JP3741779B2 - ファンユニット - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の電子回路ユニットを収容した電子装置のキャビネットに着脱可能に挿入・実装される、該キャビネット内を強制空冷するためのファンユニットに関する。
【０００２】
【従来の技術】
通信装置等の電子装置においては、バックボードを有するシェルフ内に、プリント配線板に複数の電子部品を実装してなる複数の電子回路ユニットを挿入して該バックボードにプラグイン接続し、さらにこのようなシェルフを他のシェルフとともに、キャビネットに収容して装置を構成するようにしている。キャビネットには、キュビネット内を強制空冷するために複数のファンユニットが挿入・実装される。
【０００３】
ファンユニットは、板金を折り曲げて上面が開放された箱状に形成されたユニット筐体に、ファンを取り付けて構成される。ファンは、吸気口及び排気口を有する概略矩形状の枠部材の概略中央部に、作動軸に羽が取り付けられたモータを支持してなり、この羽の回転により枠部材の吸気口から排気口に向かって空気流を生じさせる装置である。
【０００４】
ファンの吸気口及び排気口には、人間の手指が挿入されるのを防止するため、複数の径の異なるリング状に形成された針金を同心円上に配設して、半径方向に概略９０度の間隔で概略Ｕ字状の針金を四個配置して、これらの交差部を溶接等により接着してなるフィンガーガードがそれぞれ配置されている。ファン及び一対のフィンガーガードは、特殊形状を有する複数のファン取付用ネジによりユニット筐体に取り付けられる。ユニット筐体の下面には、通気口が形成されており、この通気口にファンの吸気口が相対している。
【０００５】
ユニット筐体の前面板（表面板）には、このファンユニットの持ち運び、キャビネットに対する着脱等のために、把手が取り付けられている。また、ユニット筐体の前面板には、このファンユニットをキャビネットに固定するためのユニット固定用ネジが取り付けられている。このユニット固定用ネジは、前面板に形成された貫通口に挿入され、ストッパが取り付けられることにより、前面板から落下しないように取り付けられる。
【０００６】
ユニット筐体の前面板の内側近傍には、表示ランプを含む電子部品が実装されたプリント配線板がネジ止め固定されており、前面板の該表示ランプに対応した部分には、表示ランプを外部から目視できるようにするための貫通穴が形成されている。
【０００７】
ユニット筐体の後面板にはキャビネット奥部に配置されたキャビネット側コネクタに嵌合されるユニット側コネクタがネジ止め固定されている。このユニット側コネクタはファン及びプリント配線板にケーブルを介して電気的に接続されている。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術によると、以下のような問題があった。
ユニット筐体は板金で形成されているので、ファンユニットの重量が非常に重く、取扱いが不便であった。
【０００９】
ファン及びフィンガーガードがユニット筐体にファン固定用ネジにより取り付けられているので、ファンが故障した場合にファン固定用ネジの取り外し、取り付けのための作業が煩雑であった。
【００１０】
ファン、プリント配線板、コネクタ等の構成部品をネジにより取り付けるようにしているから、構成部品点数が多く、コスト高であった。特にファン取付用ネジは特殊形状なので高価であった。
【００１１】
ユニット固定用ネジの姿勢がその構造上一定していないので、キャビネットのネジ穴との位置が整合しない場合が多く、ファンユニットのキャビネットへの実装作業が煩雑であった。このユニット固定用ネジのユニット筐体の前面板への取付作業も煩雑であった。
【００１２】
よって、本発明の目的は、ファンユニットの低重量化、組立・実装作業等の作業の容易化、及び低コスト化を図ることである。
【００１３】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【００１４】
本発明によると、複数の電子回路ユニットを収容した電子装置のキャビネットに着脱可能に挿入・実装される、該キャビネット内を強制空冷するためのファンユニットであって、作動軸に羽が取り付けられたモータを枠部材に支持してなり、該羽の回転により空気流を生じさせるようにしたファン手段と、前面板、後面板、下面板及び一対の側面板を有し、上面が開口された概略直方体形状で、前記ファン手段が嵌合するように収容される上面が開口された凹状のファン装着部及び該下面板の該ファン装着部の底面に相当する部分に該ファン手段による空気流が通気される貫通穴である第１の通気口を有するように、樹脂モールド成型加工により一体成型したユニット筐体と、前記ファン手段による空気流が通気される貫通穴である第２の通気口を有し、樹脂モールド成型加工により成型され、前記ユニット筐体の前記ファン装着部の上面開口を閉塞するように、該ユニット筐体に着脱可能に取り付けた上面板とを備え、前記上面板の前記第２の通気口に、手指が挿入されるのを防止する蜘蛛の巣状の第１のフィンガーガード部を一体成型し、前記第１のフィンガーガード部の中央部に、該上面板を前記ファン装着部に取り付けた状態で、前記ファン手段の前記枠部材を前記下面板側に押圧するように内側に突出するファン押圧部を一体成型したことを特徴とするファンユニットが提供される。
【００１５】
ユニット筐体を樹脂モールド成型加工により一体成型しているから、軽量化が図れる。ファンをユニット筐体の凹状のファン装着部に嵌合させることにより取り付けるようにしたから、ネジが省略でき、ファン取付作業が容易化される。ネジが省略できる等、部品点数が減少するから低コスト化が図れる。
【００１６】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図１は本発明が適用されたファンユニットが挿入・実装される電子装置の斜視図である。
【００１７】
同図において、１は通信装置等の電子装置のキャビネットであり、キャビネット１内には、複数のシェルフ２が収容されている。シェルフ２は、その上下面は空気が流通できるように開放されており、奥側にバックボードを有している。シェルフ２は正面に開口を有しており、この正面開口から複数の電子回路ユニットを縦てた状態で挿入し、該バックボードにプラグイン接続した後に、この正面開口は正面板により閉塞される。電子回路ユニットは、プリント配線板上にＩＣ、ＬＳＩ、コネクタ等の複数の電子部品を実装して構成される。
【００１８】
キャビネット１の最下段には空気吸入用の開口が形成されている。キャビネット１の最上段には、複数のファンユニット３が挿入・実装される。これらのファンユニット３は、キュビネット１内を強制空冷するための装置であり、キャビネット１の下側から上側に空気流を生じせしめ、キャビネット１の内部を冷却する。キャビネット１のファンユニット３が挿入・実装される部分の奥側には、ファンユニット３と電気的な接続を行うためのキャビネット側コネクタ及び一対のユニットガイド用突起が配設されている。
