JP3736040B2 - カメラの露出制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルムの露光中、すなわちシャッタが開いている間に開口絞りの開口面積を変化させることにより特殊な写真効果を得ることが可能なカメラの露出制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、カメラは、フィルムを適切に露光するために、レンズ光学系を透過してフィルムに到達する光量を制限するための開口絞りと、設定された露出時間(以下「シャッタ速度」という。)だけ開くことによりフィルムを露光させるためのシャッタとを備えている。開口絞りの開口面積やシャッタ速度は、写真写りに大きな影響を与える要素で、ボケやブレの発生に密接に関連している。
【0003】
レンズシャッタは、レンズ光学系内に配設され、一般に絞り羽根とシャッタ羽根が兼用されて構成されるシャッタで、開口絞り及びシャッタを兼用するものである。このため、開口面積とシャッタ速度とを互いに独立して設定することができず、従って、カメラの仕様により、測光値に応じて開口面積とシャッタ速度が決定されるようになっている。
【0004】
一方、レンズ交換可能な一眼レフカメラでは、一般に、開口絞りとシャッタが別体で形成され、シャッタとしてフィルムの直前に配設されたフォーカルプレンシャッタを備えている。このような一眼レフカメラでは、従来、開口絞りの開口面積及びシャッタ速度は、被写体の明るさに応じて好適にフィルムが露光されるように、手動あるいは自動的に設定される。そして、撮影時には、まず、開口絞りが所定の絞り値まで絞り込まれ、次いで、開口面積が固定された状態でシャッタが作動するようになっている。
【0005】
また、従来、レンズシャッタとフォーカルプレンシャッタとを備え、レンズシャッタをプログラムシャッタとして作動させるレンズシャッタモードと、レンズシャッタにより絞りを制御してフォーカルプレンシャッタによりシャッタ速度を制御するフォーカルプレンシャッタモードとが設定可能にされたカメラシステムが提案されている(特開平1−316726号公報参照)。
【0006】
このカメラシステムによれば、レンズシャッタによりプログラム露出を行わせた場合には、時間が経過するに従って開口面積が変化することになるので、絞り効果による像のボケから動体の運動方向が認識可能になっている。
【0007】
また、従来、レンズシャッタの開閉動作において、比較的低速で開いて高速で閉じるようにした三角波形の露出曲線で動作させることによりアポダイゼーションフィルタを用いた場合に近似した効果(以下「アポダイズ効果」という。)を得るようにしたカメラが製品化されている(「写真工業」写真工業出版社1971年5月号p.66〜71参照)。アポダイゼーションフィルタは、光軸中心から光軸と垂直な方向に離れるに従って透過率が低下するように構成されたフィルタで、このアポダイゼーションフィルタを用いて写真を撮影すると、焦点はずれ像が全体にふわりとボケて良好なボケ具合いの像になる効果が得られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の一眼レフカメラでは、露光中は絞り値が変化せずに一定値に保持されているので、上記アポダイズ効果を得ることはできない。
【0009】
また、上記従来の特開平1−316726号公報記載のカメラシステム及び上記従来の三角波形の露出曲線で動作するカメラでは、レンズシャッタが時間経過に従って一定速度で開口するので、十分なアポダイズ効果、あるいは撮影者の意図に応じた所望のアポダイズ効果を得ることができない。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するもので、露光中に透過光量を時間的に変化させることで、アポダイゼーションフィルタを用いることなく十分なアポダイズ効果を得ることが可能なカメラの露出制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、レンズ光学系を透過して露光面に到達する光量を制限する開口絞りと、この開口絞りと別体で形成され、露光時間だけ開くことにより露光面を露光させるシャッタとを備えたカメラにおいて、上記シャッタが開いている間に上記開口絞りの開口面積を変化させる制御手段を備え、上記制御手段は、上記開口絞りを開放値以外の予め設定された初期値に絞り込むとともに、上記初期値に絞り込まれた後に上記開口絞りを徐々に開かせ、上記露光時間の終了時には少なくとも開放値近傍まで開かせた状態とする絞り制御手段と 、
上記開口絞りが上記初期値に絞り込まれた後に、上記シャッタの開動作を開始させるシャッタ制御手段とを備えたものである(請求項1)。
【0012】
この構成によれば、シャッタが開いている間に開口絞りの開口面積が変化し、露光時間の終了時には少なくとも開放値近傍まで開かせた状態とすることにより、レンズ光学系の中心部を通過する光量と周辺部を通過する光量とが異なるものとなり、アポダイズ効果が得られることとなる。また、開口絞りが初期値に絞り込まれた後に、シャッタの開動作が開始されるとともに、開口絞りが徐々に開かれることにより、シャッタが開いている間に開口絞りの開口面積が増大することとなり、これによって、レンズ光学系の中心部を通過する光量に比べて周辺部を通過する光量が低下して、十分なアポダイズ効果が得られることとなる。さらに、上記露光時間の終了時には少なくとも開口絞りが開放値近傍まで開くことにより、レンズ光学系を通過する最外周部の光が撮影に用いられることとなり、より十分なアポダイズ効果が得られる。
【0013】
また、請求項1記載のカメラの露出制御装置において、上記絞り制御手段は、上記初期値に絞り込まれた上記開口絞りを開き動作中に露出指数の変化速度が増大するように開かせるものである(請求項2)。
