JP3737978B2 - 電子部品の吸着ノズル - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、吸引孔よりの真空吸引により電子部品を吸着する吸着部材と該吸着部材を保持し前記吸引孔に連通すると共に真空源に連通する中空部が形成された本体部とよりなる電子部品の吸着ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種電子部品の吸着ノズルが特開平2−113600号公報に開示されており、電子部品を吸着する吸着ノズルは本体部である吸着軸と該吸着軸に着脱可能に吸着部材である吸引具が取り付けられ電子部品を吸着可能になされている。この吸引具を吸着軸に装着する構造は吸引具を両側から挟む1対の弾性係止具がその上端がネジで吸着軸の外側に固定され下端の自由端により吸引具を挟み連結する構造となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年の部品実装分野においては、プリント基板に装着する電子部品の種類もサイズや形状等種類が増えこのような多種類の部品を吸着するための吸着ノズルも多種類のものを用意しておかなくてはならず、部品に応じてノズルを短時間で交換可能にすることが装置の稼働率を上げる上で重要になってきている。このため種々の吸着ノズルの交換方法が提案されており、前記従来技術もその一つである。
【0004】
しかし、前記従来技術では本体部外側に弾性係止具が設けられているため該ノズルに吸着された電子部品の認識を行おうとすると、このような部品の認識はノズルの下方よりカメラを用いて部品の像を撮像するためノズルの外側に突出した部分があるとこの像も写ってしまい特に小さな部品の場合には正確な部品の位置認識ができなくなってしまうという欠点がある。
【0005】
そこで本発明は、吸着ノズルの外径をなるべく小さくして多種類の部品に応じたノズルを使用できるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため本発明は、吸引孔よりの真空吸引により電子部品を吸着する吸着部材と該吸着部材を保持し前記吸引孔に連通すると共に真空源に連通する中空部が形成された本体部とよりなる電子部品の吸着ノズルにおいて、前記本体部より前記中空部内に突設された係合ピンと、前記吸着部材に設けられ前記中空部内に挿入され弾性的に前記係合ピンに係合して前記吸着部材を前記本体部に着脱可能に連結させる挿入部材とを有するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施例を図に基づき詳述する。
【0008】
図2及び図3に於て、1はY軸モータ2の回動によりY方向に移動するYテーブルであり、3はX軸モータ4の回動によりYテーブル1上でX方向に移動することにより結果的にXY方向に移動するXYテーブルであり、チップ状電子部品5(以下、チップ部品あるいは部品という。)が装着されるプリント基板6が図示しない固定手段に固定されて載置される。
【0009】
7は供給台であり、チップ部品5を供給する部品供給装置8が多数台配設されている。9は供給台駆動モータであり、ボールネジ10を回動させることにより、該ボールネジ10が嵌合し供給台7に固定されたナット11を介して、供給台7がリニアガイド12に案内されてX方向に移動する。13は間欠回動するロータリテーブルであり、該テーブル13の外縁部には取り出しノズルとしての吸着ノズル14を複数本有する装着ヘッド15が間欠ピッチに合わせて等間隔に配設されている。
【0010】
Iはロータリテーブル13の間欠回転により吸着ノズル14が供給装置8より部品5を吸着し取出す装着ヘッド15の停止位置である吸着ステーションであり、該吸着ステーションIにて吸着ノズル14が部品5を吸着する。16は吸着ノズル14が吸着する部品5の位置ずれを部品5の下面をカメラにて所定の視野範囲で撮像しその撮像画面を認識処理して認識する部品認識装置であり、認識ステ−ションIIに設けられている。
【0011】
認識ステーションIIの次の装着ヘッド15の停止する位置が角度補正ステーションIIIであり、認識装置16の認識結果によるチップ部品5の角度位置ずれを補正する角度量を予め決められた図示しない装着データに示される角度量に加味した角度量だけヘッド回動装置17が装着ヘッド15をθ方向に回動させる。θ方向とはノズル14の軸の回りに回転する方向である。
【0012】
角度補正ステーションIIIの次の次の停止位置が、装着ステーションIVであり、前記基板6に該ステーションIVの吸着ノズル14の吸着する部品5が装着ヘッド15の下降により装着される。