【００１９】
図２はファンユニットの全体構成を示す斜視図である。図３はユニット筐体の一部を拡大した平面図、図４は同じく断面図である。図５はファンユニットの一部を拡大した平面図、図６は同じく断面図である。
【００２０】
ファンユニット３は、ユニット筐体１１内に一対のファン（ファン手段）１２を収容して構成されている。ファン１２は、下側に吸気口及び上側に排気口を有する概略矩形状の枠部材の概略中央部に、作動軸に羽が取り付けられたモータを支持して構成され、該羽の回転により該枠部材の該吸気口から該排気口に向かって空気流を生じさせる装置である。この枠部材は四隅部にそれぞれ上下に貫通する穴（ファン固定用穴）１２ａを有している。
【００２１】
ユニット筐体１１は、前面板（表面板）１１ａ、後面板１１ｂ、下面板１１ｃ、左側面板１１ｄ及び右側面板１１ｅを有し、下面板１１ｃに対向する面が開放された概略直方体形状を有しており、樹脂モールド成型加工により一体成型されている。
【００２２】
ユニット筐体１１は、内部にファン１２（枠部材）が嵌合するように収容される一対の凹状のファン装着部１３（右側面板１１ｅの一部、下面板１１ｃの一部及び下面板１１ｃに一体的に立設された内壁１４により構成されている）を有している。ユニット筐体１１は、ファン装着部１３の底面（下面板１１ｃ）に、ファン１２の吸気口に対応する通気口（第１の通気口）１５を有しているとともに、この通気口１５に蜘蛛の巣状のフィンガーガード部（第１のフィンガーガード部）１５ａを有している。
【００２３】
フィンガーガード部１５ａは、小径円板と同心円上に複数の径の異なるリング状の細線を配置し、半径方向に概略９０度の間隔で支持線を四個配置したような形状で、下面板１１ｃの通気口１５に位置されて、ユニット筐体１１と一体成型されている。これらのリング状の細線及び支持線の断面形状は、空気抵抗を少なくするために円形、長円形又は楕円形となっている。
【００２４】
ユニット筐体１１は、図３及び図４に示されているように、ファン装着部１３の底面（下面板１１ｃの内面）に、内側に突出する複数のテーパ状のファン固定用突起１６を一体的に有している。これらのファン固定用突起１６はファン１２のファン固定用穴１２ａに対応した位置に形成されている。
【００２５】
ユニット筐体１１の左側面板１１ｄとこれに対面する内壁１４との間の部分は、各種のケーブルを敷設するためのケーブルダクトとなっており、左側面板１１ｄ及びこれに対面する内壁１４には、ケーブルダクト内に敷設されたケーブルがこのケーブルダクトから抜け出すのを防止するための複数のケーブル用突起１４ａ、１１ｆが互い違いに形成されている。
【００２６】
図５及び図６に示されているように、一対のファン装着部１３の上面開口は、それぞれ上面板１７により開放可能に閉塞される。上面板１７は、樹脂モールド成型加工により一体成型されており、ファン１２の排気口に対応する位置に通気口（第２の通気口）１８を有しているとともに、この通気口１８に蜘蛛の巣状のフィンガーガード部（第２のフィンガーガード部）１８ａを有している。
【００２７】
フィンガーガード部１８ａは、小径円板と同心円上に複数の径の異なるリング状の細線を配置し、半径方向に概略９０度の間隔で支持線を四個配置したような形状で、上面板１７の通気口１８に位置されて、上面板１７と一体成型されている。これらのリング状の細線及び支持線の断面形状は、空気抵抗を少なくするために円形、長円形又は楕円形となっている。
【００２８】
上面板１７は一方の側縁に概略Ｕ字状で先端部に係合突起を有する一対のラッチ部１７ａを有し、他方の側縁に一対の係合突起（爪）１７ｂを有している。ユニット筐体１１の左側面板１１ｄにはラッチ部１７ａの係合突起が係合する係合穴（第１の係合穴）が形成されており、右側面板１１ｅには係合突起１７ｂが係合する係合穴（第２の係合穴）が形成されている。
【００２９】
上面板１７はフィンガーガード部１８ａの概略中央部の内面に突起するファン押圧部１８ｂを有している。ファン１２は、ファン装着部１３に挿入（嵌入）されると、ファン１２の前記ファン固定用穴１２ａにファン固定用突起１６が嵌入されることにより支持・固定される。
【００３０】
次に、上面板１７の係合突起１７ｂを右側面板１１ｅの対応する係合穴に挿入（係合）せしめ、この挿入部を支点として上面板１７をファン１２側に回転して押圧すると、ラッチ部１７ａが僅かに撓んでその先端の係合突起が左側面板１１ｄの対応する係合穴に係合することにより、上面板１７のファン押圧部１８ｂによりファン１２が押圧された状態となる。これによりファン１２がユニット筐体１１に確実に固定される。
【００３１】
図２及び図３において、ユニット筐体１１の表面板１１ａの外面には、このファンユニット３の持ち運び、キャビネット１に対する着脱等のために、把手１９が取り付けられている。表面板１１ａには内外に貫通する複数の穴２０が形成されている。
【００３２】
ユニット筐体１１の後面板１１ｂには、電子装置との電気的な接続のためのユニット側コネクタ２２が取り付けられている。このユニット側コネクタ２２は、キャビネット１の内部のキャビネット側コネクタに嵌合・接続される。
【００３３】
図７及び図８は、ファンユニットのプリント配線板収容部近傍の構成を示す断面図である。表面板１１ａとファン装着部１３（表面板１１ａ側のもの）との間には、プリント配線板２３を収容するための凹状のプリント配線板収容部が形成されている。
【００３４】
プリント配線板２３上には、ＬＥＤ（表示ランプ）２３ａ、ヒューズ２３ｂ及びＩＣ２３ｃ等を含む電子部品が実装されている。プリント配線板２３の上縁部の両隅部近傍にはそれぞれ貫通穴２３ｄが形成されている。
【００３５】
ユニット筐体１１の下面板１１ｃの内面側には、表面板１１ａに対して概略平行な方向に上側が開口したプリント配線板ガイド溝２４が形成されている。表面板１１ａの内面には、先端に細径部を有する一対のプリント配線板押さえ突起２５ａ及び先端に鉤型の爪部を有するプリント配線板押さえ爪２５ｂが形成されている。
【００３６】
プリント配線板２３は、図７に示されているように、その下縁をプリント配線板ガイド溝２４に挿入し、この部分を支点として表面板１１ａ側に回転させると、プリント配線板押さえ突起２５ａの先端部がプリント配線板２３の貫通穴２３ｄに挿入されるとともに、プリント配線板押さえ爪２５ｂがプリント配線板２３の上縁に係合することにより、図８に示されているように、ユニット筐体１１に装着される。この状態で、ＬＥＤ２３ａやヒューズ２３ｂは、表面板１１ａの貫通穴２０を介して外部に露出するようになっている。
【００３７】
