JP3738985B2 - ドラフトチャンバー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、開口部をともに昇降する内外の扉によって塞いでいるタイプのドラフトチャンバー(ヒュームフード)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ドラフトチャンバーの作業空間は昇降自在な扉で塞がれているが、扉が1枚だけのものと、共に昇降する内外2枚の扉を備えているものとがある。内外2枚の扉を備えているドラフトチャンバーの例を、図5に簡単に示している。
【0003】
すなわち、この図5に示すように、ドラフトチャンバーは、作業空間2が前向きに開口した本体1を備えて、その開口部に内外2枚の扉を配置するにおいて、一般に、外側の扉を開口部の下端まで下降する下扉3と成し、内側の扉は開口部の中途高さまでしか下降しない上扉4と成しており、これら上下扉は、少なくとも一部が常に前後に重なり合った状態で昇降するようになっている。
【0004】
両扉3,4は、本体の側板5に設けたガイド部(図示せず)に沿って昇降するようになっており、下扉3の左右両端部は第1索条6によって吊られており、上扉4の左右両端部は第2索条7によって吊られている。両索条6,7とも、側板5に軸支した前後一対ずつプーリ群8,9を経由して本体1の裏側に延びている。
【0005】
なお、手前側に位置した2個のプーリ8を同心状に軸支し、後部に位置し2個のプーリ9も同心状に軸支していることも多い。
【0006】
本体1の裏側には左右2個のバランスウエイト(カウンターウエイト)10が配置されており、このバランスウエイト10に第1索条6を固定している。従って、下扉3とバランスウエイト10とは同じ距離だけ逆向きに昇降する。
【0007】
他方、第1索条7の端部はバランスウエイト10よりも上方の位置において本体1に固定されており、この第1索条7は、バランスウエイト10に設けたプーリ11に下方から巻掛けられている。従って、上扉4は下扉3と同じ方向に昇降するが、その昇降量L2はバランスウエイト10及び下扉3の昇降量L1の半分の寸法になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この従来技術の場合、下扉3の重量をW1 、上扉4の重量をW2 、バランスウエイト10の重量をW3 とすると、W3 =W1 +2W2 となる(なお、バランスウエイト10は一般に左右に配置されているので、個々のバランスウエイト10の重量はW3 の半分になる)。
【0009】
ところで、バランスウエイト10の重量が重いと、プーリ群8,9や索条6,7、或いは本体1はそれに見合った頑丈な構造にしなければならず、それだけコストが嵩むことになる。また、バランスウエイトの重量が重いと扉の昇降に際しての慣性力が大きくなるため、扉の昇降操作性も悪くなる。
【0010】
従って、バランスウエイト10については、その機能を保持した上で、できるだけ軽くすべきという要請がある。
【0011】
本発明は、このような要請に応えることを課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のドラフトチャンバーは、作業空間を備えた本体と、前記作業空間の開口部の下端まで下降し得る下扉と、下扉の手前側又は奥側に位置すると共に開口部の中途高さ部位まで下降し得る上扉と、一端部を下扉に固定して当該下扉を吊っている第1索条と、一端部を上扉に固定して当該上扉を吊っている第2索条と、両扉の昇降との吊り合いのためのバランスウエイトと、第1及び第2の索条が個別に巻き掛けられているプーリ状等の固定式索条ガイド手段と、一端部を前記バランスウエイトに固定した第3索条とを備えている。
【0013】
そして、請求項1の発明では、前記第1索条の他端部をバランスウエイトに固定している一方、前記第2索条の他端部はバランスウエイトよりも上方に位置せしめて、この第2索条の他端部にプーリのような昇降式索条ガイド体を設けており、更に、前記第3索条は、前記昇降式索条ガイド体に上方から巻掛けられており、この第3索条の他端部を、前記バランスウエイトよりも下方に位置する高さ位置において、本体や地面などの固定物に保持している。
【0014】
請求項2の発明では、前記本体の裏側には、上下方向に延びるガイドレールが配置されており、このガイドレールに、上昇降体と下昇降体との2個の昇降体を昇降自在に設け、上昇降体に前記可動式索条ガイド体を取り付け、下昇降体には前記バランスウエイトを取り付けている。
【0015】
請求項3の発明では、請求項1又は請求項2において、前記固定式索条ガイド体と昇降式索条ガイド体とは、同一種類で同径のプーリ又は滑車よりなっている。
【0016】
【発明の作用・効果】
本発明において、下扉とバランスウエイトとの関係を見ると、下扉の重量はバランスウエイトに直接に作用しているので、バランスウエイトは下扉の重量分だけが必要である。
【0017】
他方、上扉とバランスウエイトとの関係を見ると、上扉は第2索条及び第3索条を介してバランスウエイトによって下向きに引っ張られている状態になっているが、第3索条の他端部は本体等の固定物に保持されているため、上扉は、その重量の半分の重量で第2索条を下向きに引っ張るだけでバランスする。
