JP3731052B2 - 除湿装置の駆動方法及び除湿装置システム - Google Patents

除湿装置の駆動方法及び除湿装置システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トリチウム化水蒸気などの湿潤ガスなどに対して好適に用いることのできる、除湿装置の駆動方法及び除湿装置システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気中に含まれるトリチウム(三重水素)を除去する方法としては、トリチウムを酸化して水の化学形態に変換してトリチウム化水蒸気を得た後、吸湿剤(一般的にはモレキュラシーブを適用)で前記トリチウム化水蒸気を吸着除去する方法が一般的に用いられている。しかしながら、このような吸湿剤を用いる方法では、前記吸湿剤の吸着水量の増加とともに除湿性能が低下するため、定期的に乾燥して再生することが不可欠となる。したがって、前記トリチウム化水蒸気を連続的に処理するためには、2組の吸湿剤(2塔の吸湿塔)が必要となり、装置システム全体をコンパクト化することは困難であった。
【0003】
また、上述したように、吸湿剤に対する乾燥再生を繰り返すと前記吸湿剤が徐々に劣化し、前記吸湿剤を定期的に交換する必要があった。そして、このような除湿装置システムを用いてトリチウム化水蒸気を処理すると、吸湿剤中には前記トリチウムが保持されるようになるため、前記吸湿剤は放射性固体廃棄物として処理しなければならなくなり、廃棄物処理への負担がさらに増大してしまうという結果になってしまっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、トリチウム化水蒸気などの湿潤ガスを長期間に亘って安定して乾燥処理することが可能な簡易な除湿装置の駆動方法及び除湿装置システムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明は、
水蒸気選択透過性を有する高分子透過膜を具える除湿装置の駆動方法であって、
前記除湿装置内に湿潤ガスを導入し、前記高分子透過膜によって前記湿潤ガス中の水分を選択的に除去して得た乾燥ガスを前記除湿装置から排出する工程と、
前記乾燥ガスの少なくとも一部を前記除湿装置内にパージガスとして導入し、前記水分を含む高湿潤ガスを前記除湿装置から排出する工程と、
前記高湿潤ガスを含む高湿潤排出ガスの流量F1及び前記パージガスの流量F2を監視することにより、前記除湿装置の乾燥状態を監視する工程と、
を具えることを特徴とする、除湿装置の駆動方法に関する。
【0006】
また、本発明は、
水蒸気選択透過性を有する高分子透過膜を含む除湿装置と、
前記除湿装置内に湿潤ガスを導入し、前記高分子透過膜によって前記湿潤ガス中の水分を選択的に除去して得た乾燥ガスの少なくとも一部から構成されるパージガスの流量F2、及び前記パージガスによって排出される前記水分を含む高湿潤排出ガスの流量F1を監視するモニタリング手段と、
を具えることを特徴とする、除湿装置システムに関する。
【0007】
近年においては、中空糸高分子膜を内部を含む除湿装置が開発され、実用化されるに至っている。しかしながら、このような除湿装置の露点は−40℃程度であり、トリチウム化水蒸気などの湿潤ガスに対する十分な除湿能力を有していなかった。
【0008】
かかる点に鑑み、本発明者らは前記除湿装置の性能評価及び駆動方法についての検討を種々行った結果、前記除湿装置の使用に際して、所定の乾燥ガスを前記除湿装置内に流すことによって、前記除湿装置の露点を当初の段階で−70℃程度まで低下させて、乾燥できることを見出した。しかしながら、このような初期設定を実施した後、前記除湿装置を実用に供するようにすると、前記除湿装置内が湿潤し、露点が直ちに上昇して除湿能力が急激に劣化してしまうことを見出した。
【0009】
