JP3736661B2 - 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、農業用被覆材として使用される塩化ビニル系樹脂フィルム、詳細には塩化ビニル系樹脂として特定のエチレン−塩化ビニル共重合体を使用した防滴持続性に優れた農業用塩化ビニル系樹脂フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、トンネルや農業用ハウス等の農業用施設に使用する被覆材(農業用被覆材)として、安価で透明性がよく、保温性や強度等にも優れる上、フィルム化が容易(加工性が良い)等の理由から、塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニルからなるフィルムが広く使用されている。
このポリ塩化ビニルからなる農業用フィルム(農業用ポリ塩化ビニルフィルム)は、一般に、ポリ塩化ビニルに、可塑剤、安定剤、防滴剤、防霧剤、紫外線吸収剤等の添加剤を所定量添加してなる組成物を、カレンダー法等の手段にてフィルム化したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年では、農家の人手不足や省資源等の理由から、長期にわたって展張することが可能な農業用被覆材が望まれており、農業用ポリ塩化ビニルフィルムに関しても、長期展張を指向した提案が数多くなされてきた。
特に、農業用ポリ塩化ビニルフィルムを長期にわたって展張可能とするためには、防滴性、防霧性を長期間持続させることが必要不可欠であり、防滴剤や防霧剤の種類を特定したり、他の添加剤を組み合わせて使用することを特定した提案等が多くなされている。
しかしながら、防滴性や防霧性が長期間持続するようにした場合、一般に初期の防滴性や防霧性が低下する傾向にある。
【0004】
一方、本発明出願人は、特願昭63−174286号として、特定のエチレン−塩化ビニル共重合体を使用した、防滴持続性に優れる農業用塩化ビニル系樹脂フィルムを提案(以下、「先提案」という)した。
本発明は、上記の先提案に更に改良を加えたものであり、特定の無機質粒子を組み合わせて併用することにより、防滴持続性を更に向上させた農業用塩化ビニル系樹脂フィルムを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムは、エチレン含有量が0.1〜10重量%であるエチレン−塩化ビニル共重合体5〜100重量%と、他の塩化ビニル系重合体95〜0重量%とからなる塩化ビニル系樹脂に、少なくとも防滴剤及び無機質粒子を添加してなる塩化ビニル系樹脂組成物をフィルム化してなる農業用塩化ビニル系樹脂フィルムであって、無機質粒子が、塩化ビニル系樹脂100重量部当たり0.1〜15重量部の化2に示す複合金属水酸化物塩粒子と、塩化ビニル系樹脂100重量部当たり0.1〜5重量部のシリカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、長石から選ばれる一種以上の無機質粒子を含むことを特徴とするものである。
【化2】
【0006】
本発明における塩化ビニル系樹脂は、エチレン含有量が0.1〜10重量%であるエチレン−塩化ビニル共重合体単独、もしくはエチレン含有量が0.1〜10重量%であるエチレン−塩化ビニル共重合体と他の塩化ビニル系重合体との混合物であり、エチレン含有量が0.1〜10重量%であるエチレン−塩化ビニル共重合体5〜100重量%と、他の塩化ビニル系重合体95〜0重量%とからなるものである。
【0007】
上記のエチレン−塩化ビニル共重合体は、エチレン含有量が0.1〜10重量%、特に好ましくは0.5〜7重量部である。エチレン−塩化ビニル共重合体中のエチレン含有量が少なすぎると、防滴持続性の向上が充分に発現せず、逆にエチレン−塩化ビニル共重合体中のエチレン含有量が多すぎると、得られる農業用塩化ビニル系樹脂フィルムの耐侯性が悪化する。
【0008】
上記のエチレン−塩化ビニル共重合体に混合される他の塩化ビニル系重合体としては、塩化ビニルの単独重合体であるポリ塩化ビニルの他、エチレン以外の他のモノマー、具体的には、プロピレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、マレイン酸、フマール酸、アクリロニトリル、アルキルビニルエーテル等との共重合体が挙げられる。また、エチレン含有量が0.1重量%未満あるいは10重量%を超えるエチレン−塩化ビニル共重合体を混合しても差し支えないが、特にエチレン含有量が10重量%を超えるエチレン−塩化ビニル共重合体を使用する場合には、塩化ビニル系樹脂中の全エチレン量が、多くなりすぎないように留意する必要がある。
【0009】
上記の塩化ビニル系樹脂中に含まれる全エチレン量は、0.1〜7重量部程度とするのが望ましい。すなわち、エチレン含有量が0.1重量%のエチレン−塩化ビニル共重合体を使用する場合には、エチレン−塩化ビニル共重合体単独からなる塩化ビニル系樹脂とするのが望ましく、またエチレン含有量が7〜10重量%のエチレン−塩化ビニル共重合体を使用する場合には、エチレン−塩化ビニル共重合体とエチレンを含まない他の塩化ビニル系共重合体を混合して塩化ビニル系樹脂とするのが望ましい。
