JP3742555B2 - カセット式プリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロール紙に印字を行なうプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
ロール紙に印字を行なうプリンタとしては、従来、プリンタ単体として成り立っている構造のものばかりでなく、例えば、電子秤装置に組み込まれてラベルやレシートを発行する構造のものや、電子キャッシュレジスタに組み込まれてレシート発行やジャーナル記録を行なう構造のもの等、いわゆるビルトインタイプのものがある。
【0003】
このようなプリンタでは、いずれの方式のプリンタであっても、ロール紙の交換作業の容易化や装置全体の小型化及び薄型化が望まれることが多い。特に、ビルトインタイプのプリンタでは、プリンタを収納する機器、例えば電子秤装置や電子キャッシュレジスタ等の外形サイズや内部スペースにプリンタの容積が大きな影響を与えることから、より一層の小型化及び薄型化が望まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ロール紙の交換作業や各部の保守作業の容易化という観点からすると、従来のプリンタは、そのような作業の作業性が良好とはいえないのが現実である。例えば、従来のプリンタ、特に、電子秤装置や電子キャッシュレジスタにビルトインされたプリンタでは、プリンタカバーを開けてロール紙の交換作業や各部の保守作業を行なうような構造のものが一般的である。ところが、このような構造のものでは、一般的に、ロール紙のセット作業に際してプラテンと印字ヘッドとの間にロール紙を通さなければならないためにロール紙の交換作業が煩雑であり、また、印字ヘッドの周辺構造が複雑であるために保守作業が容易でないという問題がある。
【0005】
また、前述したように、従来のプリンタ、特に、電子秤装置や電子キャッシュレジスタ等の機器にビルトインされたプリンタでは、プリンタカバーを開けてロール紙の交換作業や各部の保守作業を行なうような構造のものが一般的である。ところが、プリンタカバーの取り付け位置によっては、そのような機器のレイアウトに望ましくない制限をもたらすことがある。例えば、電子秤装置にビルトインされたプリンタに着目すると、プリンタカバーが機器の側面に着脱自在に取り付けられているとすると、ロール紙の交換作業や各部の保守作業のために機器の側方にある程度の設置スペースを確保しなければならないという問題がある。また、電子秤装置にビルトインされたプリンタにおいて、プリンタカバーが機器の上面に着脱自在に取り付けられているとすると、プリンタカバーの上方に秤皿を配置しにくいという問題がある。この場合、プリンタカバーの上方に秤皿を配置すると、ロール紙の交換作業や各部の保守作業の作業性が低下してしまう。
【0006】
本発明の目的は、ロール紙の交換作業や各部の保守作業の容易化を図ることである。
【0007】
本発明の別の目的は、ロール紙の交換作業や各部の保守作業に際して必要な操作の操作性を良好にすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のカセット式プリンタの発明は、本体ケースと、前記本体ケースに対して引き出し自在に設けられたカセット保持部と、前記カセット保持部に対してその引出方向と直交する略水平軸回りに回動自在に支持され、その回動自由端に印字ヘッドが取り付けられた印字ヘッドホルダと、前記カセット保持部が前記本体ケースに収納された収納位置では前記印字ヘッドを印字位置に位置付け、前記カセット保持部が前記本体ケースから最大限引き出された最大引出位置では前記印字ヘッドを跳ね上げるように前記印字ヘッドホルダを回動させる跳上げ手段と、前記カセット保持部に対して引き出し自在に設けられ、用紙収納部を有するカセットと、前記用紙保持部よりも手前側で前記印字ヘッドホルダの回動軸と平行な軸回りに回転自在に前記カセットに取り付けられ、前記カセットが前記カセット保持部に収納された状態では前記印字位置で前記印字ヘッドに対面するプラテンと、前記カセット保持部が前記収納位置から前記最大引出位置に移動するまでの区間は前記カセット保持部と前記カセットとを結合させ、前記カセット保持部が前記最大引出位置に位置付けられた状態では前記カセット保持部と前記カセットとの結合を解除するラッチ機構と、を具備する。