【0014】
この構成によれば、初期値に絞り込まれた開口絞りの開き動作中に露出指数、すなわちAV(Aperture Value)段数の変化速度が増大することにより、レンズ光学系を通過する周辺部の光量は中心部から離れるに従って急激に低下することとなり、これによって、より十分なアポダイズ効果が得られる。
【0015】
また、請求項1記載のカメラの露出制御装置において、上記絞り制御手段は、上記初期値に絞り込まれた上記開口絞りを露出指数の変化速度が一定で開かせるものである(請求項3)。
【0016】
この構成によれば、初期値に絞り込まれた開口絞りが、露出指数、すなわちAV段数の変化速度が一定で開くことにより、レンズ光学系を通過する周辺部の光量は中心部から離れるに従って低下することとなり、これによって、より十分なアポダイズ効果が得られる。
【0017】
また、請求項1〜3のいずれかに記載のカメラの露出制御装置において、測光手段による測光値から上記露光時間を求める測光制御手段と、求められた上記露光時間が所定値以下のときは上記制御手段の動作を禁止する禁止制御手段とを備えたものである(請求項4)。
【0018】
この構成によれば、測光手段による測光値から露光時間が求められ、求められた露光時間が所定値以下のときは制御手段の動作が禁止されることにより、露光時間が所定値以下のときには、十分なアポダイズ効果が得られないことから、そのための撮影動作は行われないこととなる。
【0019】
また、請求項1〜3のいずれかに記載のカメラの露出制御装置において、測光手段による測光値から上記露光時間を求める測光制御手段と、求められた上記露光時間が所定値以下のときは上記初期値を開放側に所定量だけ変更する初期値変更制御手段とを備えたものである(請求項5)。
【0020】
この構成によれば、測光手段による測光値から露光時間が求められ、求められた露光時間が所定値以下のときは初期値が開放側に所定量だけ変更されることにより、露光時間が所定値以下のときでもアポダイズ効果が得られることとなる。
【0021】
また、請求項4又は5記載のカメラの露出制御装置において、上記所定値は、上記初期値に絞り込まれた上記開口絞りを開放値まで全開するのに要する時間に設定されている(請求項6)。
【0022】
この構成によれば、所定値は、初期値に絞り込まれた開口絞りを開放値まで全開するのに要する時間に設定されていることにより、露光時間内に開口絞りが全開されるかどうかが基準とされることとなる。
【0023】
また、請求項4又は5記載のカメラの露出制御装置において、上記シャッタは、先幕及び後幕から構成されるフォーカルプレンシャッタであり、上記所定値は、上記フォーカルプレンシャッタの幕走行時間に対する所定比率に設定されている(請求項7)。
【0024】
この構成によれば、所定値は、フォーカルプレンシャッタの幕走行時間に対する所定比率に設定されていることにより、露光時間がフォーカルプレンシャッタの幕走行時間に対する所定比率以下かどうかが基準とされることとなる。
【0025】
また、請求項4〜7のいずれかに記載のカメラの露出制御装置において、求められた上記露光時間が上記所定値以下のときにその旨を報知する報知手段を備えたものである(請求項8)。
【0026】
この構成によれば、求められた露光時間が所定値以下のときにその旨が報知されることにより、露光時間が所定値以下のときには、十分なアポダイズ効果が得られないことから、その旨が撮影者に報知されることとなる。
【0027】
【発明の実施の形態】
図7は本発明に係るカメラの露出制御装置が適用されるカメラの一実施形態の概略内部構成図である。
このカメラは、図7に示すように、レンズ部Lとボディ部Bとからなり、レンズ部Lはボディ部Bに設けられたレンズ取付部1に着脱可能に取り付けられ、ボディ部Bの上端には外付けフラッシュFが取り付けられている。
【0028】
レンズ部Lは、円筒形状の鏡筒2の内周に隣接して配設された円筒形状のフォーカスカム環(図略)と、このフォーカスカム環の内周に隣接して配設された円筒形状の固定筒(図略)と、フォーカスカム環及び固定筒に支持された第1群移動枠3(図1)及び第2群移動枠4(図1)と、第1群移動枠3(図1)に支持されたレンズ5,6、開口絞り(以下単に「絞り」という。)7及びこの絞り7を支持するための支持フレーム8と、第2群移動枠4(図1)に支持されたレンズ9とを備えるとともに、フォーカシングモータ10と、パルスモータからなる絞り駆動モータ11と、レンズ部Lの上記各部の制御を行うレンズマイコン12とを備えている。このレンズマイコン12は、レンズ部Lが備えるレンズ光学系の開放Fナンバーなどの予め設定されたデータ等が格納されたROM81を内蔵している。
【0029】
第1群移動枠3(図1)及び第2群移動枠4(図1)は、それぞれ固定筒に穿設された直進溝及びフォーカスカム環に穿設されたカム溝に係合する図略の案内ピンを備えている。
【0030】
一方、ボディ部Bは、レンズ部Lの光軸上に順に配置された主ミラー21、フォーカルプレンシャッタ(以下単に「シャッタ」という。)22及びフィルム23を備えるとともに、上部に配置されたペンタプリズム24及び接眼レンズ25からなるファインダ光学系を備えている。主ミラー21は、光軸に対して45°傾斜して配置され、レンズ部Lを通過した光を上記ファインダ光学系に導くためのもので、シャッタ22は、先幕221及び後幕222を備えている。また、主ミラー21を露光開始直前に図7に示す位置から退避させるとともに露光終了直後に復帰させる公知のクイックリターンミラー機構(図略)を備えている。
【0031】
