JP3736243B2 - 着色用樹脂組成物及びその利用 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二酸化チタン含有着色用樹脂組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
写真用樹脂被覆紙の表面に形成される画像の質を高めるために、従来から二酸化チタンを含有する耐水性樹脂被覆層が設けられている。
写真画像に高度な鮮鋭度が要求される場合、写真用樹脂被覆紙の耐水性樹脂被覆層に高い隠蔽性を付与する必要がある。これは樹脂層中の二酸化チタン濃度を高くすることにより得られるが、高価な二酸化チタンの添加量の増加は製品のコストを上昇させるのみならず、二酸化チタン含有の着色用樹脂組成物をフィルム状に熔融押し出しする際にスリットダイ尖端で針状のダイリップ汚れが発生したり、フィルム表面に微小粒状の異物であるミクログリッドが発生したりして、写真用樹脂被覆紙製造の重大な障害となっていた。これらは主に二酸化チタン等の凝集物に起因するものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
粒子径の小さい二酸化チタンを着色用樹脂組成物中に十分に分散すれば、二酸化チタンの含有量を抑えつつ高い隠蔽性が得られるはずである。しかしながら、高い光散乱力を有する二酸化チタンは白色顔料として優れるものの、粒子表面に化学的活性点が存在するため粒子凝集しやすい。粒子径を小さくするとこの傾向が強くなり充分に分散することは更に難しくなる。そこで、二酸化チタン粒子の凝集を防止し分散性を向上する手段として、従来からオルガノポリシロキサンによる被覆処理(特開昭58−7630号公報)が行われていた。
しかしながら、この方法では酸化チタン表面の水酸基を封鎖できず吸着水分を完全に抑えることができないため、高温加工時に水分の揮発による加工性の不良が生じるおそれがあった。更に、オルガノポリシロキサンは有機官能基の分子鎖が短いため、オレフィンのような低極性樹脂への親和性が十分ではないという問題もあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、粒子表面を、多価アルコールで処理した後、アミノシラン化合物を水と混合して加水分解させた加水分解生成物溶液で処理した二酸化チタンを熱可塑性樹脂に添加することを特徴とする着色用樹脂組成物の製造方法に関する。
更に本発明は、粒子表面を、アミノシラン化合物を水と混合して加水分解させた加水分解生成物溶液と多価アルコールとで同時に処理した二酸化チタンを熱可塑性樹脂に添加することを特徴とする着色用樹脂組成物の製造方法に関する。
更に本発明は、アミノシラン化合物が、一般式(1)
Rn −Si−(OR' )4-n (1)
〔式中Rはアミノアルキル基、ジアミノアルキル基、トリアミノアルキル基から選ばれる少なくとも一種を含む炭素数10以下のアミノ系炭化水素基であり、R' はメチル基又はエチル基であり、nは1〜3の整数である。但し、nが2又は3のときは、Rは同種のアミノ系炭化水素基であっても良いし、異種のアミノ系炭化水素基であっても良く、少なくとも1種はアルキル基、ビニル基、メタクリル基であっても良い。〕で表される上記着色用樹脂組成物の製造方法に関する。
更に本発明は、多価アルコールがトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記着色用樹脂組成物の製造方法に関する。
更に本発明は、アミノシラン化合物の加水分解生成物の被覆量が、基体である二酸化チタンに対し0.01〜2重量%であることを特徴とする上記着色用樹脂組成物の製造方法に関する。
更に本発明は、多価アルコールの添加量が、基体である二酸化チタンに対して0.05〜1重量%であることを特徴とする上記着色用樹脂組成物の製造方法に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる二酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型のいずれでも良く、両者の混合物であっても良いが、白色度を優先する場合はアナターゼ型、鮮鋭度を優先する場合はルチル型が好ましい。また、塩素法、硫酸法いずれの製法によるものでも使用できる。
