JP3732889B2 - 搬送用歯付ベルト及び搬送用歯付ベルト駆動装置 - Google Patents

搬送用歯付ベルト及び搬送用歯付ベルト駆動装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙幣や硬貨、キップ、各種のカード等を搬送するために用いられる搬送用歯付きベルト及び搬送用歯付きベルト駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は紙幣やカード等を搬送する装置10を示すものであり、上側駆動歯付プーリ11aと上側従動歯付プーリ12aの間に搬送用歯付ベルトAを懸架すると共に下側駆動歯付プーリ11bと下側従動歯付プーリ12bの間に搬送用歯付ベルトAを懸架して、一対の搬送用歯付ベルトA,Aを上下に対向配置し、押さえロール13と受けロール14の間に搬送用歯付ベルトA,Aを通すことによって、各搬送用歯付ベルトA,Aをその背面同士を接触させながら一方向あるいは往復方向に走行運動させるようにしてある。
【0003】
そしてこの搬送装置10にあって、搬送用歯付ベルトA,Aに紙幣やカード等の搬送物15を供給すると、搬送物15は搬送用歯付ベルトA,Aの外面間に挟持されて搬送されるようになっている。
上記の搬送装置10は例えば自動販売機等で使用されるので、屋外の苛酷な−20℃〜60℃の温度環境に耐えることが要求される。そしてこの搬送装置10に使用される搬送用歯付ベルトAは、心線が埋設されたエンドレスのベルト基体の内側面に長手方向に沿って所定間隔で歯部を突設し、ベルト基体と歯部とをゴム層で形成したものとして作製されているが、このような−20℃〜60℃の温度変化に対して一定の摩擦係数を有し、しなやかさが変わらず、耐磨耗性に優れ、さらに搬送物15を汚さないこと等が要求されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、搬送用歯付ベルトAのゴム層を形成するために従来から一般に使用されているゴムは、低温時の摩擦係数が大きく低下し、一定の摩擦係数を保持することは難しい。このために、押さえロール13の押圧力を大きくすることによって搬送用歯付ベルトA,A間の挟持力を高め、摩擦係数の低下を補うようにしている。
【0005】
しかしながらこのようにすると上側の搬送用歯付ベルトAに大きな張力が加わり、搬送用歯付ベルトAの背面が磨耗し易くなると共に、埋設した心線の伸びが大きくなってベルト張力を調整する頻度が多く必要となり、また搬送装置10のフレームの強度やプーリの軸強度を強く形成しなければならないという問題が生じるものであった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、苛酷な環境温度下においても支障なく使用することができる搬送用歯付ベルト及び搬送用歯付ベルト駆動装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る搬送用歯付ベルトAは、心線1が埋設されたベルト基体2の内面に長手方向に沿って所定間隔で歯部3を突設すると共に歯部3の表面に歯布4を被覆し、ベルト基体2と歯部3とをゴム層5で形成した搬送用歯付ベルトAに関するものであり、ベルト基体2と歯部3を形成するゴム層5を耐結晶性のクロロプレンゴムを含有すると共にゴム成分100重量部に対して珪藻土を5〜80重量部添加したゴム組成物で形成し、ベルト基体2の背面を研磨して珪藻土をベルト基体2の背面で露出させて成ることを特徴とするものである。
【0008】
た上記の歯部3は歯形状が丸歯であり、歯間ピッチが0.75〜1.1mmに形成されていることが好ましい。
【0009】
