JP3725903B2 - ベアリング組立体、そのベアリング組立体を用いたスピンドルモータ及びアクチュエータ、並びに磁気ディスク装置 - Google Patents
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Description
本発明は磁気ディスク装置などの情報機器に係り、特に装置の厚さが薄い小型磁気ディスク装置及びそれに用いるベアリング組立体の構造に関する。
背景技術
情報機器には、情報を記録したり、または、読み込んだりするための装置があり、その一つとして磁気ディスク装置がある。
従来の磁気ディスク装置の代表的な構造を、第20図に示す断面図により説明する。磁気情報を記録・保持する磁気ディスク1302を回転させるスピンドルモータは、中心にベアリング1303及び1305を軸方向に重ねて配置し、その内輪に結合して回転する軸と一体化した部材1308を備え、部材1308側にマグネット1307、ベース1309側にコイル1306を配置した構造となっている。磁気ディスク1302は部材1308に固定部材1310により固定されている。
また、磁気ディスク1302の表面を移動し磁気情報の記録及び/または再生を行う磁気ヘッドを搭載したスライダを位置決めするためのアクチュエータは、ベース1301に圧入される軸1313と、軸に直列に2個取り付けられたベアリング1312及び1314と、軸を中心に揺動運動するキャリッジ1315と、キャリッジに磁界を与えるマグネット1316と、磁気ヘッドを搭載したスライダを支持し、キャリッジに取り付けられるロードアーム1311とからなっている。
また、スピンドルモータとアクチュエータを固定するベースと、気密性を保ちながらスピンドルモータやアクチュエータを覆うカバー1317を備え、磁気ディスク装置を制御するための制御回路は、ベースの下に配置した基板1318に備えており、外部からの電源供給及び情報の入出力用のコネクタ1319が、基板1318に接続されている。
このような従来の磁気ディスク装置においては、スピンドルモータやアクチュエータにベアリングが2個使用され、かつ軸に直列に配置されているため薄型化に限界がある。
磁気ディスク装置の薄型化構造としては、特開平3−169250号公報に、2個のベアリングを同じ平面内に並べて、ハブの外周面とこれに対向するハウジングの内周面との間に第2のベアリングを同軸的に設置したものが開示されている。
発明の開示
近年コンピュータのダウンサイジングにより、省スペース化・軽量化を図るために、周辺機器も小型化される傾向にある。磁気ディスク装置においても例外ではなく、薄型化・小型化の要求が高まっている。これらの要求を実現するための方法の1つとして磁気ディスク装置のベアリング構造の薄型化が考えられる。
ベアリング構造では、特殊なベアリングを使用するとコストが上昇するため、一般に入手可能なベアリングで構成することが必要である。
磁気ディスク装置の薄型化は、ICカードに代る大容量記憶装置として磁気ディスク装置を考える場合必要となってくる。ICカードにはPCMCIA規格があり、例えば、PCMCIA TYPE1では厚さ3.3mm、TYPE2では厚さ5mm、TYPE3では厚さ10.5mmとなっており、これらに準拠するためには磁気ディスク装置の薄型化、特にベアリング構造の薄型化が課題となる。
磁気ディスク装置のベアリングとしては、滑り型または転がり型のベアリングが用いられる。
しかし、滑り型のベアリングは、ベアリング剛性が低いこと、回転時の抵抗が大きいこと、小型・薄型化した場合に製造が難しいこと、温度による影響を受け易いこと、回転を開始させるときのトルクが大きいこと、コストが高いことなどの課題が存在する。
また、転がり型のベアリングは、上記すべりベアリングの課題を解決できるものであるが、1個のベアリングのみで軸を支持する場合、ベアリングの内輪と外輪と玉あるいはころの転動体との間にガタが存在するため、ベアリングの内輪と外輪の回転軸を一致させることが困難であること、ベアリングの剛性がベアリング単体では低いことなどの課題がある。
したがって通常2個の転がり型のベアリングの組み合せで使用される。2個の転がり型ベアリングを使用した場合、予圧をかけることによって、ベアリングの内輪、外輪及び転動体のガタを抑制し、ベアリングの内輪と外輪の回転軸を一致させることができる。またベアリングの剛性を高くすることができる。
しかし従来技術の内、2個のベアリングを軸に直列に配置させるものにおいては、ベアリング単体の厚みの2倍以下にベアリング構造の厚みを減じる
