JP3730832B2 - 表示板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は白板、黒板、掲示板等、書き消しが自由で、表示部材の貼着及び貼り替えの容易な表示板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来は図4及び図5に示すように、多極着磁を施した可撓性ボンド磁石12の背面を基板11に接着剤13で貼り付け、表面に鉄製の黒板部材14を磁気吸着力で貼着する表示板と、既存の鉄板製黒板15の表面に両面多極着磁を施した可撓性ボンド磁石16を介在して、新しい黒板部材14を磁気吸着力で貼着する施工方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の可撓性ボンド磁石は磁石材料微粉末を有機高分子エラストマー、例えば塩素化ポリエチレンを粘結材として使用し、非加硫(非架橋)で使用されるため、鉄板製の黒板部材に長期間接触すると粘着ないしブロッキング(接着剤を用いないで接着する自着現象)を生ずる場合が多い。
【0004】
一方、通常使用される大型黒板のサイズは縦1.2m×横3.6mが主流であり、可撓性ボンド磁石及び黒板部材(表面材)は、黒板全面に亙り継目なく使用することが望ましい。もし中継箇所を作ると経日変化的に使用時の筆圧や基材の微妙な変化(変形)による応力を受けて、へこみや段差的変形等を生じ、光の反射差による外観の低下を生じる。
【0005】
また、可撓性ボンド磁石を3.6mのような長尺で使用すると、前記のブロッキング現象に加え可撓性ボンド磁石の持つ成形時の残存歪みによる収縮や木材の湿度変化による伸縮、鉄の線膨張係数(約1.2×1/100000)と可撓性ボンド磁石の線膨張係数(約1.5×1/10000)差による寸法差等によって可撓性ボンド磁石と鉄板製黒板部材との間の寸法差のため、湾曲や鉄板製黒板部材のたるみを生じ、黒板としての外観不良や光の異常反射による記載表示が見えにくい等の問題を生じる欠点がある。
【0006】
本発明は可撓性ボンド磁石の磁気吸着力を殆ど低下させることなく、上記欠点を解決しようとするものである。
【0007】
【問題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するために、可撓性ボンド磁石が接する面のメッキないし塗装面に対して合成樹脂及びゴムの粘着及びブロッキングを生じにくい性質を有する非ブロッキング性層を、可撓性ボンド磁石の可撓性と吸着力を阻害せずに可撓性ボンド磁石と鉄板製の書き消し可能な表示部材又は強磁性被着体に一体的に形成して介在しようとするものである。
【0008】
即ち、本発明の第1は、基板1の片面又は両面上に、片面又は両面多極着磁を施した可撓性ボンド磁石2をその表面が着磁面となるように裏面を貼着して積層し、該可撓性ボンド磁石2の表面に鉄板製の書き消し可能な表示板部材4を磁気吸着力にて貼着させて成る表示板において、上記可撓性ボンド磁石2の表面又は上記表示板部材4における磁気吸着面に、メッキ鋼板、塗装鋼板、化粧鋼板に対して非ブロッキング性の有機高分子から成る35μm以下の非ブロッキング性層5を一体的に形成し介在した構成の表示板とした。
【0009】
本発明の第2は、基板1の片面又は両面上に、強磁性体板部材6を貼着して積層し、該強磁性体板部材6の表面に、両面多極着磁を施した可撓性ボンド磁石7を磁気吸着力で積層し、さらに該可撓性ボンド磁石7の表面に鉄板製の書き消し可能な表示板部材4を磁気吸着力にて貼着させて成る表示板において、上記強磁性体板部材6の表面又は上記両面多極着磁を施した可撓性ボンド磁石7の磁気吸着面、及び、上記両面多極着磁を施した可撓性ボンド磁石7の表面又は上記表示板部材4における磁気吸着面に、メッキ鋼板、塗装鋼板、化粧鋼板に対して非ブロッキング性の有機高分子から成る35μm以下の非ブロッキング性層5を一体的に形成し介在した表示板とするものである。
【0010】
上記の非ブロッキング性層5を介在する構造としては、非ブロッキング性層5を可撓性ボンド磁石7の両面に一体的に形成したり、非ブロッキング性層5を強磁性体板部材6の表面及び鉄板製の書き消し可能な表示板部材4の裏面に一体的に形成するようにすればよい。
【0011】
