JP3739482B2 - 尿中の有形成分分析方法および試薬 - Google Patents

尿中の有形成分分析方法および試薬 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フローサイトメトリを応用した尿中の有形成分の分折方法および分析試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
腎・尿路系の感染症、炎症性病変、変性病変、結石症、腫瘍などの疾患では、それぞれの疾患に応じて、尿中に種々の有形成分が出現する。有形成分としては、赤血球、白血球、上皮細胞、円柱、細菌、真菌、結晶などが挙げられる。尿中のこれらの成分を分析することは、腎・尿路系の疾患の早期発見や異常部位の推定をする上で特に重要である。例えば、赤血球の測定は、腎臓の糸球体から尿道に至る経路における出血の有無を判定する上で重要であり、白血球の出現は、腎孟腎炎などの腎疾患や尿路系の細菌汚染の疑いが考えられ、炎症、感染症を早期発見することができる。また、円柱や赤血球形態を調べることにより、その由来部位を推定できる。
【0003】
従来より尿中の有形成分の分析は、顕微鏡による目視検査が広く行われている。まず、尿を遠心分離して濃縮し、その沈渣物を顕微鏡スライド上に滴下し、染色後顕微鏡下で分類・計数を行うものである。
【0004】
また近年では、フラットシースフローと画像処理技術とを組み合わせた自動測定装置が開発されている。これは、シース液を外層とし、極めて偏平な流れにされた尿試料液をビデオカメラで撮像し、この静止画像を面像処理することにより、試料液中の有形成分の像を切り出して表示するものである。その表示を検査技師が見ながら有形成分を判別し、分類処理が行われる。
【0005】
一方、細胞を分析する方法としては、フローサイトメータによる分析が知られている。これは、試料中の細胞を染色液で染色し、フローセル中に一個ずつ流して励起光を照射し、染色された細胞から発せられる蛍光強度や散乱光強度を測定するもので、短時間に多くの細胞を処理することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで尿検体は、採取後時間が経過するとともに有形成分の変性、細菌数の増加などの変化が起きるため、採取後なるべく早いうちに検査することが望まれる。
【0007】
顕微鏡による目視検査では、尿検体の遠心、濃縮等の前処理に手間や時間がかかる上、鏡検作業は検査技師にとって大きな負担になる。また、観察細胞数が少ないため検査精度が低い。一方、画像処理技術を利用した自動測定装置においては、鏡検作業に比べれば負担が軽減される点では有利であるものの、有形成分の判別は検査技師が行わなければならず、処理速度も遅いため検体数の多い場合には必ずしも満足できるものではない。また、目視検査においても画像処理による自動測定装置においても、有形成分の判別には熟練を要する。
【0008】
フローサイトメトリーを尿分折に応用した方法では、迅速に測定が行える点で有利であるが、白血球と小型上皮細胞(例えば尿細管上皮細胞等)が同時に出現するような検体では、それらの蛍光強度や散乱光強度が互いに類似しているため、これらのパラメータのみでは弁別が困難である。白血球の出現は、主に腎・尿路系の感染症を反映し、―方小型上皮細胞の出現は、腎・尿路系の結石や悪性腫瘍等を示唆し臨床的意義は全く異なる。従って、これらを弁別することは臨床上重要である。
【0009】
また、尿中にシュウ酸カルシウム結晶が出現すると赤血球との弁別が困難になる。例えば、通常尿中に出現する結晶成分は、酸、アルカリやキレート剤等の添加や加熱処理等によって溶解させることができるが、シュウ酸カルシウム結晶のうち大きなものは、これらの処理によっては短時間では溶解しない。このような場合、蛍光色素で染色しフローサイトメータで測定すると、赤血球の出現領域とオーバラップしてしまう場合があり、明瞭に区別することは困難になる。
【0010】
