JP3735384B2 - カメラの測光装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、カメラの測光装置、特にCCD(電荷結合素子)等の蓄積型の受光素子を備えたカメラの測光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蓄積型の受光素子を備えた従来のカメラの測光装置としては、例えば図10に示すようなものが知られている。これは、クロック発生手段101によって発生されたクロックによりマイクロプロセッサ102を動作させ、更にクロック発生手段101のクロックを基にしてマイクロプロセッサ102内で作られたマスタクロック信号φMCK、φintによりCCD103等の受光素子を動作させ、得られた測光信号Voutをタイミング信号Vtimに同期してマイクロプロセッサ102に入力するというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
CCDの構成例を図11に示す。CCD103は、マトリクス状に配置された多数の画素部131と、各行の画素部に蓄積された電荷の値を順次水平方向に転送する複数の水平レジスタ134と、各水平レジスタ134の出力値を順次垂直方向に転送して測光信号Voutとして出力する垂直レジスタ135と、これらの動作に必要な内部動作クロック信号をマスタクロック信号φMCKに基づき生成する内部クロック生成回路136からなる。各画素部は、光電変換部(フォトダイオード)132およびこれにより生じた電荷を蓄積する蓄積部(コンデンサ)からなる。
【0004】
図11に示したCCD103は、おおよそ図4に示すようなクロックによって動作している。まず、CCD103内に、すべての内部動作クロックの基となるマスタクロックφMCKを入力する。このマスタクロックφMCKを分周器136により分周することにより基本クロックφBASEを生成する。CCD内の動作はすべて基本クロックφBASEの周波数を基準にして行われる。外部(マイクロプロセッサ102)から、マスタクロックφMCKとともに入力される蓄積パルス信号φintがLow(低)の時間だけ電荷の蓄積が行われ、被写界の測光を行う様になっている。電荷の蓄積が完了すると、基本クロックφBASEに等しい周波数で1画素ずつ測光信号Voutが出力される。マイクロプロセッサ102は、CCD103から出力される測光信号VoutをA/D変換して内部のメモリにそれらのデータを格納する。
【0005】
従って、基本クロックφBASEの周波数は、マイクロプロセッサのA/D変換のスピードによってその上限が決定されることになる。つまり、φBASEの周波数は、A/D変換の繰り返し周期よりも低く設定しなければならない。
【0006】
また、蓄積時間を定めるパルス信号φintのパルス幅は、外部から入力するパルスではあるが、実際には動作の安定のためにCCD103の内部で信号のラッチを行っているために、φBASEの1周期分の長さ以下の蓄積時間を設定することは不可能である。結果的に、蓄積時間φintの最小値は、マイクロプロセッサ102のA/D変換のスピードによって一義的に決定されてしまう。
【0007】
一方、測光する際の蓄積時間の最小値は、測光する被写界の明るさに依存している。従って太陽などの非常に明るい被写体を測光する際には、どれだけ蓄積時間を短くできるかで、その測光上限(測定できる明るさの上限)が決まってしまう。従って、測光上限を高くして太陽などの超高輝度被写体を測光可能にするためには、マイクロプロセッサ102の動作クロックの周波数をできるだけ高くすることによりA/D変換速度を速くしなければならない。また、太陽などの超高輝度物体を測光しようとした場合には、電荷が転送される際に光電変換が行われてしまういわゆるスミア現象や、電荷が転送される前にあふれ出すブルーミング現象が起きることがあり、これらの現象のために太陽などの超高輝度被写体以外の被写体を測光した受光素子中の画素データが破壊される場合があった。これらの不具合を防止するためにも動作クロックをできるだけ高速にする方が望ましい。
【0008】
