JP3734595B2 - コーティングフィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い酸素ガスバリア性を付与することが可能なコーティングフィルム、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、食生活の高度化・食品の多様化等に起因して、食品等の被包装物を、より長期にわたって変質や腐敗等を防止しつつ保存することの必要性が、年々高まりつつある。このような状況に伴い、包装材料に使用されるべきプラスチックフィルムに対しても、従来と比べて格段に高いガスバリア性が要求されるようになって来ている。
【0003】
従来より、プラスチックフィルムにカスバリア性を付与する場合には、該フィルム上にガスバリア性の樹脂層を形成することが行われてきた。典型的には、ポリエチレンテレフタレートフィルム等からなる二軸延伸フィルム上に、コーティングによりポリビニルアルコール(PVA)の水溶液等を塗布し、次いで熱処理することにより、ガスバリア性の塗膜を形成することが行われている(特開平6-220221号、特開平7-102083号、特開平7-165942号、特開平8-41218号、等)。このような方法によれば、比較的良好な耐水性を有する酸素ガスバリア性フィルムを得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来のガスバリア性フィルム製造方法を用いた場合には、製造ステップがやや複雑となって生産性向上に難点があり、したがって製造されたフィルムの製造コストが高くなる傾向があった。
【0005】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消したコーティングフィルム、およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明の目的は、耐水性およびガスバリア性を実質的に維持しつつ、しかも生産性よく製造可能なコーティングフィルム、およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意研究の結果、被コーティングフィルムと、該フィルム上に形成されたコート層(少なくともポリマーと、該ポリマーを溶解ないし分散させるための溶媒とを含む)とからなるコーティング・フィルムを、該溶媒を上記コート層中に残存させた状態で延伸することが、上記目的の達成に極めて効果的なことを見いだした。
【0008】
本発明のコーティングフィルムの製造方法は上記知見に基づくものであり、より詳しくは、被コーティングフイルムの少なくとも片面に、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと、ポリアルコール系ポリマーと、水系媒体とを少なくとも含む水系塗工液を塗工して、該被コーティングフイルム上にコート層が配置された塗工フィルムを形成し;
前記コート層中に水系媒体が存在している状態で、該塗工フイルムを加熱下で延伸することを特徴とするものである。
【0009】
更に、本発明によれば、溶融押出された被コーティングフイルムの少なくとも片面に、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと、ポリアルコール系ポリマーと、水系媒体とを少なくとも含む水系塗工液を塗工して、該被コーティングフイルム上にコート層が配置された塗工フィルムを形成し;
前記コート層中に水系媒体が存在している状態で、該塗工フイルムを加熱下で延伸することを特徴とするコーティングフィルムの製造方法が提供される。
【0010】
更に、本発明によれば、被コーティングフイルムと、その少なくとも片面に配置されたコート層とからなり;且つ、
前記コート層が、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと、ポリアルコール系ポリマーと、水系媒体とを少なくとも含む水系塗工液を塗工した後;
該コート層中に水系媒体が存在している状態で、該塗工フイルムを加熱下で延伸して得られたコート層であることを特徴とするコーティングフィルムが提供される。
【0011】
上記した構成を有する本発明によれば、被コーティングフィルムの後処理(熱固定化処理)と、ガスバリア性層を与えるためのコート層(塗工層)の熱処理とを、実質的に同時に行うことが可能となるため、耐水性およびガスバリア性を実質的に維持するのみならず、ガスバリア性コート層と被コーティングフィルムとの一体性をも向上させることができる。加えて、本発明によれば、このように優れた性質を有するガスバリア性フィルムは、生産性よく製造することができる。
【0012】
従来より、「ポリエステル樹脂の溶融押出し→冷却→未延伸フィルム→加熱ロールによる縦方向延伸→一軸延伸フィルム→従来の水系材料コート→乾燥→テンター(tenter)による横方向延伸→熱固定→二軸延伸コーティングフィルム」のような工程を有する、いわゆる、インラインコート法によるフィルム製造法自体は知られていたが、このようなインラインコート法により得られたフィルムは、一般に、極めて耐水性が悪く、コート層が剥離しやすかった。
【0013】
