JP3726485B2 - 自動車の車体構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車の車体構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のリヤサスペンションマウントブラケット部分の車体構造は、特開平7−165119号公報に示されるようになっている。
【0003】
即ち、図4〜図6に示すように、フロアパネル1の両側部には上方へ向けてリヤホイールハウス2が突設されており、該リヤホイールハウス2の内側には、更に、車両中心方向へ向けてリヤサスペンションマウントブラケット3が突設されている。そして、車両前後方向に延設される骨格部材としてのサイドメンバ4が、リヤホイールハウス2およびリヤサスペンションマウントブラケット3の内側縁に沿ってほぼ水平方向へ迂回するように配置され、リヤサスペンションマウントブラケット3の前壁5、側壁6、後壁7がサイドメンバ4の迂回部8に接合されている。さらに、左右のサイドメンバ4の迂回部8には車両幅方向の骨格部材であるクロスメンバ9が接合されている。
【0004】
そして、左右のリヤサスペンションマウントブラケット3には、リヤサスペンション10が取付けられ、左右のリヤサスペンション10間にトーションビーム11が支持されている。該トーションビーム11はクロスメンバ9よりも後方にオフセットされた位置に配設されている。
【0005】
なお、図中、12はパナールロッドブラケット、13はパナールロッド、14は軸受である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の自動車の車体構造では、リヤサスペンションマウントブラケット3の前壁5、側壁6、後壁7との接合性を確保するためにサイドメンバ4を著しく変形させて大きな迂回部8を形成しているので、サイドメンバ4の製造・加工が難しいという問題があった。
【0007】
また、サイドメンバ4を著しく変形させているので、強度的に不利な構造となっており、補強材設定、板厚増大などの補強を行わなければならず、車両重量が増大するという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記の問題点を解消し、サイドメンバの製造を容易化すると共に、車両重量の増大を抑えながら後方からの力に対する強度を向上させることのできる自動車の車体構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明では、フロアパネルの両側部から上方へ向けて突設されるリヤホイールハウスの内側に、更に、車両中心方向へ向けてリヤサスペンションマウントブラケットが突設されると共に、該リヤサスペンションマウントブラケットの内側縁に沿って車両前後方向に延設されるサイドメンバが位置する自動車の車体構造において、前記リヤサスペンションマウントブラケットの後壁と前記サイドメンバとの間に間隙部を形成して、該間隙部におけるサイドメンバの水平方向への曲げが小さくなるよう構成し、前記間隙部に連結ブラケットを配設して、前記リヤサスペンションマウントブラケットの後壁と前記リヤホイールハウスの側面部と、前記サイドメンバの側面部との間を、前記連結ブラケットで連結すると共に、該連結ブラケットにサスペンション部材と車体との干渉を防止するヘルパーラバー車体受け点を設けたことを特徴としている。
【0010】
このように構成された請求項1にかかる発明では、リヤサスペンションマウントブラケットの後壁とリヤホイールハウスの側面部と、サイドメンバの側面部との間を連結ブラケットで連結することにより、リヤサスペンションマウントブラケットの後壁と前記リヤホイールハウスの側面部と、前記サイドメンバの側面部との間の接合強度を確保することができる。この際、リヤサスペンションからリヤサスペンションマウントブラケットへの入力を、リヤホイールハウスとサイドメンバへ効率良く伝える機能を連結ブラケットが果たすので、車体剛性の向上を得ることができる。また、サイドメンバの水平方向への曲げを小さくできるので、サイドメンバの製造・加工が容易となると共に、車両重量の増加を抑えながら容易にサイドメンバの強度を向上させるこさができる。
【0011】
更に、連結ブラケットに、ヘルパーラバー車体受け点を設けることにより、連結ブラケットがサスペンション部材としてのトーションビームに取付けられたヘルパーラバーを受けてトーションビームの上下動範囲を規制することができる。この際、連結ブラケットは、トーションビームから連結ブラケットへの入力を、リヤホイールハウスとサイドメンバへ効率良く伝えることができる。
【0012】
また、請求項2に記載された発明では、前記サイドメンバにおける、リヤホイールハウスの部分に上方屈曲部が形成されている場合に、前記連結ブラケット、前記サイドメンバの上方屈曲部の頂部よりも後方位置に接続したことを特徴としている。
【0013】