【0013】
二酸化チタンの平均粒子径は0.1〜0.3μmの範囲であることが好ましい。0.1μm未満となると樹脂中での分散不良による隠蔽性の低下を引き起こし、また、0.3μmを越えると光散乱の効果が得られず、同様に隠蔽性の低下を引き起こすおそれがある。
【0014】
二酸化チタンは、多価アルコール、及びアミノシラン化合物の加水分解生成物(A)で被覆処理される前に、あらかじめアルミニウムの水和酸化物で被覆処理しておくと、白色度、色安定性、耐熱変色性、耐候変色性及び分散性、疎水性に優れ、これを配合した成形品の耐候性や隠蔽性も向上するため好ましい。
この被覆処理は、例えば二酸化チタンを分散させたの水性スラリーにアルミニウム化合物の水溶液を加え、酸性または塩基性化合物の水溶液を用いてスラリー中のpH4〜9に整える方法や、酸性または塩基性化合物の水溶液を添加して、pH4〜9を維持しながら、アルミニウム化合物の水溶液をスラリー中に添加する等の方法が挙げられる。このようにして難溶性水和酸化物を二酸化チタン表面上に沈殿させ、ろ過乾燥して得られる。
【0015】
水性スラリー中の二酸化チタンの固形分濃度は50〜800g/リットルであり、より好ましくは100〜500g/リットルである。この範囲をはずれると被覆処理が不良になったり、操作性が悪くなったりするおそれがある。
【0016】
アルミニウム化合物としては、例えばアルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。また、pHの調整には硫酸、塩酸、酢酸、蟻酸等の酸性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニウム等の塩基性化合物を用いることができる。
【0017】
アルミニウムの水和酸化物の被覆量は、基体となる二酸化チタンに対してAl2 O3 換算で0.01〜0.5重量%であり、好ましくは0.01〜0.3重量%である。アルミニウムの水和酸化物は水分の増加及び着色樹脂組成物の変色を防ぐため、できるだけ少量を添加することが好ましいが、0.01重量%未満では耐候性等が得られず、0.5重量%を超えると二酸化チタンの含水量が増え、加工時にトラブルが発生しやすい。
【0018】
本発明で用いられる多価アルコールとは、分子内に水酸基を2〜4個含有する炭素原子数10個以下の炭化水素化合物であって、例えばトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール、それらのアルキレンオキサイド付加反応物、又は一官能性アルコールとのエーテル化物等が挙げられ、1種あるいは2種以上の組み合わせで用いられる。
【0019】
一般に、多価アルコールは、二酸化チタンを粉砕機で粉砕する際の粉砕助剤として使用され、二酸化チタンに対して0.005〜0. 025重量%添加されている(特開平1−105245号公報)。
しかし、本発明における多価アルコールは、アミノシラン化合物の加水分解生成物(A)の処理前、またはアミノシラン化合物の加水分解生成物(A)と同時に二酸化チタン表面に処理される必要があり、その添加量は、基体となる二酸化チタンに対して0.05〜1重量%であり、好ましくは0.1〜0.5重量%である。多価アルコールが前記範囲より多いと二酸化チタンの耐熱性が低下するだけでなく、アミノシラン化合物の加水分解生成物(A)の二酸化チタン表面への被覆反応を阻害するので好ましくない。また、多価アルコールが前記範囲より少ないと二酸化チタンの分散性が低下し、アミノシラン化合物の加水分解生成物(A)を均一に被覆することが出来なくなる上に、アミノシラン化合物の加水分解生成物(A)同士の自己縮合が進み、アミノシラン化合物の加水分解生成物(A)のシラノール基と二酸化チタン表面の水酸基との反応量が減少し、アミノシラン化合物の加水分解生成物(A)による二酸化チタン表面の被覆量低下に伴い着色樹脂組成物の隠蔽性が不足する。更に、高温加工時に上記自己縮合物の脱落が生じ、加工性が低下する。
【0020】
尚、多価アルコール処理をしないと、二酸化チタンの分散が不良になり、かつアミノシラン化合物の加水分解生成物(A)を均一に表面被覆することが出来ず、着色用樹脂組成物の分散性や隠蔽性、加工性の低下を招く。
【0021】
本発明で用いられるアミノシラン化合物は、下記一般式(1)
