JP3729139B2 - 薄膜ダイヤフラムを有する半導体装置の製造方法及びその製造方法に用いる検査装置 - Google Patents

薄膜ダイヤフラムを有する半導体装置の製造方法及びその製造方法に用いる検査装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力センサ、ガスセンサ、フローセンサ等の薄膜ダイヤフラムを有する半導体装置の製造方法及びその製造方法に用いる検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
薄膜ダイヤフラムを備えるセンサにおいて、この薄膜ダイヤフラムは非常に繊細であり、製造工程において、傷や異物などにより強度不良品が発生する可能性がある。このため、薄膜ダイヤフラムの強度を保証することは重要である。
【0003】
しかしながら、従来では、薄膜の強度を直接検査することは行われていなかった。
【0004】
なお、薄膜ダイヤフラムの強度の検査方法としては、センサチップを1つずつ専用治具に固定し、直接ダイヤフラムに所定応力を加え、その応力に耐えうるかどうかで強度を検査した後、チップを取り外す方法が考えられる。しかし、この場合では、1つずつ検査するため、多大な時間と労力がかかってしまう。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、薄膜ダイヤフラムの強度検査を効率良く行うことができる半導体装置の製造方法及びそれに用いる検査装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、半導体ウェハ(1)にチップ(11)単位ごとに凹部(2)と薄膜部としてのダイヤフラム(3)とを形成するダイヤフラム形成工程と、半導体ウェハ(1)のうちダイヤフラム(3)が形成された面と反対の面にシール材(6)を貼り付けることにより、このシール材(6)によって凹部(2)を、所定内圧を有する閉空間(2a)とするシール材貼付工程と、閉空間(2a)の内圧と外圧とに圧力差を与えることにより、各々のダイヤフラム(3)に応力を加え、各々のダイヤフラム(3)の強度検査を行う検査工程とを備えることを特徴としている。
【0007】
このようにシール材(6)によって形成された閉空間(2a)の内圧と外圧とに圧力差を与えることにより、各々のダイヤフラム(3)に均一の応力を加え、所定強度に満たないものを強制的に破壊することができる。そのため、破壊されたダイヤフラム(3)を有するチップを除去することができるから、所定強度以上のダイヤフラム(3)を有する半導体装置を適切に製造することができる。
【0008】
よって、本発明によれば、ウェハ状態にて複数のダイヤフラム(3)の強度を一括して検査することができるため、薄膜ダイヤフラム(3)の強度検査を効率良く行うことができる半導体装置の製造方法を提供することができる。
【0009】
なお、請求項2に示すように、シール材(6)として、例えば、半導体ウェハ(1)をチップ(11)に切り分けるダイシング工程にて使用するダイシングテープ(6)を用いることができる。
【0010】
検査された半導体ウェハ(1)は最終的にチップ(11)毎に分断されるが、本発明では、このダイシング工程にて、通常使用されるダイシングテープ(6)をシール材として使用することができる。これにより、シール材の貼付工程とダイシングテープ(6)の貼付工程とを兼用することができ、より効率的である。
【0011】
また、請求項3に示すように、ダイシングテープ貼付工程と検査工程との間に、半導体ウェハ(1)をチップ(11)に切り分けるダイシング工程を行うこともできる。
【0012】
