JP4577469B2 - 可変バルブタイミング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの吸気弁や排気弁の開閉タイミングを調整する可変バルブタイミング装置に関するものである。
【0002】
【関連する背景技術】
周知のように、エンジンから排出される未燃HCの多くは冷態始動時のものであり、その対策として、触媒の性能向上や容量増大等が図られている。しかしながら、この触媒に関する対策のみで冷態始動時の多量の未燃HCを浄化するには、触媒への貴金属の使用量が大幅に増加してコスト効率が悪いという問題がある。
【0003】
そこで、例えば特開平11−336574号公報に記載の可変バルブタイミング装置では、冷態始動時において吸排気弁の開閉タイミングを触媒の昇温に適した値に制御して、触媒の早期活性化を図っている。この冷態始動モードは、例えばエンジンの完爆から1sec後に開始されて所定時間経過後に中止されるものであり、吸排気のオーバラップ量を増大させて未燃HCの排出量を増加させながら、排気弁の進角により燃焼中の排ガスを排出させて排気通路内で燃焼させ、このときの所謂後燃え効果により触媒を昇温させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報の可変バルブタイミング装置ではエンジンの状況を考慮することなく、冷態始動モードを一義的に開始していることから、以下に述べる不具合が生じる。
周知のように冷態始動時の初期には、吸気ポート内に噴射された燃料が吸気弁の閉弁中にポート内に溜まり、吸気弁の開弁に伴って筒内に流入する。この燃料は液状のまま或いは気化した状態でピストンに掻き揚げられるが、この時点で冷態始動モードにより排気弁が進角されていると、燃料の一部は排気ポートを素通りして未燃HCとして排出されてしまう。
【0005】
又、後燃え効果を継続させるには筒内温度や排気通路内の温度がある程度上昇している必要があるが、それ以前に冷態始動モードが開始されると排気通路内で排ガスの燃焼が途切れてしまい、却って未燃HCの排出量が増加してしまうという問題もある。
本発明の目的は、始動時専用の制御モードを適切なタイミングで開始し、もって、未燃HCの排出を確実に抑制することができる可変バルブタイミング装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明では、吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを可変させるバルブタイミング可変手段を備えた可変バルブタイミング装置において、エンジン始動時の初爆後に、吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを進角させるようにバルブタイミング可変手段を制御する始動時バルブタイミング制御手段と、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、運転状態に応じて始動時の初爆後の始動時バルブタイミング制御手段の制御開始及び可変速度の少なくとも一方を遅延させると共に、運転状態に応じて始動時バルブタイミング制御手段の制御中止を遅延させる制御遅延手段とを備えた。
【0007】
従って、エンジン始動時の初爆後には、始動時バルブタイミング制御手段によりバルブタイミング可変手段が制御されて、吸気弁又は排気弁の開閉タイミングが進角される。例えば吸気弁の進角時には、一旦排気側に排出された排ガスが内部EGRとして吸気ポート内に逆流して次回の燃焼行程で燃焼されると共に、逆流した排ガスにより吸気ポートの昇温が促進され、これにより未燃HCの排出抑制作用が奏され、又、排気弁の進角時には、燃焼中の排ガスが排出されて排気通路内で燃焼し、後燃え効果により触媒の昇温作用が奏される。
【0008】
吸気弁や排気弁の進角開始が早過ぎると、例えば未燃HCの排出や後燃えの途切れ等を発生するが、このときの制御開始(進角側への制御を開始するタイミング)や可変時間(進角側に制御する速度)が、制御遅延手段によりエンジンの運転状態に応じて遅延されることから、適切なタイミングで制御を開始可能となる。
又、制御中止のタイミングも運転状態に応じて遅延されることにより、後続の制御、例えば空燃比をリーン化したり点火時期をリタードしたりする制御が適切なタイミングで開始されて、これらの制御の開始が早過ぎたときの不具合を回避可能となる。
【0009】