また、ボディ部Bは、測距を行うための測距手段(AF)26と、接眼レンズ25の上方適所に配設された測光手段(AE)27と、LEDなどからなるファインダ内表示部28と、表面適所に配設されたシャッターボタン29と、シャッターボタン29の半押しでオンになるスイッチSW1と、このスイッチSW1のオン状態からシャッターボタン29を更に深く押し込むとオンになるレリーズスイッチSW2と、フィルム23の感度を読み取るためのフィルム感度読取手段30と、シャッタ22の先幕221及び後幕222を所定のタイミングで駆動するシャッタ駆動手段31と、表面適所に配設された操作部32と、ボディ部Bの上記各部の制御を行うボディマイコン33とを備えている。
【0032】
この構成により、ペンタプリズム24に導かれた光の一部は測光手段27に入射し、この測光手段27から出力される測光値に基づいて被写体の明るさが検出され、絞り7の制御が行われる。
【0033】
また、フォーカシング時にフォーカシングモータ10が回転すると、フォーカスカム環が回転し、固定筒上の直進溝及びフォーカスカム環のカム溝に係合する案内ピンによって、第1群移動枠3(図1)及び第2群移動枠4(図1)がそれぞれ移動し、これによってレンズ5,6及び絞り7は一体的に、レンズ9は独立に繰り出されて合焦位置まで移動する。
【0034】
また、外付けフラッシュFは、フラッシュランプ36と、フラッシュ発光回路37とを備えている。
【0035】
図8は絞り7及びその駆動部を示す分解斜視図である。
絞り7は、図8に示すように、7枚の絞り羽根41で構成され、絞り7を絞り込むための駆動部は、図中、左から押え板42、操作板43、支持フレーム8、モータ台板44及び絞り駆動モータ11から構成されており、押え板42は、支持フレーム8に固定支持され、操作板43は、支持フレーム8に回動可能に支持されている。
【0036】
各絞り羽根41は、一方の面(図中、右側)に突設されたピン51と、他方の面(図中、左側)に突設されたピン52とを備えており、ピン51は操作板43に穿設された穴53に嵌合し、ピン52は押え板42に設けられたガイド溝54に嵌合している。
【0037】
絞り駆動モータ11は、その回転軸に固定されたギヤ55が操作板43に形成されたラック56と噛み合うように、モータ台板44に支持されて支持フレーム8に取り付けられている。
【0038】
この構成により、絞り駆動モータ11の回転がラック56に伝達されると操作板43が光軸回りに回転し、この操作板43の回転に伴ってピン51が回転移動する。一方、ピン52はガイド溝54に沿って移動するため、絞り羽根41の角度が変化することにより、絞り羽根41によって形成される絞り7の開口面積が変化する。
【0039】
なお、操作板43に設けられたレバー57は、支持フレーム8に設けられたガイド溝58に嵌合しており、絞り7の開放状態においてばね59と当接するように構成されており、このばね59の移動によって、絞り7の開放が検出されるようになっている。
【0040】
次に、図9、図10を用いてFナンバーについて説明する。図9は絞り7の開口径に対するFナンバーを示す図、図10は制御Fナンバーに対する絞り込み時の絞り駆動モータ11の駆動パルス数のテーブルデータを示す図である。但し、図9においてR0は開放時の絞り開口径である。
【0041】
Fナンバーは、レンズ光学系の明るさ及び絞り値を定量化した値で、下記数1に示すように、レンズ光学系の焦点距離及び有効口径によって決まる。なお、本実施形態は、図9に示すように、絞り7の開放時のFナンバーが2.8で、開放Fナンバー2.8から最小Fナンバー32まで、露出指数、すなわちAV(Aperture Value)段数で7段絞り込めるように構成されている。
【0042】
【数1】
FNo=f/D
但し、FNoはFナンバー、fはレンズ光学系の焦点距離、Dはレンズ光学系の有効口径である。
【0043】
図10において、絞り駆動モータ11が開放Fナンバー2.8から8パルスずつ駆動すると、Fナンバー4,5.6,…というように絞り込まれる。従って、ボディマイコン33から送られる制御Fナンバーが8のときは、絞り駆動モータ11の駆動パルス数を24パルスに制御すればよい。
【0044】
図1は本実施形態の制御構成を示すブロック図である。
操作部32は、露出モード設定手段61及びフラッシュ設定手段62を備えている。露出モード設定手段61は、アポダイズモード及び通常モードのいずれか一方を選択して露出モードの設定を行うものである。アポダイズモードは、アポダイゼーションフィルタを用いたときに近似した撮影効果、すなわちアポダイズ効果を得るためのモードである。
【0045】
アポダイゼーションフィルタは、所定濃度に着色することにより透過率を低下させたNDガラスからなる凹レンズと、透明ガラスからなる凸レンズとを張り合わせて形成したもので、光軸中心から光軸と垂直な方向に離れるに従って透過率が低下するような特性を有するフィルタである。
【0046】
このアポダイゼーションフィルタを用いると、ボケ像の周辺部の光量が低下するため、以下の(a)〜(i)のような撮影効果を得ることができる。
(a)静止被写体に対し、ボケの周縁の濃度が徐々に薄くなり、全体的にボケが柔らかく雰囲気のよい写真が得られる。
(b)デフォーカス像が改善される。
(c)偽解像を起こさない。
(d)二線ボケの無い美しいボケ具合の写真が得られる。
(e)デフォーカスされた像が元の物体の形状に忠実である。
(f)開放Fナンバーが等しい場合、焦点深度が深くなる。
(g)色の異なる被写体のボケ像において、色の濁りが生じにくくなる。
(h)収差による像への悪影響が減少し、焦点像が改善される。
(i)動体に対し、露光開始時には薄く露光終了に近づくにつれて濃くなる流れ像が得られ、動きの方向や程度が表現できる。
【0047】