図９、図１０及び図１１はファンユニットの後面板近傍の構成を示す図である。ユニット筐体１１の後面板１１ｂには、概略コの字状のコネクタ用切欠部２６が形成されており、このコネクタ用切欠部２６にユニット側コネクタ２２が装着されている。ユニット側コネクタ２２は一対の貫通穴を有する概略矩形板状のフランジ部２２ａを有しており、後面板１１ｂのコネクタ用切欠部２６の内面には、このフランジ部２２ａが挿入されるコネクタ用ガイド溝２６ａが形成されている。また、コネクタ用ガイド溝２６ａには、ユニット側コネクタ２２のフランジ部２２ａの貫通穴に対応した位置に貫通穴２６ｂ及び上面側が傾斜した係合突起２６ｃが形成されている。
【００３８】
ユニット側コネクタ２２は、コネクタ用切欠部２６のコネクタ用ガイド溝２６ａに沿って挿入され、フランジ部２２ａの貫通穴に係合突起２６ｃが挿入（係合）されることにより、ユニット筐体１１に装着される。
【００３９】
後面板１１ｂのコネクタ用切欠部２６の両側近傍には、キャビネット１のキャビネット側コネクタの両側近傍にそれぞれ配設されたユニットガイド用突起が挿入されるガイド穴２７がそれぞれ形成されている。
【００４０】
図１２乃至図１６は、ファンユニットをキャビネットに固定するためのユニット固定用ネジ及びその取付部近傍の構成を示す図である。
ユニット筐体１１の前面板１１ａの下側は下面板１１ｃを越えて突出しており、この突出部の両側隅部近傍に、ユニット固定用ネジ２８が取り付けられる。ユニット固定用ネジ２８は、図１４及び図１５に示されているように、頭部２８ａ、首部２８ｂ及びネジ部２８ｃからなり、首部２８ｂはネジ部２８ｃよりも小径となっている。
【００４１】
このユニット固定用ネジ２８にはストッパ部材２９が取り付けられている。ストッパ部材２９は、両端部をそれぞれ外側大径部２９ａとし、これらの外側大径部２９ａの間の部分を外側小径部２９ｂとするとともに、一端部側を内側大径部２９ｃとし、他端部側を内側小径部２９ｄとした概略円筒状の部材である。
【００４２】
ストッパ部材２９の内側小径部２９ｄの内径は、ユニット固定用ネジ２８の首部２８ｂの外径より僅かに小さく設定されており、内側大径部２９ｃの内径は、ユニット固定用ネジ２８のネジ部２８ｃの外径より僅かに大きく設定されている。
【００４３】
ユニット固定用ネジ２８は、首部２８ｂがストッパ部材２９の内側小径部２９ｄを貫通した状態で保持されており、ネジ部２８ｃがストッパ部材２９の内側大径部２９ｃ内に陥没し又はストッパ部材２９から突出するように軸方向にスライドできるようになっている。３０はワッシャーである。
【００４４】
ユニット筐体１１の前面板１１ａの下面板１１ｃを越えて突出した部分の両側隅部近傍には、図１２及び図１３に示されているように、ストッパ部材２９の外側大径部２９ａ及び外側小径部２９ｂが着脱可能に嵌合されるように、凹状のユニット固定用ネジ取付部３１が形成されている。ユニット固定用ネジ２８を保持したストッパ部材２９は、図１６に示されているように、ユニット固定用ネジ取付部３１に嵌合されることにより、ユニット筐体１１に保持される。ファンユニット３は、キャビネット１に挿入され、ユニット固定用ネジ２８をキャビネット１の対応するネジ穴に締結することにより、キャビネット１に固定される。
【００４５】
上述した実施の形態によると、以下のような各種の利益を得ることができる。即ち、ユニット筐体１１を樹脂モールド形成加工により各構成部分（フィンガーガード部１５を含む）を一体成型しているから、従来の板金加工によるものと比較して、製造の容易化、軽量化、低コスト化が図れる。
【００４６】
ファン１２は、ユニット筐体１１のファン装着部１３に挿入（嵌入）することにより、ファン固定用突起１６がファン１２の枠部材のファン固定用穴１２ａに嵌入され、次いで上面板１７を取り付けることにより、上面板１７のファン押圧部１８ｂにより押圧され、ユニット筐体１１に固定するようにしたから、従来のように複数の特殊なネジにより固定していたものと比較して、部品点数が少なく、装着、交換等の作業が容易である。
【００４７】
プリント配線板２３のユニット筐体１１への装着は、ガイド溝２４にプリント配線板２３の下縁を挿入して回転させることにより、プリント配線板押さえ突起２５ａ、プリント配線板押さえ爪２５ｂにより固定するようにしたから、装着、交換作業が容易である。
【００４８】
ユニット側コネクタ２２は、そのフランジ部２２ａを後面板１１ｂのコネクタ用切欠部２６の溝に沿って、フランジ部２２ａの穴に係合突起２６ｃが係合するまで挿入することにより、ユニット筐体１１に取り付けるようにしたから、取付作業が容易であるとともに、部品点数が少なくて済む。
【００４９】
ファンユニット３をキャビネット１に固定するためのユニット固定用ネジ２８は、ストッパ部材２９に装着され、ストッパ部材２９を前面板１１ａのユニット固定用ネジ取付部３１に嵌合することにより、ユニット筐体１１に取り付けるようにしたから、ユニット固定用ネジ２８の取付作業が簡単であるとともに、ユニット固定用ネジ２８の姿勢が安定しており、ファンユニット３をキャビネット１に実装する際の作業が容易で、信頼性の高い実装が可能となる。
【００５０】
次に、上述した実施の形態の一部の構成を変更したものについて、いくつか例示する。
図１７及び図１８は、上述した実施の形態の上面板の構成を変更した第１の変更例を示している。図５及び図６と比較するとその違いが容易に理解できる。即ち、上面板１７の通気口１８への手指の挿入について問題とならない場合には、フィンガーガード部（１８ａ）を省略することができる。この場合には、ファン１２を押圧するためのファン押圧部１８ｃは通気口１８の周縁部近傍に形成することができる。
【００５１】
図１９は、上述した実施の形態の上面板の構成を変更した第２の変更例を示している。図６と比較するとその違いが容易に理解できる。上面板１７のフィンガーガード部１８ｄは、周縁部から中央部に行くに従って、内側に陥没（突出）するように形成されている。このフィンガーガード部１８ｄの中央部１８ｅがファン１２に対するファン押圧部となる。
【００５２】
図２０は、上述した実施の形態のユニット筐体及び上面板の構成を変更した第３の変更例を示している。図６と比較するとその違いが容易に理解できる。図６においては、ユニット筐体１１と上面板１７とはそれぞれ別々に樹脂モールド成型加工により成型されていた。ここでは、ユニット筐体１１と上面板１７を薄肉ヒンジ部３２を介して連結されるように一体成型することにより上面板１７を開閉できるようにしている。部品点数の削減及び取扱いの容易化を図ることができる。
【００５３】
図２１及び図２２は、上述した実施の形態のプリント配線板装着部の構成を変更した第４の変更例を示している。図７及び図８と比較するとその違いが容易に理解できる。即ち、図７及び図８におけるプリント配線板押さえ突起２５ａ及びプリント配線板押さえ爪２５ｂを廃止し、ユニット筐体１１の左側面板１１ｄ及び右側面板１１ｅの内側に上面開口から底面板１１ｃに向かってプリント配線板ガイドレール（溝）３３を相対するようにそれぞれ形成したものである。
【００５４】
