JP3729342B2 - 放射性排水の処理方法及び処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力施設から発生する放射性排水の処理方法及び処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
原子力施設から発生する放射性排水としては、作業員の衣類を洗濯した際に発生する洗濯排水、機器や配管系統の洗浄排水・ブロー排水などである機器ドレン水、施設床上への漏洩水・結露水や雑排水である床ドレン水などがある。これらの放射性排水は排水中の放射性物質を除去低減した上で、施設用水として再利用されたり、環境へ放出処分される。環境放流にあたっては、放射性物質以外にも排水中に含まれる化学的酸素要求量(以下CODと略記)原因物質やノルマルヘキサン抽出物質(ノルマルヘキサンにより抽出される物質で主に油脂分)も除去低減する必要がある。
【0003】
このような放射性排水の効果的かつ経済的処理方法として、従来からフィルタによるろ過処理が採用されており、フィルタとして近年は、二次廃棄物の少ない、セラミック膜や有機高分子膜を用いた非助材フィルタが多用される傾向にある。中でもセラミック膜は、高強度・高耐圧性・耐薬品性・耐久性など優れた特性を有するとともに、クロスフローろ過の場合には懸濁固形物(以下SSと略記)の多い放射性排水でも高い倍率で濃縮減容できる特長も有している。
【0004】
ところが、放射性排水中の放射性物質やCOD原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質には、往々にして、SS状物質のほかにイオン状または溶解性の物質も併せ含まれており、通常のフィルタ(精密ろ過膜、限外ろ過膜)によるろ過ではSS状物質は捕捉除去できるが、イオン状または溶解性の物質はフィルタを通過してしまうため除去できないという問題がある。イオン状または溶解性物質に対する従来の除去技術として、放射性物質除去を主眼としては、イオン交換樹脂処理、蒸発濃縮処理、逆浸透膜処理などが、またCOD原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質除去を主眼としては、活性炭吸着処理、凝集沈澱処理などが実用されているが、それぞれ次のような問題があった。
【0005】
まずイオン交換樹脂処理では、放射性排水中のイオン状不純物質が多いと、樹脂を使い捨てる場合には放射性廃イオン交換樹脂が多量に発生し、また樹脂を薬品再生する場合には放射性再生廃液が多量に発生することになり、これら二次廃棄物を処理する設備の建設費用や運転経費が莫大となる。蒸発濃縮処理では、処理装置自体が比較的高価なことや広い設置スペースを要することと、放射性洗濯排水を処理する場合には、排水中の洗剤成分起因の発泡による処理性能上の問題や排水中に含有される塩素イオンの濃縮限度に基づく二次廃液発生量増加の問題を有している。逆浸透膜は高性能の膜であるが、非常に精密な膜であるために取り扱いが難しく、膜の目詰まり対策や洗浄、更には膜交換などの保守作業量・運転経費の増大や二次廃棄物の使用済膜発生量の増大という問題を有している。
【0006】
また、活性炭吸着処理や凝集沈殿処理のいずれの場合も、大量の廃活性炭や廃スラッジが発生し、これら二次廃棄物の処理作業量・運転経費が増大する問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来技術の問題点を解決して、放射性排水中に含まれる放射性物質を、SS状のものもイオン状または溶解性のものも全て除去することができ、かつ二次廃棄物の発生量をできるだけ抑制することができる放射性排水の処理方法及び処理装置を提供することを第1の課題とするものである。また本発明の第2の課題は、放射性排水中に含まれるCOD原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質についても、同様に処理することができる放射性排水の処理方法及び処理装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の第1の課題を解決するためになされた請求項1の発明の放射性排水の処理方法は、原子力施設から発生する放射性排水を、二酸化マンガン触媒の存在下、30℃〜80℃の温度で酸化剤と接触させることにより放射性排水中のイオン状放射性物質を酸化・不溶化処理し、該処理水を固液分離して不溶化された放射性物質を除去することを特徴とするものである。また第2の課題を解決するためになされた放射性排水の処理方法は、原子力施設から発生する放射性排水を、酸化剤と接触させることにより放射性排水中のイオン状放射性物質を酸化・不溶化処理すると同時に、化学的酸素要求量原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質を分解処理し、該処理水を固液分離して不溶化された放射性物質を除去することを特徴とするものである。