また、非ブロッキング性層5中に、平均粒子径1〜50μmの無機質粉体又は球状樹脂粉体を、前記の非ブロッキング性層5に対して1.5重量部以上を含有することにより優れたブロッキング防止性能で表面性の良好な面を形成している。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による表示板の一実施例を示した要部断面図である。図1において、1は基板で、木材、金属材料等で形成されている。2は片面着磁の可撓性ボンド磁石で、その非着磁面を基板1の表面に接着剤層3を介して貼着している。4は書き消し自由な表示板部材で、従来の公知黒板又は白板に使用されるものと同様の素材で形成されている。
【0013】
5は可撓性ボンド磁石2の着磁面と表示板部材4との間に介在した非ブロッキング性層である。この非ブロッキング性層5はボンド磁石2に一体的に形成する場合と表示板部材4に一体的に形成する場合とがある。図1は基板の片面に可撓性ボンド磁石2及び表示板部材4を形成したが、基板両面に形成し、両面仕様の表示板とすることもできる。また、可撓性ボンド磁石2に両面着磁の磁石を用いても良い。
【0014】
図2は他実施例を示した要部断面図である。図2において、図1と同一符号は同一部材を示している。基板1の表面に接着剤層3を介して強磁性体板部材6を貼着している。この強磁性体板部材6としては既存の鉄板製黒板の表面、鉄板あるいは少量の有機高分子を粘結材として強磁性体粉末(例えば鉄粉)を練り込んだシートを使用することができる。
【0015】
7は両面着磁の可撓性ボンド磁石で、その磁力により一面側は強磁性体板部材6に吸着し、他面側に表示板部材4を吸着している。可撓性ボンド磁石7と強磁性体板部材6または表示板部材4との間には非ブロッキング性層5が介在している。非ブロッキング性層5は可撓性ボンド磁石7の貼着面に一体的に形成する場合と強磁性体板部材6又は表示板部材4に一体的に形成する場合とがある。
【0016】
本発明に使用する可撓性ボンド磁石2及び7としては市販のもので良く、例えば、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等のフェライト系磁石材料微粉末及びサマリウム・コバルト磁石、ネオジウム・鉄・ホウ素磁石等の希土類系磁石材料微粉末を少量のエラストマー例えば塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム等を粘結材としてシート状に成形して片面又は両面に多極着磁を施したものが使用できる。
【0017】
又その厚みは磁石材料の種類、等方性、異方性及び着磁極間、磁気吸着力と鉄製の書き消し可能な表示板部材4の重量によるが、ほぼ0.1〜2.0mm程度で良く、極間は1.0〜7.0mm程度で良い。又、両面着磁品として使用する場合は片面より着磁を施し背面にも磁極が形成されている異方性ボンド磁石を使用することもできる。
【0018】
本発明に使用する非ブロッキング性層5の組成としては塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、フツ素樹脂及びこれらと共重合可能な樹脂との共重合樹脂、更にこれらのフツ素化変性樹脂が挙げられ又これらの樹脂に対して非ブロッキング性向上助剤としてシリコン系オイル、フツ素系オイルの添加又は塗布が有効である。
【0019】
本発明の非ブロッキング性層5の形成は公知のフィルム成形方法(例えば押出成形、圧延成形、キャスト成形及び延伸加工等)、塗布(コーティング)方法(例えばナイフコーター、ロールコーター、ディップコーター、押出流延、スプレー等)が適用できる。塗布の場合は塗布性向上剤としてシリコン系又はフッ素系界面活性剤を使用すると、非ブロッキング性の向上に有効である。
【0020】
非ブロッキング性層5を介在させるにはフィルムの場合はエアーが積層間にはいらないように注意が必要であり、もし入るとエアーギャップとなり磁気吸着力が低下するので、加温、加圧、場合によっては接着剤を用いてラミネート方式で空気を排除して密着することが望ましい。塗布層として介在させる場合は前記フィルムのような注意を必要としないし、数μm厚の薄層が容易に得られる。
【0021】
可撓性ボンド磁石2又は7に非ブロッキング層5を形成する場合はシートが可撓性であるので、ラミネート加工又は塗布加工を容易にすることができる。また、巻物として長期保管しても可撓性ボンド磁石同士のブロッキングを生じない利点がある。