2つのベアリングへの予圧による力の作用点が同時に逆方向に遷移し、その遷移途中においてはベアリングの球体への力の作用点が不安定になり振動発生の要因となる。また、この現象を防止するために、例えば径の小さい第1のベアリングの外輪に弾性体を配置して軸方向の力をさらに加えているが、この反力に打ち勝つためには永久磁石の磁気吸引力を大きくする必要がある。この場合、径の大きい第2のベアリングの内輪には大きな磁気吸引力がそのまま加わり、適正予圧以上の力が常に加わる可能性があり寿命低下、摩擦トルクの増加等の不具合を来す場合がある。
本発明の第1の目的は、2つのベアリングを有するが厚さが約1つのベアリング分の厚さしかなく、2つのベアリングへの予圧のかけ方が互いにベアリングに対し逆向きに、かつこれらのベアリングへ外力が加わっても常に外力の方向に対して対抗するように予圧が作用するベアリング組立体を備えた磁気ディスク装置を実現することにある。
上記目的を達成するために、本発明の磁気ディスク装置は、磁気情報を保持する磁気ディスクを回転させるスピンドルモータと、前記磁気ディスクへの情報の書き込み及び/または読み出しを行うためのトランスデューサを前記磁気ディスク表面で移動させるアクチュエータと、前記スピンドルモータと前記アクチュエータとを固定するベースとを備えてなる磁気ディスク装置において、前記スピンドルモータを回転させるためのベアリング組立体と前記アクチュエータを揺動させるためのベアリング組立体の少なくとも一方が、径の大きいベアリングと前記径の大きいベアリングの内側に配置された径の小さいベアリングとを有し、前記径の小さいベアリングの内輪を前記ベースに一体成形された固定軸にその軸方向に移動しないように前記固定軸の一方の端部から固定部材によって固定し、前記径の大きいベアリングの内輪を前記固定軸の軸方向において他方の端部から前記ベースで保持し、前記径の大きいベアリングの外輪と径の小さいベアリングの外輪を外輪結合部材で結合したものである。
上記の装置においては、以下の態様がある。
(1)前記内輪結合部材は固定し、前記外輪結合部材は回転する。
(2)前記内輪結合部材は回転し、前記外輪結合部材は固定する。
(3)前記径の小さいベアリングは、前記径の大きいベアリングの内輪の内径が形成する空間の内側に配置した。
(4)(1)において、前記径の小さいベアリングは、前記径の大きいベアリングの内輪の内径が形成する空間の内側に配置した。
(5)(2)において、前記径の小さいベアリングは、前記径の大きいベアリングの内輪の内径が形成する空間の内側に配置した。
(6)(1)において、前記径の大きいベアリングの内輪は、前記内輪結合部材と一体形成した。
(7)前記ベアリング組立体はその厚さが1.5mm以上3mm以下である。
(8)前記磁気ディスク装置は少なくとも前記スピンドルモータ、アクチュエータ若しくはトランスデューサの駆動を制御する駆動制御回路を備え、該駆動制御回路は前記スピンドルモータの半径方向の回りに配置した。
また、本発明の第7の特徴は、磁気情報を保持する磁気ディスクを回転させるスピンドルモータと、前記磁気ディスクへの情報の書き込み及び/または読み出しを行うためのトランスデューサを前記磁気ディスク表面で移動させるアクチュエータと、前記スピンドルモータ及び前記アクチュエータを固定するベースと、を備えている磁気ディスク装置において、前記スピンドルモータを回転させるためのベアリング組立体と前記アクチュエータを揺動させるためのベアリング組立体の少なくとも一方が、径の大きいベアリングと径の小さいベアリングを有し、径の小さいベアリングの内輪は前記ベースに一体化した軸に一体形成したことにある。
また、本発明の第8の特徴は、磁気情報を保持する磁気ディスクを回転させるスピンドルモータと、前記磁気ディスクへの情報の書き込み及び/または読み出しを行うためのトランスデューサを前記磁気ディスク表面で移動させるアクチュエータと、前記スピンドルモータ及び前記アクチュエータを固定するベースと、を備えている磁気ディスク装置において、前記スピンドルモータを回転させるためのベアリング組立体と前記アクチュエータを揺動させるためのベアリング組立体の少なくとも一方が、径の大きいベアリングと径の小さいベアリングを有し、径の小さいベアリングの外輪は前記径の大きいベアリングの外輪に結合する部材に一体形成したことにある。
