JP3726397B2 - 高周波加熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子レンジなどの高周波加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10および図11は従来の高周波加熱装置の技術を示す。以下図面と共に従来例について説明する。
【0003】
図10に示すようにマグネトロン3からの電波は導波管2を通って開口4から加熱室1内に照射される。加熱室1の上部の電波攪拌羽根5により、電波を均一にする。6は電波攪拌羽根5の駆動用のモータである。加熱室1の側面には棚7を設け、低誘電率材料によりなる載置台8を保持している。載置台8の上には被加熱物である食品9を載置し、食品9はマグネトロン3からの電波で高周波加熱される。
【0004】
図11は載置台8の上の食品9が高周波加熱されている状態を示す。実線の矢印は食品9に加わる電波の状態を模擬的に示したものである。電波は食品9の上下などの外周面から食品の内部に浸透する。電波はまず食品の表面を高周波加熱するので、この部分である程度減衰しながら食品の内部に向かう。
【0005】
図11に示すように食品の量が多く厚みを有する場合は、食品の内部に向かう電波の強度が弱くなり、食品の表面に比べて内部は加熱されにくくなる。斜線は食品の加熱の状態を示し、食品の外周部が内部よりもより加熱されている状態を示している。
【0006】
【発明が解決しょうとする課題】
しかしながら、このような従来の構成においては、食品の重量が重く、しかも大きな塊のような形状をしている被加熱物の場合は、前述のような理由により、どうしても食品外周部の方が加熱されやすく、食品の内部は加熱されにくく生の状態が残ることになり、均一な加熱をすることが困難であった。特に食品の温度をマイナス温度に保存している冷凍食品の場合は、食品の表面部から加熱され、解凍が進むと、解凍した表面部の水に電波がより吸収されやすいので、加熱むらはより顕著になり、均一な解凍加熱は困難であった。
【0007】
またこのような大きな食品を均一に加熱するために、加熱室内における電波の強度を変え、意識的に加熱室の中央部などのように、食品の中央部に当たる部分の電界強度を強くするような電波の照射状態に構成することによって、均一加熱状態を得ることも行われていた。
【0008】
しかしながら、食品を複数個加熱するような場合は、必ずしも食品の中央部と加熱室内の電波の強い位置が必ずしも一致せず、食品の形、食品の数が変わった場合に、それぞれどの食品にも均一な加熱を行うことは出来なかった。
【0009】
また食品の重量が軽く、比較的小さな食品を多数個一度に加熱するような加熱の場合には、それぞれの食品に対しては電波は通りやすく加熱されやすい。このような食品を加熱する場合には、加熱室内の電界強度は中央部だけが強いよりも、全体に強弱がなく均一な電界強度での加熱が望ましい。
【0010】
このように従来の高周波加熱装置によると、食品の大きさ、形が変わった場合に加熱状態が変わり、全ての食品を均一に加熱することは出来なかった。特に大きな塊のような食品の場合には、中心部が加熱されにくいという欠点を有していた。これは食品の電波の吸収状態の違いによって起きる問題であるので、電波の攪拌の構成や、食品自体を回転するターンテーブルの構成だけで解決することはきわめて困難である。
【0011】
そこで、本発明は電波集中体によって食品の中央部に電波を集中させ、食品の外周部と内部の発熱状態を均一にすることにより、食品全体を均一に加熱することが出来る加熱性能の良い高周波加熱装置を提供することを第1の課題としている。
【0012】
また電波集中体をセラミック材料によって構成することによって、より電波の集中効果を高め、均一加熱性能の高い高周波加熱装置を提供することを第2の課題としている。
【0013】
また被加熱物載置台の、電波集中体を設けた部分以外の部分に、複数個の開口を設けることにより、電波集中体による電波の集中効果をより高め、さらに均一加熱性能の良い高周波加熱装置を提供することを第3の課題としている。
【0014】
また被加熱物載置台の電波集中体部分以外の部分は、開口部を有する部分と、開口部を有さない部分とを設けることにより、載置台上の位置が良く分かり、いつも同じ位置に食品が載置出来ることにより、加熱のばらつきの少ない高周波加熱装置を提供することを第4の課題としている。
【0015】
また被加熱物載置台の上面にはゴムシートを貼り付ける構成により、食品を滑りにくくし、被加熱物載置台上の食品の位置を安定させ、加熱のばらつきの少ない高周波加熱装置を提供することを第5の課題としている。
【0016】
また電波集中体と被加熱物載置台に樹脂シートを貼り付けた構成とすることにより、電波集中体周辺の隙間がなくなり、食品かすなどが溜まることを防止し、衛生的な高周波加熱装置を提供することを第6の課題としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、加熱室と、前記加熱室に結合された高周波発生手段と、前記加熱室内に着脱自在に設けられた低誘電率材料によって構成した被加熱物載置台と、前記被加熱物載置台に部分的に形成した凹部と、前記凹部内に設けた電波集中体とを備え、前記電波集中体と前記被加熱物載置台に樹脂シートを貼り付けて前記凹部と前記電波集中体の隙間をなくすることにより、電波集中体の周囲の隙間に食品かすなどが溜まることも防止でき、不要な発熱なども防止できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
また加熱室と、前記加熱室に結合された高周波発生手段と、前記加熱室内には低誘電率材料によって構成した被加熱物載置台を着脱自在に設け、前記被加熱物載置台には部分的に形成した凹部を設け、前記凹部内には電波集中体を設け、前記電波集中体と前記被加熱物載置台に樹脂シートを貼り付ける。
【0019】
そして電波集中体と被加熱物載置台に樹脂シートを貼り付けることにより、電波集中体の周囲の隙間に食品かすなどが溜まることも防止でき、不要な発熱なども防止できる。
【0020】
以下本発明の実施例における高周波加熱装置について図面とともに説明する。
【0021】
(実施例1)
図1に示すように、加熱室11には高周波を導く導波管12を設け、この導波管12には電波の発振管であるマグネトロン13を設ける。マグネトロン13からの電波は、開口14を通って加熱室11内に照射される。加熱室11の上部に設けた電波攪拌羽根15は、モータ16により回転駆動され電波を均一に攪拌する。加熱室11の左右両側面の壁面に形成した棚17には、耐熱性の樹脂などの低誘電率材料で構成した被加熱物載置台18を着脱自在に保持する。被加熱物載置台18の略中央部分には凹部20を設け、この凹部20内には樹脂、ほう珪酸ガラス、結晶化ガラス、セラミックなどの低誘電率材料によって構成した電波集中体を面状に設ける。
【0022】
図2は本発明の実施例1における被加熱物載置台の斜視図である。これは加熱室の中央部に食品を載置して加熱を行えるように、被加熱物載置第18の中央部に凹部20を設け、この凹部20内に前述した構成の電波集中体21を設けている。
【0023】
図9は本実施例の高周波加熱装置の加熱室内で、食品26が高周波加熱されている状態を示す。実線の矢印は食品26に加わる電波の状態を模式的に示したものである。被加熱物載置台18の中央部には誘電体材料によって構成した電波集中体21を設けている。誘電体には電波が引き寄せられる性質を有するので、誘電体付近の電界強度は他の部分よりも高くなる。これにより電波集中体21付近の食品26がより加熱されることになる。すなわち食品26の中央部が周辺部分よりもより強く加熱されることになる。従来は食品の中央部が電波が通りにくく、加熱さにくかったのに対して、本実施例によれば食品の中央部が効果的に加熱されるので、結果的には食品全体が均一に加熱されることになる。
【0024】
斜線は食品の加熱の状態を示し、従来例に比べて食品の外周部と内部ともより均一に加熱されていることを示している。
【0025】
特に食品温度をマイナス温度に保存している冷凍食品の解凍加熱の場合は、食品の表面部から加熱され、解凍が進むと解凍した表面部の水分に電波が吸収されやすく、表面だけが解凍し、中央部が加熱されにくいので解凍むらが発生しやすい。これに対して本発明によれば食品の中央部も十分に加熱されるので、むらのない均一な解凍加熱をすることができる。このように加熱性能や解凍性能の調理性能の極めて高い高周波加熱装置を実現できる。
【0026】
また電波集中体をセラミック材料で構成することによって、樹脂材料などに比べて誘電率が高いので、より電波の集中効果を高めることができ、より均一加熱性能の良い高周波加熱装置を実現できる。さらに同じ電波集中効果を得ようとすると、誘電率が高い分電波集中体の形状を小さくすることができ、食品載置台をより扱いやすくすることが出来る。さらに耐熱温度が高いので、食品の発熱などの温度上昇にも十分耐えることができ、耐久性の高い装置とすることが出来る。
【0027】