フラッシュ設定手段62は、フラッシュランプ36を発光させるか否かのオンオフを設定するものである。
【0048】
ボディマイコン33は、RAM71、ROM72、露出演算手段73、シャッタ制御手段74及びフラッシュ制御手段75を備えている。
RAM71は、データを一時的に保管するものである。ROM72は、アポダイズモードのときに絞り7を開放値から絞り込むべき予め設定された設定段数ΔAV0(本実施形態ではΔAV0=3)、後述する基準シャッタ速度TS0、後述する設定時間T1などの予め設定されたデータや、アポダイズモードにおける絞り7の絞り込みパターンなどを記憶するものである。
【0049】
露出演算手段73は、通常モードでは、測光手段27の測光値により検出された被写体の明るさを用いて、開放Fナンバーに絞り込むべきAV段数を加算して制御Fナンバーを求めるとともに、シャッタ速度TSを求めるものである。また、アポダイズモードでは、被写体の明るさ及び設定段数ΔAV0を用いて、シャッタ速度TSを求めるものである。
【0050】
シャッタ制御手段74は、レリーズスイッチSW2がオンにされると、シャッタ駆動手段31を介してシャッタ22の駆動を制御するものである。フラッシュ制御手段75は、フラッシュ設定手段62がオンのときに、後述するタイミングで、フラッシュ発光回路37を介してフラッシュランプ36を発光させるものである。
【0051】
ボディマイコン33は、更に、以下(1)〜(7)の機能を有する。
(1)ボディ部Bに取り付けられたレンズ部Lがアポダイズモードで撮影可能なレンズかどうかを後述する基準に基づき判別する。
(2)スイッチSW1、レリーズスイッチSW2のオンオフを判別する。
(3)露出モード設定手段61で設定された露出モードを判別する。
【0052】
(4)アポダイズモードのときに、求められたシャッタ速度TSから、後述するように設定時間T2の値を決定する。
(5)レリーズスイッチSW2のオンからの経過時間をカウントし、設定時間T1,T2が経過したかどうかを判別する。
(6)アポダイズモードのときに、求められたシャッタ速度TSからアポダイズモードによる撮影が可能か否かを判別する。
(7)アポダイズモードによる撮影が不可能であると判別したときに、ファインダ内表示部28にその旨の警告表示を行わせる等の後述する制御を行う。なお、ファインダ内表示部28における警告表示は、赤色LEDの点灯や、LEDの点滅表示等により行われる。
【0053】
レンズマイコン12は、ROM81、絞り制御手段82及びフォーカス制御手段83を備えている。
ROM81は、このレンズ光学系の開放Fナンバーと最小Fナンバー、焦点距離、デフォーカス量と必要繰り出し量との比、図10に示した制御Fナンバーに対する絞り込み時の絞り駆動モータ11の駆動パルス数のテーブルデータなどの予め設定されたデータを記憶するものである。
【0054】
レンズマイコン12は、ROM81に記憶されたデータをボディマイコン33に送信するものである。また、レンズマイコン12は、ボディマイコン33から送信される制御Fナンバーに従って、絞り駆動モータ11の駆動パルス数を制御するもので、これによって操作板43が回転し、絞り7が開放状態から所定のAV段数だけ絞り込まれる。
【0055】
次に、図1、図2を用いてアポダイズモードにおける絞り7、シャッタ22及びフラッシュランプ36の動作について説明する。図2は絞り7、シャッタ22及びフラッシュランプ36の動作状態を示すタイミングチャートである。
【0056】
(1)アポダイズモードの可否
アポダイズモードでは、絞り7を開放状態から設定値ΔAV0だけ絞り込んだ後、絞り7を開き始めて、シャッタ22が開いた状態のフィルム露光中に、絞り7を徐々に開いている。例えば、アポダイズモードにおける絞り7の開放値からの絞り込み量ΔAV0は、AV段数でΔAV0=3に設定されているので、本実施形態では開放Fナンバー=2.8であることから、Fナンバー=8程度まで絞り込んだ後、徐々に開いている。これによって、光軸中心から光軸と垂直な方向に離れるに従って光量が低下するため、アポダイズ効果が得られることとなる。
【0057】
このため、絞り7を開放値近傍で動作させると、最も良くアポダイズ効果が得られる。従ってこの実施形態では、図2のタイミングチャートに示す通り、上記露光時間Tsの終了時には少なくとも絞り7を開放値まで開かせた状態としている。また、絞り7の開放Fナンバーがある程度小さい、すなわち明るいレンズ光学系でなければ、良好なアポダイズ効果が得られない。
【0058】
そこで、ボディマイコン33は、ボディ部Bに取り付けられたレンズ部Lの絞り7の開放Fナンバーの値がFナンバー=4以下であれば、アポダイズモードで撮影可能なレンズであると判別する。
【0059】
一方、絞り7を開放付近で動作させることとすると、測光手段26により被写体が明るいことが検出された場合には、求められるシャッタ速度TSは小さい値になる。この場合に、絞り7をΔAV0=3だけ開くのに要する時間をTS0とすると、TS<TS0までシャッタ速度が小さくなると、露光時間TS内に絞り7を開放値まで全開することが不可能になる。
【0060】
従って、時間TS0を基準シャッタ速度TS0とし、露出モード設定手段61により露出モードがアポダイズモードに設定されていても、求められたシャッタ速度TSがTS<TS0の場合には、ボディマイコン33は、アポダイズモードによる撮影が不可能であると判別し、アポダイズモードでの撮影が不可能である旨をファインダ内表示部28に警告表示するとともに、レリーズスイッチSW2のオンの受付けを禁止する。
【0061】
なお、アポダイズモードによる撮影が不可能と判別したときは、次の(イ)又は(ロ)の制御を行うようにしてもよい。