【0010】
上記の塩化ビニル系樹脂には、必要に応じて、可塑剤、安定剤、滑剤又は粘着防止剤、紫外線吸収剤、防霧剤、抗酸化剤、光安定剤等の各種添加剤が添加される。
【0011】
可塑剤として具体的には、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジラウリルフタレート、ジデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジトリデシルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;トリクレジルホスフェート、トリキシリルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリエチルフェニルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;ジオクチルアジペート、ジトリノニルアジペート、ジイソデシルアジペート等のアジピン酸エステル系可塑剤;ポリエステル系可塑剤;セバチン酸エステル系可塑剤;トリメリット酸エステル系可塑剤;エポキシ化大豆油等のエポキシ系可塑剤;等から選ばれる一種以上が使用できる。
また、可塑剤の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部当たり30〜70重量部程度である。
【0012】
安定剤としては、金属石鹸、有機ホスファイト系安定剤等の通常使用されている安定剤を使用することができる。
金属石鹸としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸バリウム、ラウリン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、オクトイン酸亜鉛等が挙げられる。
有機ホスファイト系安定剤としては、ジフェニルデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト等が挙げられる。
上記の安定剤は、一種又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0013】
滑剤又は粘着防止剤としては、ステアリン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸系滑剤;ステアリン酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸アミド系滑剤;ブチルパルミテート、ブチルステアレート等のエステル系滑剤;バリウムイソデシルホスフェート、カルシウムオクタデシルホスフェート等の有機リン酸金属塩系滑剤;ポリエチレンワックス、流動パラフィン等が使用できる。
上記の滑剤又は粘着防止剤は、一種又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0014】
紫外線吸収剤としては、一般に使用されているベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤が使用できる。
上記の紫外線吸収剤は、一種又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】
防霧剤として具体的には、従来より農業用フィルムの防霧剤として使用されている含フッ素化合物を使用することができる。
この含フッ素化合物は、一分子中に、含フッ素基と、水酸基又はアルキレンオキサイド基の少なくとも一種を有する化合物である。
含フッ素基としては、パーフルオロアルキル基〔Cn F2n+1−〕、パーフルオロアルコキシ基〔Cn F2n+1O−〕、ポリフルオロアルキル基〔Hm Cn F2n+1-m−〕、パーフルオロアルケニル基〔Cn F2n-1−〕、ポリフルオロアルケニル基〔Hm Cn F2n-1-m−〕、パーフルオロアルキレン基〔Cn F2n−〕等が挙げられ(但し、式中のmは1〜3、nは3〜20の整数)、アルキレンオキサイド基としては、〔−(C2 H4 O)n −〕、〔−(C3 H6 O)n −〕等が挙げられる(但しnは1〜30の整数)。
【0016】
上記の含フッ素化合物として具体的には、化3の(1)〜(13)に示すものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化3】
【0017】
上記の防霧剤の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.01〜1.0重量部程度、特に好ましくは、0.05〜0.5重量部程度である。
防霧剤の添加量が少なすぎると、得られるフィルムの防霧性が不充分となり、防霧剤の添加量が多すぎると、コスト高になる。
【0018】
光安定剤としては、一般に使用されている、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン単位を有するヒンダードアミン系光安定剤を使用することができる。