電波集中体をセラミック材料などの誘電体材料で構成しているので、誘電体としての電波集中作用は有するが、電波による発熱は少なく、電波集中体が高温に加熱されることはない。また電波の吸収が少ないので加熱ロスもなく、殆どの電波が食品に吸収されるので加熱効率も高い。
【0028】
(実施例2)
図3は本発明の被加熱物載置台の実施例2の斜視図である。被加熱物載置台18には凹部20を設け、この凹部20内に電波集中体21を設けるとともに、被加熱物載置台18の前記凹部20以外の部分には複数個の開口部22を設ける。
【0029】
被加熱物載置台の、電波集中体を設けた部分以外の部分に複数個の開口部を設けることにより、被加熱物載置台の開口部を設けた部分の誘電率は、面全体の誘電率の平均と見ると実質的に低くできる。これにより、電波集中体を設けた部分との誘電率の差が大きくでき、より電波集中効果を高くすることができ、食品の中央部をより効果的に加熱できるので、より均一な加熱を実現できる。
【0030】
さらに、被加熱物載置台に設けた開口部により、加熱室内における空気の換気循環を良くすることができ、加熱室内の結露を防止することができる。
【0031】
そして食品を電波加熱するだけでなく、熱風循環の熱によって加熱する場合や、蒸気の熱によってスチーム加熱する場合においても、熱風やスチームの循環が食品の上下にわたって行われるので、この面からもより均一な加熱を実現できることになる。
【0032】
また開口部を設けることによって被加熱物載置台の重量が低減できるので、軽くて扱いやすい被加熱物載置台とすることができる。
【0033】
(実施例3)
図4は本発明の被加熱物載置台の実施例3の斜視図である。被加熱物載置台18には凹部20を設け、この凹部20内に電波集中体21を設ける。被加熱物載置台18の前記凹部20以外の部分には複数個の開口部22を設けた部分と、開口部を有さない部分23とを設ける。
【0034】
被加熱物載置台の電波集中体部分の以外の部分は、開口部を有する部分と、開口部を有さない部分を設けることにより、被加熱物載置台上にあるパターンが表示できる。このパターンにより、例えば食品の載置位置を示すことにより、使用者はこれを目安に食品を載置できるので、いつも同じ位置に食品を載置でき、電波集中体の効果とともに、食品の必要な部分を選択して効果的に加熱できるので、常に安定した加熱調理を実現できる。
【0035】
さらに食品によって被加熱物載置台を使い分ける場合は、これを見分ける目印として利用できるので、使い間違いを防止できる効果も有する。
【0036】
(実施例4)
図5は本発明の被加熱物載置台の実施例4の斜視図、図6は同被加熱物載置台の部分断面図である。被加熱物載置台18には凹部20を設け、この凹部20内には電波集中体21を設ける。被加熱物載置台18の上面には、電波によって発熱しにくく、しかも耐熱性のあるシリコンゴムなどのような材質からなるゴムシート24を設ける。ゴムシート24は固定をより確実にするために、被加熱物載置台18に窪みを設けて、両面テープなどの接着剤で貼り付けている。
【0037】
また被加熱物載置台の上面にゴムシートを貼り付けることにより、被加熱物載置台と食品の間の摩擦抵抗が増え、載置台上で食品が滑ることが防止できる。特に冷凍食品の場合は食品が滑りやすいので、この効果は顕著に現れる。
滑り防止効果により食品と電波集中体の位置がずれることが防止できるので、加熱位置がずれることもなく、仕上がりの良い加熱調理を実現できる。
【0038】
(実施例5)
図7は被加熱物載置台の実施例5の斜視図、図8は同被加熱物載置台の部分断面図である。被加熱物載置台18には凹部20を設け、この凹部20内には電波集中体21を設ける。電波集中体21と被加熱物載置台18の表面にはポリエステルなどの低誘電率材料で構成した樹脂シート25を被加熱物載置台18に貼り付ける構成とする。
【0039】
電波集中体と被加熱物載置台に樹脂シートを貼り付けたことにより、凹部と電波集中体の隙間に食品かすなどが溜まることも防止できるので、不要な発熱を防止できる。さらに隙間をなくするので汚れもつきにくく、手入れや水洗いの清掃がしやすくなる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明の高周波加熱装置においては、以下の効果が得られる。
【0041】
(1)被加熱物載置台の中央部には誘電体材料によって構成した電波集中体を設けているので食品の中央部が周辺部分よりもより強く加熱される。従来は食品の中央部が電波が通りにくく、加熱さにくかったのに対して、本発明によれば食品の中央部が効果的に加熱されるので、結果的には食品全体が均一に加熱されることになる。
