実現できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る電子撮像装置の実施の形態を図面に従い説明する。
先ず、図1は本発明を適用した電子撮像装置の一例としてのLCD付デジタルスチルカメラを示している。
【0011】
図示のように、電子カメラ装置であるLCD付デジタルスチルカメラ1は、本体部2とカメラ部3とに分割された2つのブロックから構成したものである。
即ち、本体部2のケース4内には、LCD6が設けられており、このLCD6は、ケース4の後面側に向けられている。
【0012】
また、カメラ部3のケース5内の上部には、撮影レンズ7が設けられており、この撮影レンズ7は、ケース5の前面側に向けられている。
そして、本体部2は、ケース4の上面に、電源スイッチ8、シャッターボタン9、デリートキー10、プラスキー11、マイナスキー12、モードキー13、ディスプレーキー14、ズームキー15、セルフタイマーキー16を備えるとともに、開閉蓋17内に、図示しない外部電源端子、ビデオ出力端子、デジタル入出力端子を備えている。
【0013】
さらに、ケース4の前面に、ファンクション切替キー18を備え、また、ケース4の下面には、三脚用穴(図示せず)を備えている。
以上の本体部2のケース4は、撮影者による右手操作側が手で握りやすいよう膨出形状としたグリップ形状部によるグリップ部20となっていて、このグリップ部20に対応する下面に開閉式の電池蓋(図示せず)が設けられている。また、このグリップ部20の上面に前記シャッターボタン9が位置している。
【0014】
そして、このカメラ部3は、本体部2に対して撮影者による左手操作側の側面に配置されて、図2に示すように、本体部2に対して前方に90°、後方に180°回動可能に組み付けられている。
【0015】
図3は、このように構成したLCD付デジタルスチルカメラの回路構成を示すもので、映像信号を電気信号に変換するCCD40、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器52、CCD40を駆動する駆動回路54を制御するタイミング信号を発生するタイミングジェネレータ53、デジタル画像信号を符号化/復号化により圧縮/伸長処理する圧縮/伸長回路55、取り込んだデジタル画像信号を一時記録するDRAM56、圧縮された画像信号を格納するフラッシュメモリ57、ROM58に記録されたプログラムに基づいて動作するとともに、RAM59をワークRAMとして使用しキー入力部60からの入力に基づいて動作するCPU61、デジタル画像信号に同期信号を付加してデジタルビデオ信号を生成するシグナル・ジェネレータ62、デジタルビデオ信号を記録するVRAM63、シグナル・ジェネレータ62から出力されたデジタルビデオ信号をアナログ信号に変換するD/A変換器64、アンプ65を介して入力されたアナログビデオ信号に基づいて液晶を駆動して映像を表示するLCD6、CPU61でシリアル信号に変換された画像信号などを入出力するインターフェース67からなっている。
【0016】
このインターフェース67は、図示しないケーブルを介してコンピュータのRS232C端子などに接続される。
図4は、LCD付デジタルスチルカメラ1のインターフェース67にパーソナルコンピュータ80を接続した場合を示すもので、カメラ1のインターフェース67からシリアル信号に変換したデジタル化された画像データがパーソナルコンピュータ80側に送られ、このパーソナルコンピュータ80にて受信した画像データを予め用意されたソフトウェアを用いて修正や編集を行い、また、逆にパーソナルコンピュータ8で修正や編集した画像データをインターフェース67よりカメラ1に送って、フラッシュ・メモリ57に記憶したりLCD6に表示するようにしている。
【0017】