また、本発明の第9の特徴は、磁気情報を保持する磁気ディスクを回転させるスピンドルモータと、前記磁気ディスクへの情報の書き込み及び/または読み出しを行うためのトランスデューサを前記磁気ディスク表面で移動させるアクチュエータと、を備えてなる磁気ディスク装置において、前記スピンドルモータを回転させるためのベアリング組立体と前記アクチュエータを揺動させるためのベアリング組立体の少なくとも一方が、径の大きいベアリングと径の小さいベアリングを有し、径の大きいベアリングの内輪と径の小さいベアリングの内輪を結合する内輪結合部材と、径の大きいベアリングの外輪と径の小さいベアリングの外輪を結合する外輪結合部材とを備え、前記内輪結合部材は径の大きいベアリングの内輪と一体形成するとともに回転可能であり、外輪結合部材は固定することにある。
また、本発明の第10の特徴は、磁気情報を保持する磁気ディスクを回転させるスピンドルモータと、前記磁気ディスクへの情報の書き込み及び/または読み出しを行うためのトランスデューサを前記磁気ディスク表面で移動させるアクチュエータと、を備えてなる磁気ディスク装置において、前記スピンドルモータを回転させるためのベアリング組立体と前記アクチュエータを揺動させるためのベアリング組立体の少なくとも一方が、径の大きいベアリングと径の小さいベアリングを有し、径の大きいベアリングの内輪と径の小さいベアリングの内輪を結合する内輪結合部材と、径の大きいベアリングの外輪と径の小さいベアリングの外輪を結合する外輪結合部材とを備え、前記内輪結合部材は回転可能であり、前記外輪結合部材は径の小さいベアリングの外輪と一体形成するとともに固定することにある。
上記の装置の態様として、前記内輪結合部材は径の大きいベアリングの内輪と一体形成する。
また、本発明の第11の特徴は、磁気情報を保持する磁気ディスクを回転させるスピンドルモータと、前記磁気ディスクへの情報の書き込み及び/または読み出しを行うためのトランスデューサを前記磁気ディスク表面で移動させるアクチュエータと、を備えてなる磁気ディスク装置において、前記スピンドルモータを回転させるためのベアリング組立体と前記アクチュエータを揺動させるためのベアリング組立体の少なくとも一方が、前記ベアリング組立体は上記本発明の第1乃至第4の特徴のいずれかのものを用い該磁気ディスク装置の厚さが、PCMCIA規格TYPE1のフォームファクタを持つことにある。
また、本発明の第12の特徴は、磁気情報を保持する磁気ディスクを回転させるスピンドルモータと、前記磁気ディスクへの情報の書き込み及び/または読み出しを行うためのトランスデューサを前記磁気ディスク表面で移動させるアクチュエータと、を備えてなる磁気ディスク装置において、前記スピンドルモータを回転させるためのベアリング組立体と前記アクチュエータを揺動させるためのベアリング組立体の少なくとも一方が、前記ベアリング組立体は上記本発明の第1乃至第4の特徴のいずれかのものを用い該磁気ディスク装置の厚さが、PCMCIA規格TYPE2のフォームファクタを持つことにある。
また、本発明の第13の特徴は、磁気情報を保持する磁気ディスクを回転させるスピンドルモータと、前記磁気ディスクへの情報の書き込み及び/または読み出しを行うためのトランスデューサを前記磁気ディスク表面で移動させるアクチュエータと、を備えてなる磁気ディスク装置において、前記スピンドルモータを回転させるためのベアリング組立体と前記アクチュエータを揺動させるためのベアリング組立体の少なくとも一方が、前記ベアリング組立体は上記本発明の第1乃至第4の特徴のいずれかのものを用い該磁気ディスク装置の厚さが、PCMCIA規格TYPE3のフォームファクタを持つことにある。
本願発明は、上記の特徴を有することにより、2個のベアリングを軸方向に直列に配置することがなく、径の大なるベアリングのベアリング内径内に径の小なるベアリングを高さ方向に重なるように配置することによって、従来ベアリングの高さ2個分の厚みが必要であったのが、ベアリングの高さ1個分で構成できるようになるので、装置全体の薄型化が図れる。
このように2個のベアリングを有する装置においてベアリング組立体部分を1個分の厚さで形成できるため、ベアリング厚さが約1mmのものを用いると、磁気ディスクを内部に実装した状態で装置の厚さをPCMCIA規格TYPE1のフォームファクタに相当する厚さ3.3mm以内に作成できる。また、磁気ディスクの取付枚数を増した磁気ディスク装置の厚さ寸法をPCMCIA規格TYPE2の5mm、TYPE3の10.5mmの寸法内に形成できることは容易である。
また、径の大きいベアリングと径の小さいベアリングのそれぞれの内輪同志及び外輪同志を結合部材で結合することにより、2つのベアリングへの予圧のかけ方が互いにベアリングに対し逆向きになり、かつこれらのベアリングへの予圧をかける方向が逆向きとなる。
このように加工したことにより、これらのベアリング組立体にどの方向から外力が加わっても、常に外力の方向に対して対抗するように予圧が作用するため、ベアリング組立体が不安定にならず振動を発生することがない。