【0009】
したがって、本体ケースにカセット保持部が収納されてカセット保持部にカセットが収納されている状態からカセットを引き出すと、カセットとカセット保持部とはラッチ機構によって結合されているためにカセット保持部もカセットに伴い本体ケースから引き出される。カセット保持部が最大引出位置まで引き出されると、ラッチ機構はカセット保持とカセットとの結合を解除するため、カセット保持部はその最大引出位置に位置付けられたままカセットがカセット保持部から引き出される。この際、カセット保持部が最大引出位置まで引き出された状態では、跳上げ手段によって印字ヘッドホルダが回動させられ、印字ヘッドが跳ね上げられる。そこで、カセット保持部からカセットを引き出した状態又は引き抜いた状態で、用紙保持部に対するロール紙のセット作業や各部の保守作業を容易に行なうことが可能となる。また、カセット保持部が最大引出位置まで引き出された状態では印字ヘッドが跳ね上げられ、しかもカセットは単独で引き出し及び押し込み可能となるため、その際に必要な力が軽くて済む。これにより、軽快な操作感が得られ、カセットの引き出し及び押し込みに際しての操作性が良好となる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のカセット式プリンタにおいて、前記跳上げ手段は、前記本体ケースと前記印字ヘッドホルダとの間に設けられた跳上げカム構造によって形成されている。
【0011】
したがって、印字ヘッドホルダの回動動作は、跳上げカム構造のカム作用によって制御される。この際、印字ヘッドホルダは、その引き出し動作に伴い印字ヘッドを跳ね上げる方向に回動し、押し込み動作に伴い印字ヘッドを印字位置に位置付ける方向に回動する。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のカセット式プリンタにおいて、前記ラッチ機構は、前記カセット保持部にその引出方向と直交する軸回りに回動自在に取り付けられたラッチ部材を有し、前記ラッチ部材は、前記ラッチ部材が第1の方向に回動することによって前記カセットに係合する第1の係合部と、前記カセットの移動軌跡中に配置されて前記カセット保持部に対して押し込まれる前記カセットの当接によって前記ラッチ部材を前記第1の方向に回動させる当接部と、前記ラッチ部材が前記第1の方向とは反対の第2の方向に回動することによって前記カセット保持部の前記最大引出位置において前記本体ケースに係合する第2の係合部と、前記ラッチ部材を前記第2の方向に付勢する付勢部材と、を有する。
【0013】
したがって、本体ケースにカセット保持部が収納されてカセット保持部にカセットが収納されている状態からカセットを引き出す場合、ラッチ部材の第1の係合部がカセットと係合しているためにカセット保持部はカセットと共に本体ケースから引き出される。そして、カセット保持部が最大引出位置に到ると、付勢部に付勢されているラッチ部材が第2の回動方向に回動してラッチ部材の第2の係合部が本体ケースに係合し、カセット保持部は最大引出位置に位置付けられる。この際、ラッチ部材の第2の方向への回動によって第1の係合部はカセットから脱落するため、カセットは単独でカセット保持部から引き出される。そして、カセットがカセット保持部に対して押し込まれる場合には、カセットはその移動軌跡中に位置するラッチ部材の当接部に当接し、ラッチ部材を第1の方向に回動させる。これにより、ラッチ部材の第1の係合部がカセットに係合し、かつ、ラッチ部材の第2の係合部が本体ケースから脱落し、カセット保持部はカセットと共に本体ケースに押し込まれる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態は、電子秤装置への適用例である。
【0015】
図1は、電子秤装置の斜視図である。この電子秤装置1は、扁平筐体状のハウジング2の上面全体に秤皿3を有し、正面左側にタッチパネル付きのディスプレイ4、正面右側にプリンタ5を有している。
【0016】
ディスプレイ4はチルト可能である。このため、図1に示すよう状態から、ディスプレイ4をチルトさせてその下縁をハウジング2の下面よりも下方に延出させることが可能である。これは、ハウジング2の設置部6を例えば図示しないショーケースの上面に載置して電子秤装置1を設置し、ディスプレイ4をショーケースの上面よりも下方に位置付けるような使用態様を考慮しての構造である。
