JP3732431B2 - 過給式ディーゼル機関の給排気オーバラップ変更装置 - Google Patents

過給式ディーゼル機関の給排気オーバラップ変更装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディーゼル機関、特に水上あるいは水中作業船の主機関として使用される過給式ディーゼル機関の給排気オーバラップ変更装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水上あるいは水中で作業を行う作業船の主機関としては、排気管を通じて、排気ガスを水中に排出するディーゼル機関が採用されているものがある。
【0003】
そのような作業船に用いられるディーゼル機関においては、排気管を通じて排気ガスを水中に排出する構造であるので、水の逆流を防止するために前記排気管内の排気圧力が一定圧力を超えるまで、前記排気管の外部への連通を遮断する開閉弁が排気管の途中に設けられている。そして、前記排気管内の圧力が一定圧力を超えると、前記開閉弁を開き、前記開閉弁が開いた後は、機関の排出ガス量によるガス流速を確保して前記水の逆流を防止し、機関の運転を継続するようになっている。
【0004】
ところで、図8に示すように、ディーゼル機関の給気弁101及び排気弁102は、ピストン103の上死点付近の給排気行程において、同時に開となる。これを給排気弁101,102のオーバラップというが、それは、過給式ディーゼル機関において、負荷運転時に
給気圧力(Pin)>排気圧力(Pex)
の状態で、給気ポート104から給気が燃焼室105に流入し、排気ポート106を経て排気管107に流出することにより、燃焼室部材を冷却し、熱負荷を低減させることを目的としている。
【0005】
前述したような作業船では、機関起動時には、前記開閉弁が開くまでの間は給気圧力よりも排気圧力が高くなるので、ディーゼル機関は主として圧縮機として機能しなければならず、この場合には、給排気の圧力差は、前述した負荷運転時とは逆で、
給気圧力(Pin)<排気圧力(Pex)
となる。
【0006】
よって、機関起動開始時から前記開閉弁が開くまでのある回転数範囲では、給気圧力よりも排気圧力が高くなるので、給気室に排気ガスが逆流し、排気管内圧力を一定圧力まで昇圧することができない。
【0007】
そのような排気の昇圧不足を防止するためには、給気圧力が排気圧力よりも高い時に、給排気弁の開弁期間のオーバラップを小さくし、排気ガスの逆流を防止する方法が知られている。すなわち、従来のディーゼル機関の場合において、1回に投入する燃料の量がそれほど多くない(平均有効圧力が低い)場合、熱負荷も大きくない。従って、給排気弁のオーバラップは小さく固定し、それで起動時及び高負荷運転時に対処している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、1回に投入する燃料の量が多い(平均有効圧力が高い)場合には、熱応力を従来のディーゼル機関のレベルに抑えるためには、給排気弁のオーバラップを通常のディーゼル機関並に大きくする必要があり、前述した給排気弁のオーバラップを小さくする技術をそのまま適用することができない。
【0009】
また、固定カムを用いて給排気弁の開閉タイミングを制御している場合には、給排気弁のオーバラップを小さくすれば、十分な実質圧縮比が得られず、起動性が低下する。すなわち、固定カムを用いて給排気弁の開閉タイミングを制御する場合には、開弁角度が同じであるため、給排気弁のオーバラップを小さくしようとして、給気弁の開時期を遅らせると、それに伴い給気弁の閉時期も遅れる。その結果、圧縮始めが遅れて実質圧縮比が小さくなり、起動性が低下することになる。
【0010】
それに加えて、オーバラップを小さくしたままでは、高負荷運転時に、燃焼室を通過する給気量が減少し、燃焼室部材温度が上昇し、高出力を発揮することができない。
【0011】
一方、給気圧力が排気圧力よりも高い時に、給排気弁のオーバラップを小さくすることなく、そのオーバラップが大きいままでは、上述したような給気への排気ガスの逆流が発生し、起動時の排気ガスの昇圧をすることができない。
