JP3733041B2 - 乗員拘束装置 - Google Patents

乗員拘束装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3733041B2
JP3733041B2 JP2001138179A JP2001138179A JP3733041B2 JP 3733041 B2 JP3733041 B2 JP 3733041B2 JP 2001138179 A JP2001138179 A JP 2001138179A JP 2001138179 A JP2001138179 A JP 2001138179A JP 3733041 B2 JP3733041 B2 JP 3733041B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
occupant
seat
impact
restraint device
restraining
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001138179A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002302002A (ja
Inventor
博儀 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NHK Spring Co Ltd
Original Assignee
NHK Spring Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US09/825,740 external-priority patent/US6604599B2/en
Application filed by NHK Spring Co Ltd filed Critical NHK Spring Co Ltd
Publication of JP2002302002A publication Critical patent/JP2002302002A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3733041B2 publication Critical patent/JP3733041B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Chair Legs, Seat Parts, And Backrests (AREA)
  • Seats For Vehicles (AREA)
  • Automotive Seat Belt Assembly (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用シートに設けられる乗員拘束装置に関し、特に衝突などの衝撃発生時に乗員の上半身を拘束する手段を具備する車両に於ける乗員の下半身を拘束するための乗員拘束装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シートベルトやエアバッグ等、衝突などの衝撃発生時に乗員の主に上半身を拘束する装置を車両に装備するのが一般的になっているが、例えばシートベルトを装備する車両に於いて、衝撃発生時に乗員がシートベルトの下部から前方へ滑り出して腰ベルトが骨盤部分から外れて乗員拘束部位がずれ、シートベルトの乗員拘束性能を低下させるなどの不具合を生じる所謂サブマリン現象がある。
【0003】
そこで、シートクッションの前部にてシートフレームに固定されたケーシング前部に、上方に突出して乗員の下肢を拘束するための突出部材を可動支持し、この突出部材を車両衝突などの衝撃発生時に動力発生装置をもって駆動することで衝撃発生時にのみシート前端部を高くする乗員拘束装置がある。この動力発生装置として火薬アクチュエータ等を用い、機械的にシート先端部を持ち上げるもの(実開平1−122504号公報等参照)がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記乗員拘束装置にあっては、シート前端部を高くする、即ち乗員の膝部を持ち上げるようになっている。そのため、膝部が車室前壁等に衝当することは或る程度回避できるものの、乗員の臀部が或る程度前方に移動することは避けられない。従って、実際にはサブマリン現象によりシートベルトの乗員拘束効果が低下する問題を必ずしも解決できなかった。
【0005】
一方、衝撃発生時には乗員各部の減速度のピークを低くすることが望ましく、そのためにはできるだけ衝撃発生早期に減速度を立ち上げることが望まれるが、通常のシートベルトのみで乗員を拘束しようとすると、シートベルトのたるみ、伸び及びばね作用により、減速度の立ち上がりが遅くなり、その分ピークが高くなり、即ち短時間に大きな衝撃を受けることとなる。
【0006】
