JP3743489B2 - 写真処理機における感光材料収容マガジン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マガジン本体内のロール状の感光材料を挟持して繰り出し及び巻き戻し可能な一対のローラを前記マガジン本体に設け、少なくとも一方のローラとマガジン本体との間に、前記少なくとも一方のローラの回転に対する負荷を与えるトルクリミッタを設けてある写真処理機における感光材料収容マガジンに関する。
【0002】
なお、写真処理機では、長時間作動を停止するとき等は感光材料をマガジン本体内に巻き戻して、感光材料に写真処理機本体内のローラ等の圧着痕が残るのを回避している。
【0003】
【従来の技術】
写真処理機本体から取り外した空の感光材料収容マガジン(以下、「マガジン」と略称する)に感光材料を装着する場合、例えば二つ割り構造のマガジン本体をオペレータが作業台上で開放し、暗袋内でマガジン本体の感光材料支持部にロール状の感光材料を支持させるとともにマガジン本体を閉塞し、これにより感光材料の先端側を前記一対のローラに挟持させて感光材料を繰り出し可能にしている。
【0004】
そして、暗袋から取り出したマガジンを写真処理機本体側に運搬して、写真処理機本体に取り付けるのであるが、その運搬や取り付けの際に衝撃等でマガジン本体内のロール状の感光材料が巻き戻し方向の回転力を受けることがある。
【0005】
この場合、感光材料に対する一対のローラの挟持力が弱いと、前記回転力でロール状の感光材料が回転するとともに一対のローラが回転し、感光材料が巻き戻されて、感光材料の先端側が一対のローラから外れてしまい、再び感光材料を両ローラに挟持される状態に装着し直さなければならなくなる。
【0006】
そこで従来では、感光材料が一対のローラから外れるのを防止する手段として、少なくとも一方のローラとマガジン本体との間にトルクリミッタを設け、感光材料の繰り出し及び巻き戻しのいずれの場合にも、少なくとも一方のローラに回転に対する負荷を与えるようにしてあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の構成によれば、感光材料の繰り出し及び巻き戻しのいずれの場合にも、少なくとも一方のローラに回転に対する負荷を与えるようにしてあったために、マガジンを写真処理機本体に装着した後のローラによる感光材料の繰り出し及び巻き戻しに大きな力を必要とし、ローラの駆動部によるエネルギーの消費量が大きかった。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ロール状の感光材料を装着したマガジンを写真処理機本体側に運搬する際や写真処理機本体に取り付ける際に、衝撃等でロール状の感光材料が巻き戻し回転するのを防ぎながら、ローラの駆動部が消費するエネルギーを節減できるようにする点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1による発明の構成・作用・効果は次の通りである。
【0010】
[構成]
冒頭に記載した写真処理機における感光材料収容マガジンにおいて、前記トルクリミッタと少なくとも一方のローラとの間に一方向クラッチを介在させて、前記感光材料の繰り出し時には、前記少なくとも一方のローラが前記トルクリミッタから前記負荷を受けることなく、回転可能に構成すると共に、前記感光材料の巻き戻し時には前記一方向クラッチがロック状態となり、前記少なくとも一方のローラが前記トルクリミッタから負荷を受けた状態で回転可能に構成してある。
【0011】
[作用]
[イ]ロール状の感光材料を装着したマガジンを写真処理機本体側に運搬する際や写真処理機本体に取り付ける際に、衝撃等でマガジン本体内のロール状の感光材料が巻き戻し方向の回転力を受けて、前記少なくとも一方のローラが感光材料の巻き戻し方向に回転しようとすると、一方向クラッチがロック状態となってトルクリミッタから前記負荷を受ける。
【0012】
これにより、運搬中等にマガジンが衝撃を受けても、マガジン本体内のロール状の感光材料が巻き戻されるのを回避できて、感光材料の先端側が一対のローラから外れるのを防止できる。
【0013】
[ロ]そしてマガジンを写真処理機本体に装着した後、前記少なくとも一方のローラは、感光材料の繰り出し方向には、一方向クラッチのロック解除状態でトルクリミッタから回転に対する負荷を受けることなく回転することができる。
【0014】
