JP3742972B2 - バッテリ保持構造およびそのバッテリ保持構造を組込んだ電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、バッテリ保持構造およびそのバッテリ保持構造を組込んだ電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子機器の筐体の一つにフロントケース、リアケースおよびバッテリケースからなるものがある。フロントケースとリアケースとで本体ケースを形成し、本体ケースの一部に電子機器を収納する。バッテリケースにはバッテリを収納する。電子機器を収納した本体ケースとバッテリを収納したバッテリケースとを組合せて電子機器を完成させる。このとき本体ケースがバッテリを保持する構造は、バッテリを収納したバッテリケースの一端部を本体ケースに挿入し、バッテリケースに設けたフックと本体ケースに設けたフック受け部とで連携してバッテリを保持するようになっている。図6従来のバッテリ保持構造の概略図および図7組立て後における図6AA’方向断面図を参照してこのバッテリ保持構造を説明する。
【0003】
図6に示すように、フロントケース1とリアケース2とを組合わせて固定手段で固定し、一端が開放しその他の端部が閉鎖した空間部を形成するケースを設ける。この組合わされたケースを本体ケース3とよぶ。この固定手段として本体ケース3の開放端から離れた位置で4本のねじ4を用いて、フロントケース1とリアケース2とを固定している。さらに、この固定手段として本体ケースの開放端側でフロントケース1に設けられているケースフック5と、図6では隠れて見えないが、リアケース2に設けたケース溝6とで係着させている。ここで、ねじ4が開放端から離れた位置、すなわち図6で見るとフロントケース1の上部に取り付けられているのは、筐体を細くするためバッテリケース7が収納されるエリアにはそのスペースがないためである。また、ケースフック5とケース溝6とが本体ケース3の開放端近傍に設けられているのは、フロントケース1とリアケース2とが反り返らないようにするためである。
電子機器は、本体ケース3の閉鎖端から開放端に向かってバッテリを挿入する空間を残して、本体ケース3の空間部に収納される。
【0004】
一方、本体ケース3とは別に、一端が開放し他端が閉鎖した半ケースを2個作り、それぞれの開放端側の形状を同じくしておく。一つの半ケースの中にバッテリを入れて組立て、もう一つの半ケースと開放端同士を重ね合わせ、ケース内部にバッテリが入れられケースで閉鎖されたバッテリを用意する。この2つの半ケースを組合せて内部にバッテリを収納したケースをバッテリーケース7とよぶ。このとき、バッテリとしてはニッケルカドミウム電池あるいはニッケル水素電池などが用いられる。バッテリを入れバッテリケース7に組み上げた後は、半ケース同士を溶着する。したがって、完成された電子機器を不用意に落としたり、あるいは故意にバッテリケース7をこじ開けようとしたりしても、バッテリケース7が開くことは無く、容易にバッテリを取り出せないようにしてある。
【0005】
図6に示すように、バッテリケース7の外形は一端から他端に向かう途中で階段状の段差を設けている。そのためバッテリケース7は断面の広い部分と狭い部分とを有している。この段差面8の形状は、本体ケースの開放端側面の形状とほぼ同じくしてある。したがって、バッテリケース7の断面の狭い部分の断面形状は本体ケースの開放端の空間部の断面形状と同じかやや小さめかになる。
バッテリケース7の段差面8には断面形状の狭い部分に沿ってケースつまみ10を挟んでフックが2個設けられている。このフックをロックフック9とよぶ。他方、本体ケースにはロックフック9と嵌合するフック受け部11が、図6では隠れてみえないが、本体ケース3の空間部側に設けられている。
【0006】
