JP2002228795A - 放射性排水の処理方法及び処理装置 - Google Patents

放射性排水の処理方法及び処理装置

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JP2002228795A JP2001356169A JP2001356169A JP2002228795A JP 2002228795 A JP2002228795 A JP 2002228795A JP 2001356169 A JP2001356169 A JP 2001356169A JP 2001356169 A JP2001356169 A JP 2001356169A JP 2002228795 A JP2002228795 A JP 2002228795A
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涼三 吉川
Hironori Mizutani
弘則 水谷
Takafumi Kurahashi
隆文 倉橋
Masanori Kanda
昌典 神田
Terushiro Fukumatsu
輝城 福松
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Abstract

(57)【要約】 【課題】放射性排水に含まれる放射性物質、または放射
性物質及びCOD原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質
を、SS状のものもイオン状または溶解性のものも効果
的に除去できる方法と装置を提供する。 【解決手段】原子力施設から発生する放射性排水を、反
応槽1で酸化剤と接触させることにより放射性排水中の
イオン状放射性物質を酸化・不溶化処理し、この処理水
をフィルタ2などで固液分離することにより、不溶化さ
れた放射性物質を除去する。請求項2の発明によれば、
イオン状放射性物質を酸化・不溶化処理すると同時にC
OD原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質をも分解処理
し、除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力施設から発
生する放射性排水の処理方法及び処理装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】原子力施設から発生する放射性排水とし
ては、作業員の衣類を洗濯した際に発生する洗濯排水、
機器や配管系統の洗浄排水・ブロー排水などである機器
ドレン水、施設床上への漏洩水・結露水や雑排水である
床ドレン水などがある。これらの放射性排水は排水中の
放射性物質を除去低減した上で、施設用水として再利用
されたり、環境へ放出処分される。環境放流にあたって
は、放射性物質以外にも排水中に含まれる化学的酸素要
求量(以下CODと略記)原因物質やノルマルヘキサン
抽出物質(ノルマルヘキサンにより抽出される物質で主
に油脂分)も除去低減する必要がある。
【0003】このような放射性排水の効果的かつ経済的
処理方法として、従来からフィルタによるろ過処理が採
用されており、フィルタとして近年は、二次廃棄物の少
ない、セラミック膜や有機高分子膜を用いた非助材フィ
ルタが多用される傾向にある。中でもセラミック膜は、
高強度・高耐圧性・耐薬品性・耐久性など優れた特性を
有するとともに、クロスフローろ過の場合には懸濁固形
物(以下SSと略記)の多い放射性排水でも高い倍率で
濃縮減容できる特長も有している。
【0004】ところが、放射性排水中の放射性物質やC
OD原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質には、往々に
して、SS状物質のほかにイオン状または溶解性の物質
も併せ含まれており、通常のフィルタ(精密ろ過膜、限
外ろ過膜)によるろ過ではSS状物質は捕捉除去できる
が、イオン状または溶解性の物質はフィルタを通過して
しまうため除去できないという問題がある。イオン状ま
たは溶解性物質に対する従来の除去技術として、放射性