感光材料を巻き戻す場合、少なくとも一方のローラはトルクリミッタから負荷を受けた状態で巻き戻し方向に回転するが、この巻き戻し方向の回転は、一般に繰り出し方向の回転に比べて回転量・回転する頻度とも少ない。
【0015】
[効果]
従って、上記作用[イ],[ロ]により、ロール状の感光材料を収容したマガジンを写真処理機本体側に運搬する際や写真処理機本体に取り付ける際に、衝撃等でロール状の感光材料が巻き戻し回転するのを防ぎながら、ローラの駆動部が消費するエネルギーを節減できるようになった。
【0016】
請求項2による発明の構成・作用・効果は次の通りである。
【0017】
[構成]
請求項1による発明の構成において、前記少なくとも一方のローラの回転軸の一端部に、前記少なくと一方のローラを人為的に回転操作するためのキャップ状のつまみを前記回転軸と同芯状に設け、前記トルクリミッタと一方向クラッチとを前記つまみに内蔵してある。
【0018】
[作用]
[ハ]請求項1の構成による作用と同様の作用を奏することができるのに加え、次の作用を奏することができる。
【0019】
[ニ]例えばメンテナンス時には、つまみを人為的に回転操作して前記少なくとも一方のローラを回転させる。
【0020】
前記つまみは少なくとも一方のローラと同芯のキャップ状に形成してあり、そのキャップ内の空間を有効利用して、前記トルクリミッタと一方向クラッチとをつまみに内蔵してあるから、少なくとも一方のローラ周りの構造をコンパクトにまとめることができる。
【0021】
[効果]
従って、請求項1の構成による効果と同様の効果を奏することができるのに加え、構造を簡素化することがきた。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1に、焼付処理部2と現像処理部3とを備えた写真処理機を示してある。
【0024】
前記焼付処理部2は、ロール状に巻かれた印画紙1 (感光材料に相当) を収容する第1マガジン8と第2マガジン7(共に感光材料収容マガジンに相当)とを写真処理機本体4内に設け、印画紙1を第1マガジン8から繰り出す状態と、第2マガジン7から繰り出す状態とに切り換え自在に構成し、印画紙1をプリントサイズにカットするカッター6と、光源10と、ミラートンネル32と、ネガキャリア33と、レンズユニット34と、露光台9とを写真処理機本体4に設けて構成してある。
【0025】
焼付露光された印画紙1は、搬送装置により搬送されて現像処理部3へ送り込まれる。
【0026】
次に、前記第1マガジン8について説明する(第2マガジン7は第1マガジン8と同一構造である)。
【0027】
図2,図3に示すように、マガジン本体11内のロール状の印画紙1を挟持して繰り出し及び巻き戻し可能な駆動ローラ12と圧着ローラ13とをマガジン本体11の印画紙排出口5の近傍に設けてある。
【0028】
前記駆動ローラ12は駆動シャフト14(回転軸に相当)の中央部に設けてあり、駆動シャフト14はその一端部側の入力ギア15を介して駆動部としての電動モータに連動連結してある。
【0029】
前記駆動シャフト14の入力ギア15の近傍に第1中間ギア16を設け、圧着ローラ13側の従動シャフト17に設けた第2中間ギア18に第1中間ギア16を噛み合わせて、駆動ローラ12の回転に伴って圧着ローラ13が回転するよう構成してある。
【0030】
そして、駆動シャフト14の他端部とマガジン本体11との間に、駆動ローラ12の回転に対する負荷を与えるトルクリミッタ19を設け、トルクリミッタ19と駆動シャフト14の他端部との間に一方向クラッチ20を介在させて、駆動ローラ12がトルクリミッタ19から前記負荷を受けることなく、印画紙1の繰り出し方向に回転可能に構成してある。
【0031】
前記トルクリミッタ19を構成するに、駆動シャフト14の前記他端部に回転自在に外嵌する軸受け21を、マガジン本体11側の嵌合孔に相対回転不能に内嵌し、駆動シャフト14と同芯状のスプリング22を収容するスプリングケース25を駆動シャフト14に回転自在に外嵌するとともに、スプリングケース25の一端部側に突設した径方向に沿う第1突出部26を、軸受け21の一端部側に形成した径方向に沿う第1係合溝に係合させ、スプリングケース25と相対回転自在で、かつ、スプリング22を外嵌させる内側リング28を駆動シャフト14に相対回転自在に外嵌させてある。
【0032】
前記軸受け21は円筒形状でその周部に偏平カット部を設け、これに対応する形状に前記嵌合孔を形成して、両者を互いに嵌合させることで、上記のように相対回転不能にしてある。
