JP3724209B2 - ベンチレーテッドロータ - Google Patents

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JP3724209B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク式ブレーキ等の制動装置に用いられるベンチレーテッドロータに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のディスク式ブレーキの概略構成図が図11に示されている。図11において、シリンダボディ1は、図示しないトルクメンバにスライドピン等を介して軸方向(図11の左右方向)に進退可能に取付けられており、基部1aとこれの対向位置に配置された爪部1bとこれらを連結する連結部1cとから構成されている。基部1aにはシリンダ孔2が形成され、このシリンダ孔2内にはピストン3が進退可能に配置されている。このピストン3は図示しないマスタシリンダからシリンダ孔2に供給されるオイルの油圧によって進退する。
【0003】
ピストン3と前記ツメ部1bとの対向位置には摩擦パッド4、5がそれぞれ固定されており、この一対の摩擦パッド4、5の互いの対向面には摩擦材としてのライニング部4a、5aが取付けられている。この一対の摩擦パッド4、5間にディスクロータとしてのベンチレーテッドロータ6が配置され、このベンチレーテッドロータ6は、図示しない車輪と一体に回転するよう構成されている。
【0004】
図12(a)は従来例のベンチレーテッドロータ6の一部断面図、図12(b)はその右側面図である。図12(a)、(b)において、ベンチレーテッドロータ6は車軸方向に離間した並設されたリング状のアウタ側摺動板7とインナ側摺動板8を有し、この両摺動板7、8間は半径方向に放射状に配置されたリブ9にて連結されている。両摺動板7、8間で、且つ、隣接する各リブ9間には通風孔10がそれぞれ構成されている。又、アウタ側摺動板7の内周側には車輪取付部11が設けられ、この車輪取付部11を介してベンチレーテッドロータ6が図示しない車輪に固定される。
【0005】
上記構成において、制動時には、シリンダ孔2にオイルが供給され、この油圧によってピストン3がベンチレーテッドロータ6側に移動し、一方の摩擦パッド4のライニング部4aがベンチレーテッドロータ6の一方の面に接触する。そして、ピストン3がさらにベンチレーテッドロータ6側に移動しようとすると、この反作用によってシリンダボディ1がピストン3の移動しようとする方向とは逆方向に移動して爪部1bがベンチレーテッドロータ6側に移動する。この移動により他方の摩擦パッド5のライニング部5aがベンチレーテッドロータ6の他方の面に接触する。このような動作が極短時間内に行われ、ブレーキペダルを踏み込むのとほとんど同時に一対の摩擦パッド4、5によってベンチレーテッドロータ6が両側から挾み込まれることで制動が行われるのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の構成においては、制動熱によって次のような問題があった。つまり、図13(a)に示すように、制動前では一対の摩擦パッド4、5の各ライニング4a、5aは平坦であるとする。そして、制動指令によって一対の摩擦パッド4、5の各ライニング部4a、5aが両摺動板7、8に摺動すると、この際の制動熱で両摺動板7、8の温度が上昇する。ここで、インナ側摺動板8に比べてアウタ側摺動板7は車輪取付部11を有すること等から熱容量が大きいために、双方の温度上昇が同じとはならない。インナ側摺動板8の方が高温で、アウタ側摺動板7の方がインナ側摺動板8より低温となり、この温度差による双方の熱膨張量の差によって、ベンチレーテッドロータ6が、図13(b)に示すように、アウタ側摺動板7の外周側が一方の摩擦パッド4側に近付き、アウタ側摺動板7の内周側が一方の摩擦パッド4より離れるような熱変形を生じる。
【0007】