本発明は、上記のような従来技術の不具合を解消するべく、衝突発生時に確実にサブマリン現象を防止できると共に、シートベルトやエアバッグ等、乗員の上半身を拘束する手段と組み合わせることで、衝突発生時の乗員の特に胸部及び頭部への衝撃を緩和することが可能な乗員拘束装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した目的は、本発明によれば、衝突などの衝撃発生時に乗員の上半身を拘束する手段を具備する車両に於ける前記乗員の下半身を拘束するための乗員拘束装置であって、乗員の前方移動を抑制するべく上方に突出可能なようにシートフレームに固定された左右のケーシングに可動支持された滑り出し防止部材と、車両衝突などの衝撃発生時に前記滑り出し防止部材を駆動する動力発生装置とを具備し、前記滑り出し防止部材が、前記上半身拘束手段が前記乗員を拘束するよりも早く前記乗員の着座時の座骨下端よりも上方に突出して前記乗員の大腿部の上下関節間の中央よりも臀部寄り部分に当接し、該乗員臀部の前方移動を抑制するようになっていることを特徴とする乗員拘束装置を提供することにより達成される。ここで、実際には乗員臀部の前方移動を抑制することは乗員腰部の前方移動を抑制することに等しい。
【0008】
特に前記乗員の上半身を拘束する手段が、前記乗員の腰部を拘束する腰ベルトを含むシートベルトを有すると良い。また乗員臀部の前方移動を抑制するのに、具体的に前記滑り出し防止部材が、前記乗員の着座時の座骨下端位置から前方80mm乃至220mmの位置にて前記乗員の着座時の座骨下端よりも上方に突出するようになっていると良い。
【0009】
また、その突出量は乗員の着座時の座骨下端よりも20mm以上になっていることが望ましい。突出量が乗員の着座時の座骨下端よりも20mmより小さいと乗員臀部が滑り出し防止部材を乗り越えてしまい、乗員臀部の前方移動を抑制し難くなる。
【0010】
ここで、乗員の着座時の座骨下端位置は、シートの種類(材質等)によりやや異なるものの、これは設計時に考慮可能であるため問題とならない。また一般的なシートにあっては、乗員の体重等によって上下10mm程度の幅で変動するのみで、乗員の着座時の座骨下端位置がほぼ一定の位置になることが知られている。
【0011】
このようにすることで、衝撃発生時、乗員の座骨(骨盤)を直接的に押さえ、乗員がシートベルトの下部から前方へ滑り出すことがない。また、早期に乗員の腰部(臀部)の減速度を立ち上げることができる。すると乗員の頭部及び胸部は腰部についてもその減速度の立ち上がりが早くなり、即ち減速度のピークを低くすることができる。
【0012】
また、前記滑り出し防止部材が、左右方向を傾動軸として前記ケーシングに傾動可動に支持されたアーム部材の傾動遊端側に取り付けられ、前記アーム部材の傾動軸が該アーム部材の前側に設けられ、前記アーム部材が、前上方に傾動するようになっていると、アーム部材の戻り方向ではなくアーム部材の略座屈方向に荷重を受けるようになり、またアームを短くできるため、例えばアーム部材の戻りを防止するロック機構を簡便にできる。
【0013】
また、前記動力発生装置が前記滑り出し防止部材よりも前側、即ち乗員の膝寄りの比較的乗員の体重が加わらない位置に設けることで、乗員の体重が加わる位置のクッションを厚くでき、乗り心地が向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明が適用された車両用シート1の斜視図、図2は本発明が適用された車両用シート1の乗員拘束装置の配置を示す側面図、図4は乗員拘束装置の分解斜視図を示す。シートベルト11を有する車両のシート1は、シートクッション部分に発泡材等からなるクッション部材2とこのクッション部材2を支持するシートフレーム3とを有している。シートフレーム3の左右には、乗員拘束装置を構成する一対のサブアッセンブリ4a、4bが締結されている。サブアッセンブリ4aの後記するアーム6の遊端部6aと、サブアッセンブリ4bの後記するアーム16の遊端部16aとの間には滑り出し防止部材としてのパイプ13が掛け渡されている。このパイプ13は、後記する衝撃発生時、乗員の大腿部を支えて臀部、腰部の前方移動を止めるが、実際には徐々に変形して衝撃を吸収するようになっている。
【0016】
パイプ13の前側には、該パイプ13の上面と共にクッション部材2の表面と略平行な面を形成するように凸面部14が設けられている。この凸面部14により、乗員が着座した際に収納状態のパイプ13が大腿部に異物感を与えることがない。
【0017】
図2に良く示すように、サブアッセンブリ4a、4bは、パイプ13が上方に突出したときに乗員の大腿部の上下関節間の中央よりも腰部または臀部寄り部分に当接し、その前方移動を直接的に抑制するような位置に取り付けられている。その好ましい範囲は斜線で塗りつぶした領域Aである。
【0018】
ここで、パイプ13が上方に突出したときに当接する位置を乗員の大腿部の上下関節間の中央よりも腰部または臀部寄り部分としたのは、臀部に近い位置の方が早期に乗員臀部の前方移動を抑制することができ、この範囲よりも膝寄りであると乗員臀部の前方移動の抑制が遅れ、場合によってはシートベルトが先に乗員に作用することが考えられ、また乗員臀部を直接的に抑制し難くなるためである。
【0019】
具体的には、乗員着座時の座骨の下端位置Oから前方80mm〜220mmの位置が良い。これは、標準的(50パーセンタイル)な日本人成人男子の場合の大腿部の上下関節間の中央よりも腰部または臀部寄り部分にパイプ13が当接する位置である。更に具体的には、上記座骨下端位置Oは通常、シートのクッション部材2の後端から前方100mm〜130mmの位置になるので、座骨下端位置Oから前方80mm〜220mmの位置は、シートのクッション部材2の後端から前方180mm〜350mmの位置になる。