【0022】
表示板部材4又は強磁性体板部材6に非ブロッキング性層を形成する場合は高温焼付が可能で、また使用有機溶剤の制限も少ないので塗布剤の選択が自由にできる利点があり、シリコン系又はフッ素系焼付型塗布等の使用に適している。
【0023】
非ブロッキング性層に混入する無機質粉体の組成としては親水性シリカが好適であり、また樹脂粉体の組成としては、架橋ポリスチレン、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂が好適である。混入方法は公知の顔料混合分散方法等と同様にすれば良い。分散助剤として界面活性剤を添加することができる。この場合にシリコン系又はフッ素系界面活性剤を使用すると、非ブロッキング性を向上する効果もある。
【0024】
非ブロッキング性層は添加する無機質粉体又は球状樹脂粉体の平均粒子径は1μm以上50μm未満が好ましく、1μm未満では目的の効果が得られにくく、50μm以上では粗面になり過ぎとなる。添加量は非ブロッキング性層5に対して1.5重量部以上で効果が発現するので、使用目的によって表面性及び可撓性を考慮して決めればよい。
【0025】
【実施例1】
図1にしたがって実施例1の構成を説明する。
1)基板1は幅3.6m、高さ1.2mで、公知の構造で形成されている。すなわち木製の周枠(30×35mm)、中桟(30×35mm)及び地板(厚さ5mmのベニヤ板)を釘打ちすることにより形成する。
【0026】
2)次に基板1の表面と可撓性ボンド磁石2の裏面(非着磁面)とに接着剤3を塗布し、塗布面同士を積層する。接着剤はエチレン酢酸ビニル共重合体系エマルジョンを使用した。
本実施例で使用した可撓性ボンド磁石2
等方性ストロンチウムフェライト系ゴム磁石(粘結材は塩素化ポリエチレン系エラストマー使用)
厚さ 0.8mm
着磁 2.0mmピッチ 片面多極着磁
【0027】
3)非ブロッキング性層5は可撓性ボンド磁石2の表面(着磁面)にあらかじめラミネートされている。
非ブロッキング性層5
主成分 高密度ポリエチレン(比重 0.935)
フィルム(粘着加工品)の総厚み 30μm
【0028】
4)書き消し可能な表示板部材4を基板1と同一サイズに裁断し、非ブロッキング性層5をラミネートした可撓性ボンド磁石2の表面に、磁気吸着力で貼着する。
表示板部材4
材質 鉄板製の黒板部材
厚さ 0.5mm
【0029】
5)基板1,非ブロッキング性層5を一体化した可撓性ボンド磁石2及び表示板部材4を図1のように積層した周囲に縁枠をビス止めし、更に下側縁部に沿ってアルミニウム製の粉受けをビスで固定し、表示板を完成する。
【0030】
【実施例2】
各部材の積層構造は図1のとおりである。非ブロッキング性層5の形成手段および組成が実施例1と異なるが、他の使用部材及び構成は実施例1と同一である。
非ブロッキング性層5
形成個所 可撓性ボンド磁石2の着磁面
形成手段 塗工液を塗布後、乾燥
塗工液の組成
塩化ビニリデン系水性ラテックス▲注▼1 100重量部
ポリビニルアルコール(完全鹸化型)4w%水溶液 3重量部(増粘材)
MEGAFAC F−177▲注▼2 1重量部(界面活性剤)
▲注▼1 塩化ビニリデン85w% アクリル酸エステル15w%からなる共重合体(固形分50w%)
▲注▼2 大日本インキ化学工業(株)製 ノニオン型フッ素系界面活性剤(パーフルオロアルキルEO付加物)
【0031】
上記各成分を混合撹拌して塗工液を作成し、この塗工液をリバースロールコーターを用いて、可撓性ボンド磁石2の着磁面に塗布した後、60℃の温風乾燥炉で乾燥し、乾燥後の塗布厚 約4μmの非ブロッキング性層5を形成する。
【0032】
【実施例3】
各部材の積層構造は図1のとおりである。非ブロッキング性層5の形成手段および組成が実施例1と異なるが、他の使用部材及び構成は実施例1と同一である。
非ブロッキング性層5
形成個所 可撓性ボンド磁石2の着磁面
形成手段 塗工液を塗布後、乾燥
塗工液の組成
水性エマルジョン型フッ素樹脂▲注▼1 100重量部
ブチルカルビトールアセテート/水=100/2 1.3重量部(造膜助剤)
ウオーターゾルAM−274▲注▼2 2.0重量部(増粘剤)
▲注▼1 大日本インキ化学工業(株)製 フルオネートFEM−500(固形分45w%)