【0013】
20は上下動する昇降棒であり、部品供給装置8の揺動レバー21に係合して揺動させチップ部品5を所定間隔に封入した図示しない部品収納テープを該間隔に合わせて間欠送りさせ吸着ノズル14の部品吸着位置にチップ部品5を供給する。22は該図示しない部品収納テープを巻回するテープリールである。
【0014】
次に装着ヘッド15の構造について図4に基づき説明する。
【0015】
24は装着ヘッド15をθ方向に回転可能に保持する保持体であり、ロータリテーブル13を上下動可能に貫通するガイドシャフト25の下端に取り付けられており、図示しない上下動機構により装着ステーションIV及び吸着ステーションIなどでガイドシャフト25の上下動により昇降する。26は真空吸引のための真空チューブでありロータリテーブル13内を通る真空通路27を介して図示しない真空源に連通している。装着ヘッド15にはその内部を複数の吸着ノズル14が貫通して上下動可能に取り付けられている。また、該ノズル14はその上端に係合体28が設けられており、支軸29を中心にヘッド15の軸心方向に揺動するレバー30が該係合体28の下端に係合して図4のように上昇した収納位置に収納されている。この位置ではノズル14は真空チューブ26とは遮断されて真空が漏れないようになされている。
【0016】
該レバー30が図示しない解除部材によりその上端を押されて外側に揺動することにより圧縮バネ31の係合体28への付勢により下降してヘッド15の下方に突出される。装着ヘッド15がヘッド回動装置17により回動されることにより選択され所定の回動位置にあるノズル14がこのようにして下降した使用位置になされ該ノズル14により部品供給装置8より部品5が前記真空チューブ26を介して真空吸引されて取り出されるものである。ノズル14が下降した位置ではノズル14は真空チューブ26に連通して真空吸引がなされる。
【0017】
前記バネ31は装着ステーションIVにて装着ヘッド15の下降により吸着ノズル14に吸着された部品5がプリント基板6に装着される場合に部品5にある程度の圧力が与えられるように部品5が基板6に接触した後もヘッド15がさらに下降するが、そのときに圧縮され余分な下降ストローク分を吸収すると共に部品5に圧力を与えるものである。部品5には該バネ31の圧力と共に吸着ノズル14の重さ自体が押圧力として掛かっている。従って小さな部品5の場合には部品5に対する押圧力を強くしすぎないようにするためには、バネ圧のみならず、吸着ノズル14全体の重量も軽いほうがよい。
【0018】
装着ヘッド15の下面には拡散板32が取り付けられており、認識ステーションIIにて図示しない光源より光が斜め下方より照射されると光を拡散して吸着ノズル14に吸着された部品5に当てその透過光が認識装置16のカメラに撮像されるもので部品5及び吸着ノズル14の透過像が撮像されることになる。ノズル14が該拡散板32を貫通するため該拡散板32にはノズル14が上下動しても当らない範囲の開口36(図5参照)が空いている。
【0019】
次に、吸着ノズル14のさらに詳しい構造について図1及び図5に基づいて説明する。
【0020】
吸着ノズル14は図1及び図5に示すように部品5を直接吸引して吸着する吸着部材としての吸着先端具34及び該先端具34が連結される本体部としてのノズル軸部35よりなっている。図3及び図4には該ノズル14について、分かり易くするため分離した構造になっていることは省略して描いてある。吸着先端具34には部品5を吸着するための吸引孔37が貫通しており、図5のように連結した状態でノズル軸部35内部に軸方向に向かって空いた中空部38に連通するようになされ、該中空部38はチューブ26より保持体24中を延びる図示しない真空通路に連通可能になされている。
【0021】
ノズル軸部35の内壁39からは中空部38を横切って略水平に円筒形状の連結部材としての係合ピン40が突出され掛け渡されており、また、前記吸着先端具34には、吸引孔37の部品吸着側と反対側の開口部分の周りを取り囲む位置より軸方向に2対の連結部材及び挿入部材としての係合板41が延出されて形成されており、夫々の1対の対向する係合板41は弾性的にその対向する方向に開閉するようにバネ性を有している。該係合板41はノズル軸部35の中空部38に挿入可能な径方向の寸法を有し、挿入されてから該係合板41の上方に形成されたテーパ面45がピン40に当ることにより押し広げられ、さらに挿入されノズル軸部35の下端面42が吸着先端具34の規制面43に当接する図5の位置にて係合板41の凹部44を形成する上方の面がピン40の上方の面に係合した状態で閉じて、吸着先端具34を落下しないように保持し連結する。
【0022】
