JP3734198B2 - スフィンゴ脂質及びスフィンゴ脂質誘導体の製造方法 - Google Patents

スフィンゴ脂質及びスフィンゴ脂質誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、糖質工学及び細胞工学等に有用なスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体の製造方法に関する。
【0002】
スフィンゴ脂質はスフィンゴ糖脂質、スフィンゴリン脂質、セラミド、を含む長鎖塩基スフィンゴイドを持つ脂質の総称であり、下等動物から高等動物にまで広く分布している。これらスフィンゴ脂質は近年、細胞の増殖、分化誘導、アポトーシス等のような生物活性において重要な役割に関与していることが明らかにされつつある。また、細胞表層の構成成分であることから化粧料等への添加物としても使用されつつある。
スフィンゴ脂質は、共通構造としてスフィンゴイドのアミノ基に不均一な鎖長の長鎖脂肪酸を酸アミド結合したセラミド構造を有している。スフィンゴ脂質の長鎖脂肪酸を修飾あるいは置換したスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体の製造法は、スフィンゴ脂質のスフィンゴイドのアミノ基に酸アミド結合した脂肪酸を欠くリゾスフィンゴ脂質を出発原料として、化学的、酵素的に合成する方法が知られている。
化学的方法としては、リゾ体のアミノ基に以下の様な方法で脂肪酸あるいは脂肪酸誘導体を縮合させる方法がある。例えば、脂肪酸のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル等の脂肪酸活性エステルを用いる方法、脂肪酸とカルボニルジイミダゾールやジシクロヘキシルカルボジイミドなどのカップリング試薬を用いる方法、脂肪酸の無水物を用いる方法、脂肪酸塩化物を用いる方法などが知られている。
酸性糖脂質のリゾ体としてリゾガングリオシドを用いる方法は、メソッズ イン エンザイモロジー(Methods in Enzymology)、第138巻、第319〜341頁(1987)、特開平2−200697号及び特開平7−309888号各公報に報告されている。また、スフィンゴリン脂質のリゾ体としてスフィンゴシルホスホリルコリン(リゾスフィンゴミエリン)を用いる方法が、ジャーナルオブ リピッド リサーチ(Journal of Lipid Research)、第28巻、第710〜718頁(1987)に記載されている。
これらの方法によるとO−アシル化等の副反応が起こる場合があり選択的にN−アシル化された物を得るためには保護基の使用、精製等に煩雑な操作が必要である。また、スフィンゴホスホノリピドの一種セラミドシリアチンやアミノ糖を含むスフィンゴ糖脂質を化学的に脱アシル化して得られるデ−N−アセチルリゾガングリオシドのようにスフィンゴイドのアミノ基以外にアミノ基をもつスフィンゴ脂質のスフィンゴイドのアミノ基だけを選択的にアシル化したいときには保護基の導入、部分的アシル化、アシル化後の部分的脱アシル化といった操作、あるいはデ−N−アセチルリゾガングリオシドをリポソームに取り込ませた後、選択的にN−アシル化する等の煩雑な操作が必要であり困難を伴う。
一方、酵素的合成方法は、国際公開番号WO94/26919号公報に記載されている。この方法は、有機溶媒中でリパーゼにより縮合を行う方法であり、実質的に無水の有機溶媒が必要であり、基質の溶解性により基質が限定される。国際公開番号WO94/26919号公報には、セラミド及びハイブリッドセラミドの酵素的合成方法が記載されているが、反応も特異的なものではなくO−アシル化物の生成が見出されており、また化学的合成法と同様に複数のアミノ基をもつ場合、スフィンゴイドのアミノ基だけに特異的に作用させることは困難である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の化学的あるいは酵素的にスフィンゴ脂質の長鎖脂肪酸を修飾あるいは置換しスフィンゴ脂質あるいはスフィンゴ脂質誘導体を合成する方法は、望ましくない副生成物ができたり、基質が限定されたりするものである。また、従来の方法は、スフィンゴ脂質のスフィンゴイドの2位に酸アミド結合する脂肪酸を欠くリゾスフィンゴ脂質を出発原料として用いる方法であり、目的のスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体を合成するためには、その合成をする前に、まずリゾスフィンゴ脂質を調製する必要があった。
