JP2005185071A - 単相誘導電動機の回転速度制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】負荷変動や電圧変動等により前記回転子の回転速度が目標の回転速度から逸脱した場合、回転子の回転速度を目標の回転速度に迅速・確実に復帰させることのできる単相誘導電動機の回転速度制御装置を提供する。
【解決手段】単相誘導電動機1に供給される電圧値および電流値を常に検出し、図示しない回転子の回転速度を推定することによって、前記単相誘導電動機1に対する最適な制御量を即座に算出して、単相誘導電動機1への供給電圧をする。これらを実行する複数のプログラムやパラメータを記憶する記憶回路4hを備えて構成した。
【選択図】図1
【解決手段】単相誘導電動機1に供給される電圧値および電流値を常に検出し、図示しない回転子の回転速度を推定することによって、前記単相誘導電動機1に対する最適な制御量を即座に算出して、単相誘導電動機1への供給電圧をする。これらを実行する複数のプログラムやパラメータを記憶する記憶回路4hを備えて構成した。
【選択図】図1
Description
本発明は、電動ロクロの駆動源とか、空気調和機の室外機等に用いる送風ファンを駆動する単相誘導電動機の回転速度検出と、検出した回転速度を負荷の状況に対応して所定の回転速度に維持可能とした、単相誘導電動機の回転速度制御装置の改良に関する。
従来から、電動ロクロとか空気調和機の室外機等において、前記各機器を駆動するのに使用されている単相誘導電動機においては、外部からの負荷変動(電動ロクロの場合、材料の重量変化とか粘り度合、また、室外機においては、外部から送風ファンに加えられる風力(外乱による)の変化等)や、交流電源の電圧変動によって回転速度が変化するような場合、機器の運転を正常に維持するために、単相誘導電動機はその回転速度を検出し、この検出した回転速度をベースにして、事前に設定した目標の回転速度に可変制御するように構成されている。
そして、前記単相誘導電動機において、その回転速度の検出に当っては、例えば、エンコーダとかホール素子等を用いた回転速度検出手段により検出し、前記検出した回転速度に基づいて、単相誘導電動機のコイル(例えば、主コイル,補助コイル)への通電を制御することにより、単相誘導電動機の回転速度を可変するようにしていた(特許文献1参照)。
特開平2−168884号公報
然るに、前記[特許文献1]に記載されるように、ホール素子を用いて電動機の回転速度を検出する構成においては、当然、前記ホール素子を電動機の近傍に設置しなければならず、この結果、ホール素子の取付け作業に手間を要したり、配線が複雑化するため、単相誘導電動機の製造原価を高くする問題があった。また、前記ホール素子を使用することによって、ノイズ,温度対策を講じないと円滑な回転速度制御が行いないという問題もあった。
前記の問題点を解消するために、例えば、単相誘導電動機の主コイルと補助コイルに流れる電流あるいは電圧のゼロクロスタイミングを計測することにより、その位相差を検出し、前記検出した位相差をベースにして単相誘導電動機の回転速度を算出し、前記算出した回転速度を基準として単相誘導電動機への通電を制御することにより、単相誘導電動機の回転速度を制御するように構成したものも開発されている。
前記単相誘導電動機の回転速度制御においては、ホール素子等の回転速度検出手段を用いることなく、センサレス化して回転速度制御を可能としたので、単相誘導電動機は、その部品点数を削減することができ、それにより、組立作業にあまり時間をかけることなく、迅速・容易に、かつ、製造コストを軽減して製造できるという利点を備えている。
しかし、前記のように主コイルと補助コイルに流れる電流や電圧のゼロクロスタイミングを計測してその位相差を検出する場合、次のような問題があった。即ち、第1に位相差の検出に当り、進相コンデンサによる電流波形の歪みとか、ノイズの影響によってゼロクロスタイミングがずれたりすると、位相差の検出精度が低下するという問題があった。