又、請求項2の発明では、吸気弁及び排気弁の開閉タイミングを可変させて、吸気弁及び排気弁のオーバラップ量を変更するバルブタイミング可変手段を備えた可変バルブタイミング装置において、エンジン始動時の初爆後に、オーバラップ量を増大させるようにバルブタイミング可変手段を制御する始動時バルブタイミング制御手段と、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、運転状態に応じて始動時の初爆後の始動時バルブタイミング制御手段の制御開始及び可変速度の少なくとも一方を遅延させると共に、運転状態に応じて始動時バルブタイミング制御手段の制御中止を遅延させる制御遅延手段とを備えた。
【0010】
従って、エンジン始動時の初爆後には、始動時バルブタイミング制御手段によりバルブタイミング可変手段が制御されて、吸気弁及び排気弁のオーバラップ量が変更される。例えば吸気弁の進角によりオーバラップ量を進角側に拡大すると、一旦排気側に排出された排ガスが内部EGRとして吸気ポート内に逆流して次回の燃焼行程で燃焼されると共に、逆流した排ガスにより吸気ポートの昇温が促進され、これにより未燃HCの排出抑制作用が奏される。
【0011】
オーバラップ量の変更開始が早過ぎると、例えば素通りした燃料により未燃HCの排出増加等を発生するが、このときの制御開始(オーバラップ量の増大を開始するタイミング)や可変時間(オーバラップ量を増大させる速度)が、制御遅延手段によりエンジンの運転状態に応じて遅延されることから、適切なタイミングで制御を開始可能となる。
又、制御中止のタイミングも運転状態に応じて遅延されることにより、後続の制御、例えば空燃比をリーン化したり点火時期をリタードしたりする制御が適切なタイミングで開始されて、これらの制御の開始が早過ぎたときの不具合を回避可能となる。
【0012】
又、請求項3の発明では、運転状態検出手段が、エンジン温度と吸気温及びエンジン回転速度の少なくとも一方とを運転状態として検出し、制御遅延手段が、エンジン温度に応じて設定される基準値を吸気温及びエンジン回転速度の少なくとも一方により補正した値に基づいて遅延を実行するものである。
従って、例えば冷却水温等のエンジン温度は、吸気ポートや排気通路内、或いは筒内温度等の昇温状態と相関し、吸気温は始動初期の燃料の気化状態と相関し、エンジン回転速度は筒内に投入された燃料の燃焼状態と相関するため、エンジン温度から求めた基準値を吸気温やエンジン回転速度により補正すれば、吸気弁や排気弁の制御開始や可変速度を適切に遅延させて、その作用が最大限に得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、請求項1及び請求項3の発明を具体化した第1実施形態の可変バルブタイミング装置を説明する。
図1は第1実施形態の可変バルブタイミング装置を示す全体構成図である。この図に示すように、エンジン1は吸気管噴射型エンジンとして構成されており、その動弁機構としてはDOHC4弁式が採用されている。シリンダヘッド2上の吸気カム軸3a及び排気カム軸3bの前端にはタイミングプーリ4a,4bが接続され、これらのタイミングプーリ4a,4bはタイミングベルト5を介してクランク軸6に連結されている。クランク軸6の回転に伴ってタイミングプーリ4a,4bと共にカム軸3a,3bが回転駆動され、これらのカム軸3,3bにより吸気弁7a及び排気弁7bが開閉駆動される。
【0015】
排気カム軸3bとタイミングプーリ4bとの間には、バルブタイミング可変手段としてのベーン式のタイミング可変機構8bが設けられている。タイミング可変機構8bの構成は、例えば特開2000−27609号公報等で公知のため詳細は説明しないが、タイミングプーリ4bに設けたハウジング内にベーンロータを回動可能に設け、そのベーンロータに排気カム軸3bを連結して構成されている。タイミング可変機構8bにはオイルコントロールバルブ(以下、OCVという)9bが接続され、エンジン1のオイルポンプ10から供給される作動油を利用して、OCV9bの切換に応じてベーンロータに油圧を作用させ、その結果、タイミングプーリ4bに対するカム軸3bの位相、即ち、排気弁7bの開閉タイミングを調整するようになっている。
【0016】
一方、シリンダヘッド2の吸気ポート11には吸気通路12が接続され、ピストン16の下降に伴ってエアクリーナ13から吸気通路12内に導入された吸入空気は、スロットルバルブ14の開度に応じて流量調整された後に燃料噴射弁15からの噴射燃料と混合され、吸気ポート11を経て吸気弁7aの開弁時に筒内に流入する。
【0017】
