JP3735799B2 - 電気掃除機の入力制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は電気掃除機に係り、さらに詳しくは吸引用モータの電流検出と位相制御により、モータの入力電力を制御する電気掃除機の入力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の電気掃除機の入力制御装置として、例えば特許2904653号公報に記載されているものがある。これは、掃除機の風量が減少するとモータの消費電力が減少するため、吸込み仕事率の最大点において、モータに充分な電力を与えられないという問題等を解決するために、吸込み仕事率最大点付近の入力電力を通常より高い値に設定し、その設定値にほぼ一致すべく制御するようにしたもので、制御手段としてモータの電流を検知する電流検出手段と、モータの回転数を制御する位相制御手段とを備え、風量が仕事率最大付近の時、前記電流検出手段の検出値に基づいて入力電力を算出し、この算出された入力電力と、目標とする入力電力とが等しくなるよう位相角を制御するようにしている。また、吸込み仕事率最大点付近以外の領域では、入力電力が設定値より大きい場合、電力を下げ、設定値を超えないよう位相角値を制御している。なお、この仕事率とは、吸込風量×真空度で表され、風量100%(ゴミ量0)よりも多少風量が低い状態で最大になることが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電気掃除機の入力制御装置は以上のように構成されているので、以下のような課題がある。まず、仕事率最大点付近以外の領域では、入力電力が設定値より大きい場合に限り位相制御を行うようにしているので、仮にモータの製作公差等により設定値より小さい入力電力が加わった場合、特に何ら位相制御が行われずそのままの入力で運転されることとなり、仕事率最大点付近だけでなく、それ以外の領域においても入力電力が設定値となるように制御するという点について配慮されていない。また、仕事率最大点付近以外の領域から仕事率最大点付近の領域に風量が遷移する際、入力電力が急激に変化するため、入力電力が安定するまでに時間がかかると共に、安定するまでの間に入力電力が目標とする入力電力を超えてしまう可能性がある。
【0004】
この発明は上記のような課題点を解決するためになされたものであり、どの領域においても目標とする入力電力になるよう制御できると共に、モータの製作公差に影響を受けることなく、常に安定した制御が可能な電気掃除機を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電気掃除機の入力制御装置は、モータに流れる電流を検出する電流検出手段と、モータに印加される電圧の位相角を制御して入力電流を制御する位相角制御手段と、複数の領域で構成される領域全体に複数存在し、各領域において目標とする入力電力を得るための特性として予め求められた位相角−目標電流特性に基づき、位相角制御手段の位相角に対応した電流を複数求め、複数の電流のうちの最も小さい電流を、位相角制御手段の位相角に対応した目標電流として選択し、その選択した目標電流と電流検出手段の検出電流とを比較し、一致しない場合、一致するまで位相角制御手段により位相角を増加又は減少させつつ比較を繰り返す演算手段とを備えたものである。
【0006】
本発明に係る電気掃除機の入力制御装置は、演算手段が、選択した目標電流と電流検出手段の検出電流とを比較した結果、電流検出手段の検出電流が選択した目標電流よりも大きい場合、位相角制御手段により位相角を増加させ、電流検出手段の検出電流が選択した目標電流よりも小さい場合、位相角制御手段により位相角を減少させるものである。
【0007】
また、複数の領域は、吸込み仕事率最大点に対応する領域及びゴミ量ゼロに対応する領域を含み、位相角−目標電流特性は、各領域においてそれぞれ目標とされた入力電力一定制御を実現するための特性であるものである。
【0008】
さらに、位相角−電流特性を、各領域毎にそれぞれ多項式で表現したものである。
【0009】
また、ゴミ量ゼロに対応する領域の多項式を、複数の風量をパラメータとして予め求められた位相角と電流との関係において、ゴミ量ゼロ領域に対応する位相角範囲内における、領域の目標入力電力を実現する位相角と風量との関係から求められた複数の点を結ぶ一次方程式で表現したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