また、前記のように、位相差の検出に際してゼロクロスタイミングを用いる場合、単相誘導電動機の回転速度制御方式に、例えば、ACチョッパ制御方式とか位相制御方式等を適用することは困難であった。即ち、第2に前述した各制御方式においては、スイッチング回路のオン/オフ動作によって単相誘導電動機に供給する電圧を制御している関係上、前記スイッチングに応じてゼロクロスタイミングを生じ、この結果、前記ゼロクロスタイミングにおいては、位相差を正確に検出することができないという問題があった。この結果、単相誘導電動機の目標の回転速度を正確に制御することが困難であった。
本発明は、前記各問題点に鑑み、ホール素子等のセンサやエンコーダからなる回転速度検出手段を用いることなく、シンプルな回路構成にて単相誘導電動機の回転速度を推定検出し、この推定回転速度に基づき単相誘導電動機への通電を制御して、回転速度を負荷および電圧の変動に対応して所定の回転速度に維持可能とした、単相誘導電動機の回転速度制御装置を提供することにある。
第1の局面によれば、単相誘導電動機の主コイルに供給される電圧を検出する電圧検出手段と、単相誘導電動機の主コイル,補助コイルに流れる電流を検出する第1,2の電流検出手段を具備し、前記電圧検出手段と電流検出手段によって検出した検出電圧と検出電流の実効値を算出する実効値算出手段と、算出した実効値に基づき、前記電圧値と電流値の位相差を算出してベクトル表示する主巻線電圧と主巻線電流および補助巻線電流を求める位相差算出手段と、前記主コイルと補助コイルの有効巻数比と前記主巻線電流および補助巻線電流から前記主コイルと補助コイルの空間的な配置を考慮した正相分電流と逆相分電流を算出する正/逆相分電流算出手段と、単相誘導電動機の等価回路におけるインピーダンス項を算出するインピーダンス項算出手段と、前記位相差算出手段と正/逆相分電流算出手段およびインピーダンス項算出手段の算出結果からすべりを算出するすべり算出手段と、算出したすべり値から単相誘導電動機の回転速度を算出する回転速度算出手段と、該回転速度算出手段にて算出した回転速度に基づいて、前記単相誘導電動機への通電を制御する供給電圧制御手段と、前記各手段を実行するためのプログラムおよびパラメータをあらかじめ記憶しておく記憶手段を具備して構成した。
第2の局面によれば、第1の局面において、前記インピーダンス項算出手段は、あらかじめ実験によって得た前記パラメータとしての種々の回路定数を前記記憶手段より読み出すことによって前記インピーダンス項を算出するように構成した。
第3の局面によれば、第1,2の局面において、前記供給電圧制御手段と単相誘導電動機との間に、前記単相誘導電動機に供給される電圧を制御するためのスイッチング回路を具備して構成した。
請求項1記載の発明によれば、単相誘導電動機の等価回路による特性計算式に単相誘導電動機を回転駆動した際に検出する主コイルと補助コイルに供給される電圧値および電流値と、あらかじめ実験によって得た種々の回路定数を代入することによりすべりを計算し、このすべり値から前記単相誘導電動機の回転速度を推定することができるので、単相誘導電動機に接続する負荷部材のトルク変動や当該電動機に駆動電力を供給する商用電源の電圧変動等によって、現状の回転速度が目標速度から逸脱した場合は、現状の回転速度と目標の回転速度との偏差を電圧値に換算して単相誘導電動機の制御量を可変して、迅速・確実に単相誘導電動機を目標速度に復帰させることが可能となる。
請求項2記載の発明によれば、あらかじめ実験によって得た種々の回路定数をパラメータとしてすべりの計算に使用するインピーダンス項を算出するように構成したので、前記回路定数を複雑な計算を逐一実行して算出する必要はなく、すべりを即座に計算して、単相誘導電動機の回転速度を短時間で確実に目標速度に復帰させることが可能となる。
請求項3記載の発明によれば、公知のスイッチング回路を利用して単相誘導電動機に供給する電圧を制御する構成であるので、比較的簡単な構成により迅速,確実に単相誘導電動機の速度制御を実現することができる。
単相誘導電動機の回転速度が負荷変動や電圧変動により目標速度から逸脱した場合、確実にこの状態を検出して、回転速度を迅速・容易に目標速度に復帰させることのできる単相誘導電動機の回転速度制御装置を実現した。
