JP3729494B2 - 車両の車線維持支援装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両が走行車線を逸脱するのを防止する車両の車線維持支援装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、特開平11−139335号公報に開示されるように、車両が走行車線を逸脱しそうな状況を検知すると、車両が運転者に警報を発し、車両を走行車線に復帰させるべく、操舵制御を行う装置が知られている。上記従来の装置によれば、運転者の不注意により車両が車線を逸脱するのを有効に防止することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、車両の走行中には、運転者の不注意により車両が走行車線の端部に導かれる他に、運転者が意識的に車両を走行車線の端部に導き走行させる場合がある。上記従来の装置では、運転者の意図に関わりなく、車両が運転者に警報を発し、運転者が反応しないと、車両が操舵トルクを発生させる。このため、上記従来の装置を搭載する車両においては、運転者が意識的に走行車線の端部に車両を導いた場合には、運転者が警報や操舵トルクの介入に煩わしさを感ずる場合があるという問題点があった。
【0004】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、車両の進行方向と走行車線との角度偏差を無くすように制御して、車両が走行車線を逸脱するのを防止する車両の車線維持支援装置を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる車両の車線維持支援装置は、車両の進行方向車両が所定時間後に走行する先の走行車線の接線とのなす角度、又は、車両の進行方向と車両から所定距離先の走行車線の接線とのなす角度を検出する車線角度検出手段と、この車線角度検出手段の出力に基づき上記角度が0となるような車両の進行方向を算出する目標進行方向算出手段と、この目標進行方向算出手段の出力をもとに目標操舵車輪角を算出する目標操舵車輪角算出手段と、運転者が操舵するハンドルの操舵角を検出するハンドル角検出手段と、上記目標操舵車輪角算出手段の出力を上記ハンドルの操舵角より設定される所定操舵車輪角度範囲内に制限する操舵車輪角度制限手段と、この操舵車輪角度制限手段の出力に基づいて、操舵車輪角を制御する操舵車輪駆動手段とより構成されて、車両の進行方向を制御するものである。
【0006】
また、上記操舵車輪角度制限手段における所定操舵車輪角度範囲は、車両の速度に応じた範囲をとるものである。
【0007】
また、上記操舵車輪角度制限手段における所定操舵車輪角度範囲は、ハンドル角検出手段の出力に応じた範囲をとるものである。
【0008】
また、車両の進行方向と車両が所定時間後に走行する先の走行車線の接線とのなす角度、又は、車両の進行方向と車両から所定距離先の走行車線の接線とのなす角度を検出する車線角度検出手段と、この車線角度検出手段の出力に基づき上記角度が0となるような車両の進行方向を算出する目標進行方向算出手段と、上記目標進行方向算出手段の出力をもとに算出される車両のヨーレートを算出する目標ヨーレート算出手段と、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
運転者が操舵するハンドルの操舵角を検出するハンドル角検出手段と、車両の車速を検出する車速検出手段と、上記ハンドル角検出手段の出力と上記車速検出手段の出力より車両のヨーレートを算出する基準ヨーレート算出手段と、上記目標ヨーレート算出手段の出力を上記基準ヨーレート算出手段の出力を中心とする所定の範囲に制限する目標ヨーレート制限手段と、上記目標ヨーレート制限手段の出力と上記ヨーレート検出手段の出力が等しくなるよう、操舵車輪角を制御する操舵車輪駆動手段とより構成されて、車両の進行方向を制御するものである。
【0009】
また、上記目標ヨーレート制限手段における所定の範囲は、車両の速度に応じた範囲をとるものである。
【0010】
また、上記目標ヨーレート制限手段における所定の範囲は、上記ハンドル角検出手段の出力に応じた範囲をとるものである。
【0011】
また、車両の進行方向と車両が所定時間後に走行する先の走行車線の接線とのなす角度、又は、車両の進行方向と車両から所定距離先の走行車線の接線とのなす角度を検出する車線角度検出手段と、この車線角度検出手段の出力に基づき上記角度が0となるような車両の進行方向を算出する目標進行方向算出手段と、上記目標進行方向算出手段の出力をもとに算出される車両のヨーレートを算出する目標ヨーレート算出手段と、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
