JP3967506B2 - 水素結合部位を有するポリマーを成分化合物とする分子化合物 - Google Patents

水素結合部位を有するポリマーを成分化合物とする分子化合物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規分子化合物に係わり、さらに詳しくは4つ以上の拡散的水素結合部位を有する自己会合性化合物と水素結合部位を有するポリマーとからなる分子化合物関する。
【0002】
【従来の技術】
分子化合物は、二種以上の化合物が水素結合やvan der Waals力などに代表される、共有結合以外の比較的弱い相互作用によって結合した分子集合体であり、ポリマーを成分化合物とする分子化合物は、分子間相互作用に伴う分子配列制御に併せて高分子効果が期待できることから、近年、コンポジット、ポリマーアロイ、ハイブリッドと呼ばれる複合材料構築の一技法として注目されている。複合化に伴う高度機能化は、高分子集合におけるポリマーの分子配列制御と密接な関係にある。例えば、生体高分子は単独で機能するより、他の分子と複合したり集合して機能発現に関与していることが多い。或いは核酸に見られるように、集合自身が高次機能発現に重要な役割を果たしている場合が多い。このように高分子の集合現象は単なる材料としての興味だけではなく、情報保持、伝達、特殊場の形成など、従来の常識を越える可能性を持った領域としても期待できる。
【0003】
高分子集合体は、連鎖間や連鎖内に働くCoulomb力、水素結合力、疎水結合力、電荷移動結合力、van der Waals力等の非共有結合的な弱い2次結合力を基盤として構成されているが、特に、方向特異的相互作用である水素結合を基盤とする集合体は、近年注目されている分子配列制御と機能との関係から、複合による高度機能化を推進する有力な手法として期待されている。
【0004】
具体的な高分子集合体の一例として高分子間コンプレックスが挙げられ、例えば協同的な水素結合を介したポリメタクリル酸とポリ(N−ビニルピロリドン)とによる高分子集合体は、成分ポリマーとは全く異なる非常に興味ある物理化学的及び力学的性質を示すことが知られている[Makromol. Chem., Rapid Commun., vol.1, p 591 (1980)]。また、同様な相互作用によって得られるポリメタクリル酸−ポリエチレングリコール集合体は、成分ポリマーには無い環境応答的変形機能を有するメカノケミカルシステムとして報告されている[Makromol. Chem., vol.176, p 2761 (1975)]。
【0005】
このような高分子間コンプレックスに基づく集合体には、高分子結晶、高分子液晶、あるいはある種の生体高分子に見られるサブユニットが集まって構成する規則的な高次構造体など、極めて規則性の高いものから、沈殿、ゲル、コアセルベート、エマルジョンなどの相分離現象に見られる不規則なものまで多くの形態が存在する。
【0006】
高分子が持つ大きな分子量と多官能性は、高分子を成分化合物とする分子化合物の一つの効果である。即ち、官能基の空間的自由配置に基づく相互作用、隔離、協同作用といったものが高分子効果として示される。しかしながら、多くの官能基が柔軟な単一連鎖に密に存在する高分子同士では、相互作用点の固定並びに相互作用力の制御が困難であり、安定的に一定の組成、構造の分子化合物を得るという点で十分満足できるものではない。
【0007】
一方、成分ポリマーの連鎖構造を制御する方法として、低分子との相互作用を利用する低分子−高分子間コンプレックスが知られている。設計が容易で取り扱いやすい低分子を用いるこの方法は、機能発現に関係する多種多様な構造が容易に創出でき、更に成分ポリマーの疑似架橋に伴う結晶化、高融点化、難溶化等、ポリマーの配列化、改質化方法として注目されているが、工業材料並びに基材という点で汎用性が高く実用に耐える組成は殆ど知られていない。僅かに、vander Waals力を基盤とするものとして、ポリエチレンオキサイドと尿素とを成分化合物とするもの[J. Polym. Sci., B, vol.2, p 363 (1964)]、ポリエチレンと尿素とを成分化合物とするもの[J. Macromol.. Sci. Phys., vol.8, p 277 (1973)]、シンジオタクチックポリスチレンとベンゼン並びにトルエン等の芳香族炭化水素又はヨウ素、四塩化炭素とを成分化合物とするもの[Polymer, vol.34, No.23, p 4841 (1993)]、及びポリエチレンオキサイドとp−ジハロゲノベンゼンとを成分化合物とする結晶性の分子化合物[Polymer Communications., vol.32, No.15, p 477 (1991)]が、そして水素結合を基盤とするものとして、ポリエチレンイミンと水とを成分化合物とするもの[Macromolecule, vol.14, p 315 (1981)]、ポリエチレンオキサイドとヒドロキノン、レゾルシノール又はp−ニトロフェノールとを成分化合物とするもの[Macromol. Symp., vol.114, p 51 (1997)]、及びポリ(N−ビニルピロリドン)と3,5−ジヒドロキシ安息香酸[Supramolecular Science, vol.2, p 41 (1995)]とを成分化合物とする結晶性の分子化合物などが開示されているのみである。
【0008】
これら低分子−高分子間コンプレックスに基づく高分子集合体の機能は、低分子が高分子に対しどのように配位するかによって決まるため、それらを設計、製造する上では低分子−高分子間の会合形態のコントロールが極めて重要となる。しかしながら、従来のvan der Waals力を基盤とする低分子−高分子間コンプレックスでは分子会合における指向性が弱いため、選択的並びに安定的に一定の組成、構造の高分子集合体が得難い。また、これまでの水素結合を基盤とする低分子−高分子間コンプレックスにおいても、低分子に対応する成分ポリマーが非常に限定されている上に、水素結合を司る低分子中の官能基がその作用における方向性を加味した適性配置となっておらず、水素結合性の低分子−高分子会合から想定される機能が未だ十分に発揮されていない。
【0009】
さらに近年、低分子−高分子間コンプレックスに基づく高分子集合体は、製剤、排水処理、エネルギートランスジューサー、導電体、生体モデル反応など機能性という点で特に注目されているが、低分子の果たす役割と共に固体構造に関する知見が乏しく、工業的に価値の高い材料という観点から十分満足できる組成は見出されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、高分子集合体内に働く相互作用点及び作用力を固定さらには制御し、成分ポリマーの配列化、改質化が図られるなど、製剤、排水処理、エネルギートランスデューサー、導電体、生体モデル反応などの先端材料分野において有用な分子化合物を提供することや、水素結合部位を有するポリマーの配列化及び/又は改質化方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の問題点を解決すべく鋭意研究をした結果、高分子集合における分子間に拡散的水素結合を介在させることにより、複合材料構築に極めて重要な水素結合性ポリマーの分子配列制御並びに改質化が容易に効率良く達成できることを突き止めた。この拡散的分子間水素結合を司る因子について詳細に検討した結果、4つ以上の拡散的水素結合部位を有する自己会合性化合物が、広範囲の水素結合性ポリマーと成形性に優れ且つ規則的なドメインを持つ安定した分子化合物を形成すること、得られる分子化合物が製剤、排水処理、エネルギートランスデューサー、導電体、生体モデル反応などの先端材料分野において優れた性能を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、