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図3により説明する。図1は本発明の単相誘導電動機における回転速度制御装置Aを概略的に示すブロック図である。図1に示すように、前記回転速度制御装置Aは、単相誘導電動機1と、該電動機1に流れる電流を検出する電流検出回路2と、同じく単相誘導電動機1に供給される電圧を検出する電圧検出回路3、前記電流検出回路2および電圧検出回路3にて検出する電流値と電圧値に応じた指令信号を出力するマイクロコンピュータ等からなる制御装置4と、前記指令信号によって単相誘導電動機1への通電時間を設定するスイッチング回路5から概略構成されている。
次に、前記各回路について詳細に説明する。前記単相誘導電動機1は、コンデンサ分相型の電動機であり、この電動機1は、主コイル1a,補助コイル1b,進相用コンデンサ1cによって構成されており、前記進相用コンデンサ1cは、主,補助コイル1a,1b間に並列に接続され、主コイル1aと補助コイル1bに流れる電流に位相差を発生させることにより回転磁界を発生させ、図示しない回転子を回転させるよう構成されている。
つづいて、前記電流検出回路2は、前記単相誘導電動機1の主コイル1aと進相用コンデンサ1cとの間に取り付けた変流器,電流検出抵抗等からなる第1の電流検出回路2aと、補助コイル1bと進相用コンデンサ1cとの間に取り付けた変流器,電流検出抵抗等からなる第2の電流検出回路2bとからなり、これら第1,2の電流検出回路2a,2bにて検出された電流は、電圧情報に変換され、制御装置4の入力端子I1,I2に入力される。
電圧検出回路3は、単相誘導電動機1の主,補助コイル1a,1bに供給される電圧を分圧(降圧)して検出するもので、交流電源6と単相誘導電動機1との間に並列接続した抵抗R1,R2とによって構成されている。これは、実際に主,補助コイル1a,1bに供給される電圧自体が交流電源6から直接供給される電圧(約100V)である関係上、前記供給電圧をそのまま制御装置4に入力させるには高圧すぎてできないため、前記分圧抵抗R1,R2により制御装置4への入力可能な電圧に分圧し、抵抗R1と抵抗R2の接続点Pから制御装置4の入力端子I3に入力される。なお、前記供給電圧の入力は、分圧抵抗R1,R2に代えて変圧器も用いて制御装置4が入力可能な電圧に降圧するように構成してもよい。
次に、制御装置4の機能について説明する。前記制御装置4は、電流検出回路2と電圧検出回路3によって検出した電流(IM,IA)および電圧(V)の実効値を算出する実効値算出回路4aと、この算出した実効値に基づき、前記電圧値(V)と電流値(IM,IA)の位相差を算出して、主巻線電圧(V)と主巻線電流(IM)および補助巻線電流(IA)を求める位相差算出回路4bと、前記主コイル1aと補助コイル1bの有効巻数比aと主,補助巻線電流(IM,IA)から前記主コイル1aと補助コイル1bの空間的な配置を考慮した正相分電流(IP)と逆相分電流(IN)を算出する正/逆相分電流算出回路4cと、単相誘導電動機1の等価回路におけるインピーダンス項(ZM1,ZA1,ZP,ZN)を算出するインピーダンス項算出回路4dを備えている。
また、前記制御装置4は、正/逆相分電流算出回路4cとインピーダンス項算出回路4dの算出結果および前記主巻線電圧(V)から単相誘導電動機1のすべりを算出するすべり算出回路4eと、この算出したすべり値から当該電動機1が備える回転子(図示せず)の回転速度(N)を算出する回転速度算出回路4fと、該回転速度算出回路4fによって算出した回転速度に基づいて、単相誘導電動機1への通電を制御する供給電圧制御回路4gと、これら各回路4a〜4gを実行するプログラムおよびパラメータをあらかじめ記憶しておく記憶回路4hを備えて構成されている。なお、前記制御装置4は、図示しない定電圧電源によって交流電源6を所定電圧に降圧し、かつ、直流に整流された5Vの定電圧電源Vccによって動作するものである。
次に、前記回転速度制御装置Aの動作について、図2のフローチャートを利用して説明する。はじめに、制御装置4に具備した可変抵抗等からなる回転速度設定手段7によって単相誘導電動機1の回転速度を負荷の状況に応じた最適速度N1として制御装置4の入力端I4から入力する(図4のステップS1)。
単相誘導電動機1の運転に際しては、図示しない電源スイッチの投入によって交流電源6からスイッチング回路5に通電され、スイッチング回路5のサイリスタをオンすることにより、単相誘導電動機1の主コイル1aに電流が流れる。また、補助コイル1bには進相用コンデンサ1cによって主コイル1aに流れる電流との間に位相差の生じた電流が流れることにより回転磁界が発生し、当該電動機1の回転子(図示せず)を回転させて、起動を開始する(ステップS2)。