したがって、本発明の目的は、リゾスフィンゴ脂質のみならずスフィンゴ脂質からスフィンゴイドに結合する長鎖脂肪酸の修飾あるいは置換したスフィンゴ脂質あるいはスフィンゴ脂質誘導体を特異的に合成する製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は、スフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体の製造方法に関する発明であって、スフィンゴ脂質と、標識を有し、又は有しない脂肪族カルボン酸とを、スフィンゴリピドセラミドデアシラーゼを用いて酵素的に反応させ、脂肪酸鎖の異なるスフィンゴ脂質あるいはスフィンゴ脂質誘導体を得ることを特徴とする。
本発明の第2の発明は、他のスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体の製造方法に関する発明であって、リゾスフィンゴ脂質と、標識を有し、又は有しない脂肪族カルボン酸とを、スフィンゴリピドセラミドデアシラーゼを用いて酵素的に反応させ、スフィンゴ脂質あるいはスフィンゴ脂質誘導体を得ることを特徴とする。
本発明の第3の発明は、更に他のスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体の製造方法に関する発明であって、少なくとも異なる2種のスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体を、スフィンゴリピドセラミドデアシラーゼを用いて酵素的に反応させ、脂肪酸鎖の交換されたスフィンゴ脂質あるいはスフィンゴ脂質誘導体を得ることを特徴とする。
本発明の第4の発明は、同じくスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体の製造方法に関する発明であって、前記した本発明の第1〜第3の発明におけるスフィンゴリピドセラミドデアシラーゼの代りに、該酵素の生産能を有する微生物を用いて、それと反応原料とを接触させて目的物を得ることを特徴とする。
【0005】
本発明者らは、任意のスフィンゴ脂質あるいはスフィンゴ脂質誘導体の合成法について検討を行った結果、リゾスフィンゴ脂質のスフィンゴイドのアミノ基への脂肪酸の再結合、あるいはスフィンゴ脂質のスフィンゴイドに酸アミド結合する脂肪酸と別の脂肪酸との置換が、スフィンゴ脂質のスフィンゴイドの酸アミド結合に作用しリゾスフィンゴ脂質と脂肪酸に加水分解する酵素によって、任意のスフィンゴ脂質あるいはスフィンゴ脂質誘導体を合成できることを見出し、本発明に到達した。
従来、酵素による逆反応あるいは転移反応は、同時に起こる加水分解反応を抑える必要から受容体に対して供与体を大過剰に添加したり、有機溶媒系で反応を行わなければならなかった。しかしながら、本発明者らは、スフィンゴリピドセラミドデアシラーゼを用いることにより、水溶液中の緩和な条件において、受容体に対して供与体を大過剰添加することなくスフィンゴ脂質あるいはスフィンゴ脂質誘導体を合成できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
本明細書において、スフィンゴ脂質とは、スフィンゴ糖脂質、スフィンゴリン脂質、セラミド、を含む長鎖塩基スフィンゴイドを有する天然物あるいは合成物を単体、あるいはそれらの混合物等が挙げられる。また、本明細書において、リゾスフィンゴ脂質とは、スフィンゴイドのアミノ基に酸アミド結合した脂肪酸を欠くスフィンゴ脂質のN−脱アシル体を示す。
【0007】
本明細書において、脂肪族カルボン酸には、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸はもちろんのこと、それら脂肪酸の炭化水素鎖が、ハロゲン、置換若しくは非置換のアミノ基、オキソ基、水酸基等の官能性基で置換されている酸、あるいは当該炭化水素鎖中に酸素、硫黄、アミノ基を有する酸等の脂肪族性をもつカルボン酸がすべて含まれる。
【0008】
更に、本明細書において、スフィンゴリピドセラミドデアシラーゼとは、スフィンゴ脂質のスフィンゴイドのアミド結合に作用しリゾスフィンゴ脂質と脂肪酸とに特異的に加水分解する酵素を意味する。すなわち、特異的にはスフィンゴ脂質のスフィンゴイドと脂肪酸との酸アミド結合のみを加水分解することを意味する。
その例としては、スフィンゴ糖脂質(ガングリオシド、中性糖脂質)、スフィンゴリン脂質(スフィンゴミエリン)を含むスフィンゴ脂質に幅広く作用する酵素としてシュードモナス属に属する微生物の生産するスフィンゴリピドセラミドデアシラーゼ〔SCDase、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(Journal of Biological Chemistry)、第270巻、第24370〜24374頁(1995)、特開平8−84587号公報〕、ガングリオシドのみに作用する酵素としてノカルディア(Nocardia) 属に属する微生物の生産するガングリオシド セラミダーゼ〔ジャーナル オブ バイオケミストリー(Journal