JP3743112B2 - インクジェットヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク液をノズルから噴射して記録用紙などに所要の記録を行うインクジェット式記録装置のインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、比較的構成が簡単で、高速印字、高品質印字が容易な記録装置として、インクジェット方式の記録装置がよく知られている。この種のインクジェット記録装置のインクジェットヘッドは、たとえば、インク液を噴射する複数のノズル孔が形成されるノズルプレートと、圧電セラミック材料などから形成され、各ノズル孔に連通される複数の噴射チャンネルが複数列に形成されるアクチュエータと、噴射チャンネルの入口端側においてアクチュエータに接合され、インク供給源からのインク液を各噴射チャンネルに供給するために、複数の各噴射チャンネルの配列方向に延び、かつ噴射チャンネルの各入口端に対して開口する供給路が形成されたマニホールドとを備えている。
【0003】
そして、このインクジェットヘッドは、たとえば、ノズルプレートを下、マニホールドを上にして、約45度傾斜させて配置し、アクチュエータの変形により噴射チャンネルの容積を変化させ、その容積減少時に噴射チャンネルのインク液をノズルプレートに形成されたノズル孔から斜め下向きに噴射して、印刷用紙などに印字し、一方、容積増大時には、インク供給源から供給路を介してアクチュエータの噴射チャンネル内にインク液を導入するようにしている。
【0004】
また、インクジェットヘッドは、その内部に気泡が発生または残留したり、噴射面上にインクの液滴が付着することにより、噴射不良を起こすことがある。そのため、インクジェットヘッド内の気泡をインク液とともに吸引除去し、良好な噴射状態に回復させるためのパージ装置が、インクジェット記録装置に備えられている。
【0005】
次に、従来例としてのインクジェットヘッドを、図をもってより具体的に説明する。図7は、アクチュエータ1に、複数の噴射チャンネル2が、所定間隔を隔てて2列に形成されているインクジェットヘッド3を示す要部断面図である。噴射チャンネル2の出口端4側には、ノズルプレート5が接合されており、各噴射チャンネル2の出口端4は、ノズルプレート5に形成されたノズル孔6に連通している。また、噴射チャンネル2の入口端7側には、マニホールド8が接合されており、各噴射チャンネル2の入口端7は、複数の各噴射チャンネル2の配列方向に延び、各噴射チャンネル2の入口端7に対して開口する供給路9に連通している。そして、インク供給源からのインク液は、供給路9を介して、各入口端7から各噴射チャンネル2内に導入され、ノズル孔6から噴射される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、インクジェットヘッド内での気泡の発生または残留は、おもに供給路内において生じる。よって、図7に示す構成において、供給路9内に発生または残留した気泡は、浮力等により供給路9の上壁側に滞留する。図7の点線で示す気泡10はこの状態を示すもので、この気泡10は、時間の経過とともに成長し、実線で示す気泡11のような状態となる。そうすると、この気泡11の外表面は、噴射チャンネル2の入口端7に近接するため、インク流路が狭くなり、噴射にともなうインク液の流速が速くなる。その結果、気泡11の外表面に作用する負圧が大きくなって、気泡11は、噴射チャンネル2により引き込まれやすい状態を生じる。噴射チャンネル2内に気泡11が入ると、噴出不良を起こし、いわゆる印字抜けを生じる。
【0007】
一方、このような噴出不良が生じた場合は、前述したようにパージ装置を用いて、インクジェットヘッド3内の気泡をパージするが、気泡10の成長によりインク液の供給が阻害されるに至る期間が短いと、頻繁にパージを実施しなければず、操作が煩雑となる。また、パージによって、浪費されるインク液量が増大しすると、印字に供されるインク液量がその分減少するという不具合もある。
【0008】
本発明の目的は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、供給路内において、発生し成長した気泡による噴射不良を低減して、良好な印字状態を長く保つことができるインクジェットヘッドを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、インク液をノズルから噴射させるための複数の噴射チャンネルを配列方向に配列してなる噴射チャンネル列が、前記配列方向と直交する方向に複数列に並べて形成されたアクチュエータと、前記噴射チャンネルの入口端側において前記アクチュエータに接合されるものであって、各前記噴射チャンネルにインク液を供給するために、複数の各前記噴射チャンネルの配列方向に延び、かつ前記噴射チャンネルの各入口端に対して共通的に開口する供給路が形成されたマニホールドとを備える、インクジェットヘッドであって、前記アクチュエータにおける前記噴射チャンネルの入口端側の端面において、配列方向に延びる各前記噴射チャンネル間の端面を、前記アクチュエータと接合される外側の端面に対して、ノズル側に位置させることにより、前記噴射チャンネル列の列間にわたって延びるインク流路を形成したことを特徴としている。
