JP3730333B2 - 自動二輪車用車体フレーム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対のパイプとクロスパイプとを有する自動二輪車用車体フレームに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動二輪車の車体フレームとしては、車体の車幅方向に対をなすようにタンクレールをヘッドパイプに溶接し、これらのタンクレールの間にクロスパイプを横架させたものがある。この種の車体フレームにおいて、タンクレール間にクロスパイプを横架させるには、タンクレールとクロスパイプとの間に補強板を介在させることがある。
【0003】
これは、タンクレールの側面に相対的に細いクロスパイプを溶接すると、タンクレールとクロスパイプとの連結部分に応力が集中し易くなってしまうからであり、これを避けるために、前記側面にクロスパイプの端面より面積が大きい補強板を溶接し、この補強板にクロスパイプの端面を突き当てて溶接している。この構成を採ることにより、前記受圧面の面積が大きくなって応力が分散し易くなる。
【0004】
また、上述したように補強板を使用しない場合には、タンクレールの厚みを厚くしたり、クロスパイプの径を大きくしたりして前記応力を分散させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、タンクレールとクロスパイプの連結部に応力が集中するのを避けるために上述したように補強板を用いたり、タンクレールの厚みを厚くしたり、クロスパイプを大径に形成すると、この構成を採る分だけ車体フレームの重量が重くなるとともに、製造コストが高くなってしまう。
【0006】
本発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、重量増加ならびにコストアップになるのを阻止しながら、一対のパイプとクロスパイプとの連結部に応力が集中することがない自動二輪車用車体フレームを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る自動二輪車用車体フレームは、前端をヘッドパイプに溶接し、後端をリヤアームブラケットに溶接した一対の第1の角パイプと、前記ヘッドパイプから延びる一対の断面円形の管体からなる第2のパイプと、前記第1の角パイプどうしの間を接続する断面円形のパイプからなるクロスパイプとを有する自動二輪車用車体フレームであって、前記第1の角パイプを平面部が互いに対向するように設け、前記第2のパイプの一端に塑性変形により平板状の平板部を形成し、この平板部を前記第2のパイプの管体部分に対して車幅方向の外側に偏る位置に前記平面部と平行になるように形成し、この平板部を前記第1の角パイプにおけるヘッドパイプとリヤアームブラケットとの間の車幅方向内側の平面部に溶接するとともに、この平板部に前記クロスパイプの先端面を前記平面部との間に前記平板部が介在するように溶接してなり、前記平板部は、前記平面部における被溶接部分の上下方向の幅内に入る寸法に形成され、かつこの平板部の上下方向および前後方向の寸法は、前記クロスパイプの外径より大きく形成されているものである。
本発明によれば、車体フレームの一部を構成する第2のパイプの平板部が一対の第1の角パイプとクロスパイプとの間に介在し、この平板部により受圧面の面積が大きくなって応力が分散する。
したがって、一対の第1の角パイプとクロスパイプとの連結部に応力が集中するのを阻止するに当たって、車体フレーム用パイプとは別の部材(補強板)を前記連結部に介在させなくてよい。しかも、一対の第1の角パイプおよびクロスパイプは、車体フレームを形成する上で必要最低限の剛性が得られるような構造を採ることができる。
【0008】
第2の発明に係る自動二輪車用車体フレームは、第1の発明に係る自動二輪車用車体フレームにおいて、一対の第1の角パイプをヘッドパイプから延びるタンクレールによって構成し、平板部を有する第2のパイプを、ヘッドパイプに溶接した一対のダウンチューブによって構成したものである。
本発明によれば、タンクレールとクロスパイプとの連結部にダウンチューブの平板部が介在し、一対のダウンチューブの後端どうしもクロスパイプによって連結される。
したがって、一本のクロスパイプでタンクレールおよびダウンチューブの両方を補強することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る自動二輪車用車体フレームの一実施の形態を図1ないし図6によって詳細に説明する。
図1は本発明に係る車体フレームを採用した自動二輪車の側面図、図2は車体フレームのタンクレール部分を示す側面図、図3は同じく平面図、図4は図2におけるIV−IV線断面図、図5は図4におけるV−V線断面図、図6は要部の斜視図である。