更には、上記インラインコート法によるフィルムを食品包装用として用いる場合にも、ボイル処理やレトルト処理時に吸水によるフィルムの白化現象、およびこれに起因するガスバリア性の悪化等があったため、包装品のボイル処理やレトルト処理を行なうことは事実上不可能であった。例えば、特公平4-22692号公報は、耐水性に優れたフィルムが開示しているが、フィルムに非常に高い酸素ガスバリア性を付与することが可能なコーティングフィルムの製法は知られていなかった。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ本発明を更に具体的に説明する。以下の記載において量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準とする。
【0015】
(コーティングフイルム)
図1は、本発明のコーティングフィルムの基本的な態様を示す模式断面図たである。図1を参照して、本発明のコーティングフィルム1は、被コーティングフイルム2と、該フィルム1の少なくとも一面上に配置されたコート層3とからなる。
【0016】
(被コーティングフイルム)
本発明においては、被コーティングフィルム上に塗工層を形成した後に、これらの熱処理を行うため、該被コーティングフィルムは、耐熱性樹脂からなるフィルムであることが好ましい。
【0017】
本発明において、上記「耐熱性樹脂」は、200〜380℃の結晶融点、または200〜380℃のビカット軟化温度の少なくとも一方を有する熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱処理のラティチュード(許容範囲)を広くする点からは、上記の結晶融点は210〜380℃(更には220〜380℃)の範囲にあることが好ましい。また、上記ビカット軟化温度は、210〜380℃(更には220〜380℃)の範囲にあることが好ましい(このような結晶融点またはビカット軟化温度の詳細については、例えば、特開平7−266441号公報を参照することができる)。
【0018】
結晶融点が200℃未満あるいはビカット軟化温度が200℃未満では、熱処理を行う際に、被コーティングフィルムを構成する熱可塑樹脂が波打つ等の変形、熱処理用の熱ロールへの粘着、あるいは該フィルム自体の熱劣化等が生ずるおそれが増大する。
【0019】
このような熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などが好適に使用可能である。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが好ましい。ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612などが好ましい。
【0020】
(結晶融点/ビカット軟化温度の測定方法)
上記した熱可塑性樹脂の結晶融点は、示差走査熱量計(DSC;例えば、パーキンエルマー社製、商品名:DSC−7)を用い、試料を25℃からTx℃まで10℃/分で昇温させた後、25℃まで急冷させ、再度Tx℃まで10℃/分で昇温させた際の結晶融解ピーク温度をいう。ここに、上記「Tx」℃とは、25℃から400℃まで10℃/分で昇温させた際の結晶融解ピーク温度Tp℃に、「30℃」を加えた温度を意味する。
【0021】
Tx(℃)= Tp(℃)+30℃
一方、上記「ビカット軟化温度」は、ASTM (American Society for Testing Materials)D−1525に基づいた測定により求めることができる。すなわち、被測定試料を、予想される軟化温度より50℃低い温度から、毎時間50℃の割合で加熱昇温し、断面1×1mmの正方形状、または直径1mmの円形断面の鋼針に1kgの負荷をかけた際に、該針の先端が垂直に1mm試料中に侵入する温度を、ビカット軟化温度とする(「化学大辞典」第7巻第304頁、(1964年)共立出版を参照)。
【0022】
(水系塗工液)
本発明において、上記した被コーティングフィルム上にコート層を形成する水系塗工液は、(メタ)アクリル酸系ポリマーと、ポリアルコール系ポリマーと、水系媒体とを少なくとも含む水溶液または水系分散液である。これらの水溶液または水系分散液は、溶液、懸濁液、コロイドあるいはラテックス等の状態で使用することができる(以下に述べる水系塗工液の各成分の詳細については、例えば、特願平8−41218号公報を参照することができる)。
【0023】
(ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマー)
ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーは、カルボキシル基を1分子内に2個以上含有するポリマーである。ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーの具体例としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体、或いはこれらの混合物等が挙げられる。
【0024】
中でも、アクリル酸のホモポリマー、メタアクリル酸のホモポリマー、またはアクリル酸とメタアクリル酸との共重合体が好適に使用可能である。特に、アクリル酸のホモポリマー、またはアクリル酸とメタアクリル酸との共重合体であって、該共重合体を構成するアクリル酸のモル数がメタアクリル酸のモル数より多い共重合体が、ガスバリア性の点で特に好適に使用できる。
【0025】
