JP3730269B2 - 変性リゾチーム含有抗菌剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はリゾチーム蛋白質の立体構造を変化させることにより、リゾチームが本来有する抗菌活性を増強させると共に抗菌スペクトルを拡大させた変性リゾチームを有効成分とする抗菌剤、その製造方法およびその用途に関するものであり、本発明の抗菌剤は医薬、化粧品、食品、飼料分野等で利用される。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】
リゾチームはムラミダーゼまたはムコペプチドヒドロラーゼとも呼ばれ、細菌の細胞壁のペプチドグリカン層等に存在するN−アセチルムラミン酸とN−アセチルグルコサミン間のβ−1,4−ムラミド結合を加水分解する酵素蛋白質である。リゾチームは動植物界に広く分布し、現在、哺乳動物の涙、唾液、尿、乳、鳥類の卵中の卵白、魚類の体表粘液、微生物、バクテリオファージT4等に由来するリゾチームが知られている。
【0003】
リゾチームは、古くから抗菌活性を有することが知られているが、この抗菌作用はリゾチームの酵素作用により細菌の細胞壁が切断され、細菌が溶菌することによるものである。なかでも鶏卵の卵白由来のリゾチームは大量製造が可能であり、その抗菌活性を利用して医薬、化粧品、食品、飼料分野等において、抗炎症剤、防腐剤、鮮度保持剤、抗菌剤、殺菌剤等として利用されている。
【0004】
リゾチームの抗菌活性は、特にグラム陽性菌に対して強い活性を示し、グラム陰性菌に対しては、ほとんど抗菌活性がないことが知られている。
グラム陽性菌はグラム染色により、紫色に染色される細菌で、球菌(ミクロコッカス属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属等)、胞子形成桿菌(バチルス属、クロストリジウム属等)、乳酸菌(ラクトバチルス属等)、コリネフォーム細菌(コリネバクテリウム属、ノカルディア属等)、放線菌(ストレプトマイセス属等)、等が知られている。その細胞壁は20〜80nmの厚いペプチドグリカン層より構成され、リゾチームに対する感受性が高い。即ち、リゾチームは容易にペプチドグリカン層を加水分解し、グラム陽性菌を溶菌させる作用を示す。
【0005】
一方、グラム陰性菌はグラム染色で染色されない細菌で、光合成細菌(ロドシュードモナス属等)、シュードモナス属細菌、腸内細菌群(エシェリヒア属、サルモネラ属等)、化学無機栄養細菌(ニトロバクター属、チオバチルス属等)、メタン生成細菌、および一部の球菌(ニセリア属等)等が知られている。その細胞の表層は細胞膜(内膜)の外側に2〜3nm程度の薄いペプチドグリカン層があり、さらにその外側にリポ多糖を含む外膜を有する。このためリゾチームは、容易にペプチドグリカン層を切断することができず、エチレンジアミン四酢酸等を用いて外膜に損傷を与えない限りリゾチーム感受性にはならない。
【0006】
このようにリゾチームは、グラム陽性菌に対しては強い抗菌活性を示すものの、グラム陰性菌に対しては、ほとんど抗菌活性がないため、その用途はグラム陽性菌の増殖抑制を目的とした食品の日持ち向上剤、化粧品の防腐剤、抗炎症医薬品等に限定されている。しかし、これらの用途においては、グラム陽性菌よりもむしろ人や動物の生活や健康により悪影響を及ぼす大腸菌、サルモネラ菌などのグラム陰性菌の増強を抑制することの方がより重要であると言われている。
【0007】
リゾチームの有する抗菌活性を、グラム陽性菌のみならずグラム陰性菌にも作用するようにする試み、即ちリゾチームの抗菌スペクトルを拡大する試みがいくつか報告されている。たとえば、メイラード反応を利用しデキストラン等の多糖類を結合させた修飾リゾチームが、50℃、30分間の加熱条件下でグラム陰性菌に対して抗菌活性を持つことが開示されている(Agric. Biol. Chem., 54, 3057-3059, 1990 年)。また、パルミチン酸(J. Agric. Food Chem., 39, 2077-2082, 1991 年)、ステアリン酸、ミリスチン酸(J. Agric. Food Chem., 41, 1164-1168, 1993 年)等の脂肪酸を結合させた修飾リゾチームや、遺伝子操作技術によりリゾチームのC末端に疎水性ペプチドを導入して得られた修飾リゾチーム(Biosci. Biotech. Biochem., 56, 1361-1363, 1992 年)が、グラム陰性菌に対して強い抗菌活性を持つことが開示されている。
【0008】
しかしながら、これら従来法は、グラム陰性菌に対して、有効な抗菌活性を示すためには、グラム陰性菌に対して50℃の加熱処理を必要とする、脂肪酸の結合によりリゾチームの溶解性が著しく悪くなる、非常に煩雑な遺伝子操作技術や化学合成法を用いる等の問題点があり、実用的なものではなかった。
【0009】
従って、本発明の目的は、変性リゾチームを有効成分とする、グラム陰性菌およびグラム陽性菌に対して優れた抗菌活性を有する抗菌剤、その製造方法およびその用途を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、グラム陰性菌に対しても抗菌活性を有するリゾチームについて、鋭意検討した結果、蛋白質の立体構造が変化した変性リゾチームが、その溶菌活性の低下あるいは消失にもかかわらず、リゾチームが本来有するグラム陽性菌に対する抗菌活性を著しく増強させると共に、さらにグラム陰性菌に対しても強い抗菌活性を示すことを見出し、本発明を完成した。
【0011】
即ち、本発明の要旨は、
(1)加熱処理により蛋白質の立体構造が変化した変性リゾチームを有効成分とする抗菌剤であって、変性リゾチームの表面疎水性が、未変性リゾチームの有する表面疎水性と比較して5倍以上増大したものである、抗菌剤、
(2)加熱処理により蛋白質の立体構造が変化した変性リゾチームを有効成分とする抗菌剤であって、変性リゾチームの最大蛍光強度が、未変性リゾチームの有する最大蛍光強度と比較して減少している、抗菌剤、
(3)加熱処理により蛋白質の立体構造が変化した変性リゾチームを有効成分とする抗菌剤であって、変性リゾチームのスルフヒドリル基数が、未変性リゾチームの有するスルフヒドリル基数と比較して2個以上増加している、抗菌剤、