図6の矢印で示す方向に、指で操作し易いように設けたバッテリつまみ10を持って、バッテリケース7の断面の狭い部分を本体ケース3の開放端から本体ケース3の空間部に入れ、本体ケース3の開放端側面とバッテリケース7の段差面8とを当接させる。これと同時に、ロックフック9は、バッテリつまみ10と共にわずかに弾性的に曲がり、本体ケース3の空間部に挿入される。図7組立て後における図6のAA’方向断面図に示すように、ロックフック9とフック受け部11とが連携してロックされ、電子機器を収容した本体ケース3がバッテリを保持する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、モバイル用の電子機器では、使用者が電子機器を高所から落したり、あるいは本体ケース3とバッテリケース7とを捩じったりすることが起こりやすい。図8に示すように、このようなとき本体ケース3とバッテリとの間で相対的に強い回転力を受け、強い回転力を受けるとフロントケース1とリアケース2とを止めていたケースフック5が損傷を受け、図9に示すように、フロントケース1とリアケース2とが反り返り、バッテリケース7をも含めたそれぞれのケース間に隙間ができるという問題点があった。なお、バッテリがバッテリケースに組立てられた後は、バッテリとバッテリケース7とは固定され一体となっているので、バッテリケース7と本体ケース3との相対的回転力と、バッテリと本体ケース3との相対的回転力とは、同じことになる。
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、本体ケース3とバッテリ7との間で強い相対的回転力が生じても、フロントケース1にあるケースフック5の損傷を防止する手段を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するために次のような手段を設ける。
フロントケースとリアケースとを固定手段で固定し一端が開放しその他の端部が閉鎖した空間部を形成し、閉鎖端から開放端に向かって空間部の一部に電子機器を収納した本体ケースを準備する。また、一端から他端に向かう途中で階段状の段差を設け断面の狭い部分と広い部分とを有しており、段差面の形状を本体ケースの開放端側面の形状にほぼ同じくしたバッテリケースに収納したバッテリを準備する。
バッテリケースの段差面にはバッテリケースの断面の狭い部分に沿ってフックを設け、本体ケースの空間部側にフックに適合したフック受け部を設けている。
バッテリケースの断面の狭い部分を本体ケースの空間部に開放端から挿入し、段差面と開放端側面を当接させ、フックとフック受け部とで電子機器を収納した本体ケースがバッテリケースに収納したバッテリを保持する。
以上のようなバッテリ保持構造において、本体ケースと当接する段差面に1個以上の凸部又は凹部を設け、バッテリケースと当接する開放端側面に前記凸部又は凹部と嵌合する凹部又は凸部を設け、フロントケースとリアケースとを固定する固定手段は、リアケースに設けたねじ、フロントケースに設けたフックおよびリアケースに設けたフックを受ける溝からなるとともに、本体ケースと当接するバッテリケースの段差面に設ける1個以上の凸部又は凹部がリブであって、このリブは本体ケースとバッテリケースとが当接する断面において断面中心より遠い側であって、それぞれの遠い側に2個ずつ設けられ、バッテリケースと当接する本体ケースの開放端側面に設ける凹部又は凸部が溝であって、溝のうち一対の溝はフロントケースとリアケースとを固定するフックを受ける溝を共用して、他の一対の溝を設けることを特徴とするバッテリ保持構造である。
さらに、上述のバッテリ保持構造を組込んだ電子機器である。
【0009】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。電子機器としてモバイル用無線機に本発明を適用する。本発明は従来技術のバッテリ保持構造に附加する手段を設けたものであるから、前述の従来技術で説明した部分は、実施の形態においても適用される。したがって、従来技術の説明との重複を避けるため、従来技術で述べた部分を前提として本発明の実施の形態を説明し、従来技術で述べた部分は必要最小限の説明にとどめる。なお、従来技術の部材と同じ部材には、従来技術と同じ名称および符号を付す。
【0010】
図1は本発明によるバッテリ保持構造の概略図であり、図2および図3は図1のバッテリ保持構造の正面図および側面図である。
