JP3736358B2 - 壁材 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の内外装建材として使用される薄板金属壁材の化粧表面における光の反射を利用して意匠性、装飾性を高めようとする技術に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来の薄板金属壁材は、表面にあらかじめ塗装等を施したいわゆるプレコート薄板金属板を使用し、その化粧表面にエンボス加工またはプレス加工等の型押し加工によって装飾模様を形設し、該薄板金属板をロール成形、プレス加工等により所定の形状に形成し、その薄板金属板によって強度、耐火性、耐候性等を高め、また金属の裏面に断熱材を裏打ち添設して、断熱性を向上しているのであり、建築物、構築物の内外装に多く使用されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術で示された薄板金属壁材は、建築物の壁面を保護し、その風化作用を防止するなど、壁材としての最低不可欠の機能は果たせるものである。ところが、従来の薄板金属壁材においては、エンボス加工、プレス加工等の型押し加工によって、その化粧表面に装飾模様を形設するため、該薄板金属材料の延性、展性の限界、及び化粧表面にプレコートされる塗装材の延性の限界から、この材料に傷をつけず、細かい割れ（ヘアークラックといわれる）を生じさせることなしに、これらの装飾模様を凹凸の深いものにて形設することが困難で、どうしても変化が少なく意匠性、装飾性及び外観良好性を高め難いものとなっていた。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段として、請求項１に記載した発明に係る壁材は、
薄板金属板の長尺方向に平行な上縁に雄端縁１７が、下縁に前記雄端縁と嵌合可能な雌端縁１８が形成されていると共に、当該薄板金属板にエンボス加工、またはプレス加工等の型押し加工を施すことにより、その化粧表面に模様を形設して成る壁材本体１１と、前記壁材本体の裏面に一体的に成形された樹脂発泡体１３と、前記樹脂発泡体の裏面側に添設された裏面材１４とから成る壁材であって、
該壁材本体１１の化粧表面に壁材本体の長手方向および同長手方向と直角な方向の目地調模様１５によって囲まれた、タイル張り調、レンガ張り調、ブロック積み調または石積み調等の模様を形成した凸部領域１６が配設されていると共に、前記の凸部領域１６の各単位表面に、該凸部領域１６の下部稜線１６ａに対し略左斜縞模様１６ｂを、これに相隣接する凸部領域には略右斜縞模様１６ｃ、略平行縞模様１６ｄおよび略垂直縞模様１６ｅとそれぞれ異なる方向性を有する少なくとも４方向の略平行凹凸縞模様がランダムに配設されて成り、
更に前記略平行凹凸縞模様は、斜縞模様の幅、斜縞模様のピッチを変化させ、または縞模様を波形等変化のある斜縞線に変化させた縞模様Ｍ、Ｎを含ませており、
前記薄板金属板の下縁の雌端縁１８へ移行する長手方向の目地調模様１５ａは１８０°の折り曲げ加工を伴って形成されていることを特徴とする。
薄板金属板に、エンボス加工、プレス加工等の型押し加工を施し、目地調模様によって囲むように、例えばタイル張り調、レンガ張り調、ブロック積み調または石積み調模様として、その化粧表面に区画、配設された凸部領域において、本発明では、該凸部領域単位の表面に装飾模様を形設するが、その装飾模様を該凸部領域の下部稜線に対し、一つの凸部領域単位には向かって右側から左下がりとする左斜縞を、他の凸部領域単位には同様に向かって左側から右下がりとする右斜縞を、凸部領域単位には平行縞、また他の凸部領域単位には垂直縞等を基本とする方向性を有する略平行な凹凸縞模様を各々形設し、この化粧表面に、その略平行な凹凸縞模様の方向が少なくとも４方向の凸部領域を配設した。
【０００５】
かつ、このような少なくとも４方向に略平行凹凸縞模様を形設した凸部領域単位を、その一凸部領域単位の上、下、左、右方向に相隣接する各領域単位の凹凸縞模様の方向が各々異なるように配設しているので、各凸部領域に対する見る人の視差及び見る方向によって、反射光が多くて輝いて見える凸部領域と反射光が少なくて暗く見える凸部領域と、及びそれらの中間に位置する凸部領域とが相隣接して配設されると、各凸部領域単位の色調等が異なる装飾模様に見えるものであり、またこの色調が異なって見える装飾模様は、太陽光またはその他の光源の位置の変化、及び見る人の位置の変化によって、色調や色の濃淡が多様に変化する効果が生まれ、この薄板金属壁材の意匠性、装飾性及び外観良好性を高め、その商品価値を大幅に高めることができる効果がある。