即ち第21図に示すように、例えば結合部材jに軸方向の荷重F又はGが加わった場合、まず荷重Fに対しては径の大きいベアリングaが荷重を受け、荷重Gに対しては径の小さいベアリングbが荷重を受け、ともにベアリングに予圧の加わっている方向(図中のc方向、回転軸に対し片側のみ表示)に荷重が作用する。したがって、2個のベアリングの片方は適正な荷重方向で荷重を受けることができる。
ベアリングに対する予圧は、径の小さいベアリングと径の大きいベアリングへの内輪と外輪への転動体への予圧方向が逆となるように加えるため、以下に示すように内輪結合部材と外輪結合部材の寸法を決める。
すなわち、第21図に示すように内輪結合部材の、径の小さいベアリングの内輪への固定部上面から径の大きいベアリングの内輪の下面までの軸方向の距離mと、外輪結合部材の、径の小さいベアリングの外輪への固定部である下面から径の大きいベアリングの外輪の上面までの軸方向の距離nとを、2つのベアリングの軸方向位置に基づき、径の小さいベアリングと径の大きいベアリングへの内輪と外輪への転動体への予圧方向が逆となってかかるように決めて加工する。
なお、内輪結合部材または外輪結合部材と、ベアリングの内輪または外輪が一体形成されている場合には、一体形成されている内輪または外輪が転動体に上記のように予圧を加えるように寸法を決めると良い。
内輪結合部材または外輪結合部材と、ベアリングの内輪または外輪を一体形成すると部品点数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の第1実施例に係る磁気ディスク装置の斜視図である。
第2図は、図1のA−A部の断面図である。
第3図は、図2のベアリング組立体A部分の拡大断面図である。
第4図は、図2のベアリング組立体B部分の拡大断面図である。
第5図は、本発明の第1実施例の磁気ディスク装置のベアリング組立体の組立方法を説明する図である。
第6図は、本発明の第1実施例の磁気ディスク装置のベアリング組立体への弾性体挿入位置を説明する断面図である。
第7図は、本発明の第1実施例の磁気ディスク装置のベアリング組立体への弾性体挿入位置を説明する断面図である。
第8図は、本発明の第2実施例に係る磁気ディスク装置のベアリング組立体の断面図である。
第9図は、本発明の第3実施例に係る磁気ディスク装置のベアリング組立体の断面図である。
第10図は、本発明の第4実施例に係る磁気ディスク装置のベアリング組立体の断面図である。
第11図は、本発明の第5実施例に係る磁気ディスク装置のベアリング組立体の断面図である。
第12図は、本発明の第6実施例に係る磁気ディスク装置の断面図である。
第13図は、第12図のベアリング組立体C部分の拡大断面図である。第14図は、本発明の第6実施例の磁気ディスク装置のベアリング組立体への弾性体挿入位置を説明する断面図である。
第15図は、本発明の第6実施例の磁気ディスク装置のベアリング組立体への弾性体挿入位置を説明する断面図である。
第16図は、本発明の第6実施例の磁気ディスク装置のベアリング組立体への組立方法を説明する図である。
第17図は、本発明の第7実施例に係る磁気ディスク装置のベアリング組立体の断面図である。
第18図は、本発明の第8実施例に係る磁気ディスク装置のベアリング組立体の断面図である。
第19図は、本発明の第9実施例に係る磁気ディスク装置のベアリング組立体の断面図である。
第20図は、従来の磁気ディスク装置の断面図である。
第21図は、本願発明のベアリング結合部材の作用を説明する断面図である。
発明を実施するための最良の形態
本発明に関する実施例を、図を用い説明する。
本発明の第1の実施例を、第1図乃至第7図を用いて説明する。
本実施例の磁気ディスク装置の分解図斜視図を第1図に示す。
第2図は、第1図から下カバー1010と配線基板1009及び電気コネクタ1011を除いた第1図のE−E部の断面図である。
本実施例の磁気ディスク装置は、第1図及び第2図に示すように、電気的な信号を磁気的な信号に変換したり、磁気的な信号を電気的な信号に変換するトランスデューサと、トランスデューサを支持するトランスデューサ支持部8と、トランスデューサおよびトランスデューサ支持部を揺動運動させるためのマグネット17及びキャリッジ9を備えるアクチュエータ9と、磁気的な信号をその表面に保持する磁気ディスク1と、磁気ディスク1を固定する固定部材14と、磁気ディスク1を回転させるスピンドルモータと、アクチュエータおよびスピンドルモータを固定するベース7a,11aおよび蓋15を備えている。