Rn −Si−(OR' )4-n (1)
〔式中Rはアミノアルキル基、ジアミノアルキル基、トリアミノアルキル基から選ばれる少なくとも一種を含む炭素数10以下のアミノ系炭化水素基であり、R' はメチル基又はエチル基であり、nは1〜3の整数である。但し、nが2又は3のときは、Rは同種のアミノ系炭化水素基でも異種のアミノ系炭化水素基であっても良く、少なくとも1種はアルキル基、ビニル基、メタクリル基であっても良い。〕で表されるものが望ましい。Rの炭素基の炭素数が11以上になると加水分解させることが困難になるだけでなく、これに被覆された二酸化チタンの耐熱性は悪くなり、被覆後の乾燥や粉砕工程での加熱で二酸化チタンが黄色味を帯びることによって、着色樹脂組成物や成形品も黄色味を帯びるおそれがある。
【0022】
例えばN−β(アミノエチル)γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ―アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ―アミノプロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができ、1種あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0023】
アミノシラン化合物の加水分解生成物(A)の被覆量は、基体となる二酸化チタンに対して0.01〜2重量%であり、好ましくは0.02〜1.5重量%である。ここでいう被覆量とは、添加量ではなく二酸化チタン表面に実際に被覆された量のことをいう。被覆量は、蛍光X線で二酸化チタン表面のSi量を定量することにより求められる。2重量%より多いと被覆量に見合った効果が得られない上、二酸化チタン含有着色樹脂組成物をTダイフィルム成形機のスリットダイから熔融押し出しした場合、過剰なアミノシラン化合物の加水分解物(A)同士の自己縮合物に起因する針状のダイリップ汚れがスリットダイ尖端で発生するおそれがある。前記範囲より少ないと、二酸化チタン粒子表面上の水酸基の封鎖効果が減少して優れた疎水性が得られないおそれや、オレフィンのような低極性樹脂への親和性が不十分となり、分散不良のため、隠蔽性が低下する。
【0024】
尚、アミノシラン化合物の加水分解生成物(A)の被覆処理をしないと、多価アルコールは二酸化チタン表面の水酸基と水素結合しているだけで水酸基の封鎖効果が小さいため、優れた疎水性が得られず分散不良を起こし、隠蔽性が低下する。
【0025】
本発明においては、アミノシラン化合物をあらかじめ水と混合、撹拌して加水分解を行い、その加水分解物(A)を二酸化チタン表面に被覆させる。加水分解は、アミノシラン化合物が5〜95重量%、好ましくは30〜70重量%になるように水と混合して行われる。あらかじめ加水分解をしていないアミノシラン化合物であっても、スチームミル等の水蒸気に曝しながら二酸化チタンと混合すれば加水分解は起こるが、その加水分解生成物量は限られ、アミノシラン化合物の加水分解物(A)の二酸化チタン表面への定着率が低くなる結果、着色樹脂組成物や成形品に十分な隠蔽性を与えることが出来なくなる上、二酸化チタンに固着されなかったアミノシラン化合物が自己縮合して加工性が悪くなる。
【0026】
アミノシラン化合物の加水分解生成物(A)のシラノール基が二酸化チタン表面の水酸基と化学的に反応して水酸基を封鎖することにより、二酸化チタンの疎水化が向上される。その結果、着色樹脂組成物における二酸化チタンの分散性が高まると共に、高温加工時の揮発水分量が減少するため、加工安定性に優れた効果を与える。また、アミノシラン化合物の加水分解生成物(A)は、二酸化チタン表面と化学的に結合しているため、高温加工時のシラン化合物の脱落がなく加工安定性に優れている。更に、アミノ系炭化水素基で二酸化チタン表面を被覆するため、オレフィン系樹脂との親和性を向上させて分散性が良好になり、成形品の隠蔽性が高くなる。
尚、アミノシラン化合物の加水分解生成物(A)の一部は未反応で遊離する場合もあるが、多価アルコール系化合物と反応するため二酸化チタン粒子の分散性は低下しない。
【0027】
本発明における、多価アルコールとアミノシラン化合物の加水分解生成物(A)の二酸化チタンへの被覆処理は、水性スラリー状態のような湿式下または、流体エネルギー粉砕機を使用するような乾式下で行われる。