この時のカメラ1とパーソナルコンピュータ80間での画像データの転送は、カメラ1の圧縮/伸長回路55で圧縮された画像データがコンピュータ80に送られ、パーソナルコンピュータ80で、カメラ1からの圧縮画像データを受け取ると、ソフトウェアを用いて伸長するとともに、修正や編集を行い、これら画像データを圧縮しないそのままで記憶したり、カメラ1側に返送する。この場合は、カメラ1側では、パーソナルコンピュータ80からの非圧縮画像データを圧縮/伸長回路55で圧縮してフラッシュ・メモリ57に記憶する。また、カメラ1から圧縮画像データが送られると、この圧縮画像データをそのまま記憶して、その後、カメラ1に返送するようにもしている。この場合、カメラ1側では、パーソナルコンピュータ80からの圧縮画像データを圧縮/伸長回路55で伸長してLCD6に表示するようにできる。
【0018】
また、図5は、LCD付デジタルスチルカメラ1のインターフェース67にFDD装置90を接続した場合を示すもので、カメラ1のインターフェース67からシリアル信号に変換したデジタル化された画像データがFDD装置90に送られ、これら画像データは纏めて記憶され、また、逆にFDD装置90に記憶された画像データがインターフェース67よりカメラ1に送って、フラッシュ・メモリ57に記憶したりLCD6に表示するようにしている。
【0019】
この時のカメラ1とFDD装置90間での画像データの転送は、カメラ1の圧縮/伸長回路55で圧縮された画像データがFDD装置90に送られると、これら圧縮画像データは、FDD装置90に纏めて記憶する。また、逆にFDD装置90に記憶された圧縮画像データをインターフェース67よりカメラ1側に送り圧縮/伸長回路55で伸長してLCD6に表示できるようになる。
【0020】
従って、このようにすれば、撮像した画像を見たい場合は、ファインダを兼ねたLCD6に表示するようになるが、さらに大きな画面で見たいような場合は、カメラ1のVIDEO OUTのアナログ画像出力を、家庭用の大画面テレビなどに送ることにより、表示することができる。
【0021】
また、インターフェース67にパーソナルコンピュータ80やFDD装置90を接続することにより、カメラ1のインターフェース67からシリアル信号に変換された画像データをパーソナルコンピュータ80に転送し、ここでデータを修正や編集して、新たな画像を生成するようなことができ、逆にパーソナルコンピュータ80で修正や編集した画像データをカメラ1側に戻してLCD6に表示するようなことができる。また、インターフェース67からシリアル信号に変換された画像データをFDD装置90に転送して、これらを大量に纏めて記憶することができ、また、FDD装置90からの画像データをカメラ1側に送り、LCD6に表示するようなこともできる。これにより、これらパーソナルコンピュータ80やFDD装置90から送られてくる画像データを積極的に利用することで、LCD付デジタルスチルカメラに、新たな使用方法を実現することができる。
【0022】
次に、このようにしたLCD付デジタルスチールカメラでは、所定周期でタイミングジェネレータ53からタイミング信号を出力して駆動回路54を制御し、CCD40より結像した被写体像の対応する撮像信号を取り込み、A/D変換器52でアナログ信号をデジタル信号に変換してデジタル画像信号としてDRAM56に一時記憶する。この場合、DRAM56に記憶されたCCD40からの撮像信号は、CCD40のカラーフィルタを通ってきたもので、例えばYe、Cy、Grといった色成分を持っている。
【0023】
そして、CPU61によりDRAM56に記憶された撮像信号に基づいて、図6に示すフローチャートを実行し、高速モードの画像処理によるモニターのビデオスルー表示用の画像信号および高画質モードの画像処理による画像記録のための画像信号を生成する。
【0024】
まず、ステップ201で、情報量を落とした輝度信号生成処理を実行する。この場合、輝度信号の生成は、DRAM56より読み出された信号のYe、Cy、Gr成分の内、例えばYe成分のみを用いて生成するものとし、図7に示すように、ステップ301で、DRAM56に記憶されている撮像信号の一部を選択し、ステップ302に進んで、選択された信号にプリフィルタをかける。具体的には、図9に示すようにシリアルに送られるYe(n−1)、Cy(n−1)、G(n−1)、Ye(n)、Cy(n)、G(n)、…を該当信号Ye(n)と該当信号の両側のYe、すなわちYe(n−1)、Ye(n)、Ye(n+1)からの合計3画素のYeデータにそれぞれ1倍、2倍、1倍の重み付けをして、LPFからなるプリフィルタをかける。
