JP3421111B2 - マラリア感染細胞の検出方法及び試薬 - Google Patents

マラリア感染細胞の検出方法及び試薬

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  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マラリアに感染した細
胞(具体的には赤血球)を迅速かつ特異的に染色するこ
とができる、マラリア感染細胞検出方法及び試薬に関す
る。
【0002】
【従来の技術】マラリアに感染すると、マラリア原虫は
赤血球内に入り込み増殖していく。マラリア感染赤血球
を検出することはマラリア感染の有無を検査する上で有
効な方法である。
【0003】マラリア感染赤血球を検出する技術とし
て、従来次のようなものがあった。
【0004】血液塗抹標本をギムザ染色し、顕微鏡下で
観察し、マラリア感染赤血球を検出する方法があり、こ
れは例えば、「マラリア原虫の検査法」、中村敏夫他、
臨床検査、Vol.23,No.4:335−341,
1979に開示されている。また、血液塗抹標本を蛍光
色素で染色し、蛍光顕微鏡下で観察し、マラリア感染赤
血球を検出する方法が、「蛍光色素による各種原虫感染
症の迅速診断の試み」、川本文彦、臨床検査、Vol.
32,No.7:803−806,1988に開示され
ている。
【0005】しかしながら、これらの方法では、塗抹標
本の作成、乾燥、固定、染色の各工程を必要とし、繁雑
である。また、マラリア感染赤血球と非感染赤血球の弁
別に熟練した技術が必要である。さらに、顕微鏡下で観
察するのに多くの時間(通常15分以上)を要すること
になる。
【0006】これに対し、フローサイトメータを用いて
マラリア感染赤血球を測定する方法も開発されている。
これは、蛍光色素でマラリア感染赤血球を染色し、フロ
ーサイトメータを用いて検出するものである。原理的に
は、マラリア原虫が蛍光色素で染色され、アルゴンレー
ザ光を照射することにより蛍光を発する。この蛍光を発
する赤血球をマラリア感染赤血球として検出する。この
原理を用いる以下のような各種の方法が開示されてい
る。
【0007】Analysis of Marari
a Parasite−Infected Blood
by Flow Cytometry(フローサイト
メータを用いたマラリア原虫感染血球の分析)、J.
W.Jacobberger,Cytometry,V
ol.4:228−237,1983。
【0008】この方法は蛍光色素として3,3’−ジメ
チルオキサカルボシアニン(3,3’−dimethy
loxacarbocyanine:DiOC1
(3))を使用してフローサイトメータでマラリア感染
赤血球を検出する。この文献のFig.7には網状赤血
球(Immature RBC:imRBC)とマラリ
ア感染赤血球(pRBC,ppRBC)がオーバーラッ
プして分布することが示されている。また、Fig.2
には、網状赤血球(imRBC)とマラリア感染赤血球
(pRBC,ppRBC)がDiOC1(3)染色で蛍
光を発している写真が掲載されている。
【0009】Thiazole Orange:A
New Dye for Plasmodium Sp
ecies Analysis(チアゾールオレンジ:
熱帯熱マラリア分析の為の新色素)、M.T.Makl
er et al.,Cytometry,Vol8:
568−570,1987。
【0010】この方法は蛍光色素としてチアゾールオレ
ンジを使用して培養マラリア感染赤血球をフローサイト
メータで測定するものである。上記文献569頁左段中
程には網状赤血球がバックグランドとして染色されてい
る旨の記載がある。
【0011】Rapid Identificati
on and Detectionof Parasi
tized Human Red Cells by
Automated Flow Cytometry
(フローサイトメータを用いたヒト原虫感染赤血球の迅
速検出方法)、J.M.Whaum et al.,C
ytometry,Vol.4:117−122,19
83。