【0020】
クッション部材の全長は標準的には530mm〜580mmであるので、クッション部材の全長が530mmの場合、シートのクッション部材2の後端から前方180mm〜350mmの位置は、シートのクッション部材2の後端から前方約34%〜66%の位置となる。また、クッション部材の全長が580mmの場合、シートのクッション部材2の後端から前方180mm〜350mmの位置は、シートのクッション部材2の後端から前方約31%〜60%の位置となる。
【0021】
また、パイプ13の突出量は、乗員の座骨下端位置Oを通る水平線Lを基準としてその上に20mm以上となっていることが好ましい。これは、パイプ13がその突出時に座骨下端位置Oよりも20mm未満であると、乗員の臀部の前方移動を直接的に抑制する望ましい効果が得られないためである。
【0022】
また、パイプ13の突出量は、乗員下肢へのパイプ13の突き上げによる衝撃を考慮して乗員の大腿部下面Mを基準として乗員の大腿部に20mm以上食い込まない範囲が好ましい。乗員の大腿部下面Mを基準とするのは、通常乗員の大腿部下面は、通常着座時、シートのクッション部材2の中央付近の上面(パッドメインライン)Nよりも下方に沈み込んでいるためである。
【0023】
実際には、チャイルドシート設置時のパイプ13の突き上げによる衝撃や、軽量の乗員、即ち大腿部の細い乗員着座時にパイプ13の突き上げによる衝撃をも考慮してシート上面Nから10mm以上突出しないようにすることが好ましい。
【0024】
尚、実際のシートフレーム、クッション部材の傾き等によってもシート毎にその最適な突出量は異なる。
【0025】
尚、上記領域Aは、他の乗員拘束装置(シートベルト、プリテンショナ付きシートベルト、エアバック等)の性能やシートの強度剛性(シートフレーム、スライドレール機構、リフタ機構等)、想定される衝突条件(正面衝突、斜め衝突、ODB(オフセットデフォーマルバリアテスト:オフセット衝突)、衝突速度、発生G等)、車体の強度剛性(スライド構造の有無、スライド構造有の場合のレール取付部(ボディ)の強度剛性等)等によっても変わる。
【0026】
図3(a)は上記領域Aの後端にパイプ13が突出するようにサブアッセンブリ4a、4bを配置した例であり、図3(b)は上記領域Aの前端にパイプ13が突出するようにサブアッセンブリ4a、4bを配置した例である。サブアッセンブリ4a、4bの位置に応じて凸面部14の形状も異なる。また、シートフレーム3の底面とクッション部材2の中央付近の上面(パッドメインライン)Nとが平行でないため、サブアッセンブリ4a、4bの位置によってパイプ13の突出量も、上記領域Aの前方になるに従い大きくする必要があることがあり、その場合、パイプ13を支持するアーム6、16の長さも図3(a)の場合と異なる。
【0027】
図4及び図5(a)に示すように、上記乗員拘束装置の右側のサブアッセンブリ4aは、略方形筒状のケーシング5と、該ケーシング5に支持部7をもって上下方向に回動可能に支持された動力伝達手段としてのアーム6と、アーム6を駆動するべくケーシング5に受容された動力発生装置8と、動力発生装置8の作動端近傍にてケーシング5に支持されたワンウェイロック機構9とから構成されている。動力発生装置8の後記するピストン部材21のピストンロッド21bの遊端部は、アーム6の支持部7からオフセットした位置に設けられた長孔6bにピン12を挿通することによりアーム6に連結され、また該ピン12をケーシング5に設けられた長孔5cに挿通することにより突出方向にガイドされている。
【0028】
ここで、ケーシング5は、図5(b)に併せて示すように、一方の側面(図の右側)で開口する略コの字状断面の本体部5aと、この本体部5aの開口を閉塞する蓋部5bとから構成され、上記動力発生装置8及びワンウェイロック機構9をケーシング5の本体部5aへ側方から受容後、蓋部5bを閉め、爪5fをかしめることによりケーシング5内にこれらを固定・保持している。
【0029】
本体部5a及び蓋部5bは動力発生装置8の後記するシリンダ23の輪郭に沿って湾曲している。また、本体部5aのコの字状断面の底部(図5(b)の右側面部)及び蓋部5bの平板状断面の中間部(図5(b)の左側面部)にはシリンダ23のフランジ23bが係合するための孔5d、5eが形成されている。このように本体部5a及び蓋部5bが湾曲していることにより孔5d、5eに於けるフランジ23bの受け面の輪郭も湾曲し、その面積が広くなり、また、孔5d、5eが本体部5a及び蓋部5bの断面について見ると、その上下で閉じており、更に上下の断面がシリンダ23を中心として略対称となっていることから当該乗員拘束装置の作動時に於ける衝撃に対する強度が向上している。尚、上記ケーシング5は、シートフレーム3に、支持部7及び固定部10をもって締結されている。
【0030】