図1は、本体ケースを上部に置き、その下部にバッテリを置いて、バッテリケース7の断面の狭い部分を上とし断面の広い部分を下としてバッテリを置ている。本体ケースの開放端から(図1の下方から上方を見る)見た断面形状は角に丸みを持ったほぼ長方形に近いもので、開放端側面がほぼ長方形の閉じた帯び状なってバッテリケース7の段差面8と対向している。バッテリが収納されたバッテリケース7は、断面の狭い部分を本体ケースの開放端からその空間部に一部挿入している。バッテリケース7の段差面8の長辺側には、図1では隠れて見えないが、図6で示したロックフック9とケースつまみ10とがある。
【0011】
同じくバッテリケース7の段差面8であって、相対向するそれぞれの短辺側にはそれぞれ2個ずつのリブ12を、新たに、リアケース2側とフロントケース1側に設けている。ここで、短辺側に設けたのは、本体ケース3とバッテリ7との間の相対的な回転力に抗するためであるので、回転中心から離れていたほうが良いためである。また、リアケース2側とフロントケース1側にそれぞれ設けたのは、リブ12と溝6、13との協働により、リアケース2側ではバッテリケース7がフロントケース1側に動くのを防ぐためであり、フロントケース1側では仮にケースフック5が折れても隙間ができないようにするためである。
【0012】
リブ12の断面形状は四角でも円でもその他の形状でも良いが、リブ12の断面の大きさは、本体ケース3の開放端側面に設ける溝13でリブ12を受けるのであるからの開放端側面の厚さより小さいものである。また後述するように、リブ12を受ける溝としてケース溝6を共用するので、一対のリブの断面形状はケース溝6と適合したものにしなければならい。
同じく、一対のリブ12の高さは、リブ12を受ける溝としてケース溝6を共用するので、ケースフック5の位置により制限を受ける。
なお、ケース溝6の共用の点については後述する。
リブ12の先端には傾斜を付け、先にいくほど薄くする。これにより本体ケース3の開放端側面に設ける溝6、13に挿入し易くするためである。
【0013】
他方、本体ケース3は、樹脂製であるフロントケース1とアルミダイキャスト製であるリアケース2とを組合わせて作られている。従来技術で説明したように、リアケース2の開放端近くにはケースフック5を受けるケース溝6がある。このケース溝6はリブ12を受ける溝として共用されるものである。
ここで、ケース溝6について説明する。図4に示すように、このケース溝6は左右逆のL字状であって、L字の下部の横一部がL字の上部の縦一部より幾分深めになっている。深めになっているのはケースフック5の曲がり部を受けるためである。また、L字の下部の横一部は開放端から閉鎖端に向かって設けられている。このケース溝6がリアケース2の開放端から設けられるのは、フロントケース1とリアケース2とを組立てるときフロントケース1にあるケースフック5を開放端から滑らして挿入でき、組立てを容易にするためである。
【0014】
したがって、本体ケース3がバッテリケース7と当接する開放端側面の短辺側には既にケース溝6がそれぞれ一つずつある。バッテリケース7の段差面8にある4個のリブ12のうち2個のリブ12を受ける溝として、既にあるケースフック5を受けるケース溝6を共用する。残り2個のリブ12を受ける溝13は、リブ12に対応して本体ケース3の開放端側面に新たに設けられる。短辺側にある2個のリブ12は間隔を置いて設けられているので、新たに設ける溝13はフロントケース1側に設けられる。
【0015】
図1に示すように、バッテリケース7の断面の狭い部分を本体ケース3の開放端から挿入し、バッテリケース7の段差面8と本体ケースの開放端側面とを当接させると、従来技術で述べたように、ロックフック9も本体ケース3の空間部に挿入される。ロックフック9とロックフック受け部11とが連携してロックされ、電子機器を収容した本体ケース3がバッテリを収納したバッテリケース7を保持する。と同時にバッテリケース7の段差面8に設けられたリブ12が本体ケース3の開放端側面にある溝6、13にそれぞれ嵌入される。
【0016】