【0025】
そして、ステップ303で、γ補正(輝度とLCDの特性がリニアでないため、予め輝度とLCDの特性と逆の補正を行っておき、LCDに表示するときにリニアになるようにする。)をかけて輝度信号を生成する。
【0026】
そして、図6に戻って、ステップ202に進み、情報量を落とした輝度信号に対応した色信号生成処理を実行する。この場合、色信号の生成は、図8に示すように、ステップ402で、DRAM56から読み出されたYe、Cy、G成分の信号を該当信号とこの該当信号両側からの連続した合計5画素のデータを生成してプリフィルタをかける。具体的には、図9に示すようにシリアルに送られるYe(n−1)、Cy(n−1)、G(n−1)、Ye(n)、Cy(n)、G(n)、…を該当信号Ye(n)と該当信号の両側の4つのデータ、すなわちCy(n−1)、G(n−1)、Ye(n)、Cy(n)、G(n)からの合計5画素のデータにそれぞれ1倍、2倍、3倍、2倍、1倍の重み付けをして、プリフィルタをかける。
【0027】
そして、ここでプリフィルタをかけたYe、Cy、Gr成分の信号について、ステップ403で、ホワイトバランス(色フィルタのバラツキによる色信号のバラツキを補正するものであり、白色が白色になるように補正する。)をかけ、ステップ404で色演算を行いR−Y、B−Yという色信号を生成する。
【0028】
次に、図6に戻って、ステップ203に進み、ステップ201、202で生成した輝度信号と色信号がシグナル・ジェネレータに転送され、ビデオ信号に変換され、LCD6にモニターのビデオスルー表示が行われる。
【0029】
次に、図6において、ステップ204に進み、キー入力部60の記録キー(シャッタボタン)が押下されたか判断する。ここで、記録キーが押下されていない場合は、ステップ201に戻って、上述した動作が繰り返される。
【0030】
これにより、LCD6のビデオスルー表示が継続されるが、この時のビデオスルー表示は、DRAM56より読み出された画像信号を合成し処理すべき画素数を少なくするとともに、処理手順も少なくしているので、高速なビデオスルー表示が可能になり、これにより、モニター画面の動きをスムーズにするため、例えば1秒間に数コマ以上のモニタ画面をリフレッシュすることが実現できるようになる。
【0031】
次に、図6に示すステップ204で、キー入力部60の記録キーが押下されたと判断した場合は、ステップ205に進み、高画質の輝度信号生成処理を実行する。この場合、輝度信号の生成は、DRAM56から読み出された信号について、まず、図10に示すように、ステップ501で、該当信号と該当信号両側からの合計7画素の連続したデータを生成してプリフィルタをかけ、ステップ502で、γ補正をかけ、ステップ503でモアレバランスをとる。このモアレバランスによって色フィルタのバラツキによる輝度信号のバラツキが補正される。
【0032】
そして、ステップ504で、LPFをかけることにより高域成分のノイズを低減したのち、ステップ505で、エンハンサ処理を施し輝度信号を生成する。この場合のエンハンサ処理は、LPFをかけることで高域成分が鈍り解像度が低下するため、エッジ部を強調して解像度を上げるためである。
【0033】
そして、図6に戻って、ステップ206に進み、高画質の輝度信号に対応する色信号生成処理を実行する。この場合、色信号の生成は、図11に示すように、ステップ601で、DRAM56より読み出されたYe、Cy、Gr成分の信号について、該当信号とこの該当信号両側からの連続した合計11画素のデータに対してプリフィルタをかける。そして、ここでプリフィルタをかけたYe、Cy、G成分の信号について、ステップ602で、ホワイトバランスをかけ、ステップ603で色演算を行いR−Y、B−Yという色信号を生成する。
【0034】
次に、図6に戻って、ステップ207に進み、ステップ205、206で生成した輝度信号と色信号が圧縮/伸長回路55に転送され、この圧縮/伸長回路55で輝度信号と色信号を符号化することにより圧縮し、この圧縮画像信号(輝度信号および色信号)をフラッシュメモリ57に転送して記録する。