本発明に使用可能なポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーの分子量は、特に制限されないが、コート層を形成する際の塗工溶液の塗工性の点からは、数平均分子量が1,000〜4,000,000(更には1,000〜1,000,000)の範囲のものが好適に使用可能である。
【0026】
本発明で使用可能なポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーは、ポリ(メタ)アクリル酸部分中和物であってもよい。このようなポリ(メタ)アクリル酸部分中和物は、前記ポリ(メタ)アクリル酸を適当なアルカリ、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物やアンモニア水で適宜中和することによって得ることが出来る。ポリ(メタ)アクリル酸部分中和物の中和度は、後述するような樹脂Aからなる熱水難溶性樹脂層を形成する際の生産性の観点からは、0を越え20%以下(更には0を越え18%以下、特に1%以上15%以下)であることが好ましい。ここで「中和度」は以下の式により求められる。
【0027】
中和度=(A/B)×100(%)
A:部分中和されたポリ(メタ)アクリル酸1g中の、中和されたカルボキシル 基のモル数。
【0028】
B:部分中和されるべき(メタ)アクリル酸1g中の、部分中和前のカルボキシル基の全モル数。
【0029】
上記した「カルボキシル基のモル数」は、アクリル酸については、アクリル酸のモノマー単位である分子量72g/モルを用いて、アクリル酸系ポリマーの質量からモル数を求め、メタクリル酸については、メタクリル酸のモノマー単位である分子量86g/モルを用いて、メタクリル酸系ポリマーの重量からモル数を求めるものとする。
【0030】
(ポリアルコール系ポリマー)
ポリアルコール系ポリマーとは、1分子内に2個以上の水酸基を持つポリマーである。このポリアルコール系ポリマーの具体例としては、ポリビニルアルコール、糖類等が挙げられる。
【0031】
(ポリビニルアルコール)
ポリビニルアルコールとしては、従来より公知のものを用いることが可能であるが、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとの組み合わせにおいて好適な酸素バリア性を発揮する点からは、ケン化度が通常95%以上であって、平均重合度が300〜2500(更には、300〜1500)の範囲のものが好適に使用可能である。
【0032】
(糖類)
一方、上記した「糖類」の具体例としては、単糖類、オリゴ糖類、多糖類やそれらの還元性末端をアルコール化して得られる糖アルコール類、更に、前記それぞれを化学修飾してなるものが挙げられる。ポリビニルアルコール同様、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとの組み合わせにおいて好適な酸素バリア性を発揮する点からは、マルトオリゴ糖、水溶性澱粉、それらの糖アルコール、ソルビトール、デキストリン、プルラン等が更に好適に使用可能である。
【0033】
(組成比)
また、本発明に用いる水系塗工液を得るために必要な、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸部分中和物の群からなるポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコール系ポリマーの組成比(質量比)は、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマー:ポリアルコール系ポリマー=95:5〜10:90の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマー:ポリアルコール系ポリマー=90:10〜20:80の範囲であり、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマー:ポリアルコール系ポリマー=90:10〜40:60の範囲にあることが更に好ましい。
【0034】
(水系媒体)
本発明において、上記「水系媒体」は、水または含水媒体(aqueous medium)の両者を包含する。後者の含水媒体の場合には、ポリマーの溶解性の点からは、水を30%以上(更には50%以上)含有する媒体であることが好ましい。
【0035】
含水媒体の場合、水と組み合わせるべき媒体は、水と相溶性がある(compatible)媒体である限り特に制限されない。このような水と相溶性の媒体の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等が挙げられる。
【0036】
(水系媒体の存在率)
水系媒体の存在率は、水系塗工液(溶液または分散液)を構成するポリマー固形分(ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマー+ポリアルコール系ポリマー)の重量をAグラムとし、水系媒体の重量をBグラムとした場合に、該水溶液又は水系分散液中の水系媒体の重量百分率、すなわちC=[B/(A+B)]×100(%)で定義する。
【0037】
上記存在率Cの範囲は、被コーティングフイルム上にコート層が配置された塗工フィルムを延伸する直前の状態で、0.1〜99%、更には 1〜97%(特に5〜95%)であることが好ましい。該存在率が 0.1%より小さいとコート層の延伸が困難となり、(熱処理後の)コート層表面のひび割れが発生し易くなる。他方、該存在率が99%を越えると、コート層の乾燥効率が低下する。
