JP3727094B2 - 液晶ディスプレイ用バックライト - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ用バックライトに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、液晶ディスプレイのバックライトに用いられる光拡散性シートとして、透明プラスチックフィルムの片面に、無機粒子もしくは樹脂粒子を分散した透明な樹脂溶液を塗布したものが使用されている。
【０００３】
このような光拡散性シートに要求される性能としては、導光板の光拡散パターンが見えないこと、正面方向への輝度が高いこと、などがある。
【０００４】
このような要求性能を満たすべく、光拡散性層に使用する樹脂や光拡散性粒子の種類や含有量を変更する改良が行われている。しかしながら、このような改良では正面方向への輝度の向上に限界があると考えられるため、プリズムシートを使用して周辺方向への光を正面方向へ向けることが考えられている。このようなプリズムシートは光拡散能を有しないため、使用に際しては、従来より使用されている光拡散性シートと重ね合わせることが行われている。
【０００５】
しかし、従来より使用されている光拡散性シートを重ね合わせると、せっかくプリズムシートにより正面方向に向けた光が拡散されてしまい、結局従来から使用されている光拡散性シート単独と大差ないものとなってしまう。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの従来の問題点を克服し、従来の液晶ディスプレイ用バックライトに比べて正面方向への輝度が向上し、しかも光拡散性が十分な液晶ディスプレイ用バックライトを提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成する本発明の液晶ディスプレイ用バックライトは、導光板とランプとを有し、さらに導光板上に、バインダー樹脂及び樹脂粒子を含有する光拡散性層を透明支持体上に積層してなる光拡散性部材と、２枚のプリズムシートとを重ね合わせてなる光拡散性シートを、光拡散性部材の透明支持体が導光板と対向するように配置してなり、かつ前記光拡散性部材の光拡散性層に使用する樹脂粒子の含有量が、前記バインダー樹脂１００重量部に対して４０〜１２０重量部であることを特徴とするものである。
【０００８】
また、前記光拡散性層に使用するバインダー樹脂がアクリル樹脂であることを特徴とし、前記樹脂粒子がアクリル樹脂粒子およびシリコーン樹脂粒子であることを特徴とするものである。
【０００９】
さらに、前記アクリル樹脂粒子およびシリコーン樹脂粒子の含有量が、前記バインダー樹脂１００重量部に対して、アクリル樹脂粒子１０〜１１０重量部であり、かつシリコーン樹脂粒子１０〜４０重量部であることを特徴とするものである。
【００１０】
さらなる態様としては、前記光拡散性シートにおいて、光出射面側から順に第一のプリズムシート、第二のプリズムシート、光拡散性部材となるように配置したことを特徴とするものである。
【００１１】
また、第一のプリズムシートと第二のプリズムシートを、互いにその稜線が直交するように配置したことを特徴とするものである。また、前記光拡散性層の厚みが１〜３０μｍであることを特徴とするものである。
【００１２】
尚、ここでいう光拡散性シートとは、狭義のシートのみならず広義の意味で用い、すなわち板状体、フィルム状体、積層体等をも含むものである。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光拡散性シートを図１を用いて詳述する。
【００１４】
本発明の光拡散性シート４は、光拡散性部材３と２枚のプリズムシート１、２から構成される。
【００１５】
次に、光拡散性部材３は、透明支持体３１上に光拡散性層３２を積層した構造を有する。
【００１６】
光拡散性部材３に使用する透明支持体３１としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アセテート樹脂等のフィルム状、板状のものや、ガラス板等で、透過率の高いものが使用される。特に好ましいものとしては、耐候性、加工性等の点からポリエステルフィルムが挙げられる。
【００１７】
光拡散性層３２は、主としてバインダー樹脂及び樹脂粒子から構成される。
【００１８】
光拡散性層３２のバインダー樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン等の光学的透明性を有する樹脂が使用される。もっとも好ましい樹脂としては、耐候性に優れているアクリル樹脂、さらに好ましくはアクリルポリウレタン２液硬化タイプのものが挙げられ、顔料を多量に充填しても強靱な塗膜が得られるよう、架橋密度の高くなるようなＯＨ価の大きいものを使用するとよい。
