JP3733216B2 - サンプル分注装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、血液や尿等のサンプルを分析する装置に用いられるサンプル分注装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、生化学等の自動分析装置においては、分注ポンプおよびこれに連結されたサンプルプローブを有するサンプル分注装置を設け、サンプルプローブをサンプル吸引位置、サンプル吐出位置およびプローブ洗浄位置に移動可能として、分注ポンプを吸排動作させることにより、サンプル容器から所定量のサンプルを反応容器に分注するようにしている。ここで、自動分析装置においては、サンプルとして、通常、血清あるいは血漿が使用されるが、このようなサンプル中にはフィブリン等の固形物が存在するため、その固形物がサンプルプローブやそれに連結されている管路に詰まる場合がある。このように、サンプルプローブに詰まりが生じると、所定量のサンプルを反応容器に分注できなくなり、分析結果に重大な悪影響を及ぼすことになる。
【0003】
このような不具合を解決するものとして、例えば、サンプルプローブを含む管路に圧力センサを設け、その出力と所定の閾値との比較に基づいてサンプルプローブの詰まりを検知するようにしたもの(実公平2−45818号公報)や、圧力センサの出力を所定の時間間隔でモニタして積算し、その積算値と基準値との比較に基づいてサンプルプローブの詰まりを検知するようにしたもの(特公平6−19362号公報)や、圧力センサの出力を2次微分し、その2次微分信号と所定の閾値との比較に基づいてサンプルプローブの詰まりを検知するようにしたもの(特開平7−198726号公報)が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した圧力センサを設けたサンプル分注装置において、サンプルの分注動作中に圧力センサの出力をモニタすると、サンプルの粘性やプローブの詰まりの度合いに応じて、例えば、図1(a)〜(d)に示すような圧力波形が得られる。なお、図1において、横軸は時間を示し、縦軸は圧力で、上方は正圧、下方は負圧を示している。また、T1はサンプルの吸引動作期間、T2は吸引したサンプルの吐出動作期間、T3はサンプル吐出後のプローブの洗浄動作期間をそれぞれ示している。
【0005】
ここで、図1(a)は、正常なサンプル分注動作中の圧力波形を示している。この正常な分注動作においては、期間T1では負圧に、期間T2では正圧となり、分注ポンプが停止している間は大気圧レベルに戻る。図1(b)は、髄液等の血清以外の体液や、透析患者の血清等で、単に粘性の高いサンプルの分注動作中の圧力波形を示している。この場合、期間T1での負圧は、正常なサンプルに比べて大きくなり、期間T1後も負圧が残るが、一定時間後には大気圧に戻っている。したがって、この場合には、必要なサンプル量がプローブ内に吸引される。図1(c)は、吸引中にフィブリンを吸引してサンプルプローブがやや閉塞した場合の分注動作中の圧力波形を示している。この場合には、期間T1後も負圧が残り、期間T2後まで大気圧レベルに戻らないため、幾らかのサンプルは反応容器内に分注されてはいるが、データの信頼性は失われることになる。また、図1(d)は、吸引中にフィブリンを吸引してサンプルプローブが完全に閉塞した場合の分注動作中の圧力波形を示している。この場合には、期間T1後も、期間T2後も圧力が大気圧レベルに戻らないため、反応容器には全くサンプルが分注されないことになる。
【0006】
上記のように、サンプル中には、図1(b)に示されるように、単に粘性が高いだけで、吸引および吐出動作が正常に行われるものもあり、逆に、期間T1終了間際に詰まりが生じた場合には、期間T1における負圧自体は大きくならないが、分注不良になる場合もある。
【0007】
