JP3731375B2 - 疑似架橋型樹脂およびこの樹脂からなる成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な疑似架橋型樹脂及び前記疑似架橋型樹脂からなる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、合成樹脂に関する研究開発が進み、様々な性能を有する合成樹脂が得られるようになった。この様な研究開発のうちでも、既存の合成樹脂にその樹脂の本来有する性能を損なわずに新たな性能を付加しようとする試みが数多く行われている。
【0003】
代表的な合成高分子材料を例に挙げると、アクリル樹脂またはスチレン系樹脂の場合は、比較的安価であること、透明性に優れる、ゴム状物からガラス状ポリマーまで多様な特徴を有すポリマーを比較的容易に製造できること、変性の容易さ等の優れた特徴を有しているが、その反面、強度、耐熱性と靱性の両立向上に大きな課題を残しているため、これを改良しようとする試みが為されている。例えば、靱性の不足はアクリル樹脂全般に共通した課題であるが、これを解決する方法は幾つか報告されており、樹脂中にゴム粒子を添加すること(特公昭58−167605号公報、特開平3−52910号公報)等が知られている。しかし、これらの方法では、樹脂を折り曲げた時に発生する白化現象(折り曲げ加工性)を解決することができない。このため、室温以上のガラス転移点と靱性の必要な薄膜フィルムの形成能(折り曲げ加工性)を両立するアクリル樹脂は見出されていないのが現状である。
【0004】
芳香族ポリアミド樹脂では、最も代表的な樹脂にポリパラフェニレンテレフタルアミドを挙げることができる。この樹脂は、特に優れた結晶性や高い融点や優れた難燃性を有し、剛直な分子構造の故に、高い機械的強度、低い線膨張係数等を有している。しかし、この樹脂の問題点としては、有機溶媒に難溶であり、濃硫酸等の無機の強酸を溶媒として用いなければならない点が挙げられる。濃硫酸等の濃厚溶液から紡糸された繊維は高い強度と弾性率を示すことが知られており、工業的に実施されるに至っている。しかし、フィルムへの応用例は少なく、膨潤状態で延伸を行うことによって達成できることが報告されているのみである(特開平4−6738号公報)。ところが、この方法では、製造工程が極めて煩雑であり、生産性が低下し、更には製品価格が上昇するという問題がある。有機溶媒への溶解性を向上させる方法としては、芳香核にハロゲン基を導入した単位または屈曲性の高い単位を共重合する方法が知られている(特公昭56−45421号公報)。しかし、この方法では、モノマーが高価であるため製品価格が高くなったり、耐熱性や難燃性の高さを損なうことが懸念される上に、ハロゲン原子の金属腐食性が問題となる。
【0005】
液晶性ポリマーでは、溶融状態において液晶状態を呈するために、配向方向には高い弾性率と強度、更には低い線膨張係数を有している。しかし、液晶ポリマーに共通する問題点として、配向方向と直角方向の上記の性能が著しく低いこと及び射出成形によって成形品を得た場合に発生するウエルドと呼ばれる溶融樹脂の合流部分の強度が著しく低いこと更には、成形品表面が層状に剥離する欠点等が挙げられる。しかし、現在この問題点を解決する方法は知られていない。
【0006】
熱硬化性樹脂に関しては、一般に不溶不融の硬化物であるために、耐溶剤性又は高温下での強度保持率等の耐久性に非常に優れる特徴を有する。しかし、架橋反応が共有結合により形成されているため、再加工することができない問題点がある。この欠点は、近年のリサイクル性の確保に関して致命的欠点である。リサイクル可能な熱硬化性樹脂に最も近いものとしては、アイオノマー樹脂を挙げることができる。これは、側鎖にカルボキシル基を有するポリマーに、酸化マグネシウム、又は水酸化カルシウム等の金属酸化物又は金属水酸化物を添加したものである。金属とカルボキシル基との間にイオン結合を形成することによって、疑似的架橋点を形成するものである。この方法では、ある程度の耐熱性、強靱性の向上は認められるものの、金属化合物とカルボキシル基の結合力が弱いことと金属化合物の樹脂に対する溶解性が低いため少量しか添加できない等の理由により、大きな特性の向上は認められない。
【0007】
また、熱硬化性樹脂のなかでもポリイミド樹脂は、極めて高い耐熱性と強靱なフィルム性能を有しており工業的に極めて有用な材料である。ポリイミドをフィルム状に加工する方法はポリイミド溶液を塗工した後、高温度で加熱することによりイミド環を形成することが一般的である。また、一度イミド環を形成してしまうと溶媒に対する溶解性は著しく低下してしまう。この特徴は、ポリイミドをリサイクルする際には極めて重大な欠点となる。そこで、溶媒に対する溶解性と高耐熱性を両立できる材料が求められており、芳香核にアルキル等の置換基を導入した単位を共重合することにより有機溶媒への溶解性を向上させる方法が知られている。しかし、この方法ではガラス転移温度が320℃以上の材料は得られていない。また、この方法の欠点はモノマーが高価であるために製品価格が高くなる問題がある。
【0008】
ポリマーアロイ材は、異種の高分子材料を混合することにより新たな性能の発現を目的とするものであるが、相溶化剤を用いることによって親和性の異なる高分子を混合することが行われてきた。この方法では、相溶化剤により表面エネルギーを減少させることを狙った技術であるため海島構造を形成する分散状態を制御することはできるが、完全に相溶化することはできない。異種高分子を完全相溶化した報告は現在のところない。また、相溶化剤は比較的高価であるため、製品価格が高くなることと、ポリマーアロイ材を長期に使用した場合、相溶化剤が表面へブリードアウトしてしまうことにより汚染の原因になったり、ポリマーアロイ材の分散状態が変化してしまったりする問題点がある。また、水素結合により相溶性の改善が図れることを示唆したものもあるが、具体的にこれを実現した例は知られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記観点から為されたものであり、合成樹脂の分子間に十分な水素結合を形成させ疑似的な架橋構造を持たせることで、新たな性能が付与された、特にそれにより相反する特性を両立して有する疑似架橋型樹脂及びこの疑似架橋型樹脂からなる成形品を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、各種合成高分子に特定の官能基を組合せて導入することで、前記官能基の相互作用により合成高分子間に水素結合が形成されて架橋構造と類似の構造を持たせることが可能となり、合成樹脂に新たな性能を付与することが容易に達成されること、特に相反する特性を両立して有する合成樹脂の作製が可能であることを見出し本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、以下の通りである。
(1)1種又は2種以上の合成高分子からなり、前記合成高分子が少なくとも分子間で水素結合を形成することで疑似的に架橋した構造を有する疑似架橋型樹脂であって、前記合成高分子は、芳香族系ポリイミド、芳香族系ポリアミドイミド及び芳香族系ポリアミドからなる群から選択されるものであって、カルボキシル基および結合のための官能基を有するモノマ(1)及び/又は少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基および結合のための官能基を含有するモノマ(2)とを用いて製造されるポリマーであり、前記モノマ(1)が、R 1 −COOHまたはR 1 −(COOH)m[R 1 は脂肪族系又は芳香族系炭化水素基を示し、mは2〜6の整数を示す。]で示されるカルボキシル構造を含有するものであり、前記モノマ(2)が、化2に示される構造式群から選ばれるヘテロ環構造を含有するものであり、カルボキシル基を含有する第1の原子団と、第1の原子団と相互に作用して水素結合を形成し得る置換されていてもよい、少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基を含有する第2の原子団を有し、前記第1の原子団と前記第2の原子団の割合が、樹脂内のカルボキシル基の合計量と、少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基の合計量の割合として1.0:0.1〜1.0:10.0(モル比)であり、両原子団を介して水素結合を形成していることを特徴とする疑似架橋型樹脂であって、濃度10重量%でジメチルホルムアミド(室温)に完全に溶解する疑似架橋型樹脂を主成分として含む材料からなる成形品。
【化2】
[上記式中、R 1 、及びR 2 は、それぞれ脂肪族系炭化水素基を示す。]
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態により具体的に説明する。
すなわち本発明の実施形態は、以下の通りである。
(1)1種又は2種以上の合成高分子が少なくとも分子間で水素結合を形成することで疑似的に架橋した構造を有する疑似架橋型樹脂であって、前記合成高分子は、カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基から選ばれる基を含有する第1の原子団と、第1の原子団と相互に作用して水素結合を形成し得る置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基から選ばれる基を含有する第2の原子団を有し、両原子団を介して水素結合を形成していることを特徴とする疑似架橋型樹脂。
【0013】
(2)合成高分子が同一分子内に第1の原子団と第2の原子団の両方を有することを特徴とする(1)の疑似架橋型樹脂。
(3)第1の原子団が化3〜化5に示される構造式群(以下「構造式群A」という)から選ばれる基本骨格を有する原子団であり、第2の原子団が化6〜化8に示される構造式群(以下「構造式群B」という)から選ばれる基本骨格を有する原子団である(1)の疑似架橋型樹脂。
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
[上記式中、R1、R2及びR3は、それぞれ脂肪族系又は芳香族系炭化水素基を示し、nは1〜5の整数を、mは2〜6の整数をそれぞれ示す。]
【0017】
【化6】
【0018】
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】
[上記式中、R1、R2及びR3は、それぞれ脂肪族系炭化水素基を示す。また、式中、炭素に結合する水素は、アシル基又は脂肪族系炭化水素基で置換されてもよいアミノ基で置換されていてもよい。]
【0021】
(4)第1の原子団が化9に示される構造式群(以下「構造式群C」という)から選ばれる基本骨格を有する原子団であり、第2の原子団が化10に示される構造式群(以下「構造式群D」という)から選ばれる基本骨格を有する原子団である(3)の疑似架橋型樹脂。
【0022】
【化9】
【0023】
[上記式中、R1及びR2は、それぞれ脂肪族系又は芳香族系炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を、mは2〜6の整数をそれぞれ示す。]
【0024】
【化10】
【0025】
[上記式中、R1、R2及びR3は、それぞれ脂肪族系炭化水素基を示す。]
【0026】
(5)合成高分子の分子量が5000以上であることを特徴とする(1)の疑似架橋型樹脂。
(6)合成高分子がアクリル樹脂およびスチレン樹脂から選ばれ、さらに、第1の原子団が化11に示される構造式群(以下「構造式群E」という)から選ばれる基本骨格を有する原子団であり、第2の原子団が化12に示される構造式群(以下「構造式群F」という)から選ばれる基本骨格を有する原子団である(1)の疑似架橋型樹脂。
【0027】
【化11】
【0028】
[上記式中、R1は、脂肪族系又は芳香族系炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を、mは2〜6の整数をそれぞれ示す。]