【0038】
(塗工厚み)
本発明においては、水系塗工液を被コーティングフィルム上に塗工した直後の状態(wet)における塗工厚み(wet)は、0.4〜2000μm、更には0.4〜600μm(特に2〜100μm)であることが好ましい。他方、該塗工層を、加熱下で延伸した際の塗工厚み(dry)は、0.1〜100μm、更には0.1〜30μm(特に0.5〜5μm)であることが好ましい。これらの2種類の塗工厚みの比率(wet/dry)は、0.004〜20000、更には0.01〜6000(特に0.4〜200)あることが好ましい。
【0039】
(添加剤)
上記したように、本発明において用いる水系塗工液は、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと、ポリアルコール系ポリマーと、水系媒体とを少なくとも含むが、必要に応じて、その他の添加剤を更に含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤(染料ないし顔料)、無機塩等の公知の添加剤が挙げられる。該無機塩としては、例えば、次亜リン酸ナトリウム等を添加することが特に好ましい。該無機塩の添加量は、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと、ポリアルコール系ポリマーとの合計量(100重量部)に対して、20重量部以下であることが好ましい。
【0040】
中でも、熱処理後のコート層のひび割れを効果的に防止する点からは、上記水系塗工液は可塑剤を含有することが好ましい。このような可塑剤は、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと、ポリアルコール系ポリマーとの合計100重量部に対して、1〜50重量部、更には1〜40重量部(特に1〜30重量部)程度含まれることが好ましい。
【0041】
このような可塑剤としては、公知の可塑剤から適宜選択して使用することが可能である。該可塑剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、エリトリトール、グリセリンを例示することができる。これらは必要に応じて、混合物で用いてもよい。これらの中では、グリセリンや、ソルビトールは、カスバリア性や製造性などの点で好ましいものである。
【0042】
(塗工厚みの測定方法)
上記した塗工厚み(wet)は、塗工速度を一定とした際の、単位時間における塗工液の「平均減少量(体積)」Vを、単位時間における塗工面積(塗工巾×フィルムの移動距離)Sで除した値(V/S)として計算できる。
【0043】
他方、上記した塗工厚み(dry)は、該厚みが5μmを越える場合には、 オリンパス光学工業(株)製、透過ノルマルスキー微分干渉顕微鏡を用い、フィルム断面から実測した値を用いる。また、該厚みが5μm以下の場合には、大塚電子(株)製、瞬間マルチ測光システムMCPD-2000を用いて測定した値を用いる。
【0044】
<微分干渉顕微鏡の測定条件>
上記した透過ノルマルスキー微分干渉顕微鏡を用いた厚み測定においては、下記の測定条件が好適に使用可能である。
【0045】
厚さ0.1〜1mmの範囲のフィルム断面片を作成し、透過光により被コーティングフィルムと、コート層とを識別する。
【0046】
<マルチ測光システムの測定条件>
上記した瞬間マルチ測光システムを用いた厚み測定においては、下記の測定条件が好適に使用可能である。
【0047】
光学的反射干渉法に基づき、450〜650nmの測定波長領域で測定する。
【0048】
(水系塗工液の粘度)
本発明においては、水系塗工液を被コーティングフィルム上に塗工する直前の状態における該塗工液は、下記の粘度を有することが好ましい。ここに、下記粘度としては、ハーケ社製ビスコテスター VT-500(サーレ型粘度計)を用いて、温度25℃、シェアレート(剪断速度)200s-1における粘度を測定した値を用いる。
【0049】
上記塗工液は、測定温度25℃、シェアレート200s-1において、2〜12000mPa・s、更には5〜5000mPa・s(特に20〜1000mPa・s)の粘度を有することが好ましい。
【0050】
上記した好適な粘度は、水系塗工液を構成する固形分の濃度によっても、若干異なる。
【0051】
(1)濃度(固形分)5%の場合、
好ましい粘度:2〜50mPa・s、更には3〜20mPa・s、特に5〜15mPa・s;
(2)濃度(固形分)10%の場合、
好ましい粘度:5〜200mPa・s、更には10〜100mPa・s、特に20〜50mPa・s;
(3)濃度(固形分)15%の場合、
好ましい粘度:30〜600mPa・s、更には50〜400mPa・s;
特に70〜250mPa・s
(4)濃度(固形分)20%の場合、
好ましい粘度:100〜3000mPa・s、更には200〜2000mPa・s、特に300〜1000mPa・s;
(5)濃度(固形分)25%の場合、
好ましい粘度: 1000〜12000mPa・s、更には1500〜10000mPa・s、 特に2000〜5000mPa・s。
【0052】
(塗工速度)
本発明における水系塗工液の塗工速度(ライン速度)は、1〜500m/min、更には10〜200m/min、特に30〜150m/minであることが好ましい。
【0053】
(塗工方法)