運転者が操舵するハンドルの操舵角を検出するハンドル角検出手段と、上記目標ヨーレート算出手段の出力と上記ヨーレート検出手段の出力が等しくなるよう、操舵車輪角を制御する操舵車輪駆動手段とより構成され、上記ハンドル角検出手段の出力に応じて、上記操舵車輪駆動手段により駆動される操舵車輪角の範囲を制限して、車両の進行方向を制御す るものである。
【0012】
また、車両の進行方向と車両が所定時間後に走行する先の走行車線の接線とのなす角度、又は、車両の進行方向と車両から所定距離先の走行車線の接線とのなす角度を検出する車線角度検出手段と、この車線角度検出手段の出力に基づき上記角度が0となるような車両の進行方向を算出する目標進行方向算出手段と、上記目標進行方向算出手段の出力をもとに算出される車両のヨーレートを算出する目標ヨーレート算出手段と、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、運転者が操舵するハンドルの操舵角を検出するハンドル角検出手段と、車両の車速を検出する車速検出手段と、上記ハンドル角検出手段の出力と上記車速検出手段の出力より車両のヨーレートを算出する基準ヨーレート算出手段と、上記目標ヨーレート算出手段の出力を上記基準ヨーレート算出手段の出力を中心とする所定の範囲に制限する目標ヨーレート制限手段と、上記目標ヨーレート制限手段の出力と上記ヨーレート検出手段の出力が等しくなるよう、駆動車輪の左右駆動トルク分配比を制御するトルク分配比制御手段とより構成されて、車両の進行方向を制御するものである。
また、速度検出手段より検出した車速に応じて、上記駆動トルク分配比制御手段により駆動される左右の駆動輪のトルク分配比範囲を制限するトルク分配比範囲制限手段とを備えたものである。
またさらに、上記ハンドル角検出手段の出力に応じて、上記トルク分配比制御手段により駆動される左右の駆動輪のトルク分配比範囲を制限するトルク分配比範囲制限手段を備えたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、参考例1に係る車両の車線維持支援装置の構成ブロック図である。図において、1は車線角度検出手段であり、車両と車両が所定時間後に走行する先の走行車線の接線とがなす角度、又は、車両と車両から所定距離先の走行車線の接線とがなす角度を検出する。2は目標進行方向算出手段であり、車線角度検出手段1の出力をもとに、上記角度が0となるような車両の目標進行方向を算出するものである。3は進行方向制御手段であり、目標進行方向算出手段2の出力に基づいて、車両の進行方向を制御するものである。
【0014】
まず、目標進行方向算出手段2の動作例について、図2及び図4を用いて詳しく説明する。図2は、車両の位置と前方の道路との関係を示した図であり、20は、車両が走行する走行車線を示している。図4は、参考例1の動作を示すフローチャートである。図2において、21はt1時点における車両の位置、23はその時点での車両の進行方向を示している。22は(車両位置t1から所定距離l隔たった先の)所定距離地点t2あるいは、所定時間後(例えば約2秒後)に走行する先のt2時点での期待される車両の位置を示している。なお、所定距離は、例えば、車速と所定時間(例えば約2秒)とより算出される。25は、車両の進行方向23と、(所定距離地点t2での進行方向を示す)所定距離地点t2における走行車線の接線24とがなす角度(角度偏差)θdを示しており、後で説明する車線角度検出手段1の出力である(図4 Step02)。理想的に考えると、車両は、t2時点までで角度θd分回転する必要がある。なお、26は車両位置txを示す。
【0015】
即ち、t1時点からt2時点までにかかる時間をtとすると、理想的な車両の目標ヨーレートγrは、
【数1】
Figure 0003729494
で表される(図4 Step03)。式(1)で示される目標ヨーレートγrが、目標進行方向算出手段2の出力となる。
【0016】