【0029】
【化12】
【0030】
[上記式中、R1、R2及びR3は、それぞれ脂肪族系炭化水素基を示す。]
【0031】
(7)合成高分子が芳香族系ポリアミドであり、第1の原子団が上記構造式群Cから選ばれる基本骨格を有する原子団であり、第2の原子団が上記構造式群Dから選ばれる基本骨格を有する原子団である(1)の疑似架橋型樹脂。
(8)合成高分子がアクリル樹脂とフェノール樹脂との組合せであり、第1の原子団が上記構造式群Eから選ばれる基本骨格を有する原子団であり、第2の原子団が上記構造式群Fから選ばれる基本骨格を有する原子団である(1)の疑似架橋型樹脂。
【0032】
(9)合成高分子がスチレン樹脂と環状ポリオレフィンとの組合せであり、第1の原子団が上記構造式群Cから選ばれる基本骨格を有する原子団であり、第2の原子団が上記構造式群Dから選ばれる基本骨格を有する原子団である(1)の疑似架橋型樹脂。
(10)合成高分子が液晶性高分子である(1)の疑似架橋型樹脂。
【0033】
(11)液晶性高分子が、芳香族系ポリエステル、芳香族系ポリエステルアミド及び芳香族ポリアミドから選ばれ、さらに、第1の原子団が上記構造式群Cから選ばれる基本骨格を有する原子団であり、第2の原子団が上記構造式群Dから選ばれる基本骨格を有する原子団である(10)の疑似架橋型樹脂。
(12)合成高分子が熱硬化性樹脂である(1)の疑似架橋型樹脂。
【0034】
(13)熱硬化性樹脂がポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル、レゾール型フェノール樹脂及びエポキシ樹脂から選ばれ、さらに、第1の原子団が上記構造式群Eから選ばれる基本骨格を有する原子団であり、第2の原子団が上記構造式群Fから選ばれる基本骨格を有する原子団である(12)の疑似架橋型樹脂。
(14)上記(1)〜(13)の何れかの疑似架橋型樹脂からなる成形品。
(15)フィルムである(14)の成形品。
【0035】
本発明の疑似架橋型樹脂は、1種又は2種以上の合成高分子が少なくとも分子間で水素結合を形成することで疑似的に架橋した構造を有する疑似架橋型樹脂であって、前記合成高分子は、カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基から選ばれる基を含有する第1の原子団と、第1の原子団と相互に作用して水素結合を形成し得る置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基から選ばれる基を含有する第2の原子団を有し、前記両原子団を介して水素結合を形成していることを特徴とする。
【0036】
まず、本発明の疑似架橋型樹脂を構成する合成高分子が有する上記第1の原子団および第2の原子団について説明する。
【0037】
(1)第1の原子団
上記カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基から選ばれる基を含有する第1の原子団としては、これらの基を少なくとも1個有する原子団であれば特に制限されないが、具体的には、上記構造式群Aから選ばれる基本骨格を有する原子団が挙げられる。なお、構造式群Aにおいて、R1−(COOH)m は、分子内にカルボキシル基を2〜6個有するカルボン酸化合物を示し、この化合物においては何れのカルボキシル基も式中R1で示される脂肪族系又は芳香族系炭化水素基の何れの位置に結合していてもよい。
【0038】
構造式群A群に示される基本骨格として、より具体的には、カルボニル基を有する基本骨格については、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキシル−2−プロパノン、2,4-ヘキサンジオン、3-アリル-2,4-ペンタンジオン、4-ペンテン-2-オン、5-プロピル-5-ヘキサン2,4-ジオン、アセトン、バイアセチル、1-(2-ナフチル)-6-フェニル-2,5-ヘキサンジオン、1,5-ジ-(2-フリル)-1,5-ペンタンジオン、1-(2-ピリジル)-1-ブタノン、アセトフェノン、1'-ブチルナフトン、4'-クロロウンデカノフェノン、プロピオフェノン、デオキシベンゾイン、チャルコーン、ジ-2-フリルケトン、2-フリル2-ピリジルケトン、ビス(5-メチル-2-チエニル)ケトン、2-ブロモ-1-ナフチル1−クロロ-2-ナフチルケトン、ジ-2-ナフチルジケトン、ジ-3-ピリジルトリケトン、2-フリル-2-ピロールジケトン、
【0039】
シクロヘキサノン、2,5-シクロヘキサジエン-1-オン、インデン-1-オン、1,2,3-インダントリオン、フルオレン-9-オン、4H-ピラン-4-オン、2(3H)-ピラジオン、1(2H)-ナフチレノン、5,8-キノリジオン、1,3,6,8(2H,7H)-ピレネテトロン、アントロン、9(10H)-フェナントロン、2-ピリドン、4-ピリドン、2-キノロン、4-キノロン、1-イソキノロン、9-アクリドン、4-オキサゾロン、4-ピラゾロン、5-ピラゾロン、4-イソオキサゾロン、4-チアゾロン、4-ピペリドン、2-ピロリドン、4-チアゾリドン、1-オキソ-1,2-ジヒドロナフタレン、5,8-ジオキソ-5,8-ジヒドロキノリン、1,3,6,8-テトラオキソ-1,2,3,6,7,8-ヘキサヒドロピレン、p-ベンゾキノン、アントラキノン、1,4-ナフトキノン、5,6-クリセンキノン、6,12-クリセンキノン、カンフォルキノン、1,3,5-トリベンゾイルベンゼン、2-アセトイル1,4-ナフトロキノン、フェニルケテン、プロピオニルケテン、ジブチルケテン、p-フェニレンビスケテン、9-カルボニルフルオレン、1-ペンテン-1,3-ジオン等が挙げられる。
【0040】
また、カルボキシル基を有する基本骨格として、アセチックアシッド、プロピオニックアシッド、ブチリックアシッド、イソブチリックアシッド、バレイックアシッド、イソバレイックアシッド、ピバリックアシッド、ラウリックアシッド、ミリスチックアシッド、パルミチックアシッド、ステアリックアシッド、オキザリックアシッド、マロニックアシッド、スクシニックアシッド、グルタリックアシッド、アジピックアシッド、ピメリックアシッド、スベリックアシッド、アゼレイックアシッド、セバシックアシッド、アクリリックアシッド、プロピオニックアシッド、メタクリリックアシッド、クロトニックアシッド、イソクロトニックアシッド、オレイックアシッド、エライデックアシッド、マレイックアシッド、フマリックアシッド、シトラコニックアシッド、メザコニックアシッド、カンフォリックアシッド、
【0041】
ベンゾイックアシッド、フタリックアシッド、イソフタリックアシッド、テレフタリックアシッド、ナフトイックアシッド、トルイックアシッド、ヒドラトロピックアシッド、アントロピックアシッド、シンナミックアシッド、フロイックアシッド、セノイックアシッド、ニコチニックアシッド、イソニコチニックアシッド、4-オキソ-1-シクロヘキサンカルボキシリックアシッド、5-オキソ-2-ピロリジンカルボキシリックアシッド、7-(1,4-ベンゾキノニル)-2-ナフトイックアシッド、o-(2-フロイル)ベンゾイックアシッド、4,4'-カルボニルジベンゾイックアシッド、5-(o-カルボキシベンゾイル)-2-フロイックアシッド、2-ヘキセン-4-インジオイックアシッド、4-ペンチル-2,4-ペンタジオニックアシッド、4-エチル-2-プロピルヘキサンジオニックアシッド、3-ビニル-4-ヘキシノイックアシッド、2,5-ジフェニルヘプタジオニックアシッド、3-ビフェニルカルボキシリックアシッド、1-ピロールカルボキシリックアシッド、
【0042】
3-(3-フェニルプロピル)-1-シクロブタンカルボキシリックアシッド、シクロヘキシルカルボキシリックアシッド、1,3,5-ナフタレントリカルボキシリックアシッド、3-(カルボキシメチル)ヘプタンジオニックアシッド、6-(2-ナフチル)ヘキサノイックアシッド、1,3,6-ナフタレントリアセチックアシッド、3-メチル-5-(1-ナフチル)ヘキサノイックアシッド、6-カルボキシ-1-(カルボキシメチル)-2-ナフタレンプロピオニックアシッド、2,3,5-ヘキサントリカルボキシリックアシッド、2-(3−カルボキシピロピル)-1,1,5,6-ヘプタンテトラカルボキシリックアシッド、1,2,3-ブタントリカルボキシリックアシッド、2-(シクロヘキシルカルボニル)-1-ナフトニックアシッド、β-オキソシクロヘキサンプロピオニックアシッド、γ-オキソ-6-クリセンブチリックアシッド、
【0043】
β-オキソ-3-ピリジンプロピオニックアシッド、ホルミルサクシニックアシッド、p-(2-オキソブチル)ベンゾイックアシッド、ベンゾイルベンゾイックアシッド、6-クロロ-ホルミルヘキサノイックアシッド、p-(3-ホルミルプロピル)ベンゾイックアシッド、フタルアルデヒデックアシッド、イソフタルアルデヒデックアシッド、グラタルアルデヒデックアシッド、マロンアルデヒデックアシッド、テレフタルアルデヒデックアシッド、サリチリックアシッド、サリチロイルサリチリックアシッド、3,5-ジ-t-ブチルサリツリックアシッド等を挙げることができる。
【0044】
フェノール性水酸基を有する基本骨格として具体的には、フェノール、m-クレゾール、o-クレゾール、p-クレゾール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、4,4'-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、2,2-メチレンビス(4-メチル-6-tブチル-3-メチルフェノール)、トリエチレングリコールビス(3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルフォスフォネートジエチルエステル、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0045】
さらに、スルホン酸基を有する基本骨格として具体的には、ベンゼンスルフォニックアシッド、フェノールスルフォニックアシッド、トルエンスルフォニックアシッド、2,4-トルエンジスルフォニックアシッド、1-ピペリジンスルフォニックアシッド、ナフチオニックアシッド、スルファニリックアシッド、タウリン、4,6-ジスルフィノ-1-ナフトニックアシッド、p-スルフォベンゾイックアシッド、1-ナフチルアミン-4,7-ジスルフォニックアシッド等が挙げられる。
【0046】
これらのうちでもさらに、本発明に適用される上記第1の原子団として、より好ましくは、上記構造式群Cから選ばれる基本骨格を有する原子団が挙げられ、さらに好ましくは、アセチックアシッド、プロピオニックアシッド、ブチリックアシッド、イソブチリックアシッド、スクシニックアシッド、ベンゾイックアシッド、フタリックアシッド、イソフタリックアシッド、ナフトイックアシッド、フェノール、クレゾール、ベンゼンスルフォニックアシッド、フェノールスルフォニックアシッド、トルエンスルフォニックアシッド等が挙げられる。
【0047】
なお、上記第1の原子団の基本骨格を示すA及びCの構造式群においては、これらが合成高分子の分子末端、側鎖、骨格中等に結合するための結合手が記載されていないが、上記カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基が残される形で、構造式中の置換可能な水素原子を外すことで結合手とすることができる。また、上記基本骨格に、他の官能基と反応して各種共有結合を形成しうる官能基、例えば、ビニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、酸クロライド基、グリシジル基、エチニル基、チオール基等の官能基を、上記カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基が残される形で導入した構造も第1の原子団の基本骨格に含まれ、この場合は、上記導入された官能基を介して合成高分子の分子末端、側鎖、骨格等に結合されていると考えればよい。
