JP3740943B2 - 材料試験機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、材料試験機に係わり、特に、圧子を試験材料に押しつけてその圧痕から試料の硬度を測定する微小硬度計や圧縮・引張試験機に関する。
【0002】
【従来の技術】
材料の硬度を評価するために、所定の荷重をかけられた圧子が試料に押し込まれ、その圧痕から試料の硬さを測定する微小硬度計がある。ビッカース硬度計などにおいては、先端が所定の形状に形成された圧子を試料に押しこむために、永久磁石と電磁コイルを利用した負荷装置が使用されている。
図3に従来の微小硬度計を示す。枠体1内に昇降可能に設けられた試料台2には、互いに直交するXY方向に移動可能なステージ3が着脱自在に設けられ、ステージ3上に試料4が載置固定される。
【0003】
枠体1内に設けられた自動平衡型電子天秤タイプの荷重装置9は、図4に詳しく示すように、マグネット8bおよび電磁コイル8aからなる電磁力発生装置8を有し、この電磁力発生装置8は制御部13aから電磁コイル8aに供給される電流に応じた力を発生する。電磁力発生装置8の下方には、支点7回りに揺動可能なレバー24の一端が位置して電磁コイル8aと連結され、電磁力発生装置8で発生する力によりレバー24が支点7を中心に回動する。電磁コイル8aへの供給電流を増加させることによりレバー24の回動量が増加し、供給電流を一定値に保持するとレバー24はそのときの回動姿勢で保持される。
【0004】
レバー24の他端は板バネ25およびブラケット26を介して圧子保持部材27に連結され、保持部材27の図示下端には上記ステージ3上の試料4を抑圧するための圧子5が取付けられている。リンク29は、一端が保持部材27の上下部に、他端が固定部28にそれぞれ回動可能に連結された一対のリンクであり、これらのリンク29により平行リンク機構が構成される。レバー24の回動に従って保持部材27すなわち圧子5は、平行リンク機構の作用により同一姿勢を保ちつつ昇降する。
【0005】
図3の6は、圧子5の変位量を検出する差動トランス式の変位検出器であり、その検出結果は制御部13aの変位測定部16に入力される。制御部13aは、変位検出器6からの入力信号により変位測定部16で測定された変位dと、負荷設定部21で所定の荷重レベルを設定し、電流供給部14から電磁コイル8aへ電力が供給され、電流測定部15で測定された電流Iから得られる圧子5の試料4への押圧荷重F=kI(k:電流と力の変換係数)に基づいて所定の演算処理を行い、試料4の硬さデータとして、見かけの力Fと変位dと硬度を表示部22に表示する。
なお、10は補助的装置としての光学モニタであり、対物レンズ11や接眼レンズ12等を備え、試料4の表面における試験位置を測定したり、圧子5によって試料表面に形成された窪みの状態を作業者が観察するために用いられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の材料試験機は以上のように構成されているが、電磁力発生装置8の電磁コイル8aに流れる電流Iを電流測定部15で測定し、その電流Iの値から圧子5の押圧荷重Fを演算する時、単純に電流Iと見かけの力Fとの変換係数kを乗ずることにより押圧荷重F=kIを算出していた。あるいは、試験後に、試料4に接触するまでの変位dと電流Iの相関を求め、この値により上記押圧荷重Fを補正して真の押圧荷重F’としていた。
【0007】
上記のように、単純に電流Iと見かけの力Fとの変換係数kを乗ずることにより押圧荷重F=kIを算出する方法は、圧子5の無負荷時の電流値Iによる補正がなされていないので誤差を含んだ値となり、また、試験後に計算して補正する方法では、リアルタイムに測定値を得ることが出来ないという問題がある。そのため設定された力まで負荷することができないという問題がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、試験後に測定値を補正するような方法でなく、リアルタイムで真の押圧荷重Fを得ることができる材料試験機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の材料試験機は、電磁力発生手段によって所定の荷重を試料に加え、その変形量を計測して試料の硬さや圧縮・引張強度を測定する材料試験機において、電磁力発生手段に電流を流す電流供給部と、駆動される圧子が試料に接触するまでの間、および所定の荷重を試料に加えた時の圧子の変位を測定する変位測定部と、電流を測定する電流測定部と、その測定されたデータを処理する制御部とを備え、制御部は圧子の無負荷時の変位dと電流Iの相関関係のデータから係数αをα=I/dとして算出し、リアルタイムで真の押圧荷重FをF=k(I−αd)として演算し(kは電流と力の変換係数)、真の押圧荷重が設定値に到達したら試験を終了し、演算された真の荷重値と変位量を表示部に表示することを特徴とする。