of Biochemistry)、第103巻、第1〜4頁(1988)、特開昭64−60379号公報〕、ロドコッカス(Rhodococcus)属に属する微生物の生産する中性糖脂質のみに作用しリゾ体を生ずる酵素(特開平6−78782号公報)、スフィンゴ糖脂質に作用する酵素としてストレプトミセス(Streptmyces)属に属する微生物の生産するグリコスフィンゴリピドセラミドデアシラーゼ〔バイオサイエンス,バイオテクノロジー,アンド バイオケミストリー(Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry)、第59巻、第2028〜2032頁(1995)、特開平7−107988号公報〕、あるいはセラミドに作用するセラミダーゼ(アシルスフィンゴシンデアシラーゼ、EC3.5.1.23、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第241巻、第3731〜3737頁(1966)、バイオケミストリー(Biochemistry) 、第8巻、第1692〜1698頁(1969)、バイオキミカ エ バイオフィジカ アクタ(Biochimica Biophysica Acta) 、第176巻、第339〜347頁(1969)、サイエンス(Science)、第178巻、第1100〜1102頁(1972)〕等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、これら酵素をコードする遺伝子を用いて得られた組換体の酵素、更に、これら酵素をコードする遺伝子が欠失、付加、挿入若しくは置換された遺伝子を用いて得られる組換体の酵素であっても、スフィンゴ脂質のスフィンゴイドと脂肪酸との酸アミド結合を特異的に加水分解する酵素であれば、本明細書で言うスフィンゴリピドセラミドデアシラーゼに含まれる。
また、該酵素の使用に際しては、該酵素の精製品、該酵素を含む培養液又は粗抽出液を用いることができる。
【0009】
更に、既述のように、前記したスフィンゴリピドセラミドデアシラーゼの代りに、該酵素の生産能を有する微生物を用いてもよい。
本明細書において、スフィンゴリピドセラミドデアシラーゼの生産能を有する微生物とは、上記のスフィンゴリピドセラミドデアシラーゼを生産することができる微生物であれば、特に限定されるものではなく、細菌類、酵母類、放線菌類、糸状菌類、子嚢菌類、担子菌類等の微生物、更には、植物、昆虫、動物等の生体由来の細胞も含まれる。 また、スフィンゴリピドセラミドデアシラーゼ、あるいはその酵素の生産能を有する菌体は、従来周知であるような固体担体上に固定されても良いし、リポソームや逆ミセルに取り込まれても良い。高分子物質により修飾された酵素を用いることもできる。
【0010】
本発明の反応は通常、原料となるスフィンゴ脂質又はリゾスフィンゴ脂質、標識を有し、又は有しない脂肪族カルボン酸、精製酵素、粗抽出液、培養液、微生物のいずれかを含む緩衝液中で進行する。また、微生物の場合、その微生物の培養液中に、原料となるスフィンゴ脂質又はリゾスフィンゴ脂質、当該脂肪族カルボン酸を加えてもよい。また、これら原料の使用量は特に限定されず、その飽和量まで使用できる。通常、当該脂肪族カルボン酸が過剰に存在する状態が望ましいが、本発明においてはスフィンゴ脂質又はリゾスフィンゴ脂質と、脂肪族カルボン酸とのモル比は1:1でも進行し、スフィンゴ脂質又はリゾスフィンゴ脂質が過剰に存在しても良い。
更に、酵素あるいは酵素を生産する微生物の使用量は特に限定されるものではなく、広い範囲から適宜選択でき、例えば出発溶液1ml当り、通常0.1mU以上、より好ましくは3mU〜10U程度使用すればよい。緩衝液としては、pHが5〜9程度の好適な緩衝液を用いれば良く、通常pH6〜7付近の緩衝液中で行うことが望ましい。また、緩衝液中には通常、酵素の活性化あるいは基質の溶解のために界面活性剤を添加するのが好ましい。界面活性剤として胆汁酸系界面活性剤あるいは非イオン性界面活性剤等が使用できる。界面活性剤の添加量は、その酵素の活性化、基質の溶解のため、あるいは生成物が効率よく得られる量で使用すればよく、特に限定されるものではないが、好適には0.01%〜2%の範囲内で添加することが好ましい。また更に、これらの反応液に有機溶媒を添加しても良く、この時の有機溶媒は水溶性有機溶媒でも良く、また不溶性有機溶媒との2相系で反応を行っても良い。有機溶媒添加量は酵素が失活せず生成物が効率よく得られる量であれば良く、特に限定されるものではない。
このようにして生成したスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体は、薄層クロマトグラフィーによって確認できる。
本発明によって得られたスフィンゴ脂質は有機化合物の一般的に用いられるクロマトグラフィーによって単離精製できる。