又、シリンダヘッド2の排気ポート17には排気通路18が接続され、点火プラグ19により点火されて燃焼後の排ガスは、排気弁7bの開弁時にピストン16の上昇に伴って排気ポート17から排気通路18に案内され、触媒20及び図示しない消音器を経て外部に排出される。
車室内には、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM,BURAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えた始動時バルブタイミング制御手段及び制御遅延手段としてのECU(エンジン制御ユニット)31が設置されており、エンジン1の総合的な制御を行う。ECU31の入力側には、エンジン回転速度Neを検出する回転速度センサ32、スロットルバルブ14の開度TPSを検出するスロットルセンサ33、冷却水温TWを検出する水温センサ34、吸気温TAを検出する吸気温センサ35、油温TOを検出する油温センサ36等の各種センサが接続されている。又、ECU31の出力側には、前記OCV9b、燃料噴射弁15、点火プラグ19等が接続されている。尚、本実施形態では、回転速度センサ32、水温センサ34、吸気温センサ35により運転状態検出手段が構成されている。
【0018】
ECU31は、各センサからの検出情報に基づいて点火時期及び燃料噴射量等を決定し、点火プラグ19や燃料噴射弁15を駆動制御する。又、予め設定されたマップに従って、エンジン回転速度Ne及びスロットル開度TPSからタイミング可変機構8bの目標位相角を算出し、OCV9bを駆動して実際の位相角を目標位相角に制御する。更に、エンジン1の冷態始動時には、触媒20の昇温を目的として、温態始動時の場合と異なる専用の位相角制御(冷態始動モード)を実行する。
【0019】
そこで、この冷態始動時にECU31により実行される位相角制御を説明する。図2は冷態始動時におけるカム軸の位相角制御を示すタイムチャート、図3は冷態始動時のカム軸の位相変化を順に示した説明図、図4はECUが実行する冷態時位相角制御ルーチンを示すフローチャートである。
エンジン1の停止時において、図2,3の▲1▼に示すように排気カム軸3bの位相は遅角位置に保持されて、吸気行程及び排気行程を含む比較的小さなオーバラップが形成されている。運転者にてイグニションスイッチがスタート操作されると、この位相位置でエンジン1のクランキングが開始されると共に、ECU31にて点火時期制御や燃料噴射制御が開始される。この時点の吸気ポート11は外気温相当のため燃料気化が促進されず、その一部は液状のまま筒内に流入するが、排気弁7bの閉弁が上死点TDC以降のため、一旦排気側に通り抜けた排ガスがピストン16の下降により筒内に引き戻されて次回の燃焼行程で燃焼され、未燃HCを多量に排出することなく初爆に至る。
【0020】
一方、ECU31はクランキング開始と同時に図4の冷態時位相制御ルーチンを所定の制御インターバルで実行し、まず、ステップS2で始動完了か否かを判定する。エンジン1の始動が完了してYESの判定を下すとステップS4に移行し、図5に示すマップより冷却水温TWに基づいて冷態始動モードを開始する際の開始時間T1を求める。図から明らかなように、冷却水温TWが低いほど、換言すればエンジン1が冷えており、吸気ポート11や排気通路18内、或いは筒内温度等が昇温し難い状態であるほど、開始時間T1が大きな値に設定される(制御遅延手段)。
【0021】
次いでステップS6で、図6のマップより吸気温TAから油温TOを減算した差ΔTに基づいて、吸気温補正時間Ta1を求める。図から明らかなように油温TOに対して吸気温TAが低くて差ΔTが小さいほど、つまり燃料が気化し難いほど、吸気温補正時間Ta1が正側の大きな値に設定される。続くステップS8では、図7のマップより実エンジン回転速度Neから目標エンジン回転速度TNeを減算した差ΔNeに基づいて、エンジン回転補正時間Tb1を求める。図から明らかなように目標エンジン回転速度TNeに対して実エンジン回転速度Neが低くて差ΔNeが小さいほど、つまり筒内への投入燃料の燃焼状態が良好でないほど、エンジン回転補正時間Tb1が正側の大きな値に設定される。
【0022】
その後、ステップS10で開始時間T1に吸気温補正時間Ta1及びエンジン回転補正時間Tb2を加算して補正し、ステップS12でエンジン1の完爆から開始時間T1が経過したか否かを判定する。ステップS12の判定がYESになると、ステップS14で冷態始動モードを開始して、図2,3の▲2▼に示すように排気カム軸3bの位相を進角側に制御する(始動時バルブタイミング制御手段)。これにより燃焼中の排ガスが排出されて排気通路18内で燃焼し、このときの後燃え効果により触媒20が昇温される。