ところが、マイクロプロセッサの動作周波数と消費電流との間には図9に示す様な関係があり、動作クロックに比例して消費電流も増大してしまうので、カメラのように電池で動作する装置にとって、消費電流の増大はシステム設計上非常に問題があった。
【0009】
同様に、受光素子に関しても、動作周波数を上げると消費電流が増大するという問題点があった。したがって、測光上限を低くするか、消費電流を大きくするかのいずれかを選択することになってしまっていた。
【0010】
そこで本発明は、上記問題点を解決し、測光上限を高く保ちながら消費電流を低く押さえたカメラの測光装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によるカメラの測光装置は、クロック信号に同期して被写界からの光を光電変換しその光強度に応じた電気信号を出力する受光素子と、該受光素子へ与える前記クロック信号として、第1の周波数のクロック信号および該第1の周波数より低速の第2の周波数のクロック信号のいずれかを選択して供給するクロック供給手段と、該クロック供給手段からのクロック信号に応じて前記受光素子から出力される電気信号を受け、該電気信号に基づき被写界の輝度に関する値を算出する演算手段と、予め定められた判定基準に基づき、前記クロック供給手段のクロック周波数を選択制御するクロック周波数制御手段とを備えたものである。
【0012】
前記クロック周波数制御手段は、カメラの撮影レンズの焦点距離情報を前記判定基準として用いることができる。この場合、好ましくは、前記クロック周波数制御手段は、前記撮影レンズの焦点距離が予め定められた値より短い場合に、前記第2の周波数のクロック信号を選択する。
【0013】
前記クロック周波数制御手段は、カメラの撮影レンズの開放絞り値情報を前記判定基準として用いることができる。この場合、好ましくは、前記クロック周波数制御手段は、前記撮影レンズの開放絞り値が予め定められた値より大きい場合に、前記第2の周波数のクロック信号を選択する。
【0014】
前記クロック周波数制御手段は、前記演算手段により得られた情報を前記判定基準として用いることができる。この場合、好ましくは、前記クロック周波数制御手段は、前記演算手段により得られた被写界の測光値が予め定められた値より小さい場合に、前記第2の周波数のクロック信号を選択する。
【0015】
前記受光素子は、被写界の画素単位に光強度を表わす電気信号を出力し、前記演算手段は当該画素単位に測光値を算出し、前記クロック周波数制御手段は、前記判定基準として、画素ごとに求められた複数の測光値の最大値を用いる。あるいは、前記クロック周波数制御手段は、前記判定基準として、画素ごとに求められた複数の測光値の平均値を用いる。
【0016】
前記演算手段は、例えば、前記受光手段からの電気信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器と、該アナログデジタル変換器から得られるデジタル情報に基づいて前記測光値を算出する中央処理装置とを含む。
【0017】
撮影レンズ内のデータ記憶手段に格納された少なくとも当該レンズの焦点距離情報および開放絞り値情報を受信する手段を有してもよい。
【0018】
前記演算手段、前記クロック周波数制御手段、前記クロック供給手段は、マイクロプロセッサに内蔵されるものであってもよく、この場合、前記クロック供給手段は、当該マイクロプロセッサに外部から供給される異なる周波数の外部クロック信号のうちの1つを予め定めた分周比で分周した信号を前記第1または第2のクロック信号として前記受光素子へ供給する。
【0019】
本発明による他のカメラの測光装置は、クロック信号に同期して被写界からの光を光電変換しその光強度に応じた電気信号を出力する受光素子と、該受光素子を用いて被写界の測光、露光演算および露出制御を行なうマイクロプロセッサとを備えたカメラの測光装置において、前記マイクロプロセッサは、複数の異なる周波数の外部クロック信号を入力する複数の入力端子と、該複数の外部クロック信号のいずれかを自己の動作クロック信号として選択するクロック選択手段と、該選択された自己の動作クロック信号に基づいて前記受光素子の動作クロック信号を生成し、前記受光素子へ供給するクロック供給手段と、予め定められた判定基準に基づき、前記クロック選択手段の選択制御を行なうクロック周波数制御手段とを有することを特徴とする。