【0009】
なお、酸化剤としては、オゾン、酸素、空気、次亜塩素酸、過酸化水素、過マンガン酸塩から選択されたものが使用できる。固液分離は、フィルタによるろ過、重力沈降、凝集沈殿、遠心分離、浮上分離から選択された方法で行うことができる。固液分離により不溶化された放射性物質を含む液を濃縮し、該濃縮液を最終的に焼却減容処理することが好ましい。
【0010】
また本発明の放射性排水の処理装置は、二酸化マンガン触媒が充填され、酸化剤供給手段から供給される酸化剤により、放射性排水中のイオン状放射性物質を30℃〜80℃の温度で酸化・不溶化する反応槽を設け、該反応槽の後段に固液分離装置を設けたことを特徴とするものである。この反応槽は、放射性排水中のイオン状放射性物質を酸化・不溶化処理すると同時に、COD原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質を分解するものとすることもできる。
【0011】
なお、酸化剤としてはオゾン、酸素、空気、次亜塩素酸、過酸化水素、過マンガン酸塩から選択されたものが使用できる。固液分離装置としてはろ過装置、重力沈降装置、凝集沈殿装置、遠心分離装置、浮上分離装置から選択されたものが使用できる。また反応槽の前段に、原子力施設から発生する放射性排水を固液分離する装置を設けた構造とすることもできる。
【0012】
請求項1の発明によれば、放射性排水を酸化剤と接触させることにより、放射性排水中のイオン状放射性物質を酸化・不溶化してSS状放射性物質とともに固液分離することができ、また請求項2の発明によれば、同時に放射性排水中のCOD原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質をも分解除去することができる。この結果、放射性排水中に含まれる放射性物質やCOD原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質を、SS状のものもイオン状または溶解性のものも全て除去することができる。また放射性排水を酸化剤と接触させれば、COD原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質を分解除去することができるため、特に後段の固液分離装置でろ過処理を行う場合、フィルタのろ過処理の負担軽減となり、差圧上昇の低減、逆洗再生頻度の低減を図ることができ、ろ過処理性能の長期安定化の効果がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1は本発明の基本的な実施形態を示すもので、原子力施設から発生する洗濯排水、機器ドレン水、床ドレン水などの放射性排水が供給される反応槽1の後段に、フィルタ2と循環ポンプ3と循環タンク4とからなる固液分離装置を配置した例を示す。この反応槽1の内部には二酸化マンガン触媒5が充填されており、反応槽1には酸化剤供給手段6が設けられている。このため、放射性排水は反応槽1の内部を流動する間に二酸化マンガン触媒の存在下で酸化剤と接触し、酸化される。なお、図1では、気体状の酸化剤を想定して、反応槽1の下部に酸化剤供給手段6を配設し、反応槽1の上部から流下する放射性排水と該酸化剤が向流接触する様態で示しているが、液体状の酸化剤の場合にあっては、図1に限定されることなく、酸化剤供給手段6は反応槽1の上部もしくは図示しない放射性排水の供給部に配設され、放射性排水と該酸化剤が並流接触する様態となることをさまたげるものではなく、また放射性排水及び該酸化剤の反応槽1の内部流動は下降流に限定されず、上昇流でも水平流でもよい。
【0014】
た酸化剤としては、オゾン、酸素、空気、次亜塩素酸、過酸化水素、過マンガン酸塩から選択されたものが使用できる。二酸化マンガン触媒5の場合、触媒活性を高めるために反応槽1の温度を30℃〜80℃程度、望ましくは50℃〜70℃程度とすることが好適である。また酸化剤としてオゾンを用いる場合、排水に対して200ppm〜2000ppm程度、望ましくは450〜1350ppm程度のオゾンを供給することが好適である。