【0017】
図1に示すように、プリンタ5は、ラベルやレシートを発行するための発行口101をハウジング2の正面に有する。この発行口101は、ハウジング2の一部を構成する上カバー102と下カバー103とによって形成されている。上カバー102及び下カバー103はプリンタ5にネジ止めされている。
【0018】
プリンタ5について詳細に説明する。
【0019】
まず、プリンタ5の概略構造を図2ないし図5に基づいて説明する。図2ないし図5は、プリンタ5の斜視図であり、図2はカセット及びカセット保持部が共に収納された状態を示す斜視図、図3はカセット保持部が最大引出位置まで引き出された状態を示す斜視図、図4はカセットがさらに引き出された状態を示す斜視図、図5はカセットが引き抜かれた状態を示す斜視図である。
【0020】
プリンタ5は、その概略構造として、板金によって形成された本体ケース201に対し、カセット保持部202が引出自在に収納され、このカセット保持部202にカセット203が引出自在に収納されて構成されている。カセット保持部202は、印字ヘッドとしてのラインサーマルヘッド204を跳上げ自在に有し(図3〜図5参照)、固定刃構造のカッタ205を有する(図2参照)。カセット203は、図示しないロール紙を収納保持する用紙保持部206と、プラテン207と、ラベル剥離板208と、台紙巻取り軸209とを有する(図3〜図5参照)。
【0021】
次いで、カセット203の詳細構造を図6ないし図9に基づいて説明する。図6はカセット203の右側面を示す斜視図、図7はその左側面を示す斜視図である。
【0022】
カセット203は、全体が樹脂モールドによる一体成形品であり、その前部にはハウジング2の一部を構成する下カバー103が着脱自在に取り付けられている。この下カバー103も樹脂モールドの一体成形品である。そして、カセット203は、その後方に用紙保持部206を位置させ、前方にプラテン207及びラベル剥離板208を位置させ、中央部に台紙巻取り軸209を位置させている。また、カセット203の内部一側部には取付壁210が設けられ、この取付壁210と対向する他側部には開放部211が形成されている。取付壁210は、プラテン207、ラベル剥離板208及び台紙巻取り軸209を片持ち状態で支持する構造体であり、開放部211は切欠構造である。
【0023】
用紙保持部206は、ロール紙を収納保持し得る凹部形状をしており、このような用紙保持部206には樹脂モールド成形された1枚のサイドフェンス212がスライド自在に取り付けられている。つまり、用紙保持部206では、カセット203の取付壁210から金属製の2本の支持シャフト213が立設されており、これらの支持シャフト213はサイドフェンス212に形成された2つの嵌合穴に嵌合している。これにより、サイドフェンス212は、2本の支持シャフト213にスライド自在に支持されており、スライド移動することによって用紙保持部206に収納保持可能なロール紙の幅を規制している。
【0024】
図8はプラテン207、ラベル剥離板208及び台紙巻取り軸209を一体化する片持ちユニットが取り外されたカセット203の右側面を示す斜視図、図9はその左側面を示す斜視図である。
【0025】
プラテン207、ラベル剥離板208及び台紙巻取り軸209は、図8及び図9に示すように、1枚の板金214に支持されて片持ちユニット215を構成している。プラテン207及びラベル剥離板208の自由端は、更に別の補助板金216に支持されて位置決め精度の向上及び剛性確保が図られている。片持ちユニット215において、プラテン207及び台紙巻取り軸209は回転自在に取り付けられており、片持ちユニット215には、それらのプラテン207及び台紙巻取り軸209に対する動力伝達機構を構成するギヤ列217が設けられている。これらのギヤ列217は、図9に示すように、板金214において、プラテン207、ラベル剥離板208及び台紙巻取り軸209が取り付けられている側面と反対側の側面に配列されている。
【0026】
このような片持ちユニット215は、カセット203の取付壁210にネジ止めされて取り付けられている。この場合、カセット203の取付壁210は、ギヤ列217を収納するギヤカバー218を有しており、したがって、ギヤ列217がギヤカバー218に収納された状態で片持ちユニット215が取付壁210に取り付けられている。こうして片持ちユニット215が取付壁210に取り付けられた状態において、プラテン207、ラベル剥離板208及び台紙巻取り軸209は、カセット203の引き出し及び押し込み方向と直交する略水平軸に沿って配置されることになる。
