JP3730091B2 - 金型汚染性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金型汚染性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物に関し、さらに詳細には自動車内装部品用材料として好適な金型汚染性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン系樹脂は、日用雑貨、台所用品、包装フィルム、自動車部品、機械部品、電気部品など種々の分野で利用されている。そして、その用途で要求される性能に応じて、樹脂に各種の添加剤が選択配合されている。例えば、自動車内装部品のように耐光性が強く要求される分野の用途では、耐光安定剤や耐熱安定剤などの添加剤が通常配合されている。
【0003】
前記のような添加剤を配合したポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形し、成形品を連続的に製造していくと、徐々に金型表面に添加剤が析出付着して金型が汚染され、その結果金型面の転写性が妨げられることがあった。特に最近は、自動車内装部品に対して高級感と落ち着いた雰囲気を与える低光沢品が望まれていることから、金型表面に微細なシボ加工を施すことが増えている。しかし、金型の転写性が損われた状態で成形を続けると、表面のシボ付けが不十分になることから定期的な金型洗浄が必要になってくる。そこで、金型面の汚染を防いで、長時間の連続成形が可能なポリプロピレン系樹脂組成物の開発が望まれている。
【0004】
金型汚染性の少ないポリプロピレン系樹脂組成物としては、特定の耐光安定剤と滑剤との組み合わせを用いた例が、特開平10−60180号公報や特開平10−60187号公報に記載されている。しかし、これらの公報に提案されている組成物を用いても、連続成形時間が長くなると成形品の光沢度が変化することを十分に防止することは難しい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、耐光性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物であって、金型汚染性が低く、金型の精密模様を長時間連続して成形品に転写することが可能なポリプロピレン系樹脂組成物の提供を目的にする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、ポリプロピレン(A)40〜90重量部、タルク(B)5〜40重量部、およびオレフィン系エラストマー(C)5〜30重量部とからなる樹脂であって、ここで成分(A)、(B)、(C)の合計量が100重量部になり、その合計量に対して次に記す安定剤(D)〜(G)を所定量配合した金型汚染性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物に関する。この樹脂組成物は、特にシボ加工された金型を用いる射出成形に好適に使用される。
【0007】
配合される安定剤は、少なくとも次の4種類が併用される。
(D)一般式(1)で表され、分子量が600〜950のピペリジン誘導体で形成されたヒンダードアミン系耐光安定剤 0.05〜0.5重量部
(E)N−H結合を有し、かつ分子量が1000以上のヒンダードアミン系耐光安定剤 0.05〜0.5重量部
(F)N−CH3結合を有し、かつ分子量が600以上のヒンダードアミン系耐光安定剤 0.05〜0.5重量部
(G)トリアリールフォスファイト系耐熱安定剤 0.01〜0.5重量部
【0008】
ここで、ピペリジン誘導体で形成された耐光安定剤(D)は、次の一般式で表される。
【化2】
式中、R1は水素原子、メチル基、エチル基、フェノキシメチル基またはフェニル基、R2は炭素数1〜8のアルキル基、mは0〜2の整数を示す。
【0009】
前記のピペリジン誘導体(D)としては、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが特に好ましい。
【0010】
【発明の具体的説明】
本発明に使用されるポリプロピレン系の樹脂は、高い機械的物性を付与するために、ポリプロピレン(A)にタルク(B)およびオレフィン系エラストマー(C)が混合されている。そして、この樹脂に対して、さらに3種類の耐光安定剤および1種類の耐熱安定剤を配合して耐光性および金型汚染性に優れた本発明の樹脂組成物を形成している。次にその樹脂組成物を構成する各要素について説明する。
【0011】
ポリプロピレン系樹脂
【0012】
本発明で用いるポリプロピレン(A)としては、プロピレンの結晶性単独重合体の他に、プロピレンを主成分とし、それと少量のプロピレン以外のα―オレフィン、例えばエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等との結晶性共重合体を用いることができる。共重合体中のα―オレフィン含量は、10重量%以下であることが望ましい。
【0013】
共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいが、中でもプロピレン・エチレンブロック共重合体は剛性、耐衝撃性、および耐熱性のいずれにも優れていることから、自動車内外装部品用の樹脂として好ましい。
【0014】
そのポリプロピレンとしては、ASTM D1238(温度230℃、荷重2.16kg)に準拠して測定したメルトフローレート(MFR)が、1〜150好ましくは3〜80、さらに好ましくは5〜50(g/10分)のものが成形性および機械的強度の点から適している。
【0015】
フィラーとして配合されるタルク(B)は、平均粒子径5μm以下の微粉末状あるいは板状のものが好ましく、その配合によって特に成形品の剛性を向上させることができる。