【0010】
本発明の材料試験機は上記のように構成されており、電磁力発生手段に電流を流し、駆動される圧子が試料に接触するまでの間の圧子の変位と電流が、変位測定部と電流測定部で測定され、CPUがその非接触時の変位と電流の相関関係のデータから補正値を算出し、そして、試験中に、見かけ上の力から非接触時の力を差し引いた補正を、リアルタイムでCPUで行ない、真の力が試料に荷重されるところで試験を終了することができる。また、演算された真の荷重値と変位量を表示部に表示することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の材料試験機の一実施例を図1を参照しながら説明する。図1は本発明の材料試験機の計測システムを示す図である。本材料試験機は、試験機本体と、その制御部13と、表示部22から構成されている。
試験機本体は、従来の微小硬度計と同じで、ステージ3を設けその上に試料4が載置固定され昇降可能な試料台2と、枠体1内に設けられた、自動平衡型電子天秤タイプの荷重装置9と、圧子5の変位を検出する変位検出器6と、補助的装置としての光学モニタ10とから構成されている。
【0012】
試料台2は、互いに直交するXY方向に移動可能なステージ3が着脱自在に設けられ、ステージ3上に試料4が載置固定されて、昇降可能な機構を有する。
荷重装置9は、図4に示すように、マグネット8bおよび電磁コイル8aからなる電磁力発生装置8を有し、この装置8は、制御部13から電磁コイル8aに供給される電流に応じた力を発生する。電磁力発生装置8の下方には、支点7の回りに揺動可能なレバー24の一端が位置して電磁コイル8aと連結され、電磁力発生装置8で発生する力によりレバー24が支点7を中心に回動する。電磁コイル8aへの供給電流を増加させることによりレバー24の回動量が増加し、供給電流を一定値に保持すると、レバー24はそのときの回動姿勢で保持される。
【0013】
レバー24の他端は板バネ25およびブラケット26を介して圧子保持部材27に連結され、保持部材27の図示下端には上記ステージ3上の試料4を抑圧するための圧子5が取付けられている。リンク29は、一端が保持部材27の上下部に、他端が固定部28にそれぞれ回動可能に連結された一対のリンクであり、これらのリンク29により平行リンク機構が構成される。レバー24の回動に従って保持部材27すなわち圧子5は、平行リンク機構の作用により同一姿勢を保ちつつ昇降する。
【0014】
変位検出器6は、圧子5の変位量を検出する差動トランス式のものであり、その検出結果は制御部13の変位測定部16に入力される。
光学モニタ10は、補助的装置として使用され、対物レンズ11や接眼レンズ12等を備え、試料4の表面における試験位置を測定したり、圧子5によって試料表面に形成された窪みの状態を作業者が観察するために用いられる。
【0015】
制御部13は、荷重装置9の電磁コイル8aに電流を供給するための電流供給部14と、その電磁コイル8aに流れる電流を測定する電流測定部15と、その電流によって駆動される荷重装置9の圧子5の変位量を変位検出部6で検出し測定する変位測定部16と、負荷値を設定する負荷設定部21と、各部の制御と取り込んだデータから補正値を算出し真の押圧荷重Fを演算するデータ処理装置のCPU20と、CPU20と各部とのインターフェースとしてのD/A変換器17及びA/D変換器18、19とから構成されている。
負荷設定部21は、試料4の押圧荷重Fを設定するもので、その設定値がCPU20を介してD/A変換器17でアナログ値に変換され、電流供給部14から電流が電磁コイル8aに供給される。
【0016】
電流測定部15は、電磁コイル8aに流れる電流を測定するもので、圧子5が試料4に接触するまでの変位に対してリニヤな関係の電流値と、接触して設定押圧荷重になった時の電流値とを測定し、その値はA/D変換器18でデジタル値に変換され、CPUで演算処理される。
変位測定部16は、圧子5の変位量を変位検出器6で検出するもので、その値はA/D変換器19でデジタル値に変換され、CPUで演算処理される。