【0012】この方法は、蛍光色素としてアクリジンオ
レンジを使用してマラリア感染赤血球をフローサイトメ
ータで測定するものである。マラリア感染赤血球にはマ
ラリアのDNAがあるので、緑蛍光を出し、網状赤血球
はそのRNAのため赤蛍光を発生する。網状赤血球は赤
蛍光の強い赤血球として弁別する。
【0013】Flow Cytometric Tw
o−Color StainingTechnique
for Simultaneous Determi
nation of Human Erythrocy
te Membrane Antigen and I
ntracellular Malarial DNA
(フローサイトメータを使用したヒト赤血球膜抗原と赤
血球内マラリアDNAの同時測定に関する2カラー染色
技術)、K.Pattanapanyasatet a
l.,Cytometry,Vol.13:182−1
87,1992。
【0014】この方法は、蛍光色素としてプロピジウム
アイオダイド(PI:赤蛍光を発する)を使用し、赤血
球膜にある抗原DAF(decay−accelera
ting factor)に対する抗体を使用して、赤
血球膜抗原量とマラリア感染赤血球を測定する。
【0015】上記方法およびにおいては、網状赤血
球とマラリア感染赤血球とが同時に存在すると、正確に
マラリア感染赤血球が測定できない欠点がある。また、
上記方法およびにおいては、赤蛍光と緑蛍光の2つ
の蛍光を測定する必要がある。さらに、方法では、蛍
光色素としてアクリジンオレンジを使用するため、フロ
ーサイトメータの流路や測定セルに蛍光色素が付着し、
これらを著しく汚染する。方法では、モノクローナル
抗体を使用しているため、RBCと反応させるのに30
分以上の時間が必要である等、上記方法はそれぞれ欠点
を有している。
【0016】上記文献以外にもこれと関連する技術とし
て以下のものが挙げられる。
【0017】特開昭61−280565号(米国特許
第4,985,174号) 特開昭62−034058号 これらの文献には蛍光色素としてオーラミンOを含有し
た溶液と血液試料とを混合し、網状赤血球を蛍光染色す
ることが開示されている。には4つの、には1つの
実施例が紹介されている。これを一覧表として以下の表
1にまとめた。
【0018】
【表1】 しかし後述するように、これらの条件では網状赤血球も
マラリア感染赤血球も同じように染まってしまい、マラ
リア感染赤血球のみを検出することはできない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従
来のマラリア感染赤血球を検出する方法はいずれも克服
すべき欠点を有している。本発明の目的は、マラリア感
染赤血球のみをごく短時間(数十秒)で染色し、この染
色されたマラリア感染赤血球をフローサイトメータで個
々に検出する方法及び試薬を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、オーラミンO類似体に加えて第2の染料を使用
することによって、マラリア感染赤血球を特異的に染色
し、これを網状赤血球と区別して検出できる方法を見い
だし、本発明を完成した。
【0021】すなわち、本発明は、被検細胞を含む液体
試料を式(I):
【化23】 [式中、R1からR6は水素原子、メチル基またはエチル
基であり、Xはハロゲン原子である]のオーラミン類似
体の少なくとも1種からなる第1染料と、式(II):
【化24】 の縮合ベンゼン誘導体の少なくとも1種からなる第2染
料とを含有する染色液で処理し、蛍光染色したマラリア
感染細胞を光学的に検出することからなるマラリア感染
細胞の検出方法、ならびに該方法に使用する試薬を提供
する。
【0022】式(I)のオーラミン類似体化合物におい
て、R1からR6はそれぞれ独立に水素原子、メチル基ま
たはエチル基である。またXはハロゲン原子であり、こ
れにはヨウ素原子、臭素原子及び塩素原子が含まれる。
【0023】式(II)の縮合ベンゼン誘導体化合物にお
いて、RのC1-6アルキルとしては、直鎖状及び分枝状
のアルキルを含むが、直鎖状のものが好ましく、例え