(4)変性リゾチームがグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して抗菌活性を有するものである、(1)〜(3)いずれか記載の抗菌剤、
(5)加熱処理によりリゾチーム蛋白質の立体構造を変化させることを特徴とする、(1)〜(3)いずれか記載の抗菌剤の製造方法、
(6)加熱処理の温度が70℃以上である、(5)記載の製造方法、
(7)加熱処理をpH5〜8の条件下で行なう、(6)記載の製造方法、
(8)(1)〜(4)いずれか記載の抗菌剤を含有する医薬、
(9)(1)〜(4)いずれか記載の抗菌剤を含有する化粧品、
(10)(1)〜(4)いずれか記載の抗菌剤を含有する食品、
(11)(1)〜(4)いずれか記載の抗菌剤を配合してなる飼料、および
(12)リゾチームを含有する組成物をpH5〜8の条件下で70℃以上の加熱処理を行い、該リゾチームの立体構造を変化させて(1)〜(3)いずれかに記載の変性リゾチームとしてグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して抗菌活性を持たせることを特徴とする、抗菌組成物の製造方法、
に関する。
【0012】
一般にリゾチームは、N−アセチルムラミン酸とN−アセチルグルコサミン間のβ−1,4−ムラミド結合を、加水分解する酵素蛋白質をいい、人由来、卵白由来、魚類の体表粘液由来、微生物由来、バクテリオファージ由来等の各種由来の精製リゾチーム、あるいはリゾチーム遺伝子を利用して遺伝子操作技術により調製されたリゾチームが知られている。本発明において未変性リゾチームとは、何らの変性処理のなされていないものだけでなく、リゾチーム特有の立体構造を維持しているものをもいう。特に好ましくは、容易に大量調製が可能な鶏卵の卵白由来のリゾチームの使用が望ましい。
【0013】
また、本発明の変性リゾチームとは、リゾチームの蛋白質としての立体構造が変化したものをいう。ここでいうリゾチーム蛋白質の立体構造の変化とは、本来、リゾチーム蛋白質が有する立体構造が変化し、その結果グラム陽性菌に対する抗菌活性が未変性リゾチームと比較して増大すると共にグラム陰性菌に対して強い抗菌活性を示すに到る程度の変化をいう。
【0014】
通常、蛋白質の立体構造の変化の度合いは、(1)蛋白質の表面疎水性の増加、(2)蛋白質の蛍光分析(蛍光スペクトル)による最大蛍光強度の変化、(3)蛋白質分子内のジスルフィド結合(S−S結合)の開裂によるスルフヒドリル基(SH基)数の増加、(4)円偏向二色分析(CDスペクトル)による蛋白質のランダムコイル化、(5)蛋白質の赤外分析(IRスペクトル)による変化、および(6)蛋白質の核磁気共鳴分析(NMRスペクトル)による変化等で調べることができる。また、酵素活性を有する蛋白質の場合は、その蛋白質の立体構造の変化を酵素活性の低下を指標にして、調べることも可能である。
本発明におけるリゾチーム蛋白質の立体構造の変化の度合いは、上記のような蛋白質の立体構造の変化を調べる方法のうち1種以上の方法を用いて規定することができる。
【0015】
すなわち、蛋白質の立体構造の変化の度合いをその表面疎水性の増加を指標にして調べた場合、本発明の変性リゾチームは、未変性リゾチーム蛋白質が有する表面疎水性と比較して5倍以上、好ましくは10倍以上、さらに好ましくは20倍以上増加している。表面疎水性の測定は、例えば加藤らの方法(Biochim. Biophys. Acta, (1980), 624, 13 〜20) により測定することができる。
【0016】
また、蛋白質の立体構造の変化の度合いをその蛍光分析(蛍光スペクトル)による最大蛍光強度の変化を指標にして調べた場合、本発明の変性リゾチームは、未変性リゾチーム蛋白質が有する最大蛍光強度と比較して減少している。
【0017】
また、蛋白質の立体構造の変化の度合いをその分子内のジスルフィド結合(S−S結合)の開裂によるスルフヒドリル基(SH基)数の増加を指標にして調べた場合、本発明の変性リゾチームは、未変性リゾチーム蛋白質が有するSH基数と比較して2個以上、好ましくは4個以上増加している。SH基の測定は、例えばEllmanの方法(Arch. Biochem. Biophys. (1959), 82, 70〜77) により測定することができる。
【0018】
また、蛋白質の立体構造の変化の度合いをそのCDスペクトル、IRスペクトル、あるいはNMRスペクトルを指標にして調べた場合、本発明の変性リゾチームは、未変性リゾチーム蛋白質が有する固有のスペクトルが実質的に変化をうけたスペクトルを示す。
【0019】
本発明の変性リゾチームの構造変化を規定するに際しては、前記のうちいずれの方法でもよく、前記の方法のうち少なくともいずれか1種以上の方法により所定の変化の度合いが認められるものは、本発明の範囲内である。
【0020】
本発明においてリゾチーム蛋白質の立体構造を変化させて変性リゾチームを調製する方法は、リゾチームを加熱処理、高圧力処理、酸処理、アルカリ処理、有機溶剤処理、界面活性剤処理、酵素処理、酸化処理、還元処理を単独あるいは併用して行うことができる。なかでも加熱処理による方法が簡易であり好適な方法である。いずれの処理方法を用いる場合でも、前記のような蛋白質の立体構造の変化を調べる方法を用いて、所定の変化の度合いとなるように適宜処理条件を選べばよい。なかでもその測定操作が比較的簡単な方法としては、蛋白質の表面疎水性の増加を指標にして、リゾチーム蛋白質の立体構造の変化を調べる方法であり、この方法の利用が好ましい。
【0021】
例えば、加熱処理を利用する場合、リゾチーム濃度が0.01〜10%、好ましくは0.1〜1%のリゾチーム溶液を、pH5〜8、好ましくはpH6〜7のpH条件下で、70℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは90〜100℃の温度で加熱処理を行うことにより、リゾチーム蛋白質の立体構造を変化させ、前記のような所望の立体構造の変化の度合いを有する変性リゾチームを調製することができる。リゾチームを溶解させる溶媒としては、通常水又はリン酸緩衝液等が用いられる。また、リゾチーム粉末を80℃以上、好ましくは90〜100℃の環境温度で、保存することによっても、リゾチーム蛋白質の立体構造を変化させ、前記のような所望の立体構造の変化の度合いを有する変性リゾチームを調製することができる。この場合の処理時間は、特に限定されるものではないが、リゾチーム溶液を用いる場合は、通常10〜30分間、リゾチーム粉末を用いる場合は1週間以上である。