さらには、赤血球と酵母様真菌が同時に出現するような検体においては、変形赤血球と酵母様真菌の出現領域がオーバラップすることがあり、それらを互いに弁別するのが困難な場合がある。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、フローサイトメトリによる尿中の有形成分の分析において、互いに弁別の困難な成分の分析方法、ならびにこのような分析に使用する分析試薬を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、尿試料を染色してフローサイトメータを用いて分析するにあたり、尿試料と、
1)蛍光染料、緩衝剤及び浸透圧補償剤とを含む染色液、および
2)細胞膜損傷剤
とを混合したのち、分析することを特徴とする。
【0013】
細胞膜損傷剤としては、酸、アルカリ、水溶性界面活性剤、水溶性有機溶剤、100mOsm/kg以下の低浸透圧水溶液などが挙げられるが、好適には水溶性界面活性剤が用いられる。例えば、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が用いられる。
【0014】
カチオン性界面活性剤としては、四級アンモニウム塩型またはピリジニウム塩型のもので、以下の構造を有するものが好適に用いられる。
【0015】
【化1】
Figure 0003739482
(式中R1、R2及びR3は同一又は異なって、H原子、C1-8のアルキル基又はC6-8のアラルキル基;R4はC8-18のアルキル基、C8-18のアルケニル基又はC6-18のアラルキル基;R5はC8-18のアルキル基;Xはアニオン)
このうち、R1、R2およびR3におけるC1-8のアルキル基又はC6-8のアラルキル基としては、オクチル、ヘプチル、ヘキシル、ベンジルなどを挙げることができるが、メチル、エチルなどのC1-3のアルキル基が好ましい。また、R4におけるC8-18のアルキル基、C8-18のアルケニル基又はC6-18のアラルキル基としては、オクチル、ベンジルなどを挙げることができるが、例えば、デシル、ドデシル、テトラデシルなどのC10-18の直鎖のアルキル基が好ましい。また、R5におけるC8-18のアルキル基としては、デシル、ドデシル、テトラデシルなどのC10-18の直鎖のアルキル基が好ましい。これらカチオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、セチルジメチルエチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
【0016】
ノニオン性界面活性剤としては、以下の構造を有するポリオキシエチレングリコール系のものが好適に用いられる。
【0017】
【化2】
Figure 0003739482
具体的には、ポリオキシエチレングリコールノニルフェニルエーテル20モル付加物、ポリオキシエチレングリコールオレイルエーテル20モル付加物などが挙げられる。
【0018】
両性界面活性剤としては、以下の構造を有するアルキルベタイン系のものが好適に用いられる。
【0019】
【化3】
Figure 0003739482
(式中、R1、R2及びR4は上記の定義と同じ;nは1又は2)
両性界面活性剤の具体例には、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどが挙げられる。
【0020】
水溶性界面活性剤の濃度は、尿中白血球の蛍光強度を変化させるのに十分な、または尿中赤血球中のヘモグロビンが流出するのに十分な濃度であり、希釈した尿試料中で約50〜5000mg/l、好ましくは約100〜2500mg/1、より好ましくは約170〜1600mg/1で用いられる。濃度が高すぎると、白血球が完全に破壊され計数できなくなるので好ましくない。
【0021】
これらの水溶性界面活性剤は、血液中の赤血球の溶解剤として公知であるが、尿中に出現する細胞への作用については知られていない。通常、溶解剤を用いて細胞を前処理する場合、溶解剤の細胞への作用は、共存する物質(タンパクや糖等)の影響を受けるが、血液と尿では、細胞一個当たりの共存物質量は尿の方が多い。また、pHや浸透圧も血液とは一般には異なる。従って、同じ白血球に対してであっても、血液中と尿中では細胞膜損傷剤の作用も異なってくる。
【0022】
本発明で使用される細胞膜損傷剤は、染色前あるいは染色後に使用される。好ましくは、染色前に使用される。または、染色液の一成分として予め存在させておいてもよい。白血球と小型上皮細胞とを弁別する場合、または赤血球と酵母様真菌とを弁別する場合には、染色液の一成分として予め存在させておいてもよい。赤血球とシュウ酸カルシウム結晶と弁別する場合には、細胞膜損傷剤と染色液とは別の試薬とするのが好ましい。
