JP3725019B2 - 部品の取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボスが突設された取付部品を、取付孔が形成された被取付パネルに固定するための、部品の取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ボスが突設された取付部品を、取付孔が形成された被取付パネルに固定するための取付構造として、例えば特開平11−257317号公報に開示された部品の取付構造が知られている。
【0003】
上記特開平11−257317号公報の部品の取付構造は、対の関係にある複数のリブ壁を有するボスが突設された取付部品を、全体としてU字状をなし、その両側壁に、前記対の関係にあるリブ壁間に食い付く、対の関係にある複数の突起を有する樹脂クリップを介して、取付孔を穿設した被取付部材に取付ける取付構造である。
【0004】
上記部品の取付構造によれば、樹脂クリップの両側壁に形成された突起の間隔巾をリブ壁間の距離よりも大きくなるよう設定することにより、ボス側の対の関係にあるリブ壁間に樹脂クリップ側の対の関係にある突起をその寸法差を利用して食い込ませ、樹脂クリップとボスとを強固に一体化することができるので、部品を被取付部材に安定して確実に取付けることができる。また、被取付部材が金属製であっても、その取付孔に挿入されるクリップを樹脂製としたので、クリップと被取付部材とがこすれるときの不快な音の発生を防止できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平11−257317号公報の部品の取付構造は、取付部品を被取付部材に取付ける前に、樹脂クリップをボスへ予組み付けするとき、樹脂クリップに形成された突起が、ボスに形成されたリブ壁にのり上がりやすく、その場合、予組み付け状態では、突起とリブ壁とが係合せず、クリップがボスから脱落する虞れがあった。
【0006】
また、予組み付けのときに、ボスに取付けた樹脂クリップをプライヤなどで挟みこむことにより、突起とリブ壁とを係合させることはできるが、その場合、予組み付けの工程が増えるため、生産性が低下する問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1は、取付部品に突設された板状のボスと、被取付パネルに形成された取付孔と、前記ボスに予組み付けされて、前記取付孔に挿入されることにより、前記取付部品を前記被取付パネルに固定するクリップとを備え、前記ボスには、その板面に対して突設され、前記ボスの長さ方向に伸びる突条が設けられ、前記クリップは、前記ボスの挿入孔を有するフランジと、このフランジから平行に伸びてそれらの先端部において互いに連結されると共に、それらの基端部がそれらを囲む前記フランジによって連結された一対の弾性脚とを有し、前記一対の弾性脚は、前記ボスを前記挿入孔から挿入したとき、前記ボスを挟むように対置され、かつ、前記弾性脚の内面には、前記突条の突出方向の面が接する部分に、前記突条に食い込む係止突起が形成されていることを特徴とする部品の取付構造を提供するものである。
【0008】
上記第1の発明によれば、取付部品に突設された板状のボスを、クリップの挿入孔に挿入すると、クリップは一対の弾性脚によって挟まれ、弾性脚の内面に、ボスの突条が圧接される。そして、ボスをクリップに深く挿入すると、弾性脚の内面に形成された係止突起が、突条の突出方向の面に食い込んで、ボスの抜けが阻止され、ボスとクリップとが強固に一体化する。したがって、予組み付け状態で、ボスからクリップが外れてしまう虞れがなくなり、取り扱い中での部品の脱落を防止できる。
【0009】
また、一対の弾性脚の基端部(挿入孔側の端部)は、フランジを介して互いに連結されており、一対の弾性脚の先端部も互いに連結されているので、ボスを挿入したときに、一対の弾性脚が拡開してしまうことがなく、上記突条と係止突起との係合を確実に行わせることができる。
【0010】
本発明の第2は、前記第1の発明において、前記フランジは、並列に位置する一対のフランジ片によって構成され、各フランジ片どうしがそれらの両端部にて、内側に前記ボスの板厚よりも幅広の空間を介して脆弱部によって連結されており、前記係止突起は、前記突条の長さ方向に対して直交する方向に伸びる突起からなる部品の取付構造を提供するものである。
【0011】
上記第2の発明によれば、クリップのフランジの挿入孔の両端に空間を設けて脆弱部によって連結しているので、将来の廃棄処分の際には、脆弱部をナイフやニッパなどの刃物で破断することにより、弾性脚を開いてボスから容易に取外すことができ、クリップがボスと違う材質からなる場合でも、分別回収してリサイクル利用することが可能となる。
【0012】
また、係止突起は、突条の長さ方向に対して直交する方向に伸びる突起からなるので、突条が係止突起に確実に係合すると共に、突起の突出面の幅全体に係止突起が食い込み、係合力を強めることができる。
【0013】
本発明の第3は、前記第2の発明において、前記脆弱部は、薄肉壁からなる部品の取付構造を提供するものである。脆弱部を薄肉部とすることにより、ナイフやニッパなどの刃物で容易に切断することができる。
【0014】
本発明の第4は、前記第1〜3のいずれかの発明において、前記ボスは、その幅方向の両端に前記突条を有して断面H形をなし、前記クリップの前記弾性脚の内面には、前記突条を受け入れるガイド溝が設けられている取付構造を提供するものである。
【0015】
上記第4の発明によれば、ボスがクリップに挿入された際、ボスの突条がガイド溝に挿入されて、ボスの幅方向の動きが規制されるので、予組み付け後のボスとクリップとがガタつくことなく、取付孔へ挿入が容易となる。
【0016】
なお、上記第1〜4の発明において、前記クリップの前記被取付パネルの取付孔に対する係合力は、前記ボスの突条と前記クリップの係止突起との係合力よりも小さいことが好ましい。この態様によれば、取付部品を被取付パネルから外すとき、クリップが被取付パネルに残る虞れがなく、再取付け作業が容易になると共に、将来の廃棄処分も容易となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1〜11には、本発明の一実施形態が示されている。図1は、本発明の部品の取付構造を構成するボス及びクリップの概観を示す斜視図である。図2はボスの正面図である。図3はボスの側面図である。図4はクリップの正面図である。図5はクリップの平面図である。図6はクリップの側面図である。図7は図5のA−A’矢示線に沿ったクリップの側断面図である。図8は図5のB−B’矢示線に沿ったクリップの側断面図である。図9は図5のC−C’矢示線に沿ったクリップの側断面図である。図10は、取付部品が被取付パネルに取付けられている状態を示す側面図である。図11は、予組み付けされたボスとクリップの動作を示す図であり、(a)は被取付パネルの取付孔に挿入される前の状態の側断面図、(b)は取付部品が被取付パネルに取付けられた状態の側断面図である。
【0018】
本発明の部品の取付構造は、ボス12を有する取付部品11と、このボス12に予組み付けされるクリップ21と(図1参照)、ボス12に予組み付けされたクリップ21を挿入する取付孔42を有する被取付パネル41と(図11参照)を用いた取付構造からなっている。
【0019】
図1〜3に示すように、取付部品11に突設されたボス12は、板状の本体部13と、この本体部13の幅方向両側に設けられた突条14とを有している。突条14は、本体部13の両面に垂直に突出し、本体部13の長さ方向に伸びている。また、突条14の突出方向の面には、先端に向けて次第に高さが低くなるように形成されたテーパ面14aと、このテーパ面14aよりも基部側に形成された高さの変わらない平行面14bとが設けられている。
【0020】
図1、4〜9に示すように、クリップ21は、上記ボス12が挿入される挿入孔26を有するフランジ22と、このフランジ22の片面から略平行に延出された一対の弾性脚23とを有している。一対の弾性脚23は、略矩形の板材からなり、それらの間隙に前記ボス12の挿入部24が形成されている。また、一対の弾性脚23の先端部は、連結部25により連結されている。弾性脚23の中央には、弾性脚23の基端近傍に自由端を有する片持ち梁状の弾性片部32が打抜き状に形成され、更に、弾性片部32には外方に向けて突出するパネル係止突起33が設けられている。なお、図6、7に示すように、弾性片部32は、外側に突出するように形成されており、内面34の内側には比較的広い空間が形成されていて、弾性片部32が、挿入部24に挿入されたボス12に干渉することなく、内方に撓むようになっている。また、フランジ22の挿入孔26は、弾性脚23の挿入部24に連通し、挿入部24の入口をなしている。
【0021】
特に図5に示すように、フランジ22に形成された挿入孔26は、ボス12の本体部13が通過できる程度の間隙からなるスリット部27と、ボス12の突条14を受け入れるガイド溝28とを有している。ガイド溝28に連続して、弾性脚23の内面にはガイド溝29が形成され、ガイド溝29は弾性脚23の先端まで伸びている。更に、フランジ22は、並列に位置する一対のフランジ片の両端部どうしを薄肉片31で連結した構造をなす。そして、薄肉片31の内側であって挿入孔26の長手方向両端部には、少なくとも前記ボス12の板厚よりも長い幅で、好ましくはナイフやニッパの先端を容易に挿入できる程度の幅の空間30が設けられている。また、挿入孔26の開口縁部には、ボス12の挿入をガイドするためのテーパ36が形成されている。
【0022】
また、図9に示すように、ガイド溝29の底面のフランジ22に近接した位置には、ガイド溝29の幅方向(ボス12の突条14の長さ方向に対して直交する方向)に伸びる係止突起35が形成されている。係止突起35は、クリップ21が被取付パネル41の取付孔42に挿入されたときに、取付孔42の内壁で囲まれる位置に形成することが好ましく、更には、被取付パネル41の厚みの中央に位置することが好ましい(図11(b)参照)。また、ボス12の突条14が円滑に挿入され、挿入後の係止力が強く得られるようにするため、係止突起35のフランジ22側の面は緩やかな傾斜面とし、それと反対側の面は急傾斜とすることが好ましい。
【0023】
なお、ボス12の突条14に、クリップ21の係止突起35が効果的に食い込むようにするため、ボス12の材質よりも、クリップ21の材質の方が硬い方が好ましい。例えば、ボス12の材質としては、ポリプロピレンなどが好ましく使用され、クリップ21の材質としては、ポリアセタール、ポリアミドなどが好ましく採用される。
【0024】
次に、上記ボス12及びクリップ21を使用して、取付部品11を被取付パネル41に取付ける方法を説明する。
【0025】
取付部品11を被取付パネル41に取付ける前に、まず、ボス12にクリップ21を予組み付けする。すなわち、ボス12の先端をクリップ21の挿入孔26から挿入部24に挿入する。このとき、ボス12の突条14は、クリップ21のガイド溝28、29を通して挿入する。突条14の突出面の先端側はテーパ面14aをなしているので、ボス12はスムーズに挿入される。そして、ボス12の基端部がクリップ21のフランジ22に近接すると、突条14の平行面14bがガイド溝29の底面に形成された係止突起35に強く押圧され、係止突起35が突条14の突出面に食い込んで抜け止めがなされる。このとき、弾性脚23の内面には、突条14の押圧力(拡開力)が作用するが、弾性脚23は、その基端部がフランジ22の薄肉壁31によって連結され、先端部も連結部25によって連結されているので、突条14の押圧力に対向する保持力を付与でき、突条14の突出面に係止突起35を効果的に食い込ませることができる。
【0026】
こうして、ボス12とクリップ21とを予組み付けした後、図10、11に示すように、クリップ21を被取付パネル41の取付孔42に挿入する。すると、パネル係止突起33が取付孔42の内周に当接し、弾性片部32が内方に撓んで挿入がなされる。そして、更に挿入すると、パネル係止突起33が取付孔42から抜け出し、弾性片部32が元の形状に戻り、パネル係止突起33のフランジ22側の面が取付孔42の縁に係合し、取付部品11が被取付パネル41に取付けられる。また、図11(b)に示すように、取付部品11が被取付パネル41に取付けられた状態において、弾性脚23の係止突起35が形成された部分は取付孔42の内周で囲まれ、外方への撓みが規制された状態となる。そのため、クリップ21のガイド溝29の底壁に形成された係止突起35と、ボス12の突条14の突出面との係合が確実に保持され、ボス12がクリップ21から抜けてしまう虞れはない。
【0027】
また、修理等の際に取付部品11を被取付パネル41から取り外す必要が生じた場合には、取付部品11を強制的に引張ると、クリップ21が被取付パネル41の取付孔42から抜き出され、取付部品11を被取付パネル41から取り外すことができる。このとき、弾性片部32が内方に撓みパネル係止突起33と取付孔42の縁との係合が解除されるが、弾性脚23の係止突起35が形成された部分は撓むことなく、ボス12とクリップ21とが一体となって被取付パネル41の取付孔42から抜け出すようになっている。そして、一体となっているボス12とクリップ21とを再び取付孔42に挿入すれば、取付部品11を被取付パネル41に容易に再取付けすることができる。
【0028】
なお、取付部品11とクリップ21との材質が異なり、リサイクルのために分離して回収する必要がある場合には、フランジ22の薄肉部31をニッパやナイフなどの刃物で切断して、弾性脚23をボス12から離れる方向に開き、係止突起35と突条14との係合を解除することにより、クリップ21を取付部品11から容易に取外すことができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、取付部品に設けたボスをクリップに挿入することにより、ボスに設けた突条の突出面に弾性脚の内面に設けた係止突起が食い込んで係合する。このとき、クリップの弾性脚は、それらの基端部がそれらを囲むフランジによって連結され、それらの先端部も互いに連結されているので、ボスの押圧力に対して開き止めがなされ、上記係止突起をボスの突条に効果的に食い込ませることができる。したがって、ボスにクリップを予組み付けした状態で、クリップが外れてしまうことを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による部品の取付構造を構成するボス及びクリップの概観を示す斜視図である。
【図2】同取付構造におけるボスの正面図である。
【図3】同取付構造におけるボスの側面図である。
【図4】同取付構造におけるクリップの正面図である。
【図5】同取付構造におけるクリップの平面図である。
【図6】同取付構造におけるクリップの側面図である。
【図7】図5のA−A’矢示線に沿ったクリップの側断面図である。
【図8】図5のB−B’矢示線に沿ったクリップの側断面図である。
【図9】図5のC−C’矢示線に沿ったクリップの側断面図である。
【図10】同取付構造において取付部品が被取付パネルに取付けられている状態を示す側面図である。
【図11】同取付構造における、予組み付けされたボスとクリップの動作を示す図であり、(a)は被取付パネルの取付孔に挿入される前の状態の側断面図、(b)は取付部品が被取付パネルに取付けられた状態の側断面図である。
【符号の説明】
11 取付部品
12 ボス
14 突条
21 クリップ
22 フランジ
23 弾性脚
24 挿入部
25 連結部
26 挿入孔
28 ガイド溝
29 ガイド溝
30 空間
31 薄肉部
33 パネル係止突起
35 係止突起
41 被取付パネル
42 取付孔

Claims (4)

  1. 取付部品に突設された板状のボスと、
    被取付パネルに形成された取付孔と、
    前記ボスに予組み付けされて、前記取付孔に挿入されることにより、前記取付部品を前記被取付パネルに固定するクリップとを備え、
    前記ボスには、その板面に対して突設され、前記ボスの長さ方向に伸びる突条が設けられ、
    前記クリップは、前記ボスの挿入孔を有するフランジと、このフランジから平行に伸びてそれらの先端部において互いに連結されると共に、それらの基端部がそれらを囲む前記フランジによって連結された一対の弾性脚とを有し、
    前記一対の弾性脚は、前記ボスを前記挿入孔から挿入したとき、前記ボスを挟むように対置され、かつ、前記弾性脚の内面には、前記突条の突出方向の面が接する部分に、前記突条に食い込む係止突起が形成されていることを特徴とする部品の取付構造。
  2. 前記フランジは、並列に位置する一対のフランジ片によって構成され、各フランジ片どうしがそれらの両端部にて、内側に前記ボスの板厚よりも幅広の空間を介して脆弱部によって連結されており、
    前記係止突起は、前記突条の長さ方向に対して直交する方向に伸びる突起からなる請求項1記載の部品の取付構造。
  3. 前記脆弱部は、薄肉壁からなる請求項2記載の部品の取付構造。
  4. 前記ボスは、その幅方向の両端に前記突条を有して断面H形をなし、前記クリップの前記弾性脚の内面には、前記突条を受け入れるガイド溝が設けられている請求項1〜3のいずれか1つに記載の部品の取付構造。
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