次に、進行方向制御手段3について説明する。まず進行方向制御手段3が、図3に示すような、前輪で(後輪も同様であるが)制御する場合について説明する。図3は参考例1の車両の車線維持支援装置のシステム構成図である。図において、4は車速検出手段であり、車両の速度を検出する。3は進行方向制御手段であり、目標進行方向算出手段2の出力及び、車速検出手段4の出力が入力されて、目標操舵車輪角を出力する目標操舵車輪角算出手段301と、上記目標操舵車輪角算出手段301の出力に基づいて、操舵車輪機構5を駆動する操舵車輪駆動手段302より構成されている。さらに、操舵車輪駆動手段302は、操舵車輪角制御手段302A、操舵機構駆動モータ302B、回転伝達機構302C、操舵車輪角度検出手段302Dより構成されている。5は操舵車輪機構であり、ラックアンドピニオン機構503、操舵車輪501,502より構成されている。
【0017】
いま、車速検出手段4より車速v(図4 Step04)、目標進行方向算出手段2より目標ヨーレートγrが入力されたとする。一般に、ハンドル角θと車速vとヨーレートγの関係は、スタビリティーファクタAを用いて式(2)のように表せる。
【数2】
Figure 0003729494
但し
γ : ヨーレート
A : スタビリティファクタ
v : 車速
l : ホイールベース
θ : ハンドル角
【0018】
従って、目標ヨーレートγrを得ようとすると、目標ハンドル角(目標操舵車輪角)θrefは、式(3)のように求めることができる(図4 Step05)。
【数3】
Figure 0003729494
操舵車輪駆動手段302は、操舵車輪角度検出手段302Dの出力が、上記θrefと等しくなるよう、操舵機構駆動モータ302Bを駆動し、回転伝達機構302Cを介して、操舵車輪機構5を駆動する。
【0019】
以上の動作を所定時間(図4 Step06)毎に繰り返すことにより、図5に示すよう、車両と走行車線とのなす角が0で無い場合、上記角度が0となるよう制御することが可能となる。即ち、図5のTa時点で、角度θdが生じていた場合、先に説明したように操舵車輪は、角度θdが小さくなるように操舵されるので、時間の経過と共に0に近づく。従って、所定時間後には、θdは減少するため、このθdを元に算出されるθrefも減少することになる。すると、θdの減少程度もそれにつれて小さくなってくるので、図に示すよう、なだらかなカーブを描いてθdは、0に収束することになる(Tb時点)。
【0020】
また、通常ドライバは、自分の意志で車両の進行方向をハンドル6を操舵することにより制御している。しかし、上記説明したように、本装置は、車両と走行車線とがなす角θdに応じて、車両の進行方向と走行車線とが平行となるように操舵車輪の操舵角を制御するので、干渉を生じる恐れがある。従って、本装置では、運転者が操舵するハンドルの動きから独立して、操舵車輪の操舵角を制御できる操舵機構が望ましい。例として、特開2000−43746号公報に開示しているような、ハンドルと操舵車輪との間の機械的リンクを廃したステアリングバイワイヤと称される操舵装置や、特開平6−206553号公報に開示されているような、電気的に制御可能な副操舵機構を備える操舵装置を用いることにより、運転者の操舵と、車線維持のための操舵車輪の制御との干渉が避けられる。
また、操舵車輪角を制御する操舵車輪駆動手段は、運転者が操舵するハンドルの操舵角に電気的に制御可能な補助操舵角を付勢して加え、操舵車輪の操舵車輪角を制御するようにしても良い。
【0021】
図6は実施の形態1の車両の車線維持支援装置のシステム構成図である。図6に示すように、ハンドルの操舵角を検出するハンドル角検出手段7を備えると共に、目標操舵車輪角算出手段301の出力を上記ハンドルの操舵角より設定される所定操舵車輪角度範囲内(例えば、車両走行時の修正舵の大きさでハンドル角にして、±5deg程度内)に制限をかける操舵車輪角度制限手段303を備えることで、運転者が意図した操舵角に対して大きな操舵角の違いがでないようにしたほうが良い。図7にその制限の例を示す。図7(a)は、車速に応じて、運転者が操舵するハンドル角θhndlと、目標操舵車輪角θrefとの偏差の許容範囲を示した図である。この図は、横軸が車速であり、低速では運転者の意図により忠実となるよう、制御範囲を狭め、車線維持を支援して欲しいと運転者が考えるであろう中・高速域では制御範囲を広く(つまり上記所定操舵車輪角度範囲一杯にし)、さらに高速になると、運転者の意図しない車両挙動により運転フィーリングが劣化しないように、制御範囲を狭めている。
【0022】
また、図7(b)では、横軸がハンドル角θhndlであり、運転者の注意力が散漫となる小舵角時は制御範囲を大きく、また大きな操舵をしているときは、運転者の意図通りの動きを実現すべく、制限範囲を狭めている。また、図には示していないが、(a)(b)の両方を加味して、車速とハンドル角で制限範囲を設定しても良い。
【0023】
実施の形態2.
