JP3726920B2 - 新規生理活性物質na22598a1,a2,a3,a4及びa5、その製造法およびその用途 - Google Patents

新規生理活性物質na22598a1,a2,a3,a4及びa5、その製造法およびその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5並びにそれらの塩、その製造法、それを有効成分とする医薬並びに制癌剤、およびその生産菌に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、制癌剤としては、アドリアマイシン、アクチノマイシン等が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、使用されている制癌剤は効力などの点で不十分であり、また毒性も高く、更には耐性などの問題もあり、新しい制癌剤が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは微生物の代謝産物について種々検索した結果、ストレプトミセス(Streptomyces) 属に属する一菌株が新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5を産生すること及び該生理活性物質が優れた制癌活性を有することを見出した。
本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
即ち本発明は、新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5並びにそれらの塩に関するものである。
更に、本発明は、ストレプトミセス属に属し新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5を生産する能力を有する微生物を培養し、培養物中に新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5を生産、蓄積せしめ、次いでこれを採取する事を特徴とする新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5並びにそれらの塩の製造法に関するものである。
更に、本発明は、新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4又はA5あるいはそれらの塩を有効成分として含有する医薬に関するものである。
更に、本発明は、新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4又はA5あるいはそれらの塩を有効成分として含有する制癌剤に関するものである。
更に、本発明は、ストレプトミセス属に属し新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4又はA5を生産する能力を有する「NA22598 」株(生命工学工業技術研究所寄託番号FERM P-14686)又はその変異株に関するものである。
【0005】
以下に新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5の理化学的性質を示す。
生理活性物質 NA22598A1
1)外観:無色粉末
2)融点:190 〜195 ℃
3)分子量:502
4)分子式:C20H38N8O7
5)HRFAB-MS:
C20H39N8O7の計算値:503.2942
実測値:503.2943
6)溶解性:
易溶:ジメチルスルホキシド、水
可溶:メタノール
不溶:ヘキサン、クロロホルム
7)シリカゲル薄層クロマトグラフィーによるRf値:
n−ブタノール−酢酸−水(4:1:2 )の展開溶媒で0.14を示す。
8)紫外部吸収スペクトル:水溶液中末端吸収を示す。
9)赤外部吸収スペクトル:
臭化カリウム錠剤で測定したスペクトルを図1に示す。
νmax :3371,2964,1731,1654,1589,1399cm-1
10)水素核磁気共鳴スペクトル(300MHz):
重水中で測定したスペクトルを図2に示す。
11)炭素核磁気共鳴スペクトル(75MHz,重水中):
δ:179.6(s),175.6(s),175.4(s),157.6(s),157.1(s),75.5(d),72.8(d),
62.2(d),58.9(d),55.5(d),52.7(d),51.7(t),51.0(d),37.3(t),31.8(d),
29.5(t),28.4(t),20.1(q),18.6(q),17.8(q)ppm
12)アミノ酸分析:アミノ酸分析の結果、アラニン、バリン(1:1 )が存在する。
13)呈色反応:
陽性:ニンヒドリン、リンモリブデン酸硫酸、エーリッヒ
陰性:バニリン硫酸、ヨウ素
14)塩基性、酸性、中性の区別:塩基性物質
【0006】
生理活性物質 NA22598A2
1)外観:無色粉末
2)融点:195 〜205 ℃
3)分子量:573
4)分子式:C23H43N9O8
5)HRFAB-MS:
C23H44N9O8の計算値:574.3313
実測値:574.3310
6)溶解性:
易溶:ジメチルスルホキシド、水
可溶:メタノール
不溶:ヘキサン、クロロホルム
7)シリカゲル薄層クロマトグラフィーによるRf値:
n−ブタノール−酢酸−水(4:1:2 )の展開溶媒で0.14を示す。
8)紫外部吸収スペクトル:水溶液中末端吸収を示す。
9)赤外部吸収スペクトル:
臭化カリウム錠剤で測定したスペクトルを図3に示す。
νmax :3386,2974,1734,1654,1594,1398cm-1
10)水素核磁気共鳴スペクトル:
重水中で測定したスペクトルを図4に示す。
11)炭素核磁気共鳴スペクトル(75MHz,重水中):
δ:180.8(s),176.3(s),176.0(s),173.4(s),157.6(s),157.1(s),75.7(d),
72.9(d),60.7(d),59.4(d),55.5(d),52.8(d),52.3(d),51.7(t),50.9(d),
37.3(t),31.4(d),29.6(t),28.8(t),19.8(q),18.8(q),18.8(q),17.9(q)ppm
12)アミノ酸分析:アミノ酸分析の結果、アラニン、バリン(2:1 )が存在する。
13)呈色反応:
陽性:ニンヒドリン、リンモリブデン酸硫酸、エーリッヒ
陰性:バニリン硫酸、ヨウ素
14)塩基性、酸性、中性の区別:塩基性物質
【0007】
生理活性物質 NA22598A3
1)外観:無色粉末
2)融点:192 〜195 ℃
3)分子量:587
4)分子式:C24H45N9O8
5)HRFAB-MS:
C24H46N9O8の計算値:588.3470
実測値:588.3442
6)溶解性:
易溶:ジメチルスルホキシド、水
可溶:メタノール
不溶:ヘキサン、クロロホルム
7)シリカゲル薄層クロマトグラフィーによるRf値:
n−ブタノール−酢酸−水(4:1:2 )の展開溶媒で0.19を示す。
8)紫外部吸収スペクトル:水溶液中末端吸収を示す。
9)赤外部吸収スペクトル:
臭化カリウム錠剤で測定したスペクトルを図5に示す。
νmax :3360,2967,1734,1654,1589,1400cm-1
10)水素核磁気共鳴スペクトル:
重水中で測定したスペクトルを図6に示す。
11)炭素核磁気共鳴スペクトル(75MHz,重水中):
δ:180.8(s),176.4(s),176.2(s),173.5(s),157.6(s),157.2(s),75.8(d),
72.9(d),59.9(d),59.6(d),55.6(d),53.0(d),52.3(d),51.7(t),50.8(d),
37.4(t),37.4(d),29.6(t),29.4(t),25.7(t),18.9(q),17.9(q),16.1(q),
11.4(q)ppm
12)アミノ酸分析:アミノ酸分析の結果、アラニン、イソロイシン(2 :1 )が存在する。
13)呈色反応:
陽性:ニンヒドリン、リンモリブデン酸硫酸、エーリッヒ
陰性:バニリン硫酸、ヨウ素
14)塩基性、酸性、中性の区別:塩基性物質
【0008】
生理活性物質 NA22598A4
1)外観:無色粉末
2)融点:190 〜210 ℃
3)分子量:530
4)分子式:C22H42N8O7
5)HRFAB-MS:
C22H43N8O7の計算値:531.3254
実測値:531.3292
6)溶解性:
易溶:ジメチルスルホキシド、水
可溶:メタノール
不溶:ヘキサン、クロロホルム
7)シリカゲル薄層クロマトグラフィーによるRf値:
n−ブタノール−酢酸−水(4:1:2 )の展開溶媒で0.21を示す。
8)紫外部吸収スペクトル:水溶液中末端吸収を示す。
9)赤外部吸収スペクトル:
臭化カリウム錠剤で測定したスペクトルを図7に示す。
νmax :3360,2964,1731,1654,1587,1399cm-1
10)水素核磁気共鳴スペクトル:
重水中で測定したスペクトルを図8に示す。
11)炭素核磁気共鳴スペクトル(75MHz,重水中):
δ:179.4(s),175.9(s),174.0(s),157.6(s),157.1(s),75.6(d),72.9(d),
62.3(d),61.1(d),59.1(d),55.4(d),52.7(d),51.7(t),37.3(t),31.8(d),
31.3(d),29.7(t),28.5(t),20.1(q),19.8(q),19.1(q),18.8(q)ppm
12)アミノ酸分析:アミノ酸分析の結果、バリンが存在する。
13)呈色反応:
陽性:ニンヒドリン、リンモリブデン酸硫酸、エーリッヒ
陰性:バニリン硫酸、ヨウ素
14)塩基性、酸性、中性の区別:塩基性物質
【0009】
生理活性物質 NA22598A5
1)外観:無色粉末
2)融点:195 〜200 ℃
3)分子量:516
4)分子式:C21H40N8O7
5)HRFAB-MS:
C21H41N8O7の計算値:517.3099
実測値:517.3093
6)溶解性:
易溶:ジメチルスルホキシド、水
可溶:メタノール
不溶:ヘキサン、クロロホルム
7)シリカゲル薄層クロマトグラフィーによるRf値:
n−ブタノール−酢酸−水(4:1:2 )の展開溶媒で0.19を示す。
8)紫外部吸収スペクトル:水溶液中末端吸収を示す。
9)赤外部吸収スペクトル:
臭化カリウム錠剤で測定したスペクトルを図9に示す。
νmax :3368,2964,1730,1654,1577,1399cm-1
10)水素核磁気共鳴スペクトル:
重水中で測定したスペクトルを図10に示す。
11)炭素核磁気共鳴スペクトル(75MHz,重水中):
δ:179.7(s),176.0(s),175.3(s),157.6(s),157.2(s),75.7(d),72.9(d),
61.4(d),59.6(d),55.5(d),52.9(d),51.7(t),51.0(d),38.2(d),37.3(t),
29.6(t),28.9(t),25.9(t),17.8(q),16.6(q),12.0(q)ppm
12)アミノ酸分析:アミノ酸分析の結果、アラニン、イソロイシン(1 :1 )が存在する。
13)呈色反応:
陽性:ニンヒドリン、リンモリブデン酸硫酸、エーリッヒ
陰性:バニリン硫酸、ヨウ素
14)塩基性、酸性、中性の区別:塩基性物質
本発明の新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5は酸又はアルカリと塩を形成していてもよく、かかる塩としては、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸;p−トルエンスルホン酸、クエン酸、コハク酸などの有機酸等との酸付加塩があげられる。またナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属;カルシウムなどのアルカリ土類金属等との塩があげられる。
【0010】
【発明の実施の形態】
上記新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5はストレプトミセス属に属するNA22598A1,A2,A3,A4及びA5生産菌を培養し、新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5を生成蓄積せしめ、この培養物より新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5を採取することにより得られる。新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5の生産菌の代表的な一例であるストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)NA22598は次の菌学的性質を有する。
【0011】
1.形態的性質
27℃で二週間後に観察した結果、気菌糸は単純分岐し、その先端はループ状あるいは、らせん状で、輪生枝の形成は認められない。また、胞子嚢及び遊走子も認められない。胞子表面は平滑または粗面で、胞子はシリンダー型で、大きさ0.7 〜0.9 × 0.9〜1.3 μmである。また、10個以上の連鎖をなして胞子が形成される。
【0012】
2.各種培地における生育
各種培地上、27℃、二週間後の生育状態を下記表1に示す。
【0013】
【表1】
Figure 0003726920
【0014】
3.生理学的性質
生育適度範囲 : 27〜37℃
硝酸塩の還元 : 陰性
スターチの加水分解(スターチ・無機塩寒天培地): 陽性
脱脂牛乳の凝固 : 陰性
脱脂牛乳のペプトン化 : 陽性
メラニン様色素の生成 : 陽性
4.炭素源の利用性(プリドハム・ゴドリーブ寒天培地上)
L−アラビノース +
D−キシロース +
D−グルコース +
D−フラクトース +
シュクロース −
イノシトール +
L−ラムノース +
ラフィノース −
D−マンニトール +
【0015】
5.細胞壁中のジアミノピメリン酸
LL- ジアミノピメリン酸である。
以上を要約すると、本菌株は細胞壁がLL- ジアミノピメリン酸であり、また、メナキノンの種類は、主にMK-9(H6),MK-9(H8) である。インターナショナル・ストレプトミセス属・プロジェクト(略称ISP )の方法によれば、胞子形成菌糸の形態は、セクション・スパイラルズ(Spairales )に属し胞子表面は平滑あるいは粗面で、成熟した菌糸の色は灰色系統(Gray color-series)で、メラニン様色素を生産し、培地中に茶色味を呈する。また、基生菌糸の色はうす黄茶〜黄茶を呈する。炭素源としてはL-アラビノース、D-グルコース、D-フラクトース、D-キシロース、イノシトール、D-マンニトール、L-ラムノースを利用し、シュクロース、ラフィノースは、利用しない。
【0016】
以上の性質をもとにアール・イー・ブッファナン・アンド・エヌ・イー・ギボンズ編、バージーズ・マニュアル・オブ・デタミネーティブ・バクテリオロジー(Bergey's Manual of Determinative Bacteriology)第8 版、1974年に従って検索を行った結果、上記NA22598 株はストレプトミセス属に属することが判明した。よって、本菌をストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)NA22598 と命名した。該菌株は、工業技術院生命工学工業技術研究所に平成6年12月5日付で寄託され、受託され、受託番号としてFERM P-14686が付与されている。
【0017】
本発明に用いるストレプトミセス属に属する菌株は他のストレプトミセス属の菌株と同様、その性状が変化しやすく、例えば、紫外線、エックス線および薬品などを用いる人工的な変異手段で容易に変異しうるものであり、どの様な変異株であっても本発明の対象とする生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5の生産能を有するものは、すべて本発明に使用する事ができる。
【0018】
本発明により新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5を製造するには、まず前記菌株を放線菌が利用し得る栄養物を含有する培地で好気的に培養する。栄養源としては、従来から放線菌の培養に利用されている公知のものが使用でき、例えば炭素源としてはグルコース、フラクトース、グリセリン、シュクロース、デキストリン、ガラクトース、有機酸などを単独かまたは組み合わせて用いることができる。
【0019】
無機および有機窒素源としては塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、尿素、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、コーン・スチープ・リカー、大豆粉、綿実油カス、カザミノ酸、バクトソイトン、ソリュブル・ベジタブル・プロテイン、オートミールなどを単独または組み合わせて用いることができる。
【0020】
その他必要に応じて食塩、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸亜鉛、塩化マンガン、燐酸塩などの無機塩類を加えることができるほか有機物、例えばアミノ酸類、ビタミン類、核酸類や無機物を適当に添加することができる。培養法としては液体培養法、特に深部攪拌培養法が最も適している。培養温度は20℃〜45℃、pHは微酸性ないし微アルカリ性で培養を行うことが望ましい。
【0021】
液体培養では通常3 〜5 日間培養を行うと新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5物質が培養液中に生成蓄積される。培養液中の生成量が最大に達したときに培養を停止し、ろ液と菌体とに分離し、ろ液より目的物を精製単離する。ろ液からの本物質の精製単離には一般に微生物代謝産物をその培養ろ液から単離するために、用いられる分離精製の方法が利用される。
【0022】
即ち、培養物をろ過法によりろ液と菌体とに分離する。ろ液を適当な吸着剤、例えば活性炭、Sepabeas SP-207 (Mitsubishi Chemical Industries)への直接吸着によって本物質を培養ろ液から分離できる。NA22598A1,A2,A3,A4及びA5は、これらの吸着剤から、水、メタノール、アセトン、またはこれらの適当な混合液あるいは、酸性ないしアルカリ性溶液のような移動相を用いて溶出させることができる。
【0023】
上記の活性溶出液を濃縮し、新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5を含む油状物質を得る。この粗物質はさらに水溶性物質の精製に通常用いられる公知の方法、
例えば、1)Sephadex LH-20、またはG シリーズ(Pharmacia Fine Chemicals AB )により溶出液として水、メタノールまたはこれらの適当な混合液あるいは、酸性ないしアルカリ性溶液を用いたゲルろ過クロマトグラフィー;
2)Dowex 50W X8(H+ ) (Dow Chemicals )を用い、溶出液をアンモニア水としたイオン交換クロマトグラフィー;
3)SP-Toyopearl 550C (NH4 + ) (東ソー)を用い、溶出液を塩化アンモニウム水溶液としたイオン交換ゲルクロマトグラフィー;
4)QAE-Toyopearl 550C(OH- )(東ソー)を用い、溶出液をアンモニア水としたイオン交換ゲルクロマトグラフィーによる精製法;
を単独あるいは組み合わせることにより精製する。精製に好適な例としてSP-Toyopearl 550C (NH4 + ) を用い、塩化アンモニウム水溶液のグラジエント溶出(0 〜1.0M)を行い、得られた活性画分を活性炭などを用いて脱塩し、さらに活性画分をQAE-Toyopearl 550C(OH- )を用い、アンモニア水のグラジエント溶出(0 〜2.8 %)によるクロマトグラフィーを行う。ここで得られた活性画分を脱塩後、分取高速液体クロマトグラフィー(カラム:CAPCELL PAK UG120,資生堂社製)(移動相:50mMリン酸水素二ナトリウム/アセトニトリル(95/5),pH9.2)にて精製し、脱塩後、凍結乾燥して新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5を無色粉末として得ることができる。
【0024】
本発明の新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5並びにそれらの塩は、制癌作用を有するので、制癌剤などの医薬として使用できる。
医薬品として使用する場合の製剤化および投与方法は従来公知の種々の方法が適用できる。すなわち、投与方法として注射、経口、直腸投与などが可能である。製剤形態としては注射剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、座剤などの形態がとり得る。