単相誘導電動機1が起動すると、電流検出回路2によって検出された主コイル1aと補助コイル1bに流れる電流(IM,IA)は、制御装置4の入力端I1,I2に入力され、また、主コイル1aに供給される電圧(V)は、電圧検出回路3の抵抗R1,R2によって分圧されて制御装置4の入力端I3に入力される(ステップS3)。
前記電圧値と電流値を入力した制御装置4は、図1に示す実効値算出回路4aによって、交流電源6から供給される電圧値(V)と電流値(IM,IA)の実効値をそれぞれ算出する(ステップS4)。
つづいて、前記制御装置4は、実効値算出回路4aにて算出した電圧値(V)と電流値(IM,IA)の実効値を基にして、位相差算出回路4bにおいて電圧値(V)と電流値(IM,IA)間に存在する位相差を算出してベクトル表示する主巻線電圧(=電源電圧V)と主巻線電流(IM)および補助巻線電流(IA)を求める(ステップS5)。
前記位相差算出回路4bにて主巻線電圧(V)と主巻線電流(IM)および補助巻線電流(IA)を算出すると、次に、正/逆相分電流算出回路4cによって主コイル1aと補助コイル1bの有効巻数比aと前記主巻線電流(IM)と補助巻線電流(IA)から前記主コイル1aと補助コイル1bの空間的な配置を考慮した正相分電流(IP)と逆相分電流(IN)を算出する(ステップS6)。
なお、本実施例においては、主コイル1aと補助コイル1bが90°の角度間隔で空間的に配置されている場合について説明することとし、この場合における前記正相分電流(IP)と逆相分電流(IN)は次式[数1]にて与えられる。
なお、前記[数1]において、(IA´)は(IA)の主巻線換算値であり、(IA´=IA/a)と記述される。また、主コイル1aと補助コイル1bの有効巻数比aは、あらかじめ実験によって測定した値を、(IA´)を算出する際のパラメータとして記憶手段4g内に記憶しておく。
つづいて、単相誘導電動機1の等価回路におけるインピーダンス項(主コイル1aのインピーダンスZM1,主コイル1aに換算した補助コイル1bとコンデンサ1cの直列インピーダンスZA1,主コイル1aに換算した2次側の正相分インピーダンスZP,主コイル1aに換算した2次側の逆相分インピーダンスZN)を下記[数2]を利用してインピーダンス項算出回路4dにより算出する(ステップS7)。
前記[数2]において、R1は主コイル1aの抵抗値であり、X1は主コイル1aの漏れリアクタンスである。また、Ra´はRaを補助コイル1bの抵抗値とした場合、(Ra´=Ra/a2)と記述される。さらに、Xa´は補助コイル1bの漏れリアクタンスをXaとした場合、(Xa´=Xa/a2)と記され、Xc´は前記等価回路の容量リアクタンスをXcとした場合、(Xc´=Xc/a2)と記述される。
また、X2´はX2を2次導体の漏れリアクタンスとした場合、(X2´=X2/a2)と表されるものであり、Xmは励磁リアクタンスを示している。そして、上記値(R1,X1,Ra´,Xa´,Xc´,X2´,Xm)は、あらかじめ実験によって得た値を回路定数(パラメータ)として前記記憶回路4g内に記憶している。なお、[数2]中のRPとRNは、2次側の正相分抵抗と逆相分抵抗をそれぞれ示している。
つまり、前記インピーダンス項算出回路4dは、上記値(R1,X1,Ra´,Xa´,Xc´,X2´,Xm)を記憶手段4gから読み出して前記[数2]に代入することによって、単相誘導電動機1の等価回路におけるインピーダンス項(ZM1,ZA1)を求めることができ、また、これ以外のインピーダンス項(ZP,ZN)を2次側の正相分抵抗RPと逆相分抵抗RNを変数とする数式によって表すことができる。
前記インピーダンス項(ZM1,ZA1,ZP,ZN)が算出されると、制御装置4は、すべり算出回路4eによって単相誘導電動機1のすべりを次式[数3]によって算出する(ステップS8)。
すなわち、上記[数3]に前記[数1]によって算出した正相分電流(IP)と逆相分電流(IN)と前記[数2]から算出したインピーダンス項(ZM1,ZA1,ZP,ZN)および位相差算出回路4bによって算出した主巻線電圧(=電源電圧V)をそれぞれ代入することによって、2次側の正相分抵抗RPと逆相分抵抗RNを変数とする2つの方程式が得られる。