【0027】
ここで、ラベル剥離板208の近傍には、板金214と補助板金216との間にラベル剥離板と平行して1本のラベル保持シャフト219が取り付けられている。そして、このラベル保持シャフト219には2つのラベル規制部材220が取り付けられており、そのうちの1つのラベル規制部材220はスライド自在である。これらのラベル規制部材220は、ラベル剥離板208によって図示しない台紙から剥離された図示しないラベルの側部を規制し、これによってラベルの蛇行を防止するための構造物である。ここで、図6ないし図9中、ラベル規制部材220は3つ示されているが、中央に示すラベル規制部材220と右側に示すラベル規制部材220とは同一のものであり、その移動範囲を示すために2つ図示している。
【0028】
次いで、本体ケース201とカセット保持部202とカセット203とそれらが保持する構造部品との間の構造的な関連性を図10ないし図15に基づいて説明する。この場合、図1ないし図9も必要に応じて用いながら説明する。図10はカセット203及びカセット保持部202が共に収納された状態を示す右側面図、図11はカセット203及びカセット保持部202が僅かに引き出された状態を示す右側面図、図12はカセット203及びカセット保持部202が更に引き出されてカッタ205が待避位置に位置付けられた状態を示す右側面図、図13はカセット203及びカセット保持部202が更に引き出された状態を示す右側面図、図14はカセット保持部202が最大引出位置まで引き出された状態を示す右側面図、図15はカセット203が引き抜かれた状態を示す右側面図である。
【0029】
カセット保持部202において、ラインサーマルヘッド204は印字ヘッドホルダ221の先端部の回動自在なリンクに弾性的に保持されている。ここでの弾性力は、図示しないコイルスプリングにより付与されている。印字ヘッドホルダ221は、カセット保持部202の引き出し及び押し込み方向と直交する略水平軸であるホルダシャフト222に回動自在に取り付けられた板金製のアーム状部材である。このような印字ヘッドホルダ221は、その先端部の回動自在なリンクにラインサーマルヘッド204を支持しており、後端側の位置変化に応じてラインサーマルヘッド204の姿勢制御が可能な構造となっている。そこで、本実施の形態では、印字ヘッドホルダ221の後端側の位置を制御することによって、カセット保持部202のスライド移動に伴うラインサーマルヘッド204の跳上げ動作を実現している。つまり、印字ヘッドホルダ221の一対の後端側にはそれぞれカムフォロワ223が取り付けられており、これらのカムフォロワ223は本体ケース201の両側壁に形成された溝カム224に係合している。この溝カム224の形状は、カセット保持部202の引き出し動作に伴いラインサーマルヘッド204が跳ね上げられる方向に印字ヘッドホルダ221を回動させ、カセット保持部202の押し込み動作に伴いラインサーマルヘッド204をプラテン207に当接する印字位置に復帰させる方向に印字ヘッドホルダ221を回動させるような制御を行ない得るように決められている。ここに、カセット保持部202が本体ケース201から最大限引き出された最大引出位置ではラインサーマルヘッド204を跳ね上げるように印字ヘッドホルダ221を回動させる跳上げカム構造の跳上げ手段225が形成されている。
【0030】
また、印字ヘッドホルダ221は、その先端部にホルダシャフト222と平行な回動軸回りに回動自在のリンク部材226を有しており、このリンク部材226にはカッタ205が固定されている。これにより、カッタ205は、ラインサーマルヘッド204の近傍の用紙切断位置とラインサーマルヘッド204から離反する待避位置とに移動自在であり、ここに、カッタ保持機構227が構成されている。そして、リンク部材226と印字ヘッドホルダ221の先端部との間には、それらの両側部に位置させて2本のコイルスプリングSPが張設状態で掛け渡されている。これにより、リンク部材226は、コイルスプリングSPによって、ラインサーマルヘッド204から離反する方向に向けて付勢されている。そして、リンク部材226には、その上面両側部に、一対のカム228が形成されており、本体ケース201にはそれらのカム228に対応するカムフォロワ229が形成されている。