(イ)設定値ΔAV0=2に変更して、絞り7の変化範囲を制限することにより、露光時間TS内で絞り7を開放値まで全開可能にして撮影を行う。
(ロ)設定値ΔAV0=3のままで、絞り7を開放値まで全開せずにFナンバー=4まで開くことにより、絞り7の変化範囲を制限して撮影を行う。
これらによって、アポダイズ効果は多少低下するものの、アポダイズモードによる撮影を行うことができる。
【0062】
また、図2において、先幕及び後幕が一端から他端まで走行するのに要する時間である幕走行時間TFは、カメラ固有の固定値で、ボディマイコン33のROM72に格納されている。シャッタ速度TSがTS<4TFの場合には、絞り7の開口面積の増大に対して幕走行による影響が大きくなるので、TS0=4TFと設定してもよい。また、例えばTS0=1/125(秒)と設定してもよい。
【0063】
(2)絞り7の開き制御
ROM81(図1)は、図2に実線で示すような、絞り7の開き動作中に露出指数(AV段数)の変化速度が増大する変化制御曲線P1をTS=1/125(秒),1/60(秒)等の各シャッタ速度TSに対応して記憶している。そして、絞り制御手段82(図1)は、露出演算手段73(図1)で求められたシャッタ速度TSに対応する変化制御曲線を選択し、この変化制御曲線に沿って、絞り7の開き制御を行う。これによって、周辺部において外側に行くほど光量低下が大きくなる。
【0064】
ここで、シャッタ速度TSに応じて決定される設定時間T2は、各変化制御曲線P1によって絞り7が開放にされる時点t3より後に後幕222が走行するように、すなわち(t2+TS)>t3となるように決定される。
【0065】
なお、次の[1]〜[9]に示すような絞り7の開き制御を行ってもよい。
[1]ROM81(図1)は、絞り7の開き動作中に露出指数(AV段数)の変化速度が増大するような変化パターンを記憶している。そして、絞り制御手段82(図1)は、図2に実線で示すように、この変化パターンから露出演算手段73(図1)で求められたシャッタ速度TSに応じた変化制御曲線P1を生成し、この変化制御曲線P1に沿って、絞り7の開き制御を行う。
【0066】
[2]ROM81(図1)に、絞り7の開き動作中における露出指数(AV段数)の変化速度が一定になるような変化パターンを記憶させる。そして、絞り制御手段82(図1)は、図2に二点鎖線で示すように、この変化パターンからシャッタ速度TSに応じた変化制御曲線P2を生成し、この変化制御曲線P2に沿って、絞り7の開き制御を行う。
【0067】
[3]ROM81(図1)に、上記[1],[2]の変化パターンの中間のパターンを記憶させる。そして、絞り制御手段82(図1)は、図2に一点鎖線で示すように、この変化パターンからシャッタ速度TSに応じた変化制御曲線P3を生成し、この変化制御曲線P3に沿って、絞り7の開き制御を行う。
【0068】
[4]図1において、ROM81に、上記[1]〜[3]の変化パターンを記憶させるとともに、操作部32は、一点鎖線で示すように、いずれかの変化パターンを選択する変化パターン選択手段63を備える。そして、ボディマイコン33は、選択された変化パターンを判別するとともに、判別した変化パターンをレンズマイコン12に送信する。絞り制御手段82は、選択された変化パターンからシャッタ速度TSに応じた変化制御曲線を生成し、この変化制御曲線に沿って、絞り7の開き制御を行う。
【0069】
[5]図1において、操作部32は、一点鎖線で示すように、アポダイズモードのときの絞り込み量ΔAV0を変更設定する露出設定手段64を備える。ボディマイコン33は、設定された絞り込み量ΔAV0を判別するとともに、判別した絞り込み量ΔAV0をレンズマイコン12に送信する。絞り制御手段82は、設定された絞り込み量ΔAV0だけ絞り込んだ後、絞り7の開き制御を行う。例えばΔAV0=4に設定されたときは、Fナンバー=8まで絞り込まれた後、絞り7の開き制御が行われる。
【0070】
この形態によれば、例えば被写体が移動する動体の場合に、被写体の移動速度に応じて絞り込み量ΔAV0を変更設定することができ、これによって、被写体の移動速度に応じてシャッタ速度(露光時間)及び絞り7の絞り量の制御を行うことができる。
【0071】
また、この形態において、露出設定手段64により絞り込み量ΔAV0を多少大きめに設定し、露光中に絞り7が開放値まで全開しないような状態でアポダイズモードの撮影を行うようにしてもよい。この場合でも、アポダイズ効果を得ることができる。
【0072】
[6]設定時間T2は、各変化制御曲線P1によって絞り7が開放にされる時点t3と同時に後幕222が走行するように、すなわち(t2+TS)=t3となるように決定してもよい。
【0073】
[7]図1において、ROM81は、絞り7の開き速度が加速度的に増加する第1、第2の変化制御曲線を記憶する。露出演算手段73は、求めたシャッタ速度TSと第2基準シャッタ速度TS10(例えばTS10=1/15秒)を比較し、TS<TS10のときは第1の変化制御曲線を選択し、TS≧TS10のときは第2の変化制御曲線を選択する。そして、絞り制御手段82は、この選択された変化制御曲線に沿って、絞り7の開き制御を行う。
【0074】
ここで、第1の変化制御曲線は、基準シャッタ速度TS0に合わせて絞り7が開放するように設定され、第2の変化制御曲線は、第2基準シャッタ速度TS10に合わせて絞り7が開放するように設定されている。これによって、それぞれ露光時間(シャッタ速度)内に絞り7が開放値まで全開されることとなる。
【0075】
[8]図1において、絞り制御手段82は、ROM81に記憶されているレンズ光学系の開放Fナンバーに応じて絞り込み量ΔAV0を変更設定する。例えば開放Fナンバー≦2.8であればΔAV0=3、開放Fナンバー≧4であればΔAV0=2とする。このように、明るいレンズ光学系であれば絞り7の変化量を増大し、暗いレンズ光学系であれば絞り7の変化量を低減することによって、レンズ光学系に好適な絞り7の制御が行える。
