JP3165526B2 - 汚泥の濃縮方法 - Google Patents

汚泥の濃縮方法

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JP3165526B2 JP26471192A JP26471192A JP3165526B2 JP 3165526 B2 JP3165526 B2 JP 3165526B2 JP 26471192 A JP26471192 A JP 26471192A JP 26471192 A JP26471192 A JP 26471192A JP 3165526 B2 JP3165526 B2 JP 3165526B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、下水処理、各種産業廃
等からなる下水の生物処理を行う生物処理装置におい
て発生する下水汚泥の濃縮方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の下水処理、各種産業廃水等の処理
を行う下水処理装置は、部分的には、本発明の実施の形
態を示す図1に示したものと同様の構成のものが採用さ
れている。すなわち、流入した下水から粗大固形物を除
去する最初沈澱池、最初沈澱池からの下水を導入し浮遊
性固形物と溶解性有機物を除去する曝気槽及び曝気槽か
らの混合液及び最初沈澱池で発生した初沈生汚泥を流入
させ、混合液中の活性汚泥を回収し一部は返送汚泥とし
て曝気槽へ、残部は初沈生汚泥と混合して余剰汚泥とし
て処理する最終沈澱池、返送汚泥及び余剰汚泥を移送す
る配管等からなる生物処理装置、最終沈澱池から移送さ
れる余剰汚泥を貯留する貯留槽、貯留槽からの余剰汚泥
が濃縮された濃縮汚泥の脱水を行う脱水機、並びに図1
に示すものとは異なる構成にされて貯留槽から導入した
余剰汚泥を濃縮する下水汚泥濃縮装置からなる。 このう
ち、下水汚泥濃縮装置には、重力濃縮、加圧浮上濃縮、
遠心濃縮などにより濃縮を行うようにしたものが従来か
らあるが、表1にこれらの方法の概要を示す。
【0003】
【表1】
【0004】これら従来の方法では、汚泥の固形物濃度
1.5%が、重力濃縮で2〜2.5%、加圧浮上濃縮で
3.5〜4%、遠心濃縮で4〜4.5%程度まで濃縮さ
れる。実際の採用実績としては、80%以上が重力濃縮
であり、次いで遠心濃縮、加圧浮上濃縮の順であるが、
近年は後二者の採用が増加している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】重力濃縮、加圧浮上濃
縮、遠心濃縮などの従来の汚泥の濃縮方法では、次の基
本的問題点がある。 (1)固液分離機能及び濃縮機能が不安定である(いず
れの方法も汚泥性状変化の影響を受け易く、とくに大半
を占める重力濃縮はその影響がきわめて大きい。) (2)固形物回収率が低い(重力濃縮で70〜80%、
加圧浮上で80〜85%、遠心濃縮で85〜90%)。 (3)濃縮分離液水質がよくない。濃縮分離液は水処理
工程に返流されるが、その水質がよくないため水処理工
程(生物処理)にかかる負荷が無視できなくなってお
り、返流水負荷として下水処理場の基本的問題点の1つ
にあげられている。
【0006】このような従来の汚泥の濃縮方法の基本的
問題点の最大の要因は、 (a)固液分離機能が十分に高くないこと。 (b)固液分離,濃縮機能が汚泥性状変化の影響を受け
易いこと。 であり、固液分離機能が高く、しかも固液分離・濃縮機
能が汚泥性状変化の影響を受けない汚泥の濃縮方法が待
望されている。
【0007】本発明は、以上の問題点を解決することが
できる汚泥の濃縮方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の汚泥の濃縮方法
は、下水、各種産業廃水の生物処理を行う下水処理装置
において発生する下水汚泥の濃縮方法において、前記下
水処理装置を構成する生物処理装置で行われる生物処理