電気掃除機の吸引モータには最大入力電力が決められており、また、風量100%における入力電力にも上限値、下限値の規制があり、その規制値を超えないように制御する必要がある。しかしながら、上述したように吸込み仕事率最大点付近で吸引モータに十分な電力を与えようとした場合、この最大入力電力を超える可能性があるため、最大入力電力を超えない値で入力電力一定制御を行うことが望まれている。また、同様に、風量100%においても、モータに十分な電力を与えつつ、規制値の入力電力を上限値、下限値とも超えない値で入力一定制御を行うことが望まれている。
【0011】
そこで、以下に説明する実施の形態では、どの領域においても目標とする入力電力に制御できることを説明する例として、吸込み仕事率最大点付近、及びそれ以外の領域、ここでは風量100%付近において、それぞれ目標とする入力電力に一定制御する場合を例に説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1の電気掃除機の入力制御装置を示す機能ブロック図、図2は図1の吸引用モータの風量と電流及び入力電力の特性図、図3は図1の吸引用モータの位相角−入力電力特性を示す基本特性図、図4は位相角−電流特性を示す基本特性、図5は図4を部分拡大した説明図である。図6は位相角対目標電流特性を示す図である。
【0013】
図1において、1は商用交流電源、2はこの商用交流電源1に双方向性サイリスタ3を介して接続された吸引用モータ、4はこの吸引用モータ2に流れる電流を検出する電流検出手段であり、電流センサ4aが吸引用モータ2と直列に接続され、カレントトランスやシャント抵抗による電圧降下法等によって電圧として検出される。5は電気掃除機の制御部を司るマイクロコンピュータである。
【0014】
6は予め実験などにより求めた基本特性で、具体的には図3〜図5に各々示された基本特性を指し、後に詳述する位相角制御手段11により位相角を変化させて吸引用モータ2を制御した際の、入力電力特性(図示しない計測器にて測定)と電流特性(電流検出手段4で測定)である。7はこの基本特性から導出され、入力電力を制御するための位相角対目標電流特性であり、図4〜図6に示されたものである。
【0015】
8はこの位相角対目標電流特性を近似式として複数記憶すると共に、ある時点での位相角からそれぞれの近似式により目標電流値を複数算出する算出手段、9は算出手段8で求められた複数の目標電流値を比較し、何れか有効な方を目標値とする算出結果比較手段、10は算出結果比較手段9で有効とされた目標値と電流検出手段の検出結果とを比較する目標値−電流値比較手段、11は目標値−電流値比較手段10の比較結果より位相角を制御する位相角制御手段である。
【0016】
これら算出手段8、算出結果比較手段9及び目標値−電流値比較手段10により演算手段12が構成され、該演算手段12及び位相角制御手段11はマイクロコンピュータ5に設けられている。
【0017】
13はスイッチ部であり、入力切り替えや起動・停止時の操作内容をマイクロコンピュータに入力する。
【0018】
次に、基本特性6と位相角対目標電流特性7について図2〜図6を用いて説明する。図2は吸引用モータの風量と電流及び入力電力の特性図であり、実線は電流、点線は入力電力を示す。図2の電流と入力電力との特性図が示すように、入力電力一定制御を実現するためには風量が絞られるにつれて若干減少するような目標電流を設定すればよく、この目標電流の設定は、風量とモータ特性に依存するため、掃除機の機種対応の設定が必要であると同時に、風量の値が明らかになる必要がある。このため、実験により図3及び図4(図5)に示す各特性が求められた。
【0019】
図3は一つ目の基本特性の位相角−入力電力特性であり、横軸に位相角を示し、縦軸に入力電力を示している。また、パラメータを風量として風量100%(ゴミ量ゼロ)から風量g%まで(ゴミ量大)まで8種類(100%>a>b>c>d>e>f>g)を表記している。
【0020】
位相角0とは100%通電状態であり、位相角が増すにつれて入力電力は降下し、また位相角0においても風量が絞られるにつれて入力電圧は降下する。さらに、風量が多い方が位相角を増やすにつれて入力電力が降下する割合が多いことが示されている。
【0021】
図4は二つ目の基本特性の位相角−電流特性、図5は図4を部分拡大図で、縦軸の電流値は電流検出手段4の出力であり、横軸の位相角、風量パラメータは図3と同じである。
【0022】
これらの特性を用いて、入力一定制御を実現するための目標電流算出式を算出する。なお、入力一定制御を必要とする領域は、前述したように風量100%付近(領域1aとする)と吸込み仕事率最大点付近(領域2とする)との2領域であり、ここでは、風量100%付近での目標入力電力値を例えばWL、吸込み仕事率最大点付近での目標電力値を例えばWHとし、以下にそれぞれの目標電力値を実現するための目標電流算出式の算出方法について図3を参照しながら説明する。
【0023】
(1)風量100%付近