したがって、前記除湿装置を実用に供するためには、前記除湿装置の駆動中における乾燥状態を常に監視するとともに、その乾燥状態を常に保持できるような方法を見出すことが必要であり、かかる方法を見出すべく鋭意検討した。その結果、前記除湿装置に供給するパージガスの流量と前記除湿装置から排出される高湿潤排出ガスの流量とが、前記除湿装置の乾燥状態と密接に関係していることを見出し、上述したような本発明の除湿装置の駆動方法及び駆動装置システムを見出したものである。
【0010】
上述した本発明の駆動方法及び駆動システムによれば、除湿装置から排出された高湿潤排出ガスの流量F1及びパージガスの流量F2を監視するという極めて簡易な方法で、前記除湿装置の乾燥状態を監視することができる。したがって、前記除湿装置の乾燥状態を駆動中に亘って常に簡易に監視することができるようになる。その結果、このような監視情報に基づいて何らかの乾燥手段を施すようにすれば、前記除湿装置の乾燥状態を駆動中に亘って常に保持できるようになる。
【0011】
前記除湿装置の乾燥状態を保持するに際しては、例えば前記除湿装置に供給して処理すべき湿潤ガスの圧力、前記除湿装置の、高湿潤排出ガスの出力側の圧力又は前記除湿装置に供給すべきパージガスの流量を制御することによって行うことができる。具体的には、前記湿潤ガスの圧力を増大させることにより、前記出力側の圧力を低下させることにより、又前記パージガスの流量を増大させることにより、前記除湿装置内の露点を低下させて、乾燥させることができるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を発明の実施の形態に則して詳細に説明する。
図1は、本発明の除湿装置システムにおける除湿装置近傍の状態を示す構成図であり、図2は、図1に示す除湿装置の内部構造を詳細に示す構造図である。図1に示すように、除湿装置10の導入口11から湿潤ガスを矢印Aで示すようにして導入すると、前記湿潤ガスは除湿装置10の内部に設けられた中空糸からなる高分子透過膜19を通過することによって水分のみが選択的に除去され、その結果得られた乾燥ガスが矢印Bで示すように除湿装置10の排出口12より排出される。前記乾燥ガスの乾燥度合いは露点計15による露点の計測によって知ることができる。
【0013】
前記乾燥ガスの少なくとも一部は、矢印Cで示すようにパージガスとして導入口13から除湿装置10内の高分子透過膜19の外方に再度導入される。高分子透過膜19によって前記湿潤ガスから除去された水分を含む高湿潤ガスは、前記パージガスとともに高湿潤排出ガスとして排出口14より外部へ排出される。
【0014】
本発明においては、流量計16及び17を用いることにより、除湿装置10内の乾燥状態を前記パージガスの流量F2及び前記高湿潤排出ガスの流量F1を監視することによって監視する。
【0015】
流量F1及びF2を別個に監視することもできるが、これらの流量は除湿装置10内の乾燥状態に対してほぼ同程度に関係しているものであるため、前記流量の差分(F1−F2)を監視することが好ましい。これによって、監視するパラメータ量を2つから1つに削減することができるため、除湿装置10内の乾燥状態をより簡易に監視できるようになる。
【0016】
以上のようにして除湿装置10の乾燥状態を監視していると、その乾燥状態に応じて前記差分(F1−F2)が変化するが、除湿装置10内を所定の乾燥状態に保持するためには何らかの手段を施すことにより、除湿装置10内の乾燥状態を制御することが必要になる。本発明の除湿装置システムにおいては、その具体的な手段としては、除湿装置10内に供給するパージガスの流量F2、除湿装置10への湿潤ガスの供給圧力、除湿装置10の、高湿潤排出ガスの排出側、すなわち排出口14近傍における圧力を例示することができる。
【0017】
例えば、図1に示す除湿装置システムを長時間使用することにより、除湿装置10内の乾燥状態が低下してくると、除湿装置10による乾燥能力が低下してくるから、排出口14より排出される高湿潤排出ガスの排出量(流量F1)が減少してくる。その結果、監視パラメータである差分(F1−F2)が減少してくる。このとき、前記パージガスの流量F2を増大させる、あるいは前記湿潤ガスの供給圧力を増大させる、又は除湿装置10の、高湿潤排出ガスの排出側の圧力を低下させると、除湿装置10内部は当初の乾燥状態を回復し、差分(F1−F2)が当初の値を回復して、当初の乾燥能力を呈するようになる。