本発明の請求項に係る搬送用歯付ベルトAは、心線1が埋設されたベルト基体2の内側面に長手方向に沿って歯部3を所定間隔で突設すると共に歯部3の表面に歯布4を被覆し、ベルト基体2と歯部3とをゴム層5で形成した搬送用歯付ベルトAに関するものであり、歯部3を丸歯の歯形状に形成すると共に歯間ピッチを0.75〜1.1mmに形成し、ベルト基体2と歯部3を形成するゴム層5を耐結晶性のクロロプレンゴムを含有すると共にゴム成分100重量部に対して珪藻土を5〜80重量部添加したゴム組成物で形成し、ベルト基体2の背面を研磨して珪藻土をベルト基体2の背面で露出させて成ることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る搬送用歯付ベルト駆動装置は、心線1が埋設されたベルト基体2の内面に長手方向に沿って歯部3を所定間隔で突設すると共に歯部3の表面に歯布4を被覆して形成され、且つベルト基体2と歯部3とがゴム層5で形成された搬送用歯付ベルトを、複数の歯付プーリ6間に巻き掛けて走行駆動させる搬送用歯付ベルト駆動装置に関するものであり、搬送用歯付ベルトAの歯部3を丸歯の歯形状に形成すると共に歯間ピッチを0.75〜1.1mmに形成し、ベルト基体2と歯部3を形成するゴム層5を耐結晶性のクロロプレンゴムを含有すると共にゴム成分100重量部に対して珪藻土を5〜80重量部添加したゴム組成物で形成し、ベルト基体2の背面を研磨して珪藻土をベルト基体2の背面で露出させて成ることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
搬送用歯付ベルトAはエンドレスのベルト基体2の内面に長手方向に沿って所定のピッチPの間隔で歯部3を突設して形成されるものであり、図1に示すように、ベルト基体2には長手方向の全長に亘ってアラミド繊維等で形成される心線1が埋入してある。またベルト基体2の内面側には歯部3の表面を含めてナイロン帆布等で形成される歯布4を被覆してラテックス液で接着してあり、歯部3の耐磨耗性や強度を歯布4で確保することができるようにしてある。
【0012】
この搬送用歯付ベルトAにあって、歯部3は丸歯として形成してある。ここで丸歯とは、歯部3の前面と後面をそれぞれ断面凸円弧の面として形成したものをいうものであり、図1に基づいてさらに詳しく説明する。図1においてPは歯部3の歯間ピッチ、Wは歯部3の基部間の厚み寸法である歯肉を示す。そして歯部3の前面3aと後面3bの上記の各凸円弧はそれぞれ歯肉Wと同じ寸法の曲率半径で形成してあり、この曲率半径の中心O1 ,O2 は歯部3の両側の基部においてベルト基体2の内面からaの寸法離れたベルト基体2の内面と平行なラインL上に位置するように設定してある。このO1 ,O2 は歯肉Wと同じ距離で隔たっており、隣合う歯部3においてO1 ,O1 間の距離及びO2 ,O2 間の距離は歯間ピッチPと等しくなっている。従って、歯部3の前面3aはO1 を中心とする曲率半径Wの円弧の面として形成されると共に、この円弧の延長線とベルト基体2の内面からaの寸法離れたラインLと交わる点がO2 となり、また歯部3の後面3bはO2 を中心とする曲率半径Wの円弧の面として形成されると共に、この円弧の延長線とベルト基体2の内面からaの寸法離れたラインLと交わる点がO1 となる。歯部3の前面3aと後面3bはこのようにその全部又は大部分が凸円弧面で形成されているが、歯部3の頂点17は平坦面に形成してあり、その両側の角部17a,17bは丸みを付けたアール面に形成してある。
【0013】
上記のように形成される搬送用歯付ベルトAを複数(通常は一対)の歯付プーリ6間に懸架することよって、搬送用歯付ベルト駆動装置Bが形成されるものであり、この歯付プーリ6は図2に示すように搬送用歯付ベルトAの歯部3と噛合する歯溝18を円周方向に沿って所定間隔で設けることによって形成してある。図2においてCは歯部3と歯溝18との間の隙間である。歯溝18はその歯間ピッチP′を搬送用歯付ベルトAの歯部3の歯間ピッチPとほぼ等しく形成されるものであり、また歯溝18の深さh′は搬送用歯付ベルトAの歯部3の高さhとほぼ等しく形成されるものである。歯溝18の底面には突曲部分19が形成してあり、搬送用歯付ベルトAの歯部3の平坦な頂点17が図2のように突曲部分19に圧接して歯部3に圧縮応力が生じるようにしてある。この突曲部分19は歯付きプーリ6の外周円弧の一部として形成するようにしてもよいが、その形状は自由に選択することができる。