【0010】
このような構成によると、供給路内で発生または残留した気泡が、供給路の上壁側において滞留し成長しても、成長した気泡と噴射チャンネルとの間の、噴射チャンネルの入口端側の端面には、複数の噴射チャンネルの配列方向にインク液を流すことができるインク流路が形成されているので、インク液は、成長した気泡に阻害されずに、このインク流路を介して、噴射チャンネル内に良好に導入されることができる。また、気泡の成長が進んだとしても、インク流路が形成されている場合は、噴射にともない生じるインク液の流路が確保され、その流速が速くなることがなく、気泡の外表面に作用する負圧が小さくなるため、気泡が噴射チャンネルに引き込まれにくくなり、良好な噴射状態を長く維持することができる。したがって、頻繁にパージ操作を行う必要はなく、操作性を向上させることができる。
【0011】
すなわち、一般に、パージ操作は、印字作業を行う前に、前回パージ操作を行った時から、所定以上の期間が経過した場合に行われるが、この所定の期間は、マニホールド内で成長した気泡が、噴射に影響を及ぼす期間を想定して決定される。よって、それによって定める所定の期間が短ければ、結果としてパージ操作が頻繁に行われ、印字に費やされるインク液量が減少することとなるが、本発明では、この所定の期間を長くすることができるので、印字に費やされるインク液量を、このような理由により減少させることはない。また、印字作業を行う使用者に対しても、この所定の期間が短ければ、印字前にパージ操作が実行される機会が増えることから、印字出力が完了するまでに、多くの時間を費やすことになるが、本発明においては、印字前のパージ操作を頻繁に行わずに済むため、印字出力が完了するまでに、多くの時間を費やすことはなく、よって、良好な操作性を達成することができる。
【0012】
また、気泡が成長したとしても、噴射チャンネルの列間にわたって、すなわち噴射チャンネル列とほぼ直角方向にも、インク液を流し、各噴射チャンネルに良好に導入することができる。
しかも、インク流路は、各噴射チャンネル間の端面を、アクチュエータと接合される外側の端面に対して、ノズル側に位置させるだけの構成で形成しているので、よって簡易な構成により、供給路内において発生し成長した気泡による噴射不良を低減して、良好な印字状態を長く保つことができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記供給路が、複数列の前記噴射チャンネルの各々に対応して共通的に開口する分岐部分を有していることを特徴としている。このような分岐部分を形成することで、供給路の容積をより小さくでき、インクジェットヘッドの小型化を一層図れるとともに、供給路内に流入するインク液を、分岐部分から各列ごとの各噴射チャンネルに円滑に供給することができる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記複数の噴射チャンネルが2列に形成され、前記供給路が、2つの分岐部分を有していることを特徴としている。複数の噴射チャンネルを2列で形成すると、アクチュエータにおける各噴射チャンネルを最も有効に配列でき、かつアクチュエータの形成が容易となり、また、マニホールドにおける供給路の形成も容易となる。そのため、優れたインクジェットヘッドを効率よく製造でき、かつインクジェットヘッドの一層小型化を図ることができる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、前記インク流路の内容積は、前記マニホールドによって形成される内容積よりも小さいことを特徴としている。この構成によると、マニホールドによって形成される内容積に比べて、アクチュエータ側に形成されるインク流路の内容積は、小さいため、供給路全体の内容積の増加は、わずかである。そのため、パージ装置によって吸引するインク液が増加する量もわずかであり、パージ装置を含むメンテナンス系への負担を少なくすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置を具体化した一実施形態を示す斜視図である。カラーインクジェットプリンタ21は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のカラーインクを被印刷体としての印刷用紙22上に印刷して印字を行うインクジェット式のインクジェットヘッド23を備え、このインクジェットヘッド23は、ヘッドユニット24として一体に設けられており、このヘッドユニット24はインクジェットヘッド23が、印刷用紙22に対して斜め下向きにインク液を噴射するようにキャリッジ26に支持されており、このヘッドユニット24とともに、インクジェットヘッド23に4色のインク液を供給するインク供給源としてのインクカートリッジ25が、キャリッジ26に脱着自在に搭載されている。