ここでは、風量100%から風量bまでを風量100%付近とする。この風量bの設定は、以下で詳述するが吸込み仕事率最大付近とされる風量範囲のうち、最大風量である風量dに近接しない風量であることを目安として設定される。なぜなら、この風量間に余裕がないと、すなわち目標入力電力をWLとする風量からWHへと増加させる風量間に余裕がないと、急激に電力を増加させることとなり、滑らかな入力電力遷移が得られなくなってしまうからである。
【0024】
ここで、目標入力電力として例えばWLを設定(図3にて横線で示す)すると、設定した入力電力WLと風量100〜風量bとの交点(WL100、WLa、WLb)から、目標として設定した入力電力と風量に応じた位相角(θWLb ,θWLa,θWL100)をそれぞれ導出することができる。この目標入力電力WLに対応する位相角範囲θWLb 〜θWL100 を領域1aとする。なお、図3の領域1とは、風量100%から仕事率最大点付近とされる風量に至るまでの領域を指し、具体的には領域1aを含むθWL100 から以下に詳述する目標入力電力WHに対応する位相角θWHd までの位相角範囲(θWHd 〜θWL100 )である。
【0025】
次に、位相角−電流特性(図5)の領域1a内において、図3で導出した位相角値と風量100%〜風量bとの交点(WL100、WLa、WLb)をプロットし、また、領域1と領域2の境目となる点(WHd)をプロットすると、領域1(θWHd 〜θWL100 )における位相角対目標電流特性IWLが求められる。この位相角対目標電流特性の一部が目標入力電力WLに対応し、各風量における入力電力が一定となる特性となる。この特性IWLを二次方程式で表現したものが領域1の目標電流算出式となる。
【0026】
この領域1の目標電流算出式はy=ax2 −bx+c等の二次の近似式で表すことができる。なお、この二次方程式のうち、θWLb 〜θWL100 の範囲が入力電力をWLに一定制御するための特性であり、θWHd 〜θWLd の範囲は入力電力をWL〜WHへと滑らかに導くための特性となる。但し、yは目標電流値、xは位相角値、a、b、cはそれぞれ定数である。
【0027】
(2)仕事率最大点付近
次に、仕事率が最大点付近となる領域を設定する。吸込み仕事率が最大点付近とは、換言すればある特定の風量範囲であり、この風量範囲はモータ特性に依存している。そこで、ここではその風量範囲を風量d〜風量gであるとする。そして、上記入力電力WLの場合と同様に、目標入力電力値として設定したWH(図3において横線にて示す)と風量dから風量g(ゴミ量大)とのそれぞれの交点(WHd,WHe,WHf,WHg)により、目標として設定した入力電力と、各々の風量に応じた位相角(θWHd,θWHe,θWHf,θWHg)をそれぞれ導出することができる。
【0028】
そして、図3で導出した位相角と各々の風量の交点(WHd,WHe,WHf,WHg)を図4及び図5上にプロットすると、領域2(θ0〜θWHd)における位相角対目標電流特性が求められる。すなわち、目標入力電力WHに対応し、各風量において入力電力を一定とする位相角対目標電流特性IWHが求められる。この位相角対目標電流特性IWHを二次方程式で表現したものが領域2の目標電流算出式となる。
【0029】
なお、この領域2の目標電流算出式は領域1と同様、y=ax2 −bx+c等の二次の近似式で表わすことができる。但し、yは目標電流値、xは位相角値、a、b、cはそれぞれ定数である。
【0030】
以上のようにして求めた本実施の形態1の位相角対目標電流特性を図6に示す。図の太線は各領域に対応する特性を示している。以下、この太線で示される特性を目標電流特性CTMと記す。なお、図に示したように目標電流特性CTMはCTM1とCTM2のうち各位相角において小さい方の特性となっている。
【0031】
このように、ある一定の目標入力電力、上記の例で説明すると目標入力電力WH又はWLを得るためには、位相角と電流との関係が目標電流特性CTMとなるよう位相制御を行えばよく、この関係を算出手段8に記憶させ、マイクロコンピュータ5により処理を行えばよい。具体的には、各領域における目標電流算出式を算出手段8に記憶させ、算出された値のうち、小さい方を選択して目標電流値CTMとし、各種処理を行えば良いこととなる。
【0032】
図7は本発明の実施の形態1の動作フローチャートである。以下、図7を参照しながら本実施の形態1の動作について説明する。なお、以下では、領域1の目標電流算出式による目標電流をCTM1、領域2の目標電流算出式による目標電流をCTM2と記す。
ステップS100では、動作スイッチ部13操作後の初期位相角値として、位相制御手段11に初期位相角値PWSをセットする。この初期位相角値PWSは、図5に示すように目標電流曲線CTMと風量100%の特性カーブとの交点における位相角値θWL100 が設定される。