【0014】
しかして、歯付プーリ6に搬送用歯付ベルトAを懸架して走行駆動させるにあたって、搬送用歯付ベルトAの歯部3を上記のように丸歯として形成することによって、歯部3が歯溝18に噛合する際に、歯部3の根元に応力が集中しないようにすることができ、歯部3にクラック等が生じることを低減することができるものである。また、搬送用歯付ベルトAの歯部3の歯間ピッチP及び歯付プーリ6の歯溝18の歯間ピッチP′は0.75〜1.1mmの範囲に設定するのが好ましい。この歯間ピッチP,P′が0.75mm未満であると、歯部3の高さhや歯幅Wもそれに比例して小さくなるので、歯欠けの発生や駆動時の歯飛び現象が生じ易くなり、逆に歯間ピッチP,P′が1.1mmを超えると、搬送用歯付ベルトAが歯付プーリ6に巻き付いた状態が多角形状態になり易く、この結果搬送用歯付ベルトAの速度変動量が大きくなり易い。従って本発明では歯間ピッチP,P′は0.75〜1.1mmの範囲が好ましい。
【0015】
上記の搬送用歯付ベルトAにあって、ベルト基体2と歯部3はゴム層5で形成されるものであり、このゴム層5は、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、EPT(エチレン・プロピレン・ターポリマー)などのゴム成分に、カーボンブラック、亜鉛華、ステアリン酸、可塑剤、老化防止剤や、硫黄等の加硫剤、有機過酸化物等を配合して調製したゴム組成物で形成してある。そして本発明では、ゴム成分の少なくとも一部として、耐結晶性に優れたクロロプレンゴムを配合するようにしてある。この耐結晶性のクロロプレンゴムとしては、耐結晶性グレードとして市販されているものを使用することができるが、耐結晶性の目安としては、0℃に100時間放置したときの硬度(JIS)の硬度上昇が10度以下のものとするのがよい。勿論、硬さの変化は0であることが理想である。またこの耐結晶性のクロロプレンゴムの配合量は、ゴム組成物中での含有率が40重量%以上になるように設定するのが好ましく、ゴム成分の総てを耐結晶性のクロロプレンゴムが占めるようにしてもよい。
【0016】
耐結晶性のクロロプレンゴムは、低温環境下に長時間放置しても結晶化し難く、硬くなり難い。従って耐結晶性のクロロプレンゴムを含有するゴム組成物でベルト基体2と歯部3を構成するゴム層5を形成すると、低温環境下での結晶化によるゴム層5の硬度上昇を抑制し、低温時の摩擦係数の低下を防ぐことができるものであり、図3の搬送装置10に搬送用歯付ベルトAを使用するにあたって、低温環境温度下でも高い摩擦係数で搬送物15を搬送用歯付ベルトA,A間に挟んで搬送することができるものであり、押さえロール13の押圧力を大きくして上下の搬送用歯付ベルトA,A間の挟持力を高めるような必要はなくなるものである。
【0017】
またベルト基体2と歯部3のゴム層5を形成する上記のゴム組成物には、珪藻土を均一に添加するのが好ましい。珪藻土は多孔質であって油水分等を吸着する特性を有する。従って珪藻土を添加したゴム組成物でベルト基体2と歯部3のゴム層5を形成することによって、図3の搬送装置10に搬送用歯付ベルトAを使用するにあたって、搬送用歯付ベルトA,A間に紙幣やカード等の搬送物15を挟持して搬送するにあたって、搬送物15に付着する汗や脂、清涼飲料水、植物脂などの油水分が搬送用歯付ベルトAに移行しても、この油水分を珪藻土に吸着させることができ、油水分が搬送用歯付ベルトAに付着することによる摩擦係数の低下を防ぐことができるものである。