この2つの方程式を解くことにより、前記2次側の正相分抵抗RPと逆相分抵抗RNの値を方程式の解として導き出すことができる。一方、単相誘導電動機1のすべり(s)は、下記に記す[数4]のように記述することができるので、[数3]を用いて算出した2次側の正相分抵抗RPと逆相分抵抗RNを下記[数4]に代入することによって、前記すべり(s)を求めることが可能となる(ステップS8)。
次に、前記制御装置4は、回転速度算出回路4fによって単相誘導電動機1の回転子(図示せず)の回転速度(N)を算出する。なお、回転速度(N)の算出(推定)は、下記に記す[数5]によって行われるものであり、[数5]において、(P)は単相誘導電動機1の極数として記憶回路4gにあらかじめ記憶されたパラメータである。そして、回転速度(N)の算出時、このパラメータ(P)と交流電源6の周波数fを記憶回路4gから読み出すことによって、前記回転速度(N)を算出する(ステップS9)。
次に、前記制御装置4は、この回転速度(N)を算出することによって、図2に示すステップS10に移行して、図1に示す供給電圧制御回路4fを利用して単相誘導電動機1の現在の回転速度(N)がステップS1で設定した目標回転速度(N1)と一致しているか否かを判定する。
そして、現状の推定回転速度(N)が目標回転速度(N1)と同一である場合は、ステップS3まで戻って前述と同様の動作を繰り返し実行する。また、ステップS10において、推定回転速度(N)が目標回転速度(N1)と一致していない場合は、ステップS11に移行して、以下に記すフィードバック制御を実行する。
前記フィードバック制御は、前記供給電圧制御回路4fにおいて、推定回転速度(N)と目標回転速度(N1)の偏差に応じて、その差分をこれに相当する電圧値に換算すべく演算処理することにより、図1に示すスイッチング回路5(サイリスタ)のゲート信号を調整する制御量を求めることにより実行される。
例えば、現状の推定回転速度が900[rpm]である場合において、目標の回転速度が800[rpm]に設定されている場合、推定回転速度は目標回転速度と比較して100[rpm]超過している。これは、負荷変動等によって生じた可能性があり、この場合、現状の推定回転速度を目標回転速度に戻す必要があるので、制御装置4は、記憶回路4gに記憶されたプログラムを読み出すことにより、供給電圧制御回路4fを利用して、目標の回転速度を得るための制御量を算出する。
つまり、現状の推定回転速度が目標の回転速度と比較して超過しているので、単相誘導電動機1に供給する電圧を降下させる必要があり、制御装置4は、出力端Oからスイッチング回路5のゲート端子に、図3(a)に示す左端の出力波形に比べて除々に幅寸法が縮小していくゲート信号を出力する。
この結果、この電圧降下指令によってスイッチング回路5はそのオン時間を少しづつ減少させていき、単相誘導電動機1の主,補助コイル1a,1bに供給される実効的な電圧を順次降圧させることができる。
このように、主コイル1aと補助コイル1bに供給される電圧が位相制御にて次第に降圧されると、単相誘導電動機1の回転速度は除々に下降していき、目標の回転速度(800[rpm])に近づく。すなわち、フィードバック制御によって回転子(図示せず)の回転速度が減速される。
そして、再び、図2に示すステップS3に戻って、前述と同様の動作を繰り返すが、現状の推定回転速度が未だ目標の回転速度と比較して超過している場合は、さらに、図3(a)に示すゲート信号の出力波形の幅寸法を縮小させて、単相誘導電動機1の回転速度をさらに減速させる。この動作を繰り返し実行することにより、前記単相誘導電動機1の回転速度を目標回転速度800[rpm])に一致させることができる。
なお、単相誘導電動機1の回転速度(N)が目標回転速度(N1)に一致した後は、直前にスイッチング回路(サイリスタ)5のゲート端子に入力したゲート信号の出力波形における幅寸法を継続することによって、目標回転速度(N1)を維持することができる。