【0023】
そして、[発明が解決しようとする課題]でも述べたように、冷態始動モードの開始が早過ぎると、燃料が気化し難い状況や筒内の燃焼状態が良好でない状況では、排気温が低い上に燃焼自体の緩慢化により排気開始時点での筒内温度も低くなり、排気通路18内での排ガスの燃焼が途切れて、未燃HCが発生し易くなる。更に、液状のまま筒内に流入してピストン16に掻き揚げられた燃料の一部が素通りして排気ポート17を経て未燃HCとして排出されるので、排気通路18内の温度が更に低下して排ガスの燃焼が進まなくなる。
【0024】
ここで、上記のように冷却水温TWが低くてエンジン1の各部が昇温し難い状態であるほど、開始時間T1が大きな値に設定されて冷態始動モードの開始が遅延化されるため、又、これらの状況を吸気温TAやエンジン回転速度Neに基づいて補正時間Ta1,Tb2として開始時間T1に反映させているため、各不具合を未然に防止した上で、可能な限り早期に冷態始動モードが開始されて触媒20の昇温が図られることになる。
【0025】
その後、ECU31はステップS16で冷態始動モードの継続時間T2を求め、ステップS18で吸気温補正時間Ta2を、ステップS20でエンジン回転補正時間Tb2を求め、ステップS22で継続時間T2に吸気温補正時間Ta2及びエンジン回転補正時間Tb2を加算して補正する。更にステップS24で冷態始動モードの開始から継続時間T2が経過したか否かを判定し、判定がYESになると触媒20がある程度昇温したと見なし、ステップS26で冷態始動モードを中止して、図2,3の▲1▼に示すように排気カム軸3bの位相を遅角側に戻す。その後、ステップS28で未燃HCの抑制のために空燃比をリーン側に制御すると共に、高い排気温度を継続するために点火時期のリタードを実施して、ルーチンを終了する。
【0026】
ここで、ステップS16の継続時間T2の設定には図5のマップが適用され、ステップS18の吸気温補正時間Ta2の設定には図6のマップが、ステップS20のエンジン回転補正時間Tb2の設定には図7のマップが適用され、結果として冷態始動モードの中止タイミングは、冷却水温TW、吸気温TA、エンジン回転速度Neに基づいて開始タイミングと同様の特性で設定される。周知のように空燃比のリーン化や点火時期のリタードは筒内の燃焼状態を悪化させる要因となることから、燃料気化がある程度促進された段階で開始する必要があるが、例えば吸気温TAが低くて吸気ポート11が緩慢にしか昇温しないときには、図6のマップに基づいて継続時間T2が増加補正され、それに応じてリーン化及び点火リタードの開始タイミングが遅くなるため、燃焼状態の悪化が未然に回避される。
【0027】
以上のように本実施形態の可変バルブタイミング装置では、触媒20の昇温を目的とした冷態始動モードを、始動時の冷却水温TWに応じて開始するようにしたため、冷態始動モードの開始が早過ぎたときの不具合、例えば未燃HCの排出や後燃えの途切れ等を未然に防止した上で、可能な限り早期に冷態始動モードを開始して触媒20を速やかに活性化でき、結果として未燃HCの排出を確実に抑制することができる。
【0028】
更に、冷却水温TWのみならず、吸気温TAに基づく燃料の気化状態やエンジン回転速度Neに基づく筒内の燃焼状態も冷態始動モードの開始時間T1に反映させているため、冷態始動モードの開始タイミングをより一層適切なものとして、その作用を最大限に得ることができる。
一方、冷態始動モードからリーン化及び点火リタードに移行するタイミングについても、エンジン1の運転状態(冷却水温TW、吸気温TA、エンジン回転速度Ne)に基づいて設定しているため、これらのリーン化及び点火リタードを常に適切なタイミングで開始できる。その結果、これらの制御開始が早過ぎたときの燃焼状態の悪化を回避して、これによって引き起こされる未燃HCの排出を未然に防止することができる。
【0029】
[第2実施形態]
次に、請求項1乃至請求項3の発明を具体化した第2実施形態の可変バルブタイミング装置を説明する。本実施形態の可変バルブタイミング装置では、第1実施形態の排気弁7bの進角に代えて、冷態始動モードとして吸気弁7aの進角を行う。これを実現するために、図1に破線で示すように吸気カム軸3aにタイミング可変機構8aが設けられて、OCV9aにより制御されるようになっており、排気側のタイミング可変機構8bは省略されている。その他の構成は第1実施形態と同一であるため、共通の構成部分の説明は省略し、相違点を重点的に説明する。