【0012】
ところで、機関が低速負荷時や高速負荷時である場合において、弁リフト特性を油圧若しくは電気的に変化させることで、オーバラップを変更するもの(例えば特許第2994112号公報、特許第2982604号公報参照)、多種のカムプロフィールを持つ複数のカムを変更することで、オーバラップを変更するもの(例えば特許第2999606号公報参照)が提案されているが、いずれも複雑な機構を有するものであり、また、排気圧力が機関起動時に高くなるという特殊な条件下で使用されるものではない。
【0013】
この発明は、簡単な構造でもって、起動性を損なうことなく、給気側に排気が逆流するのを防止し、より高い出力を発揮することができる過給式ディーゼル機関の給排気オーバラップ変更装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、排気管の途中に、前記排気管内の排気圧力が一定圧力を超えると開放される開閉弁が途中に設けられ、前記排気管を通じて排気ガスが水中に排出される過給式ディーゼル機関の給排気オーバラップ変更装置において、前記ディーゼル機関の給気弁及び排気弁の開弁期間のオーバラップを、通常運転時の第1のオーバラップとその第1のオーバラップより小さい第2のオーバラップとの間で変更可能であるオーバラップ変更手段と、前記ディーゼル機関の回転数又は排気圧力に基づき機関起動時においてオーバラップ変更を必要とする時期を検出する機関起動時オーバラップ変更必要時期検出手段と、前記機関起動時オーバラップ変更必要時期検出手段よりの信号を受け、機関起動時のみ前記オーバラップ変更手段を制御して、前記第2のオーバラップとする制御手段とを備える。
【0015】
請求項1の発明によれば、排気管は、排気管内の排気圧力が一定圧力を超えると開放される開閉弁にて外部との連通が遮断されているので、機関起動時においては、給気圧力よりも排気圧力が高くなるが、給排気弁のオーバラップを、通常運転時の第1のオーバラップより小さい第2のオーバラップとするため、給気側に排気ガスが逆流するのが防止される。ディーゼル機関の回転数又は排気圧力に基づいて機関起動時のオーバラップ変更必要時期を検出するようにしているので、初期の起動性には影響を与えず逆流の防止が必要な範囲での給排気弁のオーバラップの変更が可能となる。
【0016】
初期の起動性を損なうことなく、起動時に給気側へ排気ガスが逆流するのを防止するために、請求項2に記載のように、前記ディーゼル機関の機関回転数を検出する回転数検出手段を備え、前記機関起動時オーバラップ変更必要時期検出手段は、前記回転数検出手段よりの信号を受け、前記ディーゼル機関の起動開始後、排気圧力が給気圧力を上回る機関回転数範囲を機関起動時のオーバラップ変更必要時期であると判定するものであるようにしたり、請求項3に記載のように、前記ディーゼル機関の排気圧力を検出する圧力検出手段を備え、前記機関起動時オーバラップ変更必要時期検出手段は、前記圧力検出手段よりの信号を受け、前記ディーゼル機関の起動開始後、排気圧力が給気圧力を上回る排気圧力範囲を、機関起動時のオーバラップ変更必要時期であると判定するものであるようにしたりすることができる。
【0017】
すなわち、排気圧力が高くならない起動直後の機関回転数では、給排気弁のオーバラップが通常運転時の第1のオーバラップとなるので、正規の圧縮比とされ、起動性は確保される。
【0018】
また、請求項4に記載のように、前記オーバラップ変更手段は、前記給気弁及び排気弁をロッカアームを介して開閉動作させるプッシュロッドの下端部と、給気用及び排気用の固定カムを有するカム軸の前記固定カムとの間に、一端部をそれぞれ介在させている給気用及び排気用の揺動アームと、前記揺動アームの他端部に連結され、回転により前記揺動アームの支点を変更することで給排気弁の開閉時期が通常のタイミングで開閉する通常バルブタイミングと、排気弁の開閉時期を早め、給気弁の開閉時期を遅らせる起動バルブタイミングとを切り換えるタイミング切換用クランク軸と、前記タイミング切換用クランク軸に設けられたピニオンと、このピニオンに噛み合うラックと、このラックを駆動するラック駆動手段とを備える構成することができる。