【0016】
エラストマーは、オレフィン系エラストマーである。その例として、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体を挙げることができる。
【0017】
本発明で使用可能なポリプロピレン系の樹脂は、ポリプロピレン(A)40〜90、好ましくは50〜80重量部、タルク(B)5〜40、好ましくは10〜30重量部、およびエラストマー(C)5〜30、好ましくは10〜20重量部とから構成される樹脂であって、ここで成分(A)、(B)、(C)の合計量が100重量部になる。タルクの配合量が前記の範囲内であれば、高い剛性と良好な外観を持った成形品を成形性よく製造することができる。また、エラストマーの配合量が前記の範囲内であれば、耐衝撃性が高く、かつ外観良好な成形品を得ることができる。
【0018】
耐光安定剤(D)
第1の耐光安定剤は、その分子量が600〜950の一般式(1)で表されるピペリジン誘導体(D)である。この化合物は、HALSとして知られているヒンダードアミン系の光安定剤である。
【0019】
【化3】
【0020】
一般式(1)において、R1は、水素原子、メチル基、エチル基、フェノキシメチル基またはフェニル基である。またR2は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基などの炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基である。mは0、1または2である。
【0021】
前記の一般式(1)で表されるピペリジン誘導体の好ましい化合物としては、次の例を挙げることができる。
(1) 1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
【0022】
(2) 1−[2−〔2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アセチルオキシ〕エチル]−4−〔2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アセチルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
【0023】
(3) 1−〔2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)エチル〕−4−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
【0024】
(4) 1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2−メチルエチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
【0025】
(5) 1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2−エチルエチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
【0026】
(6) 1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2−フェニルエチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
【0027】
これらの中では、次に示す化学式(2)で表される1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが特に好ましい。この化合物は、サノールLS−2626(三共(株)製品、登録商標)の商品名で市販されており、容易に入手することができる。
【0028】
【化4】
【0029】
これらのピペリジン誘導体は、化学式(3)で表されるピペリジン誘導体と化学式(4)で表されるカルボン酸活性誘導体とを反応させることによって製造することができる。ここで活性誘導体としては、例えば酸ハライド、酸無水物、酸低級アルキルエステルである。なお、式(3)および(4)において、R1、R2およびmは前記と同じである。
【0030】
【化5】
【0031】
【化6】
【0032】
カルボン酸活性誘導体として例えば酸エステルを用いる場合には、両者の反応は不活性有機溶媒中、強塩基の存在下で好適に行われる。溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン等の芳香族または脂肪族の炭化水素類を用い、また強塩基としては、例えばナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、水酸化カリウム、リチウムアミド等の強塩基性アルカリ金属化合物、チタン酸テトライソプロピルもしくはチタン酸テトラブチル等のチタン酸化合物が用いられる。反応温度は、通常80〜180℃で行われる。
【0033】
成分(D)の配合量は、ポリプロピレン系樹脂組成物(A)、(B)、(C)の合計量100重量部に対して0.05〜0.5、好ましくは0.1〜0.4重量部である。配合量がこの範囲にあると、耐光性に優れ、例えば自動車内装部品に要求される耐光性を満足させることができ、しかも良好にシボ加工可能な低光沢の成形品を得ることができる。
【0034】
耐光安定剤(E)
第2の耐光安定剤としての成分(E)は、N−H結合を有するヒンダードアミン系化合物であって、その分子量が1000以上である。好ましい化合物の例を次に挙げることができる。なお、( )内の記載は、市販の一商品を示す。
【0035】