【0020】
前記クロック供給手段は、前記クロック選択手段の選択したクロック周波数に比例して、前記受光素子へ供給する動作クロックの周波数を決定する、ああるいは前記クロック選択手段の選択の如何によらず、前記受光素子へ供給する動作クロックの周波数を一定とする。
【0021】
本発明によるさらに他のカメラの測光装置は、クロック信号に同期して被写界からの光を光電変換しその光強度に応じた電気信号を出力する受光素子と、該受光素子を用いて被写界の測光および露光演算を行なう第1のマイクロプロセッサと、該第1のマイクロプロセッサの露光演算の結果に基づいて露光制御を行なう第2のマイクロプロセッサと、複数の異なる周波数の外部クロック信号の1つを選択し、前記第1のプロセッサへその動作クロック信号として供給するクロック選択手段とを備え、前記第1のマイクロプロセッサは、当該動作クロック信号に基づいて前記受光素子の動作クロック信号を生成し、前記受光素子へ供給するクロック供給手段を有し、前記第2のマイクロプロセッサは、予め定められた判定基準に基づき、前記クロック選択手段の選択制御を行なうクロック周波数制御手段を有することを特徴とする。
【0022】
【作用】
本発明においては、状況に応じて受光素子の動作周波数を可変にしたので、消費電流を低く押さえながら測光上限を上げると同時にスミアやブルーミングの少ない測光を行うことが可能となった。
【0023】
すなわち、測光上限を高くしなければならない状況を所定の判定条件を基に判別し、動作周波数を変更するようにしたので、必要最低限の消費電流で測光上限を高く維持できる。
【0024】
受光素子へのクロックの供給をマイクロプロセッサによって行う様にすることにより、マイクロプロセッサに連動して動作周波数を変更可能となる。すなわち、特別な処置をせずに受光素子の動作周波数を変更できる。マイクロプロセッサの動作周波数を変更することにより、プロセッサの消費電流が増大する時間を最小限に押さえることができる。
【0025】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施例に係わるカメラの測光装置の概略の構成を示すブロック図である。
【0027】
図1において、カメラの測光処理等を行なう制御回路であるマイクロプロセッサ12は、第1クロック発生回路10及び第2クロック発生回路11から、プロセッサが動作するためのクロック信号を入力する。本実施例では、第1クロック発生回路10及び第2クロック発生回路11は、それぞれ16MHz、4MHzの周波数で発振している。マイクロプロセッサ12は、後述するように、その内部のソフトウェアによってどちらの周波数で動作するかを切り替えられる構成になっている。16MHzの発振を選択した場合には、4MHzの場合に比べて命令処理のスピードは4倍になるが、図9に示すように消費電流も約4倍となる。
【0028】
図2は本実施例の光学系を示すブロック図である。一眼レフカメラの撮影レンズ1を通過した光束は、クイックリターンミラー2、拡散スクリーン3、コンデンサレンズ4、ペンタプリズム5、接眼レンズ6を通って撮影者の目に到達する。一方、拡散スクリーン3によって拡散された光束の一部は、コンデンサレンズ4、ペンタプリズム5、測光用プリズム7、測光用レンズ8を通して受光素子9(CCD13)へ到達する。
【0029】
図3は、受光素子9の分割状況を被写界上に照らし合わせた図である。本実施例では、受光素子9はCCD13であり、被写界のほぼ全体を横20個、縦12個の240領域に分割して測光を行う。この具体的構成および動作は図11で説明した通りである。
【0030】
図12に、本実施例で用いるマイクロプロセッサ12の構成例を示す。
【0031】