本発明においては、公知の塗工方法が特に制限なく使用可能であるが、塗工安定性の点からは、該塗工液中の固形分濃度が15%以下の場合には、オフセットグラビア方式が好ましく、また該濃度が10%以上の場合、ダイリップ方式が好ましい。また、塗工面は、被コーティングの片面でも、両面でもよい。
【0054】
(延伸)
延伸は、従来より公知の方法を特に制限なく用いることができる。例えば、該延伸は、1軸方向でも、2軸方向でもよく、また、逐次に行う延伸でも、同時に行う延伸でもよい。
【0055】
本発明においては、逐次延伸の場合には、縦方向(フィルムの走行方向)に延伸後コーティングを行い、次いで、加熱下で横方向(フィルムの走行方向と垂直の方向)に延伸することが好ましい。更に、該フィルムを縦方向に加熱下で延伸してもよい。
【0056】
また、同時延伸の場合は、加熱下で、縦方向および横方向への2方向に同時に延伸すればよい。
【0057】
本発明において、延伸は、被コーティングフィルム上に水系塗工液を塗工したコート層中に水系媒体が存在している状態で加熱下に行われることに特徴がある。
【0058】
本発明においては、フィルムの寸法安定性やガスバリア性の向上等の点からは、前記した「加熱下の延伸」は、塗工フィルムを延伸し、次いで該延伸フィルムを熱処理することにより行うことが好ましい。
【0059】
(延伸装置)
図2に、本発明の延伸に使用可能な延伸装置の一態様を示す模式斜視図を示す。この図2においては、溶融押出された被コーティングフイルムの片面に、上記した水系塗工液を塗工して、該被コーティングフイルム上にコート層が配置された塗工フィルムを形成し;前記コート層中に水系媒体が存在している状態で、該塗工フイルムを延伸し;次いで該延伸フイルムを熱処理する方法(いわゆるインライン・コーティング方法)を示している。
【0060】
図2を参照して、PET樹脂等からなる耐熱性樹脂が、T−ダイ方式等によって溶融押出されて未延伸フィルムが製膜され、次いで、必要に応じて、この未延伸フィルムが、周速の異なる一対のロール間を通す等の手段により縦方向(フィルムの走行方向)に延伸される。
【0061】
更に、縦方向に延伸されたフィルム上には、水系塗工液が塗工されて、該被コーティングフイルム上にコート層が配置された塗工フィルムが形成される。次いで、テンター等の延伸手段により、該塗工フィルムは、加熱下に横方向(フィルムの走行方向と垂直方向)に延伸され、更により高温で熱処理されて、上記コート層にガスバリア性が付与される。
【0062】
(延伸倍率)
本発明において、被コーティングフイルム上にコート層が配置された塗工フィルムを延伸する際の延伸倍率(面積倍率)、すなわち延伸後フィルム面積を延伸前のフィルム面積で除した値は、1.2〜25倍(更には1.2〜16倍)が好ましい。
【0063】
(延伸時の加熱条件)
本発明において、コーティングフィルムを延伸処理する際の加熱条件は、該延伸処理を実質的に妨げない条件である限り、特に制限されない。通常は、温度が50〜140℃(更には60〜120℃)程度;加熱時間が1〜180秒(更には3〜120秒)程度であることが好ましい。
【0064】
(コート層の熱処理)
本発明において、コート層の被コーティングフィルムへの熱固定、および該コート層自体の熱処理(ガスバリア性の付与)の目的で熱処理する際の熱処理条件は、これらの処理を実質的に妨げない条件である限り、特に制限されない。通常は、温度が、 100〜380℃、更には 150〜300℃(特に、220〜260℃)程度;熱処理時間が1秒〜10分(更には2秒〜5分)程度であることが好ましい。
【0065】
このようにして熱処理されたコート層には、耐水性が付与される。より具体的には、熱処理されたコート層約1gを80℃の水500cm3中に投入し、10分間浸漬した後、不溶分を回収し、乾燥した場合に、浸漬する前のコート層の重量の80重量%以上(更には85重量%以上)が、不溶分として回収されることが好ましい。
【0066】
(各層の厚さ)
本発明のコーティングフィルムを構成する各層の厚さは、該フィルムに付与すべき各種の物性(例えば、ガスバリア性、強度、シール性)、ないし各層の材料に応じて適宜選択することが可能であるが、通常は、下記のような厚さであることが好ましい。
【0067】
被コーティングフィルム2: 1〜50μm(更には5〜25μm)
ガスバリア層3: 0.1〜5μm(更には0.2〜5μm)
(酸素ガス透過度)
本発明の製法により得られるフィルムの酸素ガス透過度は、100cm3/m2・24h・atm以下、更には50cm3/m2・24h・atm以下、特に10cm3/m2・24h・atm以下(最適には 5cm3/m2・24h・atm以下)であることが好ましい。
【0068】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
【0069】
【実施例】
以下の実施例においては、下記のような評価方法を用いた。
【0070】
(コート層のひび割れの評価)
本発明の製法(インラインコート方式)で得られたフィルムを30cm四方に切り出し、それを目視で観察した。このような観察の結果、コート層表面にひび割れが確認できなかった場合に、「ひび無し」と評価した。
【0071】
(酸素ガス透過度測定)
Modern Control社製の酸素ガス透過度測定装置(商品名:OX-TRAN 2/20)を用いて、30℃、80%RHにおける酸素ガス透過度を測定した。
【0072】
(コート層の耐水性の評価)