(1) ジメチルサクシネート[2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルー1−ピペリジル)エタノール]のポリ縮合物
(チバガイギー社製、chimassorb622(登録商標)、分子量=約2000)
(2) ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノール}]
(チバガイギー社製、chimassorb944(登録商標)、分子量=約3000)
【0036】
(3) 1,6−ヘキサンジアミン/N,N’−ビス(2,2,6.6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ポリマー
(旭電化社製、アデガスタブLA−63(登録商標)、分子量= 約2000)
(4) {2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β',β'−テトラメチル−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン〕ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート
(旭電化社製、アデガスタブLA−68LD(登録商標)、分子量= 約1900)
【0037】
成分(E)の配合量は、(A)、(B)、(C)の合計量100重量部に対して0.05〜0.5、好ましくは0.1〜0.4重量部である。配合量がこの範囲にあると、耐光性に優れ、例えば自動車内装部品に要求される耐光性を満足させることができ、しかも良好なシボ加工可能な低光沢の成形品を得ることができる。
【0038】
耐光安定剤(F)
第3の耐光安定剤(F)は、N−CH3結合を有するヒンダードアミン系化合物であって、その分子量が600以上である。好ましい化合物の例を次に挙げる。なお、( )内の記載は、市販の一商品を示す。
【0039】
(1) テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート
(旭電化(株)製、アデガスタブLA−52(登録商標)、分子量=792)
(2) (1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート
(旭電化(株)製、アデガスタブLA−62(登録商標)、分子量=900)
【0040】
(3) {1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル}−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン〕ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート
(旭電化(株)製、アデガスタブLA−63(登録商標)、分子量=約2000)
(4) ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート
(チバガイギー(株)製、チヌビン144(登録商標)、分子量=685)
【0041】
(5) N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物
(チバガイギー(株)製、チマソーブ119FL(登録商標)、分子量=約2000)
【0042】
成分(F)の配合量は、(A)、(B)、(C)の合計量100重量部に対して0.05〜0.5、好ましくは0.1〜0.4重量部である。配合量がこの範囲にあると、耐光性に優れ、例えば自動車内装部品に要求される耐光性を満足させることができ、しかも良好なシボ加工可能な低光沢の成形品を得ることができる。
【0043】
耐熱安定剤(G)
耐熱安定剤として用いる成分(G)は、トリアリールホスファイト系の酸化防止剤である。その具体例として次の化合物を挙げることができる。
(1) トリフェニルホスファイト
(2) トリス(ノニルフェニル)ホスファイト
(3) トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
(4) トリ(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト
(5) 4,4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)−ジ(ノニルフェニル)ホスファイト
(6) トリス(ビフェニル)ホスファイト
(7) トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト
【0044】
これらの中では、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、およびトリス(ノニルフェニル)ホスファイトが好ましい。その配合量は、(A)、(B)、(C)の合計量100重量部当たり、0.01〜0.5、好ましくは0.05〜0.3重量部である。
【0045】
ポリプロピレン系樹脂組成物
本発明に係わるポリプロピレン系樹脂組成物では、成分(A)〜(C)からなるポリプロピレン系の樹脂に、前記の安定剤成分(D)、(E)、(F)および(G)の4成分を併用添加することによって、耐光性に優れ、かつ金型への添加剤の付着を防止した樹脂組成物になっている。
【0046】
この樹脂組成物には、本発明の目的から外れない範囲でさらに、分散剤、滑剤、顔料、他の酸化防止剤、核剤、有機充填剤、他の無機充填剤などの添加剤を必要に応じて配合することができる。
【0047】
分散剤としての脂肪酸金属塩をこの樹脂組成物に配合すると、タルク(B)を樹脂組成物中に均一分散させる効果を高めることができる。その配合量は、成分(A)、(B)、(C)の合計量100重量部に対して、0.01〜1、好ましくは0.05〜0.5重量部が適当である。