【0033】
ステップS101では、ステップS100でセットされた位相角値に基づいて、位相角制御手段11及び双方向性サイリスタ3により吸引用モータ2が位相制御運転される。ステップS102では、ステップS101で吸引用モータ2に流れる電流を電流検出手段4によって検出し、検出された電流CTを目標値−電流値比較手段10に送る。
【0034】
また、ステップS103及びステップS104では、算出手段8によりステップS100でセットされた初期位相角値PWSに対応する目標電流値CTM1及びCTM2を算出し、算出結果比較手段9に送る。
【0035】
ステップS105では、ステップS103及びステップS104で算出結果比較手段9へと送られたCTM1及びCTM2の大小を算出結果比較手段9で比較し、CTM1の方が小さければステップS106でCTM1を目標電流CTMとし、CTM2の方が小さければステップS107でCTM2を目標電流CTMとし、目標電流CTMを目標値−電流値比較手段10に送る。
【0036】
ステップS108では、目標値−電流値比較手段10によりステップS102で検出した電流CTと、ステップS106またはステップS107で設定した目標電流値CTMとを比較する。CTとCTMとが等しければ位相角制御運転S101に戻り、等しくなればステップS109でCTとCTMの大小を比較し、CTの方が小さければステップS110へ進んで位相角制御手段11により位相角値を1hex(hex:16進,1hex=1度に相当)減らしてステップS101の位相角制御運転へと戻り、CTMの方が大きければステップS111へ進んで位相角制御手段11により位相角値を1hex増やして位相角制御運転S101に戻る。
【0037】
以下、図5を参照しながら具体的例で説明する。
例えば、ゴミ溜まり等によって風量100%より低い風量aで運転されているとした場合、まずはステップS100で設定された位相角PWSで位相制御運転を行われ(S101)、そして、この時の電流CTを検出し(S102)、位相角PWSにおけるCTM1とCTM2において小さい方を目標電流CTMとし(S102〜S107)、当該目標電流CTMと電流CTとの比較が行われる(S108)。位相角PWSにおける電流CTは、ここでは風量aで運転されているためCTa1であり目標電流CTMPws より小さい。このため、ステップS110へ進み、位相角値xを1hex減らしてステップS101へと戻る。ステップS101では、ステップS110で1hex減らされた位相角値θx で位相角制御運転を行い(S101)、同様にしてステップS102〜S111の処理を行う。すなわち位相角θxでの目標電流CTMθ xが算出され、これと位相角θxにおける風量aでの検出電流CTa2との比較が行われ、その比較結果に基づき上記と同様の位相角制御が行われる。
【0038】
これらの処理の繰り返しにより、検出電流CTと目標電流CTMとが一致するよう位相角制御が行われ、目標電力を実現できる。すなわち、風量に応じた目標電流となるように位相角制御が行われ、掃除が進んでゴミ溜まりによって風量が変化し、風量が仮に風量bまで絞られても、その風量に応じた位相角制御が行われ、一定の電力(目標電力WL)に一定制御が実現できる。
【0039】
図8に実施の形態1により得られた入力電力特性の例を示す。横軸は風量、縦軸は入力電力である。図示のように、二種類の目標電力WL、WHにおいて、各々一定の入力電力が得られることが確認できた。なお、風量g(m3/min)以下は全通電(位相角0)領域である。
【0040】
このように、本実施の形態1によれば、各領域毎に、目標とする入力電力を得るための目標電流算出式を求め、当該目標電流算出式に基づく位相制御を行うことにより、どの領域においても目標とする入力電力に制御可能となる。従って、以上に説明したように、複数(ここではWLとWHの2つ)の目標入力電力に対して各々一定の入力電力を確実に実現することも可能となり、ゴミ量や被掃除面状態に応じて入力電力及び風量を効率的にコントロール可能となった。
また、入力電力をWLとする領域からWHとする領域へ遷移する際、当該2つの目標入力電力間に風量的余裕があるため、位相角が急激に変化することによる突入電流を防止でき、滑らかな入力電力遷移が得られる。
【0041】
また、算出手段8は、あらかじめ求めた特性に基づき目標電流特性として数式化した近似式を記憶し、目標電流値CTMを算出するようにしたので、電源電圧変動、モータ特性バラツキ、及び電流センサ精度バラツキにより風量特性が位相角対目標電流特性CTMから外れても数式化により全風量特性領域をカバーできるため、安定した好適な入力制御を行うことができる。
【0042】
実施の形態2.