ば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−
ペンチル及びn−ヘキシルなどが含まれる。Xのハロゲ
ン原子としては、ヨウ素原子、臭素原子及び塩素原子を
含む。また、Bにおける2つの低級アルコキシ基で置換
されたフェニル基とは、2つのC1-3アルコキシ、好ま
しくはC1-2アルコキシ、例えばメトキシ基、エトキシ
基で置換されたフェニル基をいう。例えば、2,6−ジ
メトキシフェニル基、2,6−ジエトキシフェニル基が
挙げられる。また、Bにおけるジ低級アルキルアミノ基
(該低級アルキルはシアノ基で置換されていてもよい)
で置換されたフェニル基とは、C1-3アルキルアミノ
基、好ましくはC1-2アルキルアミノ基で置換されたフ
ェニル基をいう。ここで該アルキル基はシアノ基で置換
されていてもよく、例えば、メチル、エチル、シアノメ
チル、シアノエチルなどを含む。好ましいジ低級アルキ
ルアミノ基(該低級アルキルはシアノ基で置換されてい
てもよい)で置換されたフェニル基としては、4−ジメ
チルアミノフェニル基、4−ジエチルアミノフェニル
基、4−(シアノエチルメチルアミノ)フェニル基など
が挙げられる。
【0024】式(I)のオーラミン類似体の好ましい具
体例を挙げると、次の通りである。
【0025】オーラミンO(CI No.41000)
【化25】 ベーシックイェロー37(CI No.41001)
【化26】 ベーシックイェロー3(オーラミンG;CI No.4
1005)
【化27】 式(II)のベンゼン誘導体の具体例を挙げると、次の通
りである。NKと記載したものについては、(株)日本
感光色素研究所から入手可能である。
【0026】i)3,3’−ジエチル−2,2’−オキ
サカルボシアニンアイオダイド(NK−85、DiOC
2(3))
【化28】 ii)2−(p−ジメチルアミノスチリル)−3−エチル
ベンゾチアゾリウムアイオダイド(NK−91)
【化29】 iii)3,3’−ジメチル−2,2’−オキサカルボシ
アニンアイオダイド(NK−86、DiOC1(3))
【化30】 iv)3,3’−(ジ−n−プロピル)−2,2’−オキ
サカルボシアニンアイオダイド(NK−2605、Di
OC3(3))
【化31】 v)3,3’−(ジ−n−ペンチル)−2,2’−オキ
サカルボシアニンアイオダイド(NK−2453、Di
OC5(3))
【化32】 vi)3,3’−(ジ−n−ヘキシル)−2,2’−オキ
サカルボシアニンアイオダイド(NK−2280、Di
OC6(3))
【化33】 vii)2−(p−ジメチルアミノスチリル)−3−メチ
ルベンゾオキサゾリウムアイオダイド(NK−528)
【化34】 viii)2−(p−ジメチルアミノスチリル)−1,3,
3−トリメチル−3H−インドリウムアイオダイド(N
K−97)
【化35】 ix)Basic Yellow 11
【化36】 および x)Basic Red 14
【化37】 本発明のマラリア感染細胞の染色試薬は式(I)のオー
ラミン類似体の少なくとも1種からなる第1染料と、式
(II)の縮合ベンゼン誘導体の少なくとも1種からなる
第2染料と、これらを溶解しうる水または水溶性の有機
溶媒とからなる。本発明の染色試薬(以下、染色液とい
うこともある)は、第1染料と第2染料とを水に溶解し
て調製することができるが、水に可溶性の有機溶媒に溶
解して調製することもできる。このような溶媒を使用す
ると、染料(例えばオーラミンO)の加水分解を防止す
ることができる。使用する有機溶媒としては、低級アル
カノール、低級アルキレングリコールまたは低級アルキ
レングリコールモノ低級アルキルエーテルが好ましい。
例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどを使用
することができる。なかでも、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール及びトリエチレングリコールが好ま
しく、赤血球への影響や粘性などを考慮するとエチレン
グリコールが最も好ましい。
【0027】染料を水または水溶性の有機溶媒に溶解し
た場合、染色液中の第1染料の濃度は0.005〜0.