【0033】
前記一方向クラッチ20のクラッチハウジング29の一端面側に形成した径方向に沿う第2突出部30を、内側リング28の一端部側に形成した径方向に沿う第2係合溝に係合させてある。
【0034】
前記駆動シャフト14の他端部に、駆動ローラ12を人為的に回転操作するためのキャップ状のつまみ31を、前記トルクリミッタ19と一方向クラッチ20とを覆う状態に駆動シャフト14と同芯状に設けてある(すなわち、つまみ31にトルクリミッタ19と一方向クラッチ20とを内蔵してある)。
【0035】
上記の構造によれば、ロール状の印画紙1を収容した第1マガジン8を写真処理機本体4側に運搬する際や写真処理機本体4に取り付ける際に、衝撃等でマガジン本体11内のロール状の印画紙1が巻き戻し方向の回転力を受けると、一方向クラッチ20がロック状態となり、駆動シャフト14がクラッチハウジング29・内側リング28と一体に回転しようとして、トルクリミッタ19から回転に対する負荷を受ける。
【0036】
これにより、運搬中等に第1マガジン8が衝撃を受けても、マガジン本体11内のロール状の印画紙1が巻き戻されるのを回避できて、印画紙1の先端側が駆動ローラ12と圧着ローラ13とから外れるのを防止できる。
【0037】
そして、第1マガジン8を写真処理機本体4に装着した後、駆動ローラ12は印画紙1の繰り出し方向には、一方向クラッチ20のロック解除状態でトルクリミッタ19から回転に対する負荷を受けることなく回転することができる。
【0038】
つまり、駆動シャフト14がクラッチハウジング29・内側リング28に対して自由に回転する。
【0039】
印画紙1を巻き戻す場合、駆動ローラ21は、トルクリミッタ19から負荷を受けた状態で巻き戻し方向に回転するが、この巻き戻し方向の回転は、一般に繰り出し方向の回転に比べて回転量・回転する頻度とも少ない。
【0040】
[別実施形態]
上記の第1の実施形態の構造に加えて、トルクリミッタ19を圧着ローラ13とマガジン本体11との間に設け、前記一方向クラッチ20を、前記トルクリミッタ19と圧着ローラ13との間に介在させ、圧着ローラ13がトルクリミッタ19から前記負荷を受けることなく、印画紙1の繰り出し方向に回転可能に構成してあってもよい。
【0041】
また、前記トルクリミッタ19を駆動ローラ12とマガジン本体11との間に設けることなく、圧着ローラ13とマガジン本体11との間に設け、前記一方向クラッチ20を、前記トルクリミッタ19と圧着ローラ13との間に介在させ、圧着ローラ13がトルクリミッタ19から前記負荷を受けることなく、印画紙1の繰り出し方向に回転可能に構成してあってもよい。
【0042】
前記感光材料は印画紙以外のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】写真処理機の概略全体側面図
【図2】駆動ローラと圧着ローラとの構造を示す斜視図
【図3】駆動ローラに設けたトルクリミッタと一方向クラッチとを示す断面図
【符号の説明】
1 感光材料
11 マガジン本体
12,13 ロ−ラ
14 回転軸
19 トルクリミッタ
20 一方向クラッチ

Claims (2)

  1. マガジン本体内のロール状の感光材料を挟持して繰り出し及び巻き戻し可能な一対のローラを前記マガジン本体に設け、少なくとも一方のローラとマガジン本体との間に、前記少なくとも一方のローラの回転に対する負荷を与えるトルクリミッタを設けてある写真処理機における感光材料収容マガジンであって、
    前記トルクリミッタと少なくとも一方のローラとの間に一方向クラッチを介在させて、前記感光材料の繰り出し時には、前記少なくとも一方のローラが前記トルクリミッタから前記負荷を受けることなく、回転可能に構成すると共に、前記感光材料の巻き戻し時には前記一方向クラッチがロック状態となり、前記少なくとも一方のローラが前記トルクリミッタから負荷を受けた状態で回転可能に構成してある写真処理機における感光材料収容マガジン。
  2. 前記少なくとも一方のローラの回転軸の一端部に、前記少なくと一方のローラを人為的に回転操作するためのキャップ状のつまみを前記回転軸と同芯状に設け、前記トルクリミッタと一方向クラッチとを前記つまみに内蔵してある請求項1記載の写真処理機における感光材料収容マガジン。
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