このマイクロプロセッサ12は、クロックスイッチ120、CPU122、ROM123、RAM124、通信インタフェース(IF)125、A/D変換器126、タイマー127,128、およびこれらを接続するバス129を備える。マイクロプロセッサ12は分周回路121も備える。クロックスイッチ120は、第1および第2のクロック発生回路10、11からの16MHz、4MHzのクロックを受ける他、公知のスリープモード用に32KHzのクロック(図1には不図示)を受けて、これらのいずれかを選択出力する。スリープモードは、後述する半押しタイマー切れ時に、半押し待ち状態となったマイクロプロセッサ12の動作状態である。分周器121は、CCD13へ出力するマスタクロックφMCKおよびパルス信号φintを出力する他、マイクロプロセッサ12内の各部へ供給する各種クロックを生成する。ハードウエアタイマー127、128は、それぞれシャッタの半押し状態のタイマー切れ時間およびパルス信号φintのパルス幅を定める。このφintのパルス幅は、マイクロプロセッサ12において決定されるものであり、厳密には、CCD13内での基本クロックφBASEに同期化されたφint(図4で後述)とは異なるので留意されたい。中央処理装置(CPU)122は、ROM123に格納されたプログラムに基づいてこの装置全体の動作を制御する。RAM124には、CPU12の処理に必要なデータ(パラメータ)の格納領域、あるいは、処理に必要な作業領域を提供する。通信インタフェース125は、一眼レフカメラのレンズ鏡筒を含む撮影レンズ1(レンズ内ROM14)との間のパラメータのシリアル通信を行なうためのものである。レンズ内ROM14に格納されたパラメータとしては、その撮影レンズの焦点距離(f)、解放絞り値(F0)、射出瞳位置(撮影レンズのフィルム等価面からの距離)等がある。A/D変換機126は、CCD13からのタイミング信号Vtimに同期して測光信号VoutをA/D変換する。図では、タイミング信号VtimによるCPU12への割込処理によりA/D変換のタイミングを制御している。
【0032】
マイクロプロセッサ12内の分周回路121は、スイッチ120の出力クロックを予め定めた分周比で分周して、CCD13のマスタクロックφMCKを生成する。本実施例では、電源ON時(半押しタイマー切れ以外の期間)選択した動作周波数の8分の1のクロックを、マスタクロックφMCKとしてCCD13へ出力する。すなわち、16MHzの場合には2MHz、4MHzの場合には500kHzのマスタクロックとなる。
【0033】
図4に、CCD13に関与する信号のタイミング図を示す。本実施例では、同図に示すように、CCD13内部でマスタクロックφMCKを16分周した基本クロック信号φBASEを発生し、CCD13内の電荷の蓄積及び転送をこの基本クロック信号φBASEの周波数に基づいて行う。φMCK=2MHzの場合にはφBASE=125kHz、φMCK=500kHzの場合にはφBASE=31.25kHzとなる。マイクロプロセッサ12から入力したパルス信号(蓄積指示信号)φintは、CCD13内部においてφBASEによってラッチされているので、図4に示すように、その蓄積時間はφBASEの周期の整数倍になる。すなわち、最短の蓄積時間はφBASEの1クロック時間となる。パルス信号φintがLowの時間が蓄積時間となり、φBASEが125kHz、31.25kHzの場合の最小蓄積時間はそれぞれ8μS、32μSとなる。これらの場合の測光上限は、それぞれ約BV15及びBV13となる(BVはBright Value:絶対輝度値)。蓄積時間が経過すると、CCD13の測光信号Voutの出力端子から、基本クロックφBASEの周波数に合わせて測光信号Voutが1画素ずつ順番に出力される。同時に、測光信号取り込みタイミングを示す出力信号VtimがCCD13から出力され、マイクロプロセッサ12はVtimの立ち下がりに同期して測光信号VoutをA/D変換する。また、マイクロプロセッサ12は、レンズ内ROM14から受信したパラメータ(前述の開放絞り値などの情報)と、蓄積時間(φintのパルス幅)とに基づき、各画素の測光値を公知の手法により輝度値に変換し、それらの輝度値を基に公知の手法により適正露出値を算出(露出演算)する。
【0034】