このようにしても、切り分けられたチップ(11)はダイシングテープ(6)でつながっているので、その後の検査工程等における取扱い性にも問題はなく、複数のダイヤフラム(3)の強度を一括して検査することができる。また、ダイシング工程後に検査工程を行うことで、ダイシング工程時の振動等によりダイヤフラム(3)が破壊若しくは強度が低下したものについても、後の検査工程により除外することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、チップ(11)単位ごとに凹部(2)と薄膜部としてのダイヤフラム(3)とが形成された半導体ウェハ(1)を用い、この半導体ウェハ(1)におけるダイヤフラム(3)の強度を検査する検査装置であって、一面上に半導体ウェハ(1)を搭載可能な基台(21)と、半導体ウェハ(1)と基台(21)との間に介在し、半導体ウェハ(1)に貼り付けられることによって、半導体ウェハ(1)の凹部(2)を閉空間(2a)とするシール材(6)と、半導体ウェハ(1)を搭載した状態で半導体ウェハ(1)を覆うように基台(21)の一面に設けられる蓋部材(22)と、蓋部材(22)と基台(21)の一面との間に形成される空間部(25)を所定圧力とするための圧力形成手段(27)とを備え、閉空間(2a)の内圧と外圧とに圧力差を与えることにより、各々のダイヤフラム(3)に応力を加え、各々のダイヤフラム(3)の強度検査を行うようにしたことを特徴としている。
【0014】
この装置を用いることで、複数のダイヤフラム(3)に均一の応力を加え、所定強度未満の強度であるダイヤフラム(3)を破壊することができる。その後、ダイヤフラム(3)が破壊されたチップ(11)を除去することができるから、複数のダイヤフラム(3)の強度を一括して検査することができる。
【0015】
つまり、本発明によれば上記の請求項1乃至3に記載の製造方法に用いて好適な検査装置を提供することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明では、基台(21)は、シール材(6)との間の空気を装置外に放出しシール材(6)との間に空気が停滞するのを防止する空気停滞防止手段(23)を備えていることを特徴としている。
【0017】
これにより、基台(21)に半導体ウェハ(1)を搭載したときに、シール材(6)と基台(21)との間に空気が停滞して、シール材(6)が変形することで、閉空間(2a)の容積が変化し、この閉空間(2a)の内圧が変化するのを防ぐことができる。この結果、複数の閉空間(2a)の内圧を所定圧力にすることができるので、複数のダイヤフラム(3)に所定の応力を加えることができる。
【0018】
請求項6に示すように、 空気停滞防止手段として、例えば、基台(21)の半導体ウェハ(1)が搭載される領域に、通気性を有する多孔質材料にて構成された支持部(23)を備えることができる。
【0019】
これにより、多孔質材料の細孔を通じてシール材(6)と基台(21)との間の空気を装置外に放出することができる。
【0020】
なお、請求項7に示すように、多孔質材料は、例えば、任意の1mm2以下の領域にて通気性を有していることが好ましい。
【0021】
また、請求項8に示すように、多孔質材料の半導体ウェハ(1)が搭載される面における表面凹凸は、シール材(6)の厚さよりも小さいことが好ましい。
【0022】
また、請求項9に示すように、基台(21)は、支持部(23)の下側の領域に複数の通気孔(24)を設け、その上に支持部(23)を備える構成とすることができる。なお、通気孔(24)はシール材(6)と支持部(23)との間に空気が停滞しないように、多孔質材料を通じて、装置外に空気が放出されるように設定することが好ましい。
【0023】
請求項10に記載の発明では、圧力形成手段(27)はガスを発生するガス発生手段と(27)、ガス発生手段(27)と空間部(25)とをつなぐガス導入口(26)とを備えてなり、ガス発生手段(27)から、ガス導入口(26)を介して、空間部(25)にガスを導入することにより、空間部(25)を所定圧力にすることを特徴としている。
【0024】
このようにガスを空間部(25)に導入し、空間部(25)を加圧して所定圧力にすることで、半導体ウェハ(1)の閉空間(2a)の内圧と外圧とに差圧を生じさせることができる。これにより、各ダイヤフラム(3)に所定応力を加えることができる。
【0025】
なお、請求項11に示すように、ガス導入口(26)は蓋部材(22)のうち、基台(21)における半導体ウェハ(1)の搭載領域に対向する部位よりも外側に位置するように配置されるのが好ましい。
【0026】
これにより、空間部(25)にガスを導入したときに、導入されたガスがダイヤフラム(3)に直接当たり、ダイヤフラム(3)に所定の応力以上の応力が加えられるのを防ぐことができる。
【0027】