【0019】
このようにすれば、タイミング切換用クランク軸を回転させて揺動アームの揺動支点を変更することで、給排気弁の開閉時期が通常のタイミングで開閉する通常バルブタイミングと、排気弁の開閉時期を早め、給気弁の開閉時期を遅らせる起動バルブタイミングとが選択的に切り換えられ、給排気弁のオーバラップの変更が簡単になされる。また、このタイミング切換用クランク軸の回転を、ラックとピニオンとの噛み合いにて行うようにしているので、構造が簡単かつ部品点数を少なくすることができ、信頼性の向上を図ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0021】
図1は本発明に係る過給式ディーゼル機関の給排気オーバラップ変更装置が用いられる作業船の説明図である。
【0022】
図1に示すように、作業船1は、ディーゼル機関2によって駆動されるもので、そのディーゼル機関2の排気管3が水面下に位置し、排気ガスを水中に排出するようになっている。排気管3の途中には、前記排気管3内の排気圧力が一定圧力を超えると開放される電磁開閉弁10が設けられている。
【0023】
ディーゼル機関2は、発電機5を駆動し、その発電機5によって発生する電力によりモータ6を回転して、スクリュー7を回転するようになっている。ディーゼル機関2の給気管は、船内に開放され、図示しない過給機によって過給空気が燃焼室に供給されるように構成されている。なお、9は給気筒である。
【0024】
ここで、電磁開閉弁10を開放した後は、排気管3から排気ガスを排出する構造であるので、排気管3内に溜まった水(例えば海水)を吹き飛ばすと同時に、その直後に、排気管3内に侵入(逆流)しようとする水を吹き飛ばすことが必要である。
【0025】
そのため、前記ディーゼル機関2には、排気風量を増加させるために、クランク軸端に設けられた歯車装置により駆動される過給機(図示せず)が設けられている。
【0026】
前記過給式ディーゼル機関2の給排気オーバラップ変更装置は、図2に概略構成を示すように構成されている。
【0027】
ディーゼル機関2は、2つの給気弁と2つの排気弁とを有する4バルブタイプで、排気口11A,11Bを開閉する排気弁12A,12Bのみを図示している。排気弁12A,12Bの弁軸12a,12bの上端部に一端部が当接するロッカアーム13A,13Bの他端部に、排気弁制御用のプッシュロッド14の上端部が当接している。このプッシュロッド14は、図示しない覆管にて覆われている。このプッシュロッド14の昇降により、ロッカアーム13A,13Bが揺動し、排気口11A,11Bを開閉するようになっている。
【0028】
前記プッシュロッド14の下端部は、排気弁用揺動アーム15の一端部の上側部分に係合している。この揺動アーム15の一端部の下側部分には、ローラ16が回転可能に軸支され、このローラ16が、カム軸17に固定されクランク軸(図示せず)と同期して排気弁12A,12Bを所定のタイミングで開閉させる固定カム18のカム面(外周面)に転動可能に接触している。
【0029】
また、図示しない給気弁側も、給気弁用の揺動アーム21の一端部のローラ22が、カム軸17に固定された給気弁用の固定カム23のカム面に転動可能に接触している。よって、排気弁12A,12B側と同様に、プッシュロッド24の昇降により、ロッカーアームを介して給気弁が所定のバルブタイミングでもって給気口を開閉するようになっている。
【0030】
前記揺動アーム15,21の他端部は、タイミング切換用クランク軸31に回転可能に位相差をもって連結され、クランク軸31が180度回転することで、両揺動アーム15,21の揺動支点(クランク軸31に連結される揺動アーム15,21の他端部)が同時に変更されるように構成されている。これにより、給排気弁が通常のタイミングで開閉する通常バルブタイミングと、排気弁12A,12Bの開閉時期を早め、給気弁の開閉時期を遅らせる起動バルブタイミングとが切り換えられ、給排気弁のオーバラップを変更できるようになっている。このために、給気弁用の揺動アーム21と排気弁用の揺動アーム15との他端部は、前記クランク軸31の中心線に対して直径方向において反対側にずれて連結されている。