【0031】
カム228とカムフォロワ229とは、カセット保持部202が収納位置に位置付けられている場合には(図2及び図10参照)、カム228がカムフォロワ229に当接してリンク部材226をラインサーマルヘッド204に近接する方向に回動させ、カセット保持部202が有る程度引き出された後にはカムフォロワ229からカム228が脱落するような配置関係に形成されている。
【0032】
これにより、カセット保持部202が収納位置に位置付けられている場合には、コイルスプリングSPの付勢力に抗してリンク部材226がラインサーマルヘッド204に近接し、カッタ205がラインサーマルヘッド204の近傍の用紙切断位置に位置付けられる(図10参照)。これに対し、カムフォロワ229からカム228が脱落した後は、コイルスプリングSPの付勢力によってリンク部材226が引っ張られ、リンク部材226がラインサーマルヘッド204から離反する方向に回動し、カッタ205がラインサーマルヘッド204から離反した待避位置に位置付けられる(図11〜図15参照)。これにより、カッタカム構造のカッタ位置制御機構230が構成されている。そこで、印字ヘッドホルダ221には、用紙切断位置に位置するカッタ205を露出させ、待避位置に位置するカッタ205を覆うカッタカバー231が取り付けられている。
【0033】
また、カム228の裏側には、略同一形状の図示しないカムが設けられている。このカムは、カムフォロワ229とのカム作用によって、印字ヘッドホルダ221の回動自在なリンクに支持されたラインサーマルヘッド204に対して押圧力を付与する構造である。つまり、カム228の裏側に設けられた図示しないカムは、カセット保持部202が収納位置に位置付けられている場合に、カムフォロワ229との間のカム作用によって、プラテン207に対してラインサーマルヘッド204を当接するよう機能する。ここに、カセット保持部202の収納位置への移動に従いラインサーマルヘッド204をプラテン207への当接力を強める方向に付勢するヘッドカム機構232が構成されている。
【0034】
ここで、リンク部材226には、カム228及びその裏面側の図示しないカムが一対設けられているため、一対のカム228及びその裏面側の図示しないカムの間にはスペースが形成される。そこで、本実施の形態では、このスペースを利用してラインサーマルヘッド204の図示しない配線ケーブルを折りたたみ状態で収納している。
【0035】
次いで、図10ないし図15は、カセット保持部202及びカセット203が引き出される過程を順に示している。このようなカセット保持部202及びカセット203の引き出し過程において、カセット保持部202は、その最大引出位置(図14および図15参照)に引き出されるまではカセット203に連結されてカセット203と共に引き出され、カセット保持部202が最大引出位置に到った後はカセット203が単独で引き出し可能なように構成されている。逆に、カセット保持部202及びカセット203の押し込み時には、カセット203は、最大引出位置に位置するカセット保持部202に達するまでは単独で押し込み可能であり、最大引出位置に位置するカセット保持部202に達した後はカセット保持部202に連結されてこのカセット保持部202を伴い押し込み移動可能なように構成されている。このようなカセット保持部202とカセット203との連結を可能とする構造がラッチ機構233である。以下、ラッチ機構233について説明する。
【0036】
カセット保持部202の後部には、その引き出し及び押し込み方向と直交する略水平軸回りに回動自在にラッチ部材234が取り付けられている。このラッチ部材234は、第1の方向(図10〜図15中、FDで示す)に回動することによってカセット203に設けられた図示しない係合孔に係合する第1の係合部235と、第1の方向とは反対の第2の方向(図10〜図15中、SDで示す)に回動することによってカセット保持部202の最大引出位置において本体ケース201に設けられた図示しない係合孔に係合する第2の係合部236とを備える。このようなラッチ部材234は、カセット203の移動軌跡中に配置された当接部237を備える。