図8は参考例2に係る車両の車線維持支援装置のシステム構成図である。この構成は、参考例1と比較して、ヨーレート検出手段8が加わったことと、目標操舵車輪角算出手段301を、目標ヨーレート算出手段304に置き換えた点が大きく異なっている。図において、車線角度検出手段1及び目標進行方向算出手段2は、参考例1と同一或いは相当品である。また、目標ヨーレート算出手段304は、目標進行方向算出手段2の出力が入力されて目標ヨーレートγrを算出するものであるが、参考例1の説明では、目標進行方向算出手段2の動作において、目標ヨーレートγrを算出するようにしているので、ここでは詳細は省略する。即ち、目標進行方向算出手段2の出力が、目標ヨーレートγrではない場合、その出力から目標ヨーレートγrを算出するものである。
【0024】
参考例1で説明したように、車両と走行車線とを平行に制御するのに必要な目標ヨーレートγrが得られているので、操舵車輪駆動手段302は、その構成要素である操舵車輪角制御手段302Aによって、目標ヨーレートγrと、ヨーレート検出手段8の出力γsが等しくなるよう操舵機構駆動モータ302Bを駆動することにより、参考例1と同様の動作ができる。
【0025】
図9は、実施の形態2に係る車両の車線維持支援装置のシステム構成図である。図9に示すように、ハンドル角を検出するハンドル角検出手段7と、目標ヨーレート算出手段304の出力に制限をかける目標ヨーレート制限手段305を備えると共に、ハンドル角検出手段7の出力と車速検出手段4の出力より、実施の形態1の式(2)に示したような式を用いて、ヨーレートγ、即ち基準ヨーレートγrefを算出する基準ヨーレート算出手段306を備え、目標ヨーレート制限手段305で、目標ヨーレート算出手段304の出力を基準ヨーレート算出手段306の出力を中心とする所定の範囲に制限し、(例えば、車両走行時の修正舵により発生するヨーレート程度の大きさで3deg/s程度の範囲に制限し、)目標ヨーレート制限手段305の出力とヨーレート検出手段8の出力が等しくなるよう、操舵車輪角を操舵車輪駆動手段302より制御する。このようにして、運転者が意図した操舵角に対して大きな運転フィーリングの違いがでないようにしたほうが良い。
【0026】
図10に目標ヨーレート制限手段における制限の例を示す。図10(a)は、車速に応じて、運転者が操舵するハンドル角に対応した基準ヨーレートγrefと、目標ヨーレートγrとの偏差の許容範囲を示した図である。この図は、横軸が車速であり、低速では運転者の意図により忠実となるよう、制御範囲を狭め、車線維持を支援して欲しいと運転者が考えるであろう中・高速域では制御範囲を広く(つまり上記所定の範囲一杯にし)、さらに高速になると、運転者の意図しない車両挙動により運転フィーリングが劣化しないように、制御範囲を狭めている。また、図10(b)では、横軸がハンドル角θhndlであり、運転者の注意力が散漫となる小舵角時は制御範囲を大きく、また大きな操舵をしているときは、運転者の意図通りの動きを実現すべく、制限範囲を狭めている。また、図には示していないが、(a)(b)の両方を加味して、車速とハンドル角で制限範囲を設定しても良い。
【0027】
実施の形態3.
図11は、この発明の実施の形態3に係る車両の車線維持支援装置のシステム構成図である。この構成は、実施の形態2と比較して、ヨーレートの制御方法が前輪から後輪になっている点が異なっている。即ち、図において、7は前輪のハンドル角を検出するハンドル角検出手段である。9は後輪操舵機構であり、前輪と同様ラックアンドピニオン機構903等を用いて、後輪901,902の操舵が可能なように構成されている。また、307は、後輪操舵駆動手段であり、実施の形態2と同様に、目標ヨーレートγrに基づいて、後輪901,902の操舵角を制御するものである。後輪車輪角制御手段307Aは操舵車輪角制御手段302A、307Bは操舵機構駆動モータ302B、307Cは回転伝達機構302Cにそれぞれ対応している。即ち、車両のヨーレートを制御するための手段が前輪から後輪になっている点で異なり、動作については、実施の形態2と同等である。
【0028】
実施の形態4.