このヒンダードアミン系光安定剤としては、分子量が800〜2000程度のものが好適である。
また、上記の光安定剤の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.01〜0.3重量部程度である。
【0019】
なお、本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムを構成する塩化ビニル系樹脂組成物中には、上記の通常使用される添加剤に加えて、得られるフィルムの耐候性を更に向上させるために、化4に示す有機リン系化合物を添加することもできる。
【化4】
【0020】
本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムを構成する塩化ビニル系樹脂組成物は、防滴剤を含むものである。
この防滴剤としては、従来より使用されているものであればいずれのものであっても使用できるが、特に好適には、ソルビタン系の防滴剤である。
【0021】
ソルビタン系の防滴剤として具体的には、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンステアレート・エチレンオキサイド1モル付加物、ソルビタンステアレート・エチレンオキサイド2モル付加物、ソルビタンステアレート・プロピレンオキサイド3モル付加物、ソルビタンステアレートアジペート・エチレンオキサイド3モル付加物等が使用できる。
【0022】
また、上記のソルビタン系以外の防滴剤として具体的には、ジグリセリンステアレート、ソルビトールステアレート、ソルビトールステアレート・エチレンオキサイド3モル付加物、ジグリセリンパルミテート・エチレンオキサイド2モル付加物、ソルビトールステアレートアジペート・エチレンオキサイド2モル付加物、ジグリセリンパルミテートセバケート・プロピレンオキサイド3モル付加物、ソルビトールパルミテートアジペート・エチレンオキサイド3モル付加物等が使用できる。
【0023】
上記の防滴剤の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.3〜5重量部である。
防滴剤の添加量が少なすぎると、得られるフィルムの防滴性が不充分であり、また、防滴剤の添加量が多すぎると、コスト高となるばかりでなく、添加した防滴剤がブルームして、得られたフィルムの透明性を損なう等の懸念がある。
【0024】
本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムを構成する塩化ビニル系樹脂組成物は、防滴剤とともに、上記化2に示す複合金属水酸化物塩粒子と、シリカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、長石から選ばれる一種以上無機質粒子を含むものである。
【0025】
化2に示す複合金属水酸化物塩は、リチウム(Li)、アルミニウム(Al)及び一種又は二種以上の2価の金属(M)のイオンを含む複合金属水酸化物塩である。
【0026】
上記の2価の金属として具体的には、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、鉛(Pb)等から選ばれる一種以上が挙げられるが、好ましくはマグネシウム又は/及び亜鉛である。
【0027】
化2に示す式中のYはn価のアニオンである。このYとして具体的には、炭酸イオン、過塩素酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、メタリン酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、アジピン酸イオン、安息香酸イオン、フタル酸イオン、テレフタル酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、コハク酸イオン、p−オキシ安息香酸イオン、サリチル酸イオン、ピクリン酸イオン、ケイ酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン等が挙げられる。
【0028】
化2に示す複合金属水酸化物塩粒子としては、平均粒子径が0.01〜10μmのものが好適であり、また、形状が板状である粒子であるのが望ましい。
この複合金属水酸化物塩粒子は、二次粒子を形成したものであってもよく、二次粒子を形成したものである場合には、上記の平均粒子径は、この二次粒子の平均粒子径のことを指す。
また、この複合金属水酸化物塩粒子としては、屈折率が1.45〜1.55程度のものが特に好適である。
更に、この複合金属水酸化物塩粒子は、塩化ビニル系樹脂組成物中への分散性を向上させるために、パラフィン、高級脂肪酸、高級脂肪酸のアルカリ金属塩、高級アルコール、多価アルコール、カップリング剤等の表面処理剤によって表面処理されたものであってもよい。
【0029】
化2に示す複合金属水酸化物塩粒子の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.1〜15重量部、特に好ましくは、1〜10重量部である。