a)一般式(1)
【化2】
(式中、Xは、(CH)n又はp−フェニレン基を表し、nは、0、1、2、又は3であり、Yは、水酸基、カルボキシル基又は置換基を有してもよいアミノ基を表し、R、Rは、それぞれ水素原子、低級アルキル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子、又は低級アルコキシ基を示す。)で表されるテトラキスアリール系化合物、及び
b)ポリエーテル類、ポリビニルアルコール類、アミン類のポリマー、フェノール類のポリマー、ポリアクリル酸類、ポリビニルエーテル類、ポリビニルケトン類、ポリビニル複素環類、ポリカルボン酸ビニル類、多糖類及びポリアミノ酸類からなる群から選ばれた1種又は2種以上の水素結合部位を有するポリマー
が水素結合により会合した多分子集積体である分子化合物を提供するものであり、特に、
a)の一般式(1)で表されるテトラキスアリール系化合物が、式中、Xは、(CH)nを表し、nは、0、1、2、又は3であり、Yは、水酸基又はカルボキシル基を表し、R、Rは、それぞれ水素原子又は低級アルキル基を表す化合物であり、
b)の水素結合部位を有するポリマーが、ポリエーテル類、アミン類のポリマー及びポリビニル複素環類からなる群から選ばれた1種又は2種以上のポリマー
である分子化合物を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明における分子化合物は、単独で安定に存在することのできる1種以上のポリマーを含む2種以上の成分化合物が水素結合によって結合した化合物であり、水化物、溶媒化物、付加化合物、包接化合物、モレキュラーコンポジット、ポリマーブレンド、ポリマーアロイなどが含まれる。
【0017】
さらに、本発明における分子化合物は、通常結晶性固体であるが、アモルファス或いは油状の場合もあり、また、結晶多形をとることもあり、液晶、ゲル、コアセルベート、エマルジョンなど多くの形態が存在するが、これらの形態に関わりなく、4つ以上の拡散的水素結合部位を有する自己会合性化合物と、水素結合部位を有するポリマーとを成分化合物とする分子化合物は全て本発明に属する。
【0018】
本発明の一般式(1)で表されるテトラキスアリール系化合物において、Xは(CH2)n又はp−フェニレン基を表し、nは、0、1、2、又は3であり、Yは、水酸基、カルボキシル基、置換基を有してもよいアミノ基を表し、R1、R2は、それぞれ水素原子、低級アルキル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子、又は低級アルコキシ基を示す。本発明のテトラキスアリール系化合物は、分子内に4つ以上の水素結合性の官能基を持ち、かつ官能基が分子間で自己会合可能な拡散タイプであり、水素結合部位を有するポリマーと分子化合物を形成し得るものであれば特に制限はなく任意のものを1種又は2種以上選択して用いることができる。
【0019】
本発明で用いるテトラキスアリール系化合物としては、例えば、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−ブロモ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フェニル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタンを挙げることができる。
【0020】
また本発明で用いるテトラキスアリール系化合物としては、例えば、1,1,3,3−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンを挙げることができる。
【0021】
また本発明で用いるテトラキスアリール系化合物としては、例えば、1,1,4,4−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンを挙げることができる。
【0022】
また本発明で用いるテトラキスアリール系化合物としては、例えば、1,1,5,5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタンを挙げることができる。
【0023】
また本発明で用いるテトラキスアリール系化合物としては、例えば、α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−エタン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−フルオロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−クロロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−ブロモ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−メトキシ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−クロロ−5−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレンを挙げることができる。
【0024】
さらに本発明で用いるテトラキスアリール系化合物としては、例えば、1,1,2,2−テトラキス(4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメチル−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−ブロモ−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−t−ブチル−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジフルオロ−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フェニル−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジフェニル−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−5−メチル−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−メチル−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−ブロモ−5−メチル−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−5−メチル−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