【0011】
このように本発明により、スフィンゴ脂質の共通部分であるセラミド部分の長鎖脂肪酸の修飾、置換を行いスフィンゴ脂質誘導体の製造方法が提供される。また当該製造方法を用いて任意のスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体を工業的に有利に製造することが可能となる。天然スフィンゴ脂質は一般に長鎖脂肪酸鎖長に多様性があり、均一な長鎖脂肪酸鎖長のスフィンゴ脂質を得ることが困難であった。しかしながら、本発明の長鎖脂肪酸の置換によって、長鎖脂肪酸が均一化されたスフィンゴ脂質を得ることができる。また、スフィンゴ脂質の脂肪酸部分に、発色団を形成する物質、蛍光物質、ビオチン、放射性同位元素等を導入して、標識スフィンゴ脂質を作製することも可能となり、スフィンゴ脂質の細胞内代謝や輸送経路の解明等への応用が可能となる。更に、スフィンゴ脂質のセラミド部分の変換、例えばエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)等の機能性高度不飽和脂肪酸を導入することによって、細胞への浸透性、細胞での代謝、あるいは生物活性を改変した新しいスフィンゴ脂質誘導体を作出でき、医薬、化粧料、細胞工学等への応用ができる。
【0012】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に示すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0013】
実施例1
ガラクトシルスフィンゴシン(シグマ社製)5nmol、[1−14C]ステアリン酸(アマシャム社製)5nmol、0.8%トリトン(Triton)X−100、シュードモナス属由来SCDase[ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第270巻、第24370〜24374頁(1995)、特開平8−84587号公報]150μUを含む50mMの酢酸緩衝液(pH6.0)50μlを37℃で一晩反応させた。
反応液を薄層クロマトグラフィーにより展開し(展開溶媒 クロロホルム:メタノール:0.25%塩化マグネシウム水溶液=65:25:4)、イメージングプレートに露光しBAS1000イメージングアナライザー(富士フィルム社製)でクロマトグラムを得た。この時[1−14C]ステアリン酸と新たに生成したガラクトシルセラミドのバンドだけが検出された。
薄層プレートからガラクトシルセラミドに対応する部分をかき取りクロロホルム:メタノール=2:1(v/v)で抽出した。抽出液を乾固した後、β−ガラクトシダーゼ[ジャック ビーン(Jack bean)由来]16mU 、0.4%タウロデオキシコール酸を含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)10μlに溶解し37℃で一晩、酵素消化を行った。反応液を再び薄層クロマトグラフィーにより展開し(展開溶媒 クロロホルム:メタノール:アンモニア水=90:10:1)、BAS1000イメージングアナライザー(富士フィルム社製)で解析した結果、セラミドと同じRf値を与えるバンドが検出された。また非標識ステアリン酸を用い前述と同様の反応、薄層クロマトグラフィー、抽出操作によって得られた生成物をファースト アトム ボンバードメント−マススペクトル(FAB−MS)分析した結果、ガラクトシルセラミドの親イオンピークに一致するm/z=462のピーク及びセラミドの分子イオンピークに一致するフラグメントイオンピークm/z=548が検出された。以上の結果により、逆反応によりスフィンゴシン部分のアミノ基に脂肪酸が転移されていることが明らかとなった。
【0014】
実施例2
スフィンゴシルホスホリルコリン(リゾスフィンゴミエリン、シグマ社製)50nmol、[1−14C]ステアリン酸5nmol、0.8%トリトンX−100、シュードモナス属由来SCDase150μUを含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)50μlを37℃で一晩反応させた。
反応液を薄層クロマトグラフィーにより展開し(展開溶媒 クロロホルム:メタノール:0.02%塩化カルシウム水溶液=5:4:1)、BAS1000イメージングアナライザー(富士フィルム社製)で解析した。この時[1−14C]ステアリン酸と新たに生成したスフィンゴミエリンのバンドだけが検出された。薄層プレートからスフィンゴミエリンに対応する部分をかき取り抽出した後、乾固し逆反応生成物を得た。生成物をスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus) 由来スフィンゴミエリナーゼ(シグマ社製)35.7μUを含む25mMリン酸緩衝液(pH7.5)20μlに溶解し、37℃で一晩、酵素消化を行った。