【0025】
製剤化の際に新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5並びにそれらの塩に悪影響を与えない限り、医薬用に用いられる種々の補助剤、すなわち、担体やその他の助剤、例えば安定剤、防腐剤、無痛化剤、乳化剤が必要に応じて使用されうる。
製剤に於いて、新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5並びにそれらの塩の含量は製剤形態等により広範囲にかえることが可能であり、一般には新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5を0.01〜100%(重量)、好ましくは0.10〜70% (重量)含有し、残りは通常医薬用に使用される担体その他補助剤からなる。
【0026】
新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5並びにそれらの塩の投与量は症状等により異なるが、成人1人1日当たり0.01〜800mg 程度である。連投を必要とする場合には1日当たり使用量を抑えることが望ましい。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の実施例及び試験例を示すが、これは単なる一例示であって何等本発明を限定するものではなく、種々の変法が可能である。
【0028】
実施例1
新規生理活性物質 NA22598A1,A2,A3,A4 及び A5 の単離・精製
(1)発酵
ロータリー型振盪機用500ml 容三角フラスコにグリセリン2.0 %、アジプロン(味の素社製)2.0 %、塩化ナトリウム0.3 %の培地(pH7.0 )100ml を分注し、120 ℃、20分間オートクレーブ滅菌した。これに新規生理活性物質の生産菌であるNA22598 株(FERM P-14686)の1 白金耳を接種し、27℃、220 回転/分、2 日間振盪し、種培養とした。
【0029】
本培養はロータリー型振盪機用500ml 容三角フラスコにガラクトース2.0 %、デキストリン(赤玉No.3)2.0 %、バクトソイトン1.0 %、コーン・スチープ・リカー0.5 %、硫酸アンモニウム0.2 %、炭酸カルシウム0.2 %の培地(pH7.4 )100ml を分注し、120 ℃、20分間オートクレーブ滅菌したフラスコに前記種培養液1ml を移植し、27℃、220 回転/分の条件下で5 日振盪培養を行った。培養液を吸引ろ過し、ろ液と菌体とに分別した。
【0030】
(2)精製
得られたろ液(18L )をDowex 50W X8(H+ ) 2000mlに吸着させ、2.8 %アンモニア水で溶出した。これを濃縮後、Amberlite CG-50 (H+ ) 800ml に吸着し、2.8 %アンモニア水で溶出した。これを濃縮後、SP-Toyopearl 550C (NH4 + ) 300 mlに吸着し、0 〜1.0M- 塩化アンモニウム溶液のグラジエント溶出を行い、活性画分を得た。これを脱塩後、QAE-Toyopearl 550C (OH- ) に吸着し、0 〜2.8 %- アンモニア水のグラジエント溶出を行い、活性画分を得た。この活性画分を、さらに分取高速液体クロマトグラフィー(カラム:CAPCELL PAK UG120,φ20mmX250mm, 資生堂社製)(移動相:50mMリン酸水素二ナトリウム/アセトニトリル(95/5),pH9.2, 流速7.0ml/min )にて精製し、脱塩後、凍結乾燥して新規生理活性物質NA22598A1 (14mg),A2 (26mg),A3 (11mg),A4 (7mg )及びA5(5mg )の無色粉末を得た。
これらの新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5について、それぞれ赤外部吸収スペクトル及び水素核磁気共鳴スペクトルを測定し、図1〜図10に示すスペクトルを得た。また、これらの新規生理活性物質は、それぞれ、前記した通りの理化学的性質を示した。
【0031】
試験例1
細胞増殖抑制活性の測定
新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5のヒト卵巣癌細胞(A2780 )に対する増殖抑制活性を検討した。
ヒト卵巣癌細胞を 2×104 個/ml の割合で96穴テストプレートに 200μl 接種し、37℃、5% CO2インキュベーター内で24時間培養した後、新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5をそれぞれ種々の濃度で培養液に添加した。添加72時間後、生細胞数をMTT 法により測定し、新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5の種々の濃度におけるヒト卵巣癌細胞の増殖抑制率を求めた。
結果を表2 に示した。
【0032】
【表2】
Figure 0003726920
【0033】
試験例2
細胞増殖抑制活性の測定
新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5のヒト大腸癌細胞(DLD1)に対する増殖抑制活性を検討した。