【0023】
本発明で使用される染色液は、蛍光染料、pH緩衝剤、および浸透圧補償剤を含み、その例としては、特開平4―337459号に記載の試薬、又は特願平7―267454号に記載されたような試薬、つまり(i)pH5.0〜9.0に保つための緩衝剤、(ii)浸透圧を100m0sm/kg〜600m0sm/kgに保つための浸透圧補償剤、(iii)細胞膜を染色しうる染料、(iv)損傷を受けた細胞を染色しうる染料及び(v)キレート剤を含む試薬が挙げられる。または、(iii)及び(iv)の染料のかわりに赤色波長で励起可能な染料を用いることもできる。
【0024】
染色液に含まれる緩衝剤は測定試料のpHを一定に保つために用いられる。緩衝剤としては公知のものを使用することができ、例えばトリス、MES、HEPES、Tricineなどのグッド緩衝剤を挙げることができる。HEPESが好ましい。濃度は、用いる緩衝剤の緩衝能に応じて、尿検体を希釈したときにpHが一定範囲内(pH5.0〜9.0)になる濃度で用いられる。通常は20〜500mM、好ましくは50〜200mMである。
【0025】
蛍光染料としては、上述したように細胞膜を染色しうる染料と、損傷を受けた細胞を染色しうる染料とを組み合わせて使用することが好ましく、このような場合には励起光源として青色波長を有する光を用いることができる。
【0026】
細胞膜を染色する染料としては、例えば、縮合ベンゼン誘導体、特にオキサカルボシアニン系色素であるDiOCn(3)(n=1〜6)を用いることが好ましく、DiOC6(3)がより好ましい。これらの染料は例えばNK−シリーズとして日本感光色素研究所(株)より入手できる。その他の好ましい縮合ベンゼン誘導体には、NK−91、NK−528、NK−97、Basic Yellow 11、Basic Red 14を含む。細胞膜を染色する染料の濃度は、最終濃度(測定試料中の濃度)が1〜30ppmとなる範囲で用いられ、5〜20ppmが好適である。
【0027】
また、損傷を受けた細胞を染色しうる染料としては、例えば、EB(エチジウムブロマイド)またはPI(プロピジウムアイオダイド)を用いることができる。濃度は、最終濃度が1〜100ppmとなる範囲で用いられ、30〜60ppmが好適である。
【0028】
本発明では、上記2種の染料を組み合わせて用い、青色波長を有する光で励起する代わりに、赤色波長で励起可能な染料を用いることもできる。このような染料として、以下の化合物からなる群のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる:NK−321、NK−1590、NK−529、NK−2780、NK−2782、Oxazine 4、NK−138、Basic Green、Capri Blue GON、Basic Green 4、NK−2783、Basic Blue 1、NK−375、Oxazine 750 perchlorate、NK−1954、Basic Blue 20、Basic Blue 24、Oxazine 720、NK−1836、NK−136、Nile Blue Chloride、NK−1511、NK−376、NK−2711、Iodine Green、NK−96、Rhodnile Blue、Capri Blue BB、Basic Blue 124、およびBasic Blue 1。赤色波長で励起可能な染料の濃度は、最終濃度が1〜300ppmの範囲で用いられ、5〜100ppmが好適である。
【0029】
浸透圧補償剤は、浸透圧を100〜600m0sm/kg、より好ましくは150〜500mOsm/kgに保つものを使用することができる。浸透圧補償剤としては、無機塩類やプロピオン酸塩などの有機塩類、糖類などが用いられる。無機塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウムなど、プロピオン酸塩としては、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸アンモニウムなど、その他の有機塩類としては、シュウ酸塩、酢酸塩など、糖類としては、ソルビトール、グルコース、マンニトールなどが挙げられる。