反応液を再び薄層クロマトグラフィーにより展開し(展開溶媒 クロロホルム/メタノール/アンモニア水=90:10:1)、BAS1000イメージングアナライザーで解析した結果、セラミドと同じRf値を与えるバンドが検出された。このことから逆反応によりスフィンゴシン部分のアミノ基に脂肪酸が転移されていることが明らかとなった。
【0015】
実施例3 SCDaseによる各種アクセプターに対する逆反応1
[1−14C]ステアリン酸1nmol、リゾスフィンゴ脂質1nmol、0.8%トリトンX−100、シュードモナス属由来SCDase30μUを含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)10μlを37℃で一晩反応させた。得られた反応液を薄層クロマトグラフィーで展開し、イメージングプレートに露光しBAS1000イメージングアナライザー(富士フィルム社製)で反応生成物の定量を行った。その結果を表1に示す。
表1に示したように各種リゾスフィンゴ糖脂質に幅広く作用するのみならずリゾスフィンゴリン脂質、スフィンゴシンをも受容体とし作用することができる。
【0016】
【表1】
Figure 0003734198
【0017】
実施例4 SCDaseによる各種アクセプターに対する逆反応2
N−トリフルオロアセチル化アミノドデカン酸66.6nmol、リゾスフィンゴ脂質33.3nmol、0.3%トリトンX−100、シュードモナス属由来SCDase148μUを含む25mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH11)41.6μlを37℃、48時間反応させた。
得られた反応液を薄層クロマトグラフィーで展開し、スフィンゴ糖脂質はオルシノール硫酸により発色させ、その他のスフィンゴ脂質はクマシーブリリアントブルーにより発色させた後、イメージングデンシトメーター(バイオラッド社製)で反応生成物の定量を行った。その結果を表2に示す。
実施例3と同様に、表2に示したように各種リゾスフィンゴ脂質に幅広く作用するのみならず、スフィンゴシンをも受容体とし作用することができる。
【0018】
【表2】
Figure 0003734198
【0019】
実施例5 SCDaseの逆反応の脂肪酸分子種に対する特異性
ガラクトシルスフィンゴシン(シグマ社製)5nmol、各種非標識脂肪酸5nmol、0.8%トリトンX−100、シュードモナス属由来SCDase150μUを含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)50μlを37℃で一晩反応させた。
得られた反応液を薄層クロマトグラフィーで展開後、オルシノール硫酸により発色しクロマトスキャナーCS9000(島津製作所社製)で定量した。その結果を図1に示す。すなわち、図1はSCDaseの逆反応の脂肪酸分子種に対する特異性を示す図であり、縦軸に脂肪酸、横軸に収率(%)を示す。
【0020】
実施例6 SCDaseによる逆反応の至適pH
ガラクトシルスフィンゴシン1nmol、[1−14C]ステアリン酸1nmol、0.8%トリトンX−100、シュードモナス属由来SCDase30μUを含む10μlの各種緩衝液を37℃で3時間反応させた。この結果を図2に示す。すなわち、図2は逆反応の至適pHを示す図であり、縦軸に分解率(%)、横軸にpHを示す。図中、白四角印は酢酸緩衝液、黒三角印はリン酸緩衝液、黒丸印はグリシン−NaOH緩衝液を示す。
【0021】
実施例7 SCDaseによる各種アクセプターに対する脂肪酸交換反応
[1−14C]ステアリン酸1nmol、スフィンゴ脂質1nmol、0.8%トリトンX−100、シュードモナス属由来SCDase30μUを含む50mM酢酸緩衝液(pH6.0)10μlを37℃で一晩反応させた。
得られた反応液を薄層クロマトグラフィーで展開後、イメージングプレートに露光し、BAS1000イメージングアナライザー(富士フィルム社製)で反応生成物の定量を行った。その結果を表3に示す。
表3に示したようにスフィンゴ脂質に対して幅広く脂肪酸交換反応を行うことが可能である。
【0022】
【表3】
Figure 0003734198
【0023】
実施例8 反応条件の検討
加水分解反応、逆反応、脂肪酸交換反応の条件を検討するために、下記反応条件(A)及び(B)を用い反応を行った。
反応条件(A): シュードモナス属由来SCDase120μU、0.8%トリトンX−100を含む25mMリン酸緩衝液(pH6.0)200μlに、基質として、加水分解反応時には100μM14C−ガラクトシルセラミドを、逆反応時には100μM[1−14C]ステアリン酸と100μMガラクトシルスフィンゴシンを、脂肪酸交換反応時には100μM[1−14C]ステアリン酸と100μMガラクトシルセラミドをそれぞれ含む。