ヒト大腸癌細胞を 1×104 個/ml の割合で96穴テストプレートに 200 ml 接種し、37℃、5% CO2インキュベーター内で24時間培養した後、新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5をそれぞれ種々の濃度で培養液に添加した。添加96時間後、生細胞数をMTT 法により測定し、新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5の種々の濃度におけるヒト大腸癌細胞の増殖抑制率を求めた。
結果を表3 に示した。
【0034】
【表3】
Figure 0003726920
【0035】
試験例3
急性毒性
マウスに対する新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5の急性毒性は静脈内投与 (iv) に於いて、10mg/Kg で死亡、3mg/Kgで投与後、七日間生存した。
【0036】
【発明の効果】
上記の表2および表3に示した様に、新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5はヒト卵巣癌細胞(A2780 )およびヒト大腸癌細胞(DLD1)に対して強い増殖抑制活性を有し、制癌効果を示す。
上記のように新規生理活性物質NA22598A1,A2,A3,A4及びA5並びにそれらの塩は、制癌作用を有するので、制癌剤などの医薬として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 NA22598A1 の臭化カリウム錠剤で測定した赤外部吸収スペクトル
【図2】 NA22598A1 の重水中(300MHz)で測定した水素核磁気共鳴スペクトル
【図3】 NA22598A2 の臭化カリウム錠剤で測定した赤外部吸収スペクトル
【図4】 NA22598A2 の重水中(300MHz)で測定した水素核磁気共鳴スペクトル
【図5】 NA22598A3 の臭化カリウム錠剤で測定した赤外部吸収スペクトル
【図6】 NA22598A3 の重水中(300MHz)で測定した水素核磁気共鳴スペクトル
【図7】 NA22598A4 の臭化カリウム錠剤で測定した赤外部吸収スペクトル
【図8】 NA22598A4 の重水中(300MHz)で測定した水素核磁気共鳴スペクトル
【図9】 NA22598A5 の臭化カリウム錠剤で測定した赤外部吸収スペクトル
【図10】 NA22598A5 の重水中(300MHz)で測定した水素核磁気共鳴スペクトル

Claims (5)

  1. 下記の理化学的性質を示す新規生理活性物質NA22598A1又はその塩:
    1)外観:無色粉末
    2)融点:190〜195℃
    3)分子量:502
    4)分子式:C2038
    5)HRFAB−MS:
    2039の計算値:503.2942
    実測値:503.2943
    6)溶解性:
    易溶:ジメチルスルホキシド、水
    可溶:メタノール
    不溶:ヘキサン、クロロホルム
    7)シリカゲル薄層クロマトグラフィーによるRf値:
    n−ブタノール−酢酸−水(4:1:2)の展開溶媒で0.14を示す。
    8)紫外部吸収スペクトル:水溶液中末端吸収を示す。
    9)赤外部吸収スペクトル:
    臭化カリウム錠剤での測定により図1のスペクトルを示す。
    10)水素核磁気共鳴スペクトル(300MHz):
    重水中での測定により図2のスペクトルを示す。
    11)炭素核磁気共鳴スペクトル(75MHz,重水中):
    δ:179.6(s),175.6(s),175.4(s),157.6(s),157.1(s),75.5(d),72.8(d),
    62.2(d),58.9(d),55.5(d),52.7(d),51.7(t),51.0(d),37.3(t),31.8(d),
    29.5(t),28.4(t),20.1(q),18.6(q),17.8(q)ppm
    12)アミノ酸分析:アミノ酸分析の結果、アラニン、バリン(1:1)が存在する。
    13)呈色反応:
    陽性:ニンヒドリン、リンモリブデン酸硫酸、エーリッヒ
    陰性:バニリン硫酸、ヨウ素
    14)塩基性、酸性、中性の区別:塩基性物質。
  2. ストレプトミセス属に属し新規生理活性物質NA22598A1を生産する能力を有する微生物を培養し、培養物中に新規生理活性物質NA22598A1を生産、蓄積せしめ、次いでこれを採取する事を特徴とする新規生理活性物質NA22598A1並びにその塩の製造法。
  3. 新規生理活性物質NA22598A1あるいはその塩を有効成分として含有する医薬。
  4. 新規生理活性物質NA22598A1あるいはその塩を有効成分として含有する制癌剤。
  5. ストレプトミセス属に属し新規生理活性物質NA22598A1を生産する能力を有する「NA22598」株(生命工学工業技術研究所寄託番号FERM P−14686)又はその変異株。
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