【0022】
また、高圧力処理を利用する場合、リゾチーム濃度が0.01〜10%、好ましくは0.1〜1%のリゾチーム溶液に、pH5〜8、好ましくはpH6〜7のpH条件下で、2000気圧以上、好ましくは3000気圧以上、より好ましくは4000〜6000気圧の圧力をかけ、リゾチーム蛋白質の立体構造を変化させ、前記のような所望の立体構造の変化の度合いを有する変性リゾチームを調製することができる。リゾチームを溶解させる溶媒としては、通常水又はリン酸緩衝液等が用いられる。この場合の処理時間は、特に限定されるものではないが、例えば20℃、6000気圧下で3時間、20℃、4000気圧下で5時間である。
【0023】
また、リゾチームの酸処理あるいはアルカリ処理の場合、リゾチーム濃度が0.01〜10%、好ましくは0.1〜1%のリゾチーム溶液をpH4以下あるいはpH9以上に調製し、適時、リゾチーム蛋白質の立体構造を調べながら、前記の所望の立体構造の変化の度合いを示すようになるまで放置すればよい。リゾチームを溶解させる溶媒としては、通常水等が用いられる。ここで用いる酸あるいはアルカリとしては、特に限定されるものではないが、酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、酢酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸等の有機酸が、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸ナトリウム等が好適に使用される。
【0024】
また、リゾチームの有機溶剤処理の場合、リゾチーム濃度が0.01〜10%、好ましくは0.1〜1%のリゾチーム水溶液にメタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン、クロロホルム、エーテル等の有機溶剤の1種類以上を添加し、有機溶剤濃度を5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは20〜50%にして、前記のような所望の立体構造の変化の度合いを有する変性リゾチームを調製することができる。
【0025】
また、リゾチームの界面活性剤処理の場合、リゾチーム濃度が0.01〜10%、好ましくは0.1〜1%のリゾチーム水溶液に陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、例えばSDS(sodium dodecyl sulfate)、SLS(sodium lauryl sulfate)、リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、大豆レシチン、卵黄レシチン等の界面活性剤を0.01%以上、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2〜5%の濃度になるよう添加して、前記のような所望の立体構造の変化の度合いを有する変性リゾチームを調製することができる。
【0026】
また、酵素処理を利用する場合、リゾチーム濃度が0.01〜10%、好ましくは0.1〜2%のリゾチーム溶液にトリプシン、キモトリプシン、プロナーゼ、パパインなどの蛋白分解酵素を、例えば50U/mgの場合は、0.001%以上、好ましくは0.005〜0.5%、より好ましくは0.005〜0.2%の濃度になるように添加して、適時、リゾチームの蛋白質の立体構造を調べながら、前記の所望の立体構造の変化の度合いを示すようになるまで反応させればよい。反応時のpHおよび温度は、使用される酵素の至適作用範囲であれば良く、例えば、キモトリプシンを用いる場合、10mlの0.5%リゾチーム溶液に0.5mgのキモトリプシンを添加し、水酸化ナトリウムでpH10に調整後、20℃で2時間反応することにより変性リゾチームを得ることができる。
【0027】
また、リゾチームの酸化処理あるいは還元処理の場合、粉末状のリゾチームまたは0.01〜10%、好ましくは0.1〜5%のリゾチーム溶液を酸化剤あるいは還元剤と接触させ、適時、リゾチーム蛋白質の立体構造を調べながら、前記の所望の立体構造の変化の度合いを示すようになるまで放置すればよい。リゾチームを溶解して使用する場合の溶媒としては、通常水等が用いられる。ここで用いる酸化剤あるいは還元剤としては、特に限定されるものではないが、酸化剤としては過酸化水素、次亜塩素酸ソーダ、ヘキサナール、2−ヘプタナール、オゾン等が挙げられ、還元剤としてはシステイン、メルカプトエタノール、水素化ホウ素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が好適に使用される。
【0028】
前記のようにして調製された変性リゾチームは、グラム陽性菌に対して未変性リゾチームよりも抗菌活性が通常5〜10倍増強されており、さらにグラム陰性菌に対しても強い抗菌活性を発揮する。例えば、グラム陽性菌としてはスタフィロコッカス属菌、ストレプトコッカス属菌、バチルス属菌等に対して、また、グラム陰性菌としては、大腸菌、プロテウス属菌、サルモネラ属菌、シュードモナス属菌等に対して顕著な抗菌活性が認められる。
【0029】
変性リゾチームがこのような優れた抗菌活性をもつことのメカニズムについては、明らかではないが、未変性リゾチームと比べグラム陽性菌、陰性菌、特にグラム陰性菌の細胞膜に対して変性リゾチームが未変性リゾチームより強い親和性を示し、容易に結合することにより、細胞膜の物質輸送機能などに障害を与えることにより抗菌性を示すものと推定される。
【0030】
本発明の抗菌剤は、前記のようにして調製された蛋白質の立体構造が変化した変性リゾチームを有効成分として、単独で使用、または他の成分と併用する抗菌剤を言う。その形態については、溶液、粉末のいずれでもよい。粉末化の方法としては、熱風乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等、通常の公知の粉末化方法を用いればよい。