反応条件(B): シュードモナス属由来SCDase120μU、0.1%トリトンX−100を含む25mMリン酸緩衝液(pH7.0)200μlに、基質として、加水分解反応時には100μM14C−ガラクトシルセラミドを、逆反応時には100μM[1−14C]ステアリン酸と100μMガラクトシルスフィンゴシンを、脂肪酸交換反応時には100μM[1−14C]ステアリン酸と100μMガラクトシルセラミドをそれぞれ含む。
上記反応条件において37℃で反応させ、0.25、0.5、1、3、7、21時間経過ごとに各反応液からそれぞれ20μlずつを取り、100℃、5分間加熱し反応を止めた。
得られた反応液を薄層クロマトグラフィーで展開し(展開溶媒 クロロホルム:メタノール:0.02%塩化カルシウム水溶液=5:4:1)、BAS1000イメージングアナライザー(富士フィルム社製)で反応生成物及び未反応物を定量し反応率を算出した。その結果を図3に示す。すなわち、図3は上記反応条件(A)及び(B)でのSCDaseの加水分解反応、逆反応、脂肪酸交換反応の反応率を示す図であり、縦軸に反応率(%)、横軸に反応時間(h)を示す。図中、白丸印は加水分解反応、白四角印は逆反応、白三角印は脂肪酸交換反応の反応率を示す。
この結果、SCDaseの加水分解反応は、反応液が酸性pHで、かつ、高濃度の界面活性剤存在下で優先的に進行し、また、SCDaseの逆反応及び脂肪酸交換反応は、反応液が中性域で、かつ、界面活性剤の濃度が下がると優先的に進行することが明らかとなった。
【0024】
実施例9 14Cセラミドの合成
エタノールに溶解した[1−14C]パルミチン酸(アマシャム社製)100nmol(5.0μCi)とスフィンゴシン200nmolを反応容器に入れ、窒素ガスにより完全に乾固した。その容器に、0.6%トリトンX−100を含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)0.5mlを加え、よくかくはんした後、超音波処理により均一化した。この均一化した溶液に、シュードモナス由来SCDase(1mU/ml)0.5mlを加え、37℃、20時間反応を行った。反応終了後、得られた反応液を遠心濃縮機により乾固し、この乾固した反応物をヘキサン:エーテル:酢酸=50:50:1(v/v)1mlに溶解させ、同溶液にて平衡化したSep−Pak(登録商標)シリカカートリッジに添加し、未反応の[1−14C]パルミチン酸を10mlの同溶液で洗い流した後、クロロホルム:メタノール=2:1(v/v)10mlで14Cセラミドを溶出した。
溶出液は、窒素ガスにより乾固した後、蒸留水に懸濁し、更に超音波処理により均一化した。この均一化した溶液をSep−Pak(登録商標)C18カートリッジに添加した。このカートリッジを蒸留水20mlで洗浄し、メタノール3mlとクロロホルム:メタノール=2:1(v/v)10mlで14Cセラミドを溶出した。
次に、得られた溶出液は窒素ガスにより乾固し、クロロホルム:メタノール:蒸留水=90:10:1(v/v)に溶解した後、同溶液で平衡化したSep−Pak(登録商標)CMカートリッジに添加することにより、未反応のスフィンゴシンを吸着させた。この際、通過画分を窒素ガスにより乾固し、混在脂肪酸及びスフィンゴシン1%以下の精製14Cセラミド66nmol(3.3μCi)を得た。
【0025】
実施例10 アミノセラミド及びその蛍光誘導体の合成
N−トリフルオロアセチル化アミノドデカン酸66.6μmol、スフィンゴシン(シグマ社製)33.3μmol、0.3%トリトンX−100、シュードモナス属由来SCDase148mUを含む25mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH11)41.6mlを37℃、48時間反応させた。
反応終了後、反応液をC18逆相シリカカラムに負荷し、水でカラムを洗浄して脱塩し、クロロホルム:メタノール=2:1(v/v)でN−トリフルオロアセチル化アミノセラミドを溶出した。溶媒を留去後、クロロホルム:メタノール:水=90:10:1に溶かし、Sep−Pak(登録商標)CMカートリッジ(ウォ−ターズ社製)に負荷して未反応のスフィンゴシンを吸着させ、N−トリフルオロアセチル化アミノセラミドを含む非吸着画分を得た。この非吸着画分をSep−Pak(登録商標)QMAカートリッジ(ウォ−ターズ社製)に負荷して、未反応のN−トリフルオロアセチル化アミノドデカン酸を吸着させ、精製されたN−トリフルオロアセチル化アミノセラミドを含む非吸着画分を得た。
