JP3729470B2 - 熱硬化性樹脂用硬化促進剤及びこれを含有する熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化性樹脂用硬化促進剤及びこれを含有する熱硬化性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は硬化性に優れ且つ常温における保存性の良い熱硬化性樹脂組成物と、それに含有される熱硬化性樹脂用硬化促進剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱硬化性樹脂組成物は、硬化時における樹脂の硬化反応を速めるために硬化促進剤を添加するのが一般的である。例えばエポキシ樹脂の硬化促進剤としては、アミン類(特開昭58−173852号公報)、イミダゾール系化合物(特開昭56−160056号公報、同57−59365号公報、同57−100128号公報)、ジアザビシクロウンデセン(特開昭56−94761号公報,同59−75923号公報)のような含窒素複素環式化合物、あるいはオルガノシリコーン系化合物(特開昭56−133855号公報)、オルガノホスフィン化合物(特開昭56−130953号公報,同57−2329号公報)、第4級アンモニウム、ホスホニウム、アルソニウム化合物(特開昭55−153358号公報,同57−194555号公報、同58−119656号公報)など種々の化合物が用いられている。
【0003】
一般に使用される硬化促進剤は硬化促進効果を示す温度領域が比較的低温にまで及ぶ。よって、例えば硬化前の熱硬化性樹脂組成物を他の成分と混合する際に系内に発生する熱や外部から加えられる熱により反応は一部進行する。また、混合終了後この組成物を常温で保管するにあたって反応はさらに進行する。この部分的な反応の進行は組成物が液体の場合には粘度の上昇や流動性の低下をもたらし、また組成物が固体の場合には粘性を発現させる。このような状態の変化は、組成物内に厳密な意味で均一に生じるわけではないため、組成物の各部分の硬化性にばらつきが生じやすくなる。これが原因となり、硬化反応を高温で進行させ熱硬化性樹脂組成物を成形(その他賦形という概念も含んで、以下成形と記す)する際に、成形上の障害や成形品の機械的、電気的あるいは化学的特性の低下をもたらす。従ってこのような硬化促進剤を用いる際には諸成分混合時の厳密な品質管理、低温での保管や運搬、更に成形条件の厳密な管理が必須であり、取扱いが非常に煩雑である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来の硬化促進剤が成形時の温度域より低温でも硬化反応を促進させるという問題点を解決すべくなされたものである。よってその目的とするところは、成形時の温度域以上で高い硬化促進効果を示す熱硬化性樹脂用硬化促進剤及び、これを含有する硬化性に優れ且つ常温における保存性の良い熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく検討を行った結果、本発明により解決するに至った。即ち本発明は、
A.1分子内に少なくとも1個のエポキシ基を含有するエポキシ化合物、
B.トリス置換オルガノホスフィン、
C.分子内より少なくとも1つのプロトンを放出してプロトン受容体とイオン対を形成する、プロトン供与体である有機化合物
を反応させることにより得られる化合物からなる熱硬化性樹脂用硬化促進剤及び、この硬化促進剤を配合してなる熱硬化性樹脂組成物に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の硬化促進剤に用いられる化合物は次のような反応機構により生成する。即ち、非共有電子対を持ち強い求核体であるトリス置換オルガノホスフィンがエポキシ化合物の持つ反応性の高いエポキシ基の炭素を求核攻撃する。ここでエポキシ基の反応性は歪みの大きな3員環が開裂し易いことに由来している。開裂したエポキシ基の酸素はアニオンの状態であり、求核付加したトリス置換オルガノホスフィンのリンはカチオンの状態である。このアニオン化した酸素と反応系内に存在するプロトン供与体である有機化合物から放出されるプロトンが速やかに反応し、カチオン化したリンとプロトン供与体からプロトンを放出してなるアニオンがイオン対を形成する。このイオン対は非常に強固で安定したものである。
【0007】
上述の反応機構をエポキシ化合物が1官能のグリシジルエーテル型の場合の例について反応式で示す。R1、R2、R3は1価の芳香環を含む有機基又は1価の脂肪族残基を表す。R4は酸素原子と、それに結合する1価の芳香環を含む有機基又は1価の脂肪族残基を表す。またHZはプロトン供与体を表し、Z−はプロトンを放出してなるアニオンを意味する。
【0008】
【化1】
Figure 0003729470