【0048】
そのような脂肪酸金属塩としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エルシン酸などの炭素数10〜45、好ましくは16〜22の脂肪酸のマグネシウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩などを例示することができる。特に、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの融点が150℃以上のものを用いると、前記の効果に加えて、金型への添加剤の付着量が少なくなり、成形品に対して微細なシボ加工の模様を転写できるので好ましい。
【0049】
滑剤としては、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの炭素数10〜45、好ましくは16〜22のアシル基を有する脂肪酸アミドを配合することができる。その配合量は、(A)、(B)、(C)の合計量100重量部当たり、0.01〜1、好ましくは0.05〜0.5重量部である。配合量がこの範囲にあると、添加剤の金型への付着が防止されて低光沢の成形品を長時間連続的に成形することができる。
【0050】
顔料としては、例えば金属の酸化物、硫化物、硫酸塩等の無機顔料、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンジジン系等の有機顔料などがあげられる。その配合量は(A)、(B)、(C)の合計量100重量部当たり、0.01〜10、好ましくは0.05〜2重量部である。
【0051】
前記以外に使用可能な酸化防止剤としては、フェノール系、イオウ系のいずれの酸化防止剤をも配合することができ、通常(A)、(B)、(C)の合計量100重量部当たり、0.01〜1、好ましくは0.05〜0.3重量部配合される。
【0052】
この樹脂組成物は、射出成形による成形品の製造に適しており、特に成形金型の内面にシボ模様等の微細な表面装飾に対応する凹部が形成された金型を用いた射出成形に好適である。従って、自動車用内装部品等の製造に利用することができる。
【0053】
【実施例】
次に本発明を実施例を通して説明するが、本発明はそれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
まず、実施例および比較例で使用した樹脂および各種配合剤を次に説明する。なお、冒頭の数字(1)、(2)・・・を以降原料(1)、原料(2)・・・・と記す。
【0054】
(1) ポリプロピレン:成分(A)
結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体
エチレン含量=3重量%、メルトフローレート(230℃、荷重2.16kg)=50(g/10分)
(2) タルク:充填剤:成分(B)
富士タルク工業(株)製、商品名K−1、平均粒子径2μm
(3) オレフィン系エラストマー:成分(C)
エチレン・1−オクテン共重合体
1−オクテン含量7.3モル%、メルトフローレート(190℃)=5(g/10分)
【0055】
(4) 耐光安定剤(HALS):成分(D)
1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
三共(株)製、サノールLS−2626(登録商標)
(5) 耐候安定剤(HALS):成分(E)
ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノール}]
チバガイギー(株)製、chimassorb944(登録商標)
【0056】
(6) 耐光安定剤(HALS):成分(F)
テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート
旭電化(株)製、アデカスタブLA−52(登録商標)
(7) 耐光安定剤(HALS):
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート
三共(株)製、サノールLS−770(登録商標)
【0057】
(8) 耐熱安定剤:成分(G)
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
チバガイギー(株)製、Irgafos 168(登録商標)
(9) 耐熱安定剤:
テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート]メタン
チバガイギー(株)製、Irganox 1010(登録商標)
【0058】
(10) 分散剤:ステアリン酸カルシウム
堺化学工業社製、商品名7000
(11) 滑剤:オレイン酸アミド
丸菱油化社製、商品名PP−5926
(12) 顔料:鉄黒
戸田工業(株)製、トダカラーKN−320(登録商標)
(13) 顔料:酸化チタン
石原産業(株)製、商品名CR−60−2
【0059】
次に、試験結果の評価方法を記す。
(1) 金型汚染性:
ポリプロピレン組成物を艶消しシボ加工した金型を取り付けた射出成形機(新潟鉄工所製NN220α)へ供給し、成形温度230℃、金型温度30℃の条件でテストピース(340mm×120mm×3mm)を5000ショットした。
【0060】
50ショット目と5000ショット目とのテストピースについて、その中央部シボ加工面のグロスを測定し、その変化量が0.5%以下の場合を良好(○)と判定し、また0.5%を越えた場合に不良(×)と判定した。光沢(%)は、グロスメーター(日本電色工業(株)製、NDH−30
0A)を用いて60°−60°(照射角−受光角)で測定した。
【0061】