そして、この熱変形が摩擦パッド4、5の軸方向の移動可能範囲以上であると、特にアウタ側摺動板7側の摩擦パッド4のライニング部4aは内周側に比べて外周側の摩耗が大きい偏摩耗を起こす。この状態で次の制動がなされると、図13(c)に示すように、摩擦パッド4のライニング部4aの偏摩耗によりアウタ側摺動板7の内周部に制動熱が集中し、アウタ側摺動板7の内周側と外周側との温度差が大きくなり、この温度差による熱膨張の差によって熱応力が発生する。つまり、図13(d)にてAで示すアウタ側摺動板8の半径方向外周端部に引張り応力が集中して応力的に不利となるため、アウタ側摺動板8を厚肉に形成せざるを得ず、ベンチレーテッドロータ6の大型化、重量化になるという問題があった。
【0008】
実際、図13(c)に示すように、アウタ側摺動板7の内周側に熱が集中した時の熱応力を解析すると、図14に示すように鋳鉄の引張体力を越える引張り応力がアウタ側摺動板7の外周端に発生していることが分かる。参考に、上記解析に使用した有限要素モデルは、ベンチレーテッドロータ6の外径Φ290mm、アウタ側摺動板7の厚さ10mm、リブ9の高さ8mm、インナ側摺動板8の厚さ10mmであり、制動条件は車両重量1800kgf、前輪荷重85%、タイヤ動半径0.3mの車両で、200km/h以上の高速からの緩制動である。
【0009】
そこで、本発明は、制動熱によってアウタ側摺動板の外周部が応力的に不利とならず小型、軽量化に供するベンチレーテッドロータの提供を課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、車軸方向に離間して並設されたリング状のインナ側摺動板及びアウタ側摺動板と、このインナ側摺動板とアウタ側摺動板の間に半径方向に配置された複数のリブと、前記インナ側摺動板とアウタ側摺動板の間で、且つ、前記隣接する各リブ間に形成された複数の通風孔とを有するベンチレーテッドロータにおいて、
前記インナ側摺動板、前記アウタ側摺動板及び前記複数のリブから成る構成体における摺動板半径方向外周端部と摺動板半径方向内周端部のほぼ中間である摺動板平均半径近傍の箇所の曲げ剛性を他の箇所よりも弱くし、前記インナ側摺動板が前記アウタ側摺動板よりも高温になった場合に、前記アウタ側摺動板の前記インナ側摺動板側とは反対側の外面における前記摺動板平均半径近傍の箇所が前記インナ側摺動板側へ窪むように前記構成体がくの字状に変形するようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項の発明は、請求項1記載のベンチレーテッドロータであって、
記インナ側摺動板と前記アウタ側摺動板の互いの対向面における前記摺動板平均半径近傍の箇所に形成された凹部によって、前記摺動板平均半径近傍の箇所の曲げ剛性を弱くしたことを特徴とする。
【0013】
請求項の発明は、請求項1又は請求項2記載のベンチレーテッドロータであって、
記リブの摺動板半径方向に沿った側面における前記摺動板平均半径近傍の箇所に形成された凹部によって、前記摺動板平均半径近傍の箇所の曲げ剛性を弱くしたことを特徴とする。
【0014】
請求項の発明は、請求項又は請求項記載のベンチレーテッドロータであって、
前記凹部は、その形状が滑らかな曲線で構成されたことを特徴とする。
【0015】
請求項の発明は、請求項1〜請求項4のうち何れか一つに記載のベンチレーテッドロータであって、
記インナ側摺動板と前記アウタ側摺動板のそれぞれの前記摺動板平均半径近傍の箇所において車軸方向に形成され、且つ、他の箇所よりも数量を多くした複数の貫通孔によって、前記摺動板平均半径近傍の箇所の曲げ剛性を弱くしたことを特徴とする。
【0016】
請求項の発明は、請求項1〜請求項4のうち何れか一つに記載のベンチレーテッドロータであって、
記インナ側摺動板と前記アウタ側摺動板のそれぞれの前記摺動板平均半径近傍の箇所において車軸方向に形成され、且つ、他の箇所よりも径を大きくした貫通孔によって、前記摺動板平均半径近傍の箇所の曲げ剛性を弱くしたことを特徴とする。
【0017】
【発明の効果】