前述の実施の形態1において、領域1の目標電流算出式を、領域1a内の3点と領域1と2との境目となる点を通る二次方程式としたが、領域1aと、領域1内の領域1aを除く領域とで別々に目標電流算出式を設定し、2つの一次方程式で表現しても良い。
【0043】
そこで本実施の形態2では、領域1において、領域1a内のWL100、WLa、WLbの3点を通る一次方程式(CTM1−1)と、目標電力WLから目標電力WLへと遷移させる領域内のWLb、WHdの2点を通る一次方程式(CTM1−2)との2つの一次方程式を、領域1の目標電流算出式としたものである。なお、目標入力電力WLに一定制御を必要とする領域は領域1aであり、領域1内の領域1aを除く領域ではその必要がないため、本実施の形態2によると、領域1aと、領域1内の領域1aを除く領域とで別々に目標電流算出式を設定することで、領域1a内での目標入力電力WLの一定制御を更に正確に行うことが期待できる。
【0044】
図9に本実施の形態2の位相角対目標電流特性(CTM1−1、CTM1−2及びCTM2)を示す。図の太線が各領域に対応する特性を示している。以下、この太線で示される特性を目標電流特性CTMと記す。なお、何れの位相角においても中央に位置する特性が目標電流特性CTMとなっている。このため、位相角制御を行う場合、目標電流算出式で算出された目標電流値のうち、中央の目標電流値を目標電流CTMとすればよい。
【0045】
図10は本実施の形態2の処理の流れを示すフローチャートである。以下、図10を参照しながら本実施の形態2の動作について説明する。
【0046】
ステップS200では、動作スイッチ部13操作後の初期位相角値として、位相制御手段11に初期位相角値PWSをセットする。この初期位相角値PWSは、図9に示すように目標電流特性CTMと風量100%の特性カーブとの交点における位相角値θWL100 が設定される。
【0047】
ステップS201では、ステップS200でセットされた位相角値に基づいて、位相角制御手段11及び双方向性サイリスタ3により吸引用モータ2が位相制御運転される。ステップS202では、ステップS201で吸引用モータ2に流れる電流を電流検出手段4によって検出し、検出された電流CTを目標値−電流値比較手段10に送る。
【0048】
また、ステップS203、ステップS204及びステップS204では、算出手段8によりステップS200でセットされた初期位相角値PWSに対応する目標電流値CTM1−1、CTM1−2及びCTM2を算出し、算出結果比較手段9に送る。
【0049】
ステップS206では、ステップS203、ステップS204で算出結果比較手段9へと送られたCTM1−1、CTM1−2の大小を算出結果比較手段9で比較し、CTM1−1の方が大きければステップS208でCTM1−1を目標電流CTMとし、CTM1−2の方が大きければステップS207で更にCTM1−2とCTM2の大小を比較し、CTM1−2の方が小さければステップS209でCTM1−2を目標電流CTMとし、CTM2の方が小さければステップS210でCTM2を目標電流CTMとする。このようにして算出された目標電流CTMを目標値−電流比較手段10に送る。
【0050】
ステップS211では、目標値−電流値比較手段10によりステップS202で検出した電流CTと、ステップS208、S209またはステップS210で設定した目標電流値CTMとを比較する。CTとCTMとが等しければ位相角制御運転S201に戻り、等しくなればステップS212でCTとCTMの大小を比較し、CTの方が小さければステップS213へ進んで位相角制御手段11により位相角値を1hex減らして位相角制御運転S101へと戻り、CTMの方が大きければステップS214へ進んで同じく位相角制御手段11により位相角値を1hex増やして位相角制御運転S101に戻る。
【0051】
このようステップS201〜ステップS214を繰り返し行うことにより、実施の形態1と同様、検出電流CTと目標電流CTMとが一致するように位相角制御が行われ、目標入力電力を実現できる。すなわち、風量に応じた目標電流となるように位相角制御が行われ、掃除が進んでゴミ溜まりによって風量が変化し、風量が仮に風量bまで絞られても、その風量に応じた位相角制御が行われ、一定の電力(目標入力電力WL)に一定制御が実現できる。