【0018】
珪藻土のゴム組成物への添加量は、ゴム成分100重量部に対して5〜80重量部の範囲が好ましい。珪藻土の添加量が5重量部未満であると、油水分を吸着させて搬送用歯付ベルトAの摩擦係数の低下を防ぐ効果が十分でなく、また80重量部を超えると、珪藻土を添加したゴム組成物の粘度が高くなり、搬送用歯付ベルトAを成形する際の歯部3の出具合が悪くなるおそれがあり、好ましくない。歯部3の出具合を良くするためにはゴム組成物に添加する軟化剤を増量する必要があるが、この場合は耐磨耗性が低下すると共に粘着磨耗がし易くなる。従って、珪藻土の添加量はゴム成分100重量部に対して5〜80重量部の範囲が好ましい。
【0019】
また、珪藻土による油水分の吸着効率を高めるために、搬送用歯付ベルトAのベルト基体2の背面を研磨し、ベルト基体2の背面に珪藻土を露出させるようにするのが好ましい。搬送用歯付ベルトAのベルト基体2の背面の研磨量は、珪藻土を露出させることができればよいだけであるので特に制限されないが、研削深さが0.3mm以上になるように設定するのが好ましい。
【0020】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明する。
先ず、表1の配合で実施例1〜3及び比較例1〜4のゴム組成物を調製した。表1において「S−40」は耐結晶性クロロプレンゴムであり、「M−40」は一般クロロプレンゴムである。この「S−40」と「M−40」の0℃に放置した時間と硬さの変化との関係を図4に示す。
【0021】
【表1】
Figure 0003732889
【0022】
*1 電気化学社製耐結晶性クロロプレンゴム
*2 電気化学社製結晶製中庸グレードクロロプレンゴム
*3 日本合成ゴム社製SBR
*4 天然ゴム
*5 日本合成ゴム社製エチレンプロピレンジエンモノマー
*6 協和化学社製MgO
*7 ユニロイヤル社製ジフェニルアミン系老化防止剤
*8 東海カーボン社製「シーストSO」
*9 サンオイル社製「Circo Light R.P.O」
*10 精工化学社製「Ozonone 6C」
*11 精工化学社製「Suntight C」
*12 三新化学社製エチレンチオ尿素「サンセラー22」
一方、歯布4として表2に示す組織の帆布を用いると共に、歯布4を接着するためのRFL(レゾルシン・ホルマリン・ラテックス)処理液として表3に示す配合物を用い、さらに心線1として後出の表4,5に示す繊維を用いた。
【0023】
【表2】
Figure 0003732889
【0024】
【表3】
Figure 0003732889
【0025】
*1 スチレン・ブタジエン・ビニルピリジン三元系共重合体ラテックス(ゼオン社製「ニッポール2518FS」)
*2 クロロプレンラテックス(電気化学社製「LV−60」)
*3 富士色素社製顔料
そして、上記のゴム組成物、歯布4、RFL処理液、心線1を用い、エンドレスの搬送用歯付ベルトAを成形した。すなわち、まず表2の経糸と緯糸を経糸密度250本/5cm、緯糸密度300本/5cmで製織した帆布を水中で振動を与えて製織時の幅の約1/2にまで収縮させたあと、表3のRFL処理液に浸漬して一対のロールで0.5kgf/cm(ゲージ圧)で絞った後、さらにこの帆布をもう一度同じ条件でRFL処理液に浸漬して絞り、乾燥することによって歯布4とした。また、表4,5に示す繊維のフィラメントを所定本数引き揃えて無撚りのマルチフィラメントのストランドを形成し、このストランド1本を撚り数40回/10cmで上撚り(片撚り)を施して、S,Z一対の撚りロープを作成し、これを表3のRFL処理液に浸漬して乾燥することによって、心線1とした。そして上記の歯布4を筒状にして金型内にセットすると共にその上からS,Z一対の心線1を心線ピッチ0.44mm、張力1.0kgf/本で交互に巻き付け、次にその上からゴム組成物のシートを巻き付け、加圧・加硫することによって、スリーブ状の成形品を製造し、これを所定幅に切断することによって、エンドレスの搬送用歯付ベルトを作製した。