【0010】
これらの図において、符号1はこの実施の形態による自動二輪車を示す。この自動二輪車1は、車体の前部にカウリング2を備え、水冷式2サイクルエンジン3が後輪4を駆動する構造を採っている。5はこの自動二輪車1の前輪、6はフロントフォーク、7は操向ハンドルを示す。また、8は燃料タンク、9はシート、10はラジエータ、11はリヤアーム、12はリヤ用クッションユニットを示す。前記リヤアーム11は、後述する車体フレーム13のリヤアームブラケット14にピボット軸15を介して連結している。
【0011】
車体フレーム13は、前記フロントフォーク6を回動自在に支持するヘッドパイプ16と、このヘッドパイプ16から後下がりに延びるタンクレール17およびダウンチューブ18と、前記タンクレール17の後端に連結した前記リヤアームブラケット14と、シートレール19およびバックステー20などから構成している。この車体フレーム13におけるヘッドパイプ16を除く他の前記構成部材は、図3に示すように、車体の左右方向に対をなすようにそれぞれ二つずつ設け、左右のものどうしをクロスパイプ21〜24を介して連結している。
【0012】
クロスパイプ21は左右のタンクレール17どうしを連結し、クロスパイプ22,23は左右のリヤアームブラケット14どうしを連結し、クロスパイプ24は左右のシートレール19どうしを連結している。なお、前記クロスパイプ21〜23には、図2に示すように、エンジン支持ブラケット25〜27を設け、クロスパイプ23,24には、クッションユニット12の上端を枢支するためのクッション用ブラケット28を架け渡している。
また、前記ダウンチューブ18、シートレール19およびバックステー20は、それぞれ断面円形の管体によって形成している。
【0013】
前記タンクレール17は、鋼材からなる平板に曲げ加工を施すことによって形成した角パイプからなり、図5に示すように、前記平板の基端と終端とを突き合わせ溶接により接合している。図5において前記溶接部分を符号17aで示す。なお、この溶接部分17aは、タンクレール17の外面に突出する外側ビードを研削によって除去している。このタンクレール17によって本発明でいう第1の角パイプが構成されている。
【0014】
また、このタンクレール17は、前端を前記ヘッドパイプ16に溶接するとともに、後端を図4に示すように、リヤアームブラケット14の角穴29に嵌合させた状態で溶接している。このリヤアームブラケット14は、車体外側半部14aを車体内側半部14bに嵌合させて互いに重なる部分を溶接することによって、所謂最中状に形成し、上部に前記タンクレール17と前記バックステー20とを溶接している。タンクレール17は、製造工程で形成された内側ビードが内部に残存しているが、上述したようにリヤアームブラケット14の角穴29に嵌合させることによって、内側ビードの存在に影響を受けることなくリヤアームブラケット14に精度よく組付けることができる。
【0015】
また、リヤアームブラケット14にバックステー20を溶接する部分は、図4に示すように、リヤアームブラケット14に相対的に径が小さい円筒形のボス30を設け、このボス30の外周面に、バックステー20を先端がリヤアームブラケット14の主部に対接するように嵌合させる構造を採っている。
上述した連結構造によりリヤアームブラケット14にタンクレール17およびバックステー20を連結することによって、バックステー20に対してリヤアームブラケット14の位置を決定し、さらに、このリヤアームブラケット14との嵌合代を調節してタンクレール17の位置を決定することができるから、これら3つの部材を簡単にしかも精度よく組合わせることができる。
【0016】
前記ダウンチューブ18は、図2および図3に示すように、前端を前記ヘッドパイプ16におけるタンクレール溶接部分より下側となる部分に溶接するとともに、後端を前記タンクレール17に溶接している。ダウンチューブ18の前端部に設けた符号31で示すものは補強用の当て板である。また、このダウンチューブ18の後端は、図6に示すように板状に塑性変形させ、一対のタンクレール17,17の互いに対向する側面17bに重ねた状態で溶接している。この側面17bによって本発明でいう平面部が構成されている。前記板状に形成された平板部を符号32で示す。このダウンチューブ18によって本発明でいう第2のパイプが構成されている。
【0017】
このようにタンクレール17に溶接した平板部32に、タンクレール17,17間に架け渡す前記クロスパイプ21の先端を突き当てた状態で溶接している。すなわち、このクロスパイプ21は、タンクレール17との間に前記平板部32が介在する状態で一対のタンクレール17,17に横架させている。なお、前記平板部32の上下方向および前後方向の寸法は、クロスパイプ21の外径より充分に大きくなるように設定している。