【0031】
本発明の抗菌剤は、医薬、化粧品、食品、飼料等に添加して抗菌、防腐等を目的として使用することができる。例えば、抗炎症や抗菌を目的とした医薬品、虫歯の原因菌の抑制を目的とした洗口液や歯磨き剤等の医薬部外品として、フケの原因菌の抑制を目的としたシャンプーやリンス等の化粧品として、腐敗防止や殺菌を目的とした生鮮野菜、鮮魚、蒲鉾、カスタードクリーム、漬物、ソーセージ、ハム、炊飯米、鶏卵加工品等の食品の日持ち向上剤として、家畜や水産動物の疾病予防を目的とした飼料添加剤や動物医薬品としての利用が可能である。また、食品用の機械、器具、包丁、まな板などの調理器具の殺菌及び手指の消毒、室内殺菌などに、噴霧または浸漬することにより使用することができる。
【0032】
これらの目的に使用する本発明の抗菌剤の配合量は、特に限定されるものではないが、変性リゾチームを通常0.005重量%以上、好ましくは0.01重量%以上となるように、各種用途に応じてその使用量を適宜変える事ができる。
【0033】
これらの各種用途においては、前記のように本発明の抗菌剤を変性リゾチームの量が前記の範囲となるように配合して用いてもよいが、リゾチームを含有する組成物をpH5〜8の条件下で70℃以上の加熱処理を行い、該リゾチームの立体構造を変化させてグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して抗菌活性を持たせるように調製することにより抗菌性組成物を製造することもできる。即ち、リゾチームを含有する組成物として、例えば各種のリゾチーム含有医薬品、リゾチーム含有化粧品、リゾチーム含有食品、リゾチーム含有飼料等を予め調製し、次いでpH5〜8の条件下で70℃以上の加熱処理工程を行って、これらの組成物中のリゾチームを変性させることにより、本発明の抗菌剤を別途配合する場合と同様な組成物を調製することができる。
【0034】
また、本発明における変性リゾチームは、従来より知られている他の抗菌剤、殺菌剤と併用することが可能であり、各種組成物において例えば、グリシン、アルコール類、キトサン、ポリリジン、プロタミン、有機酸類、中鎖脂肪酸、多価アルコールの脂肪酸エステル、植物性揮発油、合成抗菌剤、抗生物質などと併用することにより、抗菌、殺菌効果を増強することが可能である。
【0035】
【実施例】
以下、実施例および試験例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
【0036】
実施例1.リゾチームの加熱処理温度の検討
10mMリン酸緩衝液(pH6)に卵白リゾチームを0.05%の濃度となるよう溶解した。このリゾチーム溶液の1mlを試験管にとり、それぞれを、70℃、80℃、90℃および沸騰水(100℃)中で20分間放置した後、氷冷水中で冷却することにより変性リゾチームを調製した。
【0037】
実施例2.リゾチームの加熱処理pHの検討
10mMリン酸緩衝液(pH5、6、7および8)に卵白リゾチームを0.05%の濃度となるよう溶解した。このリゾチーム溶液の1mlを試験管にとり、それぞれを、沸騰水(100℃)中で20分間放置した後、氷冷水中で冷却することにより変性リゾチームを調製した。
【0038】
試験例1.グラム陰性菌に対する変性リゾチームの抗菌活性
(1)実施例1および2においてそれぞれの加熱処理により得られた変性リゾチーム、および未変性リゾチームのグラム陰性菌に対する抗菌活性を比較した。グラム陰性菌としては大腸菌(Escherichia coli K-12株)を用いた。対数増殖期の大腸菌を2×105 細胞/mlとなるように10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁させた。大腸菌懸濁液にそれぞれのリゾチームを最終濃度が50μg/mlとなるように添加して37℃で30分間インキュベートした後、懸濁液の一定量をマッコンキー寒天培地に植菌し、37℃で18時間培養後のそれぞれの1ml当たりの生菌数を測定した。生菌数は1ml当たりのCFU(コロニー形成単位)で表した。未変性リゾチームの生菌数を100%として、それぞれの生菌数を比較した結果、実施例1において70℃、80℃、90℃および沸騰水中で処理したリゾチームのそれは、それぞれ1.8%、0.23%、0.04%および0%であった。また実施例2においてpH5、6、7および8で加熱処理したリゾチームのそれは、それぞれ10%、0%、0%および6.1%であった。
【0039】
(2)実施例1において得られた変性リゾチームを用いて、前記(1)と同様にして大腸菌に対する抗菌活性を測定した。図1に各種の変性リゾチームの濃度と生菌数(CFU/ml)の対数の関係を示す。図中のNは未変性リゾチームを示し、70、80、90、100はそれぞれリゾチームの処理温度(℃)を示す。
【0040】
(3)実施例1の80℃加熱処理で得られた変性リゾチームを用いてProteus mirabilis に対する抗菌活性を測定した。図2に変性リゾチームの濃度と生菌数(CFU/ml)の対数の関係を示す。図中のNは未変性リゾチームを示し、Hは80℃で加熱処理した変性リゾチームを示す。
【0041】
試験例2.グラム陽性菌に対する変性リゾチームの抗菌活性
(1)実施例1および2においてそれぞれの加熱処理により得られた変性リゾチーム、および未変性リゾチームのグラム陽性菌に対する抗菌活性を比較した。グラム陽性菌としてはStaphylococcus aureus IFO14462株を用いた。対数増殖期の細菌を2×105 細胞/mlとなるように10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁させた。細菌懸濁液にそれぞれのリゾチームを最終濃度が50μg/mlとなるように添加して37℃で30分間インキュベートした後、懸濁液の一定量をBHI寒天培地に植菌し、37℃で18時間培養後のそれぞれの生菌数を測定した。未変性リゾチームの生菌数を100%として、それぞれの生菌数を比較した結果、実施例1において70℃、80℃、90℃および沸騰水中で処理したリゾチームのそれは、それぞれ1.4%、0.6%、12%および13%であった。また実施例2においてpH5、6、7および8で加熱処理したリゾチームのそれは、それぞれ26%、13%、11%および23%であった。