【００１９】
樹脂粒子としては、２枚のプリズムシート１、２によって正面方向へ向ける光を極力減少させずに導光板の光拡散パターンを拡散させるようなものが必要である。
【００２０】
このような樹脂粒子としては、アクリル樹脂粒子およびシリコーン樹脂粒子を混合使用することが好ましい。アクリル樹脂粒子の単独使用によって導光板のパターンを消すためには、非常に多量の粒子を含有させる必要があり、この結果正面方向への輝度が低下する。一方、シリコーン樹脂粒子の単独使用では、少量の添加で光拡散性は非常に向上するものであるが、少量の添加によっても正面方向への輝度が著しく低下する。しかし、両者を混合使用すると正面方向へ向ける光を減少させずに導光板の光拡散パターンを拡散させることが可能となるものである。
【００２１】
光拡散性層３２に使用する樹脂粒子全体の含有量としては、バインダー樹脂１００重量部に対して４０〜１２０重量部、更には４５〜１１５重量部とすることが望ましい。このような範囲としたのは、樹脂粒子全体として４０重量部より少なくなると、光拡散性が劣り、導光板の光拡散パターンが見えてしまうためである。また、樹脂粒子全体として１２０重量部より多くなると、アクリル樹脂粒子とシリコーン樹脂粒子の配合割合を調整することによっても正面方向への輝度を向上させることが困難となるためである。
【００２２】
次に、光拡散性層３２に使用するアクリル樹脂粒子の含有量としては、バインダー樹脂１００重量部に対して１０〜１１０重量部、更には１５〜９５重量部とすることが望ましい。このような範囲としたのは、アクリル樹脂粒子が１０重量部より少なくなると、正面方向への輝度を低下させずに導光板の光拡散パターンを消すことが困難となるためである。また、アクリル樹脂が１１０重量部より多くなると正面方向への輝度が低下することになるためである。
【００２３】
アクリル樹脂粒子としては、ポリメチルメタクリレートの真球状粒子を使用することが好ましく、さらに、耐熱性、耐溶剤性、熱安定性の点からジビニルベンゼン等で架橋されたものがより好ましい。
【００２４】
アクリル樹脂粒子の粒径としては、１．０〜３０．０μｍが好ましい。粒径が１．０μｍより小さい場合には、正面方向への輝度向上に寄与しにくくなる。一方、粒径が３０．０μｍよりも大きい場合には、正面方向への輝度を低下させずに導光板の光拡散パターンを消すことが困難となるためである。
【００２５】
次に、光拡散性層３２に使用するシリコーン樹脂粒子の含有量としては、バインダー樹脂１００重量部に対して１０〜４０重量部、更には１５〜３５重量部とすることが望ましい。このような範囲としたのは、シリコーン樹脂粒子が１０重量部より少なくなると、十分な光拡散性を得ることが困難となるためである。また、シリコーン樹脂が４０重量部より多くなると正面方向への輝度が低下することになるためである。
【００２６】
シリコーン樹脂粒子の粒径としては、０．５〜１２．０μｍが好ましい。粒径が０．５μｍより小さい場合には、正面方向への輝度を低下させずに導光板の光拡散パターンを消すことが困難となるためである。粒径が１２．０μｍよりも大きい場合には、導光板のパターンを消すための十分な拡散性を得ることが困難となるためである。
【００２７】
このような光拡散性部材３の製造方法としては、上記のバインダー樹脂および樹脂粒子を溶剤に分散または溶解させて、支持体上に塗布する方法が好ましく採用される。塗布方法としては、スプレー法、ディッピング法、ロールコーター法、カーテンフロー法、メイヤーバー法等の公知の方法が挙げられる。光拡散性層３２の厚みは通常１〜３０μｍ程度とする。光拡散性層３２を設けた透明支持体３１の裏側は、導光板等と密着しニュートンリングが発生するのを防ぐために、アンチニュートン処理のコーティングをすることが好ましい。
【００２８】
次に、２枚のプリズムシート１、２であるが、本発明の光拡散性シート４には、種々の市販されているプリズムシートが使用でき、光透過率が高く、集光性の高いものが好ましい。２枚のプリズムシート、即ち第一のプリズムシート１、および第二のプリズムシート２は、同一のプリズムシートを使用してもよく、また、異なるプリズムシートを使用してもよい。
【００２９】
本発明におけるプリズムシートとは、所定の頂角を有するプリズムシートのみならず、円形状、楕円形状などの種々の形状のシートを含むものである。特に好ましいプリズムシートとしては、楕円形状のプリズムシートやプリズム角度９０゜〜１００゜の頂角を有するプリズムシートが挙げられる。このようなプリズムシートとしては、商品名ＢＥＦ９０ＨＰ、ＢＥＦＩＩ９０／５０、１００／３１、ＢＥＦ９０（住友スリーエム社）、ダイヤアートＨ１５０、Ｈ２１０、Ｐ１５０、Ｐ２１０（三菱レイヨン社）、ポートグラムＶ７（大日本印刷社）、ルミスルー（住友化学工業社）、エスティナウェーブＷ５１８、Ｗ４２５（積水化学工業社）などが挙げられる。
【００３０】
次に光拡散性部材３の配置であるが、図１に示すように、光出射面側から順に第一のプリズムシート１、第二のプリズムシート２、光拡散性部材３となるように配置することが好ましい。このような配置にすることによって、正面方向へ向ける光を減少させずに導光板の光拡散パターンを拡散して見えなくすることが可能となるものである。さらに、プリズムシート１、２のプリズム面および光拡散性部材３の光拡散性層３２の面は光出射方向に向いていることが好ましい。このような向きで配置することによって、正面方向へ向ける光を減少させずに導光板の光拡散パターンを拡散して見えなくすることが可能となるものである。
【００３１】
また、２枚のプリズムシート１、２は、図２に示すように、互いにその稜線が直交するように配置することが好ましい。このように配置することによって、光の集光方向を上下方向および左右方向の２方向に制御することが可能となり、正面方向への輝度をより高めることができるものである。
【００３２】
さらに、図には示さないが、プリズムシートのうち最外層となる第一のプリズムシートの表面に、若干の光拡散性を有するシートを配置することも可能である。このようなシートを配置することによって、プリズムシート表面の傷防止、プリズムシート表面のギラツキ防止、プリズムによって集光しすぎた光を拡散させて視野角を拡げたりすること等が可能となる。
【００３３】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明する。なお、本実施例及び比較例における「％」、「部」は、特にことわりのない限り重量基準である。
【００３４】
［実施例１〜６］および［比較例１〜７］
ポリエステルフィルム（ルミラーＴ６０ １００μｍ：東レ社）の片面に、下記の処方に表１の樹脂粒子を加えた光拡散性層用塗布液を乾燥膜厚１２μｍとなるように塗布して光拡散性部材を得た。
【００３５】
・アクリルポリオール（固形分５０％） １６２部
（アクリディックA-807：大日本インキ化学工業社）
・イソシアネート（固形分６０％） ３２部
（タケネートD110N：武田薬品工業社）
・メチルエチルケトン ２１５部
・酢酸ブチル ２１５部
【００３６】
【表１】
【００３７】
なお、樹脂粒子としては、アクリル樹脂粒子（ＭＸ−１０００、平均粒子径１０．０μｍ：綜研化学社）、シリコーン樹脂粒子（トスパール１３０、平均粒子径３．０μｍ：東芝シリコーン社）を使用した。
【００３８】
この光拡散性部材と第一のプリズムシート（ＢＥＦ９０ＨＰ：住友スリーエム社）を、光拡散性部材の光拡散性層の面とプリズムシートのプリズム面の反対面とが対向するように重ね合わせた。さらに、この第一のプリズムシートのプリズム面と第二のプリズムシート（ＢＥＦ９０ＨＰ：住友スリーエム社）のプリズム面の反対面とが対向するように重ね合わて光拡散性シートを作製した。２枚のプリズムシートは、それぞれの稜線が直交するように配置した。
【００３９】
以上の実施例１〜６および比較例１〜７の光拡散性シートを、５．５インチ液晶用バックライトユニット（ランプ２灯、５ｍｍ厚の導光板）に光拡散性部材の透明支持体が導光板と対向するように組み込んで、実施例１〜６および比較例１〜７の液晶ディスプレイ用バックライトを作製し、正面方向の輝度を測定した。また、光拡散性シートを設けずに同様に測定を行った。これらの結果を合わせて表２に示す。また、正面から見た輝度について目視評価を行った結果も表２に示す。輝度についての目視評価は、正面方向から見てかなり明るく感じたものを「○」、明るく感じたものを「△」、暗く感じたものを「×」とした。なお、表中「なし」とあるのは光拡散性シートを設けずに行った測定結果を示している。
【００４０】
さらに、拡散性について目視評価を行った結果もあわせて表２に示す。拡散性の評価については、導光板の光拡散パターンがまったく視認できなかったものを「○」、若干視認できたものを「△」、はっきり視認できたものを「×」とした。
【００４１】
【表２】
【００４２】
表２からも明らかなように、実施例１〜６の光拡散性シートを用いたものは正面方向の輝度が非常に高く、光拡散性も良好であった。
【００４３】
比較例１では、アクリル樹脂粒子のみ含有し、シリコーン樹脂粒子を含有していないため、輝度は高かったが、導光板の光拡散パターンがはっきりと見えてしまっていた。
【００４４】
比較例２では、シリコーン樹脂粒子の量がバインダー樹脂１００重量部に対して５重量部であるため、輝度は高かったが、導光板の光拡散パターンが若干見えてしまっていた。
【００４５】
比較例３では、シリコーン樹脂粒子の量がバインダー樹脂１００重量部に対して４５重量部であるため、光拡散性は良好であったが、正面輝度が実施例１などに比べて若干低かった。
【００４６】
比較例４および５では、アクリル樹脂粒子の量がバインダー樹脂１００重量部に対して０重量部および５重量部であるため、正面輝度が実施例１などに比べて若干低く、また導光板の光拡散パターンもはっきりと見えてしまっていた。
【００４７】
比較例６では、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子のそれぞれの量は１５重量部および２０重量部と適性範囲内であったが、樹脂粒子の全量がバインダー樹脂１００重量部に対して３５重量部と少なかったため、輝度は高かったが、導光板の光拡散パターンが若干見えぎみであった。
【００４８】
比較例７では、アクリル樹脂粒子の含有量が１２０重量部と適性範囲を超えており、また樹脂粒子全体量も１４０重量部と適性範囲を超えているため、光拡散性は良好であったが、正面輝度が実施例１などに比べて若干低かった。
【００４９】
［実施例７］
実施例１のプリズムシート（ＢＥＦ９０ＨＰ：住友スリーエム社）の２枚とも、プリズムシート（ダイヤアートＨ１５０：三菱レイヨン社）に変更した以外は実施例１と同様にして光拡散性シートを作製した。
【００５０】
［実施例８］
実施例１の光拡散性部材のアクリル樹脂粒子をテクポリマーＭＢＸ−８（平均粒子径８．０μｍ、積水化成品工業社）、シリコーン樹脂粒子をトスパール１４５（平均粒子径４．５μｍ、東芝シリコーン社）に変更した以外は実施例１と同様にして光拡散性シートを作製した。
【００５１】
実施例７および８の光拡散性シートを実施例１〜６等と同様に評価を行ったところ、正面輝度、光拡散性ともに良好であった。結果を表３に示す。
【００５２】
［比較例８］
市販の光拡散性シート（ライトアップＳＨ：きもと社）のみでプリズムシートを積層しないものを光拡散性シートとして用いた。
【００５３】
［比較例９］
市販の光拡散性シート（ライトアップＳＨ：きもと社）を光拡散性部材として用い、その他は実施例１と同様にしてプリズムシートを重ね合わせたものを光拡散性シートとして用いた。
【００５４】
［比較例１０］
実施例１のプリズムシートを２枚重ね合わせただけで、光拡散性部材を重ね合わせなかったものを光拡散性シートとして用いた。
【００５５】
比較例８〜１０の光拡散性シートを実施例１〜６等と同様に評価を行った。結果を表３に示す。
【００５６】
比較例８、９については、光拡散性は良好であったが、正面輝度がかなり低かった。
【００５７】
比較例１０については、光拡散性部材を使用していないため、光拡散性はほとんどなく、正面輝度についても実施例１などに比べると若干暗かった。この比較例から、本発明の光拡散性部材を配置することによって、光拡散性を付与できるのみならず、プリズムシートで正面方向へ向けた光を更に正面方向へ向けることができることがわかった。
【００５８】
【表３】
【００５９】
【発明の効果】
本発明の液晶ディスプレイ用バックライトによれば、従来困難とされていたプリズムシートを用いた光拡散性シートの高輝度化と高光拡散性を可能とできるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の光拡散性シートの一実施例を模式的に表した断面図。
【図２】本発明のプリズムシートの配置を説明するための模式図。
【符号の説明】
１・・・第一のプリズムシート
２・・・第二のプリズムシート
３・・・光拡散性部材
３１・・透明支持体
３２・・光拡散性層
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ用バックライトに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、液晶ディスプレイのバックライトに用いられる光拡散性シートとして、透明プラスチックフィルムの片面に、無機粒子もしくは樹脂粒子を分散した透明な樹脂溶液を塗布したものが使用されている。
【０００３】
このような光拡散性シートに要求される性能としては、導光板の光拡散パターンが見えないこと、正面方向への輝度が高いこと、などがある。
【０００４】
このような要求性能を満たすべく、光拡散性層に使用する樹脂や光拡散性粒子の種類や含有量を変更する改良が行われている。しかしながら、このような改良では正面方向への輝度の向上に限界があると考えられるため、プリズムシートを使用して周辺方向への光を正面方向へ向けることが考えられている。このようなプリズムシートは光拡散能を有しないため、使用に際しては、従来より使用されている光拡散性シートと重ね合わせることが行われている。
【０００５】
しかし、従来より使用されている光拡散性シートを重ね合わせると、せっかくプリズムシートにより正面方向に向けた光が拡散されてしまい、結局従来から使用されている光拡散性シート単独と大差ないものとなってしまう。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの従来の問題点を克服し、従来の液晶ディスプレイ用バックライトに比べて正面方向への輝度が向上し、しかも光拡散性が十分な液晶ディスプレイ用バックライトを提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成する本発明の液晶ディスプレイ用バックライトは、導光板とランプとを有し、さらに導光板上に、バインダー樹脂及び樹脂粒子を含有する光拡散性層を透明支持体上に積層してなる光拡散性部材と、２枚のプリズムシートとを重ね合わせてなる光拡散性シートを、光拡散性部材の透明支持体が導光板と対向するように配置してなり、かつ前記光拡散性部材の光拡散性層に使用する樹脂粒子の含有量が、前記バインダー樹脂１００重量部に対して４０〜１２０重量部であることを特徴とするものである。
【０００８】
また、前記光拡散性層に使用するバインダー樹脂がアクリル樹脂であることを特徴とし、前記樹脂粒子がアクリル樹脂粒子およびシリコーン樹脂粒子であることを特徴とするものである。
【０００９】
さらに、前記アクリル樹脂粒子およびシリコーン樹脂粒子の含有量が、前記バインダー樹脂１００重量部に対して、アクリル樹脂粒子１０〜１１０重量部であり、かつシリコーン樹脂粒子１０〜４０重量部であることを特徴とするものである。
【００１０】
さらなる態様としては、前記光拡散性シートにおいて、光出射面側から順に第一のプリズムシート、第二のプリズムシート、光拡散性部材となるように配置したことを特徴とするものである。
【００１１】
また、第一のプリズムシートと第二のプリズムシートを、互いにその稜線が直交するように配置したことを特徴とするものである。また、前記光拡散性層の厚みが１〜３０μｍであることを特徴とするものである。
【００１２】
尚、ここでいう光拡散性シートとは、狭義のシートのみならず広義の意味で用い、すなわち板状体、フィルム状体、積層体等をも含むものである。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光拡散性シートを図１を用いて詳述する。
【００１４】
本発明の光拡散性シート４は、光拡散性部材３と２枚のプリズムシート１、２から構成される。
【００１５】
次に、光拡散性部材３は、透明支持体３１上に光拡散性層３２を積層した構造を有する。
【００１６】
光拡散性部材３に使用する透明支持体３１としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アセテート樹脂等のフィルム状、板状のものや、ガラス板等で、透過率の高いものが使用される。特に好ましいものとしては、耐候性、加工性等の点からポリエステルフィルムが挙げられる。
【００１７】
光拡散性層３２は、主としてバインダー樹脂及び樹脂粒子から構成される。
【００１８】
光拡散性層３２のバインダー樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン等の光学的透明性を有する樹脂が使用される。もっとも好ましい樹脂としては、耐候性に優れているアクリル樹脂、さらに好ましくはアクリルポリウレタン２液硬化タイプのものが挙げられ、顔料を多量に充填しても強靱な塗膜が得られるよう、架橋密度の高くなるようなＯＨ価の大きいものを使用するとよい。
【００１９】
樹脂粒子としては、２枚のプリズムシート１、２によって正面方向へ向ける光を極力減少させずに導光板の光拡散パターンを拡散させるようなものが必要である。
【００２０】
このような樹脂粒子としては、アクリル樹脂粒子およびシリコーン樹脂粒子を混合使用することが好ましい。アクリル樹脂粒子の単独使用によって導光板のパターンを消すためには、非常に多量の粒子を含有させる必要があり、この結果正面方向への輝度が低下する。一方、シリコーン樹脂粒子の単独使用では、少量の添加で光拡散性は非常に向上するものであるが、少量の添加によっても正面方向への輝度が著しく低下する。しかし、両者を混合使用すると正面方向へ向ける光を減少させずに導光板の光拡散パターンを拡散させることが可能となるものである。
【００２１】
光拡散性層３２に使用する樹脂粒子全体の含有量としては、バインダー樹脂１００重量部に対して４０〜１２０重量部、更には４５〜１１５重量部とすることが望ましい。このような範囲としたのは、樹脂粒子全体として４０重量部より少なくなると、光拡散性が劣り、導光板の光拡散パターンが見えてしまうためである。また、樹脂粒子全体として１２０重量部より多くなると、アクリル樹脂粒子とシリコーン樹脂粒子の配合割合を調整することによっても正面方向への輝度を向上させることが困難となるためである。
【００２２】
次に、光拡散性層３２に使用するアクリル樹脂粒子の含有量としては、バインダー樹脂１００重量部に対して１０〜１１０重量部、更には１５〜９５重量部とすることが望ましい。このような範囲としたのは、アクリル樹脂粒子が１０重量部より少なくなると、正面方向への輝度を低下させずに導光板の光拡散パターンを消すことが困難となるためである。また、アクリル樹脂が１１０重量部より多くなると正面方向への輝度が低下することになるためである。
【００２３】
アクリル樹脂粒子としては、ポリメチルメタクリレートの真球状粒子を使用することが好ましく、さらに、耐熱性、耐溶剤性、熱安定性の点からジビニルベンゼン等で架橋されたものがより好ましい。
【００２４】
アクリル樹脂粒子の粒径としては、１．０〜３０．０μｍが好ましい。粒径が１．０μｍより小さい場合には、正面方向への輝度向上に寄与しにくくなる。一方、粒径が３０．０μｍよりも大きい場合には、正面方向への輝度を低下させずに導光板の光拡散パターンを消すことが困難となるためである。
【００２５】
次に、光拡散性層３２に使用するシリコーン樹脂粒子の含有量としては、バインダー樹脂１００重量部に対して１０〜４０重量部、更には１５〜３５重量部とすることが望ましい。このような範囲としたのは、シリコーン樹脂粒子が１０重量部より少なくなると、十分な光拡散性を得ることが困難となるためである。また、シリコーン樹脂が４０重量部より多くなると正面方向への輝度が低下することになるためである。
【００２６】
シリコーン樹脂粒子の粒径としては、０．５〜１２．０μｍが好ましい。粒径が０．５μｍより小さい場合には、正面方向への輝度を低下させずに導光板の光拡散パターンを消すことが困難となるためである。粒径が１２．０μｍよりも大きい場合には、導光板のパターンを消すための十分な拡散性を得ることが困難となるためである。
【００２７】
このような光拡散性部材３の製造方法としては、上記のバインダー樹脂および樹脂粒子を溶剤に分散または溶解させて、支持体上に塗布する方法が好ましく採用される。塗布方法としては、スプレー法、ディッピング法、ロールコーター法、カーテンフロー法、メイヤーバー法等の公知の方法が挙げられる。光拡散性層３２の厚みは通常１〜３０μｍ程度とする。光拡散性層３２を設けた透明支持体３１の裏側は、導光板等と密着しニュートンリングが発生するのを防ぐために、アンチニュートン処理のコーティングをすることが好ましい。
【００２８】
次に、２枚のプリズムシート１、２であるが、本発明の光拡散性シート４には、種々の市販されているプリズムシートが使用でき、光透過率が高く、集光性の高いものが好ましい。２枚のプリズムシート、即ち第一のプリズムシート１、および第二のプリズムシート２は、同一のプリズムシートを使用してもよく、また、異なるプリズムシートを使用してもよい。
【００２９】
本発明におけるプリズムシートとは、所定の頂角を有するプリズムシートのみならず、円形状、楕円形状などの種々の形状のシートを含むものである。特に好ましいプリズムシートとしては、楕円形状のプリズムシートやプリズム角度９０゜〜１００゜の頂角を有するプリズムシートが挙げられる。このようなプリズムシートとしては、商品名ＢＥＦ９０ＨＰ、ＢＥＦＩＩ９０／５０、１００／３１、ＢＥＦ９０（住友スリーエム社）、ダイヤアートＨ１５０、Ｈ２１０、Ｐ１５０、Ｐ２１０（三菱レイヨン社）、ポートグラムＶ７（大日本印刷社）、ルミスルー（住友化学工業社）、エスティナウェーブＷ５１８、Ｗ４２５（積水化学工業社）などが挙げられる。
【００３０】
次に光拡散性部材３の配置であるが、図１に示すように、光出射面側から順に第一のプリズムシート１、第二のプリズムシート２、光拡散性部材３となるように配置することが好ましい。このような配置にすることによって、正面方向へ向ける光を減少させずに導光板の光拡散パターンを拡散して見えなくすることが可能となるものである。さらに、プリズムシート１、２のプリズム面および光拡散性部材３の光拡散性層３２の面は光出射方向に向いていることが好ましい。このような向きで配置することによって、正面方向へ向ける光を減少させずに導光板の光拡散パターンを拡散して見えなくすることが可能となるものである。
【００３１】
また、２枚のプリズムシート１、２は、図２に示すように、互いにその稜線が直交するように配置することが好ましい。このように配置することによって、光の集光方向を上下方向および左右方向の２方向に制御することが可能となり、正面方向への輝度をより高めることができるものである。
【００３２】
さらに、図には示さないが、プリズムシートのうち最外層となる第一のプリズムシートの表面に、若干の光拡散性を有するシートを配置することも可能である。このようなシートを配置することによって、プリズムシート表面の傷防止、プリズムシート表面のギラツキ防止、プリズムによって集光しすぎた光を拡散させて視野角を拡げたりすること等が可能となる。
【００３３】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明する。なお、本実施例及び比較例における「％」、「部」は、特にことわりのない限り重量基準である。
【００３４】
［実施例１〜６］および［比較例１〜７］
ポリエステルフィルム（ルミラーＴ６０ １００μｍ：東レ社）の片面に、下記の処方に表１の樹脂粒子を加えた光拡散性層用塗布液を乾燥膜厚１２μｍとなるように塗布して光拡散性部材を得た。
【００３５】
・アクリルポリオール（固形分５０％） １６２部
（アクリディックA-807：大日本インキ化学工業社）
・イソシアネート（固形分６０％） ３２部
（タケネートD110N：武田薬品工業社）
・メチルエチルケトン ２１５部
・酢酸ブチル ２１５部
【００３６】
【表１】
なお、樹脂粒子としては、アクリル樹脂粒子（ＭＸ−１０００、平均粒子径１０．０μｍ：綜研化学社）、シリコーン樹脂粒子（トスパール１３０、平均粒子径３．０μｍ：東芝シリコーン社）を使用した。
【００３８】
この光拡散性部材と第一のプリズムシート（ＢＥＦ９０ＨＰ：住友スリーエム社）を、光拡散性部材の光拡散性層の面とプリズムシートのプリズム面の反対面とが対向するように重ね合わせた。さらに、この第一のプリズムシートのプリズム面と第二のプリズムシート（ＢＥＦ９０ＨＰ：住友スリーエム社）のプリズム面の反対面とが対向するように重ね合わて光拡散性シートを作製した。２枚のプリズムシートは、それぞれの稜線が直交するように配置した。
【００３９】
以上の実施例１〜６および比較例１〜７の光拡散性シートを、５．５インチ液晶用バックライトユニット（ランプ２灯、５ｍｍ厚の導光板）に光拡散性部材の透明支持体が導光板と対向するように組み込んで、実施例１〜６および比較例１〜７の液晶ディスプレイ用バックライトを作製し、正面方向の輝度を測定した。また、光拡散性シートを設けずに同様に測定を行った。これらの結果を合わせて表２に示す。また、正面から見た輝度について目視評価を行った結果も表２に示す。輝度についての目視評価は、正面方向から見てかなり明るく感じたものを「○」、明るく感じたものを「△」、暗く感じたものを「×」とした。なお、表中「なし」とあるのは光拡散性シートを設けずに行った測定結果を示している。
【００４０】
さらに、拡散性について目視評価を行った結果もあわせて表２に示す。拡散性の評価については、導光板の光拡散パターンがまったく視認できなかったものを「○」、若干視認できたものを「△」、はっきり視認できたものを「×」とした。
【００４１】
【表２】
表２からも明らかなように、実施例１〜６の光拡散性シートを用いたものは正面方向の輝度が非常に高く、光拡散性も良好であった。
【００４３】
比較例１では、アクリル樹脂粒子のみ含有し、シリコーン樹脂粒子を含有していないため、輝度は高かったが、導光板の光拡散パターンがはっきりと見えてしまっていた。
【００４４】
比較例２では、シリコーン樹脂粒子の量がバインダー樹脂１００重量部に対して５重量部であるため、輝度は高かったが、導光板の光拡散パターンが若干見えてしまっていた。
【００４５】
比較例３では、シリコーン樹脂粒子の量がバインダー樹脂１００重量部に対して４５重量部であるため、光拡散性は良好であったが、正面輝度が実施例１などに比べて若干低かった。
【００４６】
比較例４および５では、アクリル樹脂粒子の量がバインダー樹脂１００重量部に対して０重量部および５重量部であるため、正面輝度が実施例１などに比べて若干低く、また導光板の光拡散パターンもはっきりと見えてしまっていた。
【００４７】