組立てられた無線機に対して本体ケース3とバッテリとの間に相対的回転力加わると、図5の拡大部分の矢印で示すように、回転力は本体ケース3の溝6、13の側壁とリブ12との間で相対的な動きになる。しかし、ケース溝6とリブ12とにより、バッテリケース7がフロントケース1に行く動きを防ぐことになる。したがってケースフック5には外力が加わりにくくなり、ケースフック5は折れにくくなる。溝6とリブ12とは仮にケースフック5が折れてもケース間の隙間を最小に保つ働きを持つことになる。このため、相対的回転力が加わってもそれぞれのケース間に隙間ができるようなことを防止できる。
【0017】
【発明の効果】
フロントケースとリアケースとを固定手段で固定した本体ケースに電子機器を収納し、本体ケースの開放端からバッテリケースに組立てられたバッテリの一部を本体ケースに挿入し、本体ケースの開放端側面とバッテリケースの段差面とを当接させ、本体ケースとバッテリケースとをフックとフック受け部とで保持するバッテリ保持構造において、バッテリケースの段差面に1個以上の凸部又は凹部を設け、本体ケースの開放端側面に前記凸部又は凹部と嵌合する凹部又は凸部を設ける。本体ケースとバッテリとの間に相対的回転力が加わったとき、この凸部、凹部の嵌合接触面で回転力に抵抗させる。このため、フロントケースとリアケースとを固定しているケースフックが損傷して、フロントケースとリアケースとが反り返って隙間ができるようなことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるバッテリ保持構造の概略図。
【図2】図1のバッテリ保持構造の正面図。
【図3】図1のバッテリ保持構造の側面図。
【図4】本発明のリブを受ける溝の概略図。
【図5】本発明によるバッテリ保持構造を組込んだ電子機器の組立て後の断面図。
【図6】従来のバッテリ保持構造の概略図。
【図7】組立て後おける図6のAA’方向断面図。
【図8】本体ケースとバッテリの相対的回転力の説明図。
【図9】ケースフック破損後のフロントとリアケースとの反り返りの状態を示す図。
【符号の説明】
1 フロントケース
2 リアケース
3 本体ケース
4 ねじ
5 ケースフック
6 ケース溝
7 バッテリケース
8 段差面
9 ロックフック
10 ケースつまみ
11 フック受け部
12 リブ
13 溝
Claims (2)
- フロントケースとリアケースとを固定手段で固定し一端が開放しその他の端部が閉鎖した空間部を形成し、前記閉鎖端から前記開放端に向かって前記空間部の一部に電子機器を収納した本体ケースと、
一端から他端に向かう途中で階段状の段差を設け断面の狭い部分と広い部分とを有しており、段差面の形状を前記本体ケースの開放端側面の形状にほぼ同じくするバッテリケースに収納したバッテリとを備え、
前記バッテリケースの段差面にはバッテリケースの断面の狭い部分に沿ってフックを設け、本体ケースの前記空間部側に前記フックに適合したフック受け部を設け、
前記バッテリケースの断面の狭い部分を前記本体ケースの空間部に開放端から挿入し、前記段差面と前記開放端側面を当接させ、前記フックと前記フック受け部とで前記電子機器を収納した前記本体ケースが前記バッテリケースに収納したバッテリを保持するバッテリ保持構造において、
前記本体ケースと当接する前記段差面に1個以上の凸部又は凹部を設け、前記バッテリケースと当接する前記開放端側面に前記凸部又は凹部と嵌合する凹部又は凸部を設け、
前記フロントケースと前記リアケースとを固定する前記固定手段は、リアケースに設けたねじ、フロントケースに設けたフックおよびリアケースに設けた前記フックを受ける溝からなるとともに、
前記本体ケースと当接する前記バッテリケースの段差面に設ける1個以上の凸部又は凹部がリブであって、前記リブは前記本体ケースと前記バッテリケースとが当接する断面において断面中心より遠い側であって、それぞれの遠い側に2個ずつ設けられ、
前記バッテリケースと当接する前記本体ケースの開放端側面に設ける凹部又は凸部が溝であって、前記溝のうち一対の溝は前記フロントケースと前記リアケースとを固定する前記フックを受ける溝を共用して、他の一対の溝を設けること特徴とするバッテリ保持構造。 - 電源搭載構造が組込まれた電子機器であって、前記電源搭載構造に請求項1に記載のバッテリ保持構造を組込んだ電子機器。
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