この複合金属水酸化物塩粒子の添加量が少なすぎると、防滴持続性が十分に向上せず、添加量が多すぎると、得られるフィルムの透明性や強度が低下するといった懸念がある。
【0030】
上記の複合金属水酸化物塩粒子と共に本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムを構成する塩化ビニル系樹脂組成物中に添加される、シリカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、長石から選ばれる一種以上の無機質粒子としては、平均粒径が0.01〜20μmのものが好適である。
【0031】
上記の無機質粒子の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部である。
また、塩化ビニル系樹脂組成物中に添加する、上記の複合金属水酸化物塩粒子とこのシリカ等の無機質粒子の割合は、1:1〜10:1程度とするのが望ましい。
複合金属水酸化物塩粒子の添加量以上の量のシリカ等の無機質粒子を添加しても、防滴持続性が更に向上するようなことはなく、むしろ得られるフィルムの透明性や強度等を損なう等の懸念があり、一方、シリカ等の無機質粒子を複合金属水酸化物塩粒子の添加量に対し、その10分の1にも満たない極僅かな量添加しても、複合金属水酸化物塩粒子単独で添加した場合と特段の差は見られない。
【0032】
尚、上記の複合金属水酸化物塩粒子を添加した塩化ビニル系樹脂組成物からなる農業用塩化ビニル系樹脂フィルムは、この塩化ビニル系樹脂組成物中に、シリカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、長石のいずれも添加されていないとしても、防滴持続性の改良が見られるが、本発明は、この複合金属水酸化物塩粒子と、シリカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、長石から選ばれる一種以上無機質粒子を併用して添加することにより、複合金属水酸化物塩粒子を単独で添加した場合よりも、防滴持続性が向上することを見出した結果、完成するに至ったものである。
【0033】
また、塩化ビニル系樹脂組成物中に上記の複合金属水酸化物塩粒子を添加した場合、この組成物をカレンダー加工等でフィルム化するときに変色し易くなる。それを防止するために、上記に加えてβ−ジケトン化合物を添加しておくのが望ましい。
このβ−ジケトン化合物としては、ジベンゾイルメタン、メトキシベンゾイル・ベンゾイルメタン、クロロベンゾイル・ベンゾイルメタン、パルミチンベンゾイルメタン等が使用できる。
【0034】
このβ−ジケトン化合物の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.001〜0.3重量部程度である。
β−ジケトン化合物の添加量が少なすぎると、上記の効果が充分に発現せず、また、β−ジケトン化合物を上記添加量を超えて添加しても、コスト高となるだけである。
【0035】
また、上記の無機質粒子を塩化ビニル系樹脂組成物中に添加した場合、得られるフィルムの耐侯性が低下する傾向にある。これを抑制するためには、紫外線吸収剤の種類や添加量を選定・調製することによって、330nmの波長の光線透過率を50%以下に抑制しておくのが望ましい。但し、紫外線帯の光線透過率を必要以上に抑制してしまうと、作物の色付き等の悪影響を及ぼすことが懸念されるため、それを使用して栽培する作物の特性等も考慮した上で、紫外線帯の光線透過率を決定することが重要である。
勿論、上記のように330nmの波長の光線透過率は50%以下とするとともに、フィルムの耐侯性を向上させるトリキシリルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤、上記化4に示す有機リン系化合物、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤等を添加する等して、得られるフィルムの耐侯性を向上させることが、長期展張可能な農業用フィルムを得る上では必要である。
【0036】
上記の塩化ビニル系樹脂組成物は、カレンダー法、押出法、インフレーション法等の公知の手段にてフィルム化され、本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムが得られる。
尚、フィルム化するときの温度等の加工条件は、従来の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムの場合と特に変える必要はない。
【0037】
上記のようにして得られた本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムは、従来の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムのように、展張した際に外側となる面に、溶剤系、水系あるいは紫外線硬化型の塗料を塗布して形成した防塵性塗膜を設けることもできる。