比較例６では、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子のそれぞれの量は１５重量部および２０重量部と適性範囲内であったが、樹脂粒子の全量がバインダー樹脂１００重量部に対して３５重量部と少なかったため、輝度は高かったが、導光板の光拡散パターンが若干見えぎみであった。
【００４８】
比較例７では、アクリル樹脂粒子の含有量が１２０重量部と適性範囲を超えており、また樹脂粒子全体量も１４０重量部と適性範囲を超えているため、光拡散性は良好であったが、正面輝度が実施例１などに比べて若干低かった。
【００４９】
［実施例７］
実施例１のプリズムシート（ＢＥＦ９０ＨＰ：住友スリーエム社）の２枚とも、プリズムシート（ダイヤアートＨ１５０：三菱レイヨン社）に変更した以外は実施例１と同様にして光拡散性シートを作製した。
【００５０】
［実施例８］
実施例１の光拡散性部材のアクリル樹脂粒子をテクポリマーＭＢＸ−８（平均粒子径８．０μｍ、積水化成品工業社）、シリコーン樹脂粒子をトスパール１４５（平均粒子径４．５μｍ、東芝シリコーン社）に変更した以外は実施例１と同様にして光拡散性シートを作製した。
【００５１】
実施例７および８の光拡散性シートを実施例１〜６等と同様に評価を行ったところ、正面輝度、光拡散性ともに良好であった。結果を表３に示す。
【００５２】
［比較例８］
市販の光拡散性シート（ライトアップＳＨ：きもと社）のみでプリズムシートを積層しないものを光拡散性シートとして用いた。
【００５３】
［比較例９］
市販の光拡散性シート（ライトアップＳＨ：きもと社）を光拡散性部材として用い、その他は実施例１と同様にしてプリズムシートを重ね合わせたものを光拡散性シートとして用いた。
【００５４】
［比較例１０］
実施例１のプリズムシートを２枚重ね合わせただけで、光拡散性部材を重ね合わせなかったものを光拡散性シートとして用いた。
【００５５】
比較例８〜１０の光拡散性シートを実施例１〜６等と同様に評価を行った。結果を表３に示す。
【００５６】
比較例８、９については、光拡散性は良好であったが、正面輝度がかなり低かった。
【００５７】
比較例１０については、光拡散性部材を使用していないため、光拡散性はほとんどなく、正面輝度についても実施例１などに比べると若干暗かった。この比較例から、本発明の光拡散性部材を配置することによって、光拡散性を付与できるのみならず、プリズムシートで正面方向へ向けた光を更に正面方向へ向けることができることがわかった。
【００５８】
【表３】
【発明の効果】
本発明の液晶ディスプレイ用バックライトによれば、従来困難とされていたプリズムシートを用いた光拡散性シートの高輝度化と高光拡散性を可能とできるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の光拡散性シートの一実施例を模式的に表した断面図。
【図２】本発明のプリズムシートの配置を説明するための模式図。
【符号の説明】
１・・・第一のプリズムシート
２・・・第二のプリズムシート
３・・・光拡散性部材
３１・・透明支持体
３２・・光拡散性層
Claims (7)
- 導光板とランプとを有し、さらに導光板上に、バインダー樹脂及び樹脂粒子を含有する光拡散性層を透明支持体上に積層してなる光拡散性部材と、２枚のプリズムシートとを重ね合わせてなる光拡散性シートを、光拡散性部材の透明支持体が導光板と対向するように配置してなり、かつ前記光拡散性部材の光拡散性層に使用する樹脂粒子の含有量が、前記バインダー樹脂１００重量部に対して４０〜１２０重量部であることを特徴とする液晶ディスプレイ用バックライト。
- 請求項１記載の光拡散性層に使用するバインダー樹脂がアクリル樹脂であることを特徴とする液晶ディスプレイ用バックライト。
- 請求項１記載の光拡散性層に使用する樹脂粒子がアクリル樹脂粒子およびシリコーン樹脂粒子であることを特徴とする液晶ディスプレイ用バックライト。
- 請求項３記載のアクリル樹脂粒子およびシリコーン樹脂粒子の含有量が、前記バインダー樹脂１００重量部に対して、アクリル樹脂粒子１０〜１１０重量部であり、かつシリコーン樹脂粒子１０〜４０重量部であることを特徴とする液晶ディスプレイ用バックライト。
- 請求項１記載の光拡散性シートにおいて、光出射面側から順に第一のプリズムシート、第二のプリズムシート、光拡散性部材となるように配置したことを特徴とする液晶ディスプレイ用バックライト。
- 請求項１記載の２枚のプリズムシートを、互いにその稜線が直交するように配置したことを特徴とする液晶ディスプレイ用バックライト。
- 請求項１記載の光拡散性層の厚みが１〜３０μｍであることを特徴とする液晶ディスプレイ用バックライト。
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