【0018】
なお、図1に示す除湿装置システムを使用する際には、使用に先立って除湿装置10に対して乾燥処理を施すことが好ましい。これによって、除湿装置システムの使用開始直後から、上述した乾燥状態制御手段を施すことによる使用終了時までの期間において、除湿装置10内に乾燥状態を高レベルに維持することができる。例えば、除湿装置10内の露点が−70℃以下であるような高乾燥状態を長期に亘って維持することができる。
【0019】
前記乾燥処理は、いかなる手段を用いても行うことができるが、例えば乾燥空気などの所定の乾燥ガスを所定時間流すことによって簡易に乾燥処理を遂行することができる。
【0020】
本発明の方法及びシステムは、如何なる種類の湿潤ガスに対しても用いることができるが、特に従来乾燥処理が困難であったトリチウム化水蒸気などの乾燥処理に対して好ましく用いることができる。
【0021】
図3は、本発明の除湿装置システムの変形例である。図3に示すシステムにおいては、2組の除湿装置が連結されており、後段の除湿装置において最終的な乾燥ガスを得るようにしている。前段の除湿装置20においては、矢印Fに示すように所定の湿潤ガスを導入口21から内部に導入した後、内部に設置された高分子透過膜によって水分のみが除去され、得られた乾燥ガスは排出口22より矢印Gで示すように排出される。
【0022】
前記乾燥ガスの少なくとも一部は矢印Hで示すように導入口23よりパージガスとして再度除湿装置20内に導入され、前記水分を含んだ高湿潤ガスとともに高湿潤排出ガスとして排出口24より外部へ排出される。なお、導入すべきパージガスの流量は流量計26によって制御される。
【0023】
次いで、除湿装置20から排出された乾燥ガスは露点計35によって露点測定が行われた後、矢印Jで示すように導入口31から除湿装置30内部に導入される。前記乾燥ガスは除湿装置30内部に設置された高分子透過膜によってさらに水分除去された後、矢印Kで示すように排出口32より外部へ排出される。排出された乾燥ガスの乾燥度合いは、露点計36による露点測定より見積もることができる。そして、得られた乾燥ガスの少なくとも一部は、矢印Lで示すように導入口33からパージガスとして再度除湿装置30内に導入され、前記水分を含んだ高湿潤ガスとともに高湿潤排出ガスとして排出口34から外部へ排出される。
【0024】
除湿装置30においては、流量計37及び38で前記パージガスの流量F2及び前記高湿潤排出ガスの流量F1を監視し、除湿装置30内の乾燥状態を監視する。そして、この場合においても、前記同様の理由から前記流量の差分(F1−F2)を監視することが好ましい。
【0025】
また、除湿装置30内に供給するパージガスの流量F2、除湿装置30への湿潤ガスの供給圧力、除湿装置30の、高湿潤排出ガスの排出側、すなわち排出口34近傍における圧力を制御することによって、除湿装置30内の乾燥状態を制御することができる。具体的には、前記パージガスの流量F2を増大させる、あるいは前記湿潤ガスの供給圧力を増大させる、又は除湿装置30の、乾燥ガス排出側の圧力を低下させると、除湿装置30内部の乾燥状態を向上させることができる。
【0026】
以上、発明の実施の形態に則して本発明を説明してきたが、本発明の内容は上記に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、トリチウム化水蒸気などの湿潤ガスを長期間に亘って安定して乾燥処理することが可能な簡易な除湿装置の駆動方法及び除湿装置システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の除湿装置システムにおける除湿装置近傍の状態を示す構成図である。
【図2】 図1に示す除湿装置の内部構造を詳細に示す構造図である。
【図3】 本発明の除湿装置システムの変形例を示す構成図である。
【符号の説明】