請求項1の発明では、制動熱によって、インナ側摺動板の方が高温で、アウタ側摺動板の方が低温となり、この温度差による双方の熱膨張量の差によって、ベンチレーテッドロータには、アウタ側摺動板の外周側が外側に突出し、アウタ側摺動板の内周側が内側に窪むような熱変形を生じさせる応力が発生するが、構成体における、摺動板半径方向外周端部と摺動板半径方向内周端部のほぼ中間である摺動板平均半径近傍の箇所では他の箇所より曲げ剛性が弱くなることから、ベンチレーテッドロータはこの箇所でくの字状の変形を起こすため、摩擦パッドは重量低減手段に対向する位置が突出する偏摩耗を起こし、次の制動時にはアウタ側摺動板の内周部に制動熱が集中せずに、アウタ側摺動板の内周側と外周側との温度差が大きくなることがなく、以上より制動熱によってアウタ側摺動板の外周部が応力的に不利とならず小型、軽量化に供する。
【0018】
請求項の発明では、制動時の熱変形が、アウタ側摺動板の外周端と内周端を結んだ線に対する垂直方向の窪み寸法が最も大きくなるため、次の制動時におけるアウタ側摺動板の内周部への熱集中を最も効果的に緩和できる。
【0019】
請求項の発明では、請求項1の発明の効果に加え、凹部の箇所が熱変形での折曲点となり所望の熱変形を確実に生じさせることができる。
【0020】
請求項の発明では、請求項1又は2の発明の効果に加え、構成体の摺動板平均半径近傍の箇所の曲げ剛性を弱くする手段はリブに凹部を設けることによって構成できる。
【0021】
請求項の発明では、請求項又はの発明の効果に加え、凹部が滑らかな曲線で構成されエッジがないため、応力の分散を図ることができる。
【0022】
請求項の発明では、請求項1〜の発明の効果に加え、貫通孔によって制動熱が逃げ各摺動板の温度上昇が抑制される。
【0023】
請求項の発明では、請求項1〜の発明の効果に加え、貫通孔によって制動熱が逃げ各摺動板の温度上昇が抑制される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0025】
(第1実施例)
図1(a)は本発明の第1実施例を示すベンチレーテッドロータの斜視図、図1(b)はその要部断面図である。図1(a)、(b)において、この第1実施例にあって前記従来例と同一構成部分については図面に同一符号を付してその説明を省略し、異なる構成部分のみを説明する。
【0026】
即ち、インナ側摺動板8とアウタ側摺動板7との互いの対向面であって、摺動板半径方向外周端部と摺動板半径方向内周端部の間のほぼ中間位置である摺動板平均半径近傍には重量低減手段である凹部20が設けられている。この凹部20は、インナ側摺動板8、アウタ側摺動板7及び複数のリブ9から成る構成体についての半径方向の重量分布を、摺動板平均半径近傍を他の箇所より軽くするためのものである。この第1実施例では、凹部20は摺動板平均半径付近の全周に亘って設けられている。
【0027】
尚、図1(a)において、12は車輪に取付けるための中央貫通孔であり、13はボルト孔である。
【0028】
上記構成において、図2(a)に示すように、制動前では一対の摩擦パッド4、5の各ライニング4a、5aは平坦であるとする。そして、制動指令によって一対の摩擦パッド4、5の各ライニング4a、5aが両摺動板7、8に摺動すると、この際の制動熱で両摺動板7、8の温度が上昇する。ここで、インナ側摺動板8に比べてアウタ側摺動板7は車輪取付部11を有すること等から熱容量が大きいために、双方の温度上昇が同じとはならない。インナ側摺動板8の方が高温で、アウタ側摺動板7の方がインナ側摺動板8より低温となり、この温度差による双方の熱膨張量の差によって、ベンチレーテッドロータ6には、アウタ側摺動板7の外周側が一方の摩擦パッド4側に近付き、アウタ側摺動板7の内周側が一方の摩擦パッド4より離れるような熱変形を生じさせる応力が発生する。
【0029】
ここで、摺動板半径方向外周端部と摺動板半径方向内周端部の間の摺動板平均半径近傍には凹部20が設けられ、この箇所では他の箇所より曲げ剛性が弱くなることから、図2(b)に示すように、ベンチレーテッドロータ6はこの箇所でくの字状の変形を起こすことになる。
【0030】