湿式の場合、水性スラリー状態の二酸化チタンに、(1)多価アルコールを添加、撹拌した後、アミノシラン化合物の加水分解生成物(A)を添加、撹拌、または(2)多価アルコールとアミノシラン化合物の加水分解生成物(A)を同時に添加し撹拌してもよい。湿式処理は、アミノシラン化合物の加水分解生成物(A)と二酸化チタンとの反応が安定に行える利点がある。
【0028】
乾式の場合は、(1)二酸化チタンと多価アルコールとをヘンシェルミキサー等で均一に混合し、次に、これを流体エネルギー粉砕機で乾式粉砕する際に、アミノシラン化合物の加水分解生成物(A)を添加、または(2)二酸化チタンと多価アルコールとアミノシラン化合物の加水分解生成物(A)とを同時に流体エネルギー粉砕機で乾式粉砕、または(3)二酸化チタンを流体エネルギー粉砕機で粉砕後、該粉砕機中に多価アルコールとアミノシラン化合物の加水分解生成物(A)とを同時、または(4)多価アルコールの添加後にアミノシラン化合物の加水分解生成物(A)を添加しても良い。乾式処理は、アミノシラン化合物の加水分解生成物(A)と二酸化チタンとの反応が容易に行える利点がある。
【0029】
流体エネルギー粉砕機としては、旋回式のものが粉砕効率や混合能力の点で優れており、例えばジェットミルが挙げられ、なかでも蒸気に曝しながら粉砕するスチームミルが特に望ましい。また、粉砕機内部の温度を120〜300℃に設定、あるいは粉砕媒となる空気や水蒸気を加熱して同様の温度範囲にすると、アミノシラン化合物の加水分解生成物(A)と二酸化チタン表面の水酸基との反応が進行しやすく、また、アミノシラン化合物の加水分解生成物(A)と未反応の水を除去したり、多価アルコールを気化させて二酸化チタン表面により均一に被覆できるので望ましい。
【0030】
流体エネルギー粉砕機以外の機械、例えば高速回転機や遠心ローラー粉砕機等の衝撃式粉砕機では均一な被覆が行なえず、好ましくない。
【0031】
本発明の着色用樹脂組成物における二酸化チタンの配合量は、5〜95重量%、特に30〜80重量%が望ましい。
【0032】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、例としてポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられ、なかでも良好な薄膜特性を有するポリオレフィンが好ましい。
【0033】
本発明の着色用樹脂組成物は、上記成分以外に分散剤を含有してもよく、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪族金属塩が挙げられ、その添加量としては0.01〜5重量%の範囲が望ましい。
更に、必要に応じて酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム等の白顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド等の脂肪族アミド、フェノール系、チオエーテル系、ホスファイト系等の酸化防止剤、コバルトブルー、群青等の着色顔料、蛍光増白剤等を含有してもよい。
【0034】
本発明の着色用樹脂組成物は、マスターバッチでもコンパウンドでもよい。 マスターバッチとは、二酸化チタン顔料を高濃度に含有し、成形時に被着色樹脂(未着色の熱可塑性樹脂)で顔料含有率を所定の濃度に希釈して成形に供されるペレット状の着色用樹脂組成物をいう。被着色樹脂としては、マスターバッチ製造に用いられた熱可塑性樹脂と同じ樹脂もしくは相溶性のある樹脂を用いることができる。
一方、コンパウンドとは、既に成形品として所望の濃度に二酸化チタン顔料を含有するペレット状の着色用樹脂組成物である。係るコンパンドは希釈せずにそのまま成形に供される。
【0035】
本発明の着色用樹脂組成物は、二酸化チタンと熱可塑性樹脂及び必要に応じて前記各種添加剤とを、二本ロール、三本ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、二軸混練機等を用いて熔融混練後、ペレット状に押し出し成形されることによって製造される。
【0036】
本発明の成形品とは、フィルム、ラミネート用フィルム、特に写真用樹脂被覆紙である。