−t−ブチル−5−メチル−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フェニル−5−メチル−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−ブロモ−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−ブロモ−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−t−ブチル−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジフルオロ−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フェニル−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジフェニル−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−5−メチル−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−メチル−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−ブロモ−5−メチル−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−5−メチル−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−t−ブチル−5−メチル−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フェニル−5−メチル−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−ブロモ−4−アミノフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−アミノフェニル)エタンを挙げることができる。
【0025】
そして本発明で用いる一般式(1)で表される上記テトラキスアリール系化合物うち、水素結合部位を有するポリマーの分子配列化、化学的安定化、改質化などの性能の点から、特に1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,4,4−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,5,5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,2,2−テトラキス(4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−アミノフェニル)エタンが好ましい。
【0026】
本発明のテトラキスアリール系化合物は、通常結晶性固体であるが、アモルファス或いは油状の場合もある。また、結晶多形をとることもあるが、これらの形態に係わりなく、一般式(1)で表されるテトラキスアリール誘導体は全て本発明に属する。
【0027】
本発明で用いる水素結合部位を有するポリマーとしては、ポリエーテル類、ポリビニルアルコール類、アミン類のポリマー、フェノール類のポリマー、ポリアクリル酸類、ポリビニルエーテル類、ポリビニルケトン類、ポリビニル複素環類、ポリカルボン酸ビニル類、多糖類、ポリアミノ酸類の何れかに分類できる従来公知の水素結合部位を有するポリマーの中から任意のものを1種又は2種以上選択して使用でき、単独重合体あるいは共重合体を問わず、本発明で用いる前記一般式(1)で表されるテトラキスアリール系化合物と分子化合物を形成するポリマーであれば特に制限はない。このようなポリマーとしては、以下のものを例示することができる。
【0028】
ポリエーテル類としては、ポリオキシメチレン、ポリアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリオキシメチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアミド縮合物、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジオレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジベンゾエート、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコール−n−アルキルスルフォプロピルエーテル、ポリエチレングリコールビヘニルエーテルメタクリレート、ポリエチレングリコールビスアミノプロピルターミネート、ポリエチレングリコールビス(カルボキシメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビスエチルヘキサノエート、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジベンゾエート、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、オキシエチレングリコール−オキシプロピレングリコール共重合体、オキシエチレングリコール−オキシプロピレングリコール共重合体、オキシエチレン−オキシプロピレングリコール共重合体、オキシエチレン−オキシプロピレンアルキルエーテル共重合体、ポリエーテルゴム、クラウンエーテル、クラウンエーテル置換ポリマー等を挙げることができる。
【0029】
また、ポリビニルアルコール類としては、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−ビニルピロリドン共重合体等を、アミン類のポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)、ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)、ポリビニルアミン、ポリ(N,N−ジメチル−N’,N’,N’’,N’’−テトラメチレンホスホルアミド)等を、フェノール類のポリマーとしては、ポリビニルフェノール、ポリフェノールイミンジエタノールイソフタレート、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等を、ポリアクリル酸類としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリイタコン酸、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリ(N−ヒドロキシメチルアクリルアミド)、ポリ(N−ヒドロキシエチルアクリルアミド)、ポリ(N−iso−プロピルアクリルアミド)、ポリグリシジルメタクリレート、ポリメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリ(ジエトキシ−n−メチルイタコネート)等を挙げることができる。
【0030】