図5は、マイクロプロセッサ12のアルゴリズムを説明するフローチャートである。不図示のシャッター釦が半押しされることによってカメラの電源が入り、マイクロプロセッサ12内のプログラムが起動される。電源投入時のクロック信号としては、自動的に16MHzが選択される。まず、ステップ#101において、変数Nが“0”に初期化される。Nは、アルゴリズムが起動されてから1回目の測光かどうかを判別する変数である。次に、#102ではレンズ内ROM14から焦点距離f、開放絞り値F0等のパラメータ情報を読み出す。次に、#103でN=0かを判別する。本実施例では、原則的には前回の測光結果を利用してクロックの切換判定を行なうが、1回目に限り前回の測光結果が存在しないので、前回の測光結果を利用しないようにしている。そのため、N=0、すなわち1回目の測光の場合には、#105においてN=1が代入した後、#106へ進む。N≠0、すなわち2回目以降の測光の場合には#104へ進み、前回の測光値から求めた複数の輝度値の中の最大値であるBVmaxがBV10より小であるかどうかを判別する。これは、太陽などの超高輝度物体が被写界内に存在するかどうかを判別するためである。#104の判定結果が肯定の場合には、高輝度物体が存在しない(すなわちマイクロプロセッサの速度を高める必要がない)として#109へ進み、クロック信号として遅い方の4MHzを選択する。#104の判定結果が否定(前回輝度値10以上)の場合、#106に進む。#106では、撮影レンズの焦点距離fが“135mm”以上かどうかを判別する。135mm以上のレンズで太陽などを測光しようとすると、倍率が大きいためにスミアやブルーミングが起きやすくなるからである。135mm以下ではほとんど問題ないので#109へ進む。135mm以上であれば、#107に進み、開放絞り値F0が“2”より小さいか、すなわちF0が“2”よりも明るいかどうかを判別する。F0が“2”よりも暗い場合には問題ないので#109へ進み、そうでない場合にはスミアやブルーミングを防止し、測光上限を上げるために、クロック信号として16MHzを選択する。続いて、#110ではCCD13を用いて被写界の測光を行う。ここで、クロック信号が16MHzの場合には最小蓄積時間は8μSであり、4MHzの場合には32μSとなる。測光が終了すると、#111により公知の手法を用いて露出演算を行い適正露出値を算出する。#112では、不図示のシャッタ釦が全押しされたかどうかを判別し、その場合には#113へ進み、適正露出値に基づいて露出制御を行う。#114では、半押しタイマーがタイマー切れであるかどうかを判別し、タイマー切れの場合にはプログラムを終了し、再起動待ちとなるが、そうでない場合には#102へ戻って同様の処理を繰り返す。
【0035】
本実施例では、マイクロプロセッサ12の動作クロックに比例してCCD13へのクロックφMCKを変化させるようにしたが、マイクロプロセッサ12の処理速度が充分速く、その動作クロックを低い方に切り替えてもなおCCD13からのタイミング信号Vtim(高速時の)に同期したA/Dに対処できるような場合には、マイクロプロセッサ12の動作クロックのみを切り替え、CCD13へのクロックφMCKは一定とすることも可能である。このためには、クロック切り替えと同時に分周回路121の分周比の切り替えを行なえばよい。例えば上記の例では、選択した動作クロックを常に8分周してφMCKを生成したが、16Hzから4MHzへ切り替えるときに、動作クロックの分周比を2分周に切り替えるようにする。このための具体的な回路構成は図示しないが、当業者には明らかであろう。
【0036】
図6〜8に、本発明の第2実施例を示す。図6は第2実施例の構成を示すブロック図である。第1実施例と同様の部分は同一番号がつけられており、これについては説明を省略する。
【0037】
第2実施例では、マイクロプロセッサが2個用いている。すなわち、第1MPU16と、第2MPU17とを備える。第2MPU17は、クロック発生手段である第3クロック発生回路15によって動作し、カメラ内の測光以外のすべての制御を行なうと同時に、第1MPU16外部のクロックの切り替えスイッチ18の切り替え制御を行なう。第3のクロック発生回路15のクロック周波数としては、例えば2〜4MHzで充分である。第1MPU16は、測光関連の演算のみを行うマイクロプロセッサであり、第1実施例と同様CCD13の蓄積、測光値の読み出し、及び適正露出値演算を行う。第1MPU16の動作クロックは、第1クロック発生回路10からの16MHzのクロック信号または第2クロック発生回路からの4MHzのクロック信号であり、第2MPU17の制御の基で、スイッチ18により切り替えられている。