により発生した下水汚泥を沈澱させ、前記の沈澱した
汚泥を精密濾過膜分離によって濃縮することを特徴と
する。
【0009】
【作用】液体分離用の膜分離方法には、精密濾過膜分離
(膜孔径μオーダー)と限外濾過膜分離(膜孔径Åオー
ダー)があるが、これらの膜分離は、次の基本的特徴が
ある。 (1)固形物回収率が高い(膜孔径の選択によっては1
00%)。 (2)固形物回収率が高いことに起因して、固液分離水
々質が良好である。さらに、膜孔径の選択によっては溶
解性物質もある程度阻止される。 (3)膜による固形物阻止という一種の強制濃縮である
ため濃縮機能が対象液性状の影響をほとんど受けない。
【0010】従って、前記の膜分離は、「発明が解決し
ようとする課題」の欄で説明した従来の汚泥の濃縮方法
の基本的問題点を解消することが期待できる。しかし、
適用にあたって問題となるのは、濃縮機能が既存の方法
と同等以上に維持できるか否かである。
【0011】本発明者は、数多くの実験によって、汚泥
の濃縮方法に適用する膜分離としては限外濾過よりも精
密濾過の方が適性があること、精密濾過でも膜孔径の適
正な選択によって既存の汚泥の濃縮方法と同等以上の濃
縮機能を有することを見出したものである。
【0012】図2に、本発明者が実施した下水汚泥の膜
分離試験の結果を示す。図2中、限外濾過をUF、精密
濾過をMFとして示しており、図3に試験装置の概要図
を示す。この試験装置は、図3に示すように、温度制御
用のヒータeをもち有効液量300ミリリットルの原液
貯槽a、同貯槽a内の原液を膜分離部cへ供給する循環
ポンプbを備えている。循環ポンプbによって膜分離部
cへ供給された原液貯槽a内の原液は、膜分離部cに装
着された膜dによって膜透過水と濃縮循環液に分離さ
れ、濃縮循環液が原液貯槽aに返送される。前記の膜分
離部cに装着される膜dは、種々変えられるようになっ
ている。
【0013】以上の試験装置に使用した膜は、 (i)限外濾過膜 分画分子量40000(材質ポリアク
リルニトリル),100000(材質ポリエーテルスル
フォン) (ii)精密濾過膜膜孔径0.1,0.2,0.45μm
(材質ポリスルフォン)である。 試験方法・条件は次の通り。原液貯槽aに試料液(A市
下水処理場より採取した重力濃縮槽入口汚泥、汚泥濃度
16500〜17900ppm)を入れた後、N2 ガス
で所定の透過圧力(4.0kg/cm2G)に設定し、膜分離
部cで濃縮された濃縮液を連続循環させつつ、膜透過水
を経時的に排出させる回分試験である。
【0014】回分試験開始後、所定時間ごとに「累積膜
透過水量」を計測し、透過終了後、回収した膜透過水に
ついて固形物濃度(SS)を分析した。濃縮汚泥濃度は、
膜透過流束が極端に低下する累積膜透過水量(Vu ) を
用い、固形物収支から式 CU =Co o /(Vo − Vu ) で計算して求めた。ここで、Cu;濃縮汚泥濃度
(%)、Co ;対象汚泥濃度(%)、Vo ;初期試料液
量(ミリリットル) 本発明者の行った以上の試験結果である図2に示すよう
に、濃縮汚泥濃度はUFよりMFの方が高いこと、MF
でも濃縮汚泥濃度が最大となる膜孔径(0.2μm)が
存在すること、膜孔径0.1〜0.2μmのMFを適用
すれば3.5〜4%と既存濃縮度のうち重力濃縮、加圧
浮上濃縮と同等以上の濃縮機能を得られていることが判
明した。また、固形物回収率はUF,MFのいずれも1
00%であることが判明した。
【0015】以上の試験結果に基づき、本発明において
は、最終沈澱池において生物処理により発生する下水
泥を沈澱させ、この沈澱した下水汚泥を濃縮するに当っ
て精密濾過膜(MF)分離を採用した。以上説明したよ
うに、本発明は、以上の構成を備えたことによって、従
来の下水汚泥の濃縮方法と同等以上の濃縮機能を保持し
つつ、固形物回収率が高く安定した固液分離機能を維持
することができる。
【0016】
【実施例】本発明の一実施例を、図1によって説明す