請求項12に記載の発明では、記蓋部材(22)は、基台(21)における半導体ウェハ(1)の搭載領域に対向する部位の中心を基準として、ガス導入口(26)と反対の位置に圧力計(28)を備えていることを特徴としている。
【0028】
このような位置に圧力計を蓋部材(22)に備えることで、ガス導入口(26)と圧力計(28)とを離れた位置とできる。したがって、ガス導入口(26)から出てくるガスの流れの圧力計(28)への影響を小さくできるため、圧力計(28)によって空間部(25)内の圧力を適切に測定できる。
【0029】
請求項13に記載の発明では、蓋部材(22)は周縁部に空間部(25)を気密に封止するためのOリング(29)を備えていることを特徴としている。
【0030】
これにより、空間部(25)の密閉性を向上させることができる。
【0031】
また、請求項14に示すように、シール材として、例えば、半導体ウェハ(1)をチップ(11)に切り分けるダイシング工程にて使用するダイシングテープ(6)を用いることもできる。
【0032】
請求項15に記載の発明は、ダイシングテープ(6)には、このダイシングテープ(6)が半導体ウェハ(1)に貼り付けられたときに、半導体ウェハ(1)を取り囲むような位置にダイシングリング(5)が設けられており、Oリングとダイシングリング(5)とが接することで、空間部(25)が密閉されることを特徴としている。
【0033】
ダイシングリング(5)とOリング(29)とを用いて空間部(25)の密閉性を向上させることができる。
【0034】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。
【0036】
まず、本実施形態を適用して製造されるダイヤフラム3を有する半導体装置としての半導体チップ11の構成を説明する。図1はダイヤフラムを有する半導体チップ11の断面図である。半導体チップ11は半導体基板1に凹部2と薄膜部としてのダイヤフラム3が形成されている。
【0037】
例えば、このようなダイヤフラム3を有する半導体装置を赤外線センサとして構成する場合は、このダイヤフラム3上に図示しない抵抗回路が形成されている。そして、このダイヤフラム3に赤外線が照射されると、ダイヤフラム3は低い熱伝導性を有するため、発生した熱がダイヤフラム部の外に伝わりにくく、照射された赤外線量に対応してダイヤフラム3の温度が上昇する。この温度上昇に応じた信号が上記抵抗回路から発生し、この信号に基づいて赤外線量が検出されるようになっている。
【0038】
次に上記半導体装置の製造方法を説明する。図2〜図6は、本製造方法を具体的に示す説明図である。図7(a)、(b)は本製造方法にて用いる検査装置の構成を示す図である。また、図8は本製造方法にて行う検査時の半導体装置の断面図である。以下では、これらの図を参照して製造方法を説明する。
【0039】
図2はこの半導体チップ11が形成された状態の半導体ウェハ1を示している。まず、半導体ウェハ1にダイヤフラム3を形成する工程を行う。この工程では、シリコンウェハ等の半導体ウェハ1を用意する。そして、半導体ウェハ1の一面の所定領域をエッチングすることにより、チップ11単位ごとに一面側から凹んだ凹部2を形成する。この凹部2の形成に伴い凹部2の底面に薄膜部としてのダイヤフラム3を形成する。
【0040】
次にシール材の貼り付け工程を行う。本実施形態では、シール材として、ダイシング工程にて使用するダイシングテープを用いる。図3(a)はこのときの工程の作業状態を斜視的に示す図であり、また、図3(b)は同作業状態を断面的に示す図である。この工程では、ステージ4上にダイシングリング5を置く。そして、このダイシングリング5の内側にダイヤフラム3が形成されている半導体ウェハ1を、ダイヤフラム3が形成された面を下にして置く。
【0041】
そして、半導体ウェハ1とダイシングリング5との上にダイシングテープ6を載せ、ローラー7を用いて、半導体ウェハ1のうちダイヤフラム3が形成された面と反対の面にダイシングテープ6を貼り付ける。
【0042】
これにより、半導体ウェハ1のチップ11単位毎に形成された凹部2を閉空間2aとする。なお、ここでいうダイシングテープ6は切り分けられたチップ11を固定するものである。本実施形態では、ダイシングテープ6として、紫外線を照射すると粘着力が低下するUVテープを使用している。また、ダイシングリング5は半導体ウェハ1にダイシングテープ6を貼るときに、補助として使用するものである。
【0043】
続いて、ダイシングテープ6をカットする。図4(a)はこのときの工程の作業状態を斜視的に示す図であり、また、図4(b)はカット後の半導体ウェハ1におけるダイヤフラム3が形成されている面を上から見たときの図である。図4(a)に示すように、カッター8により、ダイシングテープ6をダイシングリング5の外周に沿ってカットし、半導体ウェハ1及びダイシングリング5にダイシングテープ6を貼り付けた状態とする。
【0044】
次に、半導体ウェハ1をチップ11に切り分けるダイシング工程を行う。図5(a)はこのときの工程の作業状態を斜視的に示す図であり、図5(b)はカット後の半導体ウェハのダイヤフラム3が形成されている面を上から見たときの図を示す。この工程では、半導体ウェハ1の面のうち、ダイヤフラム3が形成されている面を上にして、ステージ9に置く。
【0045】
そして、ブレード10により、図5(a)中の矢印の方向にカットすることで、半導体ウェハ1をチップ11ごとに切り分ける。なお、このとき、ダイシングテープ6は裁断されないので、切り分けられた各々のチップ11はダイシングテープ6でつながっている。
【0046】
次に、ダイヤフラム3の強度を検査する工程を行う。ここで、検査装置の構成を説明する。図6(a)、(b)は検査装置の外観の斜視図である。また、図7(a)は検査装置の断面構成を示す図であり、図7(b)は図7(a)中の点線により囲まれた部分Hの拡大図である。なお、これらの図は、半導体ウェハ1とダイシングリング5とが搭載された状態を示している。
【0047】
この装置は、一面上に半導体ウェハ1が搭載される基台21と、この基台21に搭載された半導体ウェハ1を覆う蓋部材としての蓋22とを備えている。
【0048】
図7(a)に示すように、基台21は、半導体ウェハ1が搭載される領域に、半導体ウェハ1を直接支持するための支持部23を備えている。
【0049】
この支持部23は、例えば多孔質セラミックス等の通気性の確保された材料により構成されている。基台21のうち、さらに支持部23を支える領域には、多数の通気孔24が形成されている。
【0050】
一方、蓋22は半導体ウェハ1との間に空間部25を有するように、半導体ウェハ1が搭載される領域に対抗する部位が凹んだ形状となっている。また、蓋22のうち半導体ウェハ1が搭載された領域に対向する部位よりも外側の位置にガス導入口26を有している。このガス導入口26は、設定したガス量を供給できるガス発生手段としてのガス発生装置27に接続されている。
【0051】
また、ガス導入口26と同様に半導体ウェハ1が搭載された領域に対向する部位よりも外側で、例えば、半導体ウェハ1が搭載された領域に対向する部位の中心を基準として、ガス導入口26と反対側の位置に圧力計28を備えている。また、図7(b)に示すように、蓋22の周縁部のうち、ダイシングリング5が位置する部位の基台21側の面にはOリング29が備えられている。
【0052】
次に、この装置を用いて行われるダイヤフラムの強度の検査工程を説明する。この工程では、図6(a)に示されるように、カット後の半導体ウェハ1を、ダイシングテープ6が貼り付けられている面を下にして、ダイシングリング5と共に基台21中の支持部23上に載せる。
【0053】
このとき、基台21には、空気停滞防止手段として、多孔質セラミックスにて構成された支持部23と、この支持部23の下側に形成された通気孔24が備えられている。そのため、多孔質セラミックスの細孔を通じてダイシングテープ6と支持部23との間の空気を装置外に放出することができる。これにより、ダイシングテープ6と支持部23との間に空気が閉じこめられるのを防ぐことができる。
【0054】
なお、ダイシングテープ6と支持部23との間の空気を装置外に放出するために、チップサイズが例えば、約2mm2の場合、支持部23を構成する多孔質セラミックスなどの多孔質材料は、任意の1mm2の領域に通気性のある孔を有していることが望ましい。
【0055】
また、支持部23の下側の通気孔24は、支持部23の通気性を損なわないように、所定の間隔となるように設けるのが望ましい。なお、本実施形態では、支持部23の下側の基台21は通気孔24を有する構成となっているが、支持部23の下側の基台21も多孔質材料にて構成された構造とすることもできる。
【0056】
また、多孔質材料で構成された支持部23の半導体ウェハ1が搭載される面は、表面の凹凸がダイシングテープ6等のシール材の厚さより小さいことが好ましい。さらに、ダイシングテープ6のように、シール材を多孔質材料よりも柔らかいものを使用することが好ましい。これらにより、半導体ウェハ1が搭載される面の凹凸はシール材に吸収され、凹凸が緩和される。
【0057】
続いて、基台21に蓋22を載せる。このとき、ダイシングテープ6は通気性がないので、支持部23の表面上の孔はダイシングテープ6で塞がれ、基台21と蓋22との間に形成される空間部25は密閉される。また、Oリング29は蓋22の周縁部のダイシングリング5と重なる位置に備えられているので、このOリング29と、ダイシングリング5とが接することで、空間部25の密閉性を向上させている。
【0058】
その後、図6(b)に示すように、蓋22を閉じた状態で、ガス導入口26からこの密閉された空間部25にガスを導入し、この空間部25を加圧する。これにより、図8に示すように、閉空間2aの内圧と外圧とに圧力差を与えることにより、ダイヤフラム3に応力を加えることができる。
【0059】
具体的には、例えば、一般的な構造であり、膜厚が2μmの薄膜ダイヤフラムにおいて、このダイヤフラムの設定強度を200kPaとし、それ以下の強度のものは不良品として除去したい場合では、閉空間2aの内部を大気圧とし、空間部25の圧力が200kPaとなるように、ガスとして乾燥空気をこの空間部25に導入する。
【0060】
なお、この設定強度はダイヤフラム3の強度が製品の規格を満たすように設定し、加えるガス圧により制御する。これにより、強度が設定値に満たないダイヤフラム3は破壊され、完全な不良品となる。
【0061】
また、本実施形態では、閉空間2aは大気圧となるようにしているが、大気圧以外の圧力となるようにすることができる。閉空間2aの内圧を所定圧力に制御し、空間部25の圧力とに圧力差を生じさせることでも、ダイヤフラム3に所定応力を加えることができる。
【0062】
また、蓋22に形成されたガス導入口26は半導体ウェハ1よりも外側となるように配置されている。そのため、装置内に導入されるガスが直接、ダイヤフラム3に当たることを防ぐことができる。
【0063】
また、圧力計28は、ガス導入口26から遠い位置となるように、基台21のうち、例えば、半導体ウェハ1の搭載領域の中心を基準にしてガス導入口26と反対側に配置されている。これにより、ガス導入口26から出てくるガスの流れの圧力計28への影響を小さくすることができる。このため、装置内部のガス圧を適切に測定することができる。
【0064】
これらのことから、複数のチップ11のダイヤフラム3を一括して、確実に検査することができる。
【0065】
なお、ガス導入による加圧時において、例えば、図8中の楕円Kにて囲まれている領域のようなダイシングテープ6と支持体23との間に空気が閉じこめられている場合、ダイヤフラム3とダイシングテープ6とにより形成されている閉空間2aの大きさが変化してしまう。このため、この閉空間2a内の圧力が変化してしまい、ダイヤフラム3に加えられる応力が所定応力と異なってしまう。
【0066】
そこで、本実施形態では、空気停滞防止手段としての通気性が確保された材料にて構成された支持部23の上に、半導体ウェハ1を搭載するようにしている。このため、空気を外部に放出し、この閉空間2aの内圧を大気圧に維持することができる。これにより、ダイヤフラム3に所定応力を加えることができる。
【0067】
なお、空気停滞防止手段として、例えば真空装置等を使用することもできる。支持部23に真空装置等を接続することで、ダイシングテープ6と支持体23との間に空気が閉じこめられないように、強制的に空気を除去する。これによっても、ダイシングテープ6と支持体23との間に空気が閉じこめられるのを防止し、閉空間2aの内圧を大気圧に維持することができる。
【0068】
また、本実施形態では、圧力発生手段として、ガス発生手段としてのガス発生装置27を用いていたが、真空装置等の減圧手段を用いることもできる。真空装置を用い、空間部25を減圧することで、閉空間2aの内圧と外圧とに圧力差を与えることでも、ダイヤフラムに応力を与えることができる。
【0069】
その後、図6(a)に示すように、蓋22を開け、半導体ウェハ1を取り出す。
【0070】
続いて、ダイシングテープ6に紫外線を照射する工程を行い、ダイシングテープ6の粘着力を低下させる。
【0071】
次に、外観検査工程を行う。この外観検査工程において、半導体ウェハ1の各チップ11の欠け傷などを確認すると共に、ダイヤフラム3が破壊されたものを目視により確認する。なお、破壊されたダイヤフラム3を目視ではなく、画像認識装置を用いて確認することもできる。
【0072】
そして、チップ11をダイシングテープ6から取り外す。このとき、ダイヤフラム3が破壊されたチップ11を除去する。
【0073】
その後、このような検査工程にて、識別された正常なチップ11を使用して、組み付け工程、電気的な検査工程などを経ることで、半導体センサを完成させる。
【0074】
本実施形態によれば、ウェハ状態にて複数のダイヤフラムの強度を一括して検査することができる。このため、薄膜ダイヤフラムの強度検査を効率良く行うことができる。
【0075】
本実施形態では、さらに、ダイシング工程にて、通常切り分けられたチップを固定するために使用されるダイシングテープ6をシール材としても使用している。このため、シール材の貼付工程とダイシングテープの貼付工程とを兼用することができ、より効率的である。
【0076】
なお、検査工程は、ダイシング工程の前後のどちらでも行うことができるが、本実施形態のように、ダイシング工程にて、チップ11を切り分けた後に検査をするのが好ましい。
【0077】
この場合、ダイシング工程後においても、切り分けられたチップ11がダイシングテープ6につながっていることから、検査工程における取り扱い性にも問題はなく、複数のダイヤフラム3を同時に検査できる。また、ダイシング工程での振動等により、ダイヤフラム3が破壊され、若しくは強度が低下したものについても、検査により除去することができ、適切な半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を適用した半導体装置の製造方法により製造される半導体装置の断面構成図である。
【図2】本発明の一実施形態を適用した半導体装置の製造工程を説明する図である。
【図3】図2に続く製造工程を説明する図である。
【図4】図3に続く製造工程を説明する図である。
【図5】図4に続く製造工程を説明する図である。
【図6】図5に続く製造工程を説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態を適用した検査装置の断面構成図である。
【図8】本発明の一実施形態におけるダイヤフラムの検査方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1…半導体ウェハ(半導体基板)、2…凹部、2a…閉空間、
3…ダイヤフラム(薄膜部)、5…ダイシングリング、
6…ダイシングテープ、21…基台、22…蓋、23…支持部、
25…空間部、26…ガス導入口。

Claims (15)

  1. 薄膜ダイヤフラムを有する半導体装置の製造方法であって、半導体ウェハ(1)にチップ(11)単位ごとに凹部(2)と薄膜部としてのダイヤフラム(3)とを形成するダイヤフラム形成工程と、
    前記半導体ウェハ(1)のうち前記ダイヤフラム(3)が形成された面と反対の面にシール材(6)を貼り付けることにより、このシール材(6)によって前記凹部(2)を、所定内圧を有する閉空間(2a)とするシール材貼付工程と、前記閉空間(2a)の内圧と外圧とに圧力差を与えることにより、各々の前記ダイヤフラム(3)に応力を加え、各々の前記ダイヤフラム(3)の強度検査を行う検査工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記シール材(6)として、前記半導体ウェハ(1)をチップ(11)に切り分けるダイシング工程にて使用するダイシングテープ(6)を用いることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記ダイシングテープ貼付工程と検査工程との間に、前記半導体ウェハ(1)をチップ(11)に切り分けるダイシング工程を行うことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. チップ(11)単位ごとに凹部(2)と薄膜部としてのダイヤフラム(3)とが形成された半導体ウェハ(1)を用い、この半導体ウェハ(1)における前記ダイヤフラム(3)の強度を検査する検査装置であって、