本発明の製法(インラインコート方式)で得られた直後のコーティングフィルムの厚みを(Ta)μmとし、そのフィルム を80℃の蒸留水中に投入し、10分間浸漬し、乾燥した後の該フィルムの厚みを(Tb)μmとした場合に、次式:{(Ta−Tb)/Ta}×100 の値が、 0.5以下(更には 0.2以下)であれば耐水性があるとした。
【0073】
製造例1
(コーティング用水溶液の作成例1)
ポリアクリル酸(PAA;和光純薬工業(株)製、商品名:PAA(粘度8〜12Pa・s[30℃]、数平均分子量 150,000)の25wt%水溶液)と、澱粉類(和光純薬工業(株)製、商品名:可溶性澱粉)とを、各々、水で希釈して13wt%水溶液を調整した。このようにして得たPAA水溶液と澱粉類水溶液とを、PAA:澱粉=70:30の重量比(固形分比)になるように混合し、該混合物の13wt%水溶液を調整した。この混合物の13wt%水溶液に、次亜りん酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製、商品名:次亜りん酸ナトリウム一水和物)を、PAAと澱粉類とを合わせた固形分100重量部に対して、10.5重量部(すなわち、PAAと澱粉類とを合わせた固形分重量に対して、10.5PHR)添加して、コーティング用水溶液を調製した。
【0074】
製造例2
(コーティング用水溶液の作成例2)
ポリアクリル酸(PAA;和光純薬工業(株)製、商品名:PAA(粘度8〜12Pa・s[30℃]、数平均分子量 150,000)の25wt%水溶液)と、澱粉類(和光純薬工業(株)製、商品名:可溶性澱粉)とを、各々、水で希釈して13wt%水溶液を調製した。このようにして得たPAA 13wt%水溶液 100重量部に対して、水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製、試薬一級品)0.43重量部を加え、溶解して中和度10%の部分中和PAA(PAANa)水溶液を調製した。
【0075】
得られたPAANa水溶液と、上記澱粉類水溶液(13wt%)とを、PAANa:澱粉=70:30の重量比(固形分比)になるように混合し、混合物の13wt%水溶液(コーティング用水溶液)を調製した。
【0076】
製造例3
(コーティング用水溶液の作成例3)
ポリアクリル酸(PAA;和光純薬工業(株)製、商品名:PAA(粘度8〜12Pa・s[30℃]、数平均分子量 150,000)の25wt%水溶液)と、PVA(クラレ(株)製、商品名:ポバール105)とを、各々、水で希釈して13wt%水溶液を調製した。このようにして得たPAA 13wt%水溶液100重量部に対して、水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製、試薬一級品)0.43重量部を加え、溶解して中和度10%の部分中和PAA(PAANa)水溶液を調製した。
【0077】
得られたPAANa水溶液と、上記のPVA水溶液(13wt%)とを、とを、PAANa:PVA=70:30の重量比(固形分比)になるように混合し、混合物の13wt%水溶液(コーティング用水溶液)を調製した。
【0078】
製造例4
(コーティング用水溶液の作成例4)
製造例2で調製したコーティング用水溶液に、可塑剤としてグリセリン(和光純薬工業(株)製、試薬特級品)を、PAANaと澱粉類とをあわせた固形分100重量部に対して、5重量部添加して、コーティング用水溶液を調製した。
【0079】
製造例5
(コーティング用水溶液の作成例5)
製造例4で用いたグリセリンに代えて、ソルビトール(和光純薬工業(株)製、D一ソルビトール)を用いた以外は、製造例4と同様にして、コーティング用水溶液を調製した。
【0080】
製造例6
(コーティング用水溶液の作成例6)
製造例3のコーティング水溶液に、可塑剤としてグリセリン(和光純薬工業(株)製、試薬特級品)をPAANaとPVAとをあわせた固形分100重量部に対して、5重量部添加して、コーティング用水溶液を調製した。
【0081】
製造例7
(インラインコートフィルムの製造)
PET樹脂(東洋紡績(株)製、商品名:ユニペット RT-580)を270〜300℃でTダイ方式にて溶融押出した後、15℃の冷却ロールで冷却して厚さ120μmの未延伸フィルムを製膜し、この未延伸フィルムを周速の異なる87℃の一対のロール間で、縦方向(フィルム走行方向)に3倍延伸した。
【0082】
更に、この一軸延伸フィルム上に前記の製造例1〜3で得たそれぞれのコーティング用水溶液をオフセットグラビア方式で塗布(塗布量(固形分):6g/m2)し、(株)市金製のテンターで90℃の熱風で加熱しつつ横方向(フィルム走行方向と垂直の方向)に3倍延伸し、さらに、240℃で40秒間熱処理し、厚さ13μmの二軸延伸コーティングPETフィルムを得た。
【0083】
[実施例1]
上記の製造例1で得たコーティング用水溶液を使用し、上述した方法でインラインコートフィルムを製造した。
【0084】
この方法により得られた、二軸延伸コーティングPETフィルムは、コート層に「ひび割れ」は認められず、その酸素ガス透過度は 0.7cm3/m2・24h・atmと酸素ガスバリア性に優れ、しかもコート層の耐水性に優れていた。また、この製造方法による単位時間当たりの生産性は、非常に高かった。
【0085】
[実施例2]
上記の製造例2で得たコーティング用水溶液を使用し、上述した方法でインラインコートフィルムを製造した。