【0035】
そして、再び、ステップ201に戻って、上述した動作が繰り返される。
これにより、フラッシュメモリ57での画像記録は、画素のまびきを行うことなく、微細な信号処理を施しているので、高画質の画像を記録できることになる。
【0036】
一方、画像信号の再生時は、キー入力部60で再生キーを操作すると、フラッシュメモリ57より所定の圧縮画像信号(圧縮輝度信号と色信号)を読み出し、圧縮/伸長回路55に転送する。そして、これら輝度信号と色信号を伸長し、シグナル・ジェネレータ62で同期信号を付加してデジタルビデオ信号を生成し、D/A変換器64、アンプ65を介してLCD6に表示することになる。
【0037】
このようにすれば、CPU61によりDRAM56に記憶された撮像信号に基づいて、高速モードの画像処理によるLCD6へのビデオスルー表示用の画像信号と高画質モードの画像処理による画像記録のための画像信号をそれぞれ生成し、LCD6へのビデオスルー表示の場合は、高速モードの画像処理によりDRAM56に記憶されている撮像信号の画素をまびいて処理すべき画素数を少なくして輝度信号と色信号を画像信号として生成し、また、フラッシュメモリ57に画像記録を行う場合には、高画質モードの画像処理によりDRAM56から読み出された撮像信号の画素のまびきを行うことなく、微細な信号処理により輝度信号と色信号を生成することにより、LCD6へのビデオスルー表示は、高速なビデオスルー表示が可能となり、モニター画面の動きをスムーズにするため、例えば1秒間に数コマ以上もモニタ画面をリフレッシュすることができ、しかも、フラッシュメモリへの画像記録は、微細な信号処理を施していることから、高画質の画像を記録再生することができる。また、これらビデオスルー表示のためのカラープロセスと記録画像信号作成のためのカラープロセスの2種類のカラープロセスを採用することで、これらの処理を時間的に制約の大きいソフトウェアによっても実現することも可能になり、これによって装置の大幅な小型化と低コスト化を実現することができる。なお、この実施の形態は、画像データを静止画として説明したが、動画でもよく、また音声データも含んでもよい。
【0038】
図12は、このようなソフトウェアによるカラープロセス処理をさらに具体的に説明するための図である。
図において、71はCCDで、このCCD71は、例えば、1/5 インチ27万画素フレームトランスファ型CCDからなっていて、フィルタとしてYe(イエロー)Cy(シアン)G(グリーン)のストライプフィルタを用いている。
【0039】
ここで、フレームトランスファ型CCDを採用するのは、かかるCCDは、露光部と蓄積部が分かれているため、データを読み出す際に外光の影響を受けにくいからである。
【0040】
CCD71には、コアIC72を接続している。このコアIC72は、アナログ処理部721、アンプ722、A/D コンバータ723、CCD駆動信号発生器724を有するもので、CCD71からの信号を、アナログ処理部721でCDS(相関2重サンプリング)した後、アンプ722を介してA/D コンバータ723にて8bit でA/D 変換し、デジタル出力するものである。
【0041】
そして、このコアIC72には、データバス73を接続し、このデータバス73にCPU74、DRAM75、圧縮/伸長回路76およびデータエンコーダ77を接続し、このデータエンコーダ77にVRAM78を介してLCD79を接続している。
【0042】
CPU74は、MPU741の他にDMAC742、DRAMコントローラ743、バスコントローラ744を有し、コアIC72からのデジタルデータの転送は、DMAコントローラ743によりDRAM75に書き込むようにしている。また、CPU74は、図示しない外部機器が接続されるデジタルシリアル入出力端子を有している。
【0043】
圧縮/伸長回路76は、データバス73より与えられるデジタル画像データを符号化/復号化により圧縮/伸長処理を行うものである。そして、圧縮/伸長回路76で伸長された画像データは、データエンコーダ77を通してデジタルビデオ信号としてビデオ出力端子より出力可能になるとともに、VRAM78に記録され、LCD79に表示されるようにしている。