一方、図6に示すように、左側のサブアッセンブリ4bは、方形筒状のケーシング15と、該ケーシング15に支持部17をもって上下方向に回動可能に支持されたアーム16と、上記ワンウェイロック機構9と同様なワンウェイロック機構19と、後記するピストンロッド21bと同様に外周面に環状の溝(または環状の山)またはねじ溝(またはねじ山)が形成されたロッド18とから構成されており、動力発生装置が設けられていないことを除き、その構造はサブアッセンブリ4aと同様である。サブアッセンブリ4bのケーシング15も、側面で開口するコの字状断面の本体部15aと、この本体部15aの開口を閉塞する蓋部15bとから構成され、ワンウェイロック機構19をケーシング15の本体部15aへ側方から受容後、蓋部15bを閉め、爪15fをかしめることによりケーシング15内にこれを固定・保持している。本体部15aのコの字状断面の底部及び蓋部15bの平板状断面の中間部にはワンウェイロック機構19が係合するための孔15d、15eが形成されている。尚、サブアッセンブリ4bはシートフレーム3に支持部17及び固定部20をもって締結されている。
【0031】
尚、符号7a及び符号17aは、サブアッセンブリ4a及びサブアッセンブリ4bとシートフレーム3との間の寸法誤差等の取り付けがたを吸収するためのラバーリングである。
【0032】
図7に示すように、動力発生装置8は、ケーシング5に固定されたシリンダ23と、該シリンダ23の内孔23a内に出没可能に受容されたピストン本体21aと、ピストン本体21aよりも基端側に受容されたガス発生装置24とを有している。ピストン本体21aとガス発生装置24との間には弾性を有するシール部材25及び圧縮コイルばね26が介在し、ピストン本体21aを作動方向(突出方向)に常に付勢している。シール部材25は軸線方向に弾性を有し、かつガス発生時に確実にその漏れを防止できるものであれば良い。
【0033】
動力発生装置8の先端部にはワンウェイロック機構9が設けられている。このワンウェイロック機構9は、ピストン部材21の外周を覆うようにケーシング5に固定されたケーシング28の内部に、ピストンロッド21bの外周に選択的に係合するための係合片29と、この係合片29をピストン部材21の基端側、即ちシリンダ23側に付勢するばね30とを受容した構造となっている。係合片29の外周面はピストン部材21の遊端側から基端側に向けて徐々に縮径している。また、ケーシング28内は大径部28aと、該大径部28aから徐々に狭くなるテーパ部28bとからなる。従って、図7の状態で係合片29はばね30に付勢され、テーパ部28bに押圧されてピストン部材21の外周面に当接しているが、ピストン部材21が突出する方向に移動する際には、ばね30の付勢力に抗して係合片29もピストン部材21が突出する方向に移動して大径部28aに至りピストン部材21から離れるため、ピストン部材21は自由に動く。逆にピストン部材21を没入する方向に動かそうとすると、ばね30の付勢力により係合片29がテーパ部28bに移動してピストン部材21の外周面に当接して両者を固定するようになっている。ここで、ピストンロッド21bの外周面には環状の溝(または環状の山)またはねじ溝(またはねじ山)21cが形成されている。また係合片29の内周面にも上記溝21cに対応する環状の溝(または環状の山)またはねじ溝(またはねじ山)が形成されている。従って、ピストン部材21を没入する方向に動かそうとする際に、係合片29の内周面とピストン部材21の外周面とが係合し、両者を強固に固定し、その位置を保持するようになっている。
【0034】
尚、上記構成では1つの係合片29を用い、ピストンロッド21bの外周面の一部に係合する構造としたが、複数の係合片を用いてピストンロッド21bの外周面全周に亘り係合する構成としても良い。
【0035】
上記のように配置された左右のサブアッセンブリ4a、4bと、パイプ13と、図示されない加速度センサ等からなる衝撃発生検出手段及び制御手段とから乗員拘束装置が構成される。
【0036】
次に、本実施形態の作動要領について説明する。まず、図示されないセンサ等により、衝突等の衝撃発生が検出されたら、ガス発生装置24にてガスが発生し、シリンダ23の内圧が急激に高まることでピストン部材21の突出方向への推力が発生し、ピストン部材21の遊端側がシリンダ23から瞬時に突出する。すると、ピストンロッド21bの遊端部に接続されたアーム6が図2に想像線で示すように時計回りに回転し、アーム16も従動し、パイプ13が上方に移動(突出)する。このときクッション部材は殆ど潰れてしまうため、無視して良い。この突出したパイプ13が、前方に移動しようとする乗員の座骨に直接的に作用してその臀部、腰部の前方移動を止め、サブマリン現象を防止すると共に早期に乗員腰部の減速度を立ち上げる。これに伴いシートベルト11の作用と相俟って胸部及び頭部の減速度も早期に立ち上げる(図8(a)、図8(b)、図8(c)の実線)。これにより、胸部及び頭部の減速度のピークを低くすることができる。図8(a)、図8(b)、図8(c)には、シートベルトのみの車両の衝突等の衝撃発生時の乗員の腰部、胸部及び頭部の減速度(破線)、シートベルトに加えてシートの先端近傍で乗員の膝部を持ち上げる従来の乗員拘束装置を具備する車両の衝突等の衝撃発生時の乗員の腰部、胸部及び頭部の減速度(想像線)を併記した。
【0037】
また、腰部の前方移動を抑制することはそれよりも下半身側の前方移動をも抑制することとなるため、膝部や足首まわりと前部壁との干渉も防止または軽減される。
【0038】
ガス発生装置24によるガス発生が終わり、動力発生装置8の駆動力が消失するが、ワンウェイロック機構9、19により、上方に移動したパイプ13が下方に戻ることがない。そして、パイプ13が変形してシートベルトと共に衝撃を吸収しつつ乗員を減速させることとなる。