【０００６】
【実施例】
以下、本発明の一実施例として一般住宅用壁材を説明するが、本発明はこの一実施例に限定されるものではない。本発明の一実施例を図１〜図３に基づいて説明すると、薄板金属板の長尺方向と平行に上端となる一端縁に雄端縁１７、下端となる他端縁に雌端縁１８を形成した壁材本体１１とこの壁材本体１１の裏側と一体的に形成した樹脂発泡体１３と、その裏面に添設した裏面材１４とからなる壁材１０において、この壁材本体１１の化粧表面１２にエンボス加工またはプレス加工等の型押し加工により目地調模様１５によって囲まれるように、例えばタイル張り調、レンガ張り調、ブロック積み調、または石積み調模様として配設された凸部領域単位１６の表面に、この凸部領域１６の下部稜線１６ａに対し、略左斜縞調１６ｂ、略右斜縞調１６ｃ、略平行縞調１６ｄ、及び略垂直縞調１６ｅ等、少なくとも４方向の略平行縞を基調とする平行凹凸模様を有する凸部領域単位１６をランダムに配設したことにより、この凸部領域単位１６の光の反射の度合いにより、見る人に対して反射光が多くて輝いて見える反射面と反射光が少なくて暗く見える反射面及びそれらの中間に位置する反射面がランダムに凸部領域単位１６の色調や色の濃淡等が異なる装飾模様に見えるものであり、またこの色調が異なって見える装飾模様は、太陽光またはその他の光源の位置の変化、及び見る人の位置の変化によって、色調や色の濃淡が多様に変化する効果が生まれ、この薄板金属壁材の意匠性、装飾性及び外観良好性を高め、その商品価値を大幅に高めることができる効果がある。
【０００７】
この壁材１０の施工にあたっては、図３に示すように壁材１０ａの雄端縁１７をその上方に互いに隣接する別の壁材１０ｂの雌端縁１８に嵌合させて、上記胴縁１９に釘打ち等で固定することにより、本建物の上下方向に施工することができる。ここで、記号１０ａ、１０ｂは、説明の便宜上用いたもので、壁材１０としては同じものである。
【０００８】
外装材として施工された壁材１０を図３を用いて説明する。その壁材本体１１にエンボス加工、プレス加工等の型押し加工により、化粧表面１２に目地調模様１５によって囲まれるように、凸部領域単位１６を配設し、本実施例では、凸部領域単位１６の一例としてタイル張り調模様について説明する。この凸部領域単位１６には、例えばその下部稜線１６ａに対して略左斜縞模様１６ｂをこの化粧表面１２の中央付近に配設し、該略左斜縞模様１６ｂに相隣接する凸部領域単位１６表面の装飾模様は、同様にその下部稜線１６ａに対して略右斜縞模様１６ｃと略平行縞模様１６ｄ、及び略垂直縞模様１６ｅであり、いずれも該左斜縞模様１６ｂとは異なる方向の略平行縞模様で構成されている。更には図２のＭ及びＮにて示すように、これら略右斜縞模様、略左斜縞模様のいずれかまたは両方の斜縞模様の幅、斜縞模様のピッチ、または縞模様を波形等変化のある斜縞線に変化させると、色調や色の濃淡がより変化する効果が生じ、装飾性をより高めることができる。また、エンボス加工、プレス加工等の型押し加工により、化粧表面に配設された凸部領域１６の表面に形設された略平行な凹凸装飾模様の凸表面から目地調模様１５の表面までの型押し（深さ）寸法αが大きい方が上記反射光の変化が大きい効果があるが、薄板金属板の材料の延性、展性の限界により、その材料によってαは１.３〜３.５ｍｍとされる。
なお、下縁の雌端縁１８へ移行する長手方向の目地調模様１５ａは、１８０°の折り曲げ加工を伴って形成されている（図３）。
【０００９】
また、本壁材１０の主構成である壁材本体１１は、その化粧表面１２に装飾、補強を兼ねて、上記したようにエンボス加工、プレス加工等の型押し加工により装飾模様を形設しているが、その素材として、例えば塗装亜鉛めっき鋼鈑、塗装亜鉛アルミニウム合金めっき鋼鈑、塗装アルミニウム亜鉛合金めっき鋼鈑、塗装ステンレス鋼鈑、塩化ビニル鋼鈑、塗装アルミニウム板、銅板等が使用される。