【0086】
この方法により得られた、二軸延伸コーティングPETフィルムは、コート層に「ひび割れ」は認められず、その酸素ガス透過度が 0.9cm3/m2・24h・atmと酸素ガスバリア性に優れ、しかもコート層の耐水性に優れていた。この製造方法の単位時間当たりの生産性は非常に高かった。
【0087】
[実施例3]
上記の製造例3で得たコーティング用水溶液を使用し、上記のインライ ンコートフィルムを製造した。
【0088】
この方法により得られた、二軸延伸コーティングPETフィルムは、コート層の「ひび割れ」は認められず、その酸素ガス透過度が 1.0cm3/m2・24h・atmと酸素ガスバリア性に優れ、しかもコート層の耐水性に優れていた。この製造方法の単位時間当たりの生産性は非常に高かった。
【0089】
[実施例4]
上記製造例5で得たコーティング用水溶液を使用し、上述した方法でインラインコートフィルムを製造した。この方法により得られた、二軸延伸コーティングPETフィルムは、コート層に「ひび割れ」は認められず、その酸素ガス透過度は5.0cm3/m2・24h・atmと酸素ガスバリア性に優れ、しかもコート層の耐水性に優れていた。また、この製造方法による単位時間当たりの生産性は非常に高かった。
【0090】
[実施例5]
上記製造例6で得たコーティング用水溶液を使用し、上述した方法でインラインコートフィルムを製造した。この方法により得られた、二軸延伸コーティングPETフィルムは、コート層に「ひび割れ」は認められず、その酸素ガス透過度は4.5cm3/m2・24h・atmと酸素ガスバリア性に優れ、しかもコート層の耐水性に優れていた。また、この製造方法による単位時間当たりの生産性は非常に高かった。
【0091】
[実施例6]
上記製造例7で得たコーティング用水溶液を使用し、上述した方法でインラインコートフィルムを製造した。この方法により得られた、二軸延伸コーティングPETフィルムは、コート層に「ひび割れ」は認められず、その酸素ガス透過度は4.0cm3/m2・24h・atmと酸素ガスバリア性に優れ、しかもコ一ト層の耐水性に優れていた。また、この製造方法による単位時間当たりの生産性は非常に高かった。
【0092】
[比較例1]
実施例1で用いた「コーティング用水溶液」を塗布しなかった以外は、実施例1と同様の条件を用いて、二軸延伸PETフィルムを製造した。
【0093】
この製造方法の単位時間当たりの生産性は非常に高かった。しかしながら、この方法により得られた、二軸延伸PETフィルムの酸素ガス透過度は 140cm3/m2・24h・atmと非常に大きく、酸素ガスバリア性フィルムとしては不充分なものであった。
【0094】
[比較例2]
上記の製造例3(コーティング用水溶液の作成例3)で用いたものと同じPVA水溶液を単独で使用した以外は、実施例1と同様の条件を用いてインラインコートフィルムを製造した。
【0095】
この製造方法の生産性は非常に高く、より得られた二軸延伸コーティングPETフィルムには、コート層の「ひび割れ」は認められなかった。しかしながら、該フィルムの酸素ガス透過度は95cm3/m2・24h・atmと大きく、しかも該コート層の耐水性は全く無いものであった。
【0096】
[比較例3]
上記実施例1のインラインコートフィルムの製造において、実施例1で用いたコーティング用水溶液をオフセットグラビア方式で塗布後、テンター内で、90℃の熱風で絶乾状態(水系媒体の存在率が0%)となるまで乾燥したこと以外は、実施例1と同様の条件でインラインコートフィルムを製造した。この方法により得られた二軸延伸コーティングPETフィルムは、コート層のひび割れが多数確認でき、透明性に劣り、満足なフィルムが得られず、生産性の評価は困難であった。さらに、このフィルムの酸素ガス透過度は、120cm3/m2・24h・atmと非常に大きく、酸素ガスバリア性フィルムとして不充分なものであった。
【0097】
[比較例4]
比較例1で作成された二軸延伸PETフィルムに、実施例1のコーティング用水溶液をオフセットグラビア方式で塗布(塗布量(固形分):2g/m2)後、70〜90℃の熱風でコート層のブロッキングが生じない程度に乾燥し、熱処理前の塗工原反を約300m巻き取った。次いで、得られた原反を、230℃の熱風で30秒間熱処理した。
【0098】
この方法(インラインコート法によらない方法)により得られた、二軸延伸コーティングPETフィルムは、コート層の「ひび割れ」は認められず、酸素ガス透過度が0.8cm3/m2・24h・atmと酸素ガスバリア性に優れ、コート層の耐水性に優れていた。
【0099】
しかしながら、この方法(バッチ処理)では工程が複雑となるのみならず、工業的に見た生産性(単位時間当たりの生産性)は充分ではなく、したがって得られたフィルムの生産コストは高くならざるを得ない。
【0100】
上記実施例・比較例で得られたコーティングフィルムの評価結果を、まとめて下記(表1)に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、 被コーティングフイルムの少なくとも片面に、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと、ポリアルコール系ポリマーと、水系媒体とを少なくとも含む水系塗工液を塗工して、該被コーティングフイルム上にコート層が配置された塗工フィルムを形成し;