そしてまた、ポリビニルエーテル類としては、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニル−iso−ブチルエーテル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリエトキシ−エトキシ−エトキシ−ビニルエーテル等を、ポリビニルケトン類としては、ポリビニルメチルケトン、ポリビニルフェニルケトン等を、ポリビニル複素環類としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリビニルピペラジン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルイミダゾリン、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアデニン、ポリビニルシトシン等を、ポリカルボン酸ビニル類としては、ポリ酢酸ビニル、ポリケイ皮酸ビニル、無水マレイン−酢酸ビニル共重合体等を、多糖類としては、デンプン、アミロース、シクロアミロース、アミロペクチン、セルロース、アルギン酸、グリコーゲン、キチン、ヒアウロン酸等を、ポリアミノ酸類としては、ポリグリシン、ポリセリン、ポリリシン、オキシトシン、ポリグルタミン酸等を挙げることができる。
【0031】
本発明で用いるポリマーとは、1種類又は数種類の構成単位が互いに数多く化学結合で連結している分子からなる化合物であり、さらに詳しくは構成単位の数がその分子の性質に影響しない程度に大きい化合物を指す。また本発明で用いるポリマーは、前記一般式(1)で表されるテトラキスアリール系化合物と分子化合物を形成するものであれば特に分子量に対する制限はないが、方向特異的な水素結合の形成とそれに伴う組織化、化学的安定化、改質化などの性能の点から、特に分子量200〜2,000,000の範囲のものが好適に用いられる。
【0032】
本発明の分子化合物は、前記一般式(1)で表されるテトラキスアリール系化合物と分子化合物を形成する前記のような水素結合部位を有するポリマーとを直接混合するか、水もしくは有機溶媒中で混合するか、又は水もしくはは有機溶媒中で混合した後に溶媒を徐々に蒸発させるキャスト法によって得ることができる。また、テトラキスアリール系化合物に対して、二種類以上のポリマーを反応させることにより、三成分以上の多成分からなる分子化合物を得ることもできる。そしてまた、テトラキスアリール誘導体と水素結合部位を有する特定のポリマーとの分子化合物をまず生成させ、この分子化合物と水素結合部位を有する別のポリマーとを上記のような方法で反応させることにより目的とする分子化合物を得ることもできる。さらに、テトラキスアリール誘導体と水素結合部位を有するポリマーの他に第三成分としてのイオン、分子等を加えて上記のような方法で反応させることにより、第三成分としてのイオン、分子等を内包した分子化合物を得ることができる。
【0033】
本発明の分子化合物はその条件により、これを構成する各成分化合物の比率が変化することがあるが、上記方法により得られた物質が確かに分子化合物であることは、熱分析(TG/DTA)、赤外吸収スペクトル(IR)、X線回折パターン、13C−CP/MAS−固体NMRスペクトル等により確認することができる。また分子化合物の組成は熱分析、1H−NMRスペクトル、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、元素分析等により確認することができる。
【0034】
本発明の分子化合物は、結晶、液晶、ゲル、沈殿固体、コアセルベート、エマルジョン、液体などいずれの形態でも好適に用いられるが、製剤用基材、排水処理材、エネルギートランスデューサー、導電体、生体モデル反応場等の機能の点、及び成形性に優れ且つ規則的なドメインを持つ一定の組成の安定した分子化合物を製造するなどの目的から、結晶、液晶、ゲル、沈殿固体等の固体形状であることが好ましい。結晶性の場合、同一の分子化合物であっても結晶多形をとることがある。結晶性の確認は主にX線回折パターンを調べることによりできる。また結晶多形を含む固体構造はX線回折パターン、13C−CP/MAS−固体NMRスペクトル、偏光顕微鏡、電子顕微鏡等により確認できる。分子化合物内の分子間相互作用は、赤外吸収スペクトル(IR)、13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルにより確認することができる。
【0035】
本発明のポリマーの配列化及び/又は改質化方法の特徴は、使用するテトラキスアリール系化合物の特性によって分子化合物構成成分の一つである水素結合部位を有するポリマー、すなわち水素結合性ポリマーのコンフォメーション及びその集合形態をコントロールする点にあり、本発明のポリマーの配列化及び/又は改質化方法において、分子化合物を構成するポリマーが目的とする構造体となりうるかは、各テトラキスアリール分子とポリマー間の水素結合形態に依存する。即ち、本発明における分子化合物は、テトラキスアリール系化合物と水素結合性ポリマーとが水素結合によって会合した多分子集積体であり、水素結合性ポリマーに対し拡散的水素結合部位を持つ自己会合性低分子化合物を作用させることにより、方向性を持った水素結合がポリマー間及びポリマー鎖中一定間隔で形成され、ポリマーの配向化及び組織化が発現し、水素結合性ポリマーの配列化及び改質化が可能となる。
【0036】
例えば、水素結合性ポリマーに対してプロトンードナーとしてのみ作用するテトラキスアリール系化合物を用いると、テトラキスアリール分子同士の会合によって形成される規則的なドメインに従って、ポリマー鎖の配列、組織化及びポリマー構造の最適化がなされる。一方、水素結合性ポリマーに対してプロトンアクセプター又はプロトンドナー/プロトンアクセプター双方として作用するテトラキスアリール系化合物を用いると、三次元的に展開される水素結合によってテトラキスアリール分子とポリマーとが規則的に交互に配列、組織化し安定な分子化合物が生成する。
【0037】
例えば、ポリエチレンオキサイド(PEO)に対しプロトンドナーとして作用するテトラキスフェノール系化合物、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(TEP)をエチレンオキサイド(EO)ユニット/TEP=5〜15の比で反応させると、TEP分子間水素結合によって形成される三次元的格子空間に従って、EO鎖がゴーシュコンフォメーションとトランスコンフォメーションの早い交換を伴いながら配向、組織化され、160℃以上の融点を持つ安定なTEP−PEO分子化合物が生成する。一方、ポリエチレンイミン(PEI)に対しプロトンドナー/プロトンアクセプター双方として作用するTEPをエチレンイミン(EI)ユニット/TEP=5〜15の比で反応させると、PEI分子とTEP分子間で交互に形成される三次元的水素結合によってEI鎖が配向、組織化され、250℃以上の分解点を持つ極めて安定なTEP−PEI分子化合物が生成する。このように、本発明の分子化合物の生成を利用したポリマーの配列化及び改質化方法においては、高分子集積に拡散的水素結合部位を持つ自己会合性低分子を介在させることにより、従来機能制御が困難であった水素結合性ポリマーの配列化及び改質化が可能になる。
【0038】