【００１０】
また、本壁材本体１１の裏面には、樹脂発泡体１３が、本壁材本体１１と一体的に成形して形成され、この樹脂発泡体１３の裏面に裏面材１４を添設し、この樹脂発泡体１３は本壁材の断熱性、吸音性、強度の向上を図るための部材であり、この素材として例えばポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム等が使用される。
【００１１】
また、裏面材１４が、係る樹脂発泡体１３の裏面に本壁材本体１１と樹脂発泡体１３の一体成形時における型枠代用として、及び樹脂発泡体１３の保護のために添設され、この裏面材１４の素材としては、例えばアルミニウム箔ラミネート紙、アルミニウム蒸着紙、アルミニウム箔、スチールペーパー等が使用される。
【００１２】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る壁材１０の化粧表面１２にエンボス加工、プレス加工等の型押し加工により、目地調模様１５によって囲まれるようにタイル張り調、レンガ張り調、ブロック積み調、または石積み調模様として凸部領域１６を配設し、凸部領域単位１６の表面に、この凸部領域単位１６の下部稜線１６ａに対して、略左斜縞模様１６ｂ、略右斜縞模様１６ｃ、略平行縞模様、略垂直模様１６ｅ等の方向性を有する少なくとも４方向の略平行縞を基調とする平行凹凸装飾模様を各々形設し、かつ係る凸部領域単位１６を該化粧表面にランダムに配設することによって、これらの凸部領域単位１６の光の反射の度合い、反射の方向差により、見る人に対して反射光が多くて輝いて見える反射領域面と、反射光が少なくて暗く見える反射領域面及びこれらの中間に位置する反射領域面とで、その色調や色の濃淡等が異なる凸部領域単位１６装飾模様に見える効果が生まれ、また太陽光その他の光源の位置の変化、見る人の位置の変化によっても、その色調や色の濃淡等が多様に変化する効果が生まれ、本壁材の意匠性、装飾性及び外観良好性を高め、その商品価値を大幅に高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る壁材の説明図で斜視図である。
【図２】本発明に係る壁材の説明図で正面図である。
【図３】本発明に係る壁材の施工を説明する図で断面図である。
【図４】本発明に係る壁材を使用した一例を示す図である。
【符号の説明】
１０ 壁材
１１ 壁材本体
１２ 化粧表面
１３ 樹発泡体
１４ 裏面材
１５ 目地調模様
１６ 凸部領域
１６ａ 稜線
１６ｂ 略左斜縞模様
１６ｃ 略右斜縞模様
１６ｄ 略平行縞模様
１６ｅ 略垂直縞模様
１７ 雄端縁
１７ａ 釘打ち部
１８ 雌端縁
１９ 胴縁

Claims (1)

1. 薄板金属板の長尺方向に平行な上縁に雄端縁（１７）が、下縁に前記雄端縁と嵌合可能な雌端縁（１８）が形成されていると共に、当該薄板金属板にエンボス加工、またはプレス加工等の型押し加工を施すことにより、その化粧表面に模様を形設して成る壁材本体（１１）と、前記壁材本体の裏面に一体的に成形された樹脂発泡体（１３）と、前記樹脂発泡体の裏面側に添設された裏面材（１４）とから成る壁材であって、
   該壁材本体（１１）の化粧表面に壁材本体の長手方向および同長手方向と直角な方向の目地調模様（１５）によって囲まれた、タイル張り調、レンガ張り調、ブロック積み調または石積み調等の模様を形成した凸部領域（１６）が配設されていると共に、前記の凸部領域（１６）の各単位表面に、該凸部領域（１６）の下部稜線（１６ａ）に対し略左斜縞模様（１６ｂ）を、これに相隣接する凸部領域には略右斜縞模様（１６ｃ）、略平行縞模様（１６ｄ）および略垂直縞模様（１６ｅ）とそれぞれ異なる方向性を有する少なくとも４方向の略平行凹凸縞模様がランダムに配設されて成り、
   更に、前記略平行凹凸縞模様の斜縞模様の幅、斜縞模様のピッチを変化させ、または縞模様を波形等変化のある斜縞線に変化させた縞模様（Ｍ）、（Ｎ）を含ませており、
   前記薄板金属板の下縁の雌端縁（１８）へ移行する長手方向の目地調模様（１５ａ）は１８０°の折り曲げ加工を伴って形成されていることを特徴とする壁材。

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