前記コート層中に水系媒体が存在している状態で、該塗工フイルムを加熱下で延伸することを特徴とするコーティングフィルムの製造方法が提供される。
【0103】
更に、本発明によれば、上記方法の好適な態様、すなわち、前記コート層中に水系媒体が存在している状態で該塗工フィルムを延伸し、次いで、該延伸フィルムを熱処理するコーティングフィルムの製造方法が提供される。
【0104】
更に、本発明によれば、溶融押出された被コーティングフイルムの少なくとも片面に、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと、ポリアルコール系ポリマーと、水系媒体とを少なくとも含む水系塗工液を塗工して、該被コーティングフイルム上にコート層が配置された塗工フィルムを形成し;
前記コート層中に水系媒体が存在している状態で、該塗工フイルムを加熱下で延伸することを特徴とするコーティングフィルムの製造方法が提供される。
【0105】
更に、本発明によれば、上記方法の好適な態様、すなわち、前記コート層中に水系媒体が存在している状態で該塗工フィルムを延伸し、次いで、該延伸フィルムを熱処理するコーティングフィルムの製造方法が提供される。
【0106】
更に、本発明によれば、被コーティングフイルムと、その少なくとも片面に配置されたコート層とからなり;且つ、
前記コート層が、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと、ポリアルコール系ポリマーと、水系媒体とを少なくとも含む水系塗工液を塗工した後;
該コート層中に水系媒体が存在している状態で、該塗工フイルムを加熱下で延伸して得られたコート層であるコーティングフィルムが提供される。
【0107】
更に、本発明によれば、上記コーティングフィルムの好適な態様、すなわち、前記コート層が、該コート層中に水系媒体が存在している状態で該塗工フィルムを延伸し、次いで、該延伸フィルムを熱処理して得られるコート層であるコーティングフィルムが提供される。
【0108】
本発明によれば、被コーティングフィルムの後処理(熱固定化処理)と、ガスバリア性層を与えるためのコート層の熱処理とを、実質的に同時に行うことが可能となるため、耐水性およびガスバリア性を実質的に維持するのみならず、ガスバリア性コート層と被コーティングフィルムとの一体性をも向上させたフィルムが得られる。加えて、本発明によれば、このような優れた性質を有するガスバリア性フィルムを生産性よく得ることができる。
【0109】
従来の方法、すなわち、樹脂をフィルムに加工、加工後のフィルムに塗工、塗工後の原反を熱処理するといった個々の工程を含む方法では、少なくとも2工程以上が必要となり、工業的に見た単位時間当たりの生産性に劣っていた。
【0110】
これに対して、本発明のインラインコート方式で生産されたフィルムは、樹脂からガスバリア性フィルムといった製品まで一貫して連続的にインラインで生産できるため、工業的に見ても、単位時間当たりの生産性を非常に高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコーティングフィルムの基本的な一態様を示す模式断面図である。
【図2】本発明において、フィルムの溶融押出と連続的に(インラインで)行う態様に使用可能な装置系の一例を示す模式斜視図である。
【符号の説明】
1…コーティングフィルム、2…被コーティングフィルム、3…コート層。
Claims (7)
- 被コーティングフイルムの少なくとも片面に、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと、ポリアルコール系ポリマーと、水系媒体とを少なくとも含む水系塗工液を塗工して、該被コーティングフイルム上にコート層が配置された塗工フィルムを形成し;
前記コート層中に水系媒体が存在している状態で、該塗工フイルムを加熱下で延伸することを特徴とするコーティングフィルムの製造方法。 - 溶融押出された被コーティングフイルムの少なくとも片面に、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと、ポリアルコール系ポリマーと、水系媒体とを少なくとも含む水系塗工液を塗工して、該被コーティングフイルム上にコート層が配置された塗工フィルムを形成し;
前記コート層中に水系媒体が存在している状態で、該塗工フイルムを加熱下で延伸することを特徴とするコーティングフィルムの製造方法。 - 前記加熱下での延伸が、前記塗工フィルムを延伸し、次いで該延伸フイルムを熱処理することにより行われる請求項1または2記載のコーティングフィルムの製造方法。
- 前記熱処理後のコート層が、ガスバリア性の樹脂層である請求項1ないし3のいずれかに記載のコーティングフィルムの製造方法。
- 前記水系媒体が存在している状態での加熱下延伸処理が、横方向(フィルムの走行方向と垂直方向)への延伸である請求項1ないし4のいずれかに記載のコーティングフィルムの製造方法。
- 前記水系媒体が存在している状態での加熱下延伸処理が、横方向(フィルムの走行方向と垂直方向)および縦方向(フィルムの走行方向)への2方向の延伸である請求項1ないし4のいずれかに記載のコーティングフィルムの製造方法。
- 前記水系塗工液が、更に可塑剤を含む請求項1ないし6のいずれかに記載のコーティングフィルムの製造方法。
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