プリント配線板２３は、図２１に示されているように、プリント配線板２３の両側縁をこれらのプリント配線板ガイドレール３３に沿わしめて、挿入することにより、図２２に示されているように、ユニット筐体１１のプリント配線板装着部に装着される。
【００５５】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように構成したので、ファンユニットの軽量化、製造・組立・実装作業の容易化、及び低コスト化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態の電子装置の外観を示す斜視図である。
【図２】本発明の実施の形態のファンユニットの斜視図である。
【図３】本発明の実施の形態のユニット筐体の平面図である。
【図４】本発明の実施の形態のユニット筐体の断面図である。
【図５】本発明の実施の形態のファンユニットの一部を拡大した平面図である。
【図６】本発明の実施の形態のファンユニットの断面図である。
【図７】本発明の実施の形態のプリント配線板装着作業中におけるファンユニットの前面板近傍の断面図である。
【図８】本発明の実施の形態のプリント配線板装着後におけるファンユニットの前面板近傍の断面図である。
【図９】本発明の実施の形態のファンユニットの裏面図である。
【図１０】本発明の実施の形態のファンユニットの後面板近傍の平面図である。
【図１１】図１０のＡ−Ａ線に沿った断面図である。
【図１２】本発明の実施の形態のユニット筐体のユニット固定用ネジ取付部の正面図である。
【図１３】本発明の実施の形態のユニット筐体のユニット固定用ネジ取付部の断面図である。
【図１４】本発明の実施の形態のユニット固定用ネジ及びストッパ部材を示す図であって、ネジ部をストッパ部材に埋没させた状態を示している。
【図１５】本発明の実施の形態のユニット固定用ネジ及びストッパ部材を示す図であって、ネジ部をストッパ部材から突出させた状態を示している。
【図１６】本発明の実施の形態のユニット固定用ネジ取付部にユニット固定用ネジを取り付けた状態を示す断面図である。
【図１７】本発明の実施の形態の上面板の構成の一部を変更した第１の変更例を示す一部拡大平面図である。
【図１８】本発明の実施の形態の上面板の構成の一部を変更した第１の変更例を示す断面図である。
【図１９】本発明の実施の形態の上面板の構成の一部を変更した第２の変更例を示す断面図である。
【図２０】本発明の実施の形態のユニット筐体及び上面板の構成の一部を変更した第３の変更例を示す断面図である。
【図２１】本発明の実施の形態のユニット筐体の構成の一部を変更した第４の変更例を示す断面図であって、プリント配線板装着作業中を示している。
【図２２】本発明の実施の形態のユニット筐体の構成の一部を変更した第４の変更例を示す断面図であって、プリント配線板装着後を示している。
【符号の説明】
１ キャビネット
２ シェルフ
３ ファンユニット
１１ ユニット筐体
１１ａ 前面板
１１ｂ 後面板
１１ｃ 底面板
１１ｄ 左側面板
１１ｅ 右側面板
１２ ファン
１３ ファン装着部
１４ 内壁
１５ 第１の通気口
１５ａ 第１のフィンガーガード部
１６ ファン固定用突起
１７ 上面板
１８ 第２の通気口
１８ａ 第２のフィンガーガード部
１９ 把手
２２ ユニット側コネクタ
２３ プリント配線板
２４ ガイド溝
２５ａ プリント配線板押さえ突起
２５ｂ プリント配線板押さえ爪
２６ コネクタ用切欠部
２８ ユニット固定用ネジ
２９ ストッパ部材
３１ ユニット固定用ネジ取付部
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の電子回路ユニットを収容した電子装置のキャビネットに着脱可能に挿入・実装される、該キャビネット内を強制空冷するためのファンユニットに関する。
【０００２】
【従来の技術】
通信装置等の電子装置においては、バックボードを有するシェルフ内に、プリント配線板に複数の電子部品を実装してなる複数の電子回路ユニットを挿入して該バックボードにプラグイン接続し、さらにこのようなシェルフを他のシェルフとともに、キャビネットに収容して装置を構成するようにしている。キャビネットには、キュビネット内を強制空冷するために複数のファンユニットが挿入・実装される。
【０００３】
ファンユニットは、板金を折り曲げて上面が開放された箱状に形成されたユニット筐体に、ファンを取り付けて構成される。ファンは、吸気口及び排気口を有する概略矩形状の枠部材の概略中央部に、作動軸に羽が取り付けられたモータを支持してなり、この羽の回転により枠部材の吸気口から排気口に向かって空気流を生じさせる装置である。
【０００４】
ファンの吸気口及び排気口には、人間の手指が挿入されるのを防止するため、複数の径の異なるリング状に形成された針金を同心円上に配設して、半径方向に概略９０度の間隔で概略Ｕ字状の針金を四個配置して、これらの交差部を溶接等により接着してなるフィンガーガードがそれぞれ配置されている。ファン及び一対のフィンガーガードは、特殊形状を有する複数のファン取付用ネジによりユニット筐体に取り付けられる。ユニット筐体の下面には、通気口が形成されており、この通気口にファンの吸気口が相対している。
【０００５】
ユニット筐体の前面板（表面板）には、このファンユニットの持ち運び、キャビネットに対する着脱等のために、把手が取り付けられている。また、ユニット筐体の前面板には、このファンユニットをキャビネットに固定するためのユニット固定用ネジが取り付けられている。このユニット固定用ネジは、前面板に形成された貫通口に挿入され、ストッパが取り付けられることにより、前面板から落下しないように取り付けられる。
【０００６】
ユニット筐体の前面板の内側近傍には、表示ランプを含む電子部品が実装されたプリント配線板がネジ止め固定されており、前面板の該表示ランプに対応した部分には、表示ランプを外部から目視できるようにするための貫通穴が形成されている。
【０００７】
ユニット筐体の後面板にはキャビネット奥部に配置されたキャビネット側コネクタに嵌合されるユニット側コネクタがネジ止め固定されている。このユニット側コネクタはファン及びプリント配線板にケーブルを介して電気的に接続されている。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術によると、以下のような問題があった。
ユニット筐体は板金で形成されているので、ファンユニットの重量が非常に重く、取扱いが不便であった。
【０００９】
ファン及びフィンガーガードがユニット筐体にファン固定用ネジにより取り付けられているので、ファンが故障した場合にファン固定用ネジの取り外し、取り付けのための作業が煩雑であった。
【００１０】
ファン、プリント配線板、コネクタ等の構成部品をネジにより取り付けるようにしているから、構成部品点数が多く、コスト高であった。特にファン取付用ネジは特殊形状なので高価であった。
【００１１】