【0015】
このようにして放射性排水を反応槽1内で酸化剤と接触させると、放射性排水中のイオン状放射性物質を酸化・不溶化することができる。例えば、放射性排水中に含有されている主なイオン状放射性物質であるコバルトイオンは、酸化されると不溶性の水酸化コバルトとなる。またこれと同時に、放射性排水中のCOD原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質は分解される。
【0016】
反応槽1から取り出された処理水は次に固液分離装置において固液分離され、SS状放射性物質が除去されると同時に、反応槽1において不溶化された放射性物質が除去される。この結果、放射性排水中に含まれるイオン状放射性物質、SS状放射性物質、COD原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質は全て除去されることとなる。ただし、本発明において、放射性排水中にSS状放射性物質が存在することは必ずしも必要ではない。
【0017】
図1の実施形態では、固液分離方法として、循環ポンプ3によってフィルタ2と循環タンク4との間で液を循環させつつろ過浄化した処理済水を取り出す、クロスフローろ過方法を用いる場合について示したが、本発明はクロスフローろ過に限定するものではなく、全量直ろ過方法を用いても良い。また使用するフィルタ2についても、特定の型式・構造・材料のものに限定するものではなく、セラミック膜や有機高分子膜などを用いた非助材逆洗式ろ過でもよく、各種の助材プリコート逆洗ろ過でも、非助材非逆洗式のカートリッジ交換型ろ過でもよい。ただし、二次廃棄物の発生を抑制する上では、非助材逆洗式ろ過を用いるのが好適であり、例えば孔径が1μm〜0.01μm程度、好ましくは0.1μm程度のセラミック膜を使用したクロスフローろ過の場合には、SS状不純物質を数10〜100ppmの比較的高い濃度で含有している放射性排水に対しても、容易に1000倍オーダの高い倍率まで濃縮減容が可能となり、最終的に焼却減容処理する上での負荷低減効果が大きい。またこの場合、SS状放射性物質や不溶化された放射性物質などのSS状不純物質は、流動性をもったスラリ状態で濃縮されるため、焼却炉に送り出すにあたって管路で送液することが可能となり、大きな運転負担軽減効果も得られる。
【0018】
ろ過装置のほか、固液分離装置としては重力沈降装置、凝集沈殿装置、遠心分離装置又は浮上分離装置を用いることもできる。重力沈降装置は水とSS成分の比重差を利用してタンク・槽などの容器内でSS成分を沈降させ、固液分離を行う装置である。凝集沈殿装置は凝集剤を添加して沈降性に優れたフロックを形成させたうえでこれを沈殿させ、固液分離を行なう装置である。遠心分離装置は回転する容器内の中で、水とSS成分の比重差に遠心力の作用を組み合わせて、固液分離を行う装置である。また浮上分離装置は槽底部に気体を供給して固体分を気泡とともに浮上させ、固液分離を行なう装置である。固液分離装置を通過した処理水は必要に応じて水素イオン濃度(pH)調整などを行なったうえ、環境へ放出することができる。
【0019】
以上に説明した実施形態では、放射性排水を反応槽1に直接供給したが、放射性排水中にSSが多い場合には二酸化マンガン触媒5の間に入り込んで目詰まりさせるおそれがある。そこで図2に示す第2の実施形態のように、反応槽1の前段に放射性排水に対する別の固液分離装置7を設けることもできる。
【0020】
このように、請求項1の発明によれば放射性排水中に含まれる放射性物質を、SS状のものもイオン状または溶解性のものも全て除去することができ、請求項2の発明によれば放射性排水中に含まれる放射性物質及びCOD原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質を、SS状のものもイオン状または溶解性のものも全て除去することができる。また、高度に濃縮された廃液を焼却処理することにより、二次廃棄物の発生量を抑制することができる。
以下に本発明の実施例を示す。
【0021】
【実施例】
(実施例1…触媒と酸化剤、請求項1の発明)