本発明の分子化合物の使用形態には特に制限はなく、例えばそれぞれ異なる成分化合物で構成された二種類以上の分子化合物を混合して使用することができる。また、本発明の分子化合物は目的とする機能を損なわない限り、無機有機を問わず他の物質と併用して使うことができ、樹脂、塗料、並びにそれらの原料や原料組成物中に添加して使用することもできる。そしてまた、本発明の分子化合物を機能物質の化学的安定化、不揮発化、粉末化、造粒、打錠のための基材又は賦形剤、あるいは液状物をゲル化するゲル化剤として使用することもできる。さらに、本発明の分子化合物は原子又は分子を内包した包接化合物としても使用することができる。ここで、包接化合物とは、原子又は分子が結合してできた三次元構造体の内部に適当な大きさの空孔があり、その中に他の原子又は分子が非共有結合的な相互作用により一定の組成比で入り込んだ物質を指す。内部空孔を有する三次元構造体としての本発明の分子化合物は、三成分以上の成分化合物から形成されるものでも良く、また内包される原子又は分子は必ずしも単独である必要は無く二成分以上であっても良い。本発明の分子化合物は機能物質の移動媒体として使用したり、特異な反応場として使用することもできる。
【0039】
例えば、前記一般式(1)で表されるテトラキスアリール系化合物と水素結合性ポリマーを、アレスリン等のピレスロイド系殺虫剤、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム等の4級アンモニウム塩系殺菌剤、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ジンク−2−ピリジンチオール−1−オキサイド、2,2’−ジチオビス(ピリジン−N−オキサイド)、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,3,3−トリヨードアリルアルコール等の抗菌抗カビ剤、ヒノキチオール、シネオール、シトロネロール、ゲラニオール等のテルペン系香料、過塩素酸リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム等の金属塩の存在下、直接混合法、溶媒法、キャスト法の何れかの方法で反応させることにより、前記殺虫剤、殺菌剤、抗菌抗カビ剤、香料、金属塩をポリマー集積相に安定的に内包したゲル又は固体形状の分子化合物を得ることができる。
【0040】
この方法により得られた物質が確かに分子化合物であることは、熱分析(TG/DTA)、赤外吸収スペクトル(IR)、X線回折パターン、13C−CP/MAS−固体NMRスペクトル等により確認することができる。また分子化合物の組成は熱分析、原子吸光分析、元素分析等により確認することができる。
【0041】
このような分子化合物は、殺虫剤、殺菌剤、抗菌抗カビ剤、香料、金属塩が本来有する作用の他に、徐放性、皮膚刺激性の低減化、化学的安定化、不揮発化、粉末化、イオン化、有用物質の選択的分離等の機能が付与され、新しい特性を有する機能性材料として極めて有用である。
【0042】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら制限されるものではない。
実施例1
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(TEP)とポリエーテル類とを成分化合物とする分子化合物の製造(その1)
水10mlに、TEP2.5mmol(1.0g)と平均分子量1,000のポリエチレングリコール(PEG1,000)5.0mmol(5.0g)を加え加熱溶解した後、室温で3時間放置した。析出した白色固体を濾取し、45℃で2時間ロータリー真空ポンプを用いて減圧乾燥し、TEPとエチレンオキサイド(EO)ユニットとの組成比率1:8(モル比)から成る分子化合物を得た。次にPEG1,000の代わりに平均分子量500,000のPEG(PEG500,000)を使用し、同様の操作を行ってTEPとEOユニットとの組成比率1:8(モル比)から成る分子化合物を得た。またPEG500,000の代わりに平均分子量2,000のポリエチレングリコールジメチルエーテル(PEGDME)を使用し、同様の操作を行ってTEPとEOユニットとの組成比率1:8(モル比)から成る分子化合物を得た。さらにPEGDME2,000の代わりに平均分子量2,500のポリエチレングリコール(PEG)−ポリプロピレングリコール(PPG)ブロック共重合体(PEG75%品,PEGPPO2,500)を使用し、同様の操作を行ってTEPとPEGPPO2,500との組成比率1:0.8(モル比)から成る分子化合物を得た。各々が前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、1H−NMR及びX線回折パターンにより確認した。また赤外吸収スペクトル(IR)において1360cm-1付近に観測されるO−(CH22−OのC−H縦揺れ振動吸収帯及び13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルにおいて70ppm付近に観測される−CH2−O−CH2−メチレン炭素のシグナルにより、各々の分子化合物が方向特異的な分子間水素結合及びゴーシュコンフォメーションとトランスコンフォメーションの早い交換を伴う配向性EO鎖を有していることを確認した。
【0043】
各々の分子化合物はそれぞれ145℃〜155℃、163℃〜172℃、168℃〜173℃、132℃〜145℃の範囲で融解した。TEP−PEG1,000、TEP−PEG500,000、TEP−PEGDME2,000、TEP−PEGPPO2,500の各分子化合物の粉末X線回折パターンを図1〜4に示した。さらに13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルを図5〜8に示した。また比較のためにTEPの粉末X線回折パターンを図9に、13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルを図10に示した。PEG1,000〜500,000及びPEGDME2,000の融点はいずれもおよそ30℃〜65℃の範囲であり、PEGPPO2,500においては常温で粘調な液体であることから、このように本発明の分子化合物は、液体又は低融点のポリエーテル類を配列、組織化することにより高耐熱性、高強度、柔構造性を可能にした。
【0044】
実施例2
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(TEP)とポリエーテル類とを成分化合物とする分子化合物の製造(その2)
酢酸エチル70mlに、TEP3.1mmol(1.25g)と平均分子量20,000のPEG0.05mmol(1.0g)を加え加熱溶解した後、室温で24時間放置した。析出した白色固体を濾取し、45℃で2時間ロータリー真空ポンプを用いて減圧乾燥し、TEPとエチレンオキサイド(EO)ユニットとの組成比率1:7(モル比)から成る分子化合物を得た。このものが前記の組成の分子化合物であることは1H−NMR及びX線回折パターンにより確認した。また赤外吸収スペクトル(IR)において1360cm-1付近に観測されるO−(CH22−OのC−H縦揺れ振動吸収帯及び13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルにおいて70ppm付近に観測される−CH2−O−CH2−メチレン炭素のシグナルにより、本分子化合物が方向特異的な分子間水素結合及びゴーシュコンフォメーションとトランスコンフォメーションの早い交換を伴う配向性EO鎖を有していることを確認した。本分子化合物は175℃〜180℃の範囲で融解した。このように本発明の分子化合物は低融点のPEGを配列、組織化することにより高耐熱性、高強度、柔構造性を可能にした。