ユニット固定用ネジの姿勢がその構造上一定していないので、キャビネットのネジ穴との位置が整合しない場合が多く、ファンユニットのキャビネットへの実装作業が煩雑であった。このユニット固定用ネジのユニット筐体の前面板への取付作業も煩雑であった。
【００１２】
よって、本発明の目的は、ファンユニットの低重量化、組立・実装作業等の作業の容易化、及び低コスト化を図ることである。
【００１３】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【００１４】
本発明によると、複数の電子回路ユニットを収容した電子装置のキャビネットに着脱可能に挿入・実装される、該キャビネット内を強制空冷するためのファンユニットであって、作動軸に羽が取り付けられたモータを枠部材に支持してなり、該羽の回転により空気流を生じさせるようにしたファン手段と、前面板、後面板、下面板及び一対の側面板を有し、上面が開口された概略直方体形状で、前記ファン手段が嵌合するように収容される上面が開口された凹状のファン装着部及び該下面板の該ファン装着部の底面に相当する部分に該ファン手段による空気流が通気される貫通穴である第１の通気口を有するように、樹脂モールド成型加工により一体成型したユニット筐体と、前記ファン手段による空気流が通気される貫通穴である第２の通気口を有し、樹脂モールド成型加工により成型され、前記ユニット筐体の前記ファン装着部の上面開口を閉塞するように、該ユニット筐体に着脱可能に取り付けた上面板とを備え、前記上面板の前記第２の通気口に、手指が挿入されるのを防止する蜘蛛の巣状の第１のフィンガーガード部を一体成型し、前記第１のフィンガーガード部の中央部に、該上面板を前記ファン装着部に取り付けた状態で、前記ファン手段の前記枠部材を前記下面板側に押圧するように内側に突出するファン押圧部を一体成型したことを特徴とするファンユニットが提供される。
【００１５】
ユニット筐体を樹脂モールド成型加工により一体成型しているから、軽量化が図れる。ファンをユニット筐体の凹状のファン装着部に嵌合させることにより取り付けるようにしたから、ネジが省略でき、ファン取付作業が容易化される。ネジが省略できる等、部品点数が減少するから低コスト化が図れる。
【００１６】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図１は本発明が適用されたファンユニットが挿入・実装される電子装置の斜視図である。
【００１７】
同図において、１は通信装置等の電子装置のキャビネットであり、キャビネット１内には、複数のシェルフ２が収容されている。シェルフ２は、その上下面は空気が流通できるように開放されており、奥側にバックボードを有している。シェルフ２は正面に開口を有しており、この正面開口から複数の電子回路ユニットを縦てた状態で挿入し、該バックボードにプラグイン接続した後に、この正面開口は正面板により閉塞される。電子回路ユニットは、プリント配線板上にＩＣ、ＬＳＩ、コネクタ等の複数の電子部品を実装して構成される。
【００１８】
キャビネット１の最下段には空気吸入用の開口が形成されている。キャビネット１の最上段には、複数のファンユニット３が挿入・実装される。これらのファンユニット３は、キュビネット１内を強制空冷するための装置であり、キャビネット１の下側から上側に空気流を生じせしめ、キャビネット１の内部を冷却する。キャビネット１のファンユニット３が挿入・実装される部分の奥側には、ファンユニット３と電気的な接続を行うためのキャビネット側コネクタ及び一対のユニットガイド用突起が配設されている。
【００１９】
図２はファンユニットの全体構成を示す斜視図である。図３はユニット筐体の一部を拡大した平面図、図４は同じく断面図である。図５はファンユニットの一部を拡大した平面図、図６は同じく断面図である。
【００２０】
ファンユニット３は、ユニット筐体１１内に一対のファン（ファン手段）１２を収容して構成されている。ファン１２は、下側に吸気口及び上側に排気口を有する概略矩形状の枠部材の概略中央部に、作動軸に羽が取り付けられたモータを支持して構成され、該羽の回転により該枠部材の該吸気口から該排気口に向かって空気流を生じさせる装置である。この枠部材は四隅部にそれぞれ上下に貫通する穴（ファン固定用穴）１２ａを有している。
【００２１】
ユニット筐体１１は、前面板（表面板）１１ａ、後面板１１ｂ、下面板１１ｃ、左側面板１１ｄ及び右側面板１１ｅを有し、下面板１１ｃに対向する面が開放された概略直方体形状を有しており、樹脂モールド成型加工により一体成型されている。
【００２２】
ユニット筐体１１は、内部にファン１２（枠部材）が嵌合するように収容される一対の凹状のファン装着部１３（右側面板１１ｅの一部、下面板１１ｃの一部及び下面板１１ｃに一体的に立設された内壁１４により構成されている）を有している。ユニット筐体１１は、ファン装着部１３の底面（下面板１１ｃ）に、ファン１２の吸気口に対応する通気口（第１の通気口）１５を有しているとともに、この通気口１５に蜘蛛の巣状のフィンガーガード部（第１のフィンガーガード部）１５ａを有している。
【００２３】
フィンガーガード部１５ａは、小径円板と同心円上に複数の径の異なるリング状の細線を配置し、半径方向に概略９０度の間隔で支持線を四個配置したような形状で、下面板１１ｃの通気口１５に位置されて、ユニット筐体１１と一体成型されている。これらのリング状の細線及び支持線の断面形状は、空気抵抗を少なくするために円形、長円形又は楕円形となっている。
【００２４】
ユニット筐体１１は、図３及び図４に示されているように、ファン装着部１３の底面（下面板１１ｃの内面）に、内側に突出する複数のテーパ状のファン固定用突起１６を一体的に有している。これらのファン固定用突起１６はファン１２のファン固定用穴１２ａに対応した位置に形成されている。
【００２５】
ユニット筐体１１の左側面板１１ｄとこれに対面する内壁１４との間の部分は、各種のケーブルを敷設するためのケーブルダクトとなっており、左側面板１１ｄ及びこれに対面する内壁１４には、ケーブルダクト内に敷設されたケーブルがこのケーブルダクトから抜け出すのを防止するための複数のケーブル用突起１４ａ、１１ｆが互い違いに形成されている。
【００２６】
図５及び図６に示されているように、一対のファン装着部１３の上面開口は、それぞれ上面板１７により開放可能に閉塞される。上面板１７は、樹脂モールド成型加工により一体成型されており、ファン１２の排気口に対応する位置に通気口（第２の通気口）１８を有しているとともに、この通気口１８に蜘蛛の巣状のフィンガーガード部（第２のフィンガーガード部）１８ａを有している。
【００２７】
フィンガーガード部１８ａは、小径円板と同心円上に複数の径の異なるリング状の細線を配置し、半径方向に概略９０度の間隔で支持線を四個配置したような形状で、上面板１７の通気口１８に位置されて、上面板１７と一体成型されている。これらのリング状の細線及び支持線の断面形状は、空気抵抗を少なくするために円形、長円形又は楕円形となっている。
【００２８】