この当接部237は、カセット保持部202に対してカセット203が押し込まれた場合、カセット203の後部の当接によってラッチ部材234を第1の方向に回動させる役割を果たす。つまり、押し込まれたカセット203が当接部237に当接するとラッチ部材234が第1の方向に回動し、第1の係合部235がカセット203に設けられた図示しない係合孔に係合してカセット保持部202とカセット203とが結合された状態となる。この状態を、図10ないし図13に示す。したがって、カセット保持部202が収納位置から最大引出位置に到る区間においては、カセット保持部202とカセット203とが連結された状態となる。また、ラッチ部材234は、図示しない付勢部材によって第2の方向に付勢されている。これにより、カセット保持部202が最大引出位置に到った場合には、第2の方向に付勢されているラッチ部材234が第2の方向に回動し、本体ケース201に設けられた係合孔に第2の係合部236が落ち込んでカセット保持部202が本体ケース201に係合する(図14及び図15参照)。
【0037】
次いで、本体ケース201は、その内側壁に、カセット203に取り付けられた片持ちユニット215の補助板金216の底部を支持する自由端支持部238を有する。つまり、この自由端支持部238は、直接的に支持する補助板金216を支持することによってこの補助板金216に取り付けられたプラテン207及びラベル剥離板208の自由端を支持する。
【0038】
このような構成において、本実施の形態の電子秤装置1は、例えば、秤皿3に載せた品物の重量を計量してその計量結果を印字したラベルをプリンタ5によって印字し発行口101から発行したり、品物の計量値に基づいてその品物の値段を求め、レシートを印字して発行口101から発行したりするというように利用される。
【0039】
プリンタ5においては、例えば、用紙保持部206に感熱紙であるロール紙が収納される場合には、そのロール紙にラインサーマルヘッド204により所定事項を印字して発行口101から発行する。発行された印字済みのロール紙は、カッタ205で切断可能である。また、用紙保持部206にロール紙状のラベル用紙が収納される場合には、その台紙部分をラベル剥離板208で屈曲させて台紙巻取り軸209に巻き取らせ、ラベル剥離板208によって台紙から剥離分離された印字済みのラベルを発行口101から発行される。
【0040】
ここで、プリンタ5において、用紙の交換作業や保守作業のためのカセット203の引き出し及び押し込み動作について説明する。まず、本体ケース201にカセット保持部202が収納されてカセット保持部202にカセット203が収納されている状態からカセット203を引き出すと、カセット203とカセット保持部202とはラッチ機構233によって結合されているためにカセット保持部202もカセット203に伴い本体ケース201から引き出される。カセット保持部202が最大引出位置まで引き出されると、ラッチ機構233はカセット保持部202とカセット203との結合を解除するため、カセット保持部202はその最大引出位置に位置付けられたままカセット203がカセット保持部202から引き出される。この際、カセット保持部202が最大引出位置まで引き出された状態では、跳上げ手段225によって印字ヘッドホルダ221が回動させられ、ラインサーマルヘッド204が跳ね上げられる。しかも、カセット203には、プラテン207、ラベル剥離板208及び台紙巻取り軸209が片持ち状態で設けられ、カセット203においてこれらを片持ちする取付壁210と対面する側は開放部211となっている。そこで、カセット保持部202からカセット203を引き出した状態又は引き抜いた状態で、用紙保持部206に対するロール紙のセット作業、プラテン207及びラベル剥離板208を経由させての台紙巻取り軸209に対する台紙のセット作業、各部の保守作業等を容易に行なうことが可能となる。
【0041】
なお、用紙保持部206にロール紙をセットするに際しては、サイドフェンス212をスライド移動させることで、実際に使用するロール紙に幅に用紙保持部206の用紙収納幅を合わせ、ロール紙の側面位置を規制することができる。
【0042】
また、カセット保持部202が最大引出位置まで引き出された状態ではラインサーマルヘッド204が跳ね上げられ、しかもカセット203は単独で引き出し及び押し込み可能となるため、その際に必要な力が軽くて済む。これにより、軽快な操作感が得られ、カセット203の引き出し及び押し込みに際しての操作性が良好となる。