る。本実施例は、下水処理から発生する汚泥処理の濃縮
工程を精密濾過膜(MF)分離としたものである。
【0017】下水1は、最初沈澱池2において粗大固形
物を除去した後、曝気槽3に流入し、同曝気槽3におい
て浮遊性固形物と溶解性有機物などを除去する。曝気槽
3で浮遊性固形物と溶解性有機物などが除去された混合
液は後段の最終沈澱池4に流入し、混合液中の活性汚泥
は後段の最終沈澱池4で回収され、一部は返送汚泥5と
して曝気槽3へ、残部は余剰汚泥7として貯留槽8に貯
留後、膜分離部9で濃縮される。また、最初沈澱池2で
発生した初沈生汚泥6を最終沈澱池4に流入させ、同初
沈生汚泥6を最終沈澱池汚泥と混合し余剰汚泥7として
処理する。前記膜分離部9には精密濾過膜9Aが装着さ
れており、同精密濾過膜9Aによって余剰汚泥7の濃縮
が行われるようになっている。
【0018】前記膜分離部9においては、濃縮分離液と
なる膜透過水11と濃縮汚泥10が発生し、膜透過水1
1は曝気槽3へ送られ、濃縮汚泥10は脱水機12へ送
られる。脱水機12においては、濃縮汚泥10を脱水し
て脱水汚泥13とし、この脱水汚泥13は後段の汚泥処
理部へ送られる。
【0019】本実施例においては、以上説明したよう
に、最初沈澱池2で発生する初沈生汚泥6と後段の最終
沈澱池4で発生する汚泥とが余剰汚泥7として膜分離部
9へ送られ、こゝで精密濾過膜9Aによる分離によって
濃縮される。従って、本実施例は、「作用」欄で詳述し
たように、従来の汚泥の濃縮方法と同等以上の濃縮機能
を保持しつゝ、固形物回収率が高く安定した固液分離機
能を維持することができる。
【0020】
【発明の効果】本発明は、最終沈澱池において、生物処
理装置で生物処理による発生する下水汚泥を沈澱させ、
前記の沈澱した下水汚泥を精密濾過膜分離によって濃縮
することによって、従来の下水汚泥の濃縮方法と同等以
上の濃縮機能を保持しつつ、固形物回収率が高く、か
つ、下水汚泥の性状等に影響されない安定した固液分離
機能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の系統図である。
【図2】限外濾過膜と精密濾過膜を用いた試験結果を示
すグラフである。
【図3】前記試験に用いられた試験装置の構成図であ
る。
【符号の説明】
1 下水 2 最初沈澱池 3 曝気槽 4 最終沈澱池 5 返送汚泥 6 初沈生汚泥 7 余剰汚泥 8 貯留槽 9 膜分離部 9A 精密濾過膜 10 濃縮汚泥 11 膜透過水 12 脱水機 13 脱水汚泥

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下水、各種産業廃水の処理を行う下水処
    理装置において発生する汚泥の濃縮方法において、前記
    下水処理装置を構成する生物処理装置で行われる生物処
    により発生する下水汚泥を沈澱させ、前記の沈澱した
    下水汚泥を精密濾過膜分離によって濃縮することを特徴
    とする汚泥の濃縮方法。
JP26471192A 1992-10-02 1992-10-02 汚泥の濃縮方法 Ceased JP3165526B2 (ja)

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US8114293B2 (en) 2003-10-29 2012-02-14 Zenon Technology Partnership Method of operating a water treatment plant with immersed membranes
US7879229B2 (en) 2003-10-29 2011-02-01 Zenon Technology Partnership Water treatment plant with immersed membranes

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