配線基板1009は、第2図に示すスピンドルモータの半径方向の周囲に形成される軸方向の高さhの空間部分に配置される。また、電気コネクタ1011は、磁気ディスク1の平面に平行な配線基板1009の端面に形成されており、外部と結合することにより磁気ディスク装置への電源供給と信号の入出力を行う。
本実施例の磁気ディスク装置においては、磁気ディスク1を回転させるベアリング組立体Aと、アクチュエータ9部分のベアリング組立体Bの2つのベアリング組立体がある。
磁気ディスク1を回転させるベアリング組立体Aは、第2図を部分拡大した第3図により説明する。
ベース7aにはベアリングを固定する固定軸が一体成形されている。径の小なる第1のベアリング6aは、ベース7aに一体成形された固定軸にベアリングの内輪が軸方向に移動しないように、固定部材27によって固定されている。径の小なる第1のベアリング6aの外輪と、径の大なる第2のベアリング5aの外輪とは、ベアリング結合部材2aによって、第2のベアリング5aの内径内に第1のベアリング6aがベアリング高さ方向においてオーバーラップするように連結され、回転保持される。
ベアリング結合部材2aは、第1のベアリング6aの外輪の軸方向下面側と第2のベアリング5aの外輪の上面側とを連結している。
径の大なる第2のベアリング5aの内輪は、ベース7aに接触保持されている。マグネット3とコイル4によって、ベアリング結合部材2aは回転する。
ベアリング結合部材2aが、第1のベアリング6aの外輪と、第2のベアリング5aの外輪と接する端面間の軸方向の距離は、ベアリング固定部材27によって第1のベアリング6aの内輪を軸方向に押し込んだときに第1のベアリング6aと第2のベアリング5aの軸方向にそれぞれ逆方向の荷重が作用するように決める。
したがって、それぞれのベアリングには常に逆方向の予圧が加わっているため、ベアリングの軸方向に種々方向の荷重が負荷しても、常に予圧が加わるベアリングで荷重を受けることができ、振動を発生することなく、回転精度を維持し騒音の発生を低減することができる。
また、アクチュエータ9部分のベアリング組立体Bは、第2図を部分拡大した第4図により説明する。ベース11aには固定軸が一体成形されている。径の小なる第3のベアリング12aは、ベース11aに一体成形された固定軸にベアリングの内輪が、固定部材105によって移動しないように接触保持されている。径の小なる第3のベアリング12aの外輪と、径の大なる第4のベアリング13aの外輪とは、ベアリング結合部材10によって、第4のベアリング13aの内径内に第2のベアリング12aがベアリング高さ方向においてオーバーラップするように連結され、回転保持される。
径の大なる第4のベアリング13aの内輪は、ベース11aに固定されている。ベアリング結合部材10が、第3のベアリング12aの外輪と、外輪と接する端面間の軸方向の距離は、ベアリング固定部材105によって第3のベアリングの内輪を軸方向に押し込んだときに、第3のベアリング12aと第4のベアリング13aの軸方向にそれぞれ逆方向の荷重が作用するように決める。
したがって、それぞれのベアリングには常に逆方向の予圧が加わっているため、ベアリングの軸方向に種々方向の荷重が負荷しても、常に予圧が加わるベアリングで荷重を受けることができ、振動を発生することなく、回転精度を維持し騒音の発生を低減することができる。
トランスデューサを支持するトランスデューサ支持部8を揺動運動させるアクチュエータ9は、ベアリング結合部材10の外径側に装着若しくは圧入等により固定される。
次に、2つのベアリング組立体の組立方法を説明する。
まず、磁気ディスク1を回転させるベアリング組立体Aとアクチュエータ9部分のベアリング組立体Bの構造は、ベアリング組立体Aのベアリング結合部材2aはベアリング組立体Bのベアリング結合部材10に対して、コイル4を越えた位置に配置するマグネット3を保持するために外径が大きくなっている点と、径の大きいベアリングの外輪のコイル4と近接する部分が覆われていない点が異なるが、基本的に同じであり、組立方法は、アクチュエータ9部分のベアリング組立体Bについて説明する。
第5図によりアクチュエータ9部分のベアリング組立体Bの組立方法を説明する。まず、軸を一体成形したベース11aに径の大なるベアリング13aの内輪がベース11aに設けてある固定部501に位置決めする。この時、ベアリング13aの内輪とベース11aに一体形成してある軸503との中心が合うように位置決め用の治具を用いて芯出しを行い両者を接着剤で固定する。なお位置決めは接着によらず固定部501部分に段差を設けベアリング13aの内輪を嵌め込むようにしてもよい。