【0048】
さらに、上記第1の原子団の基本骨格として例示した化合物ついても、上記構造式同様に結合手を持たないが、これら化合物の結合手についても構造式同様の扱いとすることができる。
【0049】
(2)第2の原子団
上記置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基から選ばれる基を含有する第2の原子団としては、これらの基を少なくとも1個有する原子団であれば特に制限されないが、具体的には、上記構造式群Bから選ばれる基本骨格を有する原子団が挙げられる。
【0050】
構造式群B群に示される基本骨格として、より具体的には、置換されていてもよいアミノ基を有する基本骨格については、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族アミン、フェニルアミン、ベンジルアミン等の芳香族アミン、(アミノフェニル)エタン、(アミノフェニル)エチレン、(アミノフェニル)エチン、(アミノフェノキシ)エタン、(アミノフェノキシ)エチレン、(アミノフェノキシ)エチン、(アミノベンジル)エタン、(アミノベンジル)エチレン、(アミノベンジル)エチン等の脂肪族置換芳香族アミン、(フェニルエチル)アミン、(フェノキシエチル)アミン、(ベンジルエチル)アミン等の芳香族置換脂肪族アミン、
【0051】
ジアミノメタン、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン等の脂肪族ジアミン、ジアミノベンゼン等の芳香族ジアミン、(ジアミノフェニル)エタン、(ジアミノフェニル)エチレン、(ジアミノフェニル)エチン、(ジアミノフェノキシ)エタン、(ジアミノフェノキシ)エチレン、(ジアミノフェノキシ)エチン、(ジアミノベンジル)エタン、(ジアミノベンジル)エチレン、(ジアミノベンジル)エチン、ビス(アミノフェニル)エタン、ビス(アミノフェニル)エチレン、ビス(アミノフェニル)エチン、ビス(アミノフェノキシ)エタン、ビス(アミノフェノキシ)エチレン、ビス(アミノフェノキシ)エチン、ビス(アミノベンジル)エタン、ビス(アミノベンジル)エチレン、ビス(アミノベンジル)エチン等の脂肪族置換芳香族ジアミン、フェニルジアミノエタン、フェノキシジアミノエタン、ベンジルジアミノエタン等の芳香族置換脂肪族ジアミン等、ブタントリアミン、ポリエチレンポリアミン等の多価アミン類、
【0052】
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂肪族の2級アミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン等の芳香族の2級アミン、メチルフェニルアミン、エチルフェニルアミン、プロピルフェニルアミン、ブチルフェニルアミン等を、(メチルフェニル)メチルアミン、(エチルフェニル)メチルアミン、(プロピルフェニル)メチルアミン、(ブチルフェニル)メチルアミン等の芳香族置換脂肪族アミン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、フェノチアジン、フェノキサジン、トリアジン等のヘテロ環型アミン、
【0053】
ビス(ジメチルアミノ)メタン、ビス(ジメチルアミノ)エタン、ビス(ジメチルアミノ)プロパン、ビス(ジメチルアミノ)ブタン等の脂肪族ジアミン、ビス(フェニルメチルアミノ)メタン、ビス(フェニルメチルアミノ)エタン、ビス(フェニルメチルアミノ)プロパン、ビス(フェニルメチルアミノ)ブタン、ビス(ジメチルアミノ)ベンゼン、ビス(メチルエチルアミノ)ベンゼン、ビス(メチルプロピルアミノ)ベンゼン、ビス(メチルブチルアミノ)ベンゼン等の芳香族置換脂肪族ジアミン、
【0054】
トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、ジメチルエチルアミン等の脂肪族アミン、トリフェニルアミン、トリ(メチルフェニル)アミン、トリ(エチルフェニル)アミン、トリ(プロピルフェニル)アミン、トリ(ブチルフェニル)アミン、トリ(フェノキシフェニル)アミン、トリ(ベンジルフェニル)アミン等の芳香族アミン、ジメチルフェニルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジプロピルフェニルアミン、ジブチルフェニルアミン、ジフェニルメチルアミン、ジフェニルエチルアミン、ジフェニルプロピルアミン、ジフェニルブチルアミン、ジフェニルシクロヘキシルアミン、(メチルフェニル)ジメチルアミン、(エチルフェニル)ジメチルアミン、(プロピルフェニル)ジメチルアミン、(ブチルフェニル)ジメチルアミン、ビス(メチルフェニル)メチルアミン、ビス(エチルフェニル)メチルアミン、ビス(プロピルフェニル)メチルアミン、ビス(ブチルフェニル)メチルアミン等の芳香族置換脂肪族アミン等が挙げられる。
【0055】
また、少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基を有する基本骨格としては、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、インドリジン、3H−インドール、1H−インダゾール、プリン、4H−キノリジン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、4aH−カルバゾール、β−カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フラザン、ベンズ[h]イソキノリン、7H−ピラジノ[2,3-c]カルバゾール、5H−ピリド[2,3-d]o-オキサジン、1H−ピラゾロ[4,3-d]オキサゾール、4H−イミダゾロ[4,5-d]イミアゾール、セレナゾロ[5,4-f]ベンゾチアゾール、ピラジノ[2,3-d]ピリダジン、イミダゾロ[2,1-b]チアゾール、フロ[3,4-c]シンノリン、4H−ピリド[2,3-c]カルバゾール、4H[1,3]オキサチオロ[5,4-b]ピロール、イミダゾロ[1,2-b][1,2,4]トリアジン、ピリド[1',2':1,2]イミダゾロ[4,5-b]キノキサリン、4H−1,3ジオキソロ[4,5-d]イミダゾール、2,6−ビス(アルキルアミド)ピリジン、2,6−ビス(アルキルアミノ)ピリジン等が挙げられる。
【0056】
これらのうちでもさらに、本発明に適用される上記第2の原子団として、より好ましくは、上記構造式群Dから選ばれる基本骨格を有する原子団が挙げられ、さらに好ましくは、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエチルアミン、フェニルアミン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ナフチリジン、キノキサリン、2,6−ビス(アルキルアミド)ピリジン、2,6−ビス(アルキルアミノ)ピリジン等が挙げられる。なお、前記化合物中のアルキル基としては、炭素数1〜6の分岐していてもよいアルキル基が好ましく挙げられる。
【0057】
なお、上記第2の原子団の基本骨格を示すB及びDの構造式群においては、これらが合成高分子の分子末端、側鎖、骨格中等に結合するための結合手が記載されていないが、構造式中の置換可能な水素原子を特に制限なく外すことで結合手とすることができる。また、上記基本骨格に、他の官能基と反応して各種共有結合を形成しうる官能基、例えば、ビニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、酸クロライド基、グリシジル基、エチニル基、チオール基等の官能基を導入した構造も第2の原子団の基本骨格に含まれ、この場合は、上記導入された官能基を介して合成高分子の分子末端、側鎖、骨格等に結合されていると考えればよい。
【0058】
さらに、上記第2の原子団の基本骨格として例示した化合物ついても、上記構造式同様に結合手を持たないが、これら化合物の結合手についても構造式同様の扱いとすることができる。
【0059】
(3)本発明の疑似架橋型樹脂を構成する合成高分子及び本発明の疑似架橋型樹脂
本発明の疑似架橋型樹脂を構成する上記合成高分子としては、上記第1の原子団及び第2の原子団を有する1種又は2種以上の合成高分子であれば特に制限されない。ここで、本明細書において、「第1の原子団及び第2の原子団を有する1種又は2種以上の合成高分子」とは、同一分子内に第1の原子団及び第2の原子団を有する唯1種の合成高分子及び、2種以上の合成高分子の組合せであって、各構成合成高分子は第1の原子団及び/又は第2の原子団を有し、これら合成高分子の組合せにおいて必ず第1の原子団と第2の原子団を含むような2種以上の合成高分子の組合せを含む概念で用いられる。
【0060】
本発明の疑似架橋型樹脂が1種の合成高分子より構成される場合には、前記合成高分子は同一分子内に上記第1の原子団及び第2の原子団の両方を有することになる。また、本発明の疑似架橋型樹脂が2種以上の合成高分子からなる例としては、合成高分子を構成する主構成部分は同一であるが一方は上記第1の原子団のみを有し、他方は第2の原子団のみを有する合成高分子の組合せや、合成高分子を構成する主構成部分が異なる2種の合成高分子の一方が上記第1の原子団を他方が第2の原子団を有する組合せ等が挙げられる。前記合成高分子を構成する主構成部分が異なる2種の合成高分子と上記第1、第2の原子団の組合せは任意であり、さらに双方の合成高分子が両方の原子団を有してもよい。さらに、合成高分子の主構成部分が同一である場合には、同一分子内に上記第1の原子団及び第2の原子団の両方を有する合成高分子を用いて本発明の疑似架橋型樹脂とする方が製造工数の点から好ましいといえる。
【0061】
上記合成高分子の主構成部分を構成する重合体として、具体的には、ポリオレフィン、ポリイミド樹脂、ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、芳香族系ポリエステル、芳香族系ポリエステルアミド、芳香族系ポリアミド、芳香族系ポリアミドイミド、芳香族系ポリイミド、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン等の合成高分子が挙げられる。本発明の疑似架橋型樹脂を構成する合成高分子は、上記各種重合体の分子末端、側鎖、骨格中に上記第1の原子団及び/又は第2の原子団が導入された構造を有するものである。
【0062】
上記本発明の疑似架橋型樹脂が単一の合成高分子で構成される場合の合成高分子として具体的には、合成高分子を構成する主構成部分が同一であって同一分子内に上記第1の原子団及び第2の原子団の両方を有するポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル、レゾール型フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、芳香族系ポリエステル、芳香族系ポリエステルアミド、芳香族系ポリアミド等が挙げられる。
【0063】
また、本発明の疑似架橋型樹脂が、合成高分子を構成する主構成部分が異なる合成高分子のそれぞれが上記第1の原子団と第2の原子団を有する組合せで構成される例として、より具体的には、上記第1の原子団と第2の原子団の各々をどちらかの樹脂に有するスチレン樹脂と環状ポリオレフィン、アクリル樹脂とフェノール樹脂、アクリル樹脂とスチレン樹脂、主構成単位が異なる2種の芳香族系ポリアミド等の組合せが挙げられる。
【0064】