【0045】
実施例3
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(TEP)とポリエーテル類とを成分化合物とする分子化合物の製造(その3)
ベンゼン10mlに、TEP2.5mmol(1.0g)と平均分子量1,000のポリテトラメチレンオキサイド(PTMO)を5.0mmol(5.0g)を加え加熱溶解した後、室温で24時間放置した。析出した白色固体を濾取し、45℃で2時間ロータリー真空ポンプを用いて減圧乾燥し、TEPとテトラメチレンオキサイド(TMO)ユニットとの組成比率1:4(モル比)から成る分子化合物を得た。このものが前記の組成の分子化合物であることは1H−NMR及びX線回折パターンにより確認した。また赤外吸収スペクトル(IR)において1360cm-1付近に観測されるO−(CH24−OのC−H縦揺れ振動吸収帯及び13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルにおいて70ppm付近に観測される−CH2−O−CH2−メチレン炭素のシグナルにより、本分子化合物が方向特異的な分子間水素結合及びゴーシュコンフォメーションとトランスコンフォメーションの早い交換を伴う配向性TMO鎖を有していることを確認した。本分子化合物は278℃〜297℃の範囲で融解した。このように本発明の分子化合物は低融点のPTMOを配列、組織化することにより高耐熱性、高強度、柔構造性を可能にした。
【0046】
実施例4
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(TEP)とポリエーテル類とを成分化合物とする分子化合物の製造(その4)
メタノール50mlに、TEP1.3mmol(0.5g)と平均分子量2,000,000のPEG0.00025mmol(0.5g)を加え加熱溶解した。この溶液の粘度をB8R型回転粘度計(東京計器製、ローター番号No.1)を用いて測定したところ500cpであった。直径105mmのPYREX製のフラットシャーレに厚さ0.08mmのテフロンシートを両面テープで貼り、その上にこの溶液をパスツールピペットにて滴下塗布した。約40℃に加熱したホットプレート上にてメタノールを徐々に揮発させ、ほぼメタノールを除去した時点でさらに室温で30分間ロータリー真空ポンプを用いて減圧乾燥し、TEPとEOユニットとの組成比率1:9(モル比)から成る透明なキャストフィルムを得た。本キャストフィルムが前記の組成の分子化合物であることは1H−NMR及びX線回折パターンにより確認した。また赤外吸収スペクトル(IR)において1360cm-1付近に観測されるO−(CH22−OのC−H縦揺れ振動吸収帯及び13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルにおいて70ppm付近に観測される−CH2−O−CH2−メチレン炭素のシグナルにより、本キャストフィルムが方向特異的な分子間水素結合及びゴーシュコンフォメーションとトランスコンフォメーションの早い交換を伴う配向性EO鎖を有していることを確認した。本分子化合物は140℃〜180℃の範囲で融解した。このように本発明の分子化合物は低融点のPEGを配列、組織化することによりフィルム化し、また高耐熱性、高強度、柔構造性を可能にした。。
【0047】
実施例5
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(TEP)とポリアミン類とを成分化合物とする分子化合物の製造
水10mlに、TEP2.5mmol(1.0g)と平均分子量1,800のポリエチレンイミン(PEI)2.5mmol(4.5g)を加え加熱溶解した後、室温で24時間放置した。析出した白色固体を濾取し、45℃で2時間ロータリー真空ポンプを用いて減圧乾燥し、TEPとエチレンイミン(EI)ユニットとの組成比率1:6(モル比)から成る分子化合物を得た。このものが前記の組成の分子化合物であることは1H−NMR及びX線回折パターンにより確認した。また13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルにおいて52ppm付近に観測される−CH2−N−CH2−メチレン炭素のシグナル及び走査型電子顕微鏡(SEM)写真により、本分子化合物が三次元的水素結合架橋された配向性EI鎖を有していることを確認した。本分子化合物は274℃以上で分解した。本分子化合物の粉末X線回折パターンを図11に示した。このように本発明の分子化合物は常温で液体であるPEIを配列、組織化することにより固形化し、また高耐熱性、高強度、柔構造性を可能にした。
【0048】
実施例6
1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン(TEOC)とポリエーテル類とを成分化合物とする分子化合物の製造
水10mlに、TEOC2.5mmol(1.1g)と平均分子量1,000のPEG(PEG1,000)2.5mmol(5.0g)を加え加熱懸濁攪拌した後、室温で24時間放置した。析出した白色固体を濾取し、45℃で2時間ロータリー真空ポンプを用いて減圧乾燥し、TEOCとエチレンオキサイド(EO)ユニットとの組成比率1:6(モル比)から成る分子化合物を得た。このものが前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、1H−NMR及びX線回折パターンにより確認した。また赤外吸収スペクトル(IR)において1360cm-1付近に観測されるO−(CH22−OのC−H縦揺れ振動吸収帯及び13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルにおいて70ppm付近に観測される−CH2−O−CH2−メチレン炭素のシグナルにより、各々の分子化合物が方向特異的な分子間水素結合及びゴーシュコンフォメーションとトランスコンフォメーションの早い交換を伴う配向性EO鎖を有していることを確認した。
【0049】
本分子化合物は237℃〜258℃の範囲で融解した。本分子化合物の粉末X線回折パターンを図12に示した。さらに13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルを図13に示した。また比較のためにTEOCの粉末X線回折パターンを図14に、13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルを図15に示した。このように本発明の分子化合物は低融点のPEGを配列、組織化することにより高耐熱性、高強度、柔構造性を可能にした。
【0050】
実施例7
1,1,2,2−テトラキス(4−カルボキシフェニル)エタン(TEPCOOH)とポリビニル複素環類とを成分化合物とする分子化合物の製造