10、20、30 除湿装置
11、13、21、23、31、33 導入口
12、14、22、24、32、34 排出口
15、35、36 露点計
16、17、26、37、38 流量計

Claims (15)

  1. 水蒸気選択透過性を有する高分子透過膜を具える除湿装置の駆動方法であって、
    前記除湿装置内に湿潤ガスを導入し、前記高分子透過膜によって前記湿潤ガス中の水分を選択的に除去して得た乾燥ガスを前記除湿装置から排出する工程と、
    前記乾燥ガスの少なくとも一部を前記除湿装置内にパージガスとして導入し、前記水分を含む高湿潤ガスを前記除湿装置から排出する工程と、
    前記高湿潤ガスを含む高湿潤排出ガスの流量F1及び前記パージガスの流量F2を監視することにより、前記除湿装置の乾燥状態を監視する工程と、
    を具えることを特徴とする、除湿装置の駆動方法。
  2. 前記高湿潤排出ガスの流量F1と前記パージガスの流量F2との差分(F1−F2)を監視することを特徴とする、請求項1に記載の除湿装置の駆動方法。
  3. 前記湿潤ガスの圧力を制御することによって、前記除湿装置の乾燥状態を制御する工程を具えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の除湿装置の駆動方法。
  4. 前記湿潤ガスの圧力を増大させることによって、前記除湿装置の乾燥状態を所定のレベル以下に保持するようにしたことを特徴とする、請求項3に記載の除湿装置の駆動方法。
  5. 前記除湿装置の、前記高湿潤排出ガスの出力側の圧力を制御することによって、前記除湿装置の乾燥状態を制御する工程を具えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の除湿装置の駆動方法。
  6. 前記除湿装置の、前記高湿潤排出ガスの出力側の圧力を減少させることによって、前記除湿装置の乾燥状態を所定のレベル以下に保持するようにしたことを特徴とする、請求項5に記載の除湿装置の駆動方法。
  7. 前記パージガスの流量F2を制御することによって、前記除湿装置の乾燥状態を制御する工程を具えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の除湿装置の駆動方法。
  8. 前記パージガスの流量F2を増大させることによって、前記除湿装置の乾燥状態を所定のレベル以下に保持するようにしたことを特徴とする、請求項7に記載の除湿装置の駆動方法。
  9. 前記除湿装置の使用に際し、前記除湿装置に対して乾燥処理を施すことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載の除湿装置の駆動方法。
  10. 前記乾燥処理は、前記除湿装置内に所定の乾燥ガスを流すことによって実施することを特徴とする、請求項9に記載の除湿装置の駆動方法。
  11. 前記除湿装置内の露点を−70℃以下とすることを特徴とする、請求項4〜10のいずれか一に記載の除湿装置の駆動方法。
  12. 前記湿潤ガスはトリチウム化水蒸気であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一に記載の除湿装置の駆動方法。
  13. 水蒸気選択透過性を有する高分子透過膜を含む除湿装置と、
    前記除湿装置内に湿潤ガスを導入し、前記高分子透過膜によって前記湿潤ガス中の水分を選択的に除去して得た乾燥ガスの少なくとも一部から構成されるパージガスの流量F2、及び前記パージガスによって排出される前記水分を含む高湿潤排出ガスの流量F1を監視するモニタリング手段と、
    を具えることを特徴とする、除湿装置システム。
  14. 前記除湿装置内の露点が所定温度以下に設定されたことを特徴とする、請求項13に記載の除湿装置システム。
  15. 前記除湿装置内の露点が−70℃以下に設定されたことを特徴とする、請求項14に記載の除湿装置システム。
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