【0009】
この化合物は成形時の高温の際にのみ、カチオン化したリンとアニオンのイオン結合が解離し、カチオン化した4級リンを生成することを特徴とする。この4級リンはまさに硬化反応を促進させる化学種であり、速やかに硬化反応が促進される。また、成形時の温度域より低温では前述のイオン結合が安定であり、結合が解離することがないため硬化反応は促進されない。
本発明に用いられるエポキシ化合物は、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有するものである。分子内に1個のエポキシ基を有するものの例としては、グリシジルエーテル型のものにグリシジル-i-プロピルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、グリシジル-2-メチルフェニルエーテル、グリシジル-4-メトキシフェニルエーテル、グリシジル-1-ナフチルエーテル等が、グリシジルエステル型のものにグリシジルブチレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられるが、グリシジル基とエーテル結合及びエステル結合で結合し得るアルキル基及びアリール基はこれらに限定されるものではない。また線状脂肪族エポキシ化合物として1,2-エポキシプロパン、1,2-エポキシブタン、2,3-エポキシブタン、3,4-エポキシ-1-ブテン、1,2-エポキシヘキサン、1,2-エポキシ-5-ヘキセン,1,2-エポキシオクタン、1,2-エポキシ-7-オクテン,1,2-エポキシデカン、1,2-エポキシドデカン,2,3-エポキシプロピルベンゼン、2,3-エポキシノルボルナン等が、脂環式エポキシ化合物として1,2-エポキシシクロヘキサン、1,2-エポキシシクロペンタン、1,2-エポキシシクロドデカン等が,更に芳香族エポキシ化合物としては1,2-エポキシエチルベンゼン等が挙げられるが、以上のものに限定されるものではない。これらの他にもN-(2,3-エポキシプロピル)フタルイミド、3,4-エポキシテトラヒドロチオフェノン-1,1-ジオキシド,及びグリシジルトシレート等がエポキシ基を分子内に一つ有する化合物として挙げられる。
【0010】
分子内に2個のエポキシ基を有するジグリシジルエーテル型のものとしては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ナフタレン型、ビフェニル型、フルオレン型及びヒドロキノンジグリシジルエーテル等が、ジグリシジルエステル型のものとしては、テレフタル酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等が、エーテル型とエステル型を併せ持つものとしてジグリシジルp-オキシ安息香酸等が例としてある。また脂環式エポキシとしては3,4-エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチルカルボキシレート等がある。分子内に3個以上のエポキシ基を有するものには、トリ(フェニルグリシジルエーテル)メタン、1,1,3-トリ(フェニルグリシジルエーテル)ブタン、1,1,2,2,-テトラ(フェニルグリシジルエーテル)エタン、更にはo-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂や、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等がある。分子内に複数個のエポキシ基を持つ化合物は以上に限定されるものではない。
【0011】
トリス置換オルガノホスフィンを例示すると、アルキルまたは混合アルキルホスフィンとして、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリス(n-プロピル)ホスフィン、トリス(2-プロピル)ホスフィン、トリス(n-ブチル)ホスフィン、トリス(i-ブチル)ホスフィン、トリス(t-ブチル)ホスフィン、トリス(n-オクチル)ホスフィン、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフィン、トリデシルホスフィン、トリドデシルホスフィン、トリベンジルホスフィン、メチルジエチルホスフィン及びジブチルオクチルホスフィン等がある。さらに環式脂肪族または混合環式脂肪族ホスフィンとしてトリス(シクロペンチル)ホスフィン、トリス(シクロヘキシル)ホスフィン、(2-または4-メチルシクロヘキシル)ホスフィン及びジブチルシクロヘキシルホスフィン等が、アリールまたは混合アリールホスフィンとしてトリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、トリス(2,6-ジメトキシフェニル)ホスフィン等がある。しかしトリス置換オルガノホスフィン としては以上に限定されるものではない。