上記合成高分子における第1の原子団、第2の原子団の結合位置は、両者が相互に作用し合って水素結合を形成し樹脂を疑似架橋型のものとするような結合位置であれば特に制限されず、分子末端、側鎖、骨格中の何れであってもよい。なお、好適な結合位置は合成高分子の種類によって適宜選択され得る。また、第1の原子団は、カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基から選ばれる唯一つの官能基を1個以上有してもよいし、これらの官能基を組合せて2個以上の官能基を有してもよい。合成高分子が第1の原子団を2個以上有する場合は、これらは同一であっても異なってもよい。さらに、合成高分子における第1の原子団の含有量は、合成高分子の分子量にもよるが、カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基の合計数として1分子当たり2〜10000個程度、好ましくは2〜3000個程度とすることができる。
【0065】
第2の原子団は、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基から選ばれる唯一つの官能基を1個以上有してもよいし、これらの官能基を組合せて2個以上の官能基を有してもよい。合成高分子が第2の原子団を2個以上有する場合は、これらは同一であっても異なってもよい。また、第2の原子団の含有量については、合成高分子の分子量にもよるが、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基の合計数として1分子当たり2〜10000個程度、好ましくは2〜3000個程度とすることができる。
【0066】
また、本発明の疑似架橋型樹脂における第1の原子団と第2の原子団の割合は、樹脂内のカルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基の合計量と、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基の合計量の割合として1.0:0.1〜1.0:10.0程度が好ましく、より好ましくは1.0:0.3〜1.0:3.0程度である。
【0067】
本発明の疑似架橋型樹脂を構成する合成高分子の分子量としては、合成高分子の種類にもよるが、5000以上とすることが好ましく、より好ましくは20000以上である。また分子量の上限は特に限定されないが、2000000程度を上限として挙げることができる。本発明の疑似架橋型樹脂は、この様な合成高分子が上記第1の原子団と第2の原子団を介して、少なくとも分子間で水素結合を形成しているものであり、疑似的に架橋した樹脂の構造を有するものである。
【0068】
(4)本発明の疑似架橋型樹脂の製造方法
本発明の疑似架橋型樹脂は、上記第1の原子団と第2の原子団を有する1種又は2種以上の合成高分子から構成されるが、本発明の疑似架橋型樹脂が第1の原子団と第2の原子団を同一分子内に有する単一の合成高分子で構成される場合の製造方法についてまず説明する。
【0069】
同一分子内に上記第1、第2の原子団を有する単一の合成高分子よりなる疑似架橋型樹脂は、例えば、前記合成高分子の主構成部分を構成するモノマー単位と、重合により第1の原子団及び第2の原子団となるモノマー単位を、通常、前記主構成部分を構成するモノマー単位が重合されるのと同様の条件で重合させることにより得られる。この方法によれば、第1の原子団及び第2の原子団を主に合成高分子の骨格内や分子末端に有する単一の合成高分子からなり、上記第1の原子団と第2の原子団を介して前記合成高分子が分子間で水素結合を形成して疑似的に架橋した本発明の疑似架橋型樹脂が得られる。
【0070】
重合により第1の原子団及び第2の原子団となるモノマー単位は、これらが含まれる合成高分子により異なるが、各種合成高分子が有する重合の結合様式、例えば、付加重合、エステル結合、酸アミド結合、イミド結合、エーテル結合等に合わせて、第1の原子団については、上記構造式群Aに示される基本骨格に、カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基が残される形で、ビニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、グリシジル基、酸クロライド基、エチニル基、チオール基等が導入されたものが挙げられる。同様に第2の原子団については、上記構造式群Bに示される基本骨格に、ビニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、グリシジル基、酸クロライド基、エチニル基、チオール基等が導入されたものが挙げられる。
【0071】
また、側鎖に第1の原子団及び第2の原子団を有する合成高分子からなる疑似架橋型樹脂を得るには、例えば、前記合成高分子の主構成部分を構成するモノマー単位の少なくとも一部に重合に関与しない適当な官能基を導入して重合させ、側鎖に官能基を持つ合成高分子を製造した後、これと、前記高分子が側鎖に有する官能基と反応可能な官能基が上記同様に導入された第1の原子団及び第2の原子団とを反応させればよい。分子末端のみに第1の原子団及び第2の原子団を有する合成高分子からなる疑似架橋型樹脂を得るには、例えば、前記合成高分子の主構成部分を構成するモノマー単位等を用いて分子末端に官能基を有する合成高分子を作製した後、これと、前記高分子が分子末端に有する官能基と反応可能な官能基が上記同様に導入された第1の原子団及び第2の原子団とを反応させればよい。
【0072】
さらに、上記製造方法を適当に組み合わせれば、同一分子の分子末端、側鎖及び骨格内から選ばれる所望の部位に第1の原子団及び第2の原子団を有する単一の合成高分子からなる疑似架橋型樹脂が得られる。
【0073】
また、合成高分子を構成する主構成部分は同一であるが一方は上記第1の原子団のみを有し、他方は第2の原子団のみを有する合成高分子の組合せや、合成高分子を構成する主構成部分が異なる2種の合成高分子の一方が上記第1の原子団を他方が第2の原子団を有する組合せからなる本発明の疑似架橋型樹脂については、疑似架橋型樹脂を構成する前記2種の合成高分子をそれぞれ、上記同一分子内に両原子団を有する合成高分子の製造において、第1の原子団及び第2の原子団を用いるところを第1の原子団又は第2の原子団を用いると代える以外は上記同様にして作製し、得られる2種の合成高分子を混合することにより、製造することができる。この際、前記2種の合成高分子を混合する方法は、上記第1の原子団と第2の原子団を介してこれらの合成高分子が分子間で水素結合を形成して疑似的に架橋した構造を有する樹脂となる様な方法であれば、特に制限されない。
【0074】
さらに、本発明の疑似架橋型樹脂が、合成高分子を構成する主構成部分が異なる2種の合成高分子からなり、その双方が第1の原子団と第2の原子団を有する場合や3種以上の合成高分子よりなる場合等についても上記製造方法に準じた方法により製造可能である。
【0075】
(5)本発明の疑似架橋型樹脂の適用
以下に、本発明が特に好ましく適用される樹脂について詳細に説明する。
【0076】
(a)アクリル樹脂、スチレン樹脂
本発明の疑似架橋型樹脂を構成する合成高分子がアクリル樹脂およびスチレン樹脂から選ばれる場合においては、第1の原子団として上記構造式群Eから選ばれる基本骨格を有する原子団が好ましく挙げられ、第2の原子団として上記構造式群Fから選ばれる基本骨格を有する原子団が好ましく挙げられる。この場合のより好ましい組合せとして、第1の原子団が、プロピオニックアシッド、イソブチリックアシッド、ブチリックアシッド、スクシニックアシッド、ベンゾイックアシッド、フタリックアシッド、トルエンスルフォニックアシッド、フェノールから選ばれ、第2の原子団が、トリエチルアミン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ナフチリジン、キノキサリンから選ばれる組合せが挙げられる。
【0077】
さらに、上記本発明の疑似架橋型のアクリル樹脂としてより具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロペンタジエン、アクリル酸ポリエチレングリコール、アクリル酸ポリプロピレングリコール等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロペンタジエン、メタクリル酸ポリエチレングリコール、メタクリル酸ポリプロピレングリコール等のメタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸等から選ばれる、通常、アクリル樹脂を構成するモノマー単位と、導入されることにより上記第1の原子団となり得る、カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基から選ばれる基と結合のためのビニル基を有するモノマー単位、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニルフェノール等(但し、上記アクリル樹脂構成モノマー単位がアクリル酸及び/又はメタクリル酸を含む場合については、これらのモノマー単位が上記第1の原子団となり得るモノマー単位にもなるので、さらに第1の原子団となり得るモノマー単位を加えなくてもよい)、及び導入されることにより第2の原子団になり得る、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基から選ばれる基と結合のためのビニル基を含有するモノマー単位、例えば、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等、さらには、任意なモノマー単位として、通常、アクリル樹脂に任意に添加されるスチレン、ビニルトルエン、ビニルフェノール、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、アクリロニトリル等の副モノマー単位等を共重合して得られるアクリル樹脂等が挙げられる。
【0078】
本発明の疑似架橋型のアクリル樹脂の分子量は、水素結合による疑似架橋を無視した共有結合高分子の分子量として1万〜100万程度であることが好ましく、より好ましくは5万〜70万程度である。また、第1の原子団の含有量は、カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基の合計数として共有結合高分子1分子当たり2〜10000個程度、好ましくは2〜2000個程度とすることができる。さらに、第2の原子団の含有量は、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基の合計数として共有結合高分子1分子当たり2〜10000個程度、好ましくは2〜2000個程度とすることができる。
【0079】
また、本発明の疑似架橋型のアクリル樹脂における第1の原子団と第2の原子団の割合は、樹脂内のカルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基の合計量と、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基の合計量の割合として1.0:0.1〜1.0:10.0程度が好ましく、より好ましくは1.0:0.3〜1.0:3.0程度である。
【0080】
この様にして通常のアクリル樹脂に上記第1の原子団と第2の原子団が導入された本発明の疑似架橋型のアクリル樹脂は、室温以上のガラス転移点と靱性の必要な薄膜フィルムの形成能(折り曲げ加工性)を両立する従来にはないアクリル樹脂である。
【0081】
また、スチレン樹脂に上記第1の原子団及び第2の原子団が導入された疑似架橋型スチレン樹脂も、通常アクリル樹脂を構成するモノマー単位の代わりにスチレンをモノマー単位とする以外は、上記疑似架橋型アクリル樹脂と同様とすることができる。
【0082】
さらに、スチレン樹脂に上記同様にして第2の原子団を導入し、アクリル樹脂に上記同様にして第1の原子団を導入し、この2種の樹脂を混合することで疑似架橋したスチレン樹脂/アクリル樹脂混合物が得られる。この場合のスチレン樹脂における第2の原子団の含有量及びアクリル樹脂における第1の原子団の含有量、さらには、スチレン樹脂/アクリル樹脂混合物における第1の原子団と第2の原子団の割合は、上記アクリル樹脂での場合と同様である。