【0044】
一方、CCD71は、3クロックで1データ出力するので、DRAM75に書き込む際には、DMAC742を3ステートに設定している。また、CCD71は1ライン分のデータを連続して読み出さないとS/N 比が劣化する。1ライン分を読み出すのは約120μs かかるので、DRAM75のリフレッシュをCASビフォアRASリフレッシュに設定する場合、この時間が問題となるが、読み出す前に何回かまとめてリフレッシュ行うことで解決した。
【0045】
このようにして、CCD71で露光したデータをDRAM75上にYe,Cy,Gの順に展開するようにしている。
しかして、このような構成において、ソフトウェアによりカラープロセスを行うようになるが、この場合、記録画像信号作成用のカラープロセスの他に、ビデオスルー表示用の高速なカラープロセスの2種類のカラープロセスを採用している。
【0046】
まず、ビデオスルー表示用のカラープロセスモードでは、画像の出力先として、それほど解像力を必要としないLCDを採用し、演算に用いる画素数を極力減らすことでDRAM75にアクセスする回数及び演算回数を少なくし、できるだけ速く画像データを生成するようにしている。
【0047】
図13は、ビデオスルー表示用のYプロセス(輝度信号生成プロセス)のフローチャートを示している。この場合、ステップ1601で、CCD71の出力データYe、Cy、Grのうち、もっとも感度の良いYeのみを輝度原信号とし、ステップ1602で、ガンマ処理をかけたものをそのまま輝度信号とするようにしている。
【0048】
つまり、ここでは、CCD71の水平有効画素数を480とすると、このうち160画素に処理を行い、また、垂直方向に関しては、CCDデータの有効ライン数240ラインのうち112ラインにのみ処理を行う。すなわちこの処理によるデータ数は160×112となる。このYプロセスでは、高速化を念頭に置いているのでローパスフィルタやエッジ強調といった特殊処理は行わない。
【0049】
図14は、ビデオスルー表示用のCプロセス(色信号生成プロセス)のフローチャートを示している。まず、ステップ1701で、ローパスフィルタによる処理を行う。この場合、CCD71の出力データのうち、あるYeとその前後2画素(Cy(-1),Gr(-1),Ye (0),Cy(1),Gr(1))の合計5画素に対して1、2、3、2、1の係数を割り当てて、次のような色信号計算用のデータYec、Cyc、Grcを作る。
【0050】
Yec=(3×Ye(0))/3
Cyc=(Cy(−1)+2×Cy(1))/3
Grc=(2×Gr(−1)+Gr(1))/3
このローパスフィルタは処理時間を抑えつつクロマノイズ及びエッジノイズを抑える必要最低限のものであると考える。次に、ステップ1702で、クロマ演算を実行する。ここでのクロマデータRーY・BーYは、Yec、Cyc、Grcに対し、次の演算を施して生成する。
【0051】
RーY=KY1×Yec+KC1×Cyc+KG1×Grc・・・(1)
BーY=KY2×Yec+KC2×Cyc+KG2×Grc・・・(2)
なお、係数KY1,KC1,KG1,KY2,KC2,KG2,については、AWB(オートホワイトバランス)のところで述べる。
【0052】
そして、このデータに対しステップ1703で、高輝度Gr除去及びエッジ偽色除去の処理を行い最終的な色差信号を得るようになる。この処理は水平80画素、垂直56画素のYe及びその前後2画素に対して行う。つまりビデオスルーモード(ビューファインダーモード)におけるクロマのデータ数は80×56である。
【0053】
次に、記録画像信号作成用のカラープロセスモードでは、PC(パーソナルコンピュータ)転送用及びビデオ出力用の高精細画像データを生成する。
図15は、記録画像信号作成用Yプロセス(輝度信号生成プロセス)のフローチャートを示している。この場合、輝度信号を生成する際に問題となるのは、CCDのカラーフィルタYe、Cy、Grの感度差である。CCDのデータをそのままでプロセスすると、画像が暗く見えたり被写体が縞に見えたりする。この現象を抑えるため本システムでは以下の様な方法を用いている。