得られたN−トリフルオロアセチル化アミノセラミド、1%ナトリウムメトキシドを含むクロロホルム:メタノール=2:1(v/v)20mlを室温で一晩反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、水に懸濁してSep−Pak(登録商標)C18カートリッジ(ウォ−ターズ社製)に負荷し、水でカラムを洗浄して脱塩し、クロロホルム:メタノール=2:1(v/v)でアミノセラミドを溶出した。溶媒を留去後、クロロホルム:メタノール:水=60:30:5に溶かしてSep−Pak(登録商標)CMカートリッジに負荷し、クロロホルム:メタノール:1N HCl=60:30:5で溶出した後、乾固し、精製されたアミノセラミド5.6μmolを得た。
メタノールに溶かした100nmolアミノセラミド70μl、50mMフッ化NBD(シグマ社製)エタノール溶液20μl、トリエチルアミン10μlを60℃で1時間反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、ヘキサン:エーテル:酢酸=50:50:1に溶かしてSep−Pak(登録商標)シリカカートリッジ(ウォーターズ社製)に負荷し、クロロホルム:メタノール=2:1(v/v)で溶出した後、乾固し、精製されたNBDセラミド30nmolを得た。
【0026】
実施例11 蛍光スフィンゴ脂質誘導体NBDセラミドを用いたカブトガニセラミダーゼのスクリーニング
カブトガニ血液を遠心分離して得られた血清10μlと、実施例10で作製したNBDセラミド1nmol、0.5%トリトンX−100を含む50mM酢酸緩衝液(pH5.0)10μlを37℃、18時間反応させた。反応終了後、反応液を薄層クロマトグラフィーにより展開し(展開溶媒 クロロホルム:メタノール:25%アンモニア水=90:20:0.5)、紫外線ランプで検出した。このとき新たに生成したNBDアミノドデカン酸が検出され、カブトガニの血清中にセラミダーゼ活性が検出された。
カブトガニの血清中で確認されたセラミダーゼ活性が本当にセラミダーゼ由来の活性であるかどうか確認するため、このセラミダーゼを精製したところ、ゲルろ過法により分子量約205kDa、至適pH4.5の酸性セラミダーゼであることが分かった。また、このカブトガニセラミダーゼは、N−ステアロイルスフィンゴシン(C18:0、d18:1)を最もよく分解し、長鎖塩基としてスフィンガニンやフィトスフィンゴシンを含むセラミドに対しても活性を有していることが分かった。
このように、これまで存在が知られていなかった無脊椎動物のセラミダーゼが、本発明の製造方法で得た蛍光スフィンゴ脂質誘導体NBDセラミドを用いることにより、その存在が初めて明らかとなり、蛍光スフィンゴ脂質誘導体NBDセラミドがセラミダーゼ活性測定用の基質として有用であることが分かった。
【0027】
実施例12 放射性同位体標識14Cセラミド(C12−14C−Cer)及び蛍光スフィンゴ脂質誘導体NBDセラミド(C12−NBD−Cer)を基質とするB16細胞におけるセラミダーゼ活性測定
6×106 個のB16細胞を10mMリン酸緩衝液200μlに懸濁し、細胞破砕液を調製した。タンパク量はMicroBCATM protein assay reagent(ピアス社製)により定量した。
反応条件1:細胞破砕液10μl(タンパク量50μgに希釈)、基質として実施例10で得たC12−NBD−Cer200pmol又は実施例9で用いたパルミチン酸の代りにラウリン酸を用いて得たC12−14C−Cer100pmol、0.5%トリトンX−100を含む50mM酢酸緩衝液(pH4.0)10μlの酸性条件下。
反応条件2:細胞破砕液10μl(タンパク量50μgに希釈)、基質としてC12−NBD−Cer200pmol又はC12−14C−Cer100pmol、0.5%トリトンX−100を含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)10μlの中性条件下。
反応条件3:細胞破砕液10μl(タンパク量50μgに希釈)、基質としてC12−NBD−Cer200pmol又はC12−14C−Cer100pmol、0.5%トリトンX−100を含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.5)10μlの塩基性条件下。
上記反応条件で、それぞれ37℃、3又は6時間反応を行った。その後、反応液にクロロホルム:メタノール(2:1)100μlを加え反応を止めた。得られた反応液は乾固した後、クロロホルム:メタノール(2:1)に溶解し試料とした。
各試料は薄層クロマトグラフィーで展開し(展開溶媒 クロロホルム:メタノール:25%アンモニア水=90:20:0.5)、遊離した14C脂肪酸はBAS1000イメージングアナライザー(富士フィルム社製)を用い定量し、反応率を算出した。また、遊離したNBD脂肪酸はクロマトスキャナーCS9000(島津製作所社製)を用い、それぞれ定量し、反応率を算出した。その結果を図4に示す。すなわち、図4はB16細胞におけるセラミダーゼの活性測定を比較する図であり、縦軸の上からC12−NBD−Cerを基質とし3時間(3hr)及び6時間(6hr)反応を、C12−14C−Cerを基質とし3時間及び6時間反応を示し、横軸に分解率(%)を示す。