物質除去を主眼としては、イオン交換樹脂処理、蒸発濃
縮処理、逆浸透膜処理などが、またCOD原因物質・ノ
ルマルヘキサン抽出物質除去を主眼としては、活性炭吸
着処理、凝集沈澱処理などが実用されているが、それぞ
れ次のような問題があった。
【0005】まずイオン交換樹脂処理では、放射性排水
中のイオン状不純物質が多いと、樹脂を使い捨てる場合
には放射性廃イオン交換樹脂が多量に発生し、また樹脂
を薬品再生する場合には放射性再生廃液が多量に発生す
ることになり、これら二次廃棄物を処理する設備の建設
費用や運転経費が莫大となる。蒸発濃縮処理では、処理
装置自体が比較的高価なことや広い設置スペースを要す
ることと、放射性洗濯排水を処理する場合には、排水中
の洗剤成分起因の発泡による処理性能上の問題や排水中
に含有される塩素イオンの濃縮限度に基づく二次廃液発
生量増加の問題を有している。逆浸透膜は高性能の膜で
あるが、非常に精密な膜であるために取り扱いが難し
く、膜の目詰まり対策や洗浄、更には膜交換などの保守
作業量・運転経費の増大や二次廃棄物の使用済膜発生量
の増大という問題を有している。
【0006】また、活性炭吸着処理や凝集沈殿処理のい
ずれの場合も、大量の廃活性炭や廃スラッジが発生し、
これら二次廃棄物の処理作業量・運転経費が増大する問
題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
技術の問題点を解決して、放射性排水中に含まれる放射
性物質を、SS状のものもイオン状または溶解性のもの
も全て除去することができ、かつ二次廃棄物の発生量を
できるだけ抑制することができる放射性排水の処理方法
及び処理装置を提供することを第1の課題とするもので
ある。また本発明の第2の課題は、放射性排水中に含ま
れるCOD原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質につい
ても、同様に処理することができる放射性排水の処理方
法及び処理装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の第1の課題を解決
するためになされた請求項1の発明の放射性排水の処理
方法は、原子力施設から発生する放射性排水を、酸化剤
と接触させることにより放射性排水中のイオン状放射性
物質を酸化・不溶化処理し、該処理水を固液分離して不
溶化された放射性物質を除去することを特徴とするもの
である。また第2の課題を解決するためになされた請求
項2の発明の放射性排水の処理方法は、原子力施設から
発生する放射性排水を、酸化剤と接触させることにより
放射性排水中のイオン状放射性物質を酸化・不溶化処理
すると同時に、化学的酸素要求量原因物質・ノルマルヘ
キサン抽出物質を分解処理し、該処理水を固液分離して
不溶化された放射性物質を除去することを特徴とするも
のである。
【0009】なお、放射性排水を、触媒の存在下で酸化
剤と接触させることが好ましく、その触媒としては二酸
化マンガン触媒、コバルト系触媒、ニッケル系触媒、銅
系触媒、アルミナ系触媒、チタニア系触媒、白金・パラ
ジウムなどの貴金属系触媒から選択されたものが使用で
きる。酸化剤としては、オゾン、酸素、空気、次亜塩素
酸、過酸化水素、過マンガン酸塩から選択されたものが
使用できる。固液分離は、フィルタによるろ過、重力沈
降、凝集沈殿、遠心分離、浮上分離から選択された方法
で行うことができる。固液分離により不溶化された放射
性物質を含む液を濃縮し、該濃縮液を最終的に焼却減容
処理することが好ましい。
【0010】また本発明の放射性排水の処理装置は、酸
化剤供給手段から供給される酸化剤により、放射性排水
中のイオン状放射性物質を酸化・不溶化する反応槽を設
け、該反応槽の後段に固液分離装置を設けたことを特徴
とするものである。この反応槽は、放射性排水中のイオ
ン状放射性物質を酸化・不溶化処理すると同時に、CO
D原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質を分解するもの
とすることもできる。
【0011】なお、反応槽に触媒を充填した構造とする