【0026】
成形して得られた実施例1〜3及び比較例1〜4の搬送用歯付ベルトAの寸法を表4及び表5に示す。ここで、搬送用歯付ベルトAの歯部3は丸歯として形成し、また搬送用歯付ベルトAのベルト基体2の背面を0.3mm研磨した。また、各実施例1〜3及び比較例1〜4の搬送用歯付ベルトAを懸架する歯付きプーリ6の歯溝18等の寸法についても表4及び表5に示す。
【0027】
【表4】
Figure 0003732889
【0028】
【表5】
Figure 0003732889
【0029】
そして上記の実施例1及び比較例1〜3で得た搬送用歯付ベルトAについて、摩擦係数、電気抵抗値、耐磨耗性、粘着性、脆化温度、耐油水性を測定した。
摩擦係数の測定は図7(a)に示す測定器を用いて行なった。すなわち、ベース板22の上にテレホンカード23を磁気面を上にして置き、この上に幅6.4mm×長さ20mmに切断した搬送用歯付ベルトAをベルト基体2の背面が下になるように載置し、ばね秤24に接続した重量100gf(=Mとする)の重り25を搬送用歯付ベルトAの上に載せ、テレホンカード23を矢印方向へ移動速度300mm/minで移動させたときのばね秤24の最大目盛りを摩擦力Fとして読み、摩擦係数μ=F/Mとして算出した。摩擦係数の測定は25℃、0℃、−35℃の条件下でそれぞれ行なった。また実施例1と比較例1については、0℃に100時間放置したものについても、0℃で摩擦係数を測定した。
【0030】
電気抵抗値の測定は、搬送用歯付ベルトAのベルト基体2の背面上において50mmの間隔で端子を配置し、加電圧500Vでベルト基体2の背面の電気抵抗値を計測することによって行なった。
耐磨耗性の測定は、図7(d)に示すように、直径65mmのロール27の外周にゼロックス用紙28を巻き付け、搬送用歯付ベルトAのベルト基体2の背面が45°の外周角度でゼロックス用紙28に接触するように、搬送用歯付ベルトAの上端を固定すると共に下端に0.4kgfの重り29を取り付け、ロール27を15rpmの速度で2時間回転させた際の、搬送用歯付ベルトAの磨耗量を計測することによって行なった。
【0031】
耐汚れ性の測定は、図7(c)に示す測定器を用いて行なった。すなわち、移動台35の上にエタノールをしみ込ませたテレホンカード23を取り付け、500gfの重り36を設けた押さえ板37の下面に幅6.4mm×長さ20mmに切断した搬送用歯付ベルトAをベルト基体2の背面が下になるように取り付け、押さえ板37を固定部38に結合することによって固定した。そして移動台35を矢印のように移動距離40mm、移動速度300mm/sec、30往復の条件で移動させ、テレホンカード23に汚れが付着しているかどうかを観察した。
【0032】
粘着性の測定は、同様に図7(c)に示す測定器を用いて行なった。すなわち、移動台35の上にエタノールをしみ込ませたナイロン帆布40を取り付け、5kgfの重り36を設けた押さえ板37の下面に幅6.4mm×長さ20mmに切断した搬送用歯付ベルトAをベルト基体2の背面が下になるように取り付け、押さえ板37を固定部38に結合することによって固定した。そして移動台35を矢印のように移動距離40mm、移動速度300mm/min、50往復の条件で移動させ、搬送用歯付ベルトAの粘着性の有無を観察した。
【0033】
脆化温度の測定は、JIS K 6231に準拠して行なった。上記の各測定結果を表6に示す。