    一面上に前記半導体ウェハ(1)を搭載可能な基台(21)と、
    前記半導体ウェハ(1)と前記基台(21)との間に介在し、前記半導体ウェハ(1)に貼り付けられることによって、前記半導体ウェハ(1)の凹部(2)を閉空間(2a)とするシール材(6)と、
    前記半導体ウェハ(1)を搭載した状態で前記半導体ウェハ(1)を覆うように前記基台(21)の一面に設けられる蓋部材(22)と、
    前記蓋部材(22)と前記基台(21)の一面との間に形成される空間部(25)を所定圧力とするための圧力形成手段(27)とを備え、
    前記閉空間(2a)の内圧と外圧とに圧力差を与えることにより、各々の前記ダイヤフラム(3)に応力を加え、各々の前記ダイヤフラム(3)の強度検査を行うようにしたことを特徴とする検査装置。
  5. 前記基台(21)は、前記シール材(6)との間の空気を装置外に放出し前記シール材(6)との間に空気が停滞するのを防止する空気停滞防止手段(23)を備えていることを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
  6. 前記基台(21)は、前記半導体ウェハ(1)が搭載される領域に、前記空気停滞防止手段として、通気性を有する多孔質材料にて構成された支持部(23)を備えていることを特徴とする請求項5に記載の検査装置。
  7. 前記多孔質材料は任意の1mm2以下の領域にて通気性を有することを特徴とする請求項6に記載の検査装置。
  8. 前記多孔質材料の前記半導体ウェハ(1)が搭載される面における表面凹凸は、前記シール材(6)の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項6又は7に記載の検査装置。
  9. 前記支持部(23)は前記基台(21)の上に備えられており、前記基台(21)のうち、前記支持部(23)の下側の領域には、複数の通気孔(24)を有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1つに記載の検査装置。
  10. 前記圧力形成手段(27)はガスを発生するガス発生手段と(27)、前記ガス発生手段(27)と前記空間部(25)とをつなぐガス導入口(26)とを備えてなり、
    前記ガス発生手段(27)から、前記ガス導入口(26)を介して、前記空間部(25)にガスを導入することにより、前記空間部(25)を所定圧力にすることを特徴とする請求項4乃至9のいずれか1つに記載の検査装置。
  11. 前記ガス導入口(26)は前記蓋部材(22)のうち、前記基台(21)における前記半導体ウェハ(1)の搭載領域に対向する部位よりも外側に位置するように配置されていることを特徴とする請求項10に記載の検査装置。
  12. 前記蓋部材(22)は、前記基台(21)における前記半導体ウェハ(1)の搭載領域に対向する部位の中心を基準として、前記ガス導入口(26)と反対の位置に圧力計(28)を備えていることを特徴とする請求項11に記載の検査装置。
  13. 前記蓋部材(22)は周縁部に前記空間部(25)を気密に封止するためのOリング(29)を備えていることを特徴とする請求項4乃至12のいずれか1つに記載の検査装置。
  14. 前記シール材は、半導体ウェハ(1)をチップ(11)に切り分けるダイシング工程にて使用するダイシングテープ(6)であることを特徴とする請求項13に記載の検査装置。
  15. 前記ダイシングテープ(6)には、このダイシングテープ(6)が前記半導体ウェハ(1)に貼り付けられたときに、前記半導体ウェハ(1)を取り囲むような位置にダイシングリング(5)が設けられており、
    前記Oリングと前記ダイシングリング(5)とが接することで、前記空間部(25)が密閉されるようになっていることを特徴とする請求項14に記載の検査装置。
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