【0083】
(b)本発明の芳香族系ポリアミド
本発明の疑似架橋型樹脂を構成する合成高分子が芳香族系ポリアミドである場合には、第1の原子団として上記構造式群Cから選ばれる基本骨格を有する原子団が好ましく挙げられ、第2の原子団として上記構造式群Dから選ばれる基本骨格を有する原子団が好ましく挙げられる。この場合のより好ましい組合せとして、第1の原子団が、プロピオニックアシッド、ベンゾイックアシッド、フタリックアシッド、ナフトイックアシッド、フェノール、ベンゼンスルフォニックアシッドから選ばれ、第2の原子団が、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ナフチリジン、キノキサリン、2,6−ビス(アルキルアミド)ピリジン、2,6−ビス(アルキルアミノ)ピリジンから選ばれる組合せが挙げられる。この場合の好ましいアルキル基も上記の通りである。
【0084】
さらに、上記本発明の疑似架橋型の芳香族系ポリアミドとしてより具体的には、ジアミノベンゼン、ビス(アミノフェニル)スルホン、アミノビフェニル、ビス(アミノフェニル)プロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン、アミノフェニルエーテル等の芳香族ジアミン類と、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、トリメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸及びこれらの酸無水物、ハロゲン化物等の芳香族ジカルボン酸類の、通常、芳香族ポリアミドを構成するモノマー単位と、導入されることにより上記第1の原子団となり得る、カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基から選ばれる基と結合のためのアミノ基又はカルボキシル基を有するモノマー単位、例えば、ジアミノ安息香酸、ジアミノフェノール、ジアミノベンゼンスルホン酸等、及び導入されることにより第2の原子団になり得る、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基から選ばれる基と結合のためのアミノ基又はカルボキシル基を含有するモノマー単位、例えば、ジアミノピリジン、ジアミノピリミジン、ジアミノナフチリジン、ジアミノキノキサリン等、さらには、任意なモノマー単位として、通常、芳香族系ポリアミドに任意に添加されるジアミノヘキサン、ジアミノシリコーン、ジアミノシクロヘキサン等のモノマー単位等を重縮合して得られる芳香族系ポリアミド等が挙げられる。
【0085】
なお、この様な芳香族系ポリアミドのうち、例えば、第1の原子団となり得るモノマー単位や第2の原子団となり得るモノマー単位が、芳香族ジアミン類や芳香族ジカルボン酸類の誘導体、例えば、ジアミノ安息香酸、ジアミノピリジン、ジアミノピリミジン、ジアミノナフチリジン、ジアミノキノキサリン等を含む場合には、通常、芳香族ポリアミドを構成するモノマー単位として挙げた上記モノマー単位は任意のモノマー単位とすることも可能である。
【0086】
本発明の疑似架橋型の芳香族系ポリアミドの分子量は、水素結合による疑似架橋を無視した共有結合高分子の分子量として5000〜30万程度であることが好ましく、より好ましくは2万〜20万程度である。また、第1の原子団の含有量は、カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基の合計数として共有結合高分子1分子当たり2〜1500個程度、好ましくは2〜1000個程度とすることができる。さらに、第2の原子団の含有量は、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基の合計数として共有結合高分子1分子当たり2〜1500個程度、好ましくは2〜1000個程度とすることができる。
【0087】
また、本発明の疑似架橋型の芳香族系ポリアミドにおける第1の原子団と第2の原子団の割合は、樹脂内のカルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基の合計量と、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基の合計量の割合として1.0:0.1〜1.0:10.0程度が好ましく、より好ましくは1.0:0.3〜1.0:3.0程度である。
【0088】
なお、従来の芳香族系ポリアミドの中には、分子末端にアミノ基やカルボキシル基を有する重合体からなる芳香族系ポリアミドも存在するが、これらは疑似的に架橋することはなく、したがって本発明の架橋型樹脂の範疇には含まれない。本発明の疑似架橋型の芳香族系ポリアミドにおいて、上記第1の原子団及び第2の原子団の結合位置は、両者が相互に作用し合って水素結合を形成し樹脂を疑似架橋型のものとするような結合位置であれば、分子末端、側鎖、骨格中のいずれであってもよいが、第1の原子団及び第2の原子団の少なくとも一方が側鎖又は骨格内にある様な結合位置が望ましい。好ましい結合関係を具体的に示せば、芳香族系ポリアミドが2種からなり、一方が第1の原子団を分子末端に有し、他方が第2の原子団を側鎖又は骨格中に有するもの、一方が第2の原子団を分子末端に有し、他方が第1の原子団を側鎖又は骨格中に有するもの等が挙げられる。
【0089】
この様にして通常の芳香族系ポリアミドに上記第1の原子団と第2の原子団が導入された本発明の疑似架橋型の芳香族系ポリアミドは、高い機械的強度、低い線膨張係数等を有しながら、有機溶媒に対する溶解性が改善された、フィルム等への加工が容易な従来にはない芳香族系ポリアミドである。
【0090】
(c)ポリマーアロイ
本発明の疑似架橋型樹脂は、ポリマーアロイ材の分野においても好適に利用される。
【0091】
ポリマーアロイ材のうちでも、本発明の疑似架橋型樹脂を構成する合成高分子がアクリル樹脂とフェノール樹脂との組合せである場合には、第1の原子団として上記構造式群Eから選ばれる基本骨格を有する原子団が好ましく挙げられ、第2の原子団として上記構造式群Fから選ばれる基本骨格を有する原子団が好ましく挙げられる。この場合のより好ましい組合せとして、第1の原子団が、プロピオニックアシッド、フタリックアシッド、トルエンスルフォニックアシッド、フェノール、ベンゾイックアシッドから選ばれ、第2の原子団が、トリエチルアミン、フェニルアミン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ナフチリジン、キノキサリンから選ばれる組合せが挙げられる。
【0092】
さらに、上記本発明の疑似架橋型のアクリル樹脂/フェノール樹脂としてより具体的には、アクリル樹脂が第2の原子団を有し、フェノール樹脂が第1の原子団を有する組合せ、アクリル樹脂が第1の原子団を有し、フェノール樹脂が第2の原子団を有する組合せが挙げられる。
【0093】
アクリル樹脂が第2の原子団を有し、フェノール樹脂が第1の原子団を有する組合せについて説明すると、第2の原子団を有するアクリル樹脂としては、例えば、上記第1の原子団及び第2の原子団を有するアクリル樹脂から第1の原子団を除いたものが挙げられる。上記第2の原子団を有するアクリル樹脂の分子量は、1万〜100万程度であることが好ましく、より好ましくは5万〜70万程度である。また、第2の原子団の含有量は、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基の合計数として共有結合高分子1分子当たり2〜10000個程度、好ましくは2〜2000個程度とすることができる。
【0094】
第1の原子団を有するフェノール樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、フェニルフェノール、p−t−ブチルフェノール、レゾルシノール、ハイドロキノン等のフェノール類と、ホルムアルデヒド等の、通常、フェノール樹脂を構成するモノマー単位と、導入されることにより上記第1の原子団となり得る、カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基から選ばれる基と結合のための水酸基を有するモノマー単位、例えば、p−フェノールスルホン酸、ヒドロキシベンゾイックアシッド等、さらには、任意なモノマー単位として、通常、フェノール樹脂に任意に添加されるアルキルアミン、トリオキサン、フルフラール等のモノマー単位等を付加・縮合して得られるフェノール樹脂等が挙げられる。
【0095】
上記第1の原子団を有するフェノール樹脂の分子量は、1000〜5万程度であることが好ましく、より好ましくは5000〜2万程度である。また、第1の原子団の含有量は、カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基の合計数として1分子当たり2〜500個程度、好ましくは2〜100個程度とすることができる。
【0096】
この様な第2の原子団を有するアクリル樹脂と第1の原子団を有するフェノール樹脂とからなる本発明の疑似架橋型のアクリル樹脂/フェノール樹脂における第1の原子団と第2の原子団の割合は、樹脂内のカルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基の合計量と、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基の合計量の割合として1.0:0.1〜1.0:10.0程度が好ましく、より好ましくは1.0:0.3〜1.0:3.0程度である。
【0097】
また、アクリル樹脂が第1の原子団を有し、フェノール樹脂が第2の原子団を有する組合せについて説明すれば、第1の原子団を有するアクリル樹脂としては、例えば、上記第1の原子団及び第2の原子団を有するアクリル樹脂から第2の原子団を除いたものが挙げられる。第1の原子団を有するアクリル樹脂の分子量は上記第2の原子団を有するものと同様とすることができる。また、第1の原子団の含有量は、カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基の合計数として共有結合高分子1分子当たり2〜10000個程度、好ましくは2〜2000個程度とすることができる。
【0098】
第2の原子団を有するフェノール樹脂としては、上記第1の原子団を有するフェノール樹脂において、第1の原子団となり得るモノマー単位の代わりに、導入されることにより第2の原子団になり得る、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基から選ばれる基と結合のための水酸基を含有するモノマー単位、例えば、アミノフェノール、ヒドロキシピリジン等を用いる以外は上記同様にして得られるフェノール樹脂等が挙げられる。第2の原子団を有するフェノール樹脂の分子量は上記第1の原子団を有するものと同様とすることができる。また、第2の原子団の含有量は、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基の合計数として共有結合高分子1分子当たり2〜500個程度、好ましくは2〜100個程度とすることができる。
【0099】
この様な第1の原子団を有するアクリル樹脂と第2の原子団を有するフェノール樹脂とからなる本発明の疑似架橋型のアクリル樹脂/フェノール樹脂における第1の原子団と第2の原子団の割合は、上記第2の原子団を有するアクリル樹脂と第1の原子団を有するフェノール樹脂とからなる本発明の疑似架橋型のアクリル樹脂/フェノール樹脂におけるのと同様とすることができる。
【0100】