【0042】
(2)実施例1の80℃加熱処理により得られた変性リゾチーム、および未変性リゾチームのグラム陽性菌(Streptococcus mutans)に対する抗菌活性を測定した。図3に変性リゾチームの濃度と生菌数(CFU/ml)の対数の関係を示す。図中のNは未変性リゾチームを示し、Hは80℃で加熱処理した変性リゾチームを示す。
【0043】
試験例3.変性リゾチームの酵素活性
実施例1および2においてそれぞれの加熱処理により得られた変性リゾチーム、および未変性リゾチームの酵素活性の比較を行った。リゾチームの酵素活性はミクロコッカス・リゾデイクティカス(M.lysodeikticus) 菌体に対する溶菌活性で比較した。それぞれのリゾチームを最終濃度が1μg/mlとなるように50mMのリン酸緩衝液(pH6.2)に懸濁した菌体液(初期濁度A600nm=0.75〜0.80)に添加し、25℃でその濁度変化を測定した。未変性リゾチームの濁度変化量を100%とした場合、実施例1において70℃、80℃、90℃および沸騰水中で処理したリゾチームのそれはそれぞれ82%、62%、14%および0%であった。また実施例2においてpH5、6、7および8で加熱処理したリゾチームのそれは、いずれも0%であった。
【0044】
試験例4.変性リゾチームの表面疎水性
実施例1および2においてそれぞれの加熱処理により得られた変性リゾチーム、および未変性リゾチームの表面疎水性の比較を行った。表面疎水性の測定は加藤らの方法(Biochim. Biophys. Acta, (1980), 624, 13 〜20) を用いた。未変性リゾチームの示す表面疎水性に対して、実施例1において70℃、80℃、90℃および沸騰水中で処理したリゾチームのそれはそれぞれ5倍、25倍、33倍および26倍に上昇した。また実施例2においてpH5、6、7および8で加熱処理したリゾチームのそれは、それぞれ9倍、26倍、35倍および18倍に上昇した。
【0045】
試験例5.変性リゾチームの蛍光スペクトル
実施例1において加熱処理により得られた変性リゾチーム及び未変性リゾチームの蛍光スペクトルを測定し、両者の最大蛍光強度の比較を行った。それぞれのリゾチームを10mMリン酸緩衝液(pH6.0)に0.01%の濃度に溶解し、蛍光分光法(励起波長280nm、蛍光波長300−400nm)により測定を行った。未変性リゾチームの最大蛍光強度を100とすると、実施例1において70℃、80℃、90℃及び100℃で処理したリゾチームのそれはそれぞれ94、84、80及び73であった。このことから、変性リゾチームの最大蛍光強度は未変性リゾチームのそれと比較して減少していることがわかった。
【0046】
試験例6.変性リゾチームのSH基数
実施例1および2においてそれぞれの加熱処理により得られた変性リゾチーム、および未変性リゾチームのSH基数の比較を行った。SH基の測定はEllmanの方法(Arch. Biochem. Biophys. (1959), 82, 70〜77) を用いた。未変性リゾチームでは1モルのリゾチーム当たりのSH基数が0個であるのに対し、実施例1において70℃、80℃、90℃および沸騰水中で処理したリゾチームのそれはそれぞれ2.2個、2.6個、4.1個および4.8個であった。また実施例2においてpH5、6、7および8で加熱処理したリゾチームのそれは、それぞれ1.6個、4.8個、3.4個および4.4個に上昇した。
【0047】
試験例7.変性リゾチームのCDスペクトル
実施例1および2においてそれぞれの加熱処理により得られた変性リゾチーム、および未変性リゾチームのCDスペクトルを比較した。CDスペクトルは、それぞれのリゾチームを10mMリン酸緩衝液(pH7.2)に150μg/mlの濃度に調製して測定した。その結果、いずれの加熱処理リゾチームの場合でも、それらのCDスペクトルは未変性リゾチームのそれと明らかに違っていた。図4に80℃で加熱処理した変性リゾチームと未変性リゾチームの例を示す。図中のNは未変性リゾチームを示し、Hは80℃で加熱処理した変性リゾチームを示す。
【0048】
試験例8.変性リゾチームの表面疎水性と大腸菌に対する抗菌活性の関係
10mMリン酸緩衝液(pH6)に卵白リゾチームを0.05%の濃度となるように溶解した。このリゾチーム溶液の1mlを試験管にとり、それぞれ80℃で0〜30分まで、加熱時間を変え(0、5、10、15、20、30分間)調製した変性リゾチームの表面疎水性と大腸菌の生存率との関係を図5に示す。大腸菌に対する抗菌活性は大腸菌の生存率で評価した。表面疎水性が高いほど、大腸菌の生存率が低下し、両者間に直線関係(r=0.982)が得られた。このことから、表面疎水性と抗菌活性との間には高い相関関係のあることが認められた。
【0049】
試験例9.変性リゾチームの大腸菌細胞膜への結合性
BHI培地で培養した大腸菌K−12菌体を、高浸透圧処理、超音波処理により菌体を破壊した。これを超遠心分離(360,000g、2時間)し、細胞膜画分を沈殿より得た。得られた細胞膜画分をスクロース密度勾配遠心分画法により、細胞外膜層と細胞内膜層を得、透析後、膜結合分析に使用した。
膜結合分析は、マイクロプレートに各々、細胞外膜、細胞内膜をコーティングした後、未変性リゾチーム又は変性リゾチーム(80℃、pH7.2、20分加熱処理品)を0〜25μg/ml濃度になるように添加し、37℃、1時間インキュベーションした後、マウス抗リゾチーム・モノクローナル抗体を用いるELISA法により結合性を測定した。即ち、前記インキュベーション後、マウス抗リゾチーム・モノクローナル抗体で処理後、アルカリフォスファターゼラベル化ヤギ抗マウスIgG処理、洗浄後、アルカリフォスファターゼ活性を25℃、20分間反応後、吸光度405nmで測定した。
図6に示すように、変性リゾチームの方が、未変性リゾチームよりも細胞内膜、細胞外膜どちらに対しても親和性が上がり、結合能が強いことがわかった。図中Nは未変性リゾチームを示し、Hは80℃で加熱処理した変性リゾチームを示す。
【0050】
試験例10.リゾチームの加熱処理条件と表面疎水性との関係