【0039】
尚、本構成ではシートの右側にのみ動力発生装置8を設けたが、左右両側に設けても良い。動力発生装置を左右両方に設ければ、1つの動力発生装置を小型化でき、装置が局部的に大型化することがない。
【0040】
図9は本発明が適用された別の実施形態を示す図3(a)、図3(b)と同様な図である。本構成では、サブアッセンブリ4a、4bが上記構成とは前後逆方向になるように設けられている。即ち、アーム6、16の傾動軸がその前側に設けられ、アーム6、16が、前上方に傾動して立ち上がるようになっている。また、動力発生装置8もアーム6、16、パイプ13よりも前側に設けられている。これにより、アームの戻り方向ではなくアームの略座屈方向に荷重を受けるようになり、またアームを短くできるため、上記ロック機構を簡便にできると共に動力発生装置8が乗員の膝寄りの体重が加わらない位置になり、乗員の体重が加わる位置のクッションを厚くでき、乗り心地が向上する。
【0041】
尚、本構成ではシートフレーム3をスライダを介して車体に固定されたシートレールに前後方向にスライド可能に支持し、シートアジャスタ機構により、所望の位置で固定可能としても良い。
【0042】
【発明の効果】
上記した説明により明らかなように、本発明による車両用乗員拘束装置によれば、衝突などの衝撃発生時に乗員の上半身を拘束する手段を具備する車両に於ける乗員の下半身を拘束するための乗員拘束装置が、乗員の前方移動を抑制するべく上方に突出可能なようにシートフレームに固定された左右のケーシングに可動支持された滑り出し防止部材と、車両衝突などの衝撃発生時に滑り出し防止部材を駆動する動力発生装置とを具備し、滑り出し防止部材が、上半身拘束手段にて乗員を拘束するよりも早く乗員の着座時の座骨下端よりも上方に突出して乗員の大腿部の上下関節間の中央よりも臀部寄り部分に当接し、乗員臀部の前方移動を抑制する構成とすることにより、衝撃発生時、乗員がシートベルトの下部から前方へ滑り出すことがなく、効率的に乗員を拘束することができる。また、早期に乗員の腰部(臀部)の減速度を立ち上げることができ、乗員の腰部が押さえられることで、頭部及び胸部の減速度も早く立ち上がるようになり、減速度のピークを低くすることができる。特に乗員の腰部を拘束する腰ベルトを含むシートベルトを用いることで、その効果は顕著に現れる。また、具体的に突出量が乗員の着座時の座骨下端よりも20mm以上になっていることで、乗員臀部の前方移動を確実に抑制できる。また、滑り出し防止部材が、乗員の着座時の座骨下端位置から80mm〜220mmの位置で突出すると良い。これは、標準的(50パーセンタイル)な日本人成人男子の場合の大腿部の上下関節間の中央よりも腰部または臀部寄り部分に滑り出し防止部材が当接する位置である。更に具体的には、上記座骨下端位置は通常、シートのクッション部材の後端から100mm〜130mmの位置になるので、座骨下端位置から前方80mm〜220mmの位置は、シートのクッション部材2の後端から前方180mm〜350mmの位置になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された車両用シート装置の要部構成を示す斜視図。
【図2】本発明が適用された車両用シート1の乗員拘束装置の配置を示す側面図。
【図3】(a)、(b)はサブアッセンブリ4a、4bの配置例を示す図2と同様な側面図。
【図4】本発明が適用された乗員拘束装置のサブアッセンブリ4a、4bの構成を示す分解斜視図。
【図5】(a)は本発明が適用された乗員拘束装置の動力発生装置を設けた右側のサブアッセンブリ4aの外側から見た側面図、(b)は(a)のIIIb−IIIb線について見た断面図。
【図6】本発明が適用された乗員拘束装置の動力発生装置を設けていない左側のサブアッセンブリ4bの外側から見た側面図。
【図7】本発明が適用された乗員拘束装置の動力発生装置の構造を示す断面図。
【図8】(a)、(b)、(c)は、車両の衝撃発生時の乗員の腰部、胸部及び頭部の減速度を示すグラフ。
【図9】本発明が適用された更に別の実施形態に於ける車両用シート装置の要部構成を示す図3(a)、図3(b)と同様な図。
【符号の説明】
1 車両用シート
2 シートクッション
3 シートフレーム
4a、4b 乗員拘束装置のサブアッセンブリ
5 ケーシング
5a 本体部
5b 蓋部
5c 長孔
5d、5e 孔
5f 爪
6 アーム
6a 遊端部
6b 長孔
7 支持部
7a ラバーリング
8 動力発生装置
9 ワンウェイロック機構
10 固定部
11 シートベルト
12 ピン
13 パイプ(滑り出し防止部材)
14 凸面部
15 ケーシング
15a 本体部
15b 蓋部
15c 長孔
15d、15e 孔
15f 爪
16 アーム
16a 遊端部
17 支持部
17a ラバーリング
18 ロッド
19 ワンウェイロック機構
20 固定部
21 ピストン部材
21a ピストン本体
21b ピストンロッド
21c ねじ溝
23 シリンダ
23a 内孔
23b フランジ
24 ガス発生装置
25 シール部材
26 圧縮コイルばね
28 ケーシング
28a 大径部
28b テーパ部
28c 係合溝
29 係合片
30 ばね