また耐油水性の測定は、図7(b)に示す測定器を用いて行なった。すなわち、ベース板30の上に移動台31を載置し、移動板31の上に幅4.4mm×長さ100mmに切断した搬送用歯付ベルトAをベルト基体2の背面が上になるように取り付け、この下の搬送用歯付ベルトAの上に磁気面を上にしたテレフォンカード23を載置すると共に、テレフォンカード23の上に、幅4.4mm×長さ25mmに切断した搬送用歯付ベルトAをベルト基体2の背面が下になるように重ね、ばね秤32に接続した重量500gfの重り34をこの上の搬送用歯付ベルトAの上に載せた。そして油粘土5gをエターノル180ccに混合して十分に攪拌すると共に濾紙で固形分を濾過することによって油粘土溶液を調製し、テレフォンカード23の磁気面にこの油粘土溶液を塗布した後に、移動台31を矢印へ移動速度300mm/minで移動させたときのばね秤32の最大目盛りを摩擦力Fとして読み取った。そしてこの試験を油粘土溶液を塗布する毎におこなった。油粘土溶液の塗布回数に対する摩擦力の変化を図5に示す。
【0034】
【表6】
Figure 0003732889
【0035】
表6にみられるように、実施例1のものは低温での摩擦係数の低下が小さく、特に実施例1と比較例1との比較にみられるように、実施例1のものは低温に長時間放置しても摩擦係数の低下が小さく、耐結晶性クロロプレンゴムの配合による効果が確認される。また実施例1のものは耐汚れ性や粘着性が良好であり、珪藻土の配合による効果が確認される。
【0036】
また、図5にみられるように、油粘土溶液塗布回数が多くなっても、摩擦力の低下は小さく、珪藻土の配合による効果が確認される。
次に、実施例1〜3及び比較例1〜4で得た搬送用歯付ベルトAについて、歯付プーリ6に懸架して走行駆動せたときの速度変動率を測定した。速度変動率の測定は図8(a)に示す速度変動率測定装置42を用いて行なった。すなわち、駆動側歯付プーリ6aと従動側歯付きプーリ6bとの間に搬送用歯付ベルトAを懸架し、搬送用歯付ベルトAに張力300gfを付与するために従動側歯付プーリ6bを移動させ、搬送用歯付ベルトAに600gfの軸荷重を与え、駆動側歯付プーリ6aを450rpmで回転させて動的軸荷重が600gfになっているか確認した。そして軸荷重が安定した後、搬送用歯付ベルトAの走行速度をセンサー44で計測すると共に速度ムラ測定機43にて速度ムラを測定し、FFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)アナライザー45で速度変動率(ワウフラッター)を算出した。ここで、速度変動率を測定する速度ムラ測定機43としては、レーザー光のドップラー効果を利用した非接触速度ムラ測定器を使用した。尚、速度変動率は、図8(b)に示すように、平均的な回転速度V0 に対する回転速度の変動量ΔVの百分率として、次式で定義されている。
【0037】
速度変動率(ワウフラッター)=(ΔV/V0 )×100%
速度変動率の測定結果を図6に示す。図6にみられるように、歯間ピッチが0.75〜1.1mmの範囲に設定されている実施例1,2,3のものでは速度速度変動率が0.35%以下であるのに対して、歯間ピッチが1.1mmを超える比較例1〜3のものでは速度速度変動率が1%以上になっており、各実施例のものは速度変動率が小さくなることが確認される。また歯間ピッチが0.75未満の比較例4のものでは歯飛び現象が発生して測定が不可能であった。
【0038】
【発明の効果】
上記のように本発明は、ベルト基体と歯部を形成するゴム層を耐結晶性のクロロプレンゴムを含有するゴム組成物で形成するようにしたので、耐結晶性のクロロプレンゴムは低温環境下に長時間放置しても結晶化が生じ難く、結晶化によって硬度上昇が生じることを抑制することができ、搬送用歯付ベルトの低温時の摩擦係数の低下を防ぐことができるものであり、苛酷な環境温度下においても支障なく使用することができるものである。
【0039】