【0012】
プロトン供与体である有機化合物としては、酢酸、トリフルオロ酢酸等の脂肪族カルボン酸類、また安息香酸、ナフトエ酸及びそれらの芳香核に官能基を有するもの等の芳香族カルボン酸類、更にフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の多官能芳香族カルボン酸等がある。また、フェノールやナフトール及びそれらの芳香核に官能基を有するもの、1,2,3,-ベンゾトリアゾール、イソシアヌル酸等が例示できるが、トリス置換オルガノホスフィンがエポキシ基と反応してできるアニオン化した酸素にプロトンを供給することができるものであれば、これらに限定されるものではない。
【0013】
本発明で合成される硬化促進剤の特性は、エポキシ化合物、トリス置換オルガノホスフィン及びプロトン供与体である有機化合物の性質、具体的にはそれぞれの融点、結晶性、sp値及びプロトン供与体のpKa等に強く依存するものと考えられる。以上で示したようにこれら3種の化合物は非常に多種多様であるため、いずれの化合物を選択するかによって幅広い用途に対応可能である。
【0014】
本発明の硬化促進剤はホスフィンまたはホスホニウム塩が有効であるときは常に有用であることが一般的である。エポキシ樹脂組成物以外にも、マレイミド系樹脂、反応性モノマーがシアネート類、イソシアネート類、アクリレート類である樹脂、並びにアルケニル及びアルキニル樹脂に対して有効であるがこれらに限定されるものではない。
【0015】
本発明における熱硬化性樹脂とは、本発明の熱硬化性樹脂用硬化促進剤の使用によって硬化が促進されうるすべての樹脂系を意味するものと解釈されるべきである。本発明で用いられるエポキシ樹脂とは、分子内にエポキシ基を有するものであれば特に限定されるものではなく当業者において公知のエポキシ樹脂はすべて含まれる。例としてビスフェノールA型グリシジルエーテルエポキシ、ビフェノール型グリシジルエーテルエポキシ、オルトクレゾールノボラック型グリシジルエーテルエポキシ等があげられる。
またマレイミド系樹脂とは、分子内にマレイミド基を有するものであれば特に限定されるものではなく、エポキシ樹脂と同様に公知のマレイミド系樹脂はすべて含まれる。分子内に1個のマレイミド基を有するものとして、N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド等が、2個有するものとして1-メチル-2,4-ビスマレイミドベンゼン、N,N'-(4,4'-ジフェニルメタン)ビスマレイミド等がある。
【0016】
エポキシ基と反応することができる硬化剤とは特に限定されるものではなく、例えば有機ジ及びポリアミン類としてジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミンのような直鎖脂肪族アミン、N-アミノエチルピペラジン及びビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンのような脂肪族アミン、m-キシレンジアミン及びジアミノジフェニルメタンのような芳香族アミン、各種ポリアミドや変性ポリアミンが挙げられる。無水カルボン酸の例としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸及び無水ピロメリット酸等がある。またフェノール類の例としては、フェノールノボラックなどのフェノール化合物とアルデヒドまたはケトン類の共縮反応物であるフェノール樹脂や、フェノール化合物とジメトキシパラキシレンの共縮反応物であるザイロック樹脂等がある。
【0017】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は特性の低下を伴わない限りにおいて、硬化触媒と樹脂成分以外に無機充填材やガラスクロス等の各種補強剤、難燃剤、離型剤、着色剤、酸化防止剤、表面活性剤、カップリング剤等の各種添加剤を配合できる。
【0018】
【実施例】
以下本発明を合成例及び実施例により具体的に説明するが、本発明はこの合成例及び実施例に限定されない。
【0019】
合成例1
オルトクレゾールノボラック型グリシジルエーテルエポキシ(日本化薬(株)製 EOCN-1020-65)6.00g(エポキシ基として0.03mol)と、トリフェニルホスフィン(以下TPPと略す)7.86g(0.03mol)と、安息香酸3.66g(0.03mol)を、ガラス反応容器中で100gのアセトンに溶解させた。その溶液を、同ガラス反応容器中で環流下、オイルバス温度80℃にて約5時間、攪拌しながら反応させた。その後30分間、反応容器内を2〜3mmHgまで減圧して溶媒を反応容器外へ除去し、目的とする化合物を得た。