【0052】
このように本実施の形態2では、入力電力WLに一定制御を必要とする風量100%付近の領域1aと、この領域1aから領域1へ入力電力を遷移するための領域とにおいて、それぞれ別々に目標入力算出式を設定するようにしたので、風量100%付近の領域での入力電力一定制御を実現する目標入力算出式を、より正確に設定することができる。さらに、目的の異なる2つの領域に分割して各領域毎に目標電流算出式を設定するようにし、且つ当該目標電流算出式を一次方程式としたので、より簡便に設定することができる。
【0053】
なお、上記各実施の形態では、ここでは実施の形態2を例に説明するが、複数求められた目標電流の中から、予め求められた関係(すなわち各位相角において算出された複数の目標電流のうち、中央値を選択)に基づいて位相角における目標電流を選択するようにしたので、各領域の境目、すなわち位相角対目標電流特性CTM1−1、CTM1−2及びCTM2との交点となる位相角を設定しなくとも、各位相角対目標電流特性(CTM1−1、CTM1−2、CTM2)を設定(記憶)しておくだけで前記関係に基づき各領域に対応する目標電流を選択することができる。なお、ここで説明した効果は得られなくなってしまうが、各領域の境目となる位相角を設定して、目標電流特性CTMから直接目標電流を求めるようにしてももちろん良く、何れの方法を採用しても目標とする入力電力に一定制御を行うことができる。
【0054】
なお、上記各実施の形態では、位相角制御の際1hexずつ増減させる場合を例に示したが、これに限られたものではなく、要するに位相角を少しづつ増減させればよい。
【0055】
また、上記各実施の形態では、目標電流算出式を一次方程式又は二次方程式とした場合を例に説明したが、これに限られたものではなくその他の多項式で表現されたものでももちろん良い。例えば図8に示す実験結果と照らし合わせて最適な多項式を求め、当該多項式を目標電流算出式としても良く、この場合、更に正確な入力電力制御が可能となる。
【0056】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る電気掃除機の入力制御装置は、モータに流れる電流を検出する電流検出手段と、モータに印加される電圧の位相角を制御して入力電流を制御する位相角制御手段と、複数の領域で構成される領域全体に複数存在し、各領域において目標とする入力電力を得るための特性として予め求められた位相角−目標電流特性に基づき、位相角制御手段の位相角に対応した電流を複数求め、複数の電流のうちの最も小さい電流を、位相角制御手段の位相角に対応した目標電流として選択し、その選択した目標電流と電流検出手段の検出電流とを比較し、一致しない場合、一致するまで位相角制御手段により位相角を増加又は減少させつつ比較を繰り返す演算手段とを備えたものである。
【0057】
その結果、どの領域においてもそれぞれ目標とする入力電力に制御可能となる。従って、複数の目標入力電力に対して各々一定の入力電力を確実に実現することも可能となり、ゴミ量や被掃除面状態に応じて入力電力及び風量を効率的にコントロールすることができる。
また、各領域の境目、すなわち各位相角−目標電流特性の交点となる位相角を設定しなくとも、予め求められた関係に基づいて複数の目標電流の中から、各領域に対応する目標電流を選択することができる。
【0058】
本発明に係る電気掃除機の入力制御装置は、演算手段が、選択した目標電流と電流検出手段の検出電流とを比較した結果、電流検出手段の検出電流が選択した目標電流よりも大きい場合、位相角制御手段により位相角を増加させ、電流検出手段の検出電流が選択した目標電流よりも小さい場合、位相角制御手段により位相角を減少させることにより、入力電力一定制御を実現できる。
【0059】
また、複数の領域は、吸込み仕事率最大点に対応する領域及びゴミ量ゼロに対応する領域を含み、位相角−目標電流特性は、各領域においてそれぞれ目標とされた入力電力一定制御を実現するための特性であるので、吸込み仕事率最大点付近及びゴミ量ゼロ領域においてそれぞれ目標とする入力電力に一定制御が可能となる。