4w/v%であり、第2の染料の濃度は0.005〜
0.5w/v%が好ましい。
【0028】本発明のマラリア感染細胞の検出方法を実
施するには、上記染色液を液体試料および希釈液と混合
して測定液を調製してフローサイトメータによる測定に
供する。本発明において液体試料とは血液試料をいう。
【0029】本発明の方法を実施するには測定液中の染
料濃度を適切に調整することが重要である。つまり、測
定液中に第1染料が好ましくは1〜80ppmの範囲の
濃度、より好ましくは5−50ppmの範囲の濃度で含
有されることが好ましい。これは、染料の濃度が薄すぎ
ても、濃すぎてもマラリア感染細胞の検出に不都合が生
じるためである。すなわち、反応時間が長くなったり、
フローサイトメータでの検出の際にマラリア感染細胞と
網状赤血球との信号強度の差異が不明確になる。測定液
中に含有される第1染料及び第2染料の濃度を上記の範
囲に調整する方法としては、液体試料を染色液で処理す
る前に、予め液体試料を希釈液で希釈する方法、または
予め染色液を希釈液で希釈する方法、あるいは液体試
料、染色液及び希釈液を同時に混合し、処理する方法が
ある。これは、液体試料と高濃度の染色液のみを混合し
て放置すると、とくに有機溶媒を用いて染色液を調製し
た場合には、染色液に含有されている有機溶媒が血球に
悪影響を及ぼし、場合によっては液体試料中の赤血球を
溶解させる可能性があるからである。液体試料に対する
希釈液による希釈倍率は4〜1000倍が好ましい。ま
た、希釈液としては、pH4〜9のリン酸緩衝液、クエ
ン酸緩衝液やトリス緩衝液などの従来公知の緩衝液を使
用することができる。
【0030】さらに、本発明のマラリア感染細胞の検出
方法においては、マラリア感染細胞を特異的に測定する
ために、被検細胞を含有する液体試料を25−40℃の
反応温度で、約20〜60秒間、好ましくは約30〜4
0秒間の反応条件で、第1染料と第2染料を含有する染
色液で処理することが好ましい。
【0031】次いで、本発明において使用するフローサ
イトメータについて説明する。これに使用する光源は励
起波長488nmのアルゴンレーザであり、検出対象は
前方散乱光(FSC)および波長525nm以上の蛍光
(FL)である。本発明の実施例では自動網赤血球測定
装置R−2000(東亜医用電子株式会社)を用いて測
定した。
【0032】本発明のメカニズムは以下のように考えら
れる。
【0033】網状赤血球(reticulocyte)
は赤血球の幼若型であり(したがって、immatur
e red blood cellとも呼ばれる)、R
NAを含む。網状赤血球はオーラミンOによってRNA
が沈殿、凝集することにより染色される。染色されるた
めには、沈殿、凝集を要するので、染料濃度が薄い場合
には染色されるまでに長く時間が必要となる。一方、白
血球やマラリア感染赤血球の内部にはDNAや封入体が
含まれているので、沈殿や凝集の必要がなく、薄い染料
でも短時間で染色される。しかしながら、オーラミンO
の濃度を薄くすると、成熟赤血球の膜の染色性が低下す
るので、十分な蛍光強度が得られなくなるという欠点が
あった。
【0034】3,3’−ジエチル−2,2’−オキサカ
ルボシアニンアイオダイド(DiOC2(3)、商標名
NK−85として(株)日本感光色素研究所より入手)
は血球膜を染める作用のあることが従来知られていた。
そこで、DiOC2(3)を添加してみると、全体的に
蛍光強度を上げることができ、かつ意外にもマラリア感
染赤血球からの蛍光強度と、網状赤血球からの蛍光強度
との間に良好な差異を生じることが判明した。本発明に
おいて、DiOC2(3)はマラリア原虫を染色するた
めに添加するのではなく、マラリア原虫を染めているの
はあくまでオーラミンOである。
【0035】以下に記載する参考例および実施例によっ
て本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれによ
ってなんら限定されるものではない。
【0036】参考例 まず、染料としてオーラミンOだけを用いて、その濃度
を変えた染色液を数種類用意し、フローサイトメータに
て血液試料を測定した。
【0037】使用した染色液と希釈液の組成は以下の通
りである。
【0038】<染色液> ・オーラミンO:300−3000mgを ・エチレングリコール100mlに溶解して作成した。
【0039】染色液中のオーラミンO濃度は0.3−
3.0%である。
【0040】<希釈液> ・プロピオン酸ナトリウム: 9.5g/l ・トリスヒドロキシルメチルアミノメタン: 6.0g