なお、本実施例では、半押しタイマー切れ時の第1のマイクロプロセッサ16はスリープモードである必要がないので、32KHzのクロックは利用していない。第2のマイクロプロセッサでは、スリープモードを採用してもよいが、図では示していない。第1および第2のマイクロプロセッサ16、17の内部構成は図12に示したものと同等のものが利用できる。ただし、いずれのマイクロプロセッサもクロック切り替え機能を内蔵する必要がなく、第2のマイクロプロセッサはより低周波数で動作するものでよいので、全体として第1の実施例よりコスト低減が図れる。
【0038】
図7は、第2MPU17の処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。不図示のシャッタ釦が半押しされることによりカメラの電源が入り本プログラムが起動される。図5のフローチャートと異なる部分のみ説明を加える。#210で、クロックが変更になったと判定された場合には、誤動作を防止するために#211において第1MPU16のリセット端子を一定時間Lowに落とし第1MPU16をリセットする。これは、クロック変更に伴う第1MPU16の誤動作を防止するためである。#212では、第1MPU16へレンズ内ROM情報を出力するとともに、第1MPU16からは測光データ及び適正露出値を入力する。
【0039】
図8は第1MPU16のアルゴリズムを示すフローチャートである。レリーズボタンの半押しにより電源が入り、本プログラムが起動される。#301では第2MPU17との通信を行い、測光データ、適正露出値を出力し、レンズ内ROMデータを入力する。#302、#303では第1の実施例と同様の手法によりそれぞれ測光及び露出演算を行う。第1MPU16は、半押しタイマーが切れて第2MPU17のプログラムが終了すると同時に電源が切れる様になっている。
【0040】
なお、以上の実施例において、CCD13が受光素子に、第1クロック発生回路10及び第2クロック発生回路11がクロック供給手段に、マイクロプロセッサ12が演算手段に、図5の#103〜#109がクロック周波数制御手段にそれぞれ対応する。また、第2実施例においては、第1MPU16が演算手段に、図6の切り替えスイッチが周波数選択手段にそれぞれ対応する。
【0041】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように本発明によれば、撮影レンズの焦点距離、開放絞り値、測光データ等を基に受光素子の動作周波数を変化させるようにしたので、消費電流を低く押さえながら測光上限を上げると同時にスミアやブルーミングの少ない測光を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】実施例の光学系を示した説明図である。
【図3】実施例の測光素子の分割状態を示す説明図である。
【図4】実施例の受光素子の動作を示すタイミング図である。
【図5】実施例のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施例の構成を示すブロック図である。
【図7】第2の実施例における第2のマイクロプロセッサの処理を示すフローチャートである。
【図8】第2実施例における第1のマイクロプロセッサの処理を示すフローカートである。
【図9】実施例のマイクロプロセッサの消費電流を示したグラフである。
【図10】従来技術を示した説明図である。
【図11】実施例で用いるCCDの構成例を示す説明図である。
【図12】第1の実施例のマイクロプロセッサの内部構成の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 撮影レンズ
2 クイックリターンミラー
3 拡散スクリーン
4 コンデンサレンズ
5 ペンタプリズム
6 接眼レンズ
7 測光用プリズム
8 測光用レンズ
9 受光素子
10 第1クロック発生回路
11 第2クロック発生回路
12 マイクロプロセッサ
13 CCD
14 レンズ内ROM
15 第3クロック発生回路
16 第1MPU
17 第2MPU
101 クロック発生回路