【0030】
染色液は1液構成とすることもできるし、あるいは染料を含む液と、pH緩衝剤と浸透圧補償剤を含む希釈液との2液で構成することもできる。2液構成とする場合には、染料は水溶液中で不安定なものが多いため、染色液として染料を水溶性有機溶媒に溶解させることで保存安定性を高めることができる。さらに、染色液には安定化剤を加えてもよい。この場合の使用可能な水溶性有機溶媒としては、低級アルカノール、低級アルキレングリコールまたは低級アルキレングリコールモノ低級アルキルエーテルが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどを使用することができる。中でもエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが好ましく、特にエチレングリコールが好ましい。
【0031】
本発明の方法によれば、尿試料は測定前に細胞膜損傷剤で処理され、染色される。このとき、処理される尿試料の希釈倍率は、分析精度を考慮すると最終の希釈倍率で2〜20倍が好ましく、より好ましくは4〜10倍である。尿試料の染色及び細胞膜損傷剤による処理は、室温から40℃までの範囲で、好ましくは33〜37℃で、5〜120秒間、好ましくは10〜60秒間行うことが好ましい。希釈・染色された尿試料をフローセル中に流して励起光を照射し、染色された細胞から発せられる蛍光強度や散乱光強度(前方又は側方)を測定する。励起光の波長は、使用する蛍光染料に応じて決定すればよいが、特開平4―337459号に記載の試薬及び上述の(iii)、(iv)の染料を組み合わせて使用する場合は青色波長(488nm付近)を、赤色励起可能な染料を使用する場合は赤色波長(630nm付近)を使用する。
【0032】
本発明の方法を用いる尿試料の測定に好適に用いられるフローサイトメータの一例を図1に示す。まず、弁1および2を所定時間開けることにより、廃液チャンバからの陰圧により吸引ノズル3から試料液が弁1および2に満たされる。シリンジ4が一定流量で液を押し出すことにより、試料用ノズル6から試料液が吐出されると同時に、弁8を開けることによりフローセル5のチャンバ7にシース液が供給される。これによって試料は図1に示されるように、チャンバ7の内径にしたがって細く絞られシースフローを形成し、オリフィス11を通過する。オリフィス11の形状は内径の一辺が100〜300μmの角柱形状をし、材質は光学硝子(石英硝子を含む)でできている。このようにシースフローを形成することによって粒子を1個ずつオリフィス11の中心を一列に整列して流すことができる。オリフィス11を通過した試料液とシース液とはチャンバ25に設けた回収管14を通って排出される。
【0033】
電極13はチャンバ25の内部に設けられた白金製でプラス電極とし、電極12はチャンバ7の内部に設けられたステンレス製でマイナス電極としている。この電極12および13間の電気抵抗は、シース液の抵抗率(電気伝導度)、オリフィスの孔寸法(孔断面積)と孔長、試料液の抵抗率、試料液の流れている時の径によって決まる。
【0034】
電源15は直流定電流源で電極12および13間に供給している。電極12および13間に定電流を流すことにより、電極12および13間の電気抵抗と電流値により決まる直流電圧が発生する。粒子がオリフィス11を通過すると、オリフィス11の両端の電気抵抗が変化する。よって、粒子がオリフィス11を通過している間のみ電極12および13間に発生する電圧が大きくなる。しかも、オリフィス11を通過する粒子の大きさに比例して、パルス状の電圧が発生するため、この分の電圧のみ大きくなり、この電圧が前記直流電圧に重畳され、電極12および13間に洗われる。従って、これをアンプ16で検出することにより、抵抗信号29が出力されることになる。
【0035】