ことが好ましい。触媒としては二酸化マンガン触媒、コ
バルト系触媒、ニッケル系触媒、銅系触媒、アルミナ系
触媒、チタニア系触媒、白金・パラジウムなどの貴金属
系触媒から選択されたものが使用でき、酸化剤としては
オゾン、酸素、空気、次亜塩素酸、過酸化水素、過マン
ガン酸塩から選択されたものが使用できる。固液分離装
置としてはろ過装置、重力沈降装置、凝集沈殿装置、遠
心分離装置、浮上分離装置から選択されたものが使用で
きる。また反応槽の前段に、原子力施設から発生する放
射性排水を固液分離する装置を設けた構造とすることも
できる。
【0012】請求項1の発明によれば、放射性排水を酸
化剤と接触させることにより、放射性排水中のイオン状
放射性物質を酸化・不溶化してSS状放射性物質ととも
に固液分離することができ、また請求項2の発明によれ
ば、同時に放射性排水中のCOD原因物質・ノルマルヘ
キサン抽出物質をも分解除去することができる。この結
果、放射性排水中に含まれる放射性物質やCOD原因物
質・ノルマルヘキサン抽出物質を、SS状のものもイオ
ン状または溶解性のものも全て除去することができる。
また放射性排水を酸化剤と接触させれば、COD原因物
質・ノルマルヘキサン抽出物質を分解除去することがで
きるため、特に後段の固液分離装置でろ過処理を行う場
合、フィルタのろ過処理の負担軽減となり、差圧上昇の
低減、逆洗再生頻度の低減を図ることができ、ろ過処理
性能の長期安定化の効果がある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の好ましい実施形態
を示す。図1は本発明の基本的な実施形態を示すもの
で、原子力施設から発生する洗濯排水、機器ドレン水、
床ドレン水などの放射性排水が供給される反応槽1の後
段に、フィルタ2と循環ポンプ3と循環タンク4とから
なる固液分離装置を配置した例を示す。この反応槽1の
内部には触媒5が充填されており、反応槽1には酸化剤
供給手段6が設けられている。このため、放射性排水は
反応槽1の内部を流動する間に触媒の存在下で酸化剤と
接触し、酸化される。ただし本発明においては、触媒5
は必ずしも必要ではない。なお、図1では、気体状の酸
化剤を想定して、反応槽1の下部に酸化剤供給手段6を
配設し、反応槽1の上部から流下する放射性排水と該酸
化剤が向流接触する様態で示しているが、液体状の酸化
剤の場合にあっては、図1に限定されることなく、酸化
剤供給手段6は反応槽1の上部もしくは図示しない放射
性排水の供給部に配設され、放射性排水と該酸化剤が並
流接触する様態となることをさまたげるものではなく、
また放射性排水及び該酸化剤の反応槽1の内部流動は下
降流に限定されず、上昇流でも水平流でもよい。
【0014】触媒5としては、二酸化マンガン触媒、コ
バルト系触媒、ニッケル系触媒、銅系触媒、アルミナ系
触媒、チタニア系触媒、白金・パラジウムなどの貴金属
系触媒から選択されたものが使用できる。また酸化剤と
しては、オゾン、酸素、空気、次亜塩素酸、過酸化水
素、過マンガン酸塩から選択されたものが使用できる。
二酸化マンガン触媒を用いる場合、触媒活性を高めるた
めに反応槽1の温度を30℃〜80℃程度、望ましくは
50℃〜70℃程度とすることが好適である。また酸化
剤としてオゾンを用いる場合、排水に対して200pp
m〜2000ppm程度、望ましくは450〜1350
ppm程度のオゾンを供給することが好適である。
【0015】このようにして放射性排水を反応槽1内で
酸化剤と接触させると、放射性排水中のイオン状放射性
物質を酸化・不溶化することができる。例えば、放射性
排水中に含有されている主なイオン状放射性物質である
コバルトイオンは、酸化されると不溶性の水酸化コバル
トとなる。またこれと同時に、放射性排水中のCOD原
因物質・ノルマルヘキサン抽出物質は分解される。
【0016】反応槽1から取り出された処理水は次に固
液分離装置において固液分離され、SS状放射性物質が
除去されると同時に、反応槽1において不溶化された放
射性物質が除去される。この結果、放射性排水中に含ま
れるイオン状放射性物質、SS状放射性物質、COD原