つぎに、ベアリング結合部材10のベアリング収納部502に、径の大なるベアリング13aが収まるように設置する。この状態でベアリング13aの外輪の外周部が収納部502の外側の円周部分に、また外輪の軸方向の端面部分は収納部502の上面部分に設けた固定部504により位置決めされる。この時ベアリング13aの外輪と収納部502の外側の円周部分及び固定部504とを接着して固定する。なお固定方法は、接着に限らず、圧入でもよい。
その後、ベース11aに一体成形された軸503に径の小なるベアリング12aの内径がはめ合わされ、ベアリング固定部材105で固定する。
この組立方法において、ベアリング結合部材10の収納部502に径の大なるベアリング13aを挿入した後に、ベース11aに組み合わせてもよい。
組立に際しあらかじめベアリングの回転精度を計測しておき、径の大きいベアリングと径の小さいベアリングの回転振れが互いに打ち消すように組み付けることにより、ベアリング単体の時より回転精度を向上することができる。
本実施例の磁気ディスク装置においては、第2図に示すように、ベース7aの下面から磁気ディスク1を固定する固定部材14までの高さdは、ベアリングの軸方向の高さ(厚さ)に約0.5mm加えた寸法で製作可能であり、現在市販されている最も小型のベアリングの高さ1.0mmから考慮して、1.5mm程度まで薄くできる。
これにより、磁気ディスク装置全体の厚さをPCMCA規格TYPE1の厚さ3.3mm以内に製作することができる。したがって、当然、PCMCA規格TYPE2の厚さ5mm及びTYPE3の厚さ10.5mmの磁気ディスク装置を容易に形成できる。この場合、磁気ディスクを取り付ける部分を軸方向に厚くし、複数枚の磁気ディスクを配置することができる。
以上のように磁気ディスク1を回転させるベアリング組立体Aと、アクチュエータ9部分のベアリング組立体Bの2つのベアリング組立体を薄型に構成できる。
本実施例によれば、ベアリングとして径の異なるものを用い、それらを組み合わせることによりベアリング組立体を薄型化できる。これにより、磁気ディスク装置自体が薄型化できる。
また径の小さいベアリングを固定する固定軸が
ベース7a及び11aと一体成形されるため、部品点数の低減が図れる。
なお、上述のように磁気ディスク装置を構成するベアリング組立体Aとベアリング組立体Bの構造は、ベアリング結合部材の形状が径の大きいベアリング保持部分で異なるがその他はほぼ同一であり、かつ本発明は両方に適用可能なため以下の構造説明は、ベアリング組立体Aにより代表して行う。
ベアリングは適正に回転するには予圧が必要である。本実施例のベアリング組立体においても、ベアリング結合部材2aの径の小なるベアリング6aの外輪と接触する面と、径の大なるベアリング5aの外輪と接触する面との高さはそれぞれのベアリングに予圧が作用するように規定されている。それぞれのベアリングに予圧が作用することによって、スピンドルモータの回転精度が向上する。
回転精度を向上させる予圧方法としては、磁気ディスク1を回転させるベアリング組立体Aの構造として、第6図に示すように径の大きいベアリング5aの内輪のベース7bへの固定部分に弾性体28を配してもよい。また、第7図に示すように軽の小さいベアリング6aの外輪とベアリング結合部材2bとの間に弾性体29を配してもよい。第6図及び第7図に示すように、弾性体を配置すると部品の製作精度が多少ばらついても予圧力をほぼ一定にすることができる、いわゆる定圧予圧とすることができる。
本発明の第2実施例を、第8図を用いて説明する。第8図は、本実施例の磁気ディスク装置のベアリング組立体Aの部分を示す断面図である。本実施例は、第1実施例に対し、径の小さいベアリングを固定する固定軸の構造が異なる。固定軸106は、ベース107に一体形成せず別部品として作成し、ベース107に圧入されている。
このように、固定軸を別部品とすることによりベース107の加工が容易となる。なお、圧入後にベース107に対する直角度を出すために追加工を施すとよい。
本発明の第3実施例を、第9図を用いて説明する。第9図は、本実施例の磁気ディスク装置のベアリング組立体Aの部分を示す断面図である。本実施例は、第1実施例に対し、径の小さいベアリングを固定する固定軸の構造が異なる。径の小さいベアリング6bを固定する固定軸はベース7cと一体加工しているが、この固定軸はさらに径の小さいベアリングの内輪を兼ねた形状になっている。本実施例のベアリング組立体の組立は、前記第1実施例の場合とベアリング結合部材を取り付けるところまでは同じである。径の小さいベアリングは、まず外輪を固定軸の回りに入れた後、外輪をベアリング結合部材に接するように片側に寄せ固定軸と外輪との間を広くしてボールを入れ、ボールをリテーナ(図示せず)によって固定軸の回りの所定位置に位置決めする。したがって、ベアリング結合部材と径の小さいベアリングの外輪との間隔は、外輪を片寄せしたときにボールが挿入できる広さが必要である。本実施例の構造に前記第1の実施例の第6図及び第7図に示す弾性体を配置してもよい。
本発明の第4実施例を、第10図を用いて説明する。第10図は、本実施例の磁気ディスク装置のベアリング組立体Aの部分を示す断面図である。本実施例は、第1実施例に対し、ベアリング結合部材2cの構造が異なる。本実施例では径の小さいベアリング6cの外輪がベアリング結合部材2cと一体加工されている。本実施例のベアリング組立体の組立は、前記第3実施例と異なり、あらかじめ径の小さいベアリング6cを構成するボールと内輪とをベアリング結合部材2cに挿入しリテーナで位置決めした後に、ベアリング結合部材2cを固定軸及び径の大きいベアリングの外輪に挿入することにより行う。本実施例においても径の大きいベアリングの外輪とベース7aとの固定部に第6図に示す弾性体を配置してもよい。
本発明の第5実施例を、第11図を用いて説明する。第11図は、本実施例の磁気ディスク装置のベアリング組立体Aの部分を示す断面図である。本実施例は、第1実施例に対し、ベース7dの形状が異なる。本実施例は径の大きいベアリング5bの内輪をベース7dに一体加工している。本実施例においても、径の大きいベアリングをボールと外輪とを別々にベース7dの内輪相当部分に挿入し固定した後は、第1実施例と同様に組立ることができる。
本実施例においても径の小さいベアリングの外輪とベアリング結合部材2aとの固定部に第7図に示す弾性体を配置してもよい。
上記第3乃至第5実施例の構造によればベアリング結合部材がベアリングの部品と一体加工されているため部品の点数が少なくてよいという効果がある。
本発明の第6実施例を、第12図乃至第16図を用いて説明する。
第12図は、本実施例に係る磁気ディスク装置を示す断面図である。
本実施例の磁気ディスク装置は、第12図に示すように、前記第1実施例の磁気ディスク装置を示す第2図に対し、トランスデューサと、トランスデューサ支持部8と、アクチュエータ9と、磁気ディスク1と、磁気ディスク1を固定する固定部材14と、磁気ディスク1を回転させるスピンドルモータと、アクチュエータおよびスピンドルモータを固定するベースおよび蓋15は同じであり、磁気ディスク1を回転させるベアリング組立体A’(第2図のAに相当)と、アクチュエータ9部分のベアリング組立体B’(第2図のBに相当)の2つのベアリング組立体のある点も同じである。なお、本実施例では第12図に示す構造においてベアリング組立体B’は第2図のベアリング組立体Bと同一の構造である。
なお、h、dは図2と同様であり、hは配線基板設置用の空間を示し、dはベースからディスク固定部材までの高さを示す。
前述までの第1乃至第5実施例と異なる点は、磁気ディスク1を回転させるベアリング組立体A’の回転中心である固定軸が、ベアリング組立体Cと一緒に回転する構造になっていることである。この構造を、第12図のベアリング組立体A’の部分を拡大した第13図により詳細に説明する。
回転する部分はベアリング結合部材41aであり、ベアリング結合部材41aにはマグネット3が取り付けられている。マグネット3に対向する位置にベース46aに固定されたコイル4がある。このマグネット3とコイル4によって、ベアリング結合部材41aは回転する。
径の小なる第1のベアリング45aの内輪と、径の大なる第2のベアリング44aの内輪とは、ベアリング結合部材41aによって連結され、径の大なる第2のベアリング44aの内径内に径の小なる第1のベアリング45aがベアリング高さ方向においてオーバーラップするように連結され、回転保持される。径の小なる第1のベアリング45aの外輪と径の大なる第2のベアリング44aの外輪とは、ベース46aを介して保持される。
ベアリング結合部材41aと径の小なる第1のベアリング45aの内輪とは固定部材47によってベアリング45aの内輪のベース側で固定される。固定は接着によってもネジで締結してもよい。
このとき、径の小なる第1のベアリング45aの外輪と径の大なる第2のベアリング44aの外輪とが接触する面間の高さは、それぞれのベアリングに予圧が作用するように規定されるため、スピンドルモータの回転精度が向上する。