【0054】
先ず、ステップ1801で、輝度信号の計算に用いるCCDのデータYe、Cy、Grのうち、Cy・Grをそれぞれ1.2 倍、1.5 倍してCy´・Gr´を作り(モアレバランス)、次に、ステップ1802で、そのデータに水平7タップのローパスフィルタ(係数−1、0、4、6、4、0、−1)をかけて、画素間の感度差を吸収する。
【0055】
そして、最終的な輝度信号は、ステップ1803、ステップ1804で、上述の処理によりできたデータにガンマ処理・エッジ強調処理を施して生成する。以上の処理は、CCD有効画素480×240全てに対し行うので輝度信号のデータ数は480×240となる。
【0056】
図16は、記録画像信号作成用Cプロセス(色信号生成プロセス)のフローチャートを示している。まず、ステップ1901で、ローパスフィルタによる処理を行う。この場合、CCDの出力データのうち、あるYeとその前後5画素(Cy(-2),Gr(-2),Ye(-1),Cy(-1),Gr(-1),Ye(0),Cy(1),Gr(1),Ye(2),Cy(2),Gr(2)) の合計11画素に対して1、2、3、4、5、6、5、4、3、2、1の係数を割り当てて、ビデオスルーモードと同じように色信号計算用のデータYec、Cyc、Grcを作る。
【0057】
Yec=(3×Ye(-1)+6×Ye(0)+3×Ye(1))/12
Cyc=(Cy(-2)+4×Cy(-1)+5×Cy(1)+2×Cy(1))/12
Grc=(2×Gr(-2)+5×Gr(-1)+4×Gr(1)+Gr(2))/12
このデータに、ステップ1902で、式(1)(2)と同様の計算を施した後、ステップ1903で、高輝度Gr除去・エッジ偽色除去の処理を行い色差信号を得る。
【0058】
この処理は水平160画素、垂直120画素のYe及びその前後5画素に対して行う。つまり最終的なクロマのデータ数は160×120となる。
ところで、上述のCプロセス(色信号生成プロセス)で触れたAWB(オートホワイトバランス)について説明すると、ホワイトバランスがとれている状態は、色の3原色R,G,Bの間に次の関係が成り立っている。
【0059】
R=G=B・・・・・・・(3)
本装置で扱われる画素データはYe、Cy、Grの3色であり、R,G,Bはそれぞれ
R=rky×Ye+rkc×Cy+rkg×Gr・・・(4)
B=bky×Ye+bkc×Cy+bkg×Gr・・・(5)
G=gky×Ye+gkc×Cy+gkg×Gr・・・(6)
と表すことができる。
【0060】
ここでrky・・gkgはそれぞれ独立した係数、Ye、Cy、Grは時間毎に変化する互いに独立した変数であるとすると、(3)が成り立つようにするにはR、G、Bそれぞれに係数をかける必要がある。そのR、G、Bに対する係数をそれぞれRAMP、GAMP、BAMPとし、その係数によりホワイトバランスが取れている状態のR,G,BをRw、Gw、Bwとすると、(4)(5)(6)式は次のように表すことができる。
【0061】
Rw=(rky×Ye+rkc×Cy+rkg×Gr)×RAMP・・(7)
Bw=(bky×Ye+bkc×Cy+bkg×Gr)×BAMP・・(8)
Gw=(gky×Ye+gkc×Cy+gkg×Gr)×GAMP・・(9)
そして、この状態における色差信号R−Y、B−Yを(R−Y)(w)、(B−Y)(w)とすると、
(R−Y)(w)=Ir×(Rw−Gw)+Jb×(Bw−Gw)・・(10)
(B−Y)(w)=Ib×(Bw−Gw)+Jr×(Rw−Gw)・・(11)
となり、条件より
(R−Y)(w)=0、(B−Y)(w)=0
すなわち、
Ir×(Rw−Gw)+Jb×(Bw−Gw)=0・・・(12)
Ib×(Rw−Gw)+Jr×(Rw−Gw)=0・・・(13)
となる。ここで、(R−Y)(w)、(B−Y)(w)をYe、Cy、Grの関数とすると、
(R−Y)(w)=KY1×Ye+KC1×Cy+KG1×Gr・・(14)
(B−Y)(w)=KY2×Ye+KC2×Cy+KG2×Gr・・(15)