このため、期間T1中の負圧のピーク値、期間T1中の一定のタイミングでの圧力レベル、あるいは期間T1中の負の圧力信号の積分値に基づいてプローブの詰まりを判別すると、図1(b)に示すような、単に粘性が高いサンプルで、正常に分注される場合もプローブ詰まりと判別される場合がある。このような場合、自動分析装置においては、その分注サンプルの分析項目に対する分析結果の信頼性が失われることから、通常は再検を実施することになる。その結果、図1(b)のように、正常に分注されたサンプルの分析項目も再検の対象となって、分析装置の処理能力が低下すると共に、サンプルや試薬を無駄に使ってしまうという問題が生じることになる。
【0008】
この発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、サンプルプローブの詰まりを正確に判別でき、自動分析装置に組み込んだ場合には、処理能力の低下、およびサンプルや試薬の無駄を最小限に抑えることができるサンプル分注装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明は、分注ポンプおよびこれに連結したサンプルプローブを有し、前記分注ポンプを吸排動作させて前記サンプルプローブによりサンプル容器内のサンプルを吸引・吐出する分注手段を備えたサンプル分注装置において、
前記サンプルプローブを含む管路の圧力を検出する圧力センサと、
この圧力センサの出力に基づいて、前記分注手段による前記サンプル容器から予め一定量余分にサンプルを吸引した後に該吸引した余分のサンプルを当該サンプル容器に吐出する動作の終了の、所定のタイミングにおける圧力が、所定の圧力値よりも低いときに、前記サンプルプローブの詰まりと判別する判別手段とを有することを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
先ず、この発明の実施の形態の説明に先立って、この発明とともに開発したサンプル分注装置の参考例について説明する。この参考例に係るサンプル分注装置は、分注ポンプおよびこれに連結したサンプルプローブを有し、前記分注ポンプを吸排動作させて前記サンプルプローブによりサンプル容器内のサンプルを吸引・吐出する分注手段を備えたサンプル分注装置において、
前記サンプルプローブを含む管路の圧力を検出する圧力センサと、
この圧力センサの出力に基づいて、前記分注手段によるサンプル吸引動作終了後で、サンプル吐出動作開始前の所定のタイミングにおける圧力が、所定の圧力値よりも低いときに、前記サンプルプローブの詰まりと判別する判別手段とを有することを特徴とするものである。
【0011】
上記参考例に係るサンプル分注装置によれば、判別手段は、分注手段によるサンプル吸引動作終了後で、サンプル吐出動作開始前の所定のタイミングにおける圧力が、所定の圧力値よりも低いときに、サンプルプローブの詰まりと判別するので、図1(a)に示すように、正常にサンプルが分注された場合は勿論のこと、図1(b)に示すような場合にもプローブ詰まりと判別されることはなく、図1(c)および(d)のような場合のみプローブ詰まりと判別されることになる。
【0012】
すなわち、図1(a)に示す圧力波形と、図1(b)に示す圧力波形とを比較すると、図1(b)では、サンプルの粘性が高いために、期間T1中の負圧が大きくなり、期間T1後も負圧が元に戻るまでに若干の時間がかかる。しかし、期間T1から一定時間経過後には、元の圧力に戻っている。この場合には、上述したように、サンプルが正常に分注される。したがって、期間T1後で、期間T2の開始前の所定のタイミングt1における圧力が、所定の圧力値よりも低いときに、サンプルプローブの詰まりと判別するようにすれば、図1(b)のような場合もプローブ詰まりと判別されることはなくなる。
【0013】
これに対し、図1(c)および(d)に示すように、実際にプローブ詰まりが生じた場合には、期間T1からしばらく時間が経過しても負圧が元に戻らないので、これらの場合には、プローブ詰まりと判別されることになる。
【0014】
以上の点に着目した上記参考例に係るサンプル分注装置によれば、サンプルの吸引動作が終了してから、サンプル吐出動作開始前の所定のタイミングにおける圧力センサの出力に基づいてプローブの詰まりを判別するので、従来のようにサンプル吸引中の圧力に基づいて判別する場合、すなわち単にサンプルの粘性の大小に対応する圧力の大小に基づいてプローブ詰まりを判別する場合に比べて、実際のプローブ詰まりのみを確実に判別することができる。したがって、この参考例に係るサンプル分注装置を自動分析装置に組み込んだ場合には、余計な再検処理を実施しなくて済むので、処理速度の低下を有効に防止できると共に、サンプルや試薬の無駄も有効に省くことが可能になる。