図12は、この発明の実施の形態4に係る車両の車線維持支援装置のシステム構成図である。この構成は、実施の形態3と比較して、制御の制限方法が異なる。即ち、図において、307Dは後輪操舵角検出手段である。307Eは後輪操舵角制限手段で、後輪操舵角検出手段307Dの出力と、前輪のハンドル角検出手段7の出力と、車速検出手段4の出力が入力され、これらの出力に応じて、操舵車輪駆動手段により駆動される操舵車輪角の範囲を制限する。図13に後輪操舵角制限手段における制限の例を示す。図13(a)は、車速に応じて、後輪操舵角θrearの許容範囲を示した図である。この図は、横軸が車速であり、低速では運転者の意図により忠実となるよう、制御範囲を狭め、車線維持を支援して欲しいと運転者が考えるであろう中・高速域では制御範囲を広く、さらに高速になると、運転者の意図しない車両挙動により運転フィーリングが劣化しないように、制御範囲を狭めている。また、図13(b)では、横軸が前輪のハンドル角θhndlであり、運転者の注意力が散漫となる小舵角時は制御範囲を大きく、また大きな操舵をしているときは、運転者の意図通りの動きを実現すべく、制限範囲を狭めている。また、図には示していないが、(a)(b)の両方を加味して、車速とハンドル角で制限範囲を設定しても良い。なお、図13では、後輪操舵角制限手段に適用した例を示したが、これを前輪操舵角制限手段に適用しても同様である。
【0029】
実施の形態5.
図14は、この発明の実施の形態5に係る車両の車線維持支援装置のシステム構成図である。この構成は、実施の形態2と比較して、ヨーレートの制御方法が異なる。即ち、図において、308は駆動トルク分配手段であり、駆動トルク分配機構を持つデファレンシャルギア308Bと左右の駆動輪308C,308Dより構成されている。ここで、トルク分配手段308について説明する。デファレンシャルギア308Bは、トルク分配比制御手段308Aからの指令により、左右の駆動輪308C,308Dへ伝達する駆動トルクの分配比を変更する。即ち、駆動輪に生じている駆動トルクが左右異なる訳である。この異なる駆動トルクによって、車両にはヨーレートが生じることになる。従って、実施の形態2が前輪の操舵角によってヨーレートを制御していたのに対して、この実施例では、駆動輪308C,308Dの左右の駆動トルクの差を用いてヨーレートを制御する点が異なる。
【0030】
また、速度検出手段より検出した車速に応じて、駆動トルク分配比制御手段により駆動される左右の駆動輪のトルク分配比範囲を制限するトルク分配比範囲制限手段を設けても良い。
また、ハンドル角検出手段の出力に応じて、駆動トルク分配比制御手段により駆動される左右の駆動輪のトルク分配比範囲を制限するトルク分配比範囲制限手段を備えても良い。
また、速度検出手段より検出した車速とハンドル角検出手段の出力に応じて、駆動トルク分配比制御手段により駆動される左右の駆動輪のトルク分配比範囲を制限するトルク分配比範囲制限手段を備えても良い。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の車両の車線維持支援装置によれば、車両の進行方向車両が所定時間後に走行する先の走行車線の接線とのなす角度、又は、車両の進行方向と車両から所定距離先の走行車線の接線とのなす角度を検出する車線角度検出手段と、この車線角度検出手段の出力に基づき上記角度が0となるような車両の進行方向を算出する目標進行方向算出手段と、上記目標進行方向算出手段の出力をもとに目標操舵車輪角を算出する目標操舵車輪角算出手段と、運転者が操舵するハンドルの操舵角を検出するハンドル角検出手段と、上記目標操舵車輪角算出手段の出力を上記ハンドルの操舵角より設定される所定操舵車輪角度範囲内に制限する操舵車輪角度制限手段と、この操舵車輪角度制限手段の出力に基づいて、操舵車輪角を制御する操舵車輪駆動手段とより構成されて、車両の進行方向を制御するようにしたので、車両の進行方向と走行車線との角度偏差を無くすように制御されて、車両が走行車線を逸脱するのを防止でき、運転者が意識的に走行車線の端部に車両を導くことも可能であり、さらに、操舵車輪角度制限手段の所定値は、ハンドル角に応じた値をとることで、運転者の操舵への影響を少なくできる。
【0032】