続いて、単相誘導電動機1の推定回転速度(N)が目標回転速度(N1)より遅く回転した場合における回転速度の補正について説明する。この場合は、上記した現状の推定回転速度(N)が目標の回転速度(N1)より速い場合と逆の制御(単相誘導電動機1に供給される電圧を昇圧して、回転速度を目標の回転速度に維持させる)を行えばよい。
この場合も、単相誘導電動機1に流れる電流や電圧を電流検出回路2や電圧検出回路3によって検出し、これら検出した電流,電圧に基づいて当該電動機1のすべり(s)を算出し、このすべり(s)に基づいて単相誘導電動機1の回転速度(N)を推定する。
すなわち、単相誘導電動機1の目標回転速度が、例えば、900[rpm]であるとき、前記電動機1の現状の回転速度が800[rpm]であると推定された場合、現状の推定回転速度(N)は目標回転速度(N1)と比較して100[rpm]不足してことになるので、前記供給電圧制御回路4gによって現状の回転速度を目標の回転速度に近づけるべく制御量を算出する。そして、この制御量に相当する指令信号(供給電圧の昇圧指令)を制御装置4の出力端Oからスイッチング回路5のゲート端子に出力する。
前記スイッチング回路5のゲート端子に出力された電圧の昇圧指令(ゲート信号)は、図3(b)に示すように、その出力波形を現状回転速度時の幅寸法に対して除々に幅広として出力される。これにより、前記スイッチング回路6は、このゲート信号に基づいてオン時間を少しづつ長くして、単相誘導電動機1に供給する実効的な電圧を順次上昇させる。
前記電圧の上昇により、単相誘導電動機1は、主コイル1a,補助コイル1bに流れる電流を増加し、回転速度を目標の回転速度に達するまで順次上昇させる。そして、この回転速度が目標回転速度(900[rpm])に到達すると、制御装置4からの前記昇圧指令は停止される。つまり、前記制御装置4は、回転速度が目標回転速度に達する直前にスイッチング回路5のゲート端子に出力したゲート信号の出力波形が有する幅寸法を継続して出力することにより、単相誘導電動機1の回転速度を目標の回転速度に維持する。
なお、図2に示すステップS10で現状の回転速度(N)が目標回転速度(N1)と同一である場合は、制御装置4の出力端Oからスイッチング回路5のゲート端子に、現状のゲート信号の出力波形(図3の最左端)と同一幅寸法を有する出力波形を出力し続けることによって、現状の回転速度(=目標回転速度)を維持することは当然である。
なお、前述した実施例では、単相誘導電動機1の回転子(図示せず)の目標回転速度を、図1に示す可変抵抗等からなる回転速度設定手段7によって設定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、負荷の状況(負荷が特定されている場合等)に応じては、制御装置4の記憶回路4hに使用負荷に適した目標回転速度を固定的に記憶させておいてもよい。
さらに、前記回転速度制御装置Aは、図1に示す回路構成に限らず、公知のACチョッパ方式やインバータ方式または位相制御方式によるスイッチング回路を利用して、前記単相誘導電動機1に供給する電圧を制御するように構成してもよいことは当然である。
以上説明したように、本発明の単相誘導電動機の回転速度制御装置は、主コイル1aに供給される電圧と電流および補助コイルに流れる電流を常時検出することにより、制御装置4内にあらかじめ記憶したプログラムとパラメータを利用して、単相誘導電動機のすべりを算出し、このすべり値から回転子の回転速度を推定して、現状の回転速度が目標の回転速度となるように前記電動機の制御量を決定する構成であるので、単相誘導電動機の回転速度が負荷或いは電圧の変動に伴って目標速度から逸脱した場合は、迅速・確実に現状の回転速度を目標の回転速度に一致させることができ、非常に利便である。
本発明によれば、単相誘導電動機の主コイルに供給される電圧値と電流値、補助コイルに流れる電流値をリアルタイムに検出して、この検出値に基づき回転子の回転速度を推定することができるので、前記電動機の状況を逐一把握して回転速度を利用者があらかじめ任意に設定した目標の回転速度に一致させることができる。つまり、前記単相誘導電動機の回転速度を常時適切な回転速度に維持してこれに接続される負荷を常に最適な状態で駆動することのできる単相誘導電動機の回転速度制御装置を実現した。
1 単相誘導電動機
1a 主コイル
1b 補助コイル
1c 進相用コンデンサ
2 電流検出回路
2a 第1の電流検出回路
2b 第2の電流検出回路