因物質・ノルマルヘキサン抽出物質は全て除去されるこ
ととなる。ただし、本発明において、放射性排水中にS
S状放射性物質が存在することは必ずしも必要ではな
い。
【0017】図1の実施形態では、固液分離方法とし
て、循環ポンプ3によってフィルタ2と循環タンク4と
の間で液を循環させつつろ過浄化した処理済水を取り出
す、クロスフローろ過方法を用いる場合について示した
が、本発明はクロスフローろ過に限定するものではな
く、全量直ろ過方法を用いても良い。また使用するフィ
ルタ2についても、特定の型式・構造・材料のものに限
定するものではなく、セラミック膜や有機高分子膜など
を用いた非助材逆洗式ろ過でもよく、各種の助材プリコ
ート逆洗ろ過でも、非助材非逆洗式のカートリッジ交換
型ろ過でもよい。ただし、二次廃棄物の発生を抑制する
上では、非助材逆洗式ろ過を用いるのが好適であり、例
えば孔径が1μm〜0.01μm程度、好ましくは0.1
μm程度のセラミック膜を使用したクロスフローろ過の
場合には、SS状不純物質を数10〜100ppmの比
較的高い濃度で含有している放射性排水に対しても、容
易に1000倍オーダの高い倍率まで濃縮減容が可能と
なり、最終的に焼却減容処理する上での負荷低減効果が
大きい。またこの場合、SS状放射性物質や不溶化され
た放射性物質などのSS状不純物質は、流動性をもった
スラリ状態で濃縮されるため、焼却炉に送り出すにあた
って管路で送液することが可能となり、大きな運転負担
軽減効果も得られる。
【0018】ろ過装置のほか、固液分離装置としては重
力沈降装置、凝集沈殿装置、遠心分離装置又は浮上分離
装置を用いることもできる。重力沈降装置は水とSS成
分の比重差を利用してタンク・槽などの容器内でSS成
分を沈降させ、固液分離を行う装置である。凝集沈殿装
置は凝集剤を添加して沈降性に優れたフロックを形成さ
せたうえでこれを沈殿させ、固液分離を行なう装置であ
る。遠心分離装置は回転する容器内の中で、水とSS成
分の比重差に遠心力の作用を組み合わせて、固液分離を
行う装置である。また浮上分離装置は槽底部に気体を供
給して固体分を気泡とともに浮上させ、固液分離を行な
う装置である。固液分離装置を通過した処理水は必要に
応じて水素イオン濃度(pH)調整などを行なったう
え、環境へ放出することができる。
【0019】以上に説明した実施形態では、放射性排水
を反応槽1に直接供給したが、放射性排水中にSSが多
い場合には触媒5の間に入り込んで目詰まりさせるおそ
れがある。そこで図2に示す第2の実施形態のように、
反応槽1の前段に放射性排水に対する別の固液分離装置
7を設けることもできる。
【0020】このように、請求項1の発明によれば放射
性排水中に含まれる放射性物質を、SS状のものもイオ
ン状または溶解性のものも全て除去することができ、請
求項2の発明によれば放射性排水中に含まれる放射性物
質及びCOD原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質を、
SS状のものもイオン状または溶解性のものも全て除去
することができる。また、高度に濃縮された廃液を焼却
処理することにより、二次廃棄物の発生量を抑制するこ
とができる。以下に本発明の実施例を示す。
【0021】
【実施例】(実施例1…触媒と酸化剤、請求項1の発
明)放射性排水を模擬するため、コールドトレーサとし
てコバルトイオンを添加した模擬排水を調整した。この
模擬排水中には10ppmのコバルトイオンが含まれて
いる。この模擬排水を直径30mm、高さ4mの反応塔
にSV=1(約2.8L/h)で塔上部より供給し、また
反応塔下部より3〜4%のオゾンガスを含有した空気を
通気し、塔内へ散気した。反応塔の内部にはハニカム充
填物の表面に二酸化マンガンを担持させた二酸化マンガ
ン触媒を充填し、内部を70℃に加温した。オゾン供給
量は模擬排水に対して500、1350ppmとした。
【0022】模擬排水を二酸化マンガン触媒が充填され
たこの反応塔で500ppmのオゾンと接触させ、更に
0.1μmのセラミックフィルタでろ過したところ、ろ
液中のコバルト濃度は1ppmにまで低下した。
【0023】また模擬排水を二酸化マンガン触媒が充填
された反応塔で1350ppmのオゾンと接触させ、更
に0.1μmのセラミックフィルタでろ過したところ、
ろ液中のコバルト濃度は0.1ppm以下にまで低下し
た。コバルトイオンの除去係数(インプット/アウトプ
ット)は100以上となり、優れた除去効果が確認でき
た。
【0024】(実施例2…酸化剤、請求項2の発明)放
射性排水を模擬するため、コールドトレーサとしてコバ
ルトイオンを添加した模擬排水を調整した。この模擬排
水中には3ppmのコバルトイオンと、80ppmのS
Sと、75ppmのCODが含まれている。この模擬排
水を直径30mm、高さ4mの反応塔にSV=1(約
2.8L/h)で塔上部より供給し、また反応塔下部より
3〜4%のオゾンガスを含有した空気を通気し、塔内へ
散気した。塔内部はヒータにより70℃に加温した。オ
ゾン供給量は模擬排水に対して1350ppmとした。
【0025】このようにして酸化処理された段階では処
理水中のコバルト濃度は変化しなかったが、処理水を更
に孔径が0.1μmのセラミックフィルタでろ過したと
ころ、ろ液中のコバルト濃度は0.3ppmにまで低減
し、コバルトイオンの除去係数(インプット/アウトプ
ット)は10となった。この結果、他のイオン状核種も
酸化剤で不溶化され、固液分離により液中から除去でき
ると推定できる。また、オゾン処理により液中のCOD
濃度も15ppmにまで低下した。
【0026】次に上記した1350ppmのオゾンに代
えて、1300ppmの次亜塩素酸と、660ppmの
過酸化水素を用いて同様に試験したところ、コバルトイ
オン濃度を同様に低下させることができ、またCOD濃
度を、模擬排水の濃度の1/4〜1/3程度まで低下させ
ることができた。
【0027】(実施例3…触媒と酸化剤、請求項2の発
明)試験水として、イオン状放射性物質であるコバルト
60を1.3×10-1Bq/cm3及び6.4×10-1Bq
/cm3含有する2種類の洗濯排水を準備した。これらの
洗濯排水中のSS濃度は50ppm、COD濃度は12
5ppm、ノルマルヘキサン抽出物質濃度は39ppm
である。
【0028】これらの洗濯排水を直径30mm、高さ4
mの反応塔にSV=1で塔上部より供給し、また反応塔
下部より3〜4%のオゾンガスを含有した空気を通気
し、塔内へ散気した。ただし反応塔の内部にはハニカム
充填物の表面に二酸化マンガンを担持させた二酸化マン
ガン触媒を充填し、内部を70℃に加温した。オゾン供
給量はコバルト濃度の低い洗濯排水に対して450pp
mとし、コバルト濃度の高い洗濯排水に対して450p
pm及び1350ppmとした。
【0029】コバルト濃度が1.3×10-1Bq/cm3
の洗濯排水を二酸化マンガン触媒が充填されたこの反応
塔で450ppmのオゾンと接触させ、更に0.1μm
のセラミックフィルタでろ過したところ、ろ液中のコバ
ルト濃度は2.5×10-3Bq/cm3にまで低下した。
【0030】またコバルト濃度が6.4×10-1Bq/c
3の洗濯排水を二酸化マンガン触媒が充填された反応
塔で450ppmのオゾンと接触させ、更に0.1μm
のセラミックフィルタでろ過したところ、ろ液中のコバ
ルト濃度は1.9×10-2Bq/cm3にまで低下した。
放射能除去係数は33〜52となり、酸化剤のみの実施
例2よりも優れた結果が得られた。
【0031】また、コバルト濃度が6.4×10-1Bq/
cm3の洗濯排水を二酸化マンガン触媒が充填された反
応塔で1350ppmのオゾンと接触させ、更に0.1
μmのセラミックフィルタでろ過したところ、ろ液中の
コバルト濃度は<2.2〜5.7×10-3Bq/cm3にま
で低下した。この場合の放射能除去係数は110〜>3
00となり、優れた放射能除去効果が確認できた。
【0032】なお、最初の洗濯排水中のCOD濃度は1
25ppmであったが、オゾン供給量を375ppmと
すると24〜31ppmまで低下し、オゾン供給量を5
60ppmとすると14〜18ppmまで低下した。更
にオゾン供給量を750ppmとすると6.2〜9.4p
pmとなり、オゾン供給量を940ppmとすると6.