また、本発明の疑似架橋型樹脂を構成する合成高分子がスチレン樹脂と環状ポリオレフィンとの組合せである場合には、第1の原子団として上記構造式群Cから選ばれる基本骨格を有する原子団が好ましく挙げられ、第2の原子団として上記構造式群Dから選ばれる基本骨格を有する原子団が好ましく挙げられる。この場合のより好ましい組合せとして、第1の原子団が、プロピオニックアシッド、ベンゾイックアシッド、フタリックアシッド、ナフトイックアシッド、フェノールから選ばれ、第2の原子団が、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ナフチリジン、キノキサリン、2,6−ビス(アルキルアミド)ピリジン、2,6−ビス(アルキルアミノ)ピリジンから選ばれる組合せが挙げられる。
【0101】
さらに、上記本発明の疑似架橋型のスチレン樹脂/環状ポリオレフィンとしてより具体的には、スチレン樹脂が第2の原子団を有し、環状ポリオレフィンが第1の原子団を有する組合せ、スチレン樹脂が第1の原子団を有し、環状ポリオレフィンが第2の原子団を有する組合せが挙げられる。
【0102】
スチレン樹脂が第2の原子団を有し、環状ポリオレフィンが第1の原子団を有する組合せについて説明すると、第2の原子団を有するスチレン樹脂としては、例えば、主モノマー単位であるスチレンと、導入されることにより第2の原子団になり得る置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基から選ばれる基と結合のためのビニル基を含有するモノマー単位あるいは導入されることにより第2の原子団になり得る基をエステル結合により有するアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のモノマー単位、例えば、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等、さらには、任意なモノマー単位として、通常、スチレン樹脂に任意に添加されるビニルトルエン、ビニルフェノール、インデン、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のモノマー単位等を共重合して得られるスチレン樹脂等が挙げられる。
【0103】
上記第2の原子団を有するスチレン樹脂の分子量は、5000〜20万程度であることが好ましく、より好ましくは1万〜10万程度である。また、第2の原子団の含有量は、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基の合計数として共有結合高分子1分子当たり2〜2000個程度、好ましくは2〜500個程度とすることができる。
【0104】
第1の原子団を有する環状ポリオレフィンとしては、ノルボルネン、水素化ノルボルネン、(エチレン/ジシクロペンテン)共重合体等の、通常、環状ポリオレフィンを構成するモノマー単位と、導入されることにより上記第1の原子団となり得る、カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基から選ばれる基と結合のためのビニル基を有するモノマー単位、例えば、エキソールノルボルネンジカルボン酸無水物、ジシクロペンテンジカルボン酸無水物等、さらには、任意なモノマー単位として、通常、環状ポリオレフィンに任意に添加されるエチレン、プロピレン、シクロオクテン等のモノマー単位等を共重合して得られる環状ポリオレフィン等が挙げられる。
【0105】
上記第1の原子団を有する環状ポリオレフィンの分子量は、1万〜30万程度であることが好ましく、より好ましくは、5万〜20万程度である。また、第1の原子団の含有量は、カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基の合計数として1分子当たり2〜1000個程度、好ましくは2〜300個程度とすることができる。
【0106】
この様な第2の原子団を有するスチレン樹脂と第1の原子団を有する環状ポリオレフィンとからなる本発明の疑似架橋型のスチレン樹脂/環状ポリオレフィンにおける第1の原子団と第2の原子団の割合は、樹脂内のカルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基の合計量と、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基の合計量の割合として1.0:0.1〜1.0:10.0程度が好ましく、より好ましくは1.0:0.3〜1.0:3.0程度である。
【0107】
また、スチレン樹脂が第1の原子団を有し、環状ポリオレフィンが第2の原子団を有する組合せについては、上記第2の原子団を有するスチレン樹脂の第2の原子団を第1の原子団に代える以外は上記同様にして得られる第1の原子団を有するスチレン樹脂と、上記第1の原子団を有する環状ポリオレフィンの第1の原子団を第2の原子団に代える以外は上記同様にして得られる第2の原子団を有する環状ポリオレフィンを、第1の原子団と第2の原子団の割合が上記と同様になるように組み合わせることで得られるものである。
【0108】
この様な本発明のポリマーアロイ材は、ポリマーアロイ材を構成する各合成高分子が上記第1の原子団と第2の原子団を介して水素結合を形成することで疑似的に架橋しているため相溶性に優れる。
【0109】
(d)液晶性高分子
本発明の疑似架橋型樹脂を構成する合成高分子が液晶性高分子、特に、芳香族系ポリエステル、芳香族系ポリエステルアミド及び芳香族ポリアミドから選ばれる場合には、第1の原子団として上記構造式群Cから選ばれる基本骨格を有する原子団が好ましく挙げられ、第2の原子団として上記構造式群Dから選ばれる基本骨格を有する原子団が好ましく挙げられる。この場合のより好ましい組合せとして、第1の原子団が、プロピオニックアシッド、ベンゾイックアシッド、フタリックアシッド、ナフトイックアシッド、フェノール、ベンゼンスルフォニックアシッドから選ばれ、第2の原子団が、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ナフチリジン、キノキサリン、2,6−ビス(アルキルアミド)ピリジン、2,6−ビス(アルキルアミノ)ピリジンから選ばれる組合せが挙げられる。
【0110】
例えば、上記本発明の疑似架橋型の芳香族系ポリエステルアミドとしてより具体的には、クロロハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール等の芳香族アルコール類と、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸及びこれらの酸無水物、ハロゲン化物等の芳香族ジカルボン酸類と、ジアミノベンゼン、ビス(アミノフェニル)スルホン、アミノビフェニル、ビス(アミノフェニル)プロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン、アミノフェニルエーテル等の芳香族ジアミン類の、通常、芳香族ポリエステルアミドを構成するモノマー単位と、導入されることにより上記第1の原子団となり得る、カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基から選ばれる基と結合のための官能基を有するモノマー単位、例えば、ジアミノ安息香酸、ジアミノフェノール、ジアミノベンゼンスルホン酸等、及び導入されることにより第2の原子団になり得る、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基から選ばれる基と結合のための官能基を含有するモノマー単位、例えば、ジアミノピリジン、ジアミノピリミジン、ジアミノナフチリジン、ジアミノキノキサリン等、さらには、任意なモノマー単位として、通常、芳香族系ポリエステルアミドに任意に添加されるビス(ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン等のモノマー単位等を重合して得られる芳香族系ポリエステルアミド等が挙げられる。
【0111】
なお、この様な芳香族系ポリエステルアミドのうち、例えば、第1の原子団となり得るモノマー単位や第2の原子団となり得るモノマー単位が、芳香族アルコール類、芳香族ジアミン類や芳香族ジカルボン酸類の誘導体、例えば、ジアミノ安息香酸、ジアミノピリジン、ジアミノフェノール、ジアミノベンゼンスルホン酸、ジアミノピリミジン、ジアミノナフチリジン、ジアミノキノキサリン等を含む場合には、通常、芳香族ポリエステルアミドを構成するモノマー単位として挙げた上記モノマー単位は任意のモノマー単位とすることも可能である。
【0112】
本発明の疑似架橋型の液晶性高分子の分子量は、水素結合による疑似架橋を無視した共有結合高分子の分子量として1万〜30万程度であることが好ましく、より好ましくは、5万〜20万程度である。また、第1の原子団の含有量は、カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基の合計数として共有結合高分子1分子当たり2〜1000個程度、好ましくは2〜500個程度とすることができる。さらに、第2の原子団の含有量は、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基の合計数として共有結合高分子1分子当たり2〜1000個程度、好ましくは2〜500個程度とすることができる。
【0113】
また、本発明の疑似架橋型の液晶性高分子における第1の原子団と第2の原子団の割合は、樹脂内のカルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基の合計量と、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基の合計量の割合として1.0:0.1〜1.0:10.0程度が好ましく、より好ましくは1.0:0.3〜1.0:3.0程度である。
【0114】
この様な本発明の液晶性高分子は、液晶性高分子を構成する合成高分子が上記第1の原子団と第2の原子団を介して水素結合を形成することで疑似的に架橋した構造を有するものである。本発明の疑似架橋型の液晶性高分子は、配向方向とともに配向方向と直角方向についても高い弾性率と強度、更には低い線膨張係数を有するものであって、従来の液晶性高分子の有する成形品表面が層状に剥離するという欠点が改善されたものである。
【0115】
(e)熱硬化性樹脂
本発明の疑似架橋型樹脂を構成する合成高分子が、熱硬化性樹脂、特に、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル、レゾール型フェノール樹脂及びエポキシ樹脂から選ばれる場合には、第1の原子団として上記構造式群Eから選ばれる基本骨格を有する原子団が好ましく挙げられ、第2の原子団として上記構造式群Fから選ばれる基本骨格を有する原子団が好ましく挙げられる。この場合のより好ましい組合せとして、第1の原子団が、プロピオニックアシッド、ベンゾイックアシッド、フタリックアシッド、トルエンスルフォニックアシッド、フェノールから選ばれ、第2の原子団が、トリエチルアミン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ナフチリジン、キノキサリンから選ばれる組合せが挙げられる。
【0116】
本発明の疑似架橋型の熱硬化性樹脂における第1の原子団の含有量は、カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基の合計数として共有結合高分子1分子当たり2〜1000個程度、好ましくは2〜500個程度とすることができる。さらに、第2の原子団の含有量は、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基の合計数として共有結合高分子1分子当たり2〜1000個程度、好ましくは2〜500個程度とすることができる。
【0117】
また、本発明の疑似架橋型の熱硬化性樹脂における第1の原子団と第2の原子団の割合は、樹脂内のカルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基の合計量と、置換されていてもよいアミノ基および少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基の合計量の割合として1.0:0.1〜1.0:10.0程度が好ましく、より好ましくは1.0:0.3〜1.0:3.0程度である。