【0017】
そして、インクジェットヘッド23の前面に対向して、その往復移動方向に平行にプラテンローラ27が回転自在に設けられており、インクジェットヘッド23とプラテンローラ27とで印字部を構成している。キャリッジ26は、該キャリッジ26の下部に設けられたキャリッジ軸支持部28を介して、インクジェットヘッド23の往復移動方向に延びるキャリッジ軸29およびガイド板54に支持され、印字時に直線的に往復運動可能となし、かつ、プーリ30および31間に架けられたベルト32に連結され、プーリ30が図示しないモータにより回転駆動されることにより、直線往復移動されるようになっている。
【0018】
印刷用紙22は、インクジェットプリンタ21の後部上方に設けられた図示しない給紙カセットから給紙され、インクジェットヘッド23と、矢印33方向に回転駆動されるプラテンローラ27との間に導入され、印字後の印刷用紙22は、矢印34方向に排出される。なお、図1においては、これらの印刷用紙の給紙機構の図示を省略している。
【0019】
また、プラテンローラ27の側方で、インクジェットヘッド23のリセット状態位置の前方に対向させてパージ装置35が設けられている。インクジェット式のインクジェットヘッド23は、その内部に気泡が発生または残留したり、噴射面上にインクの液滴が付着することにより、噴射不良を起こすことがある。そのため、インクジェットヘッド23内の気泡をインク液とともに吸引除去し、良好な噴射状態に回復させるためにパージ装置35がある。パージ装置35は、インクジェットヘッド23のリセット状態位置における前方対向位置に設けられたキャップ36でインクジェットヘッド23を覆うことができるようになっており、キャップ36でインクジェットヘッド23が覆われている時に、インクジェットヘッド23の内部に溜まる気泡などを含んだ不良インクをカム37により駆動されるポンプ38によって吸引し、インクジェットヘッド23を回復させる。吸引された不良インクは貯留部39に送られる。
【0020】
図2はヘッドユニット24の要部断面図である。図2において、インクジェットヘッド23は、インク液を噴射する複数のノズル孔67が形成されるノズルプレート12と、圧電セラミック材料などから形成され、各ノズル孔67に、その出口端68において連通される複数の噴射チャンネル13が複数列に形成されるアクチュエータ14と、噴射チャンネル13の入口端15側においてアクチュエータ14に接合され、各噴射チャンネル13にインク液を供給するために、複数の各噴射チャンネル13の配列方向に延び、かつ噴射チャンネル13の各入口端15に対して共通的に開口する供給路16が形成されたマニホールド17とを備えている。
【0021】
そして、このインクジェットヘッド23は、上記したように、ノズルプレート12を下、マニホールド17を上にして、約45度傾斜させて配置し、アクチュエータ14の変形により噴射チャンネル13の容積を変化させ、その容積減少時に噴射チャンネル13のインク液をノズルプレート12に形成されたノズル孔67から斜め下向きに噴射して印刷用紙22に印字し、一方、容積増大時には、インクカートリッジ25から供給路16を介してアクチュエータ14の噴射チャンネル13内にインク液を導入するようにしている。なお、インクジェットヘッド23は、アクチュエータ14を、圧電セラミック素子に代えて発熱素子を用いたサーマルヘッドタイプまたはその他公知のタイプにしてもよい。
【0022】
そして、ヘッドユニット24の縦壁18に貫通孔19を形成して、マニホールド17の流入口20側をこの貫通孔19に挿入するとともに、マニホールド17とヘッドユニット24の縦壁18とを接着して、インクジェットヘッド23をヘッドユニット24に取り付けている。また、マニホールド17の流入口20側と貫通孔19との間の隙間には、シール部材40が嵌め込まれており、このシール部材40と流入口20との開口部との間には、第1フィルタ41が介装されている。この第1フィルタ41は、インクカートリッジ25をシール部材40に接続する際に、ごみや気泡などがインクジェットヘッド23の供給路16内に入り込むのを防止するものである。
【0023】