又、この第1実施例では、重量低減手段はアウタ側摺動板7やインナ側摺動板8に形成された凹部20にて構成され、この箇所が他の箇所に比べて肉薄であるため、この凹部20の箇所が熱変形での折曲点となり所望の熱変形を確実に生じさせることができる。つまり、アウタ側摺動板7の外面は摺動板平均半径近傍が内側に窪み、内周部及び外周部が外側に突出する熱変形を起こし、アウタ側の摩擦パッド4のライニング部4aは摺動板平均半径近傍が凸状に盛り上がった偏摩耗を起こすことになる。
【0031】
ベンチレーテッドロータ6の熱変形はある一定の時間で元に戻り、この状態で次の制動指令があると、図2(c)に示すように、偏摩耗したライニング部4aがアウタ側摺動板7に摺動するため、アウタ側摺動板7の摺動板平均半径近傍に制動熱が集中する。これにより、アウタ摺動板7の外周部と摺動板平均半径近傍との間には温度差が発生するが、距離が近いため、熱伝導により均一化が速く進み外周部に発生する引っ張り応力は大きなものとはならない。又、図2(d)に示すように、上記偏摩耗したライニング部4aの摩擦パッド4は、以降の制動動作によって徐々に偏摩耗が是正される。
【0032】
次に、図3(a)、(b)は実験によるアウタ側摺動板7の熱変形状態及びライニング部4aの偏摩耗状態を示す。つまり、本発明者等の実施した実験によれば、ベンチレーテッドロータ6の外径Φ290mm、アウタ側摺動板7の厚さ10mm、リブ9の高さ8mm、インナ側摺動板8の厚さ10mm、凹部20の幅20mm、凹部20の深さ2mmとした場合には、制動時の熱変形は、図3(a)に示すように、アウタ側摺動板7の外周端P1と内周端P2を結んだ線に対し、摺動板平均半径位置P3は垂直に約15μm窪んだ熱変形を起こしている様子が観察された。また、図3(b)に示すように、その制動後のアウタ側の摩擦パッド4のライニング部4aの径方向偏摩耗を計測すると、摺動板平均半径位置P4が凸状に盛り上がり、ライニング部4aの内周端P5に対して約5μm摩耗が少ないことが分かった。
【0033】
尚、上記実験はブレーキダイナモで実施し、制動条件はイナーシャ11kgfm2、初速200km/h以上の高速からの緩制動である。
【0034】
図4は、第1実施例の構成における、図2(c)のように熱が集中した時の熱応力を解析した場合の応力特性線図である。図4にて実線で示すように、鋳鉄の引張り体力よりはるかに低い引張り応力しか発生しないことが分かる。尚、図4の破線は従来例のものである。
【0035】
参考に、上記解析に使用した有限要素モデルは、ベンチレーテッドロータ6の外径Φ290mm、アウタ側摺動板7の厚さ10mm、リブ9の高さ8mm、インナ側摺動板8の厚さ10mmであり、制動条件は車両重量1800kgf、前輪荷重85%、タイヤ動半径0.3mの車両で、200km/h以上の高速からの緩制動である。
【0036】
数値解析を用いて第1実施例のベンチレーテッドロータ6における上記制動条件を計算すると、実験で得られた熱変形形状にほぼ一致し、さらに第1実施例の重量低減手段を含めた半径方向の重量分布を、リブに重量軽減手段を設けて構成した場合(第2実施例)や貫通孔で重量軽減手段を構成した場合(第4実施例や第5実施例)について、数値解析を用いて熱変形形状を計算すると、やはり実験で得られた第1実施例の熱変形形状とほぼ一致する。
【0037】
尚、前記第1実施例では、重量低減手段は、インナ側摺動板8とアウタ側摺動板7とにそれぞれ1つの大きな凹部20を設けて構成したが、各摺動板7、8にそれぞれ2以上の凹部20を設けて構成しても良く、又、いずれか一方にのみ凹部20を設けて構成しても良く、さらに、凹部20の数量を異ならせて構成しても良い。
【0038】
尚、前記第1実施例では、凹部20は摺動板平均半径付近の全周に亘って設けられているが、全体としてのバランスを取ることを条件として一定間隔ごとに設けても良い。
【0039】
(第2実施例)
図5(a)は本発明の第2実施例を示すベンチレーテッドロータの要部断面図、図5(b)は図5(a)のA−A線断面図である。図5(a)、(b)において、この第2実施例にあって前記第1実施例と比較して異なるのは、重量低減手段の構成のみであり、他の構成は同一構成であるため図面に同一符号を付してその説明を省略する。
【0040】
即ち、この第2実施例の重量低減手段は、リブ9の摺動板平均半径近傍の位置で、且つ、リブ9の側面に設けられた凹部21にて構成されており、この凹部21によってリブ9は摺動板平均半径近傍の位置で円周方向の厚みが薄くなっている。つまり、この第2実施例では、リブ9の凹部21によって、インナ側摺動板8、アウタ側摺動板7及び複数のリブ9から成る構成体についての径方向の重量分布が、摺動板平均半径近傍で他の箇所より軽くなるよう設定されている。
【0041】
この第2実施例でも、制動時の熱でベンチレーテッドロータ6の形状が前記第1実施例と同様になるため、前記と同理由でアウタ側摺動板7の摺動板平均半径近傍に制動熱が集中する。これにより、アウタ摺動板7の外周部に発生する引っ張り応力を低減できるものである。
【0042】
尚、重量低減手段としてのリブ9の凹部21は、全てのリブ9に設けても良いが、一部のリブ9に設けても良い。但し、全体としてのバランスを調整するよう設けることが望ましい。又、リブ9の両側面にそれぞれ1つの凹部21を設けて構成したが、2以上の凹部21を設けて構成しても良く、又、リブ9のいずれか一方の側面にのみ凹部21を設けても良く、さらに、各側面で凹部21の数量を異ならせて構成しても良い。
【0043】
(第3実施例)
図6は第3実施例に係るベンチレーテッドロータ6の要部断面図である。図6において、この第3実施例は前記第1実施例と略同様の構成を有し、重量低減手段の凹部20はその形状が滑らかな曲線で構成されている点のみが相違する。他の構成は前記第1実施例と同一であるため、図面に同一符号を付してその説明を省略する。
【0044】
この第3実施例においても、前記第1実施例と同様の作用・効果を有する。又、凹部20が滑らかな曲線で構成されエッジがないため、応力集中が生じず応力の分散を図ることができる。
【0045】
(第4実施例)
図7は第4実施例に係るベンチレーテッドロータ6の要部断面図である。図7において、この第4実施例は前記第2実施例と略同様の構成を有し、重量低減手段の凹部21はその形状が滑らかな曲線で構成されている点のみが相違する。他の構成は前記第2実施例と同一であるため、図面に同一符号を付してその説明を省略する。
【0046】
この第4実施例においても、前記第2実施例と同様の作用・効果を有する。又、凹部21が滑らかな曲線で構成されエッジがないため、第3実施例と同様に応力の分散を図ることができる。
【0047】
(第5実施例)
図8(a)は本発明の第5実施例を示すベンチレーテッドロータ6の要部断面図、図8(b)は図8(a)のB−B線断面図である。尚、図8(b)ではリブ9は省略してある。図8(a)、(b)において、この第5実施例にあって前記第1実施例と比較して異なるのは、重量低減手段の構成のみであり、他の構成は同一構成であるため図面に同一符号を付してその説明を省略する。
【0048】
即ち、この第5実施例の重量低減手段は、インナ側摺動板8とアウタ側摺動板7の車軸方向にそれぞれ形成され、且つ、摺動板平均半径近傍に形成された他の箇所よりも数量を多くした複数の同一径の貫通孔22にて構成されている。
【0049】
つまり、この第5実施例では、各摺動板7、8の貫通孔22によって、インナ側摺動板8、アウタ側摺動板7及び複数のリブ9から成る構成体についての径方向の重量分布が、摺動板平均半径近傍で他の箇所より軽くなるよう設定されている。
【0050】
この第5実施例でも、制動時の熱でベンチレーテッドロータ6の形状が前記第1実施例と同様になるため、前記と同理由でアウタ側摺動板7の摺動板平均半径近傍に制動熱が集中する。これにより、アウタ摺動板7の外周部に発生する引っ張り応力を低減できるものである。又、各摺動板7、8に貫通孔22が形成されているため、この貫通孔22によって制動熱が逃げ各摺動板7、8の温度上昇が抑制されるという利点もある。
【0051】
(第6実施例)
図9(a)は本発明の第6実施例を示すベンチレーテッドロータ6の要部断面図、図9(b)は図9(a)のC−C線断面図である。尚、図9(b)ではリブ9は省略してある。図9(a)、(b)において、この第6実施例は前記第5実施例と略同様であり、重量低減手段が、インナ側摺動板8とアウタ側摺動板7の車軸方向にそれぞれ形成され、且つ、摺動板平均半径近傍に形成された他の箇所の貫通孔22よりも大径の貫通孔23にて構成されている点である。
【0052】
つまり、この第6実施例では、各摺動板7、8の摺動板平均半径近傍の大径の貫通孔23によって、インナ側摺動板8、アウタ側摺動板7及び複数のリブ9から成る構成体についての径方向の重量分布が、摺動板平均半径近傍で他の箇所より軽くなるよう設定されている。尚、他の構成は前記第5実施例の構成と同一構成であるため図面に同一符号を付してその説明を省略する。
【0053】
この第6実施例でも、制動時の熱でベンチレーテッドロータ6の形状が前記第1実施例と同様になるため、前記と同理由でアウタ側摺動板7の摺動板平均半径近傍に制動熱が集中する。これにより、アウタ摺動板7の外周部に発生する引っ張り応力を低減できるものである。又、第5実施例と同様に、各摺動板7、8に貫通孔22、23が形成されているため、この貫通孔22、23によって制動熱が逃げ各摺動板7、8の温度上昇が抑制されるという利点もある。
【0054】
(第7実施例)
図10(a)は本発明の第7実施例を示すベンチレーテッドロータ6の要部断面図、図10(b)は図10(a)のD−D線断面図である。図10(a)、(b)において、この第7実施例にあって前記第1実施例と比較して異なるのは、重量低減手段の構成のみであり、他の構成は同一構成であるため図面に同一符号を付してその説明を省略する。
【0055】
即ち、この第7実施例の重量低減手段は、前記第1実施例の重量軽減手段の構成と前記第2実施例の重量低減手段の構成と前記第6実施例の重量低減手段の構成とを組み合わせたもので、インナ側摺動板8とアウタ側摺動板7との互いの対向面の摺動板平均半径近傍に設けられた凹部20と、リブ9の摺動板平均半径近傍の位置で、且つ、リブ9の側面に設けられた凹部21と、インナ側摺動板8とアウタ側摺動板7の車軸方向にそれぞれ形成され、且つ、摺動板平均半径近傍に形成された他の箇所の貫通孔22よりも大径の貫通孔23とから構成されている。
【0056】
この第7実施例においても、前記第1実施例又は第2実施例又は第6実施例と同様の作用・効果を有する。重複になるが、各摺動板7、8に貫通孔22、23が形成されているため、第6実施例と同様に貫通孔22、23によって制動熱が逃げ各摺動板7、8の温度上昇が抑制されるという利点もある。さらに、この第7実施例では、重量低減手段を各摺動板7、8とリブ9とに分散して設けているため、各部材の強度をある程度保持しながら十分な重量低減を図ることができるという利点もある。
【0057】
また、第7実施例では、第1実施例と第2実施例と第6実施例とを組み合わせて構成したが、第1実施例と第2実施例と第5実施例とを組み合わせて構成しても良く、又、これらの組み合わせにあって第1実施例の代わりに第3実施例の構成を設けても、第2実施例の代わりに第4実施例の構成を設けても良い。また、第1実施例(又は第3実施例)と第2実施例(又は第4実施例)と第5実施例(又は第6実施例)とのいずれか2つを選択的に組み合わせて構成しても良い。
【0058】
尚、前記各実施例の重量低減手段は、摺動板半径方向外周端部と摺動板半径方向内周端部の間のほぼ中間位置である摺動板平均半径近傍の位置に設けられているが、摺動板半径方向外周端部と摺動板半径方向内周端部の間の位置であれば良い。ただし、摺動板平均半径近傍の位置に設ければ、制動時の熱変形が、図3(a)に示すように、アウタ側摺動板7の外周端P1と内周端P2を結んだ線に対する窪み寸法が最も大きくなるため、次の制動時におけるアウタ側摺動板7の内周部への熱集中を最も効果的に緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1実施例を示すベンチレーテッドロータの斜視図、(b)はその要部断面図である。
【図2】(a)〜(d)は本発明の第1実施例における、それぞれ制動過程を示す概略構成図である。
【図3】(a)は本発明の第1実施例に係るベンチレーテッドロータの制動熱による変形状態を示す概略構成図、(b)は摩擦パッドの偏摩耗した状態を示す概略構成図である。
【図4】本発明の第1実施例に係るアウタ側摺動板の外周部における引張り応力の特性線図である。
【図5】(a)は本発明の第2実施例を示すベンチレーテッドロータの要部断面図、 (b)は図5(a)のA−A線断面図である。
【図6】本発明の第3実施例に係るベンチレーテッドロータ6の要部断面図である。
【図7】本発明の第4実施例に係るベンチレーテッドロータ6の要部断面図である。
【図8】(a)は本発明の第5実施例を示すベンチレーテッドロータ6の要部断面図、(b)は図8(a)のB−B線断面図である。
【図9】本発明の第6実施例を示すベンチレーテッドロータ6の要部断面図、(b)は図9(a)のC−C線断面図である。
【図10】(a)は本発明の第7実施例を示すベンチレーテッドロータ6の要部断面図、(b)は図10(a)のD−D線断面図である。
【図11】従来例のディスク式ブレーキの概略構成図である。
【図12】(a)は従来例のベンチレーテッドロータ6の一部断面図、(b)はその右側面図である。
【図13】(a)〜(d)は従来例における、それぞれ制動過程を示す概略構成図である。
【図14】従来例におけるアウタ側摺動板の外周部における引張り応力の特性線図である。
【符号の説明】
6 ベンチレーテッドロータ
7 アウタ側摺動板
8 インナ側摺動板
9 リブ
10 通風孔
20 凹部(重量低減手段)

Claims (6)

  1. 車軸方向に離間して並設されたリング状のインナ側摺動板及びアウタ側摺動板と、このインナ側摺動板とアウタ側摺動板の間に半径方向に配置された複数のリブと、前記インナ側摺動板とアウタ側摺動板の間で、且つ、前記隣接する各リブ間に形成された複数の通風孔とを有するベンチレーテッドロータにおいて、
    前記インナ側摺動板、前記アウタ側摺動板及び前記複数のリブから成る構成体における摺動板半径方向外周端部と摺動板半径方向内周端部のほぼ中間である摺動板平均半径近傍の箇所の曲げ剛性を他の箇所よりも弱くし、前記インナ側摺動板が前記アウタ側摺動板よりも高温になった場合に、前記アウタ側摺動板の前記インナ側摺動板側とは反対側の外面における前記摺動板平均半径近傍の箇所が前記インナ側摺動板側へ窪むように前記構成体がくの字状に変形するようにしたことを特徴とするベンチレーテッドロータ。
  2. 請求項1記載のベンチレーテッドロータであって、
    記インナ側摺動板と前記アウタ側摺動板の互いの対向面における前記摺動板平均半径近傍の箇所に形成された凹部によって、前記摺動板平均半径近傍の箇所の曲げ剛性を弱くしたことを特徴とするベンチレーテッドロータ。
  3. 請求項1又は請求項2記載のベンチレーテッドロータであって、
    記リブの摺動板半径方向に沿った側面における前記摺動板平均半径近傍の箇所に形成された凹部によって、前記摺動板平均半径近傍の箇所の曲げ剛性を弱くしたことを特徴とするベンチレーテッドロータ。
  4. 請求項又は請求項記載のベンチレーテッドロータであって、
    前記凹部は、その形状が滑らかな曲線で構成されたことを特徴とするベンチレーテッドロータ。
  5. 請求項1〜請求項4のうち何れか一つに記載のベンチレーテッドロータであって、
    記インナ側摺動板と前記アウタ側摺動板のそれぞれの前記摺動板平均半径近傍の箇所において車軸方向に形成され、且つ、他の箇所よりも数量を多くした複数の貫通孔によって、前記摺動板平均半径近傍の箇所の曲げ剛性を弱くしたことを特徴とするベンチレーテッドロータ。
  6. 請求項1〜請求項4のうち何れか一つに記載のベンチレーテッドロータであって、
    記インナ側摺動板と前記アウタ側摺動板のそれぞれの前記摺動板平均半径近傍の箇所において車軸方向に形成され、且つ、他の箇所よりも径を大きくした貫通孔によって、前記摺動板平均半径近傍の箇所の曲げ剛性を弱くしたことを特徴とするベンチレーテッドロータ。
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