【0018】
すなわち、上扉についてみると、これをバランスさせるためのバランスウエイトの重量は、上扉の重量の半分の重さで良い。つまり、下扉の重量をW1 、上扉の重量をW2 、バランスウエイトの重量をW3 とすると、W3 =W1 + 0.5W2 で良く、従来に比べて、バランスウエイトの重量を 1.5W2 だけ軽くすることができる。
【0019】
このように、本発明は従来に比べてバランスウエイトの重量を軽くすることができるため、ドラフトチャンバーの製造コストを抑制したり、ガイド体や索条の耐久性を向上したりすることができる。また、扉の昇降に際しての慣性力が小さくなるため、扉の昇降操作性も向上することができる。
【0020】
請求項2のように構成すると、バランスウエイトが揺れて本体にゴツゴツと当たるようなことはないため、扉の昇降に際しての静粛性やスムース性を向上することができ、また、索条が絡むことも防止できる。更に、請求項3のように構成すると、部材を共通化できるためコストの抑制に一層貢献できる。
【0021】
【発明の実施形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、従来と同じものについては符号をそのまま引用している。
【0022】
▲1▼.概要
図1はバランス機構の概略を示す斜視図であり、上下の扉3,4の左右端部には、それぞれ索条の一例として第1タイミングベルト13及び第2タイミングベルト14の一端部が固定されている。
【0023】
本体1における左右側板5の上部には、固定式ガイド手段の一例として、タイミングベルト13,14が上方から巻き掛けられる前部固定式タイミングプーリ15の対と、後部固定式タイミングプーリ16の対とが回転自在に取り付けられている。
【0024】
前部タイミングプーリ15の対と、後部固定式タイミングプーリ16の対とはそれぞれ個別に回転し得るようになっており、両タイミングベルト14,15は、後部タイミングプーリ16を経由して本体1の裏側に延びている。
【0025】
本体1の裏側には、上昇降体17と下昇降体18とが配置されており、第2タイミングベルト14の他端は上昇降体17に固定されている。他方、第1タイミングベルト13の他端は下昇降体18に固定されており、かつ、下昇降体18にはバランスウエイト10を取り付けている。
【0026】
上昇降体17には、可動式索条ガイド体の一例として、高さと左右位置とを異ならせた2個の可動式タイミングプーリ19を回転自在に取り付けており、これら可動式タイミングプーリ19に、第3索条の一例としての第3タイミングベルト20を上方から巻き掛けて、第3タイミングベルト20の一端は下昇降体18に固定し、第3タイミングベルト20の他端は本体1に固定している。
【0027】
▲2▼.具体的構成
より具体的な構成を、図2及び図3に基づいて説明する。図2は背面図、図3の(A)〜(C)はそれぞれ図2のA−A視、B−B視、C−C視の断面図である。
【0028】
これらの図に示すように、本体1における裏面の左右両側部に、昇降ガイド手段の一例として、チャンネル状で上下に長く延びるガイドレール21が固定されている一方、上下の昇降体17,18には、ガイドレール21における左右溝部内で転動するローラ(コロ)22が取り付けられている(ローラ22に代えて、合成樹脂製等のスライダーを受けても良い)。
【0029】
上昇降体17には、第2タイミングベルト14の他端がスペーサ23にねじ止めされている(ねじ以外の固定手段を採用しても良い)。上昇降体17と第1タイミングベルト13とが干渉しないように、両者の間には若干の間隔が空いている。
【0030】
下昇降体18に設けたブラケット24に、第1タイミングベルト13の他端と第3タイミングベルト20の一端とをねじで共締めしている。この場合、第1タイミングベルト13は平面視で姿勢を90度ねじった姿勢にしているが、後部固定式タイミングプーリ16から下昇降体18までの距離は長いので、第1タイミングベルト13がねじれていても、特に問題はない。
【0031】
第2タイミングベルト14は上昇降体17からほぼ真上に延びており、また、第1タイミングベルト13及び第3タイミングベルト20も下昇降体からほぼ真上に延びている。これは、昇降体17,18の昇降に際してのこじれを無くすためである。
【0032】
ガイドレール21の下端部には、受け枠25が固定されており、この受け枠25に設けたブラケット片25aに、第3タイミングベルト20の他端部をねじで固定している。第3タイミングベルト20は、ブラケット片25aと可動式タイミングプーリ19との間でほぼ鉛直状に延びるように設定されている。
【0033】
受け枠25には、バランスウエイト10と平面視で重なる支持座26を設けており、他方、バランスウエイト10の下面には、平面視で前記支持座26と重なる緩衝体27を取り付けている。これは、タイミングベルト13,14が切れた場合の衝撃防止のためである。緩衝体27としては、ゴムのような軟質材でも良いし、コイルばねのようなばね体でも良い。図2に一点鎖線で示すように、緩衝材27は支持座26に設けても良い。