【0043】
ここで、ラッチ機構233や跳上げ手段225は、いずれも簡単な機構的な構造でそれぞれの作用を実現していることから、構造の簡略化を図ることができる。
【0044】
また、跳上げ手段225によって印字ヘッドホルダ221が回動してラインサーマルヘッド204が跳ね上げられた場合(図3〜図5、図12〜図15)、リンク部材226と共にカッタ205がコイルスプリングSPに付勢されてラインサーマルヘッド204から離反する方向に回動し、これによってカッタ205はカッタカバー231に覆われる。これにより、ラインサーマルヘッド204の引き出しながらの跳上げによってその周辺が外部に露出したとしても、オペレータの手が不用意にカッタ205に触れてしまうような事故が防止され、安全性が確保される。
【0045】
これに対して、カセット203が押し込まれる場合には、図11に示す状態から図10に示す状態に状態が遷移する。これにより、カム228の裏側に設けられた図示しないカムは、カムフォロワ229との間のカム作用によって、プラテン207に対してラインサーマルヘッド204を当接するよう機能する。これにより、ラインサーマルヘッド204がプラテン207にバランス良く当接し、印字品質が高品質に維持される。
【0046】
また、プラテン207及びラベル剥離板208はカセット203に片持ち状態で取り付けられているが、これらのプラテン207及びラベル剥離板208の自由端は、補助板金216を介して自由端支持部238に支持されている。これにより、印字に際して台紙巻取り軸209の回転駆動による力がかかるプラテン207及びラベル剥離板208に剛性が確保される。特に、プラテン207の支持剛性が確保されることは、印字品質を高品質に維持するのに役立つ。
【0047】
また、カセット203に設けられたギヤ列217はギヤカバー218に覆われている。これにより、ギヤ列217の鋭利な部分にオペレータの手が触れることが無くなり、安全性が確保される。
【0048】
【発明の効果】
請求項1記載のカセット式プリンタの発明は、本体ケースと、前記本体ケースに対して引き出し自在に設けられたカセット保持部と、前記カセット保持部に対してその引出方向と直交する略水平軸回りに回動自在に支持され、その回動自由端に印字ヘッドが取り付けられた印字ヘッドホルダと、前記カセット保持部が前記本体ケースに収納された収納位置では前記印字ヘッドを印字位置に位置付け、前記カセット保持部が前記本体ケースから最大限引き出された最大引出位置では前記印字ヘッドを跳ね上げるように前記印字ヘッドホルダを回動させる跳上げ手段と、前記カセット保持部に対して引き出し自在に設けられ、用紙収納部を有するカセットと、前記用紙保持部よりも手前側で前記印字ヘッドホルダの回動軸と平行な軸回りに回転自在に前記カセットに取り付けられ、前記カセットが前記カセット保持部に収納された状態では前記印字位置で前記印字ヘッドに対面するプラテンと、前記カセット保持部が前記収納位置から前記最大引出位置に移動するまでの区間は前記カセット保持部と前記カセットとを結合させ、前記カセット保持部が前記最大引出位置に位置付けられた状態では前記カセット保持部と前記カセットとの結合を解除するラッチ機構と、を具備するので、用紙保持部に対するロール紙のセット作業や各部の保守作業の容易化を図ることができ、その操作性も良好にすることができる。
【0049】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のカセット式プリンタにおいて、前記跳上げ手段は、前記本体ケースと前記印字ヘッドホルダとの間に設けられた跳上げカム構造によって形成されているので、簡単な機械的構造だけによって印字ヘッドホルダに所望の動作を行わせることができる。
【0050】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のカセット式プリンタにおいて、前記ラッチ機構は、前記カセット保持部にその引出方向と直交する軸回りに回動自在に取り付けられたラッチ部材を有し、前記ラッチ部材は、前記ラッチ部材が第1の方向に回動することによって前記カセットに係合する第1の係合部と、前記カセットの移動軌跡中に配置されて前記カセット保持部に対して押し込まれる前記カセットの当接によって前記ラッチ部材を前記第1の方向に回動させる当接部と、前記ラッチ部材が前記第1の方向とは反対の第2の方向に回動することによって前記カセット保持部の前記最大引出位置において前記本体ケースに係合する第2の係合部と、前記ラッチ部材を前記第2の方向に付勢する付勢部材と、を有するので、簡単な機械的構造だけによってラッチ機構を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態として、電子秤装置への適用例を示す全体の斜視図である。