【0118】
この様な本発明の熱硬化性樹脂は、これを構成する合成高分子が上記第1の原子団と第2の原子団を介して水素結合を形成することで疑似的に架橋した構造を有するものである。本発明の疑似架橋型の熱硬化性樹脂は、従来の熱硬化性樹脂の有する高耐熱性を維持しながら溶媒に対する溶解性を達成したリサイクル可能な熱硬化性樹脂である。
【0119】
(6)本発明の疑似架橋型樹脂からなる成形品
本発明の成形品は上記疑似架橋型樹脂からなる。成形品として、具体的には、フィルム、シート、射出成形品等が挙げられるが、本発明の成形品として、特に好ましくはフィルムが挙げられる。また、これら成形品を製造する際に、上記で得られる疑似架橋型樹脂に、成形加工性改善剤、安定剤、滑剤、耐候剤、難燃剤、充填剤、顔料、抗菌剤、可塑剤等の一般的に合成樹脂を成形品に成形加工する際に添加される各種添加剤を加えることが可能である。
【0120】
上記本発明の成形品を製造する方法は特に限定されず、疑似架橋型樹脂の種類に応じて、従来公知の方法、例えば、押出成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法、注型成形法等の方法を適用することができる。
【0121】
また、本発明の疑似架橋型樹脂のうちでも特に芳香族系ポリアミドについては、溶剤への溶解性が改善されることによって、フィルムへの加工性を簡素化することができる。
【0122】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、下記各実施例及び比較例においては、得られたフィルム等の樹脂成形品について各種物性の測定を行っているが、その測定方法は以下の通りである。
【0123】
<物性測定法>
(1)ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)
実施例、比較例で得られたポリマーのTg、Tmを、DSC(示差走査熱量測定)によって10℃/minの昇温速度条件で測定した。測定器として、理学電機(株)製、DSC8230を用いた。
【0124】
(2)折り曲げ加工性
実施例、比較例で得られたフィルムを折り曲げた(室温(23℃)にて180度の角度で折り曲げ、これを20回繰り返した)際の亀裂の有無、白化現象の程度を目視にて観察した。白化現象又は破損が認められなかった場合を○で、それ以外を×で表した。
【0125】
(3)全光線透過率
実施例、比較例で得られたフィルムの全光線透過率を、分光光度計を用い、室温にて波長400nm〜800nmの領域で測定した。測定器として、JASCO社製、V-570を用いた。
【0126】
(4)引張り強度
実施例、比較例で得られたフィルムで試験片を作製し引張り強度を測定した。測定器として、島津製作所(株)製、AGS-1000Gを用いた。試験は室温にて、テストスピード;0.5mm/min、チャック間距離;20mm、試験片幅;10mmの条件で行った。
【0127】
(5)ピール強度
ピール強度は、実施例、比較例で得られたフィルムで作製した試験片の銅に対する密着性で評価した。測定器として、テスター産業(株)製、LRU-5Kを用い、室温にて、50mm/minの条件で行った。
【0128】
(6)溶解性
実施例、比較例で得られたポリマーの溶解性は、ジメチルホルムアミド(DMF)に対する室温での溶解性で評価した。濃度が10%になるようにDMFを添加し完全に溶解した場合を○で、それ以外を×で表した。
【0129】
(7)相分離状態の観察
実施例、比較例で得られたポリマーを混合した場合の相分離状態の観察を目視にて行った。相分離状態の観察は混合溶液を基材に塗布した後、溶媒を除去して得られたフィルムについて行った。
【0130】
(8)複屈折率
複屈折率の測定は、実施例、比較例で得られたフィルムをさらに加熱延伸(八洲化工機(株)製、YMバランサー(型式:S1−45)にて、120℃で、1.5倍に延伸)し配向フィルムにしたものについて行った。測定器として、島津製作所(株)製、エリプソメータAEP-100を用いた。
【0131】
また、以下の実施例および比較例で用いられる「%」は、特に断りのない限り「重量%」である。
さらに、下記各実施例及び比較例で用いたモノマー原料の略称と入手先を表1に示した。なお、下記各実施例、比較例においては、場合によってはこれらモノマー原料を略称で記載した。
【0132】
【表1】
【0133】
【実施例1】
500mLの4つ口フラスコに重合溶媒としてトルエン200gを投入し、メタクリル酸メチル(MMA)54.3g、アクリル酸ブチル(BA)37.5g、ビニルピリジン(VP)4.9g、アクリル酸(AA)3.3gを秤取してモノマー混合物とたものに重合開始剤としてラウロイルパーオキシド0.4gを添加し溶解した後、この混合物をフラスコ内に添加した。その後、室温にて窒素ガスを約1時間通し溶存酸素を置換した後、窒素気流下に60℃まで昇温した。同温度を約8時間保持し高分子溶液を得た。このときの重合率は98%以上であった。この高分子溶液を1Lのメタノール中に少量ずつ連続的に攪拌しながら添加してポリマーを単離し目的のポリマーを得た。得られたポリマーをトルエンに溶解し、その溶液をガラス板上に塗布後、溶媒を加熱乾燥して約50μmのフィルムを作製し、評価用試料とした。
【0134】
【比較例1】
モノマー混合物として、メタクリル酸メチル(MMA)70.0g、アクリル酸ブチル(BA)30.0gを用いたこと以外は実施例1と全く同様に行った。
【0135】
<ポリマー及びフィルムの評価−1>
上記実施例1及び比較例1で得られたポリマーについて、Tgを、またフィルムについて、折り曲げ加工性、全光線透過率及び引張り強度を測定した。測定結果をフィルム構成ポリマーのモノマー組成とともに表2に示す。
【0136】
【表2】
【0137】
この結果から、比較例のアクリル樹脂がTgは室温以上であるがフィルムにした際の折り曲げ加工性が悪いのに比べ、本発明の疑似架橋型アクリル樹脂はTgが室温以上であるとともに、該樹脂からなるフィルムは優れた折り曲げ加工性並びに高い全光線透過率及び引張り強度を有することが明らかである。
【0138】
【実施例2】
500mLの4つ口フラスコに重合溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)200gを添加し、ジアミン成分として、m−ジアミノベンゼン(m−DAB)5.48g、2,6−ジアミノピリジン(DAP)0.69g、3,5−ジアミノ安息香酸(DABA)0.96gを添加し、室温にて攪拌して溶解した後、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸クロリド(m−PHACl)12.87gをNMPに溶解させた溶液をフラスコ内に添加した。その後、反応系の温度を室温に保ちながら約2時間撹拌を続けた後、90℃まで昇温し反応を完結させた。この時点での未反応物は0.1%以下であった。得られたポリマー溶液にm−PHACLの2倍当量のトリエチルアミンを添加し反応系中に存在する塩酸を塩として沈殿させた。この沈殿物を濾別した後、得られたポリマー溶液を1Lの水中に少量ずつ連続的に攪拌しながら添加してポリマーを単離し目的のポリマーを得た。得られたポリマーをNMPに溶解し、その溶液をPETフィルム上に塗布し、溶媒を加熱乾燥して約50μmのフィルムを作製し、評価用試料とした。
【0139】
【比較例2】
ジアミン成分としてm−DAB 6.95gを用い、ジカルボン酸成分としてm−PHACL 13.05gを用いたこと以外は実施例2と全く同様に行った。
【0140】
【実施例3】
ジアミン成分としてビス(アミノフェニル)スルホン(APS)8.69g、DAP 0.54g、DABA 0.75gを用い、ジカルボン酸成分としてm−PHACL 10.02gを用いたこと以外は実施例2と全く同様に行った。
【0141】
【実施例4】
(ポリマーAの合成)
ジアミン成分として、APS 8.79g、DAP 1.09gを用い、ジカルボン酸成分としてm−PHACL 10.12gを用いたこと以外は実施例2と全く同様に行ってポリマーAを合成した。
【0142】
(ポリマーBの合成)
ジアミン成分として、APS 8.60g、DABA 1.49gを用い、ジカルボン酸成分としてm−PHACL 9.91gを用いたこと以外は実施例2と全く同様に行ってポリマーBを合成した。
【0143】
(ポリマーの混合とフィルムの作製)
上記で得られたポリマーA9.9gをNMPに溶解した溶液と、ポリマーB10.1gをNMPに溶解した溶液を混合し均一溶液を調製した。その溶液をPETフィルム上に塗布し、溶媒を加熱乾燥して約50μmのフィルムを作製し、評価用試料とした。
【0144】
【比較例3】
アミン成分として、APS 6.95gを用い、ジカルボン酸成分としてm−PHACL 13.05gを用いたこと以外は実施例2と全く同様に行った。
【0145】
<ポリマー及びフィルムの評価−2>
上記実施例2〜4及び比較例2、3で得られたポリマーについて、溶解性、Tg及びTmを、またフィルムについて折り曲げ加工性、全光線透過率、引っ張り強度及びピール強度を測定した。測定結果をフィルム構成ポリマーのモノマー組成とともに表3に示す。
【0146】
【表3】
【0147】
この結果から、比較例の芳香族系ポリアミドが溶剤溶解性に劣るのに比べ、本発明の疑似架橋型芳香族系ポリアミドはいずれも溶剤溶解性に優れるとともに、該樹脂からなるフィルムは優れた折り曲げ加工性並びに高い全光線透過率、引張り強度およびピール強度を有することが明らかである。
【0148】
【実施例5】
500mLの4つ口フラスコに重合溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)200gを添加し、ジアミン成分として、APS 7.10g、DAP 0.44g、DABA 0.61gを添加し、室温にて攪拌して溶解した後、ジカルボン酸成分としてビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPCA)11.85gをNMPに溶解させた溶液をフラスコ内に添加した。その後、反応系の温度を室温に保ちながら約2時間撹拌を続けた後、90℃まで昇温し反応を完結させ、ポリアミド酸溶液を得た。この時点での未反応物は0.1%以下であった。得られたポリマー溶液をPETフィルム上に塗布し、溶媒を加熱乾燥して約50μmのフィルムを作製し、評価用試料とした。
【0149】
【比較例4】
アミン成分としてAPS 7.16g、m−DAB 0.88gを用い、酸成分としてBPCA 11.96gを用いたこと以外は実施例5と全く同様に行った。
<ポリマー及びフィルムの評価−3>
上記実施例5及び比較例4で得られたポリマーについて、溶解性及びTgを、またフィルムについて、折り曲げ加工性、全光線透過率、引っ張り強度及びピール強度を測定した。測定結果をフィルム構成ポリマーのモノマー組成とともに表4に示す。
【0150】
【表4】
【0151】
この結果から、比較例の芳香族系ポリアミドが溶剤溶解性に劣るのに比べ、本発明の疑似架橋型芳香族系ポリアミドは溶剤溶解性に優れるとともに、該樹脂からなるフィルムは優れた折り曲げ加工性並びに高い全光線透過率、引張り強度およびピール強度を有することが明らかである。
【0152】
【実施例6】