また、ベルト基体と歯部を形成するゴム層を、ゴム成分100重量部に対して珪藻土を5〜80重量部添加したゴム組成物で形成し、ベルト基体の背面を研磨して珪藻土をベルト基体の背面で露出させるようにしたので、油水分が搬送用歯付ベルトに付着しても、この油水分を珪藻土に吸着させることができ、油水分によって搬送用歯付ベルトの摩擦係数が低下することを防ぐことができるものである。
【0040】
また、歯部を丸歯の歯形状に形成するようにしたので、歯部が歯付プーリに噛合する際に歯部の根元に応力が集中しないようにすることができ、歯部にクラック等が生じることを低減できるものであり、また、歯間ピッチを0.75〜1.1mmの範囲に設定したので、歯欠けや歯飛び現象の問題が生じることなく、搬送用歯付ベルトの速度変動量を小さくすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の搬送用歯付ベルトの実施の形態を示す一部の断面図である。
【図2】本発明の搬送用歯付きベルトと歯付プーリの実施の形態を示す一部の断面図である。
【図3】搬送装置の一例を示す概略図である。
【図4】実施例及び比較例のゴム組成物に使用するクロロプレンゴムの0℃放置時間と硬さの変化との関係を示すグラフである。
【図5】油粘土溶液塗布回数と摩擦力の変化との関係を示すグラフである。
【図6】速度変動率を示すグラフである。
【図7】(a)は摩擦係数の測定に用いる測定器の概略図、(b)は耐油水性の試験に用いる測定器の概略図、(c)は耐汚れ性や粘着性の試験に用いる測定器の概略図、(d)は耐磨耗性の測定に用いる測定器の概略図である。
【図8】(a)は速度変動率測定装置を示す概略図、(b)は速度変動率の定義を説明するグラフである。
【符号の説明】
1 心線
2 ベルト基体
3 歯部
4 歯布
5 ゴム層
6 歯付プーリ

Claims (4)

  1. 心線が埋設されたベルト基体の内面に長手方向に沿って所定間隔で歯部を突設すると共に歯部の表面に歯布を被覆し、ベルト基体と歯部とをゴム層で形成した搬送用歯付ベルトにおいて、ベルト基体と歯部を形成するゴム層を耐結晶性のクロロプレンゴムを含有すると共にゴム成分100重量部に対して珪藻土を5〜80重量部添加したゴム組成物で形成し、ベルト基体の背面を研磨して珪藻土をベルト基体の背面で露出させて成ることを特徴とする搬送用歯付ベルト。
  2. 歯部は歯形状が丸歯であり、歯間ピッチが0.75〜1.1mmに形成されていることを特徴とする請求項に記載の搬送用歯付ベルト。
  3. 心線が埋設されたベルト基体の内側面に長手方向に沿って歯部を所定間隔で突設すると共に歯部の表面に歯布を被覆し、ベルト基体と歯部とをゴム層で形成した搬送用歯付ベルトにおいて、歯部を丸歯の歯形状に形成すると共に歯間ピッチを0.75〜1.1mmに形成し、ベルト基体と歯部を形成するゴム層を耐結晶性のクロロプレンゴムを含有すると共にゴム成分100重量部に対して珪藻土を5〜80重量部添加したゴム組成物で形成し、ベルト基体の背面を研磨して珪藻土をベルト基体の背面で露出させて成ることを特徴とする搬送用歯付ベルト。
  4. 心線が埋設されたベルト基体の内面に長手方向に沿って歯部を所定間隔で突設すると共に歯部の表面に歯布を被覆して形成され、且つベルト基体と歯部とがゴム層で形成された搬送用歯付ベルトを、複数の歯付プーリ間に巻き掛けて走行駆動させる搬送用歯付ベルト駆動装置において、搬送用歯付ベルトの歯部を丸歯の歯形状に形成すると共に歯間ピッチを0.75〜1.1mmに形成し、ベルト基体と歯部を形成するゴム層を耐結晶性のクロロプレンゴムを含有すると共にゴム成分100重量部に対して珪藻土を5〜80重量部添加したゴム組成物で形成し、ベルト基体の背面を研磨して珪藻土をベルト基体の背面で露出させて成ることを特徴とする搬送用歯付ベルト駆動装置。
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