放射性排水を模擬するため、コールドトレーサとしてコバルトイオンを添加した模擬排水を調整した。この模擬排水中には10ppmのコバルトイオンが含まれている。この模擬排水を直径30mm、高さ4mの反応塔にSV=1(約2.8L/h)で塔上部より供給し、また反応塔下部より3〜4%のオゾンガスを含有した空気を通気し、塔内へ散気した。反応塔の内部にはハニカム充填物の表面に二酸化マンガンを担持させた二酸化マンガン触媒を充填し、内部を70℃に加温した。オゾン供給量は模擬排水に対して500、1350ppmとした。
【0022】
模擬排水を二酸化マンガン触媒が充填されたこの反応塔で500ppmのオゾンと接触させ、更に0.1μmのセラミックフィルタでろ過したところ、ろ液中のコバルト濃度は1ppmにまで低下した。
【0023】
また模擬排水を二酸化マンガン触媒が充填された反応塔で1350ppmのオゾンと接触させ、更に0.1μmのセラミックフィルタでろ過したところ、ろ液中のコバルト濃度は0.1ppm以下にまで低下した。コバルトイオンの除去係数(インプット/アウトプット)は100以上となり、優れた除去効果が確認できた。
【0024】
(実施例2…酸化剤、請求項2の発明)
放射性排水を模擬するため、コールドトレーサとしてコバルトイオンを添加した模擬排水を調整した。この模擬排水中には3ppmのコバルトイオンと、80ppmのSSと、75ppmのCODが含まれている。この模擬排水を直径30mm、高さ4mの反応塔にSV=1(約2.8L/h)で塔上部より供給し、また反応塔下部より3〜4%のオゾンガスを含有した空気を通気し、塔内へ散気した。塔内部はヒータにより70℃に加温した。オゾン供給量は模擬排水に対して1350ppmとした。
【0025】
このようにして酸化処理された段階では処理水中のコバルト濃度は変化しなかったが、処理水を更に孔径が0.1μmのセラミックフィルタでろ過したところ、ろ液中のコバルト濃度は0.3ppmにまで低減し、コバルトイオンの除去係数(インプット/アウトプット)は10となった。この結果、他のイオン状核種も酸化剤で不溶化され、固液分離により液中から除去できると推定できる。また、オゾン処理により液中のCOD濃度も15ppmにまで低下した。
【0026】
次に上記した1350ppmのオゾンに代えて、1300ppmの次亜塩素酸と、660ppmの過酸化水素を用いて同様に試験したところ、コバルトイオン濃度を同様に低下させることができ、またCOD濃度を、模擬排水の濃度の1/4〜1/3程度まで低下させることができた。
【0027】
(実施例3…触媒と酸化剤、請求項2の発明)
試験水として、イオン状放射性物質であるコバルト60を1.3×10-1Bq/cm3及び6.4×10-1Bq/cm3含有する2種類の洗濯排水を準備した。これらの洗濯排水中のSS濃度は50ppm、COD濃度は125ppm、ノルマルヘキサン抽出物質濃度は39ppmである。
【0028】
これらの洗濯排水を直径30mm、高さ4mの反応塔にSV=1で塔上部より供給し、また反応塔下部より3〜4%のオゾンガスを含有した空気を通気し、塔内へ散気した。ただし反応塔の内部にはハニカム充填物の表面に二酸化マンガンを担持させた二酸化マンガン触媒を充填し、内部を70℃に加温した。オゾン供給量はコバルト濃度の低い洗濯排水に対して450ppmとし、コバルト濃度の高い洗濯排水に対して450ppm及び1350ppmとした。
【0029】
コバルト濃度が1.3×10-1Bq/cm3の洗濯排水を二酸化マンガン触媒が充填されたこの反応塔で450ppmのオゾンと接触させ、更に0.1μmのセラミックフィルタでろ過したところ、ろ液中のコバルト濃度は2.5×10-3Bq/cm3にまで低下した。
【0030】
またコバルト濃度が6.4×10-1Bq/cm3の洗濯排水を二酸化マンガン触媒が充填された反応塔で450ppmのオゾンと接触させ、更に0.1μmのセラミックフィルタでろ過したところ、ろ液中のコバルト濃度は1.9×10-2Bq/cm3にまで低下した。放射能除去係数は33〜52となり、酸化剤のみの実施例2よりも優れた結果が得られた。
【0031】
また、コバルト濃度が6.4×10-1Bq/cm3の洗濯排水を二酸化マンガン触媒が充填された反応塔で1350ppmのオゾンと接触させ、更に0.1μmのセラミックフィルタでろ過したところ、ろ液中のコバルト濃度は<2.2〜5.7×10-3Bq/cm3にまで低下した。この場合の放射能除去係数は110〜>300となり、優れた放射能除去効果が確認できた。
【0032】