10Lの4つ口フラスコに重合溶媒として1,1,2,2−テトラクロロエタン6000gとトリエチルアミン1000gを添加し、アルコール成分としてクロロハイドロキノン(CHQ)を335.5g添加し、室温にて攪拌溶解した後、酸成分としてテレフタル酸クロリド(p−PHACL)589.0gを加え攪拌しながら、アミン成分としてDAP 31.5g、DABA 44.0gを1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解した溶液を20時間かけて滴下した。その全量を滴下終了した後、4時間放置しポリマー溶液を得た。この溶液を12kgのアセトン中に滴下しポリマーを単離した。このポリマーを60℃にて8時間乾燥させ目的のポリマーを得た。このポリマーを射出成形によって成形し試験片を得た。なお、射出成形は、東芝機械(株)製、IS-50EPを用いて、成形温度400℃、金型温度100℃にて行った。
【0153】
【比較例5】
アルコール成分としてCHQを340.0gを用い、アミン成分としてm−DABを63.5gを用い、酸成分としてp−PHACLを596.5gを用いたこと以外は実施例6と全く同様に行った。
【0154】
<射出成形品の評価>
上記実施例6及び比較例5で得られた試験片について、表層剥離の度合いを測定した。すなわち実施例、比較例で得られた射出成形品の表層剥離の状態を目視で評価した。測定結果を成形品を構成するポリマーのモノマー組成とともに表5に示す。
【0155】
【表5】
【0156】
この結果から、本発明の疑似架橋型芳香族系ポリエステルアミドは成形時に表層剥離を起こすことがなく、従来の芳香族系ポリエステルアミドの有する表層剥離の問題点を解消していることが明らかである。
【0157】
【実施例7】
(ポリマーCの合成)
500mLの4つ口フラスコに重合溶媒としてトルエン200gを投入し、スチレン(St)18.99g、ビニルピリジン(VP)1.01gを秤取してモノマー混合物とたものに、重合開始剤としてラウロイルパーオキシド0.08gを添加し溶解した後、その混合物をフラスコ内に添加した。その後、室温にて窒素ガスを約1時間通し溶存酸素を置換した後、窒素気流下に60℃まで昇温した。同温度を約8時間保持し高分子溶液を得た。このときの重合率は98%以上であった。この高分子溶液を1Lのメタノール中に少量ずつ連続的に攪拌しながら添加してポリマーを単離し目的のポリマーCを得た。得られたポリマーCをトルエンに溶解し、目的のポリマーC溶液を得た。
【0158】
(ポリマーDの合成)
500mLの4つ口フラスコに重合溶媒としてトルエン200gを投入し、アクリル酸ブチル(BA)19.43g、アクリル酸(AA)0.57gを秤取してモノマー混合物とたものに、重合開始剤としてラウロイルパーオキシド0.08gを添加し溶解した後、その混合物をフラスコ内に添加した。その後、室温にて窒素ガスを約1時間通し溶存酸素を置換した後、窒素気流下に60℃まで昇温した。同温度を約8時間保持し高分子溶液を得た。このときの重合率は98%以上であった。この高分子溶液を1Lのメタノール中に少量ずつ連続的に攪拌しながら添加してポリマーを単離し目的のポリマーDを得た。得られたポリマーDをトルエンに溶解し、目的のポリマーD溶液を得た。
【0159】
(アロイ化方法)
ポリマーCを10.0g含むトルエン溶液とポリマーDを12.0g含むトルエン溶液を混合し、均一な溶液を得た。この溶液をガラス板上に塗布後、溶媒を加熱乾燥(条件;60℃/2時間+110℃/4時間)して約50μmのフィルムを作製し、評価用試料とした。
【0160】
【比較例6】
(ポリマーC1の合成)
モノマーとしてStを20.0g用いること以外は実施例7のポリマーCの合成と全く同様に行いポリマーC1を得た。
【0161】
(ポリマーD1の合成)
モノマーとしてBAを20.0g用いること以外は実施例7のポリマーDの合成と全く同様に行いポリマーD1を得た。
【0162】
(アロイ化方法)
ポリマーC1を10.0g含むトルエン溶液とポリマーD1を12.0g含むトルエン溶液を混合し、均一な溶液を得た。この溶液をガラス板上に塗布後、溶媒を加熱乾燥して約50μmのフィルムを作製し、評価用試料とした。
【0163】
<ポリマーアロイ及びフィルムの評価−1>
上記実施例7及び比較例6で得られたポリマーアロイについて相分離状態を、またフィルムについて折り曲げ加工性及び全光線透過率を測定した。測定結果をフィルム構成ポリマーのモノマー組成とともに表6に示す。
【0164】
【表6】
【0165】
この結果から、本発明のポリマーアロイ(スチレン樹脂/アクリル樹脂)は、比較例のポリマーアロイ(スチレン樹脂/アクリル樹脂)に比べ相溶性に優れ、また本発明のポリマーアロイからなるフィルムは、比較例のフィルムに比べ折り曲げ加工性に優れ、高い全光線透過率を有することがわかる。
【0166】
【実施例8】
(ポリマーEの合成)
500mLの4つ口フラスコに蒸留水200gを投入し、フェノール(Ph)14.64g、フェノールスルホン酸(PSA)1.43gを秤取し、攪拌し均一に溶解させた後、37%ホルムアルデヒド水溶液10.63gを添加し、70℃まで昇温した。同温度を約3時間保持し反応混合物を得た。反応混合物を60℃〜100℃まで連続的に昇温させながら減圧下に脱水を行いポリマーEを単離した。
【0167】
(ポリマーFの合成)
モノマーとしてBA 19.17gとVP 0.83gを用いた以外は実施例7のポリマーDの合成と全く同様に行って、ポリマーFを合成した。
【0168】
(アロイ化方法)
得られたポリマーEの3.49gとポリマーFを3.63g含むトルエン溶液を混合し、均一な溶液を得た。この溶液をPETフィルム上に塗布し、溶媒を加熱乾燥したのち、約50μmのフィルムを作製し、評価用試料とした。
【0169】
【比較例7】
(ポリマーE1の合成)
Ph 15.93gを用い、37%ホルムアルデヒド水溶液11.0gを用い、触媒としてシュウ酸2水物0.16gを用いた以外は実施例8のポリマーEの合成と全く同様に行ってポリマーE1を合成した。
【0170】
(アロイ化方法)
上記で得られたポリマーE1の3.49gと上記実施例8と同様にして得られたポリマーFを3.63g含むトルエン溶液を混合して溶液を得た。この溶液をPETフィルム上に塗布し、溶媒を加熱乾燥したのち、約50μmのフィルムを作製し、評価用試料とした。
【0171】
<ポリマーアロイ及びフィルムの評価−2>
上記実施例8及び比較例7で得られたポリマーアロイについて相分離状態を、またフィルムについて折り曲げ加工性及び全光線透過率を測定した。測定結果をフィルム構成ポリマーのモノマー組成とともに表7に示す。
【0172】
【表7】
【0173】
この結果から、本発明のポリマーアロイ(フェノール樹脂/アクリル樹脂)は、比較例のポリマーアロイ(フェノール樹脂/アクリル樹脂)に比べ相溶性に優れ、また本発明のポリマーアロイからなるフィルムは、比較例のフィルムに比べ折り曲げ加工性に優れ、高い全光線透過率を有することがわかる。
【0174】
【実施例9】
(ポリマーGの合成)
500mLの4つ口フラスコに重合溶媒としてトルエン200g、ノルボルネン(Nor)16.75g、exo−ノルボルネンジカルボン酸無水物(HAC)3.25gを添加し、溶解するまで攪拌し、その後、塩化ルテニウム0.4gを添加し50℃まで昇温した。同温度を6時間保持しポリマー溶液を得た。この溶液に10gのメタノールを加え酸無水物部分をハーフエステルに変換した。得られたポリマー溶液を10倍量のn−ヘキサンに添加し未反応モノマーを除去しポリマーを単離精製した。得られたポリマーをニッケル系触媒を用いて主鎖中に残存する二重結合を水添し目的のポリマーGを得た。このポリマーGをトルエンに溶解し濃度20%の溶液を得た。
【0175】
(ポリマーHの合成)
500mLの4つ口フラスコに重合溶媒としてトルエン200gを投入し、St18.0g、VP2.0g、LPO0.08gの混合物を均一になるまで攪拌し、フラスコ内に添加した。その後、60℃まで昇温し、同温度を8時間保持してポリマー溶液を得た。この溶液を1Lのメタノールに添加し、ポリマーHを単離精製した。このポリマーHをトルエンに溶解し濃度20%の溶液を得た。
【0176】
(アロイ化方法)
ポリマーGの溶液10.0gとポリマーHの溶液10.0gを混合し、均一溶液を得た。この溶液をガラス板上に塗布後、溶媒を加熱乾燥して約50μmのフィルムを作製し、評価用試料とした。
【0177】
【比較例8】
(ポリマーH1の合成)
モノマーとしてStを20.0g用いた以外は実施例9のポリマーHの合成と全く同様に行って、ポリマーH1を得た。このポリマーHをトルエンに溶解し濃度20%の溶液を得た。
【0178】
(アロイ化方法)
上記実施例9と同様にして得られたポリマーGの溶液10.0gと上記で得られたポリマーH1の溶液10.0gを混合し、均一溶液を得た。この溶液をガラス板上に塗布後、溶媒を加熱乾燥して約50μmのフィルムを作製し、評価用試料とした。
【0179】
<フィルムの評価>
上記実施例9及び比較例8で得られたフィルムについて、全光線透過率及び複屈折率を測定した。測定結果をフィルム構成ポリマーのモノマー組成とともに表8に示す。
【0180】
【表8】
【0181】
この結果から、本発明のフィルムは、比較例のフィルムに比べ全光線透過率が高く、複屈折率が低いことがわかる。
【0182】
【発明の効果】
本発明により、合成樹脂の分子間に十分な水素結合を形成させ疑似的な架橋構造を持たせることが可能となり、これまでにない新たな性能が付与された、特に相反する特性を両立して有する疑似架橋型樹脂及びこの疑似架橋型樹脂からなる成形品が製造可能となる。
Claims (7)
- 1種又は2種以上の合成高分子からなり、前記合成高分子が少なくとも分子間で水素結合を形成することで疑似的に架橋した構造を有する疑似架橋型樹脂であって、前記合成高分子は、芳香族系ポリイミド、芳香族系ポリアミドイミド及び芳香族系ポリアミドからなる群から選択されるものであって、カルボキシル基および結合のための官能基を有するモノマ(1)及び/又は少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基および結合のための官能基を含有するモノマ(2)とを用いて製造されるポリマーであり、前記モノマ(1)が、R 1 −COOHまたはR 1 −(COOH)m[R 1 は脂肪族系又は芳香族系炭化水素基を示し、mは2〜6の整数を示す。]で示されるカルボキシル構造を含有するものであり、前記モノマ(2)が、化1に示される構造式群から選ばれるヘテロ環構造を含有するものであり、カルボキシル基を含有する第1の原子団と、第1の原子団と相互に作用して水素結合を形成し得る置換されていてもよい、少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基を含有する第2の原子団を有し、前記第1の原子団と前記第2の原子団の割合が、樹脂内のカルボキシル基の合計量と、少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環基の合計量の割合として1.0:0.1〜1.0:10.0(モル比)であり、両原子団を介して水素結合を形成していることを特徴とする疑似架橋型樹脂であって、濃度10重量%でジメチルホルムアミド(室温)に完全に溶解する疑似架橋型樹脂を主成分として含む材料からなる成形品。
- 前記合成高分子が同一分子内に前記第1の原子団と前記第2の原子団の両方を有することを特徴とする請求項1記載の成形品。
- 前記合成高分子の分子量が5000以上である請求項1または2記載の成形品。
- 前記モノマ(1)がカルボキシル基を含有するジアミンであり、前記モノマ(2)が少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ官基を含有するジアミンである請求項1〜3のいずれか1項記載の成形品。
- 前記モノマ(1)がジアミノ安息香酸であり、前記モノマ(2)がジアミノピリジンである請求項1〜4のいずれか1項記載の成形品。
- 前記疑似架橋型樹脂が、厚さ50μmのフィルムとしたときの銅に対するピール強度が1.5kg/cm以上となるものである請求項1〜5のいずれか1項記載の成形品。
- フィルムである請求項1〜6のいずれか1項記載の成形品。
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