10mMリン酸緩衝液(pH6)に卵白リゾチームを0.05%の濃度となるように溶解した。このリゾチーム溶液の1mlを試験管にとり、50℃及び80℃で加熱処理を行った。加熱処理0、5、10、15、20及び30分後の当該溶液中のリゾチームの表面疎水性を前記の加藤らの方法(Biochim. Biophys. Acta, (1980), 624, 13 〜20) により測定した。加熱時間と表面疎水性との関係を図7に示す。図7より、80℃で加熱した場合、処理時間5分で急激に表面疎水性が上昇し、それ以降も高い表面疎水性を示すが、50℃で加熱した場合、30分間加熱を行っても表面疎水性はほとんど変化しないことがわかった。図7中の80℃で加熱処理した変性リゾチームは、試験例8の図5と対応しており、大腸菌に対する抗菌活性は加熱時間5分でも効果を示し、加熱時間10〜30分では著しく効果が増大することがわかった。以上のことから、変性リゾチームが所望の表面疎水性を有するには、加熱処理においては加熱温度が重要な因子であることが示唆された。
【0051】
以上の試験例から明らかなように、本発明の変性リゾチームは未変性リゾチームと比較して、その表面疎水性が上昇、最大蛍光強度が減少し、SH基数が増加したものである。また、CDスペクトルの比較からも明らかなように、それらの変性リゾチームはリゾチーム蛋白質が本来有する立体構造が変化していることを示している。さらに、本発明の加熱処理リゾチームは、酵素活性が減少あるいは消失したにもかかわらず、リゾチームが本来有するグラム陽性菌に対する抗菌活性が増強される。さらには、従来のリゾチームには見られなかったグラム陰性菌に対する抗菌活性を新しく獲得するものである。このことは変性度合が進み、表面疎水性の上昇した変性リゾチームでは、グラム陰性菌に対する抗菌活性が増強され、表面疎水性が高いほど、抗菌活性が強いことからも明らかである。
【0052】
実施例3.蛋白質の立体構造が変化したリゾチーム抗菌剤の製造(1)
卵白リゾチーム1kgを50mMのリン酸緩衝液(pH6)100リットルに溶解し、その溶液をホモミキサーで攪拌しながら加熱し、液温を80±5℃に20分間放置した。その後、液温を30±5℃まで、速やかに冷却して、スプレードライ法(熱風温度150℃、排風温度80℃)で粉末化し、本発明の抗菌剤を960g得た。
【0053】
実施例4.蛋白質の立体構造が変化したリゾチーム抗菌剤の製造(2)
卵白リゾチーム5kgとデキストリン10kgを脱イオン水100リットルに溶解し、その溶液をホモミキサーで攪拌しながら加熱し、液温を90±5℃に30分間放置した。その後、液温を30±5℃まで、速やかに冷却して、スプレードライ法(熱風温度150℃、排風温度80℃)で粉末化し、本発明の抗菌剤を14.1kg得た。
【0054】
実施例5.蛋白質の立体構造が変化したリゾチーム抗菌剤の製造(3)
卵白リゾチーム5kgとグアーガム酵素分解物(商品名:サンファイバーLVG、太陽化学(株)製)10kgを脱イオン水100リットルに溶解し、その溶液をホモミキサーで攪拌しながら加熱し、液温を90±5℃に30分間放置した。その後、液温を30±5℃まで、速やかに冷却して、スプレードライ法(熱風温度150℃、排風温度80℃)で粉末化し、本発明の抗菌剤を14.1kg得た。
【0055】
実施例6.蛋白質の立体構造が変化したリゾチーム抗菌剤の製造(4)
卵白リゾチーム1kgを脱イオン水1000kgに溶解し、それに、モノグリセライドカプリル酸エステル(商品名:サンソフトNo.700P2、太陽化学(株)製)1kgを加え、その液を80±5℃まで予備加熱した後、130±5℃で5秒間の高温短時間殺菌をした。殺菌後の液は速やかに無菌充填して、本発明の抗菌剤を抗菌性溶液として992kg得た。
【0056】
実施例7.蛋白質の立体構造が変化したリゾチーム抗菌剤の製造(5)
卵白リゾチーム100kgを80±5℃の温蔵庫に30日間貯蔵し、本発明の抗菌剤を100kg得た。
【0057】
実施例8.蛋白質の立体構造が変化したリゾチーム抗菌剤の製造(6)
卵白リゾチーム1kgを25リットルの水に溶解した後、0.1規定塩酸でpH5に調整した。この液を80℃に保ちながら5500気圧の加圧容器内に3時間保った後、凍結乾燥により粉末化し、本発明の抗菌剤を980g得た。
【0058】
実施例9.蛋白質の立体構造が変化したリゾチーム抗菌剤の製造(7)
卵白リゾチーム濃度が、0.1%となるように0.03規定塩酸に溶解した溶液10リットルを115℃に2時間保った後、冷水で冷却し、凍結乾燥により粉末化し、本発明の抗菌剤を9.9g得た。
【0059】
実施例10.蛋白質の立体構造が変化したリゾチーム抗菌剤の製造(8)
0.2%SDS溶液(pH7.5)100mlに卵白リゾチーム0.5gを溶解し、ホモミキサーで激しく攪拌しながら、2時間、30℃に保温した。攪拌終了後、透析(分画分子量10,000透析膜)によりSDSを除去した後、凍結乾燥により粉末化し、本発明の抗菌剤を0.5g得た。
【0060】
実施例11.蛋白質の立体構造が変化したリゾチーム抗菌剤の製造(9)
200mMシステイン溶液10リットルに、10%濃度になるように卵白リゾチームを溶解し、pH8.0に調整後80℃に30分間放置した。その後、液温を30±5℃まで速やかに冷却し、0.05規定塩酸によりpHを6.5に調整した後、スプレードライ法(熱風温度150℃、排風温度80℃)で粉末化し、本発明の抗菌剤を955g得た。
【0061】
実施例12.カスタードクリームへの利用
実施例3で調製した本発明の抗菌剤を0.2%添加したカスタードクリームを調製し、抗菌剤無添加カスタードクリーム及び未変性リゾチーム0.2%を添加したカスタードクリームと保存性を比較した。保存温度は室温で行った。
保存性は試料中の一般細菌数により評価した。即ち、各試料1gを標準寒天培地を用いて35℃、48時間インキュベートし、形成されたコロニー数より細菌数を算出した。細菌数は1g当たりのCFU(コロニー形成単位)で表した。
保存試験の結果を表1に示した。表1から、無添加区、未変性リゾチーム添加区と比べ、本発明の抗菌剤添加区は一般細菌数の増加が抑制されており、日持ち延長効果が認められた。
【0062】
【表1】
Figure 0003730269
【0063】
実施例13.ポテトサラダへの利用