上面板１７は一方の側縁に概略Ｕ字状で先端部に係合突起を有する一対のラッチ部１７ａを有し、他方の側縁に一対の係合突起（爪）１７ｂを有している。ユニット筐体１１の左側面板１１ｄにはラッチ部１７ａの係合突起が係合する係合穴（第１の係合穴）が形成されており、右側面板１１ｅには係合突起１７ｂが係合する係合穴（第２の係合穴）が形成されている。
【００２９】
上面板１７はフィンガーガード部１８ａの概略中央部の内面に突起するファン押圧部１８ｂを有している。ファン１２は、ファン装着部１３に挿入（嵌入）されると、ファン１２の前記ファン固定用穴１２ａにファン固定用突起１６が嵌入されることにより支持・固定される。
【００３０】
次に、上面板１７の係合突起１７ｂを右側面板１１ｅの対応する係合穴に挿入（係合）せしめ、この挿入部を支点として上面板１７をファン１２側に回転して押圧すると、ラッチ部１７ａが僅かに撓んでその先端の係合突起が左側面板１１ｄの対応する係合穴に係合することにより、上面板１７のファン押圧部１８ｂによりファン１２が押圧された状態となる。これによりファン１２がユニット筐体１１に確実に固定される。
【００３１】
図２及び図３において、ユニット筐体１１の表面板１１ａの外面には、このファンユニット３の持ち運び、キャビネット１に対する着脱等のために、把手１９が取り付けられている。表面板１１ａには内外に貫通する複数の穴２０が形成されている。
【００３２】
ユニット筐体１１の後面板１１ｂには、電子装置との電気的な接続のためのユニット側コネクタ２２が取り付けられている。このユニット側コネクタ２２は、キャビネット１の内部のキャビネット側コネクタに嵌合・接続される。
【００３３】
図７及び図８は、ファンユニットのプリント配線板収容部近傍の構成を示す断面図である。表面板１１ａとファン装着部１３（表面板１１ａ側のもの）との間には、プリント配線板２３を収容するための凹状のプリント配線板収容部が形成されている。
【００３４】
プリント配線板２３上には、ＬＥＤ（表示ランプ）２３ａ、ヒューズ２３ｂ及びＩＣ２３ｃ等を含む電子部品が実装されている。プリント配線板２３の上縁部の両隅部近傍にはそれぞれ貫通穴２３ｄが形成されている。
【００３５】
ユニット筐体１１の下面板１１ｃの内面側には、表面板１１ａに対して概略平行な方向に上側が開口したプリント配線板ガイド溝２４が形成されている。表面板１１ａの内面には、先端に細径部を有する一対のプリント配線板押さえ突起２５ａ及び先端に鉤型の爪部を有するプリント配線板押さえ爪２５ｂが形成されている。
【００３６】
プリント配線板２３は、図７に示されているように、その下縁をプリント配線板ガイド溝２４に挿入し、この部分を支点として表面板１１ａ側に回転させると、プリント配線板押さえ突起２５ａの先端部がプリント配線板２３の貫通穴２３ｄに挿入されるとともに、プリント配線板押さえ爪２５ｂがプリント配線板２３の上縁に係合することにより、図８に示されているように、ユニット筐体１１に装着される。この状態で、ＬＥＤ２３ａやヒューズ２３ｂは、表面板１１ａの貫通穴２０を介して外部に露出するようになっている。
【００３７】
図９、図１０及び図１１はファンユニットの後面板近傍の構成を示す図である。ユニット筐体１１の後面板１１ｂには、概略コの字状のコネクタ用切欠部２６が形成されており、このコネクタ用切欠部２６にユニット側コネクタ２２が装着されている。ユニット側コネクタ２２は一対の貫通穴を有する概略矩形板状のフランジ部２２ａを有しており、後面板１１ｂのコネクタ用切欠部２６の内面には、このフランジ部２２ａが挿入されるコネクタ用ガイド溝２６ａが形成されている。また、コネクタ用ガイド溝２６ａには、ユニット側コネクタ２２のフランジ部２２ａの貫通穴に対応した位置に貫通穴２６ｂ及び上面側が傾斜した係合突起２６ｃが形成されている。
【００３８】
ユニット側コネクタ２２は、コネクタ用切欠部２６のコネクタ用ガイド溝２６ａに沿って挿入され、フランジ部２２ａの貫通穴に係合突起２６ｃが挿入（係合）されることにより、ユニット筐体１１に装着される。
【００３９】
後面板１１ｂのコネクタ用切欠部２６の両側近傍には、キャビネット１のキャビネット側コネクタの両側近傍にそれぞれ配設されたユニットガイド用突起が挿入されるガイド穴２７がそれぞれ形成されている。
【００４０】
図１２乃至図１６は、ファンユニットをキャビネットに固定するためのユニット固定用ネジ及びその取付部近傍の構成を示す図である。
ユニット筐体１１の前面板１１ａの下側は下面板１１ｃを越えて突出しており、この突出部の両側隅部近傍に、ユニット固定用ネジ２８が取り付けられる。ユニット固定用ネジ２８は、図１４及び図１５に示されているように、頭部２８ａ、首部２８ｂ及びネジ部２８ｃからなり、首部２８ｂはネジ部２８ｃよりも小径となっている。
【００４１】
このユニット固定用ネジ２８にはストッパ部材２９が取り付けられている。ストッパ部材２９は、両端部をそれぞれ外側大径部２９ａとし、これらの外側大径部２９ａの間の部分を外側小径部２９ｂとするとともに、一端部側を内側大径部２９ｃとし、他端部側を内側小径部２９ｄとした概略円筒状の部材である。
【００４２】
ストッパ部材２９の内側小径部２９ｄの内径は、ユニット固定用ネジ２８の首部２８ｂの外径より僅かに小さく設定されており、内側大径部２９ｃの内径は、ユニット固定用ネジ２８のネジ部２８ｃの外径より僅かに大きく設定されている。
【００４３】
ユニット固定用ネジ２８は、首部２８ｂがストッパ部材２９の内側小径部２９ｄを貫通した状態で保持されており、ネジ部２８ｃがストッパ部材２９の内側大径部２９ｃ内に陥没し又はストッパ部材２９から突出するように軸方向にスライドできるようになっている。３０はワッシャーである。
【００４４】
ユニット筐体１１の前面板１１ａの下面板１１ｃを越えて突出した部分の両側隅部近傍には、図１２及び図１３に示されているように、ストッパ部材２９の外側大径部２９ａ及び外側小径部２９ｂが着脱可能に嵌合されるように、凹状のユニット固定用ネジ取付部３１が形成されている。ユニット固定用ネジ２８を保持したストッパ部材２９は、図１６に示されているように、ユニット固定用ネジ取付部３１に嵌合されることにより、ユニット筐体１１に保持される。ファンユニット３は、キャビネット１に挿入され、ユニット固定用ネジ２８をキャビネット１の対応するネジ穴に締結することにより、キャビネット１に固定される。
【００４５】
上述した実施の形態によると、以下のような各種の利益を得ることができる。即ち、ユニット筐体１１を樹脂モールド形成加工により各構成部分（フィンガーガード部１５を含む）を一体成型しているから、従来の板金加工によるものと比較して、製造の容易化、軽量化、低コスト化が図れる。
【００４６】
ファン１２は、ユニット筐体１１のファン装着部１３に挿入（嵌入）することにより、ファン固定用突起１６がファン１２の枠部材のファン固定用穴１２ａに嵌入され、次いで上面板１７を取り付けることにより、上面板１７のファン押圧部１８ｂにより押圧され、ユニット筐体１１に固定するようにしたから、従来のように複数の特殊なネジにより固定していたものと比較して、部品点数が少なく、装着、交換等の作業が容易である。