また、操舵車輪角度制限手段における所定操舵車輪角度範囲は、車両の速度に応じた範囲をとるので、速度に関係して、安定した走行が可能である。
【0033】
また、操舵車輪角度制限手段における所定操舵車輪角度範囲は、ハンドル角検出手段の出力に応じた範囲をとるので、ハンドル角に関係して、安定した走行が可能である。
【0034】
また、車両の進行方向と車両が所定時間後に走行する先の走行車線の接線とのなす角度、又は、車両の進行方向と車両から所定距離先の走行車線の接線とのなす角度を検出する車線角度検出手段と、この車線角度検出手段の出力に基づき上記角度が0となるような車両の進行方向を算出する目標進行方向算出手段と、上記目標進行方向算出手段の出力をもとに算出される車両のヨーレートを算出する目標ヨーレート算出手段と、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
運転者が操舵するハンドルの操舵角を検出するハンドル角検出手段と、車両の車速を検出する車速検出手段と、上記ハンドル角検出手段の出力と上記車速検出手段の出力より車両のヨーレートを算出する基準ヨーレート算出手段と、上記目標ヨーレート算出手段の出力を上記基準ヨーレート算出手段の出力を中心とする所定の範囲に制限する目標ヨーレート制限手段と、上記目標ヨーレート制限手段の出力と上記ヨーレート検出手段の出力が等しくなるよう、操舵車輪角を制御する操舵車輪駆動手段とより構成されて、車両の進行方向を制御するようにしたので、車両が走行車線を逸脱するのを防止できると共に、車両安定制御を両立して行うことができる。
【0035】
また、目標ヨーレート制限手段における所定の範囲は、車両の速度に応じた範囲をとるので、速度に関係して、安定した走行が可能である。
【0036】
また、上記目標ヨーレート制限手段における所定の範囲は、ハンドル角検出手段の出力に応じた範囲をとるので、ハンドル角に関係して、安定した走行が可能である。
【0037】
また、車両の進行方向と車両が所定時間後に走行する先の走行車線の接線とのなす角度、又は、車両の進行方向と車両から所定距離先の走行車線の接線とのなす角度を検出する車線角度検出手段と、この車線角度検出手段の出力に基づき上記角度が0となるような車両の進行方向を算出する目標進行方向算出手段と、上記目標進行方向算出手段の出力をもとに算出される車両のヨーレートを算出する目標ヨーレート算出手段と、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
運転者が操舵するハンドルの操舵角を検出するハンドル角検出手段と、上記目標ヨーレート算出手段の出力と上記ヨーレート検出手段の出力が等しくなるよう、操舵車輪角を制御する操舵車輪駆動手段とより構成され、上記ハンドル角検出手段の出力に応じて、上記操舵車輪駆動手段により駆動される操舵車輪角の範囲を制限して、車両の進行方向を制御するようにしたので、ハンドル角に関係して、安定した走行が可能である。
【0038】
また、車両の進行方向と車両が所定時間後に走行する先の走行車線の接線とのなす角度、又は、車両の進行方向と車両から所定距離先の走行車線の接線とのなす角度を検出する車線角度検出手段と、この車線角度検出手段の出力に基づき上記角度が0となるような車両の進行方向を算出する目標進行方向算出手段と、上記目標進行方向算出手段の出力をもとに算出される車両のヨーレートを算出する目標ヨーレート算出手段と、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
運転者が操舵するハンドルの操舵角を検出するハンドル角検出手段と、車両の車速を検出する車速検出手段と、上記ハンドル角検出手段の出力と上記車速検出手段の出力より車両のヨーレートを算出する基準ヨーレート算出手段と、上記目標ヨーレート算出手段の出力を上記基準ヨーレート算出手段の出力を中心とする所定の範囲に制限する目標ヨーレート制限手段と、上記目標ヨーレート制限手段の出力と上記ヨーレート検出手段の出力が等しくなるよう、駆動車輪の左右駆動トルク分配比を制御するトルク分配比制御手段とより構成されて、車両の進行方向を制御するので、車両が走行車線を逸脱するのを防止できると共に、車両安定制御を両立して行うことができる。
また、速度検出手段より検出した車速に応じて、上記駆動トルク分配比制御手段により駆動される左右の駆動輪のトルク分配比範囲を制限するトルク分配比範囲制限手段とを備えたので、速度に関係して、安定した走行が可能である。