【0076】
[9]図1において、操作部32は、一点鎖線で示すように、アポダイズモードのときの絞り込み量ΔAV0を変更設定する露出設定手段64を備え、ボディマイコン33は、設定された絞り込み量ΔAV0を判別してレンズマイコン12に送信する。そして、絞り制御手段82は、設定された絞り込み量ΔAV0が大きいときは絞り7の開き速度を高くし、絞り込み量ΔAV0が小さいときは絞り7の開き速度を低くする。
【0077】
この形態によれば、絞り込み量ΔAV0を変更設定することにより所望の度合いのアポダイズ効果が得られるとともに、絞り込み量ΔAV0の大小に関わりなく絞り7を露光時間(シャッタ速度)内に開放値まで全開することができる。
【0078】
(3)フラッシュランプ36の発光タイミング
フラッシュ制御手段75(図1)は、求められたシャッタ速度TSを用いて、図2に示すように、露光終了時(t2+TS時点)の直前に最大光量に達するように、t4時点にフラッシュランプ36の発光を開始させている。
【0079】
なお、フラッシュ制御手段75(図1)は、次の[A]〜[C]に示すようなタイミングでフラッシュランプ36を発光させるものとしてもよい。
[A]変化制御曲線P1によって絞り7が開放にされる時点t3と同時、すなわちt4=t3としてフラッシュランプ36の発光を開始させる。
[B]変化制御曲線P1によって絞り7が開放にされる時点t3と露光終了時(t2+TS時点)との間にフラッシュランプ36の発光を開始させる。
これらによって、フラッシュランプ36の光量を絞り7が開放状態のときに確実に最大にすることができる。
【0080】
[C]図1において、フラッシュ設定手段62は、フラッシュランプ36の発光タイミングを任意に設定するタイミング設定機能を有するものとし、フラッシュ制御手段75は、フラッシュ設定手段62で設定されたタイミングでフラッシュランプ36を発光させる。
これによって、被写体に応じて好みのタイミングでフラッシュランプ36を発光させることができる。
【0081】
次に、図2〜図6を用いて撮影動作について説明する。図3は撮影動作手順のフローチャート、図4〜図6はそれぞれ図3のサブルーチンのフローチャートである。
【0082】
ボディマイコン33(図1)において、スイッチSW1がオフからオンに切り換えられたことが判別されると、図3のフローチャートに進んで撮影動作が開始される。このとき、図2に示すように、絞り7は開放状態が維持される。
【0083】
図3において、まず、レンズ情報が読み取られ(#100)、フィルム感度が読み取られ(#110)、次いで、測光値、すなわち被写体の明るさデータが取り込まれ(#120)、設定された露出モードが取り込まれる(#130)。
【0084】
次いで、設定された露出モードがアポダイズモードかどうかが判別され(#140)、アポダイズモードでなければ(#140でNO)、#120で得られた測光値を用いて通常モードの露出制御値の演算、すなわち絞り込むべき段数の算出が行われるとともに、この段数がレンズマイコン12から送られる開放Fナンバーに加算されて制御Fナンバーが算出され、この制御Fナンバーがレンズマイコン12に送信されて(#150)、#210に進む。
【0085】
一方、#140において、露出モードがアポダイズモードであれば(#140でYES)、レンズ部Lのレンズがアポダイズモードで撮影可能なレンズかどうかが判別され(#160)、撮影可能でなければ(#160でNO)、ファインダ内表示部28にその旨の警告表示が行われ(#170)、レリーズスイッチSW2のオンの受付けが禁止されて(#180)、このルーチンを終了する。
【0086】
一方、#160において、アポダイズモードで撮影可能であれば(#160でYES)、後述するアポダイズモードの露出制御値演算サブルーチンに進む(#190)。
【0087】
次いで、#190のサブルーチン内においてレリーズスイッチSW2のオンの受付けが禁止されたかどうかが判別され(#200)、禁止されていれば(#200でYES)、このルーチンを終了し、一方、レリーズスイッチSW2のオンの受付けが禁止されていなければ(#200でNO)、測距手段26の出力を用いてデフォーカス量が算出され、フォーカシングモータ10の駆動量に関するデータがレンズマイコン12に送信され、レンズマイコン12によりフォーカシングモータ10の駆動が制御されてフォーカシングが行われる(#210)。
【0088】
次いで、レリーズスイッチSW2がオンかどうかが判別され(#220)、オンであれば(#220でYES)、露出モードがアポダイズモードかどうかが判別され(#230)、アポダイズモードでなければ(#230でNO)、後述する通常モードの撮影動作サブルーチンに進んで(#240)、このルーチンを終了し、一方、露出モードがアポダイズモードであれば(#230でYES)、後述するアポダイズモードの撮影動作サブルーチンに進んで(#250)、このルーチンを終了する。
【0089】
一方、#220において、レリーズスイッチSW2がオフであれば(#220でNO)、スイッチSW1がオンかどうかが判別され(#260)、オンであれば(#260でYES)、#220に戻り、オフであれば(#260でNO)、このルーチンを終了する。
【0090】
図4は図3の#190のアポダイズモードの露出制御値演算サブルーチンのフローチャートである。
まず、絞り7の絞り込み量の設定値ΔAV0が取り込まれ(#300)、この設定値ΔAV0及び#120で得られた測光値を用いて、シャッタ速度TSが求められるとともに、シャッタ速度TSに応じて設定時間T2の値が決定される(#310)。