/l ・トリシン: 7.4g/l <測定液> ・血液試料: 10μl ・希釈液 : 1950μl ・染色液 : 40μl を混合して2mlの測定液を作成した(血液試料に対す
る希釈倍率は200倍となる)。なお、希釈液は予め3
5℃に加温したもとを使用し、混合液(測定液)を35
℃で30秒間インキュベートした後、フローセルに導入
し、細胞個々に前方散乱光(FSC)、蛍光(FL)を
測定した。
【0041】図1−図3は、染色液中にオーラミンOが
3.0%含まれているときの測定結果である(測定液の
オーラミンOの濃度は600ppmであり、また血液試
料1μlに対するオーラミンOの量は120μgであ
る)。
【0042】図1はヘモグロビンH症(網状赤血球が多
い)、図2は正常検体(網状赤血球は少しあり、マラリ
ア感染赤血球はない)、図3はマラリア感染検体(網状
赤血球もマラリア感染赤血球もある)の二次元スキャッ
タグラムによる測定結果である。図1−図3から、網状
赤血球(図中Retで示す)もマラリア感染赤血球(図
中pRBで示す)も同じ領域に出現していることがわか
る。すなわち、この条件では網状赤血球とマラリア感染
赤血球との弁別は不可能である。なお、図中のmRBは
成熟赤血球を示す。
【0043】次に、同じ検体をオーラミンOが低濃度の
染色液を用いて測定した。図4−図6は、同じ検体をオ
ーラミンO低濃度の染色液(染色液中、オーラミンO濃
度が0.3%)を用いて測定した結果である(測定液の
オーラミンOの濃度は60ppmであり、血液検体1μ
lに対するオーラミンOの量は12μgである)。図
4、5、6はそれぞれ図1、2、3に対応する。なお、
オーラミンO濃度が0.3−3.0%の間にある場合の
結果は図示しないが、両者の間の結果となった。
【0044】ここで、図4−図6から、オーラミンOを
低濃度にすることにより、網状赤血球からの蛍光強度と
マラリア感染赤血球からの蛍光強度に差が生じることが
判明した。すなわち、網状赤血球は蛍光染色されない
が、マラリア感染赤血球は蛍光染色されるような条件が
あるのではないか、と推測された。
【0045】しかし、図4−図6からわかるように、単
にオーラミンOの濃度を薄くするだけでは、蛍光強度は
弱く、また蛍光強度の差も必ずしも明確に生じない。そ
こで、測定感度やインキュベートの条件などの各種条件
を変えて検討した。例えば、インキュベート時間を2分
程度に延ばすと蛍光強度は増大する。また、温度を40
℃に上げても蛍光強度が上がる。
【0046】しかし、単にこのような条件を変えるだけ
では網状赤血球とマラリア感染赤血球との差異を迅速に
検出するには不十分であると思われた。
【0047】本発明は測定の迅速化、すなわち30秒程
度の短時間の染色工程で、かつ安定して網状赤血球とマ
ラリア感染赤血球の染料程度に明確な差異を生ぜしめる
条件について鋭意研究した結果、達成されたものであ
る。
【0048】上記課題は、 ・オーラミンOを低濃度にすること、および ・さらに新しい染料を追加すること、 により解決された。
【0049】
【実施例1】以下のようにして測定液を調製した。
【0050】<染色液> ・オーラミンO: 300mg ・3,3’−ジエチル−2,2’−オキサカルボシアニ
ンアイオダイド(DiOC2(3)): 50mg をエチレングリコール100mlに溶解させて作製し
た。第2の染料として用いた3,3’−ジエチル−2,
2’−オキサカルボシアニンアイオダイド(DiOC2
(3))は、(株)日本感光色素研究所からNK−85
(商品名)として入手したものを用いた。
【0051】染色液に第2の染料を含有させた以外は、
参考例と全く同じ組成の測定液、測定条件を用いた。
【0052】図7、8はそれぞれ正常検体、マラリア感
染検体の測定結果であり、それぞれ図2、3に対応す
る。両者の比較から明らかなように、マラリア感染赤血
球pRBのみが良好に蛍光染色され、成熟赤血球mRB
および網状赤血球Retから分かれて分布する。そこで
このマラリア感染赤血球pRBをクラス分けし計数する
ことができる。なお、図には表されていないが、白血球
は蛍光の強い領域に出現するので、これらと明確に区別
することができる。
【0053】
【実施例2】実施例1の3,3’−ジエチル−2,2’
−オキサカルボシアニンアイオダイドに代えて、2−
(p−ジメチルアミノスチリル)−3−エチルベンゾチ
アゾリウムアイオダイド(NK−91として入手)を第
2の染料として用いて同様の試験を行ったところ、同様
にマラリア感染赤血球を良好に区別、計数することがで
きた。