上記の溶剤系塗料としては、例えば、アクリル樹脂系、塩化ビニル樹脂系、セルロース樹脂系、フッ素樹脂系、ポリアミド樹脂系、ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、シリコーン樹脂系等の塗料が使用できる。
水系塗料としては、例えば、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系、ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系等の塗料が使用できる。
紫外線硬化型塗料としては、例えば、アクリル樹脂系、アクリル変性ウレタン樹脂系、アクリル変性エポキシ樹脂系、メルカプト誘導体系、エポキシ樹脂系等の塗料が使用できる。
【0038】
また、本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムは、展張した際に内側となる面に、防滴性を付与することを目的とする被膜、例えば、上記の溶剤系、水系あるいは紫外線硬化型の塗料に、コロイダルシリカ等を添加して得た塗料を塗布して形成した塗膜を形成してもよい。
【0039】
【実施例】
以下、具体的な実施例を挙げ、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0040】
〔実施例1〜8、比較例1〜5〕
表1、表2に示す配合からなる塩化ビニル系樹脂組成物をロール温度180℃のカレンダー装置を用いて、厚さ0.1mmのフィルムに成形し、塩化ビニル系樹脂フィルムを得た。
得られた塩化ビニル系樹脂フィルムを、幅1m、高さ80cm、長さ10mのトンネルハウスに展張し、初期の防滴性、防滴持続性、フィルムの耐侯性について、下記方法にて評価した。
結果を表1、表2に示す。
【0041】
(1)初期の防滴性
展張してから3日経過後に、フィルムのハウス内表面側の状態を目視により観察し、下記基準にて評価した。
〔基準〕
5:水滴が全く見られず、水が膜状となってきれいに流れている。
4:極僅かに水滴が見られるが、水が膜状となってきれいに流れている。
3:水滴は少ないが、水が筋状となって流れている箇所が見受けられる。
2:水滴が多く、水が筋状となって流れている。
1:多量の水滴が付着し、殆ど流れていない。
(2)展張してから3ケ月後、6ケ月後、12ケ月後、24ケ月後のフィルムのハウス内表面側の状態を目視により観察し、上記の同じ基準にて評価した。
(3)耐侯性
展張してから12ケ月後のフィルムの状態(特に、金属製パイプとの接触部の状態)を目視により観察し、変色が殆どないものを○、変色の見られるものを×として評価した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
以上の結果より明らかなように、塩化ビニル系樹脂として、特定のエチレン−塩化ビニル共重合樹脂、或いはエチレン−塩化ビニル共重合樹脂を含む塩化ビニル系樹脂を用い、かつ特定の複合金属水酸化物塩及び無機質粉体を添加してなる本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムは、防滴持続性の改善が見られることがわかる。
一方、比較例4、5から明らかなように、塩化ビニル系樹脂としてポリ塩化ビニルを用いた場合であっても、同様の複合金属水酸化物塩及び無機質粉体を添加することによって防滴持続性が改善されるが、実施例2、5との比較から明らかなように、その効果は、特定のエチレン−塩化ビニル共重合樹脂、或いはエチレン−塩化ビニル共重合樹脂を含む塩化ビニル系樹脂を用いた場合の方が大きいことがわかる。
更に、実施例2と実施例5の比較から、本発明において使用する防滴剤としてはソルビタン系の防滴剤が好適であることがわかる。
【0045】
【発明の効果】
上記した通り、本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムは、特定の塩化ビニル系樹脂を用い、かつ特定の複合金属水酸化物塩及び無機質粉体を併用して添加した組成物からなることにより、初期の防滴性に優れるのは勿論のこと、その効果の持続性にも優れるものである。
Claims (5)
- 塩化ビニル系樹脂中の全エチレン量が、0.1〜7重量%である請求項1記載の農業用塩化ビニル系樹脂フィルム。
- 化1に示す複合金属水酸化物塩粒子の平均粒子径が0.01〜10μmであり、シリカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、長石から選ばれる一種以上無機質粒子の平均粒子径が0.01〜20μmである請求項1又は2記載の農業用塩化ビニル系樹脂フィルム。
- 化1に示す複合金属水酸化物塩粒子が板状粒子である請求項1〜3いずれか1項記載の農業用塩化ビニル系樹脂フィルム。
- 防滴剤が、ソルビタン系防滴剤である請求項1〜4いずれか1項記載の農業用塩化ビニル系樹脂フィルム。
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