【0091】
次いで、求められたシャッタ速度TSと基準シャッタ速度TS0とが比較され(#320)、TS<TS0であれば(#320でYES)、アポダイズモードでの撮影が不可能であると判断されて、その旨がファインダ内表示部28に警告表示され(#330)、レリーズスイッチSW2のオンの受付けが禁止されて(#340)、このサブルーチンを終了する。
【0092】
一方、#320において、TS≧TS0であれば(#320でNO)、シャッタ速度TSに応じた絞り7の変化制御曲線が選択されて(#350)、このサブルーチンを終了する。
【0093】
図5は図3の#240の通常モードの撮影動作サブルーチンのフローチャートである。
まず、主ミラー21が退避され(#400)、絞り7が#150で算出された制御Fナンバーまで絞り込まれ(#410)、この絞り込まれた状態でシャッタ22が駆動されてフィルムの露光が行われる(#420)。
【0094】
図6は図3の#250のアポダイズモードの撮影動作サブルーチンのフローチャートである。
まず、経過時間のカウントが開始され(#500)、主ミラー21が退避されて(#510)、絞り7が設定値ΔAV0だけ絞り込まれる(#520)。
【0095】
次いで、カウント中の経過時間が設定時間T1に達したかどうかが判別され(#530)、設定時間T1が経過するまで待機し(#530でNO)、設定時間T1が経過すると(#530でYES)、絞り7の開き制御が開始される(#540,図2のt1時点)。この開き制御は、#350で選択された変化制御曲線に沿って行われる。
【0096】
次いで、カウント中の経過時間が設定時間T2に達したかどうかが判別され(#550)、設定時間T2が経過するまで待機し(#550でNO)、設定時間T2が経過すると(#550でYES)、シャッタ22が駆動されてフィルムの露光が開始され(#560,図2のt2時点)、次いで、露光終了直前にフラッシュランプ36が発光される(#570,図2のt4時点)。
【0097】
なお、図3の#190のアポダイズモードの露出制御値演算は、図4に代えて図11に示す手順で行ってもよい。図11は上記「(2)絞り7の開き制御」の[7]の場合における図3の#190のアポダイズモードの露出制御値演算サブルーチンの手順を示すフローチャートである。
【0098】
#600〜#640は、図4の#300〜#340と同一なので説明を省略する。#620において、TS≧TS0であれば(#620でNO)、次いで、シャッタ速度TSと第2基準シャッタ速度TS10とが比較され(#650)、TS<TS 10であれば(#650でYES)、第1の変化制御曲線が選択され(#660)、一方、TS≧TS10であれば(#650でNO)、第2の変化制御曲線が選択される(#670)。
【0099】
このように、本実施形態によれば、絞り7とシャッタ22とを備え、シャッタ22が開いてフィルムが露光されている間に絞り7の開口面積を変化させるようにしたので、周辺部の光量を低下させることにより、アポダイズ効果、すなわち二線ボケの無い美しいボケ具合の写真を得ることができる。
【0100】
なお、本発明は、上記実施形態に限られず、以下に示す変形形態(1)、(2)を採用することができる。
【0101】
(1)図7に破線で示すように、フィルム23で反射した光を受光する受光素子38を備えるようにしてもよい。
撮影の際には、主ミラー21が上方に退避することにより、レンズ光学系を通過した光がフィルム23に到達して露光が行われるが、主ミラー21の退避によりファインダ光学系に光が入射しないため、測光手段27による測光が露光中に行えない。
【0102】
これに対して、この形態によれば、受光素子38によりフィルム23の反射光を検出することができるので、露光中の光量変化に対応した露出制御、例えばフラッシュランプ36の発光量をフィルム23の反射光を測定しながらリアルタイムに制御するTTL制御を行うことができる。
【0103】
(2)アポダイズモードでの撮影が不可能である旨の警告は、ファインダ内表示部28の表示に代えて、音声合成部又はブザー等を用いて音声によって行うようにしてもよい。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、開口絞りを開放値以外の予め設定された初期値に絞り込むとともに、初期値に絞り込まれた後に前記開口絞りを徐々に開かせ、シャッタが開いている期間(露光時間)の終了時には少なくとも開放値近傍まで開かせた状態とするよう、開口絞りの開口面積を変化させるようにしたので、レンズ光学系の中心部を通過する光量と周辺部を通過する光量とを異なるものとすることができ、これによってアポダイズ効果を得ることができる。
【0105】
また、開口絞りを初期値に絞り込んだ後に、シャッタの開動作を開始するとともに、開口絞りを再び開くようにすることにより、シャッタが開いている間に開口絞りの開口面積が増大し、これによって、レンズ光学系の中心部を通過する光量に比べて周辺部を通過する光量を低下することができ、十分なアポダイズ効果を得ることができる。
【0106】
また、シャッタが開いている間に開口絞りを開放値近傍まで開くようにすることにより、レンズ光学系を通過する最外周部の光が撮影に用いられて、より十分なアポダイズ効果を得ることができる。
【0107】
また、初期値に絞り込まれた開口絞りを開き動作中に露出指数の変化速度が増大するように開かせることにより、レンズ光学系を通過する周辺部の光量が中心部から離れるに従って急激に低下し、これによって、より十分なアポダイズ効果を得ることができる。
【0108】
また、初期値に絞り込まれた開口絞りを露出指数の変化速度が一定で開くことにより、レンズ光学系を通過する周辺部の光量が中心部から離れるに従って低下し、これによって、より十分なアポダイズ効果を得ることができる。