【0015】
また、従来のように、単にサンプルの粘性に基づく圧力信号によってプローブ詰まりを判別する場合には、実際の粘性と圧力との関係が、圧力センサの感度やプローブの先端径のばらつきによってかなりばらつくため、正常か異常かの判断の閾値がかなりシビアとなり、プローブ詰まりを安定して正確に判別することが困難であるのに対し、この参考例に係るサンプル分注装置においては、サンプル吸引後に負の残圧が残っているか否かを判別の基準としているので、圧力センサの感度やプローブの先端径のばらつきの影響を受けにくく、プローブ詰まりを安定して正確に判別することが可能となる。
【0016】
次に、この発明に係るサンプル分注装置について説明する。この発明に係るサンプル分注装置では、分注手段は、サンプル容器から予め一定量余分にサンプルを吸引した後、吸引した余分のサンプルを当該サンプル容器に吐出するよう構成され、判別手段は、分注手段による余分のサンプルの吐出終了後の所定のタイミングにおける圧力が、所定の圧力値よりも低いときに、サンプルプローブの詰まりと判別するように構成しているので、より精度良くプローブ詰まりを判別することが可能となる。
【0017】
すなわち、かかる分注装置において、サンプルの分注動作中に圧力センサの出力をモニタすると、サンプルの粘性やプローブの詰まりの度合いに応じて、例えば、図2(a)〜(e)に示すような圧力波形が得られる。なお、図2の横軸および縦軸は、図1と同様で、横軸は時間を示し、縦軸は圧力で、上方は正圧、下方は負圧を示している。また、T5はサンプルの吸引動作期間、T6は余分なサンプルの吐出動作期間、T7は反応容器への所定量のサンプルの吐出動作期間、T8はプローブの洗浄動作期間をそれぞれ示している。
【0018】
ここで、図2(a)は、正常なサンプル分注動作中の圧力波形を示している。この正常な分注動作においては、図1(a)の場合と同様に、期間T5中は負圧に、期間T5およびT6中はそれぞれ正圧となり、分注ポンプが停止している間は大気圧レベルに戻る。図2(b)は、髄液等の血清以外の体液や、透析患者の血清等で、単に粘性の高いサンプルの分注動作中の圧力波形を示している。この場合、図1(b)と同様に、期間T5中の負圧は、正常なサンプルに比べて大きくなり、期間T5後も負圧が残るが、一定時間後には大気圧に戻っている。したがって、この場合には、必要なサンプル量がプローブ内に吸引される。図2(c)は、微細なフィブリンを含むサンプルの分注動作における圧力波形を示している。この場合、期間T5後も負圧を残しているが、期間T6後は大気圧に戻っている。したがって、この場合には、期間T7での所定量のサンプルの分注までには、既に閉塞物が取り除かれているので、サンプルが正常に分注されることになる。図2(d)は、吸引中にフィブリンを吸引してサンプルプローブがやや閉塞した場合の分注動作中の圧力波形を示している。この場合には、期間T6の余分なサンプルの吐出後も負圧が残り、期間T7のサンプル吐出終了後まで大気圧レベルに戻らないため、期間T7において幾らかのサンプルは反応容器内に分注されるが、データの信頼性は失われることになる。また、図2(e)は、吸引中にフィブリンを吸引してサンプルプローブが完全に閉塞した場合の分注動作中の圧力波形を示している。この場合には、期間T6後も、さらに期間T7後も圧力が大気圧レベルに戻らないため、反応容器には全くサンプルが分注されないことになる。
【0019】