このように構成された請求項2にかかる発明では、前記サイドメンバにおけるリヤホイールハウスの部分に上方屈曲部が形成されている場合に、前記連結ブラケットを、前記サイドメンバの上方屈曲部の頂部よりも後方に寄った位置に接続させるようにすることにより、連結ブラケットを上方屈曲部の頂部にて接続させる場合に比べて、後方からの力に対する強度を確保することができる。
【0014】
更に、請求項3に記載された発明では、前記連結ブラケットが、マフラマウント部を有していることを特徴としている。
【0015】
このように構成された請求項3にかかる発明では、前記連結ブラケットに、マフラマウント部を設けることにより、連結ブラケットでリヤマフラを支持することができるので、別途、マフラマウント用のブラケットを必要としない。
【0016】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の具体的な実施の形態1について、図示例と共に説明する。
【0017】
図1〜図3は、この発明の実施の形態1を示すものである。なお、前記従来例と同一ないし均等な部分については、同一の符号を付して説明する。
【0018】
まず、構成を説明すると、この実施の形態1のものでは、車両前後方向に延設される骨格部材としてのサイドメンバ4を、リヤホイールハウス2およびリヤサスペンションマウントブラケット3の内側縁に沿ってほぼ水平方向へ迂回するように配置し、リヤサスペンションマウントブラケット3の前壁5、側壁6のみをサイドメンバ4の迂回部8に接合させ、且つ、リヤサスペンションマウントブラケット3の後壁7とサイドメンバ4との間に間隙部15を形成して、該間隙部15におけるサイドメンバ4の水平方向への曲げが小さくなるようにする。
【0019】
そして、上記間隙部15に連結ブラケット16を配設し、前記リヤサスペンションマウントブラケット3の後壁7と前記リヤホイールハウス2の側面部と、前記サイドメンバ4の側面部との間を連結ブラケット16で連結する。
【0020】
更に、連結ブラケット16に、サスペンション部材としてのトーションビーム11に取付けられたヘルパーラバー25を受けてトーションビーム11の上下動範囲を規制するためのヘルパーラバー車体受け点となる受け部材17を設ける。
【0021】
また、前記サイドメンバ4におけるリヤホイールハウス2の部分(即ち、迂回部8の部分)に更に上方屈曲部18が形成されている場合に、前記連結ブラケット16を、前記サイドメンバ4の上方屈曲部18の頂部19よりも後方に寄った位置に接続させるようにする。なお、サイドメンバ4の上方屈曲部18より後方側は、垂直方向の曲げが小さく形成されている。
【0022】
更に、前記連結ブラケット16に、マフラマウント部20を設ける。該マフラマウント部20は、連結ブラケット16に取付けた車体側マウント部材21と、リヤマフラ22に取付けたマフラ側マウント部材23と、両者間を非接触状態で結合可能なゴムなどで形成される弾性結合部材24とで主に構成されている。
【0023】
次に、この実施の形態1の作動について説明する。
【0024】
車両前後方向に延設される骨格部材としてのサイドメンバ4を、リヤホイールハウス2およびリヤサスペンションマウントブラケット3の内側縁に沿ってほぼ水平方向へ迂回するように配置し、リヤサスペンションマウントブラケット3の前壁5、側壁6のみをサイドメンバ4の迂回部8に接合させ、且つ、リヤサスペンションマウントブラケット3の後壁7とサイドメンバ4との間に間隙部15を形成して、該間隙部15におけるサイドメンバ4の水平方向への曲げが小さくなるようにしているので、サイドメンバ4の製造・加工が容易となると共に、重量増加を抑えながら容易に車体強度を向上させることができる。
【0025】
そして、上記間隙部15に連結ブラケット16を配設し、前記リヤサスペンションマウントブラケット3の後壁7と前記リヤホイールハウス2の側面部と、前記サイドメンバ4の側面部との間を連結ブラケット16で連結することにより、リヤサスペンションマウントブラケット3の後壁7と前記リヤホイールハウス2の側面部と、前記サイドメンバ4の側面部との間の接合強度を確保することができる。この際、リヤサスペンション10からリヤサスペンションマウントブラケット3への入力を、リヤホイールハウス2とサイドメンバ4へ効率良く伝える機能を連結ブラケット16が果たすので、車体剛性の向上を得ることができる。
【0026】
更に、連結ブラケット16に、ヘルパーラバー車体受け点となる受け部材17を設けることにより、受け部材17がトーションビーム11に取付けられたヘルパーラバー25を受けてトーションビーム11の上下動範囲を規制することができる。この際、連結ブラケット16は、トーションビーム11から連結ブラケット16への入力を、リヤホイールハウス2とサイドメンバ4へ効率良く伝えることができる。
【0027】