【0030】
吸気カム軸3aの位相角制御は、第1実施形態で図2のタイムチャート及び図4のフローチャートに基づいて説明した排気カム軸3bに対する制御と同様のタイミングで実行され、その際の開始時間T1、継続時間T2、吸気温補正時間Ta1,Ta2、エンジン回転補正時間Tb1,Tb2の設定処理についても、第1実施形態と同様に図5〜7のマップに基づいて行われる(制御遅延手段)。
【0031】
まず、図2,8の▲1▼に示すように、吸気カム軸3aの位相が遅角位置に保持された状態でエンジン1の始動が開始され、完爆から開始時間T1が経過すると冷態始動モードを開始し、図2,8の▲2▼に示すように吸気カム軸3aの位相を進角側に制御する(始動時バルブタイミング制御手段)。このときの作用効果は、触媒20の昇温を図った第1実施形態のものとは異なり、未燃HCの排出抑制が主目的とされる。
【0032】
即ち、始動時はオーバラップが小さいため、筒内に供給された燃料が素通りして排気ポート17を経て未燃HCとして排出されることが抑制される。次に、吸排気のオーバラップが進角側に拡大されることから、一旦排気側に排出された排ガス(排気行程の終期に排出された未燃HCを多く含む排ガス)が内部EGRとして吸気ポート11内に逆流して、次回の燃焼行程で燃焼されると共に、逆流した排ガスからの受熱により吸気ポート11の昇温が促進されて次回の噴射燃料の蒸化を促進することから、液状燃料の排気側への排出が確実に防止される。
【0033】
その後、冷態始動モードの開始から継続時間T2が経過すると、冷態始動モードを中止して、図2,8の▲1▼に示すように吸気カム軸3aの位相を遅角側に戻すと共に空燃比のリーン化と点火時期のリタードを実施して、ルーチンを終了する。
以上のように本実施形態の可変バルブタイミング装置では、第1実施形態と比較して冷態始動モードの制御内容が相違するだけで、冷態始動モードの開始及び中止のタイミングをエンジン1の運転状態(冷却水温TW、吸気温TA、エンジン回転速度Ne)に基づいて設定している点については全く同様である。よって、冷態始動モードの開始が早過ぎたときの種々の不具合を未然に防止した上で、可能な限り早期に冷態始動モードを開始して、未燃HCの排出を確実に抑制することができる。
【0034】
又、冷態始動モードの中止タイミングもエンジン1の運転状態に基づいて設定しているため、リーン化及び点火リタードを常に適切なタイミングで開始して、これらの制御開始が早過ぎたときの燃焼状態の悪化による未燃HCの排出を未然に防止することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様は上記第1及び第2実施形態に限定されるものではない。例えば上記各実施形態では、ベーン式のタイミング可変機構8a,8bを備えたが、タイミング可変機構の構成はこれに限らず、例えば、ヘリカル式のタイミング可変機構に代えてもよいし、カム軸に対するカムの偏心量を変更する偏心式のタイミング可変機構、或いは、異なる特性のカムを選択的に作動させる切換式のタイミング可変機構、電磁式アクチュエータによりバルブを直接的に開閉する電磁式のタイミング可変機構等に代えてもよい。
【0035】
又、上記各実施形態では、吸気管噴射型のエンジン1に適用したが、例えば、筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射型エンジンに適用してもよい。
更に、上記第1実施形態では冷態始動モードとして排気弁7bを進角させ、第2実施形態では冷態始動モードとして吸気弁7aを進角させたが、その制御内容は限定されることはなく、例えば吸気弁7aの進角と排気弁7bの遅角によりオーバラップ量を増大させるようにしてもよい。
【0036】
一方、上記各実施形態では、冷態始動モードの開始タイミング及び中止タイミングを変更したが、中止タイミングについては必ずしも変更する必要はなく、所定の固定位置としてもよい。又、冷態始動モードに限定することはなく、始動時専用の制御モードであれば温態始動時に行われる制御モードについて、上記実施形態と同様に開始タイミングと中止タイミングを変更するようにしてもよい。
【0037】
又、上記各実施形態では、開始時間T1や継続時間T2を吸気温補正時間Ta1,Ta2及びエンジン回転補正時間Tb1,Tb2により補正したが、何れか一方の補正を省略してもよい。