【0031】
すなわち、図3に示すように、前記クランク軸31のジャーナル部31a,31bが、軸受け部32,33にて回転可能に支持され、前記ジャーナル部31a,31bに対しクランクピン31c,31dがクランクウエブ31e,31f,31g,31hを介して設けられ、前記クランクピン31c,31dはクランク軸の中心線に対し反対方向に偏心している。なお、図2においては具体的に図示していないが、前記クランク軸31は、軸受メタル34,35を介して軸受け台32,33に支持されている。
【0032】
そして、前記クランク軸31が180度回転することで、図4(a)(b)に示すように、揺動アーム15,21の揺動支点が同時に変更され、前記固定カム18,23に対するローラ16,22の位置関係が通常運転時と起動時とで変更され、通常バルブタイミングと起動バルブタイミングとが切り換えられるようになっている。すなわち、ローラ16,22はそれぞれ固定カム18.23の中心に対してθ1+θ2振られることにより、給排気弁のオーバラップが、図5及び図6に示すように変更され、通常運転時の第1のオーバラップと、その第1のオーバラップより小さい第2のオーバラップとの間で、オーバラップを選択的に変更するオーバラップ変更手段が構成される。
【0033】
前記クランク軸31の一端部には、ラック41に噛み合っているピニオン42が設けられている。ラック41は、空気シリンダ43のピストンロッド43aに連結され、空気シリンダ43が伸縮動作することで進退動作し、その進退動作によりピニオン42従ってクランク軸31を所定の回転方向に180度回転することができるようになっている。
【0034】
このタイミング切換用クランク軸31の、ラック41とピニオン42を介しての180度の回転運動により前記両揺動アーム15,21を揺動支点を変更している。この際、ローラ16,22の移動距離ができるだけ少なくなるようにするために、両ローラ16,22を同時に反対方向に移動させ、バルブタイミングを大きく変えるようにしている。
【0035】
ここで、空気シリンダ43のストロークを、ラック41とピニオン42を介して180度の回転運動に変えているが、できるだけローラ16,22の移動距離を少なくするために、給気弁側のローラ22及び排気弁側のローラ16を同時に反対方向に移動させ、タイミングを大きく変えるようにしている。
【0036】
前記空気シリンダ43は、前記空気シリンダ43に供給する空気を調整する2つの電磁切換弁44,45を途中に有する空気通路46を介して空気源(図示せず)に接続されている。前記電磁切換弁44,45は継電器盤47に電気的に接続され、この継電器盤47からの制御信号によって前記電磁切換弁44,45が切換制御され、空気シリンダ43の作動が制御されるようになっている。前記電磁切換弁44,45は、ディーゼル機関2の機関回転数又は排気圧力に応じて継電器盤47によって切換制御される。
【0037】
このようにして、ラック41を駆動するラック駆動手段を、空気シリンダ43、電磁切換弁44,45及び継電器盤47によってが構成しているので、機関回転数又は排気圧力に応じて、空気シリンダ43を電気的に制御し、空気シリンダ43を伸縮動作させれば、信頼性を確保して、オーバラップの変更を簡単に行うことができる。
【0038】
前記継電器盤47には、主機であるディーゼル機関2の機関回転数を検出する回転数センサ48又は排気圧力センサ49よりの信号が入力されるようになっており、排気管3内の排気圧力が高い機関回転数範囲又は排気圧力範囲での運転時と、その運転時を除く通常運転時とで、給排気弁の開弁期間のオーバラップを変更するように構成されている。
【0039】