▲注▼2 大日本インキ化学工業(株)製
【0033】
【実施例4】
各部材の積層構造は図1のとおりである。非ブロッキング性層5の形成個所及び主成分が実施例1と異なるが、他の使用部材及び構成は実施例1と同一である。
非ブロッキング性層5
形成個所 書き消し可能な表示板部材4(鉄板製)の裏面
主成分 ポリビニルフルオライド
フィルム(粘着加工品)の総厚み 30μm
形成手段 ラミネーターにより貼り合わせる。
【0034】
【実施例5】
各部材の積層構造は図1のとおりである。非ブロッキング性層5の形成個所、形成手段および塗工液の組成が実施例1と異なるが、他の使用部材及び構成は実施例1と同一である。
非ブロッキング性層5
形成個所 書き消し可能な表示板部材4(鉄板製)の裏面
形成手段 塗工液の塗布後、乾燥
塗工液の組成
溶剤可溶型フッ素樹脂▲注▼1 100重量部
ヘキサメトキシメチルメラミン 13重量部(硬化剤)
▲注▼1 大日本インキ化学工業(株)製フルオネートK−700 フルオロオレフィン共重合体(固形分50%)
【0035】
上記各成分を混合撹拌して塗工液を作成し、この塗工液をリバースロールコーターを用いて、表示板部材4の裏面に塗布した後、60℃の温風乾燥炉での乾燥によって乾燥後の塗布厚 約7μmとした後、170℃の焼付け炉内で10分間処理することによって非ブロッキング性層5を形成する。
【0036】
【実施例6】
図2にしたがって実施例6の構成を説明する。
1)基板1は実施例1と同一構造である。
2)次に基板1の表面と、基板1と同一サイズの強磁性体板部材6の片面とに接着剤を塗布し、塗布面同士をあわせて積層固定する。
強磁性体板部材6
材質 亜鉛メッキ鋼板
厚さ 0.5mm
接着剤
材質 弾性エポキシ系接着剤
【0037】
3)可撓性ボンド磁石7の両面に非ブロッキング性層5を形成する。
Figure 0003730832
【0038】
4)非ブロッキング性層5を設けた可撓性ボンド磁石7を強磁性体板部材6の表面に磁気吸着力で積層し、更に書き消し可能な表示板部材4を積層し磁気吸着力で固定する。
表示板部材4
材質 鉄板製の黒板部材
厚さ 0.5mm
5)基板1、強磁性体板部材6、非ブロッキング性層5を一体化した可撓性ボンド磁石7及び表示板部材4を図2のように積層した周囲に縁枠をビス止めし、更に下側縁部に沿ってアルミニウム製の粉受けをビスで固定し、表示板を完成する。
【0039】
【実施例7】
各部材の積層構造は図2のとおりである。非ブロッキング性層5の組成は実施例6と異なるが、他の使用部材及び構成は実施例6と同一である。
非ブロッキング性層5
塗工液の組成
水性エマルジョン型フッ素樹脂 100重量部
ブチルカルビトールアセテート/水=100/2 1.3重量部(造膜助剤)
ウオーターゾルAM−274 2.0重量部(増粘剤)
球状ポリアミド樹脂(粒子径20μm) 3.0重量部
【0040】
【実施例8】
各部材の積層構造は図2のとおりである。非ブロッキング性層5の形成個所、主成分、形成手段は実施例6と異なるが、他の使用部材及び構成は実施例6と同一である。
非ブロッキング性層5
形成個所 強磁性体板部材6の表面及び表示板部材4の裏面
主成分 テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
フィルム(粘着加工品)の総厚み 30μm
形成手段 ラミネーターにより貼り合わせる。
【0041】
【実施例9】
各部材の積層構造は図2のとおりである。非ブロッキング性層5の形成個所及び塗工液の組成は実施例6と異なるが、他の使用部材及び構成は実施例6と同一である。
非ブロッキング性層5
形成個所 強磁性体板部材6の表面及び表示板部材4の裏面
塗工液の組成
溶剤可溶型フッ素樹脂▲注▼1 100重量部
ヘキサメトキシメチルメラミン 13重量部(硬化剤)
▲注▼1 大日本インキ化学工業(株)製フルオネートK−700 フルオロオレフィン共重合体(固形分50%)
【0042】
【実施例10】
各部材の積層構造は図2のとおりである。非ブロッキング性層5の形成個所及び塗工液の組成は実施例6と異なるが、他の使用部材及び構成は実施例6と同一である。
非ブロッキング性層5
形成個所 強磁性体板部材6の表面及び表示板部材4の裏面
塗工液の組成
溶剤可溶型フッ素樹脂▲注▼1 100重量部