更に、上記各実施形態では、開始時間T1に基づいて排気弁7bや吸気弁7aの進角を開始し、これにより冷態始動モードが開始されるタイミングを変更したが、例えば図9に示すように、排気弁7bや吸気弁7aの進角を開始する時期を初爆位置に固定した上で、その可変時間T11(即ち、進角側に制御する速度)を変更することにより、冷態始動モードの実質的な開始タイミングを変更するようにしてもよい。尚、この場合には開始時間T1と同様の手順により、冷却水温TW、吸気温TA、エンジン回転速度Neに基づいて可変時間T11を設定すればよい。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の可変バルブタイミング装置によれば、始動時専用の制御モードを適切なタイミングで開始すると共に、適切なタイミングで中止し、もって、未燃HCの排出を確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1及び第2実施形態の可変バルブタイミング装置を示す全体構成図である。
【図2】第1及び第2実施形態の可変バルブタイミング装置による冷態始動時のカム軸の位相角制御を示すタイムチャートである。
【図3】第1実施形態の可変バルブタイミング装置による冷態始動時のカム軸の位相変化を順に示した説明図である。
【図4】ECUが実行する冷態時位相角制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】冷却水温TWから開始時間T1及び継続時間T2を求めるためのマップを示す説明図である。
【図6】差ΔTから吸気温補正時間Ta1,Ta2を求めるためのマップを示す説明図である。
【図7】差ΔNeからエンジン回転補正時間Tb1,Tb2を求めるためのマップを示す説明図である。
【図8】第2実施形態の可変バルブタイミング装置による冷態始動時のカム軸の位相変化を順に示した説明図である
【図9】吸排気弁を進角させるときの可変時間を変更する位相角制御の別例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
7a 吸気弁
7b 排気弁
8a,8b タイミング可変機構(バルブタイミング可変手段)
31 ECU(始動時バルブタイミング制御手段、制御遅延手段)
32 回転速度センサ(運転状態検出手段)
34 水温センサ(運転状態検出手段)
35 吸気温センサ(運転状態検出手段)
Claims (3)
- 吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを可変させるバルブタイミング可変手段を備えた可変バルブタイミング装置において、
エンジン始動時の初爆後に、上記吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを進角させるように上記バルブタイミング可変手段を制御する始動時バルブタイミング制御手段と、
上記エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、
上記運転状態に応じて上記始動時の初爆後の上記始動時バルブタイミング制御手段の制御開始及び可変速度の少なくとも一方を遅延させると共に、上記運転状態に応じて上記始動時バルブタイミング制御手段の制御中止を遅延させる制御遅延手段と
を備えたことを特徴とする可変バルブタイミング装置。 - 吸気弁及び排気弁の開閉タイミングを可変させて、該吸気弁及び排気弁のオーバラップ量を変更するバルブタイミング可変手段を備えた可変バルブタイミング装置において、
エンジン始動時の初爆後に、上記オーバラップ量を増大させるように上記バルブタイミング可変手段を制御する始動時バルブタイミング制御手段と、
上記エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、
上記運転状態に応じて上記始動時の初爆後の上記始動時バルブタイミング制御手段の制御開始及び可変速度の少なくとも一方を遅延させると共に、上記運転状態に応じて上記始動時バルブタイミング制御手段の制御中止を遅延させる制御遅延手段と
を備えたことを特徴とする可変バルブタイミング装置。 - 上記運転状態検出手段は、エンジン温度と吸気温及びエンジン回転速度の少なくとも一方とを運転状態として検出し、
上記制御遅延手段は、上記エンジン温度に応じて設定される基準値を上記吸気温及びエンジン回転速度の少なくとも一方により補正した値に基づいて遅延を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の可変バルブタイミング装置。
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