本発明の成形品であるフィルムは、コンパウンド、またはマスターバッチと希釈樹脂とを熔融混練し、Tダイフィルム成形機スリットダイからフィルム状に押し出すことによって得られる。
基体上に押出ラミネートされた樹脂層の厚さは5〜200μm程度であることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。
【0037】
また、本発明の成形品である写真用樹脂被覆紙は、スリットダイからフィルム状に押し出された着色樹脂熔融混練物を走行する紙または合成紙基体上にラミネートすることによって得られる。基体上に押し出しラミネートされた樹脂層の厚さは、5〜200μm程度であることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。
【0038】
写真用樹脂被覆紙の基体として用いられる紙または合成紙は、天然パルプ、合成パルプ、それらの混合物等いずれでも良いが、表面が平滑なものが好ましく、天然パルプがより好ましい。紙厚は約20〜400μmが好ましく、特に70〜250μmが好ましい。また、坪量としては15〜350g/m2 が好ましく、特に50〜250g/m2 が好ましい。
【0039】
写真用樹脂被服紙は、各種の写真構成層が塗設されてカラー写真印画紙、白黒写真印画紙、写植印画紙、反転写真材料、銀塩拡散転写法ネガ及びポジ、印刷材料等の各種の用途に使用できる。例えば塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃素臭化銀、塩沃素臭化銀乳剤層を設けたり、ハロゲン化銀写真乳剤層にカラーカプラーを含有せしめて、多層ハロゲン化銀カラー写真構成層を設けることもできる。物理現象核を含有せしめて銀塩拡散転写受像層を設けることもできる。
【0040】
写真用樹脂被覆紙は、帯電防止、カール防止等のために各種のバックコート層を塗設することができ、例えば無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤等を適宜組み合わせて含有させることができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳しく説明する。尚、実施例及び表中の%とは重量%を表す。被覆処理二酸化チタン(c)の配合処方は表1、得られたマスターバッチ及び成形品の評価結果は表2に示した。
[実施例1]
平均粒子径が0.16μmのアナターゼ型二酸化チタンを水と混合し、サンドミルを用いて、二酸化チタンの重量として300g/リットルの水性スラリーに調整した。このスラリーを60℃に保持したまま、攪拌しながらアルミン酸ナトリウムをAl2 O3 換算で二酸化チタンの重量に対して0.3重量%添加し、ついで硫酸にてpH5.0に中和して、アルミニウムの水和酸化物を二酸化チタン表面に被覆後、フィルタープレスで濾過、洗浄し、得られたケーキを120℃で10時間乾燥してベース二酸化チタン(a)を得た。
【0042】
上記ベース二酸化チタンと、この二酸化チタンの重量に対し0.3重量%のトリメチロールエタンとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、多価アルコール処理二酸化チタン(b)を得た。
あらかじめアミノプロピルトリエトキシシランを純水で2倍希釈し10分間攪拌して加水分解させた加水分解生成物溶液を作成した。
上記多価アルコール処理二酸化チタン(b)をスチームミルで粉砕する際に、アミノプロピルトリエトキシシラン加水分解生成物溶液を添加して、該二酸化チタン(b)表面上に、二酸化チタンの重量に対し1.0重量%の被覆量になるように被覆処理をし、被覆処理二酸化チタン(c)を得た。
【0043】
被覆処理二酸化チタン(c)60重量%、低密度ポリエチレン(比重0.917、MFR7.0g/10min.)40重量%をスーパーミキサーにて混合して得られた乾式混合物を二軸混練押出機にて加熱混合押出成形し、ペレット状のマスターバッチを得た。
マスターバッチ20重量%、低密度ポリエチレン80重量%を配合し、Tダイフィルム成形機(東洋精機製)を用いて、300℃で熔融押出しし、冷却ロールにて引き取り延伸して厚さ30μmのフィルムを作成した。
【0044】
[実施例2]