【0109】
また、測光手段による測光値から露光時間を求め、求めた露光時間が所定値以下のときは制御手段の動作を禁止することにより、十分なアポダイズ効果が得られないときには、そのための撮影動作を行わないようにすることができる。
【0110】
また、測光手段による測光値から露光時間を求め、求めた露光時間が所定値以下のときは初期値を開放側に所定量だけ変更することにより、露光時間が所定値以下のときでも、アポダイズ効果を得ることができる。
【0111】
また、所定値を、初期値に絞り込まれた開口絞りを開放値まで全開するのに要する時間に設定することにより、開口絞りが露光時間内に全開されるかどうかを基準とすることができる。
【0112】
また、所定値を、フォーカルプレンシャッタの幕走行時間に対する所定比率に設定することにより、露光時間が幕走行時間に対する所定比率以下かどうかを基準とすることができる。
【0113】
また、求めた露光時間が所定値以下のときにその旨を報知することにより、十分なアポダイズ効果が得られない場合に、その旨が撮影者に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の制御構成を示すブロック図である。
【図2】 スイッチがオフからオンに切り換えられた後の各部の状態を示すタイミングチャートである。
【図3】 撮影動作手順のフローチャートである。
【図4】 図3の#190のアポダイズモードの露出制御値演算のサブルーチンのフローチャートである。
【図5】 図3の#240の通常モードの撮影動作のサブルーチンのフローチャートである。
【図6】 図3の#250のアポダイズモードの撮影動作サブルーチンのフローチャートである。
【図7】 本発明に係るカメラの露出制御装置が適用されるカメラの一実施形態の概略内部構成図である。
【図8】 絞り及びその駆動部を示す分解斜視図である。
【図9】 絞りの開口径に対するFナンバーを示す図である。
【図10】 制御Fナンバーに対する絞り込み時の絞り駆動モータの駆動パルス数のテーブルデータを示す図である。
【図11】 図3の#190のアポダイズモードの露出制御値演算のサブルーチンの異なる手順例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
5,6,9 レンズ
7 開口絞り
10 フォーカシングモータ
11 絞り駆動モータ
12 レンズマイコン
22 フォーカルプレンシャッタ
26 測距手段
27 測光手段
31 シャッタ駆動手段
33 ボディマイコン
36 フラッシュランプ
37 フラッシュ発光回路
43 操作板
71 RAM
72 ROM
73 露出演算手段
74 シャッタ制御手段
75 フラッシュ制御手段
81 ROM
82 絞り制御手段
83 フォーカス制御手段
B ボディ部
F 外付けフラッシュ
L レンズ部
SW1 スイッチ
SW2 レリーズスイッチ
Claims (8)
- レンズ光学系を透過して露光面に到達する光量を制限する開口絞りと、この開口絞りと別体で形成され、露光時間だけ開くことにより露光面を露光させるシャッタとを備えたカメラにおいて、上記シャッタが開いている間に上記開口絞りの開口面積を変化させる制御手段を備え、
上記制御手段は、上記開口絞りを開放値以外の予め設定された初期値に絞り込むとともに、上記初期値に絞り込まれた後に上記開口絞りを徐々に開かせ、上記露光時間の終了時には少なくとも開放値近傍まで開かせた状態とする絞り制御手段と、
上記開口絞りが上記初期値に絞り込まれた後に、上記シャッタの開動作を開始させるシャッタ制御手段とを備えていることを特徴とするカメラの露出制御装置。 - 請求項1記載のカメラの露出制御装置において、上記絞り制御手段は、上記初期値に絞り込まれた上記開口絞りを開き動作中に露出指数の変化速度が増大するように開かせるものであることを特徴とするカメラの露出制御装置。
- 請求項1記載のカメラの露出制御装置において、上記絞り制御手段は、上記初期値に絞り込まれた上記開口絞りを露出指数の変化速度が一定で開かせるものであることを特徴とするカメラの露出制御装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のカメラの露出制御装置において、測光手段による測光値から上記露光時間を求める測光制御手段と、求められた上記露光時間が所定値以下のときは上記制御手段の動作を禁止する禁止制御手段とを備えたことを特徴とするカメラの露出制御装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のカメラの露出制御装置において、測光手段による測光値から上記露光時間を求める測光制御手段と、求められた上記露光時間が所定値以下のときは上記初期値を開放側に所定量だけ変更する初期値変更制御手段とを備えたことを特徴とするカメラの露出制御装置。
- 請求項4又は5記載のカメラの露出制御装置において、上記所定値は、上記初期値に絞り込まれた上記開口絞りを開放値まで全開するのに要する時間に設定されていることを特徴とするカメラの露出制御装置。
- 請求項4又は5記載のカメラの露出制御装置において、上記シャッタは、先幕及び後幕から構成されるフォーカルプレンシャッタであり、上記所定値は、上記フォーカルプレンシャッタの幕走行時間に対する所定比率に設定されていることを特徴とするカメラの露出制御装置。
- 請求項4〜7のいずれかに記載のカメラの露出制御装置において、求められた上記露光時間が上記所定値以下のときにその旨を報知する報知手段を備えたことを特徴とするカメラの露出制御装置。
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