と表すと、(7)(8)(9)(12)(13)(14)(15)式より、
KY1=Ir×rky×RAMP+Jb×bky×BAMP−(Ir+Jb)×gky×GAMP
KC1=Ir×rkc×RAMP+Jb×bkc×BAMP−(Ir+Jb)×gkc×GAMP
KG1=Ir×rkg×RAMP+Jb×bkg×BAMP−(Ir+Jb)×gkg×GAMP
KY2=Ib×bky×BAMP+Jr×rky×RAMP−(Ib+Jr)×gky×GAMP
KC2=Ib×bkc×BAMP+Jr×rkc×BAMP−(Ib+Jr)×gkc×GAMP
KG2=Ib×bkg×BAMP+Jr×rkg×BAMP−(Ib+Jr)×gkg×GAMP
となって、
GAMP=”定数”
RAMP=Gw×GAMP/Rw
BAMP=Gw×GAMP/Bw
となる。
【0062】
これにより、Cプロセスで色差信号を計算するときは、式(1)(2)の計算だけで済むので演算回数を減らすことができ計算時間の短縮が図れる。
ところで、このようなAWBを実現しようとするとき、上記のようなホワイトバランスの計算を時間軸方向の相関無しに行うと、極端に言えばファインダーモード1画面毎に同一被写体の色が変わってしまうというような現象が起こる。ホワイトバランスの計算には画面全体のYe、Cy、Grの積分値INTEG-Ye,INTEG-Cy,INTEG-Grを使うものとすると、例えば白い背景の中に赤い物体がある被写体(A)と白い背景の中に青い物体がある被写体(B)があり、カメラを(A)から(B)に急に振ったとき、画面全体の情報が変化するために実際は同じ色であるはずの背景の白が青→赤のように変化してしまう。そこで、このような現象を防ぐために、本システムではn画面目のWBの計算にINTEG-Ye,INTEG-Cy,INTEG-Grを使わずに
INTEG-Yen=(Σ INTEG-Ye(k))/16
INTEG-Cyn=(Σ INTEG-Cy(k))/16
INTEG-Grn=(Σ INTEG-Gr(k))/16
を用いるようにしている。
【0063】
すなわち、WBの演算に前15画面分のYe、Cy、Grのデータも用いることで見た目の色が大きく変わることを防いでいる。
従って、このようにすれば、ビデオスルー表示のためのカラープロセスと記録画像信号作成のためのカラープロセスの2種類のカラープロセスを採用することで、これらの処理を時間的に制約の大きいソフトウェアによって実現することが可能になって、装置の大幅な小型化と低コスト化を実現でき、また、これらのカラープロセスの実行により高速なビデオスルー表示とともに、高画質の画像の記録再生を実現することもできる。
【0064】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、電子撮像装置本体よりアナログ出力手段を通して外部表示機器に対し画像データを転送することができ、さらに、電子撮像装置本体よりデジタル入出力手段を通して外部電子計算機または外部記憶装置に対し画像データを転送できるとともに、これら外部電子計算機または外部記憶装置からの画像データを電子撮像装置本体に取り込んで表示できるので、これら外部装置からの画像データを積極的に利用した電子撮像装置に、新たな使用方法を実現できる。また、それほど解像力を必要としないLCDを採用し、演算に用いる画素数を極力減らすことで速く画像データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した電子撮像装置の一例としてのLCD付デジタルスチルカメラを示す斜視図。
【図2】図1のLCD付デジタルスチルカメラにおいて、カメラ部を前方に90°回動した状態で本体部を上面側から見た平面図。
【図3】図1のLCD付デジタルスチルカメラの回路構成を示す図。
【図4】図1のLCD付デジタルスチルカメラにパーソナルコンピュータを接続した例を示す図。
【図5】図1のLCD付デジタルスチルカメラにFDD装置を接続した例を示す図。
【図6】図1のLCD付デジタルスチルカメラの動作を説明するためのフローチャート。
【図7】図1のLCD付デジタルスチルカメラの動作を説明するためのフローチャート。