ヘキサメトキシメチルメラミン 13重量部(硬化剤)
合成親水性シリカ 2重量部(平均粒子径2.5μm)沈降容積45ml/5g)
▲注▼1 大日本インキ化学工業(株)製フルオネートK−700 フルオロオレフィン共重合体(固形分50%)
【0043】
実施例1〜5で用いた可撓性ボンド磁石2、即ち等方性ストロンチウムフェライト2.0mmピッチ 片面多極着磁 厚さ0.8mm と実施例6〜10で用いた可撓性ボンド磁石7、即ち等方性ストロンチウムフェライト3.0mmピッチ 両面多極着磁 厚さ0.8mmのエアーギャップに対する吸着力は後記の方法で測定した結果、表1に示すとおりであった。したがって、可撓性ボンド磁石2又は7と対応する吸着面との間に介在する非ブロッキング性層5の厚みは、可撓性ボンド磁石2または7の磁気吸着力に対して、約10%までの低下は実用上問題がないので、35μm以下であれば良いと判断できる。
【0044】
Figure 0003730832
【0045】
片面着磁品の吸着力測定方法
平滑なプラスチック板の表面に片面着磁品の非着磁面を両面粘着テープで貼り付け、一端をバネばかりに接続した円形鋼板の平滑な円形底面(10cm)を、前記片面着磁品の着磁面に磁気吸着し、垂直方向に引き、引き離しに要する力を測定する。
【0046】
両面着磁品の吸着力測定方法
平滑な鋼板の表面に両面着磁品を磁気吸着し、一端をバネばかりに接続した円形鋼板の平滑な円形底面(10cm)を、前記両面着磁品に磁気吸着し、垂直方向に引き、引き離しに要する力を測定する。
【0047】
実施例1〜10で使用した積層部材と同一部材について、ブロッキング性の試験を下記の方法によって行った。各積層部材をそれぞれの試験に応じて積層し、40±2℃の恒温槽中に720時間放置後取り出し、室温まで冷却後、測定する。
【0048】
実施例1〜3の表示板については図3(A)のように、面積40×40mmで着磁面に非ブロッキング性層5を有するボンド磁石2の非着磁面にプラスチック板を両面テープで固定し、前記ボンド磁石2の非ブロッキング性層5の面を、100×100mmの表示板部材4の中央に吸着し、表示板部材4を下方に、プラスチック板を上方に引っ張って剪断力を加え、摺動開始するまでの力をバネばかり9で測定した。
【0049】
実施例4及び5の表示板については図3(B)のように、非ブロッキング性層5を設けた表示板部材4の中央に、プラスチック板8に固定したボンド磁石2の着磁面を吸着し、摺動開始の力を測定する。各部材の面積及び測定方法は図3(A)と同様である。
【0050】
比較例1は表示板部材4とプラスチック板8に固定したボンド磁石2のみを吸着したもので、図3(C)に示すようにブロッキング性が非常に大きいのでボンド磁石の面積を20×20mmとしている。測定方法は図3(A)と同様である。
【0051】
実施例6及び7の表示板については図3(D)のように、両面に非ブロッキング性層5を設けた両面着磁のボンド磁石7を面積40×40mmに切断し、その一面に強磁性体板部材として亜鉛メッキ鋼板6を吸着した場合は、他面側を面積100×100mmの表示板部材4の中央に吸着し、表示板部材4を下方に亜鉛メッキ鋼板6を上方に引っ張って剪断力を加え、摺動開始するまでの力をバネばかり9で測定した。亜鉛メッキ鋼板6を面積100×100mmの被着体とした場合はボンド磁石7の背面に表示板部材4を吸着して測定する。
【0052】
実施例8〜10の表示板については図3(E)のように、非ブロッキング性層5を亜鉛メッキ鋼板6及び表示板部材4に設けたものを使用し、一方を被着体とし他方をボンド磁石7の背面に取り付け、図3(D)と同様の方法で測定する。
【0053】
比較例2は図3(F)に示すように非ブロッキング性層を設けず、両面着磁のボンド磁石7と亜鉛メッキ鋼板6又は表示板部材4とを直接吸着し、図3(D)と同様の方法で測定する。
【0054】
上記の測定結果は表2に示すとおりである。また、表示板の経日変化については各実施例、比較例の表示板を1998年8月1日〜3日で製作し、1999年2月28日まで、室内に垂直に保持、放置し、最終日に異常の有無を調査した。その間の室温は夏期最高温度35℃、冬期最低温度5℃であった。
【0055】
Figure 0003730832
【0056】
Figure 0003730832