4〜8.2ppmとなった。またオゾン供給量を750
ppmとするとノルマルヘキサン抽出物質濃度は最初の
39ppmから2.6ppmまで低下し、オゾン供給量
を940ppmとすると0.8ppmとなった。このよ
うに放射性排水中のCOD原因物質やノルマルヘキサン
抽出物質も、分解除去されたことが確認できた。
【0033】(実施例4…触媒と酸化剤の他の組み合わ
せ)以下に、触媒と酸化剤の他の組み合わせについて実
験した結果を示す。ただしこれらの実験ではイオン状放
射性物質を含まない試験水を用い、COD濃度の除去率
のみを測定した。その結果を表1にまとめた。いずれの
場合にもCOD濃度を十分に低減しており、イオン状放
射性物質についても酸化・不溶化ができるものと推定さ
れる。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の放射性
排水の処理方法及び処理装置によれば、原子力施設から
発生する放射性排水に含まれる放射性物質、または放射
性物質及びCOD原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質
を、SS状のものもイオン状または溶解性のものも全て
除去することができる。また本発明によれば、従来のイ
オン交換樹脂、蒸発缶、RO膜などのイオン状放射性物
質除去手段を用いた場合とは異なり、二次廃棄物の発生
量が少なくなり、また保守作業も簡単となるなどの利点
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な実施形態を示すブロック図で
ある。
【図2】本発明の他の実施形態を示すブロック図であ
る。
【符号の説明】
1 反応槽、2 フィルタ、3 循環ポンプ、4 循環
タンク、5 触媒、6酸化剤供給手段、7 別の固液分
離装置
フロントページの続き (72)発明者 水谷 弘則 東京都江東区千石1−5−10 ドーミー木 場3209 (72)発明者 倉橋 隆文 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 (72)発明者 神田 昌典 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 (72)発明者 福松 輝城 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子力施設から発生する放射性排水を、
    酸化剤と接触させることにより放射性排水中のイオン状
    放射性物質を酸化・不溶化処理し、該処理水を固液分離
    して不溶化された放射性物質を除去することを特徴とす
    る放射性排水の処理方法。
  2. 【請求項2】 原子力施設から発生する放射性排水を、
    酸化剤と接触させることにより放射性排水中のイオン状
    放射性物質を酸化・不溶化処理すると同時に、化学的酸
    素要求量原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質を分解処
    理し、該処理水を固液分離して不溶化された放射性物質
    を除去することを特徴とする放射性排水の処理方法。
  3. 【請求項3】 放射性排水を、触媒の存在下で酸化剤と
    接触させる請求項1または2記載の放射性排水の処理方
    法。
  4. 【請求項4】 触媒が二酸化マンガン触媒、コバルト系
    触媒、ニッケル系触媒、銅系触媒、アルミナ系触媒、チ
    タニア系触媒、白金・パラジウムなどの貴金属系触媒か
    ら選択されたものである請求項3記載の放射性排水の処
    理方法。
  5. 【請求項5】 酸化剤がオゾン、酸素、空気、次亜塩素
    酸、過酸化水素、過マンガン酸塩から選択されたもので
    ある請求項1〜4の何れかに記載の放射性排水の処理方
    法。
  6. 【請求項6】 固液分離をフィルタによるろ過、重力沈
    降、凝集沈殿、遠心分離、浮上分離から選択された方法
    で行う請求項1〜5の何れかに記載の放射性排水の処理
    方法。
  7. 【請求項7】 固液分離により不溶化された放射性物質
    を含む液を濃縮し、該濃縮液を焼却処理する請求項1〜
    6の何れかに記載の放射性排水の処理方法。
  8. 【請求項8】 酸化剤供給手段から供給される酸化剤に
    より、放射性排水中のイオン状放射性物質を酸化・不溶
    化する反応槽を設け、該反応槽の後段に固液分離装置を
    設けたことを特徴とする放射性排水の処理装置。
  9. 【請求項9】 反応槽が、放射性排水中のイオン状放射
    性物質を酸化・不溶化すると同時に、化学的酸素要求量
    原因物質・ノルマルヘキサン抽出物質を分解するもので
    ある請求項8記載の放射性排水の処理装置。
  10. 【請求項10】 反応槽に触媒を充填した請求項8また
    は9に記載の放射性排水の処理装置。
  11. 【請求項11】 触媒が二酸化マンガン触媒、コバルト
    系触媒、ニッケル系触媒、銅系触媒、アルミナ系触媒、
    チタニア系触媒、白金・パラジウムなどの貴金属系触媒
    から選択されたものである請求項10記載の放射性排水
    の処理装置。
  12. 【請求項12】 酸化剤がオゾン、酸素、空気、次亜塩
    素酸、過酸化水素、過マンガン酸塩から選択されたもの
    である請求項8〜11の何れかに記載の放射性排水の処
    理装置。
  13. 【請求項13】 固液分離装置がろ過装置、重力沈降装
    置、凝集沈殿装置、遠心分離装置、浮上分離装置から選
    択されたものである請求項8〜12の何れかに記載の放
    射性排水の処理装置。
  14. 【請求項14】 反応槽の前段に、原子力施設から発生
    する放射性排水を固液分離する装置を設けた請求項8〜
    13の何れかに記載の放射性排水の処理装置。
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