【0042】
(2)また電波集中体と被加熱物載置台に樹脂シートを貼り付けた構成にすることにより、凹部と電波集中体の隙間に食品かすなどが溜まることも防止できるので、不要な発熱を防止できる。さらに隙間をなくするので汚れもつきにくく、手入れや水洗いの清掃がしやすくなり、衛生的な高周波加熱装置が実現できる。
【0043】
(3)被加熱物載置台は加熱室に着脱自在に設けているので、加熱しようとする食品に合わせて電波集中体の大きさ、形、数量などを選択することができる。
【0044】
また小重量の食品が多数個分散しているような食品の場合は、電波は集中させずに分散している方が良いが、このような場合には被加熱物載置台から電波集中体を取り外した状態で加熱することにより、多数個の食品を均一に加熱調理をすることができる。このように加熱しようとする食品の形状、大きさ、数などに応じて最も適した加熱状態で加熱調理することができる。
【0045】
このように本発明によれば簡単な構成により、食品に合わせて解凍や加熱が均一にでき、極めて加熱性能の良い、実用性の高い高周波加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における高周波加熱装置の断面図
【図2】 同高周波加熱装置の被加熱物載置台の斜視図
【図3】 同実施例2における被加熱物載置台の斜視図
【図4】 同実施例3における被加熱物載置台の斜視図
【図5】 同実施例4における被加熱物載置台の斜視図
【図6】 同被加熱物載置台の断面図
【図7】 本発明の実施例5における高周波加熱装置の被加熱物載置台の斜視図
【図8】 同被加熱物載置台の断面図
【図9】 本発明の実施例全般における食品と電波の関係を模式的に示す図
【図10】 従来の高周波加熱装置の断面図
【図11】 同高周波加熱装置の食品と電波の関係を模式的に示す図
【符号の説明】
11 加熱室
13 マグネトロン
17 棚
18 被加熱物載置台
19 食品
20 凹部
21 電波集中体
22 開口部
24 ゴムシート
25 樹脂シート
Claims (1)
- 加熱室と、前記加熱室に結合された高周波発生手段と、前記加熱室内に着脱自在に設けられた低誘電率材料によって構成した被加熱物載置台と、前記被加熱物載置台に部分的に形成した凹部と、前記凹部内に設けた電波集中体とを備え、前記電波集中体と前記被加熱物載置台に樹脂シートを貼り付けて前記凹部と前記電波集中体の隙間をなくするようにした高周波加熱装置。
Priority Applications (1)
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JP02860697A JP3726397B2 (ja) | 1997-02-13 | 1997-02-13 | 高周波加熱装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02860697A JP3726397B2 (ja) | 1997-02-13 | 1997-02-13 | 高周波加熱装置 |
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JPH10228978A JPH10228978A (ja) | 1998-08-25 |
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JP02860697A Expired - Lifetime JP3726397B2 (ja) | 1997-02-13 | 1997-02-13 | 高周波加熱装置 |
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Families Citing this family (1)
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KR102221848B1 (ko) * | 2019-09-04 | 2021-03-03 | 김태민 | 전자렌지 |
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1997
- 1997-02-13 JP JP02860697A patent/JP3726397B2/ja not_active Expired - Lifetime
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