なお、最初の洗濯排水中のCOD濃度は125ppmであったが、オゾン供給量を375ppmとすると24〜31ppmまで低下し、オゾン供給量を560ppmとすると14〜18ppmまで低下した。更にオゾン供給量を750ppmとすると6.2〜9.4ppmとなり、オゾン供給量を940ppmとすると6.4〜8.2ppmとなった。またオゾン供給量を750ppmとするとノルマルヘキサン抽出物質濃度は最初の39ppmから2.6ppmまで低下し、オゾン供給量を940ppmとすると0.8ppmとなった。このように放射性排水中のCOD原因物質やノルマルヘキサン抽出物質も、分解除去されたことが確認できた。
【0033】
(実施例4…触媒と酸化剤の他の組み合わせ)
以下に、触媒と酸化剤の他の組み合わせについて実験した結果を示す。ただしこれらの実験ではイオン状放射性物質を含まない試験水を用い、COD濃度の除去率のみを測定した。その結果を表1にまとめた。いずれの場合にもCOD濃度を十分に低減しており、イオン状放射性物質についても酸化・不溶化ができるものと推定される。
【0034】
【表1】
Figure 0003729342
【0035】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の放射性排水の処理方法及び処理装置によれば、原子力施設から発生する放射性排水に含まれる放射性物質、または放射性物質及びCOD原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質を、SS状のものもイオン状または溶解性のものも全て除去することができる。また本発明によれば、従来のイオン交換樹脂、蒸発缶、RO膜などのイオン状放射性物質除去手段を用いた場合とは異なり、二次廃棄物の発生量が少なくなり、また保守作業も簡単となるなどの利点がある。また、実施例に記載のように本発明では、不溶化した放射性物質を分離するに際して粉末活性炭のような吸着剤を使用する必要がないという利点も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の他の実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 反応槽、2 フィルタ、3 循環ポンプ、4 循環タンク、5 触媒、6酸化剤供給手段、7 別の固液分離装置

Claims (10)

  1. 原子力施設から発生する放射性排水を、二酸化マンガン触媒の存在下、30℃〜80℃の温度で酸化剤と接触させることにより放射性排水中のイオン状放射性物質を酸化・不溶化処理し、該処理水を固液分離して不溶化された放射性物質を除去することを特徴とする放射性排水の処理方法。
  2. 前記放射性排水中のイオン状放射性物質を酸化・不溶化処理すると同時に、化学的酸素要求量原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質を分解処理する請求項1に記載の放射性排水の処理方法。
  3. 酸化剤がオゾン、酸素、空気、次亜塩素酸、過酸化水素、過マンガン酸塩から選択されたものである請求項1または2に記載の放射性排水の処理方法。
  4. 固液分離をフィルタによるろ過、重力沈降、凝集沈殿、遠心分離、浮上分離から選択された方法で行う請求項1〜3の何れかに記載の放射性排水の処理方法。
  5. 固液分離により不溶化された放射性物質を含む液を濃縮し、該濃縮液を焼却処理する請求項1〜4の何れかに記載の放射性排水の処理方法。
  6. 二酸化マンガン触媒が充填され、酸化剤供給手段から供給される酸化剤により、放射性排水中のイオン状放射性物質を30℃〜80℃の温度で酸化・不溶化する反応槽を設け、該反応槽の後段に固液分離装置を設けたことを特徴とする放射性排水の処理装置。
  7. 反応槽が、放射性排水中のイオン状放射性物質を酸化・不溶化すると同時に、化学的酸素要求量原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質を分解するものである請求項7記載の放射性排水の処理装置。
  8. 酸化剤がオゾン、酸素、空気、次亜塩素酸、過酸化水素、過マンガン酸塩から選択されたものである請求項7または8に記載の放射性排水の処理装置。
  9. 固液分離装置がろ過装置、重力沈降装置、凝集沈殿装置、遠心分離装置、浮上分離装置から選択されたものである請求項7〜9の何れかに記載の放射性排水の処理装置。
  10. 反応槽の前段に、原子力施設から発生する放射性排水を固液分離する装置を設けた請求項7〜10の何れかに記載の放射性排水の処理装置。
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