表示部22は、制御部13のCPU20で演算された真の押圧荷重Fと、圧子5による試料4の変位dと、その結果による硬度、及びその他の試料の情報などを表示する。
【0017】
次に本材料試験機の操作、及び、CPU20のデータ処理について説明する。まず、押圧荷重値が負荷設定部21でCPU20に入力される。その値に応じて電流供給部14から電流が電磁コイル8aに供給され、マグネット8bとの反発力で支点7により圧子5に力が加えられる。圧子5が試料4に接触するまでの間は、図2に示すように、電流Iと圧子5の変位dは、リニヤな相関関係が存在する。この電流Iと変位dのα=I/dをCPU20は演算する。このα値を記憶装置に格納しておく。この作業は試験前に行なっておいても良い。
【0018】
圧子5が試料に接触したことを検知する方法として、圧子5が試料に接触するまでは、α=I/dの値が一定で変化しないが、接触すると同時にαの値が増加する。その時点を接触時とする。そして、試験中には圧子5が試料4に接触し、所定の押圧荷重値になるまで電流が流されて、圧子5が試料4に押し当てられた時の圧子5の変位dと電流Iが、変位測定部16と電流測定部15で測定される。その時、CPU20は演算式F=k(I−αd)を演算する。ここでkは、電流Iと力Fの変換係数とする。このF値が負荷設定部21で設定した押圧荷重値になれば、試験を終了する。
【0019】
演算式F=k(I−αd)の第一項kIは、見かけ上の力を表し、第二項kαdは、圧子5が試料4に接触しない時の力であり、この第二項kαdの力は、試料4に加えられる力ではない。したがって、この成分を補正するために第一項から第二項の分を差し引いた補正を必要とする。CPU20はこの演算をリアルタイムで行なう。
【0020】
上記の実施例ではCPU20を用いてデジタル制御を行なったが、D/A変換器17、A/D変換器18、19を用いずにアナログ制御の電気回路でもデータ処理F=k(I−αd)の演算を行なうこともできる。
また、上記の実施例では微小硬度計について説明したが、試験材料に圧縮荷重または引張荷重をかける圧縮・引張試験機にも同様に適用することができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明の材料試験機は上記のように構成されており、試験以前に求められた圧子の非接触時の電流と変位の相関関係を用いて、試験中に、見かけ上の力から非接触時の力を差し引いた補正を、リアルタイムでCPUで行ない、真の力が試料に荷重されるところで試験を終了することができる。そのため、従来のような試験後のデータ補正を必要とせず、補正された力を使って、設定された押圧荷重に到達すれば試験が終了するので、本機能を有する硬度計、圧縮・引張試験機において安価で精密な測定を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の材料試験機の一実施例を示す図である。
【図2】 圧子が試料に接するまでの変位と駆動電流の関係を示す図である。
【図3】 従来の材料試験機を示す図である。
【図4】 材料試験機の駆動部の機構を示す図である。
【符号の説明】
1…枠体
2…試料台
3…ステージ
4…試料
5…圧子
6…変位検出器
7…支点
8…電磁力発生装置
8a…電磁コイル
8b…マグネット
9…荷重装置
10…光学モニタ
11…対物レンズ
12…接眼レンズ
13…制御部
14…電流供給部
15…電流測定部
16…変位測定部
17…D/A変換器
18…A/D変換器
19…A/D変換器
20…CPU
21…負荷設定部
22…表示部
23…押圧荷重演算部
24…レバー
25…板バネ
26…ブラケット
27…保持部材
28…固定部
29…リンク

Claims (1)

  1. 電磁力発生手段によって所定の荷重を試料に加え、その変形量を計測して試料の硬さや圧縮・引張強度を測定する材料試験機において、電磁力発生手段に電流を流す電流供給部と、駆動される圧子が試料に接触するまでの間、および所定の荷重を試料に加えた時の圧子の変位を測定する変位測定部と、電流を測定する電流測定部と、その測定されたデータを処理する制御部とを備え、制御部は圧子の無負荷時の変位dと電流Iの相関関係のデータから係数αをα=I/dとして算出し、リアルタイムで真の押圧荷重FをF=k(I−αd)として演算し(kは電流と力の変換係数)、真の押圧荷重が設定値に到達したら試験を終了し、演算された真の荷重値と変位量を表示部に表示することを特徴とする材料試験機。
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