これを化合物1とする。
【0020】
合成例2
ビフェノール型グリシジルエーテルエポキシ(油化シェルエポキシ(株)製 YX-4000H)5.76g(エポキシ基として0.03mol)と、トリス-(2,6-ジメトキシフェニル)ホスフィン(以下DMPPと略す)13.26g(0.03mol)と、テレフタル酸4.98g(0.03mol)を、ガラス反応容器中で150gのN,N'-ジメチルホルムアミド(以下DMFと略す)に溶解した。それを合成例1と同様の操作方法で反応させた後、オイルバス温度を160℃まで上げ反応容器内を2〜3mmHgまで減圧して溶媒を反応容器外へ除去し、目的とする化合物を得た。これを化合物2とする。
【0021】
合成例3
合成例2で用いたのと同様のビフェノール型グリシジルエーテルエポキシ5.76g(エポキシ基として0.03mol)とDMPP13.26g(0.03mol)とテレフタル酸2.49g(0.015mol)を、135gのDMFに溶解し合成例2と同様の操作方法で反応及び溶媒の除去を行い、目的とする化合物を得た。これを化合物3とする。
【0022】
合成例4
フルオレン型グリシジルエーテルエポキシ(新日鐵化学(株)製)6.93g(エポキシ基として0.03mol)とトリ-p-トリルホスフィン(以下TPTPと略す)9.12g(0.03mol)とピロメリット酸7.62g(0.03mol)を、130gのアセトンに溶解して、合成例1と同様の操作方法で合成及び溶媒の除去を行い、目的とする化合物を得た。これを化合物4とする。
【0023】
合成例5
合成例4で用いたのと同様のフルオレン型グリシジルエーテルエポキシ6.93g(エポキシ基として0.03mol)とTPTP9.12g(0.03mol)とピロメリット酸1.905g(0.0075mol)を、100gのアセトンに溶解して、合成例4と同様の操作方法で反応及び溶媒の除去を行い、目的とする化合物を得た。これを化合物5とする。
【0024】
合成例6
4,4'-ビスフェノールS型グリシジルエーテルエポキシ(大日本インキ(株)製 エピクロンEXA-1514)5.85g(エポキシ基として0.03mol)と、トリ-n-ブチルホスフィン6.06g(0.03mol)とビフェノール5.58g(0.03mol)を、100gのテトラヒドロフラン(以下THFと略す)に溶解して、合成例1と同様の操作方法で反応させ、その後オイルバス温度を100℃まで上げ反応容器内を2〜3mmHgまで減圧して溶媒を反応容器外へ除去し、目的とする化合物を得た。これを化合物6とする。
【0025】
実施例1
オルトクレゾールノボラック型グリシジルエーテルエポキシ(日本化薬(株)製 EOCN-1020-65)を67重量部(以下単に部と略す)、硬化剤としてフェノールノボラック(住友デュレズ(株)製 PR51714)を33部、更に硬化促進剤として化合物1を1.78部配合し、これを均一になるよう混合した。この混合物の175゜Cにおけるゲル化時間、及び示差走査熱量測定装置により1分間に1O℃の速さで昇温した場合の硬化発熱量(以下ΔQと記す)を測定した。またこの混合物を40℃で一ヶ月間保管した後の硬化発熱量(以下ΔQ'と記す)を同様に測定し、ΔQ'/ΔQの値を求めた。
(ΔQ'/ΔQの値が1.0に近いほど保存性がよいことを示す。詳細は後述する。)その結果ゲル化時間は55秒、ΔQ'/ΔQの値は0.92であった。
【0026】
実施例2
ビスフェノールA型グリシジルエーテルエポキシ(油化シェルエポキシ(株)製エピコート828)を56部、硬化剤としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸(油化シェルエポキシ(株)製 YH-300)を44部、硬化促進剤として化合物2を2.44部配合し、これを均一になるよう混合した。この混合物の150℃におけるゲル化時間、及びΔQ、ΔQ'を測定した。その結果ゲル化時間は7分、ΔQ'/ΔQの値は0.95であった。
【0027】
実施例3
N,N'-(4,4'-ジフェニルメタン)ビスマレイミド(ケイ・アイ化成(株)製 BMI-H)を100部と硬化促進剤として化合物3を2.19部配合し、これを均一になるよう混合した。この混合物の175℃におけるゲル化時間、及びΔQ、ΔQ'を測定した。その結果ゲル化時間は48秒、ΔQ'/ΔQの値は0.91であった。
【0028】
実施例4
EOCN-1020-65を67部、硬化剤としてPR51714を33部、更に硬化促進剤として化合物4を2.41部配合し、これを均一になるよう混合した。この混合物の175゜Cにおけるゲル化時間、及びΔQ、ΔQ'を測定した。その結果ゲル化時間は61秒、ΔQ'/ΔQの値は0.97であった。
【0029】
実施例5