対向する1対の係合板41の根本部は係合板41がピン40により押し広げられた変形時の根本部への応力集中を緩和するために円形切り込みがされている。該2対の係合板41の加工は吸引孔37の周りに該吸着先端具34の軸心に対して同心円上に円筒部を形成してから該円筒部を放電加工により切り込んで作られるが2対とするために切り込み46が両側に入れられている。該円筒部即ち係合板41の板厚は0.2mm程度と非常に薄くまた、直径も3mm前後と小さいため切削加工をするのは非常に困難である。該切り込み45を入れて2対の係合板41としているのは、係合板41の変形方向の自由度を増やすため及び、ノズル14の管内部の空気管路の有効断面積を増やすためである。従って、切り込み45を入れずに1対の係合板としてもピン40への係合により弾性変形して着脱可能に吸着先端具34とノズル軸部35を連結することは可能である。また、ピン40の2箇所で係合板41が係合していることにより吸着先端具34のノズル軸部35へのθ方向への回転が規制される。
【0023】
吸着先端具34及びノズル軸部35の材質は鉄系材料を焼き入れ焼き戻ししたものであり、ノズル軸部35へは耐摩耗性を持たせ、吸着先端具34へは耐摩耗性及び係合板41のバネ性を確保するようにしている。
【0024】
尚、ピン40は1本のものを掛け渡さず、内壁39より係合板41が係合できる長さだけ突出したものとしてもよく、こうすることにより前述の空気管路の有効断面積を増やすことができる。
【0025】
以上の構成により以下動作について説明する。
【0026】
図示しない操作板を作業者が操作することによりチップ部品5の自動装着動作が行われる。
【0027】
即ち、吸着ステーションIにて所望の部品供給装置8より該装置8の供給する部品種に合わせたノズル14が装着ヘッド15内で使用位置に突出されて装着ヘッド15の所定の回転角度位置に位置決めされており、部品5を吸着する。
【0028】
この場合に、吸着先端具34の吸引孔37はノズル軸部35の中空部38に連通してさらに真空チューブ26に連通して真空通路27を介して図示しない真空源に連通し、真空吸引がなされている。また、吸着先端具34はノズル軸部35に係合板41の凹部44が係合ピン40に係合して連結されており、落下しないように保持されている。ヘッド15内の複数の吸着ノズル14の吸着先端具34は種々の部品5に合わせて種々のものが取り付けられている。
【0029】
部品5を保持しているヘッド15はロータリテーブル13の間欠的な回転により各ステーションで停止して所定の作業が行われるが、認識ステーションIIにおいては、部品認識装置16によりその部品5の透過像が撮像され認識処理され、ノズル14に対する位置ずれ及び角度位置ずれが認識される。この場合にノズル14の外周には突出するものが無く、その外径も部品5に比べて小さいため、部品5以外の余計なものの像が写ることはなく、正確な認識処理が行われる。
【0030】
次に、角度補正ステーションIIIにてヘッド回動装置17によりヘッド15がθ方向に回動され、認識結果による補正が加えられ図示しない装着データにより指定される角度位置となるように角度振りされる。
【0031】
次に、装着ステーションIVでは装着ヘッド15の下降により部品5がプリント基板6に当接し適度な押圧力を得られるように当接後もヘッド15が下降してから上昇して部品5の装着が行われるが、このときノズル14の径がノズル14の内側で係合ピン40に係合板41が弾性的に係合するようにしているのでノズル14の外側に弾性的に係合する部材が設けられている場合よりもノズル14全体にて径が小さく軽量にできるので、部品5か小さくても装着時に加わる衝撃を小さくでき、部品5の破損を防止して装着することができる。また、装着時の衝撃で吸着先端具34がノズル軸部35に対してθ方向に回転する力が掛かってもピン40の2箇所で夫々の対の係合板41が係合しているのでθ方向に回転しないように規制され、回転ずれが生じないようになされる。ノズル軸部35自体は装着ヘッド15に対してθ方向への回り止めが為されているものとする。
【0032】
このようにして夫々のヘッド15にて部品5のプリント基板6への装着がなされていくが、予定の数量の基板6への部品装着が終了して、次に異なる種類の基板6に部品装着を行うこととなったとする。
【0033】
電子部品自動装着装置が自動運転を一端停止し、次の基板の装着対象の部品5には現在のヘッド15に取り付けられている吸着ノズル14では吸着できない部品5が含まれている場合には、吸着先端具34を交換する必要が生じる。
【0034】
そこで、作業者は各ヘッド15につき必要のない吸着先端具34が取り付けられているノズル14について吸着先端具34の交換作業を行う。