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、可撓性ボンド磁石の表面と鉄板製の書き消し可能な表示板部材間に、厚さ35μm以下の非ブロッキング性層を介在することによって、可撓性ボンド磁石と鉄板性の書き消し自由な表示板部材とのブロッキングを防止し、磁気吸着力をほとんど低下せずに、両者の寸法変化差(成形時残存歪み、温度線膨張係数差)による応力に従って、両者の界面で滑りを生じ、表示板の変形を防止する。
【0058】
また、非ブロッキング性層を可撓性ボンド磁石の表面に形成する場合は、加工が容易で巻物での保管中にボンド磁石同士のブロッキングを防止することができる。鉄板製の書き消し自由な表示板部材裏面に形成する場合は、高温焼付型塗装、有機溶剤型塗装等、有機高分子材料には適用できない塗装も可能である。
【0059】
本発明によれば、両面に多極着磁を施した可撓性ボンド磁石と鉄板製の書き消し可能な表示板部材間及び強磁性体板部材間に、厚さ35μm以下の非ブロッキング性層を介在することにより、可撓性ボンド磁石とのブロッキングを防止し、磁気吸着力をほとんど低下することなく、寸法変化による応力に従って、界面で滑りを生じ表示板の変形を防止し、非ブロッキング性層を可撓性ボンド磁石の表面に形成する場合、鉄板製の書き消し可能な表示板部材及び強磁性体部材に形成する場合も同様の作用、効果を得ることができる。
【0060】
非ブロッキング性層を両面着磁の可撓性ボンド磁石両面に形成する場合は、強磁性体板部材として、既存の黒板を利用することもできる。また、非ブロッキング性層中に平均粒子径1〜50μmの無機質粉体又は球状樹脂粉体を1.5重量部以上添加することによって、非ブロッキング性が向上し、特に非ブロッキング性を必要とする用途には最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による表示板の一実施例を示した要部断面図。
【図2】他実施例を示した要部断面図。
【図3】(A)〜(F)は実施例1〜10、比較例1又は2の積層部材のブロッキング性試験方法を示した側面図。
【図4】従来の表示板の一例を示した要部断面図。
【図5】従来の表示板の他の例を示した要部断面図。
【符号の説明】
1 基板
2 可撓性ボンド磁石
3 接着剤層
4 表示板部材
5 非ブロッキング性層
6 強磁性体板都材
7 可撓性ボンド磁石

Claims (5)

  1. 基板1の片面又は両面上に、片面又は両面多極着磁を施した可撓性ボンド磁石2をその表面が着磁面となるように裏面を貼着して積層し、該可撓性ボンド磁石2の表面に鉄板製の書き消し可能な表示板部材4を磁気吸着力にて貼着させて成る表示板において上記可撓性ボンド磁石2の表面又は上記表示板部材4における磁気吸着面に、メッキ鋼板、塗装鋼板、化粧鋼板に対して非ブロッキング性の有機高分子から成る35μm以下の非ブロッキング性層5を一体的に形成し介在したことを特徴とする表示板
  2. 基板1の片面又は両面上に、強磁性体板部材6を貼着して積層し、該強磁性体板部材6の表面に、両面多極着磁を施した可撓性ボンド磁石7を磁気吸着力で積層し、さらに該可撓性ボンド磁石7の表面に鉄板製の書き消し可能な表示板部材4を磁気吸着力にて貼着させて成る表示板において上記強磁性体板部材6の表面又は上記両面多極着磁を施した可撓性ボンド磁石7の磁気吸着面、及び、上記両面多極着磁を施した可撓性ボンド磁石7の表面又は上記表示板部材4における磁気吸着面に、メッキ鋼板、塗装鋼板、化粧鋼板に対して非ブロッキング性の有機高分子から成る35μm以下の非ブロッキング性層5を一体的に形成し介在したことを特徴とする表示板
  3. 非ブロッキング性層5を両面に多極着磁した可撓性ボンド磁石7の両面に形成した請求項2に記載の表示板
  4. 非ブロッキング性層5を強磁性体板部材6の表面及び鉄板製の書き消し可能な表示板部材4の裏面に形成した請求項2に記載の表示板
  5. 非ブロッキング性層5中に、平均粒子径1〜50μmの無機質粉体又は球状樹脂粉体を、前記の非ブロッキング性層5に対して1.5重量部位以上を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の表示板
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