また更に、ハンドル角検出手段の出力に応じて、駆動トルク分配比制御手段により駆動される左右の駆動輪のトルク分配比範囲を制限するトルク分配比範囲制限手段を備えたので、ハンドル角に関係して、安定した走行が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1に係る車両の車線維持支援装置の構成ブロック図である。
【図2】 車両の位置と前方の道路との関係を示した図である。
【図3】 参考例1の車両の車線維持支援装置のシステム構成図である。
【図4】 参考例1の動作を示すフローチャートである。
【図5】 参考例1の動作を示すタイムチャートである。
【図6】 実施の形態1の車両の車線維持支援装置のシステム構成図である。
【図7】 操舵車輪角度制限手段における制限例を説明する図である。
【図8】 参考例2に係る車両の車線維持支援装置のシステム構成図である。
【図9】 実施の形態2に係る車両の車線維持支援装置のシステム構成図である。
【図10】 目標ヨーレート制限手段における制限例を説明する図である。
【図11】 実施の形態3に係る車両の車線維持支援装置のシステム構成図である。
【図12】 実施の形態4に係る車両の車線維持支援装置のシステム構成図である。
【図13】 後輪操舵角制限手段における制限例を説明する図である。
【図14】 実施の形態5に係る車両の車線維持支援装置のシステム構成図である。
【符号の説明】
1 車線角度検出手段 2 目標進行方向算出手段
3 進行方向制御手段 4 車速検出手段
5 操舵車輪機構 6 ハンドル
7 ハンドル角検出手段 8 ヨーレート検出手段
9 後輪操舵機構
20 走行車線 21 車両位置t1
22 所定距離地点t2 23 車両の進行方向
24 所定距離地点t2における車体進行方向
25 角度偏差θd
301 目標操舵車輪角算出手段 302 操舵車輪駆動手段
302A 操舵車輪角制御手段
302B,307B 操舵機構駆動モータ
302C,307C 回転伝達機構
302D 操舵車輪角度検出手段
303 操舵車輪角度制限手段
304 目標ヨーレート算出手段
305 目標ヨーレート制限手段
306 基準ヨーレート算出手段
307A 後輪車輪角制御手段
307D 後輪操舵角検出手段
307E 後輪操舵角制限手段
308 駆動トルク分配手段
308A トルク分配比制御手段
308B デファレンシャルギア
308C,308D 駆動輪
305.目標ヨーレート制限手段
307 後輪操舵角駆動手段
308.駆動トルク分配手段
501,502 操舵車輪
503,903 ラックアンドピニオン機構
901,902 後輪。

Claims (10)

  1. 車両の進行方向車両が所定時間後に走行する先の走行車線の接線とのなす角度、又は、車両の進行方向と車両から所定距離先の走行車線の接線とのなす角度を検出する車線角度検出手段と、
    この車線角度検出手段の出力に基づき上記角度が0となるような車両の進行方向を算出する目標進行方向算出手段と、
    上記目標進行方向算出手段の出力をもとに目標操舵車輪角を算出する目標操舵車輪角算出手段と、
    運転者が操舵するハンドルの操舵角を検出するハンドル角検出手段と、
    上記目標操舵車輪角算出手段の出力を上記ハンドルの操舵角より設定される所定操舵車輪角度範囲内に制限する操舵車輪角度制限手段と、
    この操舵車輪角度制限手段の出力に基づいて、操舵車輪角を制御する操舵車輪駆動手段とより構成されて、車両の進行方向を制御することを特徴とする車両の車線維持支援装置。
  2. 上記操舵車輪角度制限手段における所定操舵車輪角度範囲は、車両の速度に応じた範囲をとることを特徴とする請求項記載の車両の車線維持支援装置。
  3. 上記操舵車輪角度制限手段における所定操舵車輪角度範囲は、ハンドル角検出手段の出力に応じた範囲をとることを特徴とする請求項又は請求項記載の車両の車線維持支援装置。
  4. 車両の進行方向と車両が所定時間後に走行する先の走行車線の接線とのなす角度、又は、車両の進行方向と車両から所定距離先の走行車線の接線とのなす角度を検出する車線角度検出手段と、