エピコート828を56部、硬化剤としてYH-300を44部、更に硬化促進剤として化合物5を1.83部配合し、これを均一になるよう混合した。この混合物の150℃におけるゲル化時間、及びΔQ、ΔQ'を測定した。その結果ゲル化時間は8分、ΔQ'/ΔQの値は0.94であった。
【0030】
実施例6
BMI-Hを100部と硬化促進剤として化合物6を1.78部配合し、これを均一になるよう混合した。この混合物の175℃におけるゲル化時間、及びΔQ、ΔQ'を測定した。その結果ゲル化時間は52秒、ΔQ'/ΔQの値は0.98であった。
【0031】
比較例1
EOCN-1020-65を67部、硬化剤としてPR51714を33部、更に硬化促進剤としてTPPを0.80部配合し、これを均一になるよう混合した。この混合物の175゜Cにおけるゲル化時間、及びΔQ、ΔQ'を測定した。その結果ゲル化時間は52秒、ΔQ'/ΔQの値は0.23であった。
【0032】
比較例2
エピコート828を56部、YH-300を44部、硬化促進剤としてTPPを0.80部配合し、これを均一になるよう混合した。この混合物の150℃におけるゲル化時間、及びΔQ、ΔQ'を測定した。
その結果ゲル化時間は6分、ΔQ'/ΔQの値は0.17であった。
【0033】
比較例3
BMI-Hを100部と硬化促進剤としてTPPを0.80部配合し、これを均一になるよう混合した。この混合物の175℃におけるゲル化時間、及びΔQ、ΔQ'を測定した。
その結果ゲル化時間は40秒、ΔQ'/ΔQの値は0.14であった。
【0034】
以上の実施例及び比較例の結果をまとめて表1に示す。
この表中のΔQ'/ΔQの値から常温付近での熱硬化性樹脂組成物の保存性を評価することができる。なぜなら、40℃で1ヶ月保管した間に反応が全く進行しなければこの期間の前後で硬化発熱量に変化はなく、ΔQ'/ΔQの値は1である。また、反対に反応が完全に進行した場合にはΔQ'の値が0となるためΔQ'/ΔQの値も0となる。すなわちΔQ'/ΔQの値が1に近いほど、保存性は良いと判断できる。
【0035】
【表1】
Figure 0003729470
【0036】
実施例1〜6の熱硬化性樹脂組成物のΔQ'/ΔQの値はどれも極めて1に近く、40℃で1ヶ月保管した間に反応がほとんど進行していないことが示される。それに対し、比較例1〜3に示した硬化促進剤としてTPPが含有されている熱硬化性樹脂組成物のΔQ'/ΔQの値は0.2前後にまで低下しており、常温付近であっても反応がかなり進行したことが明らかである。また実施例1〜6のゲル化時間は比較例1〜3に示す、対応した熱硬化性樹脂組成物とほぼ同程度である。つまり、化合物1〜6を含有する熱硬化性樹脂組成物は優れた常温保存性と、優れた高温における硬化性を併せ持つことが明らかである。
【0037】
【発明の効果】
本発明の硬化促進剤は従来の硬化促進剤とは異なり、様々な熱硬化性樹脂系に対して常温において硬化促進作用を発現することがなく、これを含有する熱硬化性樹脂組成物を長期に渡って常温で安定に保存することが可能である。また、高温における成形の際には優れた硬化促進作用を発揮して、良好な成形性及び高品質の成形品を与えることができる。

Claims (6)

  1. A.1分子内に少なくとも1個のエポキシ基を含有するエポキシ化合物、
    B.トリス置換オルガノホスフィン、
    C.分子内より少なくとも1つのプロトンを放出してプロトン受容体とイオン対を形成する、プロトン供与体である有機化合物、
    を反応させることにより得られる化合物からなる熱硬化性樹脂用硬化促進剤。
  2. 熱硬化性樹脂100重量部に対し、請求項1記載の熱硬化性樹脂用硬化促進剤を0.3重量部以上40重量部以下含有していることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  3. 熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である、請求項2記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 熱硬化性樹脂組成物が、さらにエポキシ基と反応することができる硬化剤を含有していることを特徴とする請求項3記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 硬化剤が有機ジアミン類、有機ポリアミン類、無水カルボン酸類及びフェノール類からなる群より選択される請求項4記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 熱硬化性樹脂がマレイミド系樹脂である、請求項2記載の熱硬化性樹脂組成物。
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