【0060】
さらに、位相角−目標電流特性は、各領域毎にそれぞれ多項式で表現されたものであるので、当該多項式を実験結果(入力電力特性)と照らし合わせて求められた最適な多項式とすれば、更に正確な入力電力制御が可能となる。
【0061】
また、ゴミ量ゼロに対応する領域の多項式は、複数の風量をパラメータとして予め求められた位相角と電流との関係において、ゴミ量ゼロ領域に対応する位相角範囲内における、領域の目標入力電力を実現する位相角と風量との関係から求められた複数の点を結ぶ一次方程式で表現されたものであるので、ゴミ量ゼロ領域において更に正確に入力電力制御が可能となり、また、多項式を一次式方程式とすることで、簡便に設定ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の電気掃除機の入力制御装置を示す機能ブロック図である。
【図2】 図1の吸引用モータの風量と電流、及び風量と入力電力の特性図である。
【図3】 図1の吸引用モータの位相角−入力電力特性を示す基本特性図である。
【図4】 図1の吸引用モータの位相角−電流特性を示す基本特性図である。
【図5】 図4を部分拡大した説明図である。
【図6】 本発明の実施の形態1の位相角対目標電流特性(目標電流算出式CTM)を示す図である。
【図7】 本発明の実施の形態1の動作フローチャートである。
【図8】 本発明の実施の形態1の電気掃除機の入力制御装置によって得られた入力特性図である。
【図9】 本発明の実施の形態2の位相角対目標電流特性(目標電流算出式CTM)を示す図である。
【図10】 本発明の実施の形態2の動作フローチャートである。
【符号の説明】
4 電流検出手段、7 位相角対目標電流特性、11 位相角制御手段、
12 演算手段。
Claims (5)
- モータに流れる電流を検出する電流検出手段と、
モータに印加される電圧の位相角を制御して入力電流を制御する位相角制御手段と、
複数の領域で構成される領域全体に複数存在し、各領域において目標とする入力電力を得るための特性として予め求められた位相角−目標電流特性に基づき、前記位相角制御手段の前記位相角に対応した電流を複数求め、当該複数の電流のうちの最も小さい電流を、前記位相角制御手段の前記位相角に対応した目標電流として選択し、その選択した目標電流と前記電流検出手段の検出電流とを比較し、一致しない場合、一致するまで前記位相角制御手段により位相角を増加又は減少させつつ前記比較を繰り返す演算手段と
を備えたことを特徴とする電気掃除機の入力制御装置。 - 前記演算手段は、前記選択した目標電流と前記電流検出手段の検出電流とを比較した結果、前記電流検出手段の検出電流が前記選択した目標電流よりも大きい場合、前記位相角制御手段により前記位相角を増加させ、前記電流検出手段の検出電流が前記選択した目標電流よりも小さい場合、前記位相角制御手段により前記位相角を減少させることを特徴とする請求項1記載の電気掃除機の入力制御装置。
- 前記複数の領域は、吸込み仕事率最大点に対応する領域及びゴミ量ゼロに対応する領域を含み、前記位相角−目標電流特性は、前記各領域においてそれぞれ目標とされた入力電力一定制御を実現するための特性であることを特徴とする請求項1又は2記載の電気掃除機の入力制御装置。
- 前記位相角−目標電流特性は、各領域毎にそれぞれ多項式で表現されたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の電気掃除機の入力制御装置。
- 前記ゴミ量ゼロに対応する領域の多項式は、複数の風量をパラメータとして予め求められた位相角と電流との関係において、前記ゴミ量ゼロ領域に対応する位相角範囲内における、当該領域の目標入力電力を実現する位相角と風量との関係から求められた複数の点を結ぶ一次方程式で表現されたものであることを特徴とする請求項4記載の電気掃除機の入力制御装置。
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