すなわち、前記ディーゼル機関2は、給排気弁のオーバラップが、通常運転時の第1のオーバラップあるいはその第1のオーバラップより小さいオーバラップである第2のオーバラップに選択的に変更可能になっている。そして、回転数センサ48から排気圧力が吸気圧力より高い機関回転数であるとの信号が入力されると、第1のオーバラップから第2のオーバラップに変更され、排気圧力が一定圧力以上になると、第2のオーバラップから第1のオーバラップに戻される。ここで、継電器盤47が、前記回転数センサ48よりの信号を受け、前記ディーゼル機関の起動開始後、排気圧力が給気圧力を上回る機関回転数範囲を機関起動時のオーバラップ変更必要時期であると判定する機関起動時オーバラップ変更必要時期検出手段およびこの検出手段よりの信号を受け、機関起動時のオーバラップ変更必要時期に空気シリンダ43(オーバラップ変更手段)を制御して、前記第2のオーバラップとする制御手段との機能を備えている。
【0040】
ここで、給気圧力が排気圧力を上回る機関回転数範囲では、前記オーバラップの小さい第2のオーバラップとしないのは、初期の起動性を確保するためである。
【0041】
すなわち、固定カム18,23を用いているため、給排気弁の開弁角度は同じであり、従って開閉時期が遅れれば、閉弁時期も遅れることになる。給排気弁のオーバラップが少ない起動バルブタイミングにおいては、給気弁の閉弁時期が遅れるということは、圧縮開始が遅れて、実質圧縮比が小さくなることを意味し、起動性が悪くなる。ディーゼル機関は、圧縮によりシリンダ内が高温となり、霧化した燃料を自然発火燃焼させることで動力を得るので、発火に必要な高温を得るには、一定以上の実質圧縮比を必要とするからである。特に起動時は、いわゆる名目上の圧縮比の値ではなく、給気弁が閉じてからの実質的な圧縮比が問題となる。
【0042】
トラックのディーゼル機関などでグロープラグを用いてシリンダ内を加熱するのも、圧縮後の温度をできるだけ高くして着火しやすくする目的であり、同じくトラックのディーゼル機関で寒冷地仕様があるのも、補助手段を追加して着火性を低温まで確実に保証するためのものである。
【0043】
そこで、この実質圧縮比が小さいという欠点を補うため、本発明に係る装置は、排気圧力が高くならない起動直後の機関回転数範囲では、前記オーバラップの小さい第2のオーバラップとしないようにしているのである。
【0044】
さらに詳述すれば、気温の低い時期に、長期間機関を停止したり、機関を開放復旧したときの最初の起動時に、いくら起動空気を投入してもなかなか着火しないことがある。これは、燃料噴射系に空気が混入して、燃料の噴霧がよくないことと、機関全体が冷え切っており、圧縮しても、その熱がシリンダの壁面に吸収されて温度が上昇しにくいことが原因である。
【0045】
しかし、1回着火し始めたシリンダは、その後は失火することなく、そのうち徐々に着火シリンダが増加し、通常のアイドリング状態になる。このことは、1回着火すれば、シリンダ壁面の温度が急激に上昇するため、その後は、多少実質圧縮比を小さくしても、着火には問題がないことを示している。
【0046】
そのため、本発明に係る装置は、排気圧力がまだ高くなっていない起動初期の着火時には、実質圧縮比の高い通常バルブタイミング(第1のオーバラップ)を使用して、初期の起動性を確保し、排気圧力が上昇する時期に、第1のオーバラップよりオーバラップが小さい第2のオーバラップになる起動バルブタイミングへ変更するようにしているのである。
【0047】
続いて、上記装置の動作について説明する。
【0048】
通常運転時には、固定カム18,23を備えるカム軸17が回転されることにより、固定カム18,23により揺動アーム15,21の一端部(ローラ16,22)が押し上げられ、その一端部の変位がプッシュロッド14,24を介して給排気弁(排気弁12A,12Bのみ図示)に伝達され、それによって、通常のバルブタイミングでもって給排気弁の開閉が行われ、給排気弁のオーバラップは第1のオーバラップとなる。
【0049】
そして、排気圧力が給気圧力を上回る機関回転数になると、それを回転数センサ48が検出して、継電器47を介して、電磁切換弁44,45が制御され、空気源から空気通路46を介して空気シリンダ43に圧力空気が供給される。それによって、空気シリンダ43が伸長動作して、ラック41を移動させる。
【0050】