(2) フォギング性:
ポリプロピレン組成物を射出成形機(宇部興産(株)製、UBE−MAX D−150−10)へ供給し、金型温度40℃で厚さ2mmの平板(360mm×140mm)を成形した。この平板からテストピース(10
0mm×25mm)を切り出した。
【0062】
テストピース2枚をガラス容器に入れ、開口部にガラスプレートを装着した後、120℃のオイルバスに20時間浸けた。取り出したガラスプレートの曇り部をヘイズメーター(日本電色工業(株)製、NDH−300A)を用いて曇り度を測定した。曇り度が5%以下の場合を良好(○)、
0.5%を越える場合を不良(×)と判定した。
【0063】
(3) 耐光性:
ポリプロピレン組成物を射出成形機(新潟鉄工所製AN100)へと供給し、平板(100mm×100mm×3mmt)を成形して耐光性試験
用テストピースとした。
【0064】
耐光性試験は、スガ試験機(株)製(FAL−5H−B型UVフェードメーター)を用い、ブラックパネル温度83℃、雨なしの条件下で試験を行った。1000時間を越えても表面クラックが発生しない場合を良好(○)、1000時間以内に表面クラックが発生した場合を不良(×)と判
定した。
【0065】
(4) 耐熱性:
ポリプロピレン組成物を射出成形機(日本製鋼所(株)製、J100SAII型)へと供給し、成形温度230℃、金型温度40℃の条件下で、ASTM D−628記載の引張試験用テストピース(Type−I)を成形した。
【0066】
このテストピースをギヤーオーブン耐熱老化試験機(東洋精機(株)製)を用い、槽内温度を160℃に設定して試験を行った。240時間を越えてもクラックが発生しない場合を良好(○)、240時間以内にクラックが発生した場合を不良(×)と判定した。
【0067】
(実施例1〜2)
まず次の原料を所定量秤量した。
原料(1)ポリプロピレン・・・・・65重量部
原料(2)タルク・・・・・・・・・20重量部
原料(3)エラストマー・・・・・・15重量部
原料(12)顔料・・・・・・・・・ 0.5重量部
原料(13)顔料・・・・・・・・・ 0.15重量部
次に、前記の原料に加えて表1に記載した原料を所定量タンブラー型混合機に入れて混合した後、二軸混練押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。このペレットから射出成形品を成形し、金型汚染性、フォギング性、耐光性、および耐熱性を測定した。その結果を表1に示した。
【0068】
(比較例1〜6)
表1に記載した原料を用いた他は実施例1と同様に行って射出成形品を成形し、試験結果を表1に併せて示した。
【0069】
【表1】
【0070】
【発明の効果】
本発明に係わるポリプロピレン系樹脂組成物は、樹脂に特定のヒンダードアミン系耐光安定剤である成分(D)〜(F)と、それに加えて特定の耐熱安定剤(G)とを組み合わせて配合しているので、耐光性に優れ、しかも金型汚染性にも優れた組成物になっている。従って、この樹脂組成物を微細なシボ加工が内面に施された金型を使用した射出成形などの成形法に適用すると、その転写性が長時間継続して維持されるので、光沢変化の少ない成形品を長時間連続的に製造することができる。
【0071】
このポリプロピレン系樹脂組成物は、ことに厳しい耐光性が要求される分野に使用するとその効果がはっきりと現れてくる。従って、自動車内装部品の製造用原料として好適であって、低光沢で落着いた雰囲気を有する成形品を製造することができる。自動車内装部品の具体例としては、インスツルメントパネル、グローボックス、コンソールボックス、ドアトリム、ピラートリム、ステアリングコラムカバーなどを挙げることができる。
Claims (4)
- ポリプロピレン(A)40〜90重量部、タルク(B)5〜40重量部、およびオレフィン系エラストマー(C)5〜30重量部とからなる樹脂であって、ここで成分(A)、(B)、(C)の合計量が100重量部になり、その合計量に対して、
(D)下記一般式(1)で表され、分子量が600〜950のピペリジン誘導体で形成されたヒンダードアミン系耐光安定剤 0.05〜0.5重量部、
(E)N−H結合を有し、かつ分子量が1000以上のヒンダードアミン系耐光安定剤 0.05〜0.5重量部、
(F)N−CH3結合を有し、かつ分子量が600以上のヒンダードアミン系耐光安定剤 0.05〜0.5重量部、および
(G)トリアリールフォスファイト系耐熱安定剤 0.01〜0.5重量部
を配合したことを特徴とする金型汚染性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記のポリプロピレン(A)が、プロピレン・エチレンブロック共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の金型汚染性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記のピペリジン誘導体(D)が、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンであることを特徴とする請求項1記載の金型汚染性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記のポリプロピレン系樹脂組成物が、シボ加工された金型を用いる射出成形に使用されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金型汚染性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物。
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