102 マイクロプロセッサ
103 CCD

Claims (6)

  1. クロック信号に同期して被写界からの光を光電変換しその光強度に応じた電気信号を出力する受光素子と、
    該受光素子へ与える前記クロック信号として、第1の周波数のクロック信号および該第1の周波数より低速の第2の周波数のクロック信号のいずれかを選択して供給するクロック供給手段と、
    該クロック供給手段からのクロック信号に応じて前記受光素子から出力される電気信号を受け、該電気信号に基づき被写界の輝度に関する値を算出する演算手段と、
    予め定められた判定基準に基づき、前記クロック供給手段のクロック周波数を選択制御するクロック周波数制御手段とを備え、
    前記演算手段は、前記受光素子からの電気信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器と、該アナログデジタル変換器から得られるデジタル情報に基づいて前記測光値を算出する中央処理装置とを含み、
    前記予め定められた判定基準は、スミア或いはブルーミング現象の発生を判定する基準であり、
    前記クロック周波数制御手段は、前記予め定められた判定基準に基づき前記スミア或いはブルーミング現象が起きると判定された場合には、前記受光素子へ与えるクロック信号として、前記第1の周波数のクロック信号を選択し制御するものであって、カメラの撮影レンズの焦点距離情報を前記判定基準として用いること
    を特徴とするカメラの測光装置。
  2. 請求項において、前記クロック周波数制御手段は、前記撮影レンズの焦点距離が予め定められた値より短い場合に、前記第2の周波数のクロック信号を選択することを特徴とするカメラの測光装置。
  3. クロック信号に同期して被写界からの光を光電変換しその光強度に応じた電気信号を出力する受光素子と、
    該受光素子へ与える前記クロック信号として、第1の周波数のクロック信号および該第1の周波数より低速の第2の周波数のクロック信号のいずれかを選択して供給するクロック供給手段と、
    該クロック供給手段からのクロック信号に応じて前記受光素子から出力される電気信号を受け、該電気信号に基づき被写界の輝度に関する値を算出する演算手段と、
    予め定められた判定基準に基づき、前記クロック供給手段のクロック周波数を選択制御するクロック周波数制御手段とを備え、
    前記演算手段は、前記受光素子からの電気信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器と、該アナログデジタル変換器から得られるデジタル情報に基づいて前記測光値を算出する中央処理装置とを含み、
    前記予め定められた判定基準は、スミア或いはブルーミング現象の発生を判定する基準であり、
    前記クロック周波数制御手段は、前記予め定められた判定基準に基づき前記スミア或いはブルーミング現象が起きると判定された場合には、前記受光素子へ与えるクロック信号として、前記第1の周波数のクロック信号を選択し制御するものであって、カメラの撮影レンズの開放絞り値情報を前記判定基準として用いること
    を特徴とするカメラの測光装置。
  4. 請求項において、前記クロック周波数制御手段は、前記撮影レンズの開放絞り値が予め定められた値より大きい場合に、前記第2の周波数のクロック信号を選択すること
    を特徴とするカメラの測光装置。
  5. 請求項1または3において、撮影レンズ内のデータ記憶手段に格納された少なくとも当該レンズの焦点距離情報および開放絞り値情報を受信する手段を有すること
    を特徴とするカメラの測光装置。
  6. 請求項1または3において、前記演算手段、前記クロック周波数制御手段、前記クロック供給手段は、マイクロプロセッサに内蔵され、前記クロック供給手段は、当該マイクロプロセッサに外部から供給される異なる周波数の外部クロック信号のうちの1つを予め定めた分周比で分周した信号を前記第1または第2のクロック信号として前記受光素子へ供給すること
    を特徴とするカメラの測光装置。
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