オリフィス11のほぼ中心のサンプル流26へレーザ17から発振したレーザ光がコンデンサレンズ18で楕円状に絞られて照射される。レーザ光の形状は試料の流れの方向には血球粒子径と同程度、例えば10μm前後と狭く、試料の流れ方向および照射光軸方向と直交する方向の形状は、血球粒子径より十分広く、例えば150〜300μm程度である。サンプル流26に照射されたレーザ光で細胞(有形物)に当たらずそのままフローセル5を通過した透過光はビームストッパ19で遮光される。細胞(有形物)に照射され、狭い角度で発せられる前方散乱光および前方蛍光はコレクターレンズ20により集光され、遮光板30のピンホール21を通過する。そして、ダイクロイックミラー22に到達する。散乱光より長波長の蛍光はそのまま高率でダイクロイックミラー22を透過し、フィルター23でさらに散乱光が除かれた後にフォトマルチプライヤーチューブ(PMT)24で検出され、電気信号27に変換されて出力される。散乱光はダイクロイックミラー22で反射され、フォトダイオード31で受光されて電気信号28に変換されて出力される。
【0036】
本発明の方法によると、細胞膜損傷剤によリダメージを受けた白血球は強く染色され、蛍光強度が強くなり、散乱光強度が小さくなる。一方、小型上皮細胞は、細胞膜損傷剤の影響をほとんど受けず、蛍光強度及び散乱光強度はあまり変化しない。従って、白血球と小型上皮細胞とを弁別することができるようになる。
【0037】
赤血球は、細胞膜損傷剤により溶解するが、結晶や酵母様真菌は溶解せずに残る。また、細胞膜損傷剤で処理せずに測定したものも測定しておき、これら2つのスキャッタグラム比較すれば、赤血球と結晶あるいは酵母様真菌とを弁別できる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、これまで弁別することが困難であった細胞を弁別することができる。また、本発明では尿試料と染色液および細胞膜損傷剤を混合して短時間で測定できるために、有形成分の変性や細菌数の増加などの変化が少なく精度よく測定できる。また、フローサイトメトリによる多数の検体の迅速な測定が可能となる。
【0039】
【実施例】
本発明の尿中の有形成分分析方法を以下の実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明の範囲はこれに限定されない。
【0040】
以下の処方により細胞膜損傷剤、染色液および希釈液を調製し、これを以下の実施例に用いた。
【0041】
細胞膜損傷剤
界面活性剤 ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド 3.14g/l
塩化ナトリウム 1.78g/l
精製水 1l
【0042】
染色液
細胞膜染色染料 1,1-ジヘキシル-2,2-オキサカルボシアニン 400ppm
損傷細胞染色染料 エチジウムブロマイド 1600ppm
上記染料をエチレングリコールに溶解 1l
【0043】
Figure 0003739482
【0044】
実施例1
原尿として、白血球出現検体、小型上皮細胞(尿細管上皮細胞)出現検体及び両検体を混合したものを用いて測定を行った。
【0045】
原尿400μlに細胞膜損傷剤260μl加えて室温で30秒反応させたのち、希釈液900μl及び染色液40μlを加え(最終希釈倍率4倍)、35℃、10秒間インキュベーションした後、アルゴンレーザを光源とするフローサイトメータで前方蛍光強度及び前方散乱光強度を測定した。
【0046】
また、原尿400μlに希釈液1160μl及び染色液40μlを加え、同じ条件でインキュベーションしたものを対照とした。
【0047】
得られたスキャッタグラムを図2のA〜Fに示す。
【0048】
図に示したように、細胞膜損傷剤で処理しない場合は、白血球と小型上皮細胞はほぼ同じ位置に出現し両者を弁別することはできない(図2Aは白血球出現検体、図2Cは小型上皮細胞出現検体、図2Eは両者を混合した場合)。細胞膜損傷剤で処理することによって、白血球の散乱光強度と蛍光強度が変化する(図2B)一方、小型上皮細胞は変化しない(図2D)ので、両者を弁別することが可能になる(図2F)。
【0049】
実施例2
原尿として、赤血球、シュウ酸カルシウム結晶及び白血球が同時に出現した検体を用いて測定を行った。
【0050】
原尿1mlに対し、細胞膜損傷剤を50μlを加え、室温で50秒間反応させた。反応させた試料400μ1に希釈液1160μl及び染色液40μlを加え、35℃、10秒間インキュベーションしたのち、アルゴンレーザを光源とするフローサイトメータで前方蛍光強度及び前方散乱光強度を測定した。
【0051】
また、原尿400μlに希釈液1160μl及び染色液40μlを加え、同じ条件でインキュベーションしたものを対照とした。