図2(a)〜(e)において、例えば、期間T5と期間T6との間の適当なタイミングt3での圧力に基づいて、プローブ詰まりを判別するようにすると、図2(a)および(b)は正常と判別され、図2(c)〜(e)はプローブ詰まりと判別されることになる。しかし、上述したように、図2(c)の場合には、期間T5後に負圧が残っていても、期間T6において余分なサンプルを吐出した後は負圧が戻っており、期間T7において所定量のサンプルが分注されることになる。この発明に係るサンプル分注装置では、期間T6で余分のサンプルを吐出した後の所定のタイミングt2における圧力が、所定の圧力値よりも低いときに、サンプルプローブの詰まりと判別するので、図2(c)の場合も正常と判別され、より精度良くプローブ詰まりを判別することができる。したがって、自動分析装置に組み込んだ場合には、処理速度の低下をより有効に防止できると共に、サンプルや試薬の無駄もより有効に省くことが可能になる。
【0020】
図3は、この発明に係るサンプル分注装置の第1実施形態を示すものである。サンプルプローブ1は、プローブ駆動手段2により、サンプル容器、ここではサンプルカップ3が位置するサンプル吸引位置S1、反応容器4が位置するサンプル吐出位置S2、洗浄槽5が位置する洗浄位置S3、洗剤カップ6が位置する洗剤吸引位置S4に移動可能で、少なくとも位置S1,S3およびS4において昇降可能に設ける。このサンプルプローブ1は、管路7を経て、例えばシリンジからなる分注ポンプ8に連結し、分注ポンプ8をポンプ駆動手段9により吸排駆動する。分注ポンプ8は、さらに、管路10、電磁弁11および洗浄水ポンプ12を経て、洗浄水を収容する洗浄水タンク13に結合する。この実施形態では、上記のサンプルプローブ1、プローブ駆動手段2、管路7、分注ポンプ8、ポンプ駆動手段9、管路10、電磁弁11、洗浄水ポンプ12、洗浄水タンク13で分注手段を構成する。
【0021】
この実施形態では、管路10に圧力センサ15を設ける。圧力センサ15の出力は、増幅回路16で増幅されてサンプルプローブ1の詰まりを検知する判別手段としての検知回路17に供給される。検知回路17には、増幅回路16からの出力をデジタル信号に変換するA/D変換器18、所定の閾値等を格納する記憶装置19、A/D変換器18の出力と記憶装置19に格納された所定の閾値との比較演算等を行うCPU20等が設けられており、その比較演算に基づくプローブ詰まりの判別結果等を制御回路21に供給するようにする。制御回路21は、閾値等を入力するための入力手段22(例えばキーボード)からの入力情報と、検知回路17からの入力情報とに基づいて各部の動作を制御するよう構成する。
【0022】
以下、図3を参照して上述した参考例における動作を説明する。
上述した参考例では、電磁弁11を開の状態で洗浄水タンク13から分注ポンプ8を経てサンプルプローブ1のほぼ先端に至るまでの流路内に洗浄水を満たし、電磁弁11を閉の状態でサンプルプローブ1内に空気層を介してサンプルカップ3から所定量のサンプルを吸引して、その吸引したサンプルを反応容器4内に吐出し、その後、サンプルプローブ1を洗浄するものである。
【0023】
詳述すると、先ず、電磁弁11を閉の状態で、プローブ駆動手段2によりサンプルプローブ1をサンプル吸引位置S1に位置決めして下降させ、その先端部をサンプルカップ3内のサンプル中に所定量侵入させる。次いで、ポンプ駆動手段9により分注ポンプ8を吸引動作させて、サンプルプローブ1内に所定量のサンプルを吸引する。次に、プローブ駆動手段2により、サンプルプローブ1を上昇させてからサンプル吐出位置S2に位置決めし、その状態でポンプ駆動手段9により分注ポンプ8を排出動作させて、サンプルプローブ1内に吸引した所定量のサンプルを反応容器4内に吐出する。その後、プローブ駆動手段2によりサンプルプローブ1を洗浄位置S3に位置決めして下降させ、その状態で電磁弁11を開にして洗浄水ポンプ12を駆動して、洗浄水タンク13内の洗浄水をサンプルプローブ1から洗浄槽5内に吐出させ、これによりサンプルプローブ1を洗浄する。
【0024】
以上の動作を繰り返すことにより、サンプルカップ3から反応容器4に順次サンプルを分注するが、上記の洗浄では落としきれないサンプルプローブ1の汚れを落とすために、サンプルプローブ1を洗剤吸引位置S4に位置決めして下降させて、その先端部を洗剤カップ6内の洗剤中に侵入させ、その状態で電磁弁11を閉として分注ポンプ8を吸引動作させて洗剤を吸引し、その後、サンプルプローブ1を上昇させてから洗浄位置S3に位置決めして分注ポンプ8を排出動作させ、これにより吸引した洗剤を洗浄槽5内に排出する洗剤洗浄動作を行うこともある。