また、前記サイドメンバ4におけるリヤホイールハウス2の部分に上方屈曲部18が形成されている場合に、前記連結ブラケット16を、前記サイドメンバ4の上方屈曲部18の頂部19よりも後方に寄った位置に接続させるようにすることにより、後方からの荷重を頂部19よりも後方で分散させるため、頂部19に後方からの荷重が集中しにくく、連結ブラケット16を上方屈曲部18の頂部19にて接続させる場合に比べて、後方からの力に対する強度を確保することができる。
【0028】
なお、本実施の形態では、サイドメンバ4は水平方向だけでなく、頂部19から後方側における垂直方向の曲げも小さくなっているので、サイドメンバ4の後方からの荷重に対する強度は更に向上する。
【0029】
更に、前記連結ブラケット16に、マフラマウント部20を設けることにより、連結ブラケット16でリヤマフラ22を支持することができる。この際、連結ブラケット16に取付けた車体側マウント部材21と、リヤマフラ22に取付けたマフラ側マウント部材23とを、ゴムなどで形成される弾性結合部材24を用いて非接触状態で結合させることにより、リヤマフラ22の振動が連結ブラケット16へ伝達されないようにしつつリヤマフラ22を支持することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1の発明によれば、リヤサスペンションマウントブラケットの後壁とリヤホイールハウスの側面部と、サイドメンバの側面部との間を連結ブラケットで連結することにより、リヤサスペンションマウントブラケットの後壁と前記リヤホイールハウスの側面部と、前記サイドメンバの側面部との間の接合強度を確保することができる。この際、リヤサスペンションからリヤサスペンションマウントブラケットへの入力を、リヤホイールハウスとサイドメンバへ効率良く伝える機能を連結ブラケットが果たすので、車体剛性の向上を得ることができる。また、サイドメンバの水平方向への曲げを小さくできるので、サイドメンバの製造・加工が容易となると共に、車両重量の増加を抑えながら容易にサイドメンバの強度を向上させることができる。
【0031】
更に、連結ブラケットに、ヘルパーラバー車体受け点を設けることにより、連結ブラケットがサスペンション部材としてのトーションビームに取付けられたヘルパーラバーを受けてトーションビームの上下動範囲を規制することができる。この際、連結ブラケットは、トーションビームから連結ブラケットへの入力を、リヤホイールハウスとサイドメンバへ効率良く伝えることができる。
【0032】
請求項2の発明によれば、前記サイドメンバにおけるリヤホイールハウスの部分に上方屈曲部が形成されている場合に、前記連結ブラケットを、前記サイドメンバの上方屈曲部の頂部よりも後方に寄った位置に接続させるようにすることにより、連結ブラケットを上方屈曲部の頂部にて接続させる場合に比べて、後方からの力に対する強度を確保することができる。
【0033】
請求項3の発明によれば、前記連結ブラケットに、マフラマウント部を設けることにより、連結ブラケットでリヤマフラを支持することができるので、別途、マフランジマウント用のブラケットを必要としない、という実用上有益な効果を発揮し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の一部破断した斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図2の一部を省略した平面図である。
【図4】従来例の斜視図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【図6】図4をC方向から見た概略背面図である。

Claims (3)

  1. フロアパネルの両側部から上方へ向けて突設されるリヤホイールハウスの内側に、更に、車両中心方向へ向けてリヤサスペンションマウントブラケットが突設されると共に、該リヤサスペンションマウントブラケットの内側縁に沿って車両前後方向に延設されるサイドメンバが位置する自動車の車体構造において、
    前記リヤサスペンションマウントブラケットの後壁と前記サイドメンバとの間に間隙部を形成して、該間隙部におけるサイドメンバの水平方向への曲げが小さくなるよう構成し、前記間隙部に連結ブラケットを配設して、前記リヤサスペンションマウントブラケットの後壁と前記リヤホイールハウスの側面部と、前記サイドメンバの側面部との間を、前記連結ブラケットで連結すると共に、該連結ブラケットにサスペンション部材と車体との干渉を防止するヘルパーラバー車体受け点を設けたことを特徴とする自動車の車体構造。
  2. 前記サイドメンバにおける、リヤホイールハウスの部分に上方屈曲部が形成されている場合に、前記連結ブラケット、前記サイドメンバの上方屈曲部の頂部よりも後方位置に接続したことを特徴とする請求項1記載の自動車の車体構造。
  3. 前記連結ブラケットが、マフラマウント部を有していることを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の自動車の車体構造。
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