【0034】
各タイミングプーリ15,16,19は同じ種類ものを使用している。そして、上昇降体17に2個の可動式タイミングプーリ19を設けているのは、同一種類のタイミングプーリを使用しつつ、第3タイミングベルト20をバランスウエイト10と緩衝させることなく受け枠25に固定するためである。
【0035】
バランスウエイト10を上下に細長くする等して、バランスウエイト10と第3タイミングベルト20との緩衝を回避しさえすれば、上昇降体17に1個だけの可動式タイミングプーリ19を設けることも可能である。
【0036】
▲3▼.作用
上記の構成に基づくバランス関係を、図4で簡略化して表示している。すなわち、第1タイミングベルト13には上扉4の重量W1 が張力としてそのまま作用している一方、第3タイミングベルト20については、可動式タイミングプーリ19を挟んだ両側の部位に、上扉4の重量W2 の半分の重量( 0.5W2 )が張力として作用している。
【0037】
従って、バランスウエイト10は、W1 + 0.5W2 の重量で、上下の扉3,4とバランスするのであり、このため、バランスウエイト10を、その機能を損なうことなく軽量化できるのである。
【0038】
また、上下の昇降体25はガイドレール21に沿って昇降するため、バランスウエイト10の揺れによる衝撃やタイミングベルト13,14,20の絡みなどが発生することはない。
【0039】
なお、図4に一点鎖線で示すように、第3タイミングベルト20の他端寄り部位を、バランスウエイト10よりも下方の部位においてプーリ状等の保持部材28に引っ掛けて、他端はバランスウエイト10よりも上方の部位において本体1等に固定することも可能である(つまり、第3タイミングベルト20は荷重を受ける支点がバランスウエイト10よりも下方にあれば足り、固定箇所はバランスウエイト10よりも上方にあってもよい)。
【0040】
下昇降体18を使用せずに、バランスウエイト10に直接にローラ22を取付けることも可能である。
【0041】
▲4▼.その他
本発明は上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば索条としてはタイミングベルトには限らず、ワイヤーやチェーン、平帯など様々のものを使用できる。また、ガイド体の種類も索条の種類に応じて変えれば良い。
【0042】
実施形態ではタイミングベルトをタイミングプーリの一部に噛み合わせているだけであったが、タイミングベルトのような索条を、プーリなどの回転式ガイド体に一回又は複数回巻き付けても良く、こうすると、摩擦効果によって慣性力を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の概略斜視図である。
【図2】背面図である。
【図3】図2のA−A視、B−B視、C−C視の断面図である。
【図4】作用を示す図である。
【図5】従来技術の概略図である。
【符号の説明】
1 本体
2 作業空間
3 下扉
4 上扉
5 側板
13 第1索条の一例としての第1タイミングベルト
14 第2索条の一例としての第2タイミングベルト
15,16 固定式ガイド体の一例としての固定式タイミングプーリ
17 上昇降体
18 下昇降体
19 可動ガイド体の一例としての可動タイミングプーリ
20 第3索条の一例としての第3タイミングベルト
21 ガイドレール

Claims (3)

  1. 作業空間を備えた本体と、前記作業空間の開口部の下端まで下降し得る下扉と、下扉の手前側又は奥側に位置すると共に開口部の中途高さ部位まで下降し得る上扉と、一端部を下扉に固定して当該下扉を吊っている第1索条と、一端部を上扉に固定して当該上扉を吊っている第2索条と、両扉の昇降との吊り合いのためのバランスウエイトと、第1及び第2の索条が個別に巻き掛けられているプーリ状等の固定式索条ガイド手段と、一端部を前記バランスウエイトに固定した第3索条とを備えており、
    前記第1索条の他端部をバランスウエイトに固定している一方、
    前記第2索条の他端部はバランスウエイトよりも上方に位置せしめて、この第2索条の他端部にプーリのような昇降式索条ガイド体を設けており、
    前記第3索条は、前記昇降式索条ガイド体に上方から巻掛けられており、この第3索条の他端部を、前記バランスウエイトよりも下方に位置する高さ位置において、本体や地面などの固定物に保持している、
    ドラフトチャンバー。
  2. 前記本体の裏側には、上下方向に延びるガイドレールが配置されており、このガイドレールに、上昇降体と下昇降体との2個の昇降体を昇降自在に設け、上昇降体に前記可動式索条ガイド体を取り付け、下昇降体には前記バランスウエイトを取り付けている、
    請求項1に記載したドラフトチャンバー。
  3. 前記固定式索条ガイド体と昇降式索条ガイド体とは、同一種類で同径のプーリ又は滑車よりなっている、
    請求項1又は請求項2に記載したドラフトチャンバー。
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