3 電圧検出回路
4 制御装置
4a 実効値算出回路
4b 位相差算出回路
4c 正/逆相分電流算出回路
4d インピーダンス項算出回路
4e すべり算出回路
4f 回転速度算出回路
4g 供給電圧制御回路
4h 記憶回路
5 スイッチング回路
6 交流電源
7 回転速度設定手段
A 回転速度制御装置
1a 主コイル
1b 補助コイル
1c 進相用コンデンサ
2 電流検出回路
2a 第1の電流検出回路
2b 第2の電流検出回路
3 電圧検出回路
4 制御装置
4a 実効値算出回路
4b 位相差算出回路
4c 正/逆相分電流算出回路
4d インピーダンス項算出回路
4e すべり算出回路
4f 回転速度算出回路
4g 供給電圧制御回路
4h 記憶回路
5 スイッチング回路
6 交流電源
7 回転速度設定手段
A 回転速度制御装置
Claims (3)
- 単相誘導電動機の主コイルに供給される電圧を検出する電圧検出手段と、単相誘導電動機の主コイル,補助コイルに流れる電流を検出する第1,2の電流検出手段を具備し、前記電圧検出手段と電流検出手段によって検出した検出電圧と検出電流の実効値を算出する実効値算出手段と、算出した実効値に基づき、前記電圧値と電流値の位相差を算出してベクトル表示する主巻線電圧と主巻線電流および補助巻線電流を求める位相差算出手段と、前記主コイルと補助コイルの有効巻数比と前記主巻線電流および補助巻線電流から前記主コイルと補助コイルの空間的な配置を考慮した正相分電流と逆相分電流を算出する正/逆相分電流算出手段と、単相誘導電動機の等価回路におけるインピーダンス項を算出するインピーダンス項算出手段と、前記位相差算出手段と正/逆相分電流算出手段およびインピーダンス項算出手段の算出結果からすべりを算出するすべり算出手段と、算出したすべり値から単相誘導電動機の回転速度を算出する回転速度算出手段と、該回転速度算出手段にて算出した回転速度に基づいて、前記単相誘導電動機への通電を制御する供給電圧制御手段と、前記各手段を実行するためのプログラムおよびパラメータをあらかじめ記憶しておく記憶手段を具備して構成したことを特徴とする単相誘導電動機の回転速度制御装置。
- 前記インピーダンス項算出手段は、あらかじめ実験によって得た前記パラメータとしての種々の回路定数を前記記憶手段より読み出すことによって前記インピーダンス項を算出するように構成したことを特徴とする請求項1記載の単相誘導電動機の回転速度制御装置。
- 前記供給電圧制御手段と単相誘導電動機の間には、前記単相誘導電動機に供給される電圧を制御するためのスイッチング回路を具備して構成したことを特徴とする請求項1,2記載の単相誘導電動機の回転速度制御装置。
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JP2003426038A JP2005185071A (ja) | 2003-12-24 | 2003-12-24 | 単相誘導電動機の回転速度制御装置 |
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JP2005185071A true JP2005185071A (ja) | 2005-07-07 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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KR100947378B1 (ko) | 2007-06-27 | 2010-03-15 | 양범석 | 불안정한 공급전압하에서 내부회로를 보호하는 단상유도전동기 |
CN102298087A (zh) * | 2011-09-05 | 2011-12-28 | 青岛海信日立空调系统有限公司 | 根据风管式空调室内机直流电机转速测量电网电压的方法 |
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2003
- 2003-12-24 JP JP2003426038A patent/JP2005185071A/ja active Pending
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