また、ヘッドユニット24に内装されたインクカートリッジ25のインク供給口42には、シール部材40と接続するためのアダプタ43が嵌め込まれている。インク供給口42とアダプタ43との間には、第2フィルタ44が介挿されている。この第2フィルタ44は、インクカートリッジ25をインクジェットヘッド23に接続する際に、インク供給口42からインク液がこぼれ落ちるのを、この第2フィルタ44でのインク液の表面張力により防止するものである。
【0024】
そして、インクカートリッジ25のインク供給口42とマニホールド17の流入口20とを、アダプタ43とシール部材40とを嵌め合うことにより、脱着自在に接続している。そして、インクカートリッジ25内のインク液は、インク供給口42からアダプタ43およびシール部材40を介して流入口20に導入される。なお、45は、インクジェットヘッド23を覆うヘッドカバーである。
【0025】
図3は図2におけるA−A線断面図、図4は、図2におけるB−B線断面図、図5は、図3および図4におけるC−C線断面図である。これら、図3、図4および図5を用いて、インクジェットヘッド23を詳述する。図3に示すように、アクチュエータ14は、圧電セラミック素子を備えた1対の基板46および47と、1対の基板46および47の間に挟まれるプレート48を備えており、基板46および47には、それぞれ独立した複数の溝49および50が形成されている。そして、この基板46および47をプレート48の両側面65および66に接合することにより、外側壁およびと側壁とが溝49および50で形成され、内側壁がプレート48の側面65および66で形成された複数の噴射チャンネル13が形成される。形成された複数の噴射チャンネル13は、プレート48を挟んで対向状に2列に並んでいる。
【0026】
また、図4に示すように、マニホールド17の供給路16は、流入口20からの流入位置から二股に分岐され、2列に形成された複数の噴射チャンネル13の各々の列に対応して共通的に開口する2つの分岐部分51および52を有している。そして、流入口20から供給路16内に流入したインク液は、それぞれ分かれて分岐部分51および52に流入し、各分岐部分51および52を流れながら、各列に形成された複数の噴射チャンネル13内に導入される。
【0027】
そして、図5に示すように、アクチュエータ14における噴射チャンネル13の入口端15側の端面であって、各噴射チャンネル13の外側に位置される基板46および47の端面55および56と、マニホールド17における供給路16の開口側端面であって、分岐部分51および52の外側の端面58および59とを接合することによって、インクジェトヘッド23を構成している。
【0028】
このような構成において、本実施形態では、配列方向に延びる各噴射チャンネル13間に位置されるプレート48の端面57を、基板46および47の端面55および56に対して、ノズルプレート12側に位置させて、分岐部分58および59の内側の端面60と、プレート48の端面57との間に隙間を形成している。そして、かかる隙間でもって、複数の噴射チャンネル13の配列方向、およびその噴射チャンネル13の列間にわたってすなわち噴射チャンネル列と直角方向にもインク液を流すことができるインク流路53を形成している。
【0029】
このようなインク流路53を形成することで、供給路16内で発生または残留した気泡が、浮力等により供給路16の上壁側において滞留(図5の点線で示す気泡61の状態)して、時間の経過とともに成長して、図5に実線で示す気泡62のような状態となるに至っても、インク液は、成長した気泡62に阻害されずに、インク流路53内を噴射チャンネル13の配列方向およびそれと直角方向に流れ、そして、順次噴射チャンネル13内に良好に導入されることができる。また、気泡61の成長が進んだとしても、インク流路53が形成されている場合は、噴射にともない生じるインク液の流路が確保され、その流速が速くなることがなく、成長した気泡62の外表面に作用する負圧が小さくなるため、気泡62が噴射チャンネル13に引き込まれにくくなり、良好な噴射状態を長く維持することができる。したがって、頻繁にパージ操作を行う必要はなく、操作性を向上させることができる。
【0030】
すなわち、一般に、パージ操作は、印字作業を行う前に、前回パージ操作を行った時から、所定以上の期間が経過した場合に行われるが、この所定の期間は、マニホールド17内で成長した気泡が、噴射に影響を及ぼす期間を想定して決定される。よって、それによって定める所定の期間が短ければ、結果としてパージ操作が頻繁に行われ、印字に費やされるインク液量が減少することとなるが、本実施形態では、この所定の期間を長くすることができるので、印字に費やされるインク液量を、このような理由により減少させることはない。また、印字作業を行う使用者に対しても、この所定の期間が短ければ、印字前にパージ操作が実行される機会が増えることから、印字出力が完了するまでに、多くの時間を費やすことになるが、本実施形態においては、印字前のパージ操作を頻繁に行わずに済むため、印字出力が完了するまでに、多くの時間を費やすことはなく、よって、良好な操作性を達成することができる。