実施例3で調製した本発明の抗菌剤を0.1%添加したポテトサラダを30℃で保存した結果、一般細菌数が2日後には本発明の抗菌剤無添加区では2.0×106 CFU/gであったが、本発明の抗菌剤を添加したものは、8.2×103 CFU/gに菌数が抑えられ、日持ち延長効果が認められた。
日持ち延長効果は一般細菌数を測定することにより評価した。具体的には、各試料1gを標準寒天培地を用いて35℃、48時間インキュベートし、形成されたコロニー数より一般細菌数を算出した。
【0064】
実施例14.一夜漬けへの利用
野菜(きゅうり、きゃべつ)1kgに対して食塩30gを加え、これに実施例3で調製した本発明の抗菌剤2gを添加し、一夜漬けを製造した。冷蔵庫、又は25℃で4日間保存した後の品質を無添加品と比較し調べた結果、冷蔵庫、25℃保存品共に本発明の抗菌剤を添加したものの方が、臭い、外観の劣化はみられず、保存性が向上した。
【0065】
実施例15.カット野菜への利用
カット野菜(きゃべつ、にんじん、ごぼう)を実施例7で調製した本発明の抗菌剤0.2%液に10分間浸漬処理した後、充分に水切りし、ビニール袋に小袋充填した。冷蔵庫に保存し、2日後に大腸菌群の検出率を調べた結果、検出率は浸漬未処理品に比べ、80%の減少が認められた。
大腸菌群はBGLB培地法により、35℃、48時間培養後判定し、浸漬処理品、未処理品各々20袋における検出率を比較した。
【0066】
実施例16.エビむき身への利用
新鮮なエビむき身を実施例6で調製した本発明の抗菌剤10%液に5分間浸漬処理した後、充分に水切りし、冷蔵庫に保存し経時的に品質を検査した。浸漬処理のしなかったものは3日後から官能検査で明らかな異臭と外観の光沢の消失がみられたが、浸漬処理をしたものでは官能検査でも異臭はみられず、新鮮な状態を維持していた。
【0067】
実施例17.チューインガムへの利用
ガムベース20.0%、砂糖60.0%、結晶ブドウ糖18.9%、香料1.0%、実施例7で調製した本発明の抗菌剤0.1%からなるチューインガムを常法により作成した。
【0068】
実施例18.養豚用飼料への利用
脱脂粉乳32.1%、小麦粉29.9%、パン粉7.0%、大豆粕5.0%、魚粉5.0%、砂糖4.0%、ブドウ糖9.0%、油脂2.0%、ビタミン・ミネラル類3.0%、実施例5で調製した本発明の抗菌剤1.0%を混合し、常法により養豚用飼料を作成した。
【0069】
実施例19.ブロイラー用飼料への利用
トウモロコシ58.0%、大豆粕15.9%、ふすま5.0%、魚粉6.0%、アルファルファ3.0%、炭酸カルシウム7.0%、リン酸カルシウム1.6%、食塩0.4%、ビタミン・ミネラル類0.1%、大豆油2.0%、実施例4で調製した本発明の抗菌剤1.0%を混合し、常法によりブロイラー用飼料を作成した。
【0070】
実施例20.養殖魚用飼料への利用
魚粉6.4kg、小麦グルテン1.0kg、デキストリン0.8kg、ビタミン・ミネラル類0.5kg、セルロース0.3kg、カツオ油0.5kg、実施例5で調製した本発明の抗菌剤0.1kgを混合し、湿式造粒後、乾燥し養殖魚用飼料10.0kgを得た。
【0071】
実施例21.美白クリームへの利用
ミツロウ6.0%、セタノール5.0%、還元ラノリン8.0%、スクワラン37.5%、グリセリン脂肪酸エステル6.0%、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル2.0%、プロピレングリコール5.0%、ビタミンK0.5%、実施例3で調製した本発明の抗菌剤0.2%、香料適量、酸化防止剤適量、精製水を加え全量を100%とし、常法により美白クリームを作成した。
【0072】
実施例22.トローチ剤への利用
アラビアガム6.0%、ブドウ糖72.0%、モノフルオロリン酸ナトリウム0.7%、ゼラチン1.0%、乳糖19.0%、香料1.0%、実施例3で調製した本発明の抗菌剤1.5%、ステアリン酸マグネシウム適量を混合し、常法によりトローチ剤を作成した。
【0073】
実施例23.シャンプーへの利用
ラウリル硫酸ナトリウム10.0%、ラウリルスルホコハク酸ナトリウム20.0%、ラウリルジエタノールアミド4.0%、加水分解コラーゲン1.0%、ジステアリン酸エチレングリコール1.0%、エデト酸四ナトリウム四水塩0.1%、プロピレングリコール5.0%、実施例3で調製した本発明の抗菌剤0.5%、クエン酸、香料適量、精製水を加え全量を100%とし、常法によりシャンプーを作成した。
【0074】
実施例24.飲料への利用
果糖ぶどう糖液糖15.0%、クエン酸0.2%、香料、着色料適量、実施例7で調製した本発明の抗菌剤0.1%を混合し、常法により飲料を作成した。
【0075】
実施例25.かまぼこへの利用
冷凍ヘイクすり身1kgに実施例4で調製した本発明の抗菌剤0.5%を混合し、空ずりした後、食塩30gを加え塩ずりし、澱粉30g及び水100gを加えてねり上げ、成型して90℃、30分間加熱し、冷却してかまぼこを作成した。
【0076】
実施例26.魚肉ソーセージへの利用
冷凍スケソウダラすり身150g、マグロ挽肉60g、バレイショ澱粉35g、食塩20g、砂糖5g、亜硝酸ナトリウム0.2g、リン酸ナトリウム3g、香辛料を適量加え、サイレントカッターで2分間混合した。これに実施例4で調製した本発明の抗菌剤15gを加え、さらに3分間混合した。得られた混合物をフィルムケーシングに充填し、85℃、60分間の加熱を行い、魚肉ソーセージを得た。
【0077】
実施例27.鶏卵加工品への利用
コーンサラダ油74.0%、全卵液15.0%、リンゴ酢5.0%、水2.3%、食塩2.0%、辛子粉0.5%、キサンタンガム0.2%、実施例4で調製した本発明の抗菌剤1.0%の配合割合で常法により、水中油型のドレッシングを調製した。
【0078】
実施例28.シロップ液への利用
砂糖350g、ソルビトール200g、パラオキシ安息香酸メチル0.2g、パラオキシ安息香酸プロピル0.15g、クエン酸ナトリウム8g、クエン酸1.2g、香料少量、卵白リゾチーム2g、精製水438gを溶解混合し、シロップ液を調製した。本品のpHは6.2であった。このシロップ液を80℃、30分間加熱し、変性リゾチームを含有するシロップ液1000gを得た。
【0079】
実施例29.野菜スープへの利用