【0025】
一方、圧力センサ15の出力は、増幅回路16で増幅して検知回路17に供給され、ここで制御回路21の制御のもとに、サンプル吸引動作終了後で、サンプル吐出動作開始前の所定のタイミングにおける圧力センサ15の出力に対応する増幅回路16の出力のA/D変換値(圧力データ)と、記憶装置19に予め記憶した所定の負圧値データとをCPU20において比較し、その結果、圧力データが所定の負圧値データよりも低いときは、サンプルプローブ1の詰まりと判別して、その判別結果を制御回路21に出力する。制御回路21では、検知回路17においてプローブ詰まりが検知されたときは、当該サンプルのサンプル情報にエラーがあったことを識別できるコードを付し、再検の対象とするようにする。
【0026】
ここで、圧力センサ15の出力をサンプリングする所定のタイミングは、サンプルの吸引速度、吸引量、サンプルプローブ1の先端径および対象となるサンプルの粘性により異なるが、この参考例では、対象となるサンプルの粘性の最も高いもので、最も吸引量が多い状態で、余裕を持って大気圧に戻るタイミング、例えば、図1(a)〜(d)においてタイミングt1とする。
【0027】
このようにすれば、上述したように、図1(a)に示すような圧力波形が得られる場合は勿論のこと、図1(b)に示すような圧力波形が得られる場合にもプローブ詰まり無しと判別され、図1(c)および(d)のような圧力波形が得られる場合のみプローブ詰まりと判別されるので、実際のプローブ詰まりのみを確実に判別することができる。したがって、自動分析装置に組み込んだ場合には、余計な再検処理を実施しなくて済むので、処理速度の低下を有効に防止できると共に、サンプルや試薬の無駄も有効に省くことができる。
【0028】
次に、この発明の実施の形態について説明する。この発明の第1実施形態では、図3に示す構成において、プローブ詰まりをより確実に検知するため、サンプル吸引時にサンプルカップ3から所定の分注量に加えて予め一定量余分にサンプルを吸引し、一定時間経過後に余分のサンプルを当該サンプルカップ3内に吐出してから、所定量のサンプルを反応容器4に分注するようにする。また、検知回路17では、制御回路21の制御のもとに、余分なサンプルをサンプルカップ3に吐出した後のタイミング、例えば図2(a)〜(e)においてタイミングt2における圧力データと、記憶装置19に予め記憶した所定の負圧値データとをCPU20において比較し、その結果、圧力データが所定の負圧値データよりも低いときは、サンプルプローブ1の詰まりと判別して、その判別結果を制御回路21に出力するようにする。
【0029】
このようにすれば、上述したように、図2(a)〜(c)に示すような圧力波形が得られる場合はプローブ詰まり無しと判別され、図2(d)および(e)のような圧力波形が得られる場合のみプローブ詰まりと判別されるので、より精度良くプローブ詰まりを判別することができる。したがって、自動分析装置に組み込んだ場合には、処理速度の低下をより有効に防止できると共に、サンプルや試薬の無駄もより有効に省くことができる。
【0030】
この発明の第2実施形態においては、上記の第1実施形態において、余分なサンプルの吐出期間T6と所定量のサンプルの吐出期間T7との間の所定のタイミングt2での圧力データのチェックに加えて、さらに、サンプル吸引動作期間T5と期間T6との間の所定のタイミングt3、および期間T7とプローブの洗浄動作期間T8との間の所定のタイミングt4で、それぞれ圧力データをチェックし、そのチェック結果の論理和や論理積に基づいてプローブ詰まりを判別する。ここで、タイミングt2,t3,t4における各圧力データのチェックは、上述した実施形態と同様に、負圧が戻っているか否かをチェックするもので、その閾値は各タイミングで同一にすることもできるし、異ならせることもできる。
【0031】
このように、複数のタイミングで圧力データをチェックするようにすれば、例えば、タイミングt3においてのみ負圧が戻っていないと検知された場合には、単に粘性が高いサンプルと判断することができる。この場合には、ほぼ正常に分注がなされていると考えられるので、通常に分析を続行し、粘性が高いサンプルであったことをコードとしてサンプル情報に付属させることができる。あるいは、このコードが付いた検体も再検対象と設定することもできる。