【0054】また、これら2種の染料以外の、上記第2
の染料についても試験したところ、マラリア感染赤血球
の検出に使用可能なことが判明した。その実施可能条件
は上記3,3’−ジエチル−2,2’−オキサカルボシ
アニンアイオダイドの場合とほぼ同じであった。すなわ
ち、濃度については、測定液中における最終濃度で1−
100ppmの範囲で実施可能であり、最適濃度は5−
50ppmであった。
【0055】
【実施例3】実施例1のオーラミンOに代えて、ベーシ
ックイェロー37を第1の染料として用いて同様の試験
を行ったところ、同様にマラリア感染赤血球を良好に区
別、計数することができた。また、ベーシックイェロー
3を第1の染料として用いた場合もマラリア感染細胞の
検出に使用可能であった。濃度については、測定液中に
おける最終濃度で1〜80ppmの範囲で実施可能であ
り、最適濃度は5〜50ppmであった。
【0056】
【発明の効果】本発明の方法により、マラリア感染細胞
を迅速にかつ特異的に染色することができ、マラリア感
染の有無を簡単に検査することが可能になった。本発明
の医学診断分野における効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】染色液中にオーラミンOを3.0%含む測定液
を用いて、ヘモグロビンH症の血液試料を測定した場合
の二次元スキャッタグラムを示す。
【図2】染色液中にオーラミンOを3.0%含む測定液
を用いて、正常血液試料を測定した場合の二次元スキャ
ッタグラムを示す。
【図3】染色液中にオーラミンOを3.0%含む測定液
を用いて、マラリア感染血液試料を測定した場合の二次
元スキャッタグラムを示す。
【図4】染色液中にオーラミンOを0.3%含む測定液
を用いて、ヘモグロビンH症の血液試料を測定した場合
の二次元スキャッタグラムを示す。
【図5】染色液中にオーラミンOを0.3%含む測定液
を用いて、正常血液試料を測定した場合の二次元スキャ
ッタグラムを示す。
【図6】染色液中にオーラミンOを0.3%含む測定液
を用いて、マラリア感染血液試料を測定した場合の二次
元スキャッタグラムを示す。
【図7】実施例1に記載する本発明の測定液を用いて、
正常血液試料を測定した場合の二次元スキャッタグラム
を示す。
【図8】実施例1に記載する本発明の測定液を用いて、
マラリア感染血液試料を測定した場合の二次元スキャッ
タグラムを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−78792(JP,A) 特開 平4−337459(JP,A) 特開 昭61−280565(JP,A) 特開 平3−66763(JP,A) 特開 昭62−240860(JP,A) 特開 昭49−73881(JP,A) 特開 昭62−34058(JP,A) 特開 昭64−35367(JP,A) 特開 昭64−35366(JP,A) 特開 昭56−40740(JP,A) 特開 平7−110328(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/48 - 33/98 G01N 21/78 G01N 1/10

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検細胞を含む液体試料を式(I): 【化1】 [式中、R1からR6は水素原子、メチル基またはエチル
    基であり、 Xはハロゲン原子である]のオーラミン類似体の少なく
    とも1種からなる第1染料と、式(II): 【化2】 の縮合ベンゼン誘導体の少なくとも1種からなる第2染
    料とを含有する染色液で処理し、蛍光染色したマラリア
    感染細胞を光学的に検出することからなるマラリア感染
    細胞の検出方法。
  2. 【請求項2】 前記第1染料がオーラミンOである請求
    項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記第2染料が以下の群から選択される
    少なくとも1種である請求項1に記載の方法: i)3,3’−ジエチル−2,2’−オキサカルボシア
    ニンアイオダイド(NK−85、DiOC2(3)) 【化3】 ii)2−(p−ジメチルアミノスチリル)−3−エチル
    ベンゾチアゾリウムアイオダイド(NK−91) 【化4】 iii)3,3’−ジメチル−2,2’−オキサカルボシ
    アニンアイオダイド(NK−86、DiOC1(3)) 【化5】 iv)3,3’−(ジ−n−プロピル)−2,2’−オキ