平均分子量60,000のポリ(4−ビニルピリジン)(PVP)4.2×10-4M濃度のエタノール溶液4.5mlに、TEPCOOH2.9×10-4M濃度のエタノール溶液3.5mlを徐々に加えて室温で2.5時間放置した。析出した白色固体を濾取し、40℃で2時間ロータリー真空ポンプを用いて減圧乾燥し、TEPCOOHとPVPとの組成比率1:0.015(モル比)から成る分子化合物を得た。このものが前記の組成の分子化合物であることは1H−NMR及びX線回折パターンにより確認した。またまた赤外吸収スペクトル(IR)において3420cm-1付近に観測されるカルボキシル基−OH伸縮バンド及び13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルにおいて40ppm付近に観測される−CH2−CH2−メチレン炭素のシグナルにより、本分子化合物がTEPCOOHカルボキシル基とPVPピリジル基間の分子間水素結合伴う配向性エチレン鎖を有していること確認した。
【0051】
本分子化合物は276℃〜312℃の範囲で融解した。本分子化合物の粉末X線回折パターンを図16に示した。さらに13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルを図17に示した。また比較のためにTEPCOOHの粉末X線回折パターンを図18に、13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルを図19に示した。このように本発明の分子化合物はPVPの配列制御を可能にし、また高耐熱性、高強度、柔構造性を可能にした。
【0052】
実施例8
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(TEP)とポリエーテル類及び殺虫剤とを成分化合物とする分子化合物の製造
水10mlに、TEP2.5mmol(1.0g)と平均分子量1,000のPEG(PEG1,000)5.0mmol(5.0g)及びアレスリン5.0mmol(5.0g)を加え加熱溶解した後、室温で3時間放置した。析出した淡黄色固体を濾取し、45℃で2時間ロータリー真空ポンプを用いて減圧乾燥し、TEPとPEG及びアレスリンとの組成比率1:0.5:1(モル比)から成る分子化合物を得た。このものが前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、1H−NMR及びX線回折パターンにより確認した。また赤外吸収スペクトル(IR)において1360cm-1付近に観測されるO−(CH22−O伸縮バンド及び13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルにおいて70ppm付近に観測される−CH2−O−CH2−メチレン炭素のシグナルにより、本分子化合物が方向特異的な分子間水素結合伴う配向性EO鎖を有していることを確認した。
【0053】
本分子化合物は140℃〜151℃の範囲で融解しアレスリンを放出した。本分子化合物の粉末X線回折パターンを図20に示した。さらに13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルを図21に示した。このように本発明の分子化合物はPEGの配列、組織化により室温で液体であるアレスリンを粉末化し、また揮発の制御を可能にした。
【0054】
実施例9
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(TEP)とポリエーテル類及び殺菌剤とを成分化合物とする分子化合物の製造
平均分子量1,000のPEG(PEG1,000)5.0mmol(5.0g)と塩化ベンザルコニウム(M2−100)12.5mmol(4.3g)を加熱溶融混合した後、TEP12.5mmol(5.0g)を加え室温で24時間放置した。固化物を45℃で2時間ロータリー真空ポンプを用いて減圧乾燥し、TEPとPEG及びM2−100との組成比率1:0.4:1(モル比)から成る分子化合物を得た。このものが前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、1H−NMR及びX線回折パターンにより確認した。また赤外吸収スペクトル(IR)において1360cm-1付近に観測されるO−(CH22−OのC−H縦揺れ振動吸収帯及び13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルにおいて70ppm付近に観測される−CH2−O−CH2−メチレン炭素のシグナルにより、本分子化合物が方向特異的な分子間水素結合伴う配向性EO鎖を有していることを確認した。
【0055】
本分子化合物は222℃〜254℃の範囲で融解した。本分子化合物の粉末X線回折パターンを図22に示した。さらに13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルを図23に示した。このように本発明の分子化合物はPEGの配列、組織化により低融点且つ刺激性のあるM2−100を粉末化し、また高耐熱性を可能にした。
【0056】
実施例10
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(TEP)とポリエーテル類及び金属塩とを成分化合物とする分子化合物の製造
アセトニトリル40wt%含有メタノール溶液35mlに、過塩素酸リチウム0.80mmol(0.086g)を溶かし、その溶液に平均分子量500,000のPEG(PEG500,000)0.001mmol(0.5g)を加熱溶解させた。そこへTEP1.6mmol(0.625g)を加えて攪拌しながら加熱溶解させた。この溶液をテフロンシャーレに流し、アルゴン気流下90℃で30分間加熱して溶媒を除去し、ほぼ溶媒を除去した時点でさらに80℃で2時間ロータリー真空ポンプを用いて減圧乾燥し、TEPとEOユニット及び過塩素酸リチウムとの組成比率1:7:14(モル比)から成る半透明なキャストフィルムを得た。本キャストフィルムが前記の組成の分子化合物であることは1H−NMR及びX線回折パターンにより確認した。また赤外吸収スペクトル(IR)において1360cm-1付近に観測されるO−(CH22−OのC−H縦揺れ振動吸収帯及び13C−CP/MAS−固体NMRスペクトルにおいて70ppm付近に観測される−CH2−O−CH2−メチレン炭素のシグナルにより、本キャストフィルムが方向特異的な分子間水素結合伴う配向性EO鎖を有していることを確認した。
【0057】
本分子化合物は140℃〜180℃の範囲で融解した。本分子化合物の粉末X線回折パターンを図24に示した。このように本発明の分子化合物はPEGの配列、組織化により吸湿性の高い過塩素酸リチウムをフィルム化し、また高耐熱性、柔構造性を可能にした。
【0058】
【発明の効果】