【0032】
また、タイミングt3およびt2で負圧が戻らず、タイミングt4では負圧が戻っていると検知された場合には、サンプルプローブ1は閉塞したが、反応容器4へのサンプルの吐出動作後は、正常に戻ったと判断することができる。したがって、この場合には、詰まりがあったことをコードとしてサンプル情報に付属させて再検対象とする。また、この場合には、詰まりは除かれたと判断できるので、その後の動作を継続することができると共に、後から試薬等を分注する場合には、当該反応容器4に対する試薬等の分注を中止するように設定することにより、試薬等の無駄を省くことができる。
【0033】
さらに、順次のタイミングt3,t2およびt4において、負圧が戻っていないと検知された場合には、サンプルプローブ1が強固に閉塞されていると判断することができる。この場合には、サンプル情報に詰まりがあったコードを付属させると共に、その後の分注動作を停止し、ユーザにサンプルプローブ1を取り外して超音波洗浄等の特別な洗浄を促すメッセージを表示させることができる。
【0034】
このように、複数の異なるタイミングで圧力データをチェックするようにすれば、閉塞状態の程度を区別することができるので、閉塞状態に応じた処理を行うことが可能となる。
【0035】
なお、上記参考例においても、第2実施形態と同様に、複数の異なるタイミングで圧力データをチェックして、プローブの詰まりを判別するようにすることもできる。
【0036】
この発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、圧力データは、瞬時値に限らず、ある期間の積分値とすることもできる。このようにすれば、ノイズ等の影響を軽減することができる。
【0037】
【発明の効果】
この発明によれば、サンプル容器から予め一定量余分にサンプルを吸引した後、吸引した余分のサンプルを当該サンプル容器に吐出するようにし、その余分のサンプルの吐出終了後の所定のタイミングにおける圧力が、所定の圧力値よりも低いときに、サンプルプローブの詰まりと判別するようにしたので、より精度良くプローブ詰まりを判別することが可能となる。したがって、自動分析装置に組み込んだ場合には、処理速度の低下をより有効に防止できると共に、サンプルや試薬の無駄もより有効に省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明とともに開発したサンプル分注装置の参考例において得られる圧力波形の態様を示す図である。
【図2】 この発明にかかるサンプル分注装置の第1実施形態において得られる圧力波形の態様を示す図である。
【図3】 この発明にかかるサンプル分注装置の一例の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 サンプルプローブ
2 プローブ駆動手段
3 サンプルカップ
4 反応容器
5 洗浄槽
6 洗剤カップ
7,10 管路
8 分注ポンプ
9 ポンプ駆動手段
11 電磁弁
12 洗浄水ポンプ
13 洗浄水タンク
15 圧力センサ
16 増幅回路
17 検知回路
18 A/D変換器
19 記憶装置
20 CPU
21 制御回路
22 入力手段

Claims (1)

  1. 分注ポンプおよびこれに連結したサンプルプローブを有し、前記分注ポンプを吸排動作させて前記サンプルプローブによりサンプル容器内のサンプルを吸引・吐出する分注手段を備えたサンプル分注装置において、
    前記サンプルプローブを含む管路の圧力を検出する圧力センサと、
    この圧力センサの出力に基づいて、前記分注手段による前記サンプル容器から予め一定量余分にサンプルを吸引した後に該吸引した余分のサンプルを当該サンプル容器に吐出する動作の終了の、所定のタイミングにおける圧力が、所定の圧力値よりも低いときに、前記サンプルプローブの詰まりと判別する判別手段と
    を有することを特徴とするサンプル分注装置。
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