【0031】
しかも、本実施形態では、マニホールド17によって形成される内容積に比べて、アクチュエータ14側に形成されるインク流路53の内容積は、十分に小さいため、供給路16全体の内容積の増加は、わずかである。そのため、パージ装置35によって吸引するインク液が増加する量もわずかであり、パージ装置35を含むメンテナンス系への負担を少なくすることができる。
【0032】
また、インク流路53は、プレート48の端面57を、基板46および47の端面55および56に対して、ノズルプレート12側に位置させるだけで形成されているので、簡易な構成によりインク流路53が形成され、供給路16内において発生し成長した気泡62による噴射不良を低減している。
また、アクチュエータ14には複数の噴射チャンネルが2列に形成され、供給路16には、噴射チャンネル13の各列に対応した2つの分岐部分51および52が形成されている。そのため、アクチュエータ14における各噴射チャンネル13は最も有効に配列され、かつアクチュエータ14の形成が容易となっており、一方、マニホールド17も、2つの分岐部分51および52を有することで、供給路16の容積をより小さくできて、インクジェットヘッド23の小型化を図れるとともに、供給路16内に流入するインク液を、分岐部分51から各列ごとの各噴射チャンネル13に円滑に供給している。とりわけ、分岐部分が2つ形成されているので、マニホールド17における供給路16の形成が容易であり、優れたインクジェットヘッド23を効率よく製造でき、かつインクジェットヘッド23の一層の小型化が図られている。
【0033】
さらに、図6は、本発明の他の実施形態を示す図5に対応する図である。図6においては、アクチュエータ14における噴射チャンネル13の入口端15側の端面において、各噴射チャンネル13間のプレート48の端面57であって、噴射チャンネル13の入口端部を形成する端面に、噴射チャンネル13の開口縁に向かって、噴射チャンネル13の流路断面積が広くなるような傾斜面63および64を形成することにより、インク流路53を形成している。
【0034】
詳述すると、図6に示すように、アクチュエータ14における噴射チャンネル13の入口端15側の端面において、プレート48の端面57は、基板46および47の端面55および56と面一となっている。そして、プレート48の両側面65および66における端面57側に、噴射チャンネル13の列の全長にわたり、プレート48の端面57に向かって内側に傾斜する面取りを行うことにより、傾斜面63および64を形成している。そして、基板46および47の端面55および56と分岐部分51および52の外側の端面58および59とが接合されるのと同様に、プレート48の端面57を、分岐部分51および52の内側の端面60に接合している。インク流路53は、傾斜面63および64により、広げられた各噴射チャンネル13の入口端15内方に形成される。このような構成によると、噴射チャンネル13の入口端部を形成する端面に、傾斜面63および64を形成するだけで、言い換えると、プレート48の両側面65および66の端縁部に面取りを行うだけで、インク流路53を形成できるので、よって簡易な構成によりインク流路53を形成でき、先に述べた図5の実施形態と同様に、供給路16内において発生し成長した気泡62による噴射不良を低減できる。
【0035】
なお、インクジェットヘッド23は、ノズルを水平横向きまたは垂直下向きに置くこともできる。水平横向きの場合、流入口20を上にして供給路16をその下に配置することが望ましい。いずれの場合も、ほぼ同様な作用効果を達成することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1に記載の発明によれば、供給路内で発生または残留した気泡が、供給路の上壁側において滞留し成長しても、成長した気泡と噴射チャンネルとの間の、噴射チャンネルの入口端側の端面には、複数の噴射チャンネルの配列方向にインク液を流すことができるインク流路が形成されているので、インク液は、成長した気泡に阻害されずに、このインク流路を介して、噴射チャンネル内に良好に導入されることができる。また、気泡の成長が進んだとしても、インク流路が形成されている場合は、噴射にともない生じるインク液の流路が確保され、その流速が速くなることがなく、気泡の外表面に作用する負圧が小さくなるため、気泡が噴射チャンネルに引き込まれにくくなり、良好な噴射状態を長く維持することができる。したがって、頻繁にパージ操作を行う必要はなく、操作性を向上させることができる。
【0037】