【0018】
タンクレール17とクロスパイプ21との連結部に前記平板部32が介在すると、タンクレール17からクロスパイプ21へ力が伝達されるときや、クロスパイプ21からタンクレール17へ力が伝達されるときの受圧面の面積がクロスパイプ21を直接タンクレール17に溶接する場合に較べて大きくなる。このため、前記連結部に生じる応力が平板部32を介して分散する。
【0019】
したがって、一対のタンクレール17とクロスパイプ21との連結部に応力が集中するのを避けた構造を、車体フレーム13の一部を構成するダウンチューブ18を使用して実現することができる。しかも、タンクレール17やクロスパイプ21は、車体フレーム13を形成する上で必要最低限の剛性が得られるような構造を採ることができる。すなわち、前記連結部に応力が集中するのを避けるために、タンクレール17の厚みを必要以上に厚く設定したり、クロスパイプ21の径を必要以上に大きく設定しなくてよい。
【0020】
また、前記連結部での応力集中を避けるためにダウンチューブ18を使用すると、一対のダウンチューブ18の後端どうしがクロスパイプ21によって連結されるから、一本のクロスパイプ21でタンクレール17およびダウンチューブ18の両方を補強することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように第1の発明によれば、車体フレームの一部を構成する第2のパイプの平板部が一対の第1の角パイプとクロスパイプとの間に介在し、前記平板部により受圧面の面積が大きくなって応力が分散するから、一対の第1の角パイプとクロスパイプとの連結部に応力が集中するのを阻止するに当たって、車体フレーム用パイプとは別の部材(補強板)を前記連結部に介在させなくてよい。しかも、一対の第1の角パイプおよびクロスパイプは、車体フレームを形成する上で必要最低限の剛性が得られるような構造を採ることができる。
したがって、重量増加ならびにコストアップになるのを阻止しながら、一対の第1の角パイプとクロスパイプとの連結部に応力が集中することがない自動二輪車用車体フレームを得ることができる。
【0024】
第2の発明によれば、タンクレールとクロスパイプとの連結部にダウンチューブの平板部が介在し、一対のダウンチューブの後端どうしがクロスパイプによって連結されるから、一本のクロスパイプでタンクレールおよびダウンチューブの両方を補強することができる。
したがって、タンクレールとクロスパイプとの連結部分での応力集中が避けられるばかりか、剛性の高い車体フレームが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る車体フレームを採用した自動二輪車の側面図である。
【図2】 車体フレームのタンクレール部分を示す側面図である。
【図3】 車体フレームのタンクレール部分を示す平面図である。
【図4】 図2におけるIV−IV線断面図である。
【図5】 図4におけるV−V線断面図である。
【図6】 要部の斜視図である。
【符号の説明】
13…車体フレーム、17…タンクレール、18…ダウンチューブ、21…クロスパイプ。
Claims (2)
- 前端をヘッドパイプに溶接し、後端をリヤアームブラケットに溶接した一対の第1の角パイプと、
前記ヘッドパイプから延びる一対の断面円形の管体からなる第2のパイプと、
前記第1の角パイプどうしの間を接続する断面円形のパイプからなるクロスパイプとを有する自動二輪車用車体フレームであって、
前記第1の角パイプを平面部が互いに対向するように設け、
前記第2のパイプの一端に塑性変形により平板状の平板部を形成し、
この平板部を前記第2のパイプの管体部分に対して車幅方向の外側に偏る位置に前記平面部と平行になるように形成し、
この平板部を前記第1の角パイプにおけるヘッドパイプとリヤアームブラケットとの間の車幅方向内側の平面部に溶接するとともに、この平板部に前記クロスパイプの先端面を前記平面部との間に前記平板部が介在するように溶接してなり、
前記平板部は、前記平面部における被溶接部分の上下方向の幅内に入る寸法に形成され、かつこの平板部の上下方向および前後方向の寸法は、前記クロスパイプの外径より大きく形成されていることを特徴とする自動二輪車用車体フレーム。 - 請求項1記載の自動二輪車用車体フレームにおいて、一対の第1の角パイプをヘッドパイプから延びるタンクレールによって構成し、平板部を有する第2のパイプを、ヘッドパイプに溶接した一対のダウンチューブによって構成したことを特徴とする自動二輪車用車体フレーム。
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