本発明の分子化合物は、拡散水素結合部位を有する自己会合性化合物と水素結合性ポリマーとが水素結合によって会合した多分子集積体であり、簡単な操作で調整できる上に、分子集合における相互作用点並びに作用力を固定さらには制御し、成分ポリマーの配列化、改質化などの機能を付与することができる。また本発明により、種々の物質の化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化、イオン化、包接化が可能であり、ナノ組織構造を有する機能性材料、徐放性を有する機能性製剤、触媒活性制御、選択分離及び回収分野への利用が期待される。そしてまた本発明の分子化合物は有機無機を問わず種々の物質と併用して使用することができ、結晶、液晶、ゲル、沈殿固体、コアセルベート、エマルジョン、液体等いずれの形態でも好適に使用することができる。さらに本発明の分子化合物は、工業用又は生医用複合材料として提供される種々の素材、例えば製剤用基材、リサイクル基材、排水処理剤、エネルギートランスデューサー、導電体、反応触媒、人工酵素、人工細胞等に幅広く適用することができる。従って、本発明は情報記録材料、電気電子磁性材料、光機能材料、膜、環境適応材料、生体医療材料等の広範な分野で利用可能であり、産業上における意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1のTEPとPEG1,000[TEPとEOユニットとの組成比率1:8(モル比))]から成る分子化合物の粉末X線回折パターン(25℃で測定)を示す図である。
【図2】本発明の実施例1のTEPとPEG500,000[TEPとEOユニットとの組成比率1:8(モル比))]から成る分子化合物の粉末X線回折パターン(25℃で測定)を示す図である。
【図3】本発明の実施例1のTEPとPEGDME2,000[TEPとEOユニットとの組成比率1:8(モル比))]から成る分子化合物の粉末X線回折パターン(25℃で測定)を示す図である。
【図4】本発明の実施例1のTEPとPEGPPO2,500との組成比率1:0.8(モル比)から成る分子化合物の粉末X線回折パターン(25℃で測定)を示す図である。
【図5】本発明の実施例1のTEPとPEG1,000[TEPとEOユニットとの組成比率1:8(モル比))]から成る分子化合物の13C−CP/MAS−固体NMRスペクトル(ローター回転周波数3.5kHzで27℃にて測定)を示す図である。
【図6】本発明の実施例1のTEPとPEG500,000[TEPとEOユニットとの組成比率1:8(モル比))]から成る分子化合物の13C−CP/MAS−固体NMRスペクトル(ローター回転周波数3.5kHzで27℃にて測定)を示す図である。
【図7】本発明の実施例1のTEPとPEGDME2,000[TEPとEOユニットとの組成比率1:8(モル比))]から成る分子化合物の13C−CP/MAS−固体NMRスペクトル(ローター回転周波数3.5kHzで27℃にて測定)を示す図である。
【図8】本発明の実施例1のTEPとPEGPPO2,500との組成比率1:0.8(モル比)から成る分子化合物の13C−CP/MAS−固体NMRスペクトル(ローター回転周波数3.5kHzで27℃にて測定)を示す図である。
【図9】本発明の実施例1のTEPの粉末X線回折パターン(25℃で測定)を示す図である。
【図10】本発明の実施例1のTEPの13C−CP/MAS−固体NMRスペクトル(ローター回転周波数3.5kHzで27℃にて測定)を示す図である。
【図11】本発明の実施例5のTEPとPEI1,800[TEPとEIユニットとの組成比率1:6(モル比))]から成る分子化合物の粉末X線回折パターン(25℃で測定)を示す図である。
【図12】本発明の実施例6のTEOCとPEG1,000[TEPとEOユニットとの組成比率1:6(モル比))]から成る分子化合物の粉末X線回折パターン(25℃で測定)を示す図である。
【図13】本発明の実施例6のTEOCとPEG1,000[TEPとEOユニットとの組成比率1:6(モル比))]から成る分子化合物の13C−CP/MAS−固体NMRスペクトル(ローター回転周波数3.5kHzで27℃にて測定)を示す図である。
【図14】本発明の実施例6のTEOCの粉末X線回折パターン(25℃で測定)を示す図である。
【図15】本発明の実施例6のTEOCの13C−CP/MAS−固体NMRスペクトル(ローター回転周波数3.5kHzで27℃にて測定)を示す図である。
【図16】本発明の実施例7のTEPCOOHとPVP60,000との組成比率1:0.015(モル比)から成る分子化合物の粉末X線回折パターン(25℃で測定)を示す図である。
【図17】本発明の実施例7のTEPCOOHとPVP60,000との組成比率1:0.015(モル比)から成る分子化合物の13C−CP/MAS−固体NMRスペクトル(ローター回転周波数3.5kHzで27℃にて測定)を示す図である。
【図18】本発明の実施例7のTEPCOOHの粉末X線回折パターン(25℃で測定)を示す図である。
【図19】本発明の実施例7のTEPCOOHの13C−CP/MAS−固体NMRスペクトル(ローター回転周波数3.5kHzで27℃にて測定)を示す図である。
【図20】本発明の実施例8のTEPとPEG1,000及びアレスリンとの組成比率1:0.5:1(モル比)から成る分子化合物の粉末X線回折パターン(25℃で測定)を示す図である。
【図21】本発明の実施例8のTEPとPEG1,000及びアレスリンとの組成比率1:0.5:1(モル比)から成る分子化合物の13C−CP/MAS−固体NMRスペクトル(ローター回転周波数3.5kHzで27℃にて測定)を示す図である。
【図22】本発明の実施例9のTEPとPEG1,000及び塩化ベンザルコニウムとの組成比率1:0.4:1(モル比)から成る分子化合物の粉末X線回折パターン(25℃で測定)を示す図である。
【図23】本発明の実施例9のTEPとPEG1,000及び塩化ベンザルコニウムとの組成比率1:0.4:1(モル比)から成る分子化合物の13C−CP/MAS−固体NMRスペクトル(ローター回転周波数3.5kHzで27℃にて測定)を示す図である。
【図24】本発明の実施例10のTEPとPEG500,000及び過塩素酸リチウム[TEPとEOユニット及び過塩素酸リチウムとの組成比率1:7:14(モル比)]から成る分子化合物の粉末X線回折パターン(25℃で測定)を示す図である。

Claims (2)

  1. a)一般式(1)
    (式中、Xは、(CH)n又はp−フェニレン基を表し、nは、0、1、2、又は3であり、Yは、水酸基、カルボキシル基又は置換基を有してもよいアミノ基を表し、R、Rは、それぞれ水素原子、低級アルキル基、置換されていてもよいフェニル基、ハロゲン原子、又は低級アルコキシ基を示す。)で表されるテトラキスアリール系化合物、及び
    b)ポリエーテル類、ポリビニルアルコール類、アミン類のポリマー、フェノール類のポリマー、ポリアクリル酸類、ポリビニルエーテル類、ポリビニルケトン類、ポリビニル複素環類、ポリカルボン酸ビニル類、多糖類及びポリアミノ酸類からなる群から選ばれた1種又は2種以上の水素結合部位を有するポリマー
    が水素結合により会合した多分子集積体である分子化合物。
  2. a)の一般式(1)で表されるテトラキスアリール系化合物が、式中、Xは、(CH)nを表し、nは、0、1、2、又は3であり、Yは、水酸基又はカルボキシル基を表し、R、Rは、それぞれ水素原子又は低級アルキル基を表す化合物であり、
    b)の水素結合部位を有するポリマーが、ポリエーテル類、アミン類のポリマー及びポリビニル複素環類からなる群から選ばれた1種又は2種以上のポリマー
    であることを特徴とする請求項1記載の分子化合物。
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