そのラック41の移動に伴い、ピニオン42が180度回転し、そのピニオン42の回転によりタイミング切換用クランク軸31が180度回転することになる。これにより、揺動アーム15,21の揺動支点が変化せしめられ、給排気弁のオーバラップが、第1のオーバラップから第2のオーバラップに変更される。すなわち、揺動アーム15,21の支点を変更することによって固定カム18に対するローラ16,22の接触タイミングが変化せしめられ、バルブタイミングが変化することになる。
【0051】
このとき、起動時の水の逆流を防止するために、排気圧力が一定圧力以上になるまで開閉弁10が閉とされている。
【0052】
それから、排気圧力が一定圧力以上になると、電磁開閉弁10が開となって、排気ガスが水中に排出される。
【0053】
よって、排気圧力が給気圧力よりも低くなる機関回転数になると、それを回転数センサ48が検出して、継電器47を介して、電磁切換弁44,45が制御され、空気シリンダ43によるラック41の移動により、前述した場合とは逆に、給排気弁のオーバラップが、第2のオーバラップから、圧縮比の高い第1のオーバラップに変更され、通常の運転とされる。よって、図7に示すように、排気圧力が給気圧力を上回る機関回転数範囲だけ、給排気弁のオーバラップの小さい起動バルブタイミングになるように、回転数の電圧リレーを用いて自動的にタイミングを変更し、排気ガスの給気室への逆流を防止するようにしている。
【0054】
これにより、構造を複雑とすることなく、起動性を確保すると共に、排気ガスの給気室への逆流防止及び高出力の発揮を可能としているのである。
【0055】
また、前記第1及び第2のオーバラップの変更は、タイミング切換用クランク軸31の180度の回転運動により、給気弁用のローラ22及び排気弁用のローラ16を同時に反対方向に移動させ、タイミングを大きく変えるようになっており、ローラ16,22の移動距離ができるだけ少なくなるようにしている。
【0056】
図7は起動時におけるディーゼル機関の回転数と排気圧力との時間的変化を示したもので、排気圧力が高くなるのは、ある回転数範囲であることがわかり、電磁開閉弁10を開放した後は低下することがわかる。
【0057】
よって、この排気圧力の変化を検出して、通常バルブタイミングから起動バルブタイミングに変更して、オーバラップを小さくする起動時を検出するようにしてもよい。すなわち、ディーゼル機関の排気圧力を検出する圧力検出センサ(圧力検出手段)を排気管3の電磁開閉弁10上流側に対して設け、前記圧力検出センサよりの信号を受け、前記ディーゼル機関の起動開始後、排気圧力が給気圧力を上回り、その後低下するまでの間を、機関起動時のオーバラップ変更必要時期であると判定する機関起動時オーバラップ変更必要時期検出手段を用いることもできる。また、前記機関回転数及び排気圧力を併用して、機関の起動時を検出するようにすることも可能である。
【0058】
【発明の効果】
この発明は、以上に説明したように実施され、以下に述べるような効果を奏する。
【0059】
請求項1の発明は、開閉弁が閉じられる機関起動時においては給気圧力よりも排気圧力が高くなるが、制御手段によってオーバラップ変更手段を制御して、給排気弁の開弁期間のオーバラップを、通常運転時の第1のオーバラップより小さい第2のオーバラップとするようにしているので、構造を複雑にすることなく、機関起動時において給気側に排気ガスが逆流するのを防止し、排気の昇圧不足を防止することができる。また、ディーゼル機関の回転数又は排気圧力に基づいて機関起動時を検出するようにしているので、初期の起動性に影響を与えない範囲でのオーバラップの変更が可能となる。
【0060】
請求項2に記載のように、前記ディーゼル機関の始動開始後、排気圧力が給気圧力を上回る機関回転数範囲を機関起動時のオーバラップ変更必要時期であると判定したり、請求項3に記載のように、前記ディーゼル機関の始動開始後、排気圧力が給気圧力を上回り、その後低下するまでの間を、機関起動時のオーバラップ変更必要時期であると判定したりするようにすれば、簡単な制御でもって、ディーゼル機関の回転数又は排気圧力に基づいて、初期の起動性を損なうことなく、起動時に給気側へ排気ガスが逆流するのを防止することができる。
【0061】