【0035】
即ち、作業対象のノズル14の吸着先端具34を手で引っ張るが、ピン40が1対の対向する係合板41の凹部44を形成する面に当り、該係合板41を押し広げながら該係合板41即ち、吸着先端具34はノズル軸部35より離れる方向に移動しピン40が凹部44の上方のテーパ面45に達すると該係合板41は閉じ吸着先端具34のノズル軸部35への連結が外れる。
【0036】
こうして吸着先端具34は外され、次に、新しい吸着先端具34がノズル軸部35に取り付けられる。この取り付け動作は単に係合板41を中空部38内に挿入していくだけでよく、1対の係合板41のテーパ面45が係合ピン40に当接してさらに押し込まれることにより、係合板41は押し広げられ、最大に押し広げられた後は、さらに押し込まれることによりバネ性により戻り、凹部44内にピン40が嵌合して吸着先端具34はノズル軸部35に連結され、手を離しても落ちないようになされる。
【0037】
このように段取り替えが終了したならば、新しい基板6に対する部品5の装着が前述と同様にして行われる。
【0038】
尚、本実施例では、ノズル14はヘッド15に対してθ方向に自転しないようになされていたが、ヘッド15に対してノズル14がθ方向に自転することにより、部品5の角度位置の位置決めが行われる場合には、ノズル14の外側に弾性的に吸着先端具34に相当する先端具を着脱自在に保持する保持機構を設けると以下のような問題点がある。即ち、ノズル14を収納位置に上昇させるときに、どのθ方向を向いているのかわからない状態で上昇させるようにすると、開口36は最大突出している径よりも大きな径の開口としなければならず該開口が認識時に像として写る可能性が高く小さな部品5の認識に不利となり、どの方向かを向けて収納しなければならないとすると装着後にノズル14を選択して収納して異なるノズルを突出する場合に予めノズル14を所定の位置に回転する機構が必要となり、ノズル14をその突出する保持機構が出ている位置より上昇させないような構造とすると、ノズル14をいたずらに長くする必要があり、スペースが取れず機械が大きくなってしまったり、吸着力が小さくなってしまったりする欠点があり、本実施例のようにノズル14の内側に吸着先端具34をノズル軸部35に連結する構造とすることでこれらの問題点が無くすることができる。
【0039】
また、本実施例では部品5の認識は透過像を認識する場合について説明したが、下から光を直接部品5に当ててそのリード部の反射光により部品5の位置認識を行う場合であっても、外部に吸着先端具34を保持する機構を設けると突出した該保持機構により反射された光がカメラに入り正確な認識ができなくなるため、本実施例のようにノズル14の内側に弾性的に保持する機構を設けることがよい。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明は、吸着部材を部品種に合わせて交換する場合には単純に吸着部材を引張ることで本体部より中空部内に突設された係合ピンから挿入部材が外れ、吸着部材を離脱でき、他の吸着部材は押し込むだけで挿入部材が本体部の係合ピンに弾性的に係合して連結ができ作業が簡単であり、しかも吸着ノズルの内部で部品を吸着する吸着部材と本体部の連結が行われるので、ノズルの外部に余計な突起等ができずノズルの外径を小さくでき、部品認識時にも有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用せる吸着ノズルの吸着先端具及びノズル軸部を示す斜視図である。
【図2】本発明を適用せる電子部品自動装着装置の平面図である。
【図3】本発明を適用せる電子部品自動装着装置の側面図である。
【図4】装着ヘッドを示す側面図である。
【図5】吸着ノズルを示す側断面図である。
【符号の説明】
5 チップ状電子部品
6 プリント基板
14 吸着ノズル
34 吸着先端具(吸着部材)
35 ノズル軸部(本体部)
37 吸引孔
38 中空部
40 係合ピン
41 係合板(挿入部材)
Claims (1)
- 吸引孔よりの真空吸引により電子部品を吸着する吸着部材と該吸着部材を保持し前記吸引孔に連通すると共に真空源に連通する中空部が形成された本体部とよりなる電子部品の吸着ノズルにおいて、前記本体部より前記中空部内に突設された係合ピンと、前記吸着部材に設けられ前記中空部内に挿入され弾性的に前記係合ピンに係合して前記吸着部材を前記本体部に着脱可能に連結させる挿入部材とを有することを特徴とする電子部品の吸着ノズル。
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