Claims (2)

  1. 衝突などの衝撃発生時に乗員の上半身を拘束するべく乗員の腰部を拘束する腰ベルトを含むシートベルトからなる上半身拘束手段を具備する車両に於ける前記乗員の下半身を拘束するための乗員拘束装置であって、
    乗員の前方移動を抑制するべく上方に突出可能なようにシートフレームに固定された左右のケーシングに可動支持された滑り出し防止部材と、
    車両衝突などの衝撃発生時に前記滑り出し防止部材を駆動する動力発生装置とを具備し、
    車両衝突などの衝撃発生時に前記上半身拘束手段が前記乗員を拘束するよりも早く、前記滑り出し防止部材が前記乗員の着座時の座骨下端よりも上方に20mm以上突出して前記乗員の大腿部の上下関節間の中央よりも臀部寄り部分に当接し、該乗員臀部の前方移動を抑制するようになっていることを特徴とする乗員拘束装置。
  2. 前記滑り出し防止部材が、前記乗員の着座時の座骨下端位置から前方80mm乃至220mmの位置にて前記乗員の着座時の座骨下端よりも上方に突出して前記乗員の大腿部の上下関節間の中央よりも臀部寄り部分に当接し、該乗員臀部の前方移動を抑制するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の乗員拘束装置。
JP2001138179A 2001-04-03 2001-05-09 乗員拘束装置 Expired - Fee Related JP3733041B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US09/825,740 US6604599B2 (en) 1999-03-15 2001-04-03 Anti-submarine vehicle occupant restraint system
US09/825740 2001-04-03