また、請求項4に記載のように、前記オーバラップ変更手段を、クランク機構を利用して構成すれば、給排気弁それぞれについて1つの固定カムで、給排気弁のオーバラップを変更することができ、構造が簡単かつ部品点数を少なくでき、信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る過給式ディーゼル機関の給排気オーバラップ変更装置が用いられる作業船の説明図である。
【図2】本発明に係る過給式ディーゼル機関の給排気オーバラップ変更装置の概略構成図である。
【図3】本発明に係るタイミング調整用クランク軸の説明図である。
【図4】本発明に係る揺動アームのローラ位置と固定カムとの関係を示す図で、(a)は排気弁側、(b)は給気弁側をそれぞれ示す。
【図5】本発明に係る給排気弁のバルブタイミングの説明図である。
【図6】本発明に係る給排気弁の弁リフト量の説明図である。
【図7】本発明に係る起動時におけるディーゼル機関の回転数及び排気圧力の時間的変化を示す説明図である。
【図8】ディーゼル機関の要部断面図である。
【符号の説明】
1 作業船
2 ディーゼル機関
3 排気管
10 電磁開閉弁
12A,12B 排気弁
13A,13B ロッカアーム
14,24 プッシュロッド
15,21 揺動アーム
17 カム軸
18,23 固定カム
31 タイミング切換用カム軸
41 ラック
42 ピニオン
43 空気シリンダ
44,45 電磁切換弁
46 空気通路
47 継電器盤
48 回転数センサ

Claims (4)

  1. 排気管の途中に、前記排気管内の排気圧力が一定圧力を超えると開放される開閉弁が途中に設けられ、前記排気管を通じて排気ガスが水中に排出される過給式ディーゼル機関の給排気オーバラップ変更装置において、
    前記ディーゼル機関の給気弁及び排気弁の開弁期間のオーバラップを、通常運転時の第1のオーバラップとその第1のオーバラップより小さい第2のオーバラップとの間で変更可能であるオーバラップ変更手段と、
    前記ディーゼル機関の回転数又は排気圧力に基づき機関起動時においてオーバラップ変更を必要とする時期を検出する機関起動時オーバラップ変更必要時期検出手段と、
    前記機関起動時オーバラップ変更必要時期検出手段よりの信号を受け、機関起動時のみ前記オーバラップ変更手段を制御して、前記第2のオーバラップとする制御手段とを備えることを特徴とする過給式ディーゼル機関の給排気オーバラップ変更装置。
  2. 前記ディーゼル機関の機関回転数を検出する回転数検出手段を備え、
    前記機関起動時オーバラップ変更必要時期検出手段は、前記回転数検出手段よりの信号を受け、前記ディーゼル機関の起動開始後、排気圧力が給気圧力を上回る機関回転数範囲を機関起動時のオーバラップ変更必要時期であると判定するものである請求項1記載の過給式ディーゼル機関の給排気オーバラップ変更装置。
  3. 前記ディーゼル機関の排気圧力を検出する圧力検出手段を備え、
    前記機関起動時オーバラップ変更必要時期検出手段は、前記圧力検出手段よりの信号を受け、前記ディーゼル機関の起動開始後、排気圧力が給気圧力を上回る排気圧力範囲を、機関起動時のオーバラップ変更必要時期であると判定するものである請求項1記載の過給式ディーゼル機関の給排気オーバラップ変更装置。
  4. 前記オーバラップ変更手段は、
    前記給気弁及び排気弁をロッカアームを介して開閉動作させるプッシュロッドの下端部と、給気用及び排気用の固定カムを有するカム軸の前記固定カムとの間に、一端部をそれぞれ介在させている給気用及び排気用の揺動アームと、
    前記揺動アームの他端部に連結され、回転により前記揺動アームの支点を変更することで給排気弁の開閉時期が通常のタイミングで開閉する通常バルブタイミングと、排気弁の開閉時期を早め、給気弁の開閉時期を遅らせる起動バルブタイミングとを切り換えるタイミング切換用クランク軸と、
    前記タイミング切換用クランク軸に設けられたピニオンと、
    このピニオンに噛み合うラックと、
    このラックを駆動するラック駆動手段とを備えるものである請求項1〜3のいずれかに記載の過給式ディーゼル機関の給排気オーバラップ変更装置。
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