    この車線角度検出手段の出力に基づき上記角度が0となるような車両の進行方向を算出する目標進行方向算出手段と、
    上記目標進行方向算出手段の出力をもとに算出される車両のヨーレートを算出する目標ヨーレート算出手段と、
    車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
    運転者が操舵するハンドルの操舵角を検出するハンドル角検出手段と、
    車両の車速を検出する車速検出手段と、
    上記ハンドル角検出手段の出力と上記車速検出手段の出力より車両のヨーレートを算出する基準ヨーレート算出手段と、
    上記目標ヨーレート算出手段の出力を上記基準ヨーレート算出手段の出力を中心とする所定の範囲に制限する目標ヨーレート制限手段と、
    上記目標ヨーレート制限手段の出力と上記ヨーレート検出手段の出力が等しくなるよう、操舵車輪角を制御する操舵車輪駆動手段とより構成されて、車両の進行方向を制御することを特徴とする車両の車線維持支援装置。
  5. 上記目標ヨーレート制限手段における所定の範囲は、車両の速度に応じた範囲をとることを特徴とする請求項記載の車両の車線維持支援装置。
  6. 上記目標ヨーレート制限手段における所定の範囲は、上記ハンドル角検出手段の出力に応じた範囲をとることを特徴とする請求項又は請求項記載の車両の車線維持支援装置。
  7. 車両の進行方向と車両が所定時間後に走行する先の走行車線の接線とのなす角度、又は、車両の進行方向と車両から所定距離先の走行車線の接線とのなす角度を検出する車線角度検出手段と、
    この車線角度検出手段の出力に基づき上記角度が0となるような車両の進行方向を算出する目標進行方向算出手段と、
    上記目標進行方向算出手段の出力をもとに算出される車両のヨーレートを算出する目標ヨーレート算出手段と、
    車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
    運転者が操舵するハンドルの操舵角を検出するハンドル角検出手段と、
    上記目標ヨーレート算出手段の出力と上記ヨーレート検出手段の出力が等しくなるよう、操舵車輪角を制御する操舵車輪駆動手段とより構成され、上記ハンドル角検出手段の出力に応じて、上記操舵車輪駆動手段により駆動される操舵車輪角の範囲を制限して、車両の進行方向を制御することを特徴とする車両の車線維持支援装置。
  8. 車両の進行方向と車両が所定時間後に走行する先の走行車線の接線とのなす角度、又は、車両の進行方向と車両から所定距離先の走行車線の接線とのなす角度を検出する車線角度検出手段と、
    この車線角度検出手段の出力に基づき上記角度が0となるような車両の進行方向を算出する目標進行方向算出手段と、
    上記目標進行方向算出手段の出力をもとに算出される車両のヨーレートを算出する目標ヨーレート算出手段と、
    車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
    運転者が操舵するハンドルの操舵角を検出するハンドル角検出手段と、
    車両の車速を検出する車速検出手段と、
    上記ハンドル角検出手段の出力と上記車速検出手段の出力より車両のヨーレートを算出する基準ヨーレート算出手段と、
    上記目標ヨーレート算出手段の出力を上記基準ヨーレート算出手段の出力を中心とする所定の範囲に制限する目標ヨーレート制限手段と、
    上記目標ヨーレート制限手段の出力と上記ヨーレート検出手段の出力が等しくなるよう、駆動車輪の左右駆動トルク分配比を制御するトルク分配比制御手段とより構成されて、車両の進行方向を制御することを特徴とする車両の車線維持支援装置。
  9. 上記速度検出手段より検出した車速に応じて、上記駆動トルク分配比制御手段により駆動される左右の駆動輪のトルク分配比範囲を制限するトルク分配比範囲制限手段とを備えたことを特徴とする請求項記載の車両の車線維持支援装置。
  10. 上記ハンドル角検出手段の出力に応じて、上記トルク分配比制御手段により駆動される左右の駆動輪のトルク分配比範囲を制限するトルク分配比範囲制限手段を備えたことを特徴とする請求項又は請求項記載の車両の車線維持支援装置。
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