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002302002A JP2002302002A (ja) 2002-10-15
JP3733041B2 true JP3733041B2 (ja) 2006-01-11

Family

ID=25244807

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001138179A Expired - Fee Related JP3733041B2 (ja) 2001-04-03 2001-05-09 乗員拘束装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3733041B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4556210B2 (ja) * 2005-04-11 2010-10-06 日本発條株式会社 車両用シート
CN114748281A (zh) * 2022-02-23 2022-07-15 江彬 一种儿童医院神经外科脑部检测过程用身体平衡机构

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002302002A (ja) 2002-10-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6450573B1 (en) Anti-submarine vehicle seat device
JP3972736B2 (ja) 乗員保護装置
JP4290701B2 (ja) 車両用シート
CN110861550B (zh) 车辆用座椅
US6604599B2 (en) Anti-submarine vehicle occupant restraint system
US11173870B2 (en) Vehicle seat belt device
CN109649232B (zh) 车辆用座椅
JP4781109B2 (ja) 自動車用シート
JP2001146127A (ja) 自動車用シート
JP6438996B2 (ja) 乗員保護装置
JP3733041B2 (ja) 乗員拘束装置
JP6860394B2 (ja) 乗員保護装置
JP5105582B2 (ja) 車両用シート
JP2008001324A (ja) 乗員拘束装置及び車両用シート
JP2008238955A (ja) 車両用シート
JP3730434B2 (ja) 車両用サブマリン防止装置
JP2000264114A (ja) 車両用シート装置
JP6839012B2 (ja) 乗員保護装置
JP3745181B2 (ja) 乗員拘束装置
JP2000025500A (ja) 車両用シート
JP2018161968A (ja) 乗員保護装置
JP2004058913A (ja) 車両用シート構造
JP2008238910A (ja) 車両用シートシステム
JP2016210283A (ja) 車両用シート構造
JPH0415548Y2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050419

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050616

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050712

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050908

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20050913

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20051011

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20051014

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091021

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091021

Year of fee payment: 4

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101021

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111021

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121021

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121021

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131021

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees