JP3730824B2 - 信号導通試験方式 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は信号導通試験方式、特にATM回線に接続された端末装置間で回線試験の開始および終了の通知にOAMセルを活用するATM回線の信号導通試験方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、非同期転送モード(ATM:Asynchronous Transfer Mode)で情報伝送を行う場合には、ATM回線を介して接続されたATM装置間でATM回線の試験を行うために、ユーザデータのATMセルとは区別された試験用の専用ATMセルを定義して、この試験用の専用ATMセルをATM回線に対して送信又は受信することによりATM回線の試験を行う方法が一般的である。この試験用の専用ATMセルの例としては、ITU−T勧告I.610で定義されているOAM(Operation, Administration and Maintenance)セルのループバックセルやコンティニティチェックセル等が挙げられる。
【0003】
斯かる技術分野の従来技術は、例えば特開平7−87089号公報の「ATM回線試験方法」、特開平8−8916号公報の「ATMスイッチ試験装置」および特開平5−244196号公報の「ATMシステムのVP試験方法およびVP試験装置」等に開示されている。信号導通試験方式の従来技術の1例を図5に示。この図5を参照して、2つのATM交換機を接続するATM回線を試験する場合の従来の信号導通試験方式を説明する。図5のシステムは、ATM交換機10、20およびこれらATM交換機10、20間を接続するATM回線30より構成される。各ATM交換機10、20は、ATM回線30を物理レイヤにおいて終端する回線終端部11、21、ATMレイヤにおいてATM回線30上のATMセルを制御するATMアダプテーションレイヤ制御手段を有し、所定の試験用ATMセルの組立やATMセルの比較検査および受信した試験用ATMセルの折り返し送信等を行うATM処理部18、28、入力されたATMセルに格納されているアドレス情報に基づいて所定の回線へATMセルを交換出力するATMスイッチ19、29およびATMスイッチ19、29およびATM処理部18、28等のATM交換機10、20全般を制御する装置制御部15、25を含んでいる。更に、ATM交換機10がATM交換機20に対して送信した試験用ATMセル60およびATM交換機20がATM回線30から受信してATM交換機10に対して折り返し送信された試験用ATMセル61を示す。
【0004】
次に、図5に示すシステム全体の動作を簡単に説明する。ATM交換機10の装置制御部15がATM処理部18に対して、回線試験開始のための指示を出す。これを受けたATM処理部18は、その内部に有するATMアダプテーションレイヤ制御手段において所定の試験用ATMセルを生成する。試験用ATMセルには、ユーザデータATMセルではないことを示す試験用ATMセル識別情報および試験用データユニット等が含まれている。試験用データユニットには、データユニットの送出順を示すシーケンス番号およびデータユニットが生成された時刻を示す時刻情報やデータユニットが対向側装置で折り返されたことを示すための折り返しチェック情報等で構成される。回線導通試験開始の指示で生成された試験用ATMセルは、ATMスイッチ19からATM回線30に対して送出されるユーザデータATMセル流に対して、ATM処理部18内部で挿入される。これにより、ATM回線30に対して試験用ATMセル60が送出される。
【0005】
ATM交換機20では、ATM回線30よりATMセルを受信すると、ATM処理部28において受信したATMセルが試験用ATMセルであるか否かを試験用ATMセル識別情報により判別する。受信したATMセルが試験用ATMセル60である場合には、ATM回線30に対して試験用ATMセル61として折り返し送出する。このとき、ATM処理部28において折り返されたことを示すために、試験用データユニットに含まれる折り返しチェック情報がセットされる。
【0006】
ATM交換機10でも、ATM回線30を介してATMセルを受信すると、ATM処理部18において受信したATMセルが試験用ATMセルであるか否かを試験用ATMセル識別情報により判別する。受信したATMセルが試験用ATMセル61であることを試験用セル識別情報と試験用データユニットに含まれる折り返しチェック情報がセットされていることにより識別する。受信した試験用ATMセル61の試験用データユニットと最初に試験用ATMセル60として送出した時の元の試験用データユニット情報に基づいて比較検査を行う。即ち、試験用データユニット含まれるシーケンス番号に基づく試験用ATMセル受信順序の正常性および脱落の有無や、時刻情報に基づく伝送所要時間の異常等がチェックされる。
【0007】
上述のように、対向する1対のATM交換機10、20間のATM回線30のATMレイヤでの回線試験を実現している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来技術には、次の如き幾つかの課題を有する。第1に、ATMレイヤより上位のレイヤ障害を検出することができないことである。その理由は、ATM回線を使用するユーザが、ATM回線に対してATM端末装置を接続する場合には、接続するATM端末装置にATMレイヤより上位のATMアダプテーションレイヤ(AAL:ATM Adaptation Layer)機能を有する装置を接続し、非ATM信号をATM化して情報伝送を行う場合がある。この場合、上述した従来技術例の如きATM回線試験方法では、試験専用のATMセルをユーザデータのATMセルとは別に生成して使用することでATMレイヤ以下のレイヤでの試験を実現するため、ユーザデータのATMセル化処理部分の動作を試験することができないためである。
【0009】
第2に、ATM回線を使用するユーザが、必要以上の帯域を用意する必要があり、余分な回線料金が発生することである。その理由は、通常ATM回線を使用するユーザが、ATM回線に対してATM端末装置を接続する場合には、ユーザデータを送受するのに必要となる帯域分の使用帯域契約をATM回線の提供業者との間で行う。上述した従来技術例のように試験専用のATMセルを定義して対向するATM端末装置間で送受しようとした場合には、その分余計に使用帯域を契約することが必要となり、回線料金が余分に発生するためである。これは、ユーザデータがCBR(Constant Bit Rate)である場合に、特に顕著な問題として現れる。また、ATM回線の試験精度を高くした場合には、試験用ATMセルの送出数を増加させる必要があるため、一層回線料金が高くなる要因となる。
【0010】
【発明の目的】
本発明の目的は、非ATM信号のユーザデータをATM化する処理を含めたATM端末装置の正常動作確認試験と、そのATM端末装置を接続するATM回線の回線品質の試験を、対向するATM端末装置間においてATM端末装置単体で簡略化して実施でき且つ高信頼性の信号導通試験方式を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、ATM回線を介して接続されるATM端末装置間の信号導通試験に際し、対向する端末装置の双方にオペレータを配することなく且つ試験用の測定器等を用意することなく実施でき、装置の保守性を向上するる信号導通試験方式を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ATM回線に接続され、それぞれ装置全体の制御を行う装置制御装置および前記ATM回線の物理レイヤを終端するATMインタフェース終端部を含み相互に対向している1対のATM端末装置間の信号導通試験を行う信号導通試験方式である。その特徴とするところは、各ATM端末装置が、通信装置等とのSTMインタフェースの物理レイヤを終端するSTMインタフェース終端部と、ATM端末装置およびSTMインタフェース終端部間に接続されATMセル組立分解処理を行うCLAD処理部と、試験起動又は試験停止処理を行うOAMセルの送受信を行うOAM生成/検出部および試験実行中の主審号データ処理を行う信号処理部を含む試験処理部とを備え、前記1対のATM端末装置間は、試験中状態であることを示すコンティニティチェックセルを所定間隔で通知しあい、試験中状態では、一方のATM端末装置が前記コンティニティチェックセルを所定時間受信しなかったときに自局のコンティニティチェックセルの送信を停止し、試験停止要求セルを送出して試験異常終了状態とし、試験停止確認待ち状態では、前記ATM端末装置は、前記試験停止要求セルを受信すると、試験停止確認セルを送出して、通常状態に状態遷移し、所定時間前記試験停止確認セルを受信しないときには、試験停止要求セルを再通知し、再通知を所定回数行っても対向局殻前記試験停止確認セルを受信しないときには、通常状態に状態遷移する
【0013】
信号処理部は、信号導通試験に使用する試験信号パタンを生成する試験パタン生成部、試験信号パタンとCLAD処理部の出力信号を照合する試験パタン照合部およびCLAD処理部の出力信号を固定パタンに変換するクランプ処理部とを含んでいる。また、試験パタン生成部およびクランプ処理部に接続され、信号処理部の出力をCLAD処理部に入出力する選択回路を有する。更に、ATM回線に接続され対向する1対のATM端末装置の内の一方のATM端末装置から他方のATM端末装置を遠隔から制御した試験の起動および停止を可能にする。更にまた、ATM回線には、複数のATMインタフェースを束ね又は複数のATMインタフェース間でATMセルを送受信するATM多重化装置を含んでいる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による信号導通試験方式の好適実施形態例を、添付図を参照して詳細に説明する。尚、説明の便宜上、上述した従来技術の構成要素と対応する構成要素には、同様の参照符号を使用することとする。
【0015】
先ず、図1は、本発明による信号導通通試験方式を詳細に説明する。図1の信号導通試験方式は、ATM回線30を介して接続された対向する1対のATM端末装置10、20より構成される。各ATM端末装置10、20は、ATMインタフェース終端部11、21と、CLAD処理部12、22と、STM(同期転送モード:Synchronous Transfer Mode)インタフェース終端部13、23と、試験処理部14、24と、装置制御部15、25と、選択回路161、162、261、262と、挿入回路163、263とにより構成される。更に、試験処理部14、24は、信号処理部141、241およびOAMセル生成/検出部142、242で構成される。更にまた、信号処理部141は、試験パタン生成部143と、試験パタン照合部144と、クランプ処理部145とにより構成される。一方、信号処理部241は、クランプ処理部245と、ループバック制御部246とにより構成される。尚、図1において、ATM端末装置10の信号処理部141には、ループバック制御部が構成要素としては存在するが、図示していない。また、ATM端末装置20の信号処理部241にも、試験パタン生成部と試験パタン照合部が構成要素としては存在するが、図示されていない。
【0016】
ATMインタフェース終端部11、21は、ATM回線30と接続され、物理レイヤを終端する。STMインタフェース終端部13、23は、STMインタフェースを持つ通信装置等と接続され、STMインタフェースの物理レイヤを終端する。CLAD処理部12、22は、STM信号をATMセル化、ATMセルをSTM信号化するというATMセル組立分解処理(AALレイヤの処理)を行う部分である。ATMインタフェース終端部11、21とCLAD処理部12、22との間は、ATMセル送受信を行うため信号バス(例えばUTOPIAバス)を介して接続されている。装置制御部15、25は、ATM端末装置10、20全般の監視制御を行っている。
【0017】
試験処理部14、24内のOAMセル生成/検出部142、242は、試験起動又は試験停止の処理を行うためのOAMセルを生成し、挿入回路163、263を介して対向するATM端末装置20又は10に送信し、また対向するATM端末装置からのOAMセルを受信し内容を識別する処理を行うブロックである。挿入回路163、263は、通常はCLAD処理部12、22から送信されるユーザデータのATMセルをATMインタフェース終端部11、21に対して送信している。しかし、OAMセル生成/検出部142、242からOAMセルの送信要求がある場合には、ユーザデータのATMセルと次のユーザデータATMセルとの間にOAMセルを挿入するように装置制御部15、25からの制御下で動作する。
【0018】
信号導通試験を起動した側のATM端末装置10の、信号処理部141の試験パタン生成部143は、信号導通試験に使用する試験用の信号パタンを生成する。ここで生成される試験用の信号パタンは、選択回路161に対して出力される。選択回路161は、STMインタフェース終端部13から入力されるユーザデータ又は試験パタン生成部143が生成した試験用の信号パタンを選択してCLAD処理部12に対して出力する。試験パタン照合部144は、信号導通試験運用状態の際に、CLAD処理部12が出力する信号が、試験パタン生成部143で生成した試験用の信号パタンと等しいか否かを照合する。クランプ処理部145では、CLAD処理部12から出力される信号を固定パタン(全て”1”等)信号に変換して、選択回路162に出力する。選択回路162は、CLAD処理部12から入力されるユーザデータ又はクランプ処理部145から入力される固定パタン信号を選択してSTMインタフェース終端部13に出力する。これは、信号導通試験に使用する試験用の信号パタンがSTMインタフェース終端部13に接続される外部ユーザデータ端末装置等に出力されるのを防ぐための機能である。
【0019】
また、ATM端末装置20の信号処理部241のループバック制御部246は、CLAD処理部22が出力する信号を、そのまま折り返してCLAD処理部22の入力とするために用意されている。折り返された信号は、選択回路261を介してCLAD処理部22の入力に接続されている。選択回路261は、STMインタフェース終端部23から入力されるユーザデータ又はループバック制御部246から入力される受信信号の折り返し信号を選択し、CLAD処理部22に出力する。クランプ処理部245では、受信した信号を固定パタン(全て”1”等)に変換して選択回路262に出力する。選択回路262は、CLAD処理部22から入力されるユーザデータ又はクランプ処理部245から入力される固定パタンを選択して、STMインタフェース終端部23に出力する。
【0020】
次に、図1のシステムの動作を説明する。本発明の通信導通試験方式は、上述の如く図1に示すブロックで構成される。図1において、ATM端末装置10は、回線品質およびATM端末装置の動作確認試験用の信号導通試験を起動する側のATM端末装置である。一方、ATM端末装置20は、信号導通試験が遠隔から起動される側のATM端末装置である。
【0021】
次に、図2は、試験を起動する側のATM端末装置10における試験処理部14の動作を示す状態遷移図である。また図3は、試験を遠隔から起動される側のATM端末装置20における試験処理部24の動作を示す状態遷移図である。以下、これら図2および図3を参照して本発明の信号導通試験方法の動作を説明する。
【0022】
先ず、信号導通試験を起動する側のATM端末装置10の動作について説明する。図2において、通常状態40のとき、ATM端末装置10は、対向(相手側)のATM端末装置20との間でユーザデータATMセルの送受信を行い、STMインタフェース部13の外部に接続されるデータ端末装置等に通信サービスを提供している状態である。この通常状態40では、装置制御部15から試験開始指示又はATM回線30側から試験起動要求セルの受信のいづれかが発生しなければ通常状態40を維持し続ける。ATM回線30側から試験起動要求セルを受信した場合には、信号導通試験を遠隔から起動される側の動作となり、その詳細は後述する。通常状態40において試験開始指示が装置制御部15から出されると、OAMセル生成/検出部142で、試験起動要求セルが生成される。このセルは、挿入回路163を介してATM回線30に送信され、試験起動確認待ち状態41に状態遷移する。ここで、試験開始指示は、装置外部からオペレータ等が行う人為的な操作を装置制御部15が検出して出すものである。この人為的な操作は、ATM端末装置10に試験起動用のスイッチを設けるか、ATM端末装置制御用コンソール装置等を装置制御部15に接続して外部から制御する等により実現すれば良い。
【0023】
次に、試験起動確認待ち状態41での動作を説明する。この試験起動確認待ち状態41では、装置制御部15から試験停止指示が出されるか、対向局側からの試験起動確認セルを受信するかを監視している。試験起動確認待ち状態41において、装置制御部15から試験停止の指示が出された場合には、試験停止確認待ち状態43に状態遷移する。また、試験起動確認待ち状態41で、試験起動確認セル受信を待っているとき、ある一定時間(例えば5秒)を経過しても試験起動確認セルを受信しない場合には、再度OAMセル生成/検出部142で試験起動要求セルを生成し、対向局に送信して信号導通試験の再起動を行う。しかし、この信号導通試験の再起動をある一定の回数(例えば3回)行っても対向局側から試験起動確認セルを受信しない場合には、ATM回線30の障害等で試験起動要求セルが対向局に届いていない等の状態であると判定し、試験起動失敗状態44に状態遷移する。また、試験起動確認待ち状態41で対向局側から試験起動拒否セルを受信した場合には、対向局側が信号導通試験の起動を受付られない状態であると判断し、この場合にも上述した試験起動失敗状態44に状態遷移する。
【0024】
また、試験起動確認待ち状態41で、対向局側から試験起動要求セルを受信した場合には、対向するATM端末装置10、20の双方において、略同時にオペレータ等がATM端末装置を操作し、信号導通試験の起動を行った場合に発生する可能性がある事象である。この場合にも、正常に信号導通試験を起動することが保証できない事象に陥る可能性があると判定し、試験起動失敗状態44に状態遷移する。
【0025】
また、試験起動確認待ち状態41で、対向局側から試験起動確認セルを受信した場合には、コンティニティチェックセルの送信を開始して、試験中状態42に状態遷移する。ここで、コンティニティチェックセルは、試験中状態42であることを対向側のATM端末装置20に通知するために用いる。試験中状態42であることをコンティニティチェックセルを用いて、ある一定間隔(例えば1秒)で定期的に対向するATM端末装置10、20の間で通知しあっていれば、ATM端末装置10、20のいずれかに予期せぬ装置障害が発生した場合や、ATM回線30に障害があり、ATMセルの送受信に異常が発生した場合等でも、双方のATM端末装置10、20で試験中状態42を維持し続ける状態を回避できる。
【0026】
また、試験起動確認セルを受信した場合にも、試験中状態42に状態遷移する。これは、対向局側が送信した試験起動確認セルがATM回線30で廃棄された場合を想定しての状態遷移である。また、試験起動確認待ち状態41では、対向局側からの試験起動確認セル、試験起動拒否セル、試験起動要求セル、コンティニティチェックセルの受信を検出しているが、これらの検出はOAMセル生成/検出部142で行っている。
【0027】
次に、試験中状態42での動作を説明する。試験起動確認待ち状態41から試験中状態42に状態遷移すると、試験処理部14では信号処理部141の試験パタン生成部143で試験用の信号パタンが生成される。選択回路161は、試験パタン生成部143が出力した試験用の信号パタンをCLAD処理部12に出力するように装置制御部15から制御される。尚、試験パタン生成部143で生成される試験用の信号パタンの信号速度は、通常状態40のときにユーザに提供する通信サービスで使用するユーザデータの通信速度と同じ速度である。また、試験パタン照合部144では、受信する信号と試験生成部143で生成する試験用の信号パタンとの比較照合を開始する。ここで比較照合した結果は、試験中状態42に状態遷移した直後には一致していないが、対向側のATM端末装置20の動作でループバック制御部246が折り返し制御される(詳細は後述)ので、ある程度の時間が経過すると、試験パタン生成部143が出力した試験用の信号パタンと受信した信号とが一致するようになる。その後は、ビットエラーの発生を検出する。装置制御部15では、試験パタン照合部144での比較照合結果を監視しており、比較照合結果を外部に表示する機能も有している。オペレータは、その表示を見て、信号導通試験によるATM装置10、20の動作正常性とATM回線30の回線品質を確認することが可能となる。
【0028】
また、試験軌道確認待ち状態41から試験中状態42に状態遷移すると、クランプ処理部145では、受信した信号を全て“1”等の固定パタン信号に変換して、選択回路162に対して出力する。選択回路162は、クランプ処理部145が出力した固定パタン信号をSTMインタフェース終端部13に出力するように装置制御部15から制御される。これは、信号導通試験に使用する試験用の信号パタンがSTMインタフェース終端部13に接続される外部ユーザデータ端末装置等に不要な試験用の信号パタンが出力されるのを防ぐための動作である。また、試験中状態42では、装置制御部15から試験停止指示が出されるのか、又は対向局側からのコンティニティチェックセルを定期的に受信しているかを監視している。
【0029】
コンティニティチェックセルの受信監視は、OAMセル生成/検出部142で行われる。試験中状態42で、装置制御部15から試験停止指示が出されるか又は対向局側からのコンティニティチェックセルを定期的に受信しているかを監視している。コンティニティチェックセルの受信監視は、OAMセル生成/検出部142で行われる。試験中状態42で、装置制御部15から試験停止の指示が出された場合には、OAMセル生成/検出部142で試験停止要求セルを生成して対向局に対して送信する。更に、自局のコンティニティチェックセル送信を停止して、試験停止確認待ち状態43に状態遷移する。また、試験中状態42で、対向局側から受信するコンティニティチェックセルを、ある一定時間(例えば5秒)受信しない場合には、コンティニティチェックセル受信異常が発生したとして、自局のコンティニティチェックセル送信を停止して、試験異常終了状態45に状態遷移する。
【0030】
次に、試験停止確認待ち状態43での動作を説明する。試験停止確認待ち状態43では、OAMセル生成/検出部142で対向局側からの試験停止確認セルの受信を監視している。試験停止確認セルを受信すると、通常状態40へ状態遷移して信号導通試験を終了する。また、試験停止確認待ち状態43で、ある一定時間(例えば5秒)を経過しても試験停止確認セルを受信しない場合には、再度OAMセル生成/検出部142で試験停止要求セルを生成し、対向局に送信して信号導通試験停止の再通知を行う。しかし、この再通知をある一定の回数(例えば3回)行っても対向局側から試験停止確認セルを受信しない場合には、ATM回線30の障害等で試験停止要求セルが対向局に届いていない等の状態であると判定し、通常状態40に状態遷移し信号導通試験を正常に終了して、ATM端末装置10は通常の通信サービスを提供している通常状態40に戻る。ここで、対向局側からの試験停止確認ができず、通常状態40に状態遷移し信号導通試験を終了しても、対向局側ではコンティニティチェックセルを受信しない状態を検出していると考えられ、信号導通試験を停止する処理を行っているはずであるので問題はない(詳細は後述する)。
【0031】
次に、試験起動失敗状態44での動作を説明する。試験起動確認待ち状態41から試験起動失敗状態44に状態遷移すると、試験処理部14は装置制御部15に信号導通試験の起動を失敗したことを通知し、装置制御部15からの試験停止指示を待つ。このとき、装置制御部15は装置外部に信号導通試験の起動が正常に行えなかったことを表示する。信号導通試験の起動を行ったオペレータは、その表示を見て信号導通試験の起動失敗を知ることができる。ここで、オペレータは、ATM端末10に対して試験を停止させる操作を行うことが必要である。装置制御部15は、オペレータからの停止操作を検出すると、試験処理部14に試験停止指示を出す。試験処理部14は、この指示で試験起動失敗状態44から通常状態40に状態遷移して、ATM端末装置10は通常の通常の通信サービスを提供している状態に戻る。
【0032】
次に、試験異常終了状態45での動作を説明する。試験中状態42から試験異常終了状態45に状態遷移すると、試験処理部14は装置制御部15に信号導通試験の最中に異常処理で試験を終了したことを通知し、装置制御部15からの試験停止指示を待つ。このとき、装置制御部15は、装置外部に対して信号導通試験の異常終了を表示する。信号導通試験の起動を行ったオペレータは、その表示を見て信号導通試験が途中で異常終了したことを知ることができ、ATM回線30の回線品質に問題がある等の判断材料を提供したことにもなる。ここで、オペレータは、ATM端末10に試験を停止させる操作を行うことが必要である。装置制御部15は、オペレータからの停止操作を検出すると、試験処理部14に試験停止指示を出す。試験処理部14は、この指示で試験異常終了状態45から通常状態40に状態遷移して、ATM端末装置10は通常の通信サービスを提供している状態に戻る。
【0033】
以上の説明が、本発明における信号導通試験を起動する側のATM端末装置10の動作概要である。この説明中の試験起動要求セル、試験起動確認セル、試験起動拒否セル、試験停止要求セルおよび試験停止確認セルは、ITU−T勧告I.610で定義されている起動・停止OAMセルを活用することが可能である。また、独自のOAMセルを定義することも可能である。コンティニティチェックセルについても同様に、ITU−T勧告I.610で定義されているコンティニティチェックセルを活用することが可能であり、独自のOAMセルを定義することも可能である。但し、これらのセルは、ATM回線30を透過して伝送されATM端末装置10、20間で送受信できるセルでなければならない。
【0034】
次に、信号導通試験を遠隔から起動される側のATM端末装置20の動作を、図3の状態遷移図を参照して説明する。図3中の通常状態50のとき、ATM端末装置20は、対向のATM端末装置10との間でユーザデータATMセルの送受信を行い、STMインタフェース部23の外部に接続されるデータ端末装置に通信サービスを提供している。この状態では、装置制御部25からの試験開始指示又はATM回線30側から試験起動要求セルの受信のいづれかが発生しなければ通常状態50を維持し続ける。装置制御部25から試験開始指示が出された場合の動作は、試験を起動する側の動作となるため、上述したATM端末装置10の動作と同様である。通常状態50では、OAMセル生成/検出部242でATM回線30側からの試験起動要求セル受信を検出すると、OAMセル生成/検出部242で試験起動確認セルを生成し、挿入回路263を介してATM回線30側に送信する。更に、コンティニティチェックセルを定期的に生成して送信する動作を開始して試験中状態51に状態遷移する。但し、試験起動要求セルの受信と同時に装置外部から人為的に信号導通試験を開始する操作が行われたことを装置制御部25が検出した場合には、OAMセル生成/検出部242は、試験起動拒否セルを生成するように装置制御部25から制御され、試験起動拒否セルを生成して送信する。このとき、装置制御部25は、装置外部からの信号導通試験の開始は受け付けなかったことを表示し、操作を行ったオペレータに通知する。この場合には、試験処理部24では状態遷移を行わず通常状態50を維持する。
【0035】
次に、試験中状態51での動作を説明する。通常状態50から試験中状態51に状態遷移すると、試験処理部24では、信号処理部241のループバック制御部246でCLAD処理部22から受信した信号を折り返してCLAD処理部22に戻すために、受信した信号パタンを選択回路261に対して出力する。このとき、選択回路261は、ループバック制御部246が出力する信号をCLAD処理部22に出力するように装置制御部25から制御される。また、クランプ処理部245では、CLAD処理部22から受信した信号を全て”1”等の固定パタン信号に変換して、選択回路262に出力する。選択回路262は、クランプ処理部245が出力した固定パタン信号をSTMインタフェース終端部23に出力するように装置制御部15から制御される。これらの動作により、ATM端末20では、ATM回線30から受信するユーザデータのATMセルが、一旦STM信号に変換された後、再度ATMセル化されて対向側のATM端末装置10に全て折り返されることになる。また、試験中状態51では、OAMセル生成/検出部242において対向局側からコンティニティチェックセルを定期的に受信しているか又は停止要求セルを受信するかを監視している。
【0036】
試験中状態51で、試験停止要求を受信すると、OAMセル生成/検出部242で試験停止確認セルを生成して対向局に送信する。次に、試験中に定期的に送信していたコンティニティチェックの送信を停止し、通常状態50に状態遷移してATM端末装置20は通常の通信サービスを提供する状態に戻る。また、試験中状態51で、対向局側から受信するコンティニティチェックセルを、ある一定時間(例えば5秒)受信しない場合には、コンティニティチェックセル受信異常が発生したとして、自局のコンティニティチェックセル送信を停止し、通常状態50に状態遷移して、ATM端末装置20は通常の通信サービスを提供する状態に戻る。以上の説明が、本発明における信号導通試験を遠隔から起動される側のATM端末装置20の動作概要である。説明中の試験起動要求セル、試験起動拒否セル、試験停止要求セルおよび試験停止確認セルは、ITU―T勧告1.610で定義されている起動・停止OAMセルを活用することが可能であり、独自のOAMセルを定義することも可能である。また、コンティニティチェックセルについても同様である。但し、ATMセルは、ATM回線30を透過して伝送されATM端末装置10、20間で送受信できるATMセルでなければならない。
【0037】
ATM回線30で接続された対向する各ATM端末装置10、20が上述の如き動作を行うことにより、OAMセルを活用し遠隔装置間で信号導通試験の起動/停止が可能となる。
【0038】
【発明の他の実施の形態】
次に、本発明による信号導通試験方式の第2実施形態例を、図4の構成図を参照して説明する。尚、図1の第1実施形態例に対応する構成要素には、便宜上同様の参照符号を使用するものとする。
【0039】
図4に示すブロック図において、ATM端末装置10は、上述した第1実施形態例のATM端末装置と全く同一構成である。また、ATM端末装置60もATM端末装置10と全く同じ構成である。図4の第2実施形態例では、ATM回線30を介してATM端末10、60と1:2の関係で接続され対向しているATM多重化装置70を付加したことを特徴とする。このATM多重化装置70とATM端末装置10、60との間の論理的な接続は、ATMセルのVPI(仮想バス識別子)又はVCI(仮想チャネル識別子)の値を変えて区別されており、ATM回線30とATM多重化装置70の間は物理的には1本で接続されている。
【0040】
ATM多重化装置70は、複数ATMインタフェースを束ねる機能や、複数のATMインタフェース間でATMセルの送受信を行うためのATMスイッチの機能等を有する装置である。一般的なATM交換機であってもよい。ATM多重化装置70は、ATM回線30と接続され物理レイヤの終端を行うためのATMインタフェース終端部71と、ATMレイヤに配備されるATMレイヤ処理部78と、複数の入出力を持ちATMセルのヘッダ情報を基にATMセルの交換処理を行うATMスイッチ79と、ATM多重化装置70全体の監視制御を行う装置制御部75で構成される。ATMレイヤ処理部78は、OAMセルの生成発出や受信検出を行う機能およびATM回線30から受信したATMセルを任意のVPI/VCI単位に折り返してATM回線30に送信する機能を有している。
【0041】
上述の構成において、例えばATM端末装置10で信号導通試験の起動が行われたとき、ATM多重化装置70に試験起動要求セルが送信される。ATM多重化装置70のATMレイヤ処理部78で試験起動要求セルを受信したことが検出されると、受信した試験起動要求セルのVPI又はVCIの値により、試験の起動要求がATM端末装置10から受信したものであると判定される。これにより、試験起動確認セルをATM端末装置10に送信すると共にATM回線30から受信するATMセルのうちATM端末装置10から受信したものをVPI又はVCIの値で判定し、ATMレイヤで折り返して送信する。このようにして、ATM端末装置10とATM多重化装置70との間では信号導通試験が起動された状態となる。このとき、ATM多重化装置70のATMレイヤ処理部78は、ATM端末装置60とATM多重化装置70との間での通信には一切影響を与えることなく動作する。ATM多重化装置70側の状態遷移は、上述したATM端末装置20の状態遷移と同様である。試験の停止時も同様の動作が行われる。また、ATM端末装置60とATM多重化装置70の間でも同様にOAMセルの送受信で信号導通試験を行うことができる。尚、ATM多重化装置70側からATM端末装置10、60側に対して信号導通試験を行う機能は持たなくてもよく、また持ってもよい。装置のハードウエア規模等を考慮して実現すべきものである。
【0042】
以上、本発明による信号導通試験方式の好適実施形態例を詳述した。しかし、これら実施形態例は、本発明の単なる例示に過ぎず何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく種々の変形変更が可能であること、当業者には容易に理解できよう。例えば1:N(Nは2以上の整数)のネットワーク構成においてもOAMセルを活用して信号導通試験を実施可能である。
【0043】
【発明の効果】
上述の説明から明らかな如く、本発明の信号童通試験方式によると、次の如き種々の顕著な効果が得られる。第1に、ATM端末装置のAALレイヤ処理機能を含めた信号導通試験が可能である。その理由は、OAMセルを活用して信号導通試験の起動/停止を行えるようにしたので、信号導通試験が起動している状態では、ユーザデータの通信をオフライン状態とし、オンライン時にユーザデータのAALレイヤ処理を行う処理ブロックに対して試験用の信号パタンを与えることでATMセルの組立分解を行い、送受信して信号導通の正常性を判別するためである。
【0044】
第2に、信号導通試験のためにATM回線を使用する帯域を余分に用意する必要がない。その理由は、ユーザデータの通信がオンライン中に試験専用セルを送受信して試験を行う構成ではなく、ユーザデータの通信をオフライン状態として、信号導通試験を行う構成としたため、試験専用セルを送受信するための帯域を確保する必要はないからである。試験のためにOAMセルを活用しているが、送受信頻度を低く設定すれば、余分な帯域を確保する必要もない。また、試験に使用する試験用パタンをユーザデータの通信速度と同じ速度で生成しATMセルとして送受信して信号導通試験を行うため、ユーザが必要とするATM回線の帯域全てを試験するため、ユーザデータの通信がオンライン中に試験精度を上げるために試験専用セル送受信量を増加する必要がない。
【0045】
第3に、装置の保守性を向上させることができる。その理由は、対向するATM端末装置間で遠隔から信号導通試験を起動/停止できるようにしているので、通信障害発生時等にATM回線の片端のATM端末装置側に保守員がいれば、信号導通試験が行えるためである。また、信号導通試験のための測定器が即時に用意できなくても信号導通試験が行えるようにしているためである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による信号導通試験方式の第1実施形態例のブロック図である。
【図2】図1の信号導通試験方式の試験を起動する側のATM端末装置の動作を説明する状態遷移図である。
【図3】図1の信号導通試験方式の試験を遠隔から起動される側のATM端末装置の動作を説明する状態遷移図である。
【図4】本発明による信号導通試験式方式の第2実施形態例のブロック図である。
【図5】従来技術のブロック図である。
【符号の説明】
10、20、60 ATM端末装置(交換機)
30 ATM回線
11、21、71 ATMインタフェース終端部
12、22 CLAD処理部
13、23 STMインタフェース終端部
14、24 試験処理部
15、25、75 装置制御部
70 ATM多重化装置
141、241 信号処理部
142、242 OAMセル生成/検出部
143 試験パタン生成部
144 試験パタン照合部
145、245 クランプ処理部
161、162、261、262 選択回路
163、263 挿入回路
246 ループバック制御部

Claims (5)

  1. ATM回線に接続され、それぞれ装置全体の制御を行う装置制御部および物理レイヤを終端するATMインタフェース終端部を含み相互に対向している1対のATM端末装置間の信号導通試験を行う信号導通試験方式において、
    前記各ATM端末装置は、通信装置等とのSTMインタフェースの物理レイヤを終端するSTMインタフェース終端部と、前記ATM端末装置およびSTMインタフェース終端部間に接続されATMセル組立分解処理を行うCLAD処理部と、試験起動又は試験停止処理を行うOAM(Operation,Administration and Maintenance)セルの送受信を行うOAM生成/検出部および試験実行中の主信号データ処理を行う信号処理部を含む試験処理部とを備え
    前記1対のATM端末装置間は、試験中状態であることを示すコンティニティチェックセルを所定間隔で通知しあい、試験中状態では、一方のATM端末装置が前記コンティニティチェックセルを所定時間受信しなかったときに自局のコンティニティチェックセルの送信を停止し、試験停止要求セルを送出して試験異常終了状態とし、
    試験停止確認待ち状態では、前記ATM端末装置は、前記試験停止要求セルを受信すると、試験停止確認セルを送出して、通常状態に状態遷移し、所定時間前記試験停止確認セルを受信しないときには、試験停止要求セルを再通知し、再通知を所定回数行っても対向局殻前記試験停止確認セルを受信しないときには、通常状態に状態遷移することを特徴とする信号導通試験方式。
  2. 前記信号処理部は、信号導通試験に使用する試験信号パタンを生成する試験パタン生成部、前記試験信号パタンと前記CLAD処理部からの出力信号を照合処理する試験パタン照合部および前記CLAD処理部からの出力信号を固定パタンに変換するクランプ処理部を含むことを特徴とする請求項1に記載の信号導通試験方式。
  3. 前記試験パタン生成部および前記クランプ処理部に接続され、前記信号処理部の出力を前記CLAD処理部に入出力する選択回路を有することを特徴とする請求項2に記載の信号導通試験方式。
  4. 前記ATM回線に接続され対向している前記1対のATM端末装置のうち一方のATM端末装置から他方のATM端末装置を遠隔から制御して、試験の起動および停止を行えるようにすることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の信号導通試験方式。
  5. 前記ATM回線には更に複数のATMインタフェースを束ねる又は複数のATMインタフェース間でATMセルの送受信を行うATM多重化装置を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の信号導通試験方式。
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