回転精度を向上させる予圧の方法としては、第14図に示すように、径の小なる第1のベアリング45aの外輪とベース46aとが接触する面に弾性体48を挟んでもよい。また、第15面のように、径の大なる第2のベアリング44aの外輪とベース46aとが接触する面に弾性体49を挟んでもよい。弾性体を配置すると部品の製作精度が多少ばらついても予圧力をほぼ一定にすることができる、いわゆる定圧予圧とすることができる。
本実施例のベアリング組立体の組立方法は、第16図に示すようにベース46aと径の小なるベアリング45aとがはめ合わされる。次に径の大なるベアリング44aと回転軸515を有するベアリング結合部材41aとがはめ合わされる。その後、径の大なるベアリング44aがはめ合わされたベアリング結合部材41aの回転軸515をベース46aにはめ合わされた径の小なるベアリング45aの内輪にはめ合せることによって、径の大なるベアリングの内径内に径の小なるベアリングを配置することができる。最後に、ベアリングを固定するために固定部材47を回転軸515とベアリング45aの内輪とを固定するように配置する。この実施例によれば、ベアリング組立体の組立が各部品ごとに位置決めされるため、簡単に行えるとともに組立行程が少ないので量産に向く。
以上に示すように、径の大なる第2のベアリング44aの内径内に径の小なる第1のベアリング45aが配置されるように保持されるため、ベアリング組立体の高さを薄くすることができ、磁気ディスク装置全体の高さを薄くできる。
本発明の第7実施例を、第17図を用いて説明する。第17図は、本実施例の磁気ディスク装置のベアリング組立体Aの部分を示す断面図である。本実施例は、第6実施例に対し、ベアリング結合部材41bの構造が異なる。ベアリング結合部材41bには、径の大きいベアリング44bの内輪が一体形成されている。
本実施例においても、回転精度を向上させるための予圧方法として、第6実施例に示す第14図及び第15図と同様に弾性体を配置してもよい。
本発明の第8実施例を、第18図を用いて説明する。第18図は、本実施例の磁気ディスク装置のベアリング組立体Aの部分を示す断面図である。本実施例は、第6実施例に対し、ベース46bの構造が異なる。ベース46bは、径の小さいベアリング45bの内輪が一体形成されている。
本実施例においても、回転精度を向上させるための予圧方法として、径の大きいベアリング44aの外輪とベース46bの固定部、及び径の大きいベアリング44aの内輪とベアリング結合部材41aとの固定部に弾性体を配置してもよい。
本発明の第9実施例を、第19図を用いて説明する。第19図は、本実施例の磁気ディスク装置のベアリング組立体Aの部分を示す断面図である。本実施例ベアリング組立体Aの構造は、第7実施例と第8実施例とを合わせた点が他の実施例と異なる。すなわち、ベース46bは第8実施例と同様の径の小さいベアリング45bの内輪が一体形成されているものを用い、ベアリング結合部材41bは第7実施例の径の大きいベアリング44bの内輪が一体形成されたものを用いている。
本実施例においても、回転精度を向上させるための予圧方法として、径の大きいベアリング44bの外輪とベース46bの固定部に弾性体を配置してもよい。
上記第7乃至第9実施例の構造によればベアリング結合部材がベアリングの部品と一体加工されているため部品の点数が少なくてよいという効果がある。
本発明によれば、大きさの異なる2個のベアリングを、径の大きいベアリングの内輪内に径の小さいベアリングを配置するようにしたために、ベアリング組立体のが薄くできこのベアリング組立体を用いた磁気ディスク装置の小型・薄型化が達成できる。
Claims (1)
- 磁気情報を保持する磁気ディスクを回転させるスピンドルモータと、前記磁気ディスクへの情報の書き込み及び/または読み出しを行うためのトランスデューサを前記磁気ディスク表面で移動させるアクチュエータと、前記スピンドルモータと前記アクチュエータとを固定するベースとを備えてなる磁気ディスク装置において、前記スピンドルモータを回転させるためのベアリング組立体と前記アクチュエータを揺動させるためのベアリング組立体の少なくとも一方が、径の大きいベアリングと前記径の大きいベアリングの内側に配置された径の小さいベアリングとを有し、前記径の小さいベアリングの内輪をベースに一体成形された固定軸にその軸方向に移動しないように前記固定軸の一方の端部から固定部材によって固定し、前記径の大きいベアリングの内輪を前記固定軸の軸方向において他方の端部から前記ベースで保持し、前記径の大きいベアリングの外輪と前記径の小さいベアリングの外輪を外輪結合部材で結合したことを特徴とする磁気ディスク装置。
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