    サカルボシアニンアイオダイド(NK−2605、Di
    OC3(3)) 【化6】 v)3,3’−(ジ−n−ペンチル)−2,2’−オキ
    サカルボシアニンアイオダイド(NK−2453、Di
    OC5(3)) 【化7】 vi)3,3’−(ジ−n−ヘキシル)−2,2’−オキ
    サカルボシアニンアイオダイド(NK−2280、Di
    OC6(3)) 【化8】 vii)2−(p−ジメチルアミノスチリル)−3−メチ
    ルベンゾオキサゾリウムアイオダイド(NK−528) 【化9】 viii)2−(p−ジメチルアミノスチリル)−1,3,
    3−トリメチル−3H−インドリウムアイオダイド(N
    K−97) 【化10】 ix)Basic Yellow 11 【化11】 および x)Basic Red 14 【化12】
  4. 【請求項4】 染色液による処理時に、液体試料がpH
    4〜9の希釈液で希釈される請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 液体試料の希釈液による希釈倍率が4〜
    1000倍である請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 染色処理時における第1の染料と第2の
    染料の濃度が、測定液中それぞれ1〜80ppm、1〜
    100ppmである請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 染色処理時における温度が25〜40℃
    である請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 染色処理時間が約20〜60秒である請
    求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の式(I)のオーラミン
    類似体の少なくとも1種からなる第1染料と、請求項1
    に記載の式(II)の縮合ベンゼン誘導体の少なくとも1
    種からなる第2染料と、これらを溶解しうる水または水
    溶性の有機溶媒とからなるマラリア感染細胞の染色試
    薬。
  10. 【請求項10】 前記第1染料がオーラミンOである請
    求項9に記載の試薬。
  11. 【請求項11】 前記第2染料が以下の群から選択され
    る少なくとも1種である請求項9に記載の試薬: i)3,3’−ジエチル−2,2’−オキサカルボシア
    ニンアイオダイド(NK−85、DiOC2(3)) 【化13】 ii)2−(p−ジメチルアミノスチリル)−3−エチル
    ベンゾチアゾリウムアイオダイド(NK−91) 【化14】 iii)3,3’−ジメチル−2,2’−オキサカルボシ
    アニンアイオダイド(NK−86、DiOC1(3)) 【化15】 iv)3,3’−(ジ−n−プロピル)−2,2’−オキ
    サカルボシアニンアイオダイド(NK−2605、Di
    OC3(3)) 【化16】 v)3,3’−(ジ−n−ペンチル)−2,2’−オキ
    サカルボシアニンアイオダイド(NK−2453、Di
    OC5(3)) 【化17】 vi)3,3’−(ジ−n−ヘキシル)−2,2’−オキ
    サカルボシアニンアイオダイド(NK−2280、Di
    OC6(3)) 【化18】 vii)2−(p−ジメチルアミノスチリル)−3−メチ
    ルベンゾオキサゾリウムアイオダイド(NK−528) 【化19】 viii)2−(p−ジメチルアミノスチリル)−1,3,
    3−トリメチル−3H−インドリウムアイオダイド(N
    K−97) 【化20】 ix)Basic Yellow 11 【化21】 および x)Basic Red 14 【化22】
  12. 【請求項12】 染色試薬中の第1染料と第2染料のそ
    れぞれの濃度が、0.005〜0.4w/v%、0.0
    05〜0.5w/v%である請求項9に記載の試薬。
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Leif et al. OE/LASE ‘94, Biomedical Optics Ultrasensitive Clinical Laboratory Diagnostics,[2136-28], Los Angeles CA, 26 Jan. 1994

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