【００４７】
プリント配線板２３のユニット筐体１１への装着は、ガイド溝２４にプリント配線板２３の下縁を挿入して回転させることにより、プリント配線板押さえ突起２５ａ、プリント配線板押さえ爪２５ｂにより固定するようにしたから、装着、交換作業が容易である。
【００４８】
ユニット側コネクタ２２は、そのフランジ部２２ａを後面板１１ｂのコネクタ用切欠部２６の溝に沿って、フランジ部２２ａの穴に係合突起２６ｃが係合するまで挿入することにより、ユニット筐体１１に取り付けるようにしたから、取付作業が容易であるとともに、部品点数が少なくて済む。
【００４９】
ファンユニット３をキャビネット１に固定するためのユニット固定用ネジ２８は、ストッパ部材２９に装着され、ストッパ部材２９を前面板１１ａのユニット固定用ネジ取付部３１に嵌合することにより、ユニット筐体１１に取り付けるようにしたから、ユニット固定用ネジ２８の取付作業が簡単であるとともに、ユニット固定用ネジ２８の姿勢が安定しており、ファンユニット３をキャビネット１に実装する際の作業が容易で、信頼性の高い実装が可能となる。
【００５０】
次に、上述した実施の形態の一部の構成を変更したものについて、いくつか例示する。
図１７及び図１８は、上述した実施の形態の上面板の構成を変更した第１の変更例を示している。図５及び図６と比較するとその違いが容易に理解できる。即ち、上面板１７の通気口１８への手指の挿入について問題とならない場合には、フィンガーガード部（１８ａ）を省略することができる。この場合には、ファン１２を押圧するためのファン押圧部１８ｃは通気口１８の周縁部近傍に形成することができる。
【００５１】
図１９は、上述した実施の形態の上面板の構成を変更した第２の変更例を示している。図６と比較するとその違いが容易に理解できる。上面板１７のフィンガーガード部１８ｄは、周縁部から中央部に行くに従って、内側に陥没（突出）するように形成されている。このフィンガーガード部１８ｄの中央部１８ｅがファン１２に対するファン押圧部となる。
【００５２】
図２０は、上述した実施の形態のユニット筐体及び上面板の構成を変更した第３の変更例を示している。図６と比較するとその違いが容易に理解できる。図６においては、ユニット筐体１１と上面板１７とはそれぞれ別々に樹脂モールド成型加工により成型されていた。ここでは、ユニット筐体１１と上面板１７を薄肉ヒンジ部３２を介して連結されるように一体成型することにより上面板１７を開閉できるようにしている。部品点数の削減及び取扱いの容易化を図ることができる。
【００５３】
図２１及び図２２は、上述した実施の形態のプリント配線板装着部の構成を変更した第４の変更例を示している。図７及び図８と比較するとその違いが容易に理解できる。即ち、図７及び図８におけるプリント配線板押さえ突起２５ａ及びプリント配線板押さえ爪２５ｂを廃止し、ユニット筐体１１の左側面板１１ｄ及び右側面板１１ｅの内側に上面開口から底面板１１ｃに向かってプリント配線板ガイドレール（溝）３３を相対するようにそれぞれ形成したものである。
【００５４】
プリント配線板２３は、図２１に示されているように、プリント配線板２３の両側縁をこれらのプリント配線板ガイドレール３３に沿わしめて、挿入することにより、図２２に示されているように、ユニット筐体１１のプリント配線板装着部に装着される。
【００５５】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように構成したので、ファンユニットの軽量化、製造・組立・実装作業の容易化、及び低コスト化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態の電子装置の外観を示す斜視図である。
【図２】本発明の実施の形態のファンユニットの斜視図である。
【図３】本発明の実施の形態のユニット筐体の平面図である。
【図４】本発明の実施の形態のユニット筐体の断面図である。
【図５】本発明の実施の形態のファンユニットの一部を拡大した平面図である。
【図６】本発明の実施の形態のファンユニットの断面図である。
【図７】本発明の実施の形態のプリント配線板装着作業中におけるファンユニットの前面板近傍の断面図である。
【図８】本発明の実施の形態のプリント配線板装着後におけるファンユニットの前面板近傍の断面図である。
【図９】本発明の実施の形態のファンユニットの裏面図である。
【図１０】本発明の実施の形態のファンユニットの後面板近傍の平面図である。
【図１１】図１０のＡ−Ａ線に沿った断面図である。
【図１２】本発明の実施の形態のユニット筐体のユニット固定用ネジ取付部の正面図である。
【図１３】本発明の実施の形態のユニット筐体のユニット固定用ネジ取付部の断面図である。
【図１４】本発明の実施の形態のユニット固定用ネジ及びストッパ部材を示す図であって、ネジ部をストッパ部材に埋没させた状態を示している。
【図１５】本発明の実施の形態のユニット固定用ネジ及びストッパ部材を示す図であって、ネジ部をストッパ部材から突出させた状態を示している。
【図１６】本発明の実施の形態のユニット固定用ネジ取付部にユニット固定用ネジを取り付けた状態を示す断面図である。
【図１７】本発明の実施の形態の上面板の構成の一部を変更した第１の変更例を示す一部拡大平面図である。
【図１８】本発明の実施の形態の上面板の構成の一部を変更した第１の変更例を示す断面図である。
【図１９】本発明の実施の形態の上面板の構成の一部を変更した第２の変更例を示す断面図である。
【図２０】本発明の実施の形態のユニット筐体及び上面板の構成の一部を変更した第３の変更例を示す断面図である。
【図２１】本発明の実施の形態のユニット筐体の構成の一部を変更した第４の変更例を示す断面図であって、プリント配線板装着作業中を示している。
【図２２】本発明の実施の形態のユニット筐体の構成の一部を変更した第４の変更例を示す断面図であって、プリント配線板装着後を示している。
【符号の説明】
１ キャビネット
２ シェルフ
３ ファンユニット
１１ ユニット筐体
１１ａ 前面板
１１ｂ 後面板
１１ｃ 底面板
１１ｄ 左側面板
１１ｅ 右側面板
１２ ファン
１３ ファン装着部
１４ 内壁
１５ 第１の通気口
１５ａ 第１のフィンガーガード部
１６ ファン固定用突起
１７ 上面板
１８ 第２の通気口
１８ａ 第２のフィンガーガード部
１９ 把手
２２ ユニット側コネクタ
２３ プリント配線板
２４ ガイド溝
２５ａ プリント配線板押さえ突起
２５ｂ プリント配線板押さえ爪
２６ コネクタ用切欠部
２８ ユニット固定用ネジ
２９ ストッパ部材
３１ ユニット固定用ネジ取付部
Claims (15)
- 複数の電子回路ユニットを収容した電子装置のキャビネットに着脱可能に挿入・実装される、該キャビネット内を強制空冷するためのファンユニットであって、