【図2】カセット及びカセット保持部が共に収納された状態を示す斜視図である。
【図3】カセット保持部が最大引出位置まで引き出された状態を示す斜視図である。
【図4】カセットがさらに引き出された状態を示す斜視図である。
【図5】カセットが引き抜かれた状態を示す斜視図である。
【図6】カセットの右側面を示す斜視図である。
【図7】カセットの左側面を示す斜視図である。
【図8】プラテン、ラベル剥離板及び台紙巻取り軸を一体化する片持ちユニットが取り外されたカセットの右側面を示す斜視図である。
【図9】プラテン、ラベル剥離板及び台紙巻取り軸を一体化する片持ちユニットが取り外されたカセットの左側面を示す斜視図である。
【図10】カセット及びカセット保持部が共に収納された状態を示す右側面図である。
【図11】カセット及びカセット保持部が僅かに引き出された状態を示す右側面図である。
【図12】カセット及びカセット保持部が更に引き出されてカッタが待避位置に位置付けられた状態を示す右側面図である。
【図13】カセット及びカセット保持部が更に引き出された状態を示す右側面図である。
【図14】カセット保持部が最大引出位置まで引き出された状態を示す右側面図である。
【図15】カセットが引き抜かれた状態を示す右側面図である。
【符号の説明】
201 本体ケース
202 カセット保持部
203 カセット
204 印字ヘッド(ラインサーマルヘッド)
206 用紙保持部
207 プラテン
221 印字ヘッドホルダ
225 跳上げ手段
233 ラッチ機構
234 ラッチ部材
235 第1の係合部
236 第2の係合部
FD 第1の方向
SD 第2の方向
Claims (3)
- 本体ケースと、
前記本体ケースに対して引き出し自在に設けられたカセット保持部と、
前記カセット保持部に対してその引出方向と直交する略水平軸回りに回動自在に支持され、その回動自由端に印字ヘッドが取り付けられた印字ヘッドホルダと、
前記カセット保持部が前記本体ケースに収納された収納位置では前記印字ヘッドを印字位置に位置付け、前記カセット保持部が前記本体ケースから最大限引き出された最大引出位置では前記印字ヘッドを跳ね上げるように前記印字ヘッドホルダを回動させる跳上げ手段と、
前記カセット保持部に対して引き出し自在に設けられ、用紙収納部を有するカセットと、
前記用紙保持部よりも手前側で前記印字ヘッドホルダの回動軸と平行な軸回りに回転自在に前記カセットに取り付けられ、前記カセットが前記カセット保持部に収納された状態では前記印字位置で前記印字ヘッドに対面するプラテンと、
前記カセット保持部が前記収納位置から前記最大引出位置に移動するまでの区間は前記カセット保持部と前記カセットとを結合させ、前記カセット保持部が前記最大引出位置に位置付けられた状態では前記カセット保持部と前記カセットとの結合を解除するラッチ機構と、
を具備するカセット式プリンタ。 - 前記跳上げ手段は、前記本体ケースと前記印字ヘッドホルダとの間に設けられた跳上げカム構造によって形成されている請求項1記載のカセット式プリンタ。
- 前記ラッチ機構は、前記カセット保持部にその引出方向と直交する軸回りに回動自在に取り付けられたラッチ部材を有し、
前記ラッチ部材は、前記ラッチ部材が第1の方向に回動することによって前記カセットに係合する第1の係合部と、前記カセットの移動軌跡中に配置されて前記カセット保持部に対して押し込まれる前記カセットの当接によって前記ラッチ部材を前記第1の方向に回動させる当接部と、前記ラッチ部材が前記第1の方向とは反対の第2の方向に回動することによって前記カセット保持部の前記最大引出位置において前記本体ケースに係合する第2の係合部と、前記ラッチ部材を前記第2の方向に付勢する付勢部材と、を有する
請求項1又は2記載のカセット式プリンタ。
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