トリメチロールエタンとアミノプロピルトリエトキシシラン加水分解生成物とを同時に二酸化チタンに添加し、スチームミルで粉砕した以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチ及び成形品を得た。
【0045】
[実施例3〜7、比較例1〜2]
表1の処方に従い、実施例1と同様にしてマスターバッチ及び成形品を得た。
【0046】
[比較例3]
アミノプロピルトリエトキシシランを純水で希釈せずに添加し、二酸化チタンの重量に対し1.0重量%の被覆量になるように被覆処理をした以外は実施例1と同様にしてマスターバッチ及び成形品を得た。
【0047】
[比較例4〜5]
表1の処方に従い、実施例1と同様にしてマスターバッチ及び成形品を得た。
【0048】
[比較例6]
実施例1のアミノプロピルトリエトキシシランの代わりに、非アミノシラン化合物であるジメチルポリシロキサンをメタノールで2倍希釈した溶液を添加し、二酸化チタンの重量に対し1.0重量%の被覆量になるように被覆処理をした以外は実施例1と同様にしてマスターバッチ及び成形品を得た。
【0049】
【表1】
【0050】
以下の方法で、着色樹脂組成物及び成形品であるフィルムの性能を評価し、その結果を表2に示した。評価基準は次のとおりである。
◎ 優れている
○ 良好である
△ やや劣る
× 劣る
【0051】
[分散性評価]
ラボプラストミル20mm単軸押出機(東洋精機製)の排出側に目開き30μmのスクリーンを装着し、300℃にて上記マスターバッチ2kgを押し出した時の、押し出し開始時と押し出し終了時の樹脂圧上昇の差を測定した。樹脂圧上昇が小さいほど、二酸化チタンの分散性は優れているといえる。
【0052】
[ダイリップ汚染性評価]
成形品フィルムの製造の際、Tダイフィルム成形機のスリットダイ尖端で発生する芯状ダイリップ汚れを観察した。ダイリップ汚れが少ない方が優れているといえる。
【0053】
[隠蔽性評価]
測色機AUCOLOR(クラボウ製)を用いて、成形品フィルムの可視光透過率を測定した。フィルムの透過率が低いほど隠蔽性が優れ、高いほど隠蔽性が悪いといえる。
【0054】
【表2】
【0055】
本発明の着色用樹脂組成物を用いた場合、上記評価においていずれも良好以上の結果が得られた。これに対し、本発明の条件を欠いたものの評価結果は不良であった。
【0056】
【発明の効果】
本発明の着色用樹脂組成物は、二酸化チタンの分散性及び樹脂との親和性が高いため加工性が良好である。そして、これを用いてなる成形品、特にフィルム等の薄物において優れた隠蔽性の向上効果を奏する。
Claims (6)
- 粒子表面を、多価アルコールで処理した後、アミノシラン化合物を水と混合して加水分解させた加水分解生成物溶液で処理した二酸化チタンを熱可塑性樹脂に添加することを特徴とする着色用樹脂組成物の製造方法。
- 粒子表面を、アミノシラン化合物を水と混合して加水分解させた加水分解生成物溶液と多価アルコールとで同時に処理した二酸化チタンを熱可塑性樹脂に添加することを特徴とする着色用樹脂組成物の製造方法。
- アミノシラン化合物が、一般式(1)
Rn −Si−(OR' )4-n (1)
〔式中Rはアミノアルキル基、ジアミノアルキル基、トリアミノアルキル基から選ばれる少なくとも一種を含む炭素数10以下のアミノ系炭化水素基であり、R' はメチル基又はエチル基であり、nは1〜3の整数である。但し、nが2又は3のときは、Rは同種のアミノ系炭化水素基であっても良いし、異種のアミノ系炭化水素基であっても良く、少なくとも1種はアルキル基、ビニル基、メタクリル基であっても良い。〕で表される請求項1又は請求項2記載の着色用樹脂組成物の製造方法。 - 多価アルコールがトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし3記載の着色用樹脂組成物の製造方法。
- アミノシラン化合物の加水分解生成物の被覆量が、基体である二酸化チタンに対し0.01〜2重量%であることを特徴とする請求項1ないし請求項4いずれか記載の着色用樹脂組成物の製造方法。
- 多価アルコールの添加量が、基体である二酸化チタンに対して0.05〜1重量%であることを特徴とする請求項1ないし請求項5いずれか記載の着色用樹脂組成物の製造方法。
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