すなわち、一般に、パージ操作は、印字作業を行う前に、前回パージ操作を行った時から、所定以上の期間が経過した場合に行われるが、この所定の期間は、マニホールド内で成長した気泡が、噴射に影響を及ぼす期間を想定して決定される。よって、それによって定める所定の期間が短ければ、結果としてパージ操作が頻繁に行われ、印字に費やされるインク液量が減少することとなるが、本発明では、この所定の期間を長くすることができるので、印字に費やされるインク液量を、このような理由により減少させることはない。また、印字作業を行う使用者に対しても、この所定の期間が短ければ、印字前にパージ操作が実行される機会が増えることから、印字出力が完了するまでに、多くの時間を費やすことになるが、本発明においては、印字前のパージ操作を頻繁に行わずに済むため、印字出力が完了するまでに、多くの時間を費やすことはない。したがって、良好な操作性を達成することができる。
【0038】
また、インク流路は、噴射チャンネルの列間にわたって延びるので、気泡が成長したとしても、噴射チャンネルの列間にわたって、すなわち噴射チャンネル列とほぼ直角方向にも、インク液を流し、各噴射チャンネルに良好に導入することができる。
しかも、インク流路は、各噴射チャンネル間の端面を、アクチュエータと接合される外側の端面に対して、ノズル側に位置させるだけで形成しているので、簡易な構成により、供給路内において発生し成長した気泡による噴射不良を低減して、良好な印字状態を長く保つことができる。
【0039】
また、請求項2に記載の発明によれば、供給路に分岐部分を形成することで、供給路の容積をより小さくでき、インクジェットヘッドの一層の小型化を図れるとともに、供給路内に流入するインク液を、分岐部分から各列ごとの各噴射チャンネルに円滑に供給することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、複数の噴射チャンネルを2列で形成したので、アクチュエータにおける各噴射チャンネルを最も有効に配列でき、かつアクチュエータの形成が容易となり、また、マニホールドにおける供給路の形成も容易となり、そのため、優れたインクジェットヘッドを効率よく製造でき、かつインクジェットヘッドの一層の小型化を図ることができる。
【0040】
請求項4に記載の発明によれば、マニホールドによって形成される内容積に比べて、アクチュエータ側に形成されるインク流路の内容積は、小さいため、供給路全体の内容積の増加は、わずかである。そのため、パージ装置によって吸引するインク液が増加する量もわずかであり、パージ装置を含むメンテナンス系への負担を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】 図1のインクジェット記録装置のヘッドユニットの要部断面図である。
【図3】 図2におけるA−A線の要部断面図である。
【図4】 図2におけるB−B線の断面図である。
【図5】 図2におけるC−C線の要部断面図である。
【図6】 図5に対応する他の実施形態を示した図である。
【図7】 図5に対応する従来例を示す図である。
【符号の説明】
13 噴射チャンネル
14 アクチュエータ
15 入口端
16 供給路
17 マニホールド
23 インクジェットヘッド
25 インクカートリッジ
53 インク流路
57 プレートの端面
55,56 基板の端面
63,64 傾斜面
51,52 分岐部分
Claims (4)
- インク液をノズルから噴射させるための複数の噴射チャンネルを配列方向に配列してなる噴射チャンネル列が、前記配列方向と直交する方向に複数列に並べて形成されたアクチュエータと、前記噴射チャンネルの入口端側において前記アクチュエータに接合されるものであって、各前記噴射チャンネルにインク液を供給するために、複数の各前記噴射チャンネルの配列方向に延び、かつ前記噴射チャンネルの各入口端に対して共通的に開口する供給路が形成されたマニホールドとを備える、インクジェットヘッドであって、
前記アクチュエータにおける前記噴射チャンネルの入口端側の端面において、配列方向に延びる各前記噴射チャンネル間の端面を、前記アクチュエータと接合される外側の端面に対して、ノズル側に位置させることにより、前記噴射チャンネル列の列間にわたって延びるインク流路を形成したことを特徴とする、インクジェットヘッド。 - 前記供給路は、複数列の前記噴射チャンネルの各々に対応して共通的に開口する分岐部分を有している、請求項1に記載のインクジェトヘッド。
- 前記複数の噴射チャンネルは2列に形成され、前記供給路は、2つの分岐部分を有している、請求項2に記載のインクジェットヘッド。
- 前記インク流路の内容積は、前記マニホールドによって形成される内容積よりも小さいことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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