この結果から、B16細胞にはC12−NBD−Cerによく作用するがC12−14C−Cerにあまり作用しないアルカリ性セラミダーゼと、C12−14C−Cerによく作用するがC12−NBD−Cerにあまり作用しない酸性セラミダーゼが存在することが示唆された。
【0028】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、任意のスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体を効率よく安価に調製することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】SCDaseによる逆反応の脂肪酸分子種に対する特異性を示す図である。
【図2】SCDaseによる逆反応の至適pHを示す図である。
【図3】SCDaseの加水分解反応、逆反応、脂肪酸交換反応の反応率を示す図である。
【図4】B16細胞におけるセラミダーゼの活性測定を比較する図である。

Claims (11)

  1. スフィンゴ脂質と、標識を有し、又は有しない脂肪族カルボン酸とを、スフィンゴリピドセラミドデアシラーゼを用いて酵素的に反応させ、脂肪酸鎖の異なるスフィンゴ脂質あるいはスフィンゴ脂質誘導体を得ることを特徴とするスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体の製造方法。
  2. リゾスフィンゴ脂質と、標識を有し、又は有しない脂肪族カルボン酸とを、スフィンゴリピドセラミドデアシラーゼを用いて酵素的に反応させ、スフィンゴ脂質あるいはスフィンゴ脂質誘導体を得ることを特徴とするスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体の製造方法。
  3. 少なくとも異なる2種のスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体を、スフィンゴリピドセラミドデアシラーゼを用いて酵素的に反応させ、脂肪酸鎖の交換されたスフィンゴ脂質あるいはスフィンゴ脂質誘導体を得ることを特徴とするスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体の製造方法。
  4. スフィンゴ脂質と、標識を有し、又は有しない脂肪族カルボン酸とを、スフィンゴリピドセラミドデアシラーゼの生産能を有する微生物と接触させ、脂肪酸鎖の異なるスフィンゴ脂質あるいはスフィンゴ脂質誘導体を得ることを特徴とするスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体の製造方法。
  5. リゾスフィンゴ脂質と、標識を有し、又は有しない脂肪族カルボン酸とを、スフィンゴリピドセラミドデアシラーゼの生産能を有する微生物と接触させ、スフィンゴ脂質あるいはスフィンゴ脂質誘導体を得ることを特徴とするスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体の製造方法。
  6. 少なくとも異なる2種のスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体を、スフィンゴリピドセラミドデアシラーゼの生産能を有する微生物と接触させ、脂肪酸鎖の交換されたスフィンゴ脂質あるいはスフィンゴ脂質誘導体を得ることを特徴とするスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体の製造方法。
  7. スフィンゴリピドセラミドデアシラーゼが、シュードモナス(Pseudomonas)属の細菌の生産する酵素である請求項1〜6ののいずれか1項に記載の製造方法。
  8. スフィンゴ脂質と、標識を有し、又は有しない脂肪族カルボン酸を添加した培地中で微生物を培養することを特徴とする請求項4記載の製造方法。
  9. リゾスフィンゴ脂質と、標識を有し、又は有しない脂肪族カルボン酸を添加した培地中で微生物を培養することを特徴とする請求項5記載の製造方法。
  10. 少なくとも異なる2種のスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体を添加した培地中で微生物を培養することを特徴とする請求項6記載の製造方法。
  11. 微生物がシュードモナス属に属する細菌である請求項4〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
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