JP3724540B2 - ポリエステル強撚織物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル繊維からなるマルチフィラメント糸を加撚して得られる強撚糸を経糸及び/又は緯糸に使用するポリエステル強撚織物に関し、特に、ブラウス等の盛夏用衣料に適するポリエステル強撚織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の強撚織物としては、シャリ感からくる清涼感を狙って、ポリエステル繊維からなるマルチフィラメント糸を加撚した強撚糸を用い、ジョーゼット等の織物が生産されている。
【0003】
しかしながら、シャリ感を付加するために撚数を上げると、織糸が剛直になって織物の風合いがガリガリしたものになり、ふくらみ感にかけるという問題があった。また、異型断面糸を使用して、清涼感とふくらみ感とを両立しようとする試みもなされているが、両者を満足する織物は実現されていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ほどよいシャリ感からくる清涼感を有するとともにふくらみ感もあわせもつことができるポリエステル強撚織物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリエステル強撚織物は、ポリエステル繊維からなるマルチフィラメント糸を加撚して得られる強撚糸を経糸及び/又は緯糸に使用するポリエステル強撚織物であって、前記マルチフィラメント糸を構成する単繊維の断面形状が、異型度2.5以上3.5以下のY字状三葉型であり、前記マルチフィラメント糸の10%伸張時応力が、1.8g/d以上2.8g/d以下であり、前記マルチフィラメント糸の交絡数が、5ヶ/m以上80ヶ/m以下であり、
前記マルチフィラメント糸の繊度をF(デニール)、前記マルチフィラメント糸の1メートル当たりの撚数をY(T/m)としたとき、下記式により求められる前記マルチフィラメント糸の撚係数Kが、17500以上25800以下であり、
K=F 1/2 ×Y
前記単繊維の繊度が、1デニール以上4デニール以下のものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態のポリエステル強撚織物について詳細に説明する。本発明の一実施の形態のポリエステル強撚織物は、ポリエステル繊維からなるマルチフィラメント糸を加撚して得られる強撚糸を経糸及び/又は緯糸に使用するものである。
【0009】
ポリエステル繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルとすることができる。
【0010】
マルチフィラメント糸の単繊維の断面形状は、Y字状三葉型であり、異型度は、2.5以上3.5以下であることが好ましい。ここで、Y字状三葉型の断面とは、その断面が三つの葉部からなるものをいい、例えば、図1に示すように、三つの葉部2からなる単繊維1の断面形状をいう。また、異型度とは、図1に示すように、三つの葉部2の外接円3の直径と断面中心部の内接円4の直径との比をいい、外接円3の直径をG、内接円4の直径をNとすると、G/Nで表される。この異型度が、2.5未満では、清涼感が得られず、3.5を越えると、織物の風合いがガリガリした粗剛なものになって清涼感が得られず、好ましくない。
【0011】
マルチフィラメント糸の単繊維の太さは、1デニール以上4デニール以下であることが好ましい。単繊維の太さが、1デニール未満では、適度なシャリ味からくる清涼感が得られず、4デニールを越えると、織物の風合いが、ガリガリ感を伴う粗剛なものになり、好ましくない。
【0012】
マルチフィラメント糸の10%伸張時の応力は、1.8g/d(グラム/デニール)以上2.8g/d以下であることが好ましい。この場合、ふくらみ感と適度なシャリ感を伴う清涼感とを得ることができる。これは、10%伸張時の応力で示される繊維の初期抵抗力が織物になったときの風合いに現れるものと考えられる。一方、10%伸張時の応力が1.8g/d未満では、清涼感が得られず、2.8g/dを越えると、織物の風合いが硬くガリガリした風合いになる。ここで、マルチフィラメント糸の10%伸張時の応力は、テンシロン引張器(インテスコ社製)を用い、初期荷重0.1g/d、試料長200mm、引張速度200mm/min、記録計速度200mm/minの測定条件で測定した10%伸張時の応力(g/d)をいう。
【0013】
マルチフィラメント糸の交絡数は、5ヶ/m以上80ヶ/m以下であることが好ましい。この場合、マルチフィラメント糸の単繊維の断面において、凸部となる葉部と凹部となる葉部間とが、強撚された際にマルチフィラメント糸間で互いにかみ合い、最密充填されるのを防止することができる。この結果、マルチフィラメント糸間に空隙が増大し、織物にふくらみ感を持たせることができる。一方、交絡数が5ヶ/m未満では、強撚時にマルチフィラメント糸が自由に移動し、単繊維の断面同志で凹部と凸部とが絡み合う。この結果、マルチフィラメント糸間の空隙が減少し、織物の風合いがふくらみ感のない硬いものになり、好ましくない。また、交絡数が80ヶ/mを越えると、交絡点が織物の風合いを粗硬なものにするため、好ましくない。マルチフィラメント糸の交絡方法は、特に限定されないが、インターレースノズル等を用いることができる。
【0014】
マルチフィラメント糸の撚数Y(T/m)は、マルチフィラメント糸の繊度をF(デニール)としたときに、K=F1/2×Yで示される撚係数Kが17500以上25800以上になる撚数にすることが好ましい。撚係数Kが17500未満では、適度なシャリ感を伴う清涼感が得られず、単繊維の繊度によっては、しぼ斑が発生する場合があり、好ましくない。また、撚係数Kが25800を越えると織物の風合いが硬くなってガリガリしたものになり、好ましくない。マルチフィラメント糸の撚方法は、特に限定されないが、ダブルツイスター等を用いることができる。
【0015】
【実施例】
以下、実施例をあげて、本発明を具体的に説明する。評価試料となる実施例及び比較例1〜10の各織物は、以下の製造方法により作成した。まず、マルチフィラメント糸を加撚後、経糸としてS撚の織糸及びZ撚の織糸を2本交互に使用するとともに、緯糸としてS撚の織糸を使用し、平織物を経密度126本/インチ及び緯密度92本/インチで製織した。次に、通常のワッシャーによるリラックス加工を沸騰下で行った。次に、アルカリ減量加工を沸騰下で行った。最後に、染色加工を130℃で行った。上記の製造方法により得られた各織物の風合いを官能評価により良否を評価し、その結果を表1に示す。なお、減量率は、全ての例において、ほぼ20%とした。
【0016】
(実施例)
固有粘度0.63のポリエステルポリマーを用いたポリエステル繊維からなる以下の特性のマルチフィラメント糸を作成した。マルチフィラメント糸の繊度は75デニールで、フィラメントの数は24であり、従って、単繊維の繊度は、3.125デニールである。単繊維の断面形状は、異型度3.0のY字状三葉型である。マルチフィラメント糸の10%伸張時応力は、2.3g/dである。上記のマルチフィラメント糸を撚係数20785(経糸撚係数20785、緯糸撚係数20785)になるように加撚して強撚糸を作成し、ポリエステル強撚織物を作成した。
【0017】
得られた織物の風合いは、適度なシャリ感を伴う清涼感を有するとともに、ふくらみ感もあわせもち、非常に良好なものであった。
【0018】
(比較例1)
マルチフィラメント糸の単繊維の異型度を2.3にし、マルチフィラメント糸の10%伸張時応力を2.4g/dにしたこと以外は、実施例と同一の方法及び条件でポリエステル強撚織物を作成した。この例では、ふくらみ感が不足するとともに、清涼感も少なかった。
【0019】
(比較例2)
マルチフィラメント糸の単繊維の異型度を3.7にし、マルチフィラメント糸の10%伸張時応力を2.1g/dにしたこと以外は、実施例と同一の方法及び条件でポリエステル強撚織物を作成した。この例では、ふくらみ感はあるが、風合いがガリガリしていた。
【0020】
(比較例3)
マルチフィラメント糸のフィラメントの数を80にして単繊維の繊度を約0.938にし、単繊維の異型度を2.8にし、マルチフィラメント糸の10%伸張時応力を2.2g/dにしたこと以外は、実施例と同一の方法及び条件でポリエステル強撚織物を作成した。この例では、ふくらみ感はあるが、清涼感がなかった。
【0021】
(比較例4)
マルチフィラメント糸のフィラメントの数を18にして単繊維の繊度を約4.167にし、単繊維の異型度を3.2にし、マルチフィラメント糸の10%伸張時応力を2.2g/dにしたこと以外は、実施例と同一の方法及び条件でポリエステル強撚織物を作成した。この例では、風合いがガリガリし、粗硬であった。
【0022】
(比較例5)
ポリエステルポリマーの固有粘度を0.67にし、マルチフィラメント糸の10%伸張時応力を3.2g/dにしたこと以外は、実施例と同一の方法及び条件でポリエステル強撚織物を作成した。この例では、ふくらみ感はあるが、硬い感じがした。
【0023】
(比較例6)
ポリエステルポリマーの固有粘度を0.59にし、マルチフィラメント糸の10%伸張時応力を1.6g/dにしたこと以外は、実施例と同一の方法及び条件でポリエステル強撚織物を作成した。この例では、ふくらみ感はあるが、清涼感がなかった。
【0024】
(比較例7)
マルチフィラメント糸の交絡数を3ヶ/mにし、10%伸張時応力を2.2g/dにしたこと以外は、実施例と同一の方法及び条件でポリエステル強撚織物を作成した。この例では、清涼感はほぼ満足できるが、ふくらみ感に欠けた。
【0025】
(比較例8)
マルチフィラメント糸の交絡数を90ヶ/mにし、10%伸張時応力を2.2g/dにしたこと以外は、実施例と同一の方法及び条件でポリエステル強撚織物を作成した。この例では、清涼感はほぼ満足できるが、ふくらみ感が不足していた。
【0026】
(比較例9)
マルチフィラメント糸の撚係数を17320(経糸撚係数17320、緯糸撚係数17320)にしたこと以外は、実施例と同一の方法及び条件でポリエステル強撚織物を作成した。この例では、清涼感がなかった。
【0027】
(比較例10)
マルチフィラメント糸の撚係数を25980(経糸撚係数25980、緯糸撚係数25980)にしたこと以外は、実施例と同一の方法及び条件でポリエステル強撚織物を作成した。この例では、ガリガリして粗硬な風合いであった。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】
本発明のポリエステル強撚織物は、適度なシャリ感からくる清涼感を有するとともにふくらみ感もあわせもつことができ、特に、盛夏用のブラウス等の用途に最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】単繊維の断面形状を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 単繊維
2 葉部
3 外接円
4 内接円
Claims (1)
- ポリエステル繊維からなるマルチフィラメント糸を加撚して得られる強撚糸を経糸及び/又は緯糸に使用するポリエステル強撚織物であって、前記マルチフィラメント糸を構成する単繊維の断面形状が、異型度2.5以上3.5以下のY字状三葉型であり、前記マルチフィラメント糸の10%伸張時応力が、1.8g/d以上2.8g/d以下であり、前記マルチフィラメント糸の交絡数が、5ヶ/m以上80ヶ/m以下であり、
前記マルチフィラメント糸の繊度をF(デニール)、前記マルチフィラメント糸の1メートル当たりの撚数をY(T/m)としたとき、下記式により求められる前記マルチフィラメント糸の撚係数Kが、17500以上25800以下であり、
K=F 1/2 ×Y
前記単繊維の繊度が、1デニール以上4デニール以下であることを特徴とするポリエステル強撚織物。
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1998
- 1998-06-03 JP JP15419898A patent/JP3724540B2/ja not_active Expired - Fee Related
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