カボチャ、ニンジン、トマト及びホウレンソウからなるミックス野菜150gを摩砕し、野菜スープを調製した。80℃、10分間加熱滅菌後、氷中で急冷した。冷却した野菜スープをA、B、Cに3等分し、A(無添加区)、B(未変性リゾチーム添加区)、C(本発明の抗菌剤添加区)とし、各区の保存性を比較した。未変性リゾチーム及び本発明の抗菌剤の添加量は各々0.2%で行った。
A、B、Cそれぞれに、ブイヨン培地で37℃、20時間培養した大腸菌懸濁液、2.0×105 CFU/mlを添加し、室温で5日間保存した。保存性は試料中の大腸菌数により評価した。すなわち、標準寒天培地を用いて35℃、48時間インキュベートし、形成されたコロニー数より各試料1g中の大腸菌数を算出した。菌数はCFU(コロニー形成単位)で表した。
保存結果は表2に示すように、本発明の抗菌剤添加区は、大腸菌数(CFU/g)が減少し、検出できなくなった。一方、無添加区及び未変性リゾチーム添加区では菌数の減少はみられなかった。
【0080】
【表2】
Figure 0003730269
【0081】
本発明の他の各種態様を以下に例示する。
(1)蛋白質の立体構造が変化した下記の立体構造の変化の度合いを有する変性リゾチームを有効成分とするグラム陽性菌およびグラム陰性菌用抗菌剤。
▲1▼ 変性リゾチームの表面疎水性が、未変性リゾチームの有する表面疎水性と比較して5倍以上増大したものであること、
▲2▼ 変性リゾチームの蛍光分析による最大蛍光強度が、未変性リゾチームの有する最大蛍光強度と比較して減少していること、
▲3▼ 変性リゾチームのスルフヒドリル基数が、未変性リゾチームの有するスルフヒドリル基数と比較して2個以上増加していること、
(2)70℃以上での加熱処理をpH5〜8の条件下で行なって得られる前記(1)記載の抗菌剤。
(3)前記(1)又は(2)の抗菌剤を含有する医薬。
(4)前記(1)又は(2)の抗菌剤を含有する化粧品。
(5)前記(1)又は(2)の抗菌剤を含有する食品。
(6)前記(1)又は(2)の抗菌剤を含有する飼料。
(7)前記(1)又は(2)の抗菌剤を含有するシャンプー。
(8)前記(1)又は(2)の抗菌剤を含有するリンス。
(9)前記(1)又は(2)の抗菌剤を含有する洗口液。
(10)前記(1)又は(2)の抗菌剤を含有する歯磨き剤。
(11)前記(1)又は(2)の抗菌剤を含有する蒲鉾。
(12)前記(1)又は(2)の抗菌剤を含有する麺。
(13)前記(1)又は(2)の抗菌剤を含有するカスタードクリーム。
(14)前記(1)又は(2)の抗菌剤を含有する漬物。
(15)前記(1)又は(2)の抗菌剤を含有するソーセージ。
(16)前記(1)又は(2)の抗菌剤を含有するハム。
(17)前記(1)又は(2)の抗菌剤を含有するパン。
(18)前記(1)又は(2)の抗菌剤を含有する炊飯米。
(19)前記(1)又は(2)の抗菌剤を含有する鶏卵加工品。
(20)前記(1)又は(2)の抗菌剤を含有する飲料。
【0082】
【発明の効果】
従来、リゾチームの抗菌活性はグラム陽性菌に対するものとして限定され、その用途目的が限定されていた。本発明における変性リゾチームは、従来のリゾチームが有するグラム陽性菌に対する抗菌活性を増強する効果を有する。また、従来のリゾチームの抗菌スペクトルはグラム陽性菌に限定されていたが、本発明における変性リゾチームはその抗菌スペクトルを拡大する効果を有し、グラム陰性菌に対しても強い抗菌活性を示す。本発明の抗菌剤は、このような抗菌活性を有する変性リゾチームを有効成分とするものであり、医薬、化粧品、食品、飼料分野等において効果が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、変性リゾチーム濃度と大腸菌の生菌数との関係を示す図である。
【図2】図2は、変性リゾチーム濃度とProteus mirabilis の生菌数との関係を示す図である。
【図3】図3は、変性リゾチーム濃度とS. mutans の生菌数との関係を示す図である。
【図4】図4は、変性リゾチームと未変性リゾチームのCDスペクトルを示す図である。
【図5】図5は、変性リゾチームの表面疎水性と大腸菌の生存率との関係を示す図である。
【図6】図6は、変性リゾチームの大腸菌細胞膜への結合性を示す図である。
【図7】図7は、変性リゾチームの加熱時間と表面疎水性との関係を示す図である。

Claims (12)

  1. 加熱処理により蛋白質の立体構造が変化した変性リゾチームを有効成分とする抗菌剤であって、変性リゾチームの表面疎水性が、未変性リゾチームの有する表面疎水性と比較して5倍以上増大したものである、抗菌剤。
  2. 加熱処理により蛋白質の立体構造が変化した変性リゾチームを有効成分とする抗菌剤であって、変性リゾチームの最大蛍光強度が、未変性リゾチームの有する最大蛍光強度と比較して減少している、抗菌剤。
  3. 加熱処理により蛋白質の立体構造が変化した変性リゾチームを有効成分とする抗菌剤であって、変性リゾチームのスルフヒドリル基数が、未変性リゾチームの有するスルフヒドリル基数と比較して2個以上増加している、抗菌剤。
  4. 変性リゾチームがグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して抗菌活性を有するものである、請求項1〜いずれか記載の抗菌剤。
  5. 加熱処理によりリゾチーム蛋白質の立体構造を変化させることを特徴とする、請求項1〜4いずれか記載の抗菌剤の製造方法。
  6. 加熱処理の温度が70℃以上である、請求項記載の製造方法。
  7. 加熱処理をpH5〜8の条件下で行なう、請求項記載の製造方法。
  8. 請求項1〜いずれか記載の抗菌剤を含有する医薬。
  9. 請求項1〜いずれか記載の抗菌剤を含有する化粧品。
  10. 請求項1〜いずれか記載の抗菌剤を含有する食品。
  11. 請求項1〜いずれか記載の抗菌剤を配合してなる飼料。
  12. リゾチームを含有する組成物をpH5〜8の条件下で70℃以上の加熱処理を行い、該リゾチームの立体構造を変化させて請求項1〜3いずれかに記載の変性リゾチームとしてグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して抗菌活性を持たせることを特徴とする、抗菌組成物の製造方法。
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