【0052】
得られたスキャッタグラムを図3のA〜Cに示す。
【0053】
白血球は、強い蛍光を発するので、細胞膜損傷剤を加えなくても、赤血球やシュウ酸カルシウム結晶とは弁別することができる(図3A)。しかし、赤血球とシュウ酸カルシウム結晶とは、たとえ蛍光強度の感度を高くしても互いに弁別することは困難である(図3B)。細胞膜損傷剤を加えることによって、赤血球は溶解し、シュウ酸カルシウム結晶のみが残る。この試料をフローサイトメータで測定すると、スキャッタグラム上には、赤血球の集団は消失し、シュウ酸カルシウム結晶の集団のみが残る(図3C)。細胞膜損傷剤を添加しない場合のスキャッタグラムとを比較すれば、赤血球とシュウ酸カルシウム結晶とを区別し、それぞれの正確な計数をすることができる。
【0054】
実施例3
原尿として、赤血球と酵母様真菌が同時に出現した検体を用い、上記実施例2と同様にして測定を行った。
【0055】
得られたスキャッタグラムを図4A〜Dに示す。
【0056】
細胞膜損傷剤未添加の場合は、変形赤血球と酵母様真菌との区別は困難である(図4A、B)が、細胞膜損傷剤を添加することにより、赤血球集団は消失し、酵母様真菌のみが残る(図4C、D)。これら2つのスキャッタグラムを比較することにより、変形赤血球と酵母様真菌とを区別し、それぞれの計数をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を用いて尿中の有形成分を測定する場合に好適に用いられるフローサイトメータを示す概略模式図である。
【図2】A.白血球出現検体を細胞膜損傷剤で処理せずに測定したときのスキャッタグラムである。なお、A〜Fの縦軸は前方散乱光を、横軸は蛍光強度を示す。
B.白血球出現検体を細胞膜損傷剤で処理して測定したときのスキャッタグラムである。
C.小型上皮細胞(尿細管上皮細胞)出現検体を細胞膜損傷剤で処理せずに測定したときのスキャッタグラムである。
D.小型上皮細胞(尿細管上皮細胞)出現検体を細胞膜損傷剤で処理して測定したときのスキャッタグラムである。
E.白血球出現検体と小型上皮細胞(尿細管上皮細胞)出現横休とを混合し、細胞膜損傷剤で処理せずに測定したときのスキャッタグラムである。
F.白血球出現検体と小型上皮細胞(尿細管上皮細胞)出現検体とを混合し、細胞膜損傷剤で処理して測定したときスキャッタグラムである。
【図3】A.検体を細胞膜損傷剤で処理せずに測定したときのスキャッタグラムである。縦軸は前方散乱光を、横軸は低感度の蛍光強度を示す。
B.検体を細胞膜損傷剤で処理せずに測定したときのスキャッタグラムである。縦軸は前方散乱光を、横軸は高感度の蛍光強度を示す。
C.検体を細胞膜損傷剤で処理して測定したときのスキャッタグラムである。縦軸は前方散乱光を、横軸は高感度の蛍光強度を示す。
【図4】A.検体を細胞膜損傷剤で処理せずに測定したときのスキャッタグラムである。縦軸は前方散乱光を、横軸は低感度の蛍光強度を示す。
B.検体を細胞膜損傷剤で処理せずに測定したときのスキャッタグラムである。縦軸は前方散乱光を、横軸は高感度の蛍光強度を示す。
C.検体を細胞膜損傷剤で処理して測定したときのスキャッタグラムである。縦軸は前方散乱光を、横軸は低感度の蛍光強度を示す。
D.検体を細胞膜損傷剤で処理して測定したときのスキャッタグラムである。縦軸は前方散乱光を、横軸は高感度の蛍光強度を示す。

Claims (5)

  1. 尿試料と、
    1)蛍光染料、緩衝剤及び浸透圧補償剤とを含む染色液、および
    2)細胞膜損傷剤
    とを混合したのち、フローサイトメトリにより分折することを特徴とする尿中有形成分の分析方法。
  2. 細胞膜損傷剤が界面活性剤である請求項1記載の尿中有形成分の分析方法。
  3. 尿中有形成分が、白血球及び小型上皮細胞である請求項1又は2記載の尿中有形成分の分析方法。
  4. 尿中有形成分が、赤血球、結晶、酵母様真菌である請求項1又は2記載の尿中有形成分の分析方法。
  5. 以下の成分:
    1)蛍光染料、
    2)緩衝剤、
    3)浸透圧補償剤、および
    4)細胞膜損傷剤、
    を含むフローサイトメトリ用尿中有形成分分析試薬。
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