作動軸に羽が取り付けられたモータを枠部材に支持してなり、該羽の回転により空気流を生じさせるようにしたファン手段と、
前面板、後面板、下面板及び一対の側面板を有し、上面が開口された概略直方体形状で、前記ファン手段が嵌合するように収容される上面が開口された凹状のファン装着部及び該下面板の該ファン装着部の底面に相当する部分に該ファン手段による空気流が通気される貫通穴である第１の通気口を有するように、樹脂モールド成型加工により一体成型したユニット筐体と、
前記ファン手段による空気流が通気される貫通穴である第２の通気口を有し、樹脂モールド成型加工により成型され、前記ユニット筐体の前記ファン装着部の上面開口を閉塞するように、該ユニット筐体に着脱可能に取り付けた上面板とを備え、
前記上面板の前記第２の通気口に、手指が挿入されるのを防止する蜘蛛の巣状の第１のフィンガーガード部を一体成型し、
前記第１のフィンガーガード部の中央部に、該上面板を前記ファン装着部に取り付けた状態で、前記ファン手段の前記枠部材を前記下面板側に押圧するように内側に突出するファン押圧部を一体成型したことを特徴とするファンユニット。 - 請求項１に記載のファンユニットにおいて、
前記ユニット筐体の前記第１の通気口に、手指が挿入されるのを防止する蜘蛛の巣状の第２のフィンガーガード部を一体成型したファンユニット。 - 請求項２に記載のファンユニットにおいて、
前記ファン装着部の底面に上面方向に突出する複数のピン部を一体成型し、
前記ファン手段の前記枠部材に、前記ピン部のそれぞれに対応して該ピン部が嵌入される複数のファン固定用穴を形成したファンユニット。 - 請求項１に記載のファンユニットにおいて、
前記ユニット筐体の前記一対の側面板のうちの一方の縁部近傍に第１の係合穴を形成し、
前記ユニット筐体の前記一対の側面板のうちの他方の縁部近傍に第２の係合穴を形成し、
前記上面板の前記第１の係合穴に対応する位置に該第１の係合穴に解除可能に係合する第１の係合突起を形成し、
前記上面板の前記第２の係合穴に対応する位置に該第２の係合穴に解除可能に係合する第２の係合突起を形成したファンユニット。 - 請求項１に記載のファンユニットにおいて、
前記上面板の前記第２のフィンガーガード部は、周縁部から中央部に行くに従って、内側に陥没するように形成され、該上面板を前記ファン装着部に取り付けた状態で、該第２のフィンガーガード部の中央部が前記ファン手段の前記枠部材を前記下面板側に押圧するようにしたファンユニット。 - 請求項１に記載のファンユニットにおいて、
前記上面板は、前記ユニット筐体の前記一対の側面板のうちの一方の上面開口側の縁部に薄肉ヒンジ部を介して接合されるように、前記ユニット筐体と一体成型されたファンユニット。 - 請求項６に記載のファンユニットにおいて、
前記ユニット筐体の前記一対の側面板のうちの他方の上面開口側の縁部近傍に係合穴を形成し、
前記上面板の前記係合穴に対応する位置に該係合穴に解除可能に係合する係合突起を形成したファンユニット。 - 請求項１に記載のファンユニットにおいて、
前記ユニット筐体の前記前面板の内面側近傍に、表示ランプを含む電子部品が実装されたプリント配線板が収容される上面が開口された凹状のプリント配線板収容部及び前記下面板の該プリント配線板収容部の底面に相当する部分に該プリント配線板の下縁を案内するガイド溝を形成し、
前記前面板の内面に、前記プリント配線板の上縁に解除可能に係合するプリント配線板押さえ手段を内側に突出するように形成し、
前記プリント配線板の下縁を前記ガイド溝に挿入し、該下縁を支点として前記前面板側に回転させて前記プリント配線板押さえ手段に該プリント配線板の上縁を係合せしめることにより、該プリント配線板を該プリント配線板収容部に収容するとともに、この状態で、前記表示ランプを含む電子部品の一部が露出するように該前面板の対応する位置に貫通穴を形成したファンユニット。 - 請求項１に記載のファンユニットにおいて、
前記ユニット筐体の前記前面板の内面側近傍に、表示ランプを含む電子部品が実装されたプリント配線板を収容する上面が開口された凹状のプリント配線板収容部及び前記一対の側面板の内面に相対するように該プリント配線板の両側縁を案内するガイド溝を形成し、
前記ガイド溝に沿って前記プリント配線板を挿入することにより、該プリント配線板を前記プリント配線板収容部に収容した状態で、前記表示ランプを含む電子部品の一部が露出するように該前面板の対応する位置に貫通穴を形成したファンユニット。 - 請求項１に記載のファンユニットにおいて、
前記後面板に一部が露出するように取り付けられた前記電子装置との電気的接続のためのコネクタ手段を備えたことを特徴とするファンユニット。 - 請求項１０に記載のファンユニットにおいて、
前記コネクタ手段は概略矩形板状のフランジ部を有し、
前記ユニット筐体の前記後面板に前記上面開口側が開口する概略コの字状のコネクタ用切欠部を形成し、該コネクタ用切欠部の内面に沿って前記コネクタ手段の前記フランジ部を案内するコネクタ用ガイド溝を形成したファンユニット。 - 請求項１１に記載のファンユニットにおいて、
前記コネクタ手段の前記フランジ部は一対のコネクタ固定用穴を有し、
前記ユニット筐体の前記コネクタ用ガイド溝の該コネクタ固定用穴に対応する位置に、該コネクタ固定用穴に係合するコネクタ固定用突起を形成したファンユニット。 - 請求項１に記載のファンユニットにおいて、
外側大径部及び外側小径部を有するとともに、内側大径部及び内側小径部を有する概略円筒状のストッパ部材に、該ストッパ部材の内側小径部より小径の首部及び該内側小径部よりも大径で該内側大径部よりも小径のネジ部を有する首付きネジを、該首付きネジの該首部が該ストッパ部材の内側小径部に遊嵌されるとともに、該首付きネジの該ネジ部が該ストッパ部材の内側大径部に埋没し又は外側へ突出するようにスライド可能に保持せしめ、
前記ユニット筐体の前記前面板に突出するユニット固定用縁部を形成するとともに、該ユニット固定用縁部に、前記ストッパ部材が着脱可能に嵌合される凹状のユニット固定用ネジ取付部を形成し、
前記ストッパ部材を該ユニット固定用ネジ取付部に嵌合させることにより、前記首付きネジを前記ユニット筐体に保持させたファンユニット。 - 請求項１に記載のファンユニットにおいて、
前記ユニット筐体の前記ファン装着部と前記側面板との間の部分に、前記後面板から前記前面板近傍に至る上面が開口された凹状の切溝であるケーブルダクトを形成し、
前記コネクタ手段と前記ファン手段とを電気的に接続するケーブルを該ケーブルダクト内に収容するようにしたファンユニット。 - 請求項１４に記載のファンユニットにおいて、
前記ケーブルダクトの前記上面開口の近傍の相対する内壁に、前記ケーブルの抜け防止用の複数の突起を交互に形成したファンユニット。
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