【図8】図1のLCD付デジタルスチルカメラの動作を説明するためのフローチャート。
【図9】図1のLCD付デジタルスチルカメラのプリフィルタを説明するための図。
【図10】図1のLCD付デジタルスチルカメラの動作を説明するためのフローチャート。
【図11】図1のLCD付デジタルスチルカメラの動作を説明するためのフローチャート。
【図12】図1のLCD付デジタルスチルカメラのさらに具体的な回路構成を示す図。
【図13】図1のLCD付デジタルスチルカメラのさらに具体的なものの動作を説明するためのフローチャート。
【図14】図1のLCD付デジタルスチルカメラのさらに具体的なものの動作を説明するためのフローチャート。
【図15】図1のLCD付デジタルスチルカメラのさらに具体的なものの動作を説明するためのフローチャート。
【図16】図1のLCD付デジタルスチルカメラのさらに具体的なものの動作を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
1…電子カメラ装置
2…本体部
3…カメラ部
4,5…ケース
6…LCD
7…撮影レンズ
8…電源スイッチ
9…シャッターボタン
20…グリップ部
40…CCD
52…A/D変換器
53…タイミングジェネレータ
54…駆動回路
55…圧縮/伸長回路
56…DRAM
57…フラッシュメモリ
58…ROM
59…RAM
60…キー入力部
61…CPU
62…シグナルジェネレータ
63…VRAM
64…D/A変換器
65…アンプ
67…I/Oポート
71…CCD
72…コアIC
73…データバス
74…CPU
75…DRAM
76…圧縮/伸長回路
77…データエンコーダ
78…VRAM
79…LCD
80…パーソナルコンピュータ
90…FDD装置。
Claims (1)
- 撮像手段と、この撮像手段により撮像した画像を表示するLCDからなる画像表示手段を一体的に備えた電子撮像装置において、
該電子撮像装置本体内に、
上記撮像手段で撮像した画像データを取り込む画像処理手段と、
取り込まれた画像データを圧縮伸張する圧縮伸張手段と、
取り込まれた画像データまたは圧縮された画像データを記憶するメモリと、
取り込まれた画像データまたは上記メモリに記憶された画像データを上記画像表示手段に表示させる表示制御手段と、
システム全体を制御する制御手段と、
画像データをデジタル入出力するためのデジタル入出力手段と、
画像データをアナログ出力するためのアナログ出力手段と
を内蔵し、
上記デジタル入出力手段は上記制御手段と協動して、画像データを、修正や編集を行うためにパーソナルコンピュータに送り、また、修正や編集された画像データを前記パーソナルコンピュータから受け取って前記メモリに記憶させ、
上記表示制御手段は上記制御手段と協動して、上記パーソナルコンピュータから送られてきた画像データを上記表示手段に表示させる制御と、前記撮像手段から取り込まれた画像についてビデオスルー表示を行う際に画像の間引きを行って高速で表示させる制御と、上記メモリに記憶された画像データを表示する際及び上記パーソナルコンピュータから受け取った画像を表示する際に高画質で表示させる制御とを行うとともに、前記ビデオスルー表示を行う際に画像の間引きを行って高速で表示させる制御は、所定画素数単位で実行する色信号のフィルタ処理を更に含む
ことを特徴とする電子撮像装置。
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JP7-191828 | 1995-07-27 | ||
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Publications (2)
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-
